| 【発明の名称】 |
香味劣化抑制剤及び香味劣化抑制方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】安藤 精二 【住所又は居所】大阪府豊中市三和町1−1−11 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社内
【氏名】横溝 敦志 【住所又は居所】大阪府豊中市三和町1−1−11 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】人体に安全な香味劣化抑制剤を提供する。
【解決手段】羅布麻抽出物を香味劣化抑制剤の有効成分として用いる。また香料または香味成分を含む組成物を、羅布麻抽出物と共存させることによって、当該香料または香味成分を含む組成物の香味劣化を抑制する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 羅布麻抽出物を有効成分とする香味劣化抑制剤。 【請求項2】 香味がシトラス系、フルーツ系、ミルク系、野菜系、または茶系の香味である請求項1に記載する香味劣化抑制剤。 【請求項3】 請求項1または2の香味劣化抑制剤を含有する香味を有する製品。 【請求項4】 製品が、香料、飲食物、化粧品、医薬品、医薬部外品または飼料である請求項3に記載する製品。 【請求項5】 羅布麻抽出物を、香味劣化を受け得る被験物と共存させることからなる該被験物の香味劣化抑制方法。 【請求項6】 香味がシトラス系、フルーツ系、ミルク系、野菜系または茶系の香味である請求項5に記載する香味劣化抑制方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は香味劣化剤及び香味劣化方法に関する。より詳細には本発明は、熱によって生じる香気劣化、並びに光照射、例えば太陽光等の自然光や蛍光灯等の人工光の照射によって生じる香味劣化を有意に抑制することのできる香味劣化剤、及び香味劣化方法に関する。 【背景技術】 【0002】 飲食品や医薬品等の各種製品は、その素材が本来有する香味(フレーバー)や製造工程中に発生してくる香味により、独特の香りや風味ないしは独特の味わいを有している。特に飲食品において、香味は美味しさの一要素であるとともに食欲をそそる重要な役割を担っている。しかしながら、これらの香味成分は比較的不安定であるため、商品の製造工程中または製造後の保管や陳列中に光、熱、または空気(酸素)等の影響を受けて香味が劣化し、流通や保存段階で商品価値が著しく低下するという問題がある。とりわけ飲食品の分野においては、近年のホットベンダーによる加温飲料の普及やペットボトル等の透明容器入り飲料の普及に伴って、熱や光による香味の劣化現象、殊更商品保存中や陳列中に生じる香味の劣化現象が問題となっており、かかる香味劣化を有意に抑制乃至防止する方法の開発が早期に求められているのが現状である。 【0003】 こうした背景のもと、従来より香味劣化抑制方法として、種々の方法が提案されている。例えば、α−グルコシルルチンに香味劣化抑制効果があること(特許文献1等参照)、クエルセチン類や糖転移ルチンなどのフラボノール配糖体が食品の香味劣化抑制剤として有用であること(特許文献2等参照)、クロロゲン酸とクエルセチン類の併用によって天然香料の香味劣化が相乗的に抑制できること(特許文献3等参照)、ネオヘスペリジンジヒドロカルコンとヤマモモ抽出物あるいはネオヘスペリジンジヒドロカルコンとクエルセチン類との併用によって飲食物の香味劣化が相乗的に抑制できること(特許文献4等参照)等が知られている。 【0004】 これらの方法は、一応の香味劣化抑制効果をあげてはいるものの、今なお満足できる抑制効果を発揮するものではない。 【0005】 一方、最近、羅布麻(キョウチクトウ科、学名:Apocynum venetum L)の生理活性が注目されており、その葉抽出中のフラボノイド(イソクエルシトリン、エピカテキン、ヒペロシドなど)に、抗欝作用があること(例えば、非特許文献1および特許文献5参照のこと)、ルチン、カテキン、グルタミン酸やフラボノイドにα−グルコシダーゼ阻害活性があること(例えば、特許文献6参照のこと)、フラボノイド(エピカテキン、イソクエルシトリン等を含む15種類)にD−ガラクトサミン/リポ多糖類誘起肝機能障害保護作用(例えば、非特許文献2参照のこと)またはフェニルプロパノイド置換フラバン-3-オール類にD−ガラクトサミン/腫瘍壊死因子α誘起細胞死に対して肝臓保護作用があること(例えば、非特許文献3参照のこと)、フラボノイド(イソクエルシトリン、クエルシトリン、アポシニン類)にラジカル消去作用(例えば、非特許文献4参照のこと)、及びフラボノイド(ヒペロシド、イソクエルシトリン)に脂質過酸化阻害作用(例えば、非特許文献5参照のこと)があること、さらに、羅布麻茶(水抽出物)にコレステロール低下作用(例えば、特許文献7参照のこと)、及び高コレステロール血症・動脈硬化改善作用(例えば、非特許文献4参照のこと)があることが報告されている。また、羅布麻抽出物中には、抗酸化作用(ペルオキシナイトライト消去作用)を強く示す成分としてエピカテキン-(4β-8)-エピカテキンが含まれていることが報告されている(例えば、非特許文献6参照のこと) しかしながら、今まで、羅布麻抽出物について香味劣化抑制作用があることについては知られていない。上記文献の中には羅布麻抽出物には抗酸化作用成分が含まれていることを記載する文献があるものの、食品業界において、酸化防止作用と香味劣化抑制作用とが一義的に関連する性質ではないことは周知の事実である。 【特許文献1】特開平1-217893号公報 【特許文献2】特開平7-10898号公報 【特許文献3】特開平4-27374号公報 【特許文献4】特開2000-236860号公報 【特許文献5】特開2002-201139号公報 【特許文献6】特開2002-163795号公報 【特許文献7】特開平9-224623号公報 【非特許文献1】Veronika Butterweck, Sansei Nishibe,; Biol Pharm Bull., 24(2001), p.848-851 【非特許文献2】Quangbo Xiong , Wenzhe Fan; Plant Med., 66(2000) p.127-133 【非特許文献3】Wenzhe Fan, Yasuhiro Tezuka,; Chem Pharm Bull, 47 (1999), p.1049-1050 【非特許文献4】服部征雄、Food Style 21, 6(2002), pp.81-86 【非特許文献5】Sansei Nishibe, Michiko Murai, Nat Med., 48(1994), pp.322-323 【非特許文献6】Takao Yokozawa, Yoshiki Kashiwada, Biol Pharm Bull., 25(2002), p.748-752 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 本発明の目的は、熱や光などの要因に基づく香味劣化現象を有意に抑制できる香味劣化抑制剤を提供することである。具体的には、本発明は第1に、安全性が高く水溶性で食品等に好適に使用できる香味劣化抑制剤を提供することを目的とするものである。第2に、上記要因のうち特に熱の影響を受けて生じる香味劣化現象に対して有効に作用する、香味劣化抑制剤を提供することを目的とするものである。 【0007】 また本発明は、上記要因、特に熱の影響を受けて生じる香味劣化現象を有意に抑制することのできる香味劣化抑制方法を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0008】 本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねていたところ、羅布麻抽出物に、香味成分の劣化現象、特に香味成分の熱による劣化現象を有意に抑制する作用があることを見いだした。さらにその優れた香味劣化抑制効果は、羅布麻抽出物に含まれる各種フラボノイドの各々に依存するのではなく、それらと他の微量成分とを併せて含む抽出物そのものの特有の効果である可能性が高いことを確認した。 本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。 【0009】 すなわち、本発明は、下記(1)〜(4)に掲げる、羅布麻抽出物を有効成分として含有することを特徴とする退色抑制剤である。 (1)羅布麻抽出物を有効成分とする香味劣化抑制剤。 (2)香味がシトラス系、フルーツ系、ミルク系、野菜系または茶系の香味である(1)に記載する香味劣化抑制剤 (3)更に抗酸化剤を含む(1)または(2)に記載する香味劣化抑制剤。 (4)抗酸化剤がフラボノイド類である(3)に記載する香味劣化抑制剤。 (5)抗酸化剤がルチン、イソクエルシトリン、ミリシトリン、モリン、クエルセチン、糖転位ルチン、エンジュ抽出物、ダッタンソバ抽出物、及びヤマモモ抽出物よりなる群から選択される少なくとも1種である(3)に記載する香味劣化抑制剤。 【0010】 さらに本発明は、下記に掲げる、上記(1)乃至(5)のいずれかに記載する香味劣化抑制剤を含有する各種の製品である。 (6)上記(1)乃至(5)のいずれかに記載する香味劣化抑制剤を含有する香味を有する製品。 (7)製品が、香料、飲食物、化粧品、医薬品、医薬部外品または飼料である(6)に記載する製品。 (8)シトラス系、フルーツ系、ミルク系、野菜系または茶系の香りを有する(6)または(7)に記載する製品。 【0011】 さらにまた本発明は、下記に掲げる香味劣化抑制方法である。 (9)羅布麻抽出物を、香味劣化を受け得る被験物と共存させることからなる該被験物の香味劣化抑制方法。 (10)被験物がシトラス系、フルーツ系、ミルク系、野菜系または茶系の香味を有するものである(9)に記載する香味劣化抑制方法。 (11)羅布麻抽出物を、抗酸化剤とともに、香味劣化を受け得る被験物と共存させることからなる、(9)または(10)に記載する香味劣化抑制方法。 (12)抗酸化剤がフラボノイド類である(11)に記載する香味劣化抑制方法。 (13)抗酸化剤がルチン、イソクエルシトリン、ミリシトリン、モリン、クエルセチン、糖転位ルチン、エンジュ抽出物、ダッタンソバ抽出物、及びヤマモモ抽出物よりなる群から選択される少なくとも1種である(11)に記載する香味劣化抑制方法。 (14)被験物が飲食物である(9)乃至(13)のいずれかに記載する香味劣化抑制方法。 【0012】 また本発明は、下記に掲げるp−メチルアセトフェノン生成抑制方法である。 (15)羅布麻抽出物を、シトラールを含有する被験物と共存させることからなる該被験物におけるp−メチルアセトフェノン生成抑制方法。 (16)羅布麻抽出物を、抗酸化剤とともに、シトラールを含有する被験物と共存させることからなる、(15)に記載するp−メチルアセトフェノン生成抑制方法。 (17)抗酸化剤がフラボノイド類である(16)に記載するp−メチルアセトフェノン生成抑制方法。 (18)抗酸化剤がルチン、イソクエルシトリン、ミリシトリン、モリン、クエルセチン、糖転位ルチン、エンジュ抽出物、ダッタンソバ抽出物、及びヤマモモ抽出物よりなる群から選択される少なくとも1種である(16)に記載するp−メチルアセトフェノン生成抑制方法。 (19)被験物が飲食物である(15)乃至(18)のいずれかに記載するp−メチルアセトフェノン生成抑制方法。 【0013】 以下に、本発明を詳細に説明する。 【0014】 (I)香味劣化抑制剤 本発明の香気劣化抑制剤は、有効成分として羅布麻の抽出物を含有することを特徴とする。 【0015】 ここで羅布麻(学名:Apocynum venetum L)とは、キョウチクトウ科に属する多年生宿草木である。バシクルモン、紅麻、沢漆麻とも呼ばれ、葉を茶としたものは、燕龍茶とか老喜茶と呼ばれ飲用されている。羅布麻は植物体全体であっても、また葉、花、茎、種子及び根等の植物体の一部であってもよいが、葉または葉を含む部分であることが好ましい。 【0016】 抽出に用いる羅布麻(好ましくは葉)は、採取したての新鮮なもの、それを乾燥させたもの、または更に焙煎したもののいずれでもよいが、好ましくは乾燥させたものである。 【0017】 これらの羅布麻の抽出に使用される溶媒は、特に制限されず、水、極性有機溶媒または非極性有機溶媒のいずれであってもよいが、好ましくは水、極性有機溶媒またはこれらの混合物(含水極性有機溶媒)である。ここで極性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等の炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜3の低級アルコール;グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどの多価アルコール;またはアセトン、酢酸エチル、酢酸メチルなどを例示することができる。抽出溶媒として、好ましくは水、低級アルコール及びこれらの混合物(含水アルコール)であり、より好ましくは水、エタノール及びこれらの混合物(含水エタノール)である。なお、含水アルコール、特に含水エタノールを使用する場合の、当該溶液中のアルコール(エタノール)の含有割合としては、制限されないが、好ましくは10〜90容量%、好ましくは10〜60容量%、より好ましくは20〜40容量%の範囲を例示することができる。 【0018】 抽出方法としては、一般に用いられる方法を広く採用することができる。制限はされないが、例えば上記の羅布麻を抽出溶媒の中に浸漬する方法(浸漬法)又は抽出溶媒に羅布麻を入れて加温しながら還流する方法(加熱還流法)等を挙げることができる。なお、浸漬法による場合は加熱(加温、高温)、室温又は冷却(低温)条件下のいずれであってもよく、また静置した状態の浸漬または攪拌しながらの浸漬のいずれであってもよい。 【0019】 かかる抽出操作により得られた抽出物は、各種の固液分離手段に供され、溶媒に不溶な残渣(不溶性固形分)が除去される。ここで固液分離手段としてはデカンテーション、濾過、遠心分離または圧搾などの各種の固液分離手段を用いることができる。かくして得られる抽出液(濾液、上清、圧搾液)はそのままの状態で、またはさらに水、エタノール等の極性有機溶媒またはこれらの混合液で希釈して使用することができる。また、抽出溶媒を留去して一部濃縮または乾燥(減圧乾燥、凍結乾燥、スプレードライなどを含む)して、ペースト状(またはエキス粘稠物)または粉末状態(またはエキス乾燥物)の状態で用いることもできる。また抽出液を濃縮若しくは乾燥した後、該濃縮物若しくは乾燥物をさらに非溶解性溶媒で洗浄して精製して用いても、またこれを更に適当な溶媒(好ましくは、水やエタノール等の極性有機溶媒またはこれらの混合液)に溶解もしくは懸濁して用いてもよい。 【0020】 また、抽出液は、必要に応じて濃縮若しくは乾燥した後に、脱臭または脱色等を目的として精製処理を行ってもよい。かかる精製方法は、特に制限されず、慣用されている精製法を任意に組み合わせて実施することができ、具体的には各種の樹脂処理法(吸着法、イオン交換法、ゲルろ過法など)、超臨界抽出法、膜処理法(限外濾過膜処理法、逆浸透膜処理法、イオン交換膜処理法など)、溶媒分画法および活性炭処理法等を例示することができる。 【0021】 本発明の香味劣化抑制剤は、前述した羅布麻の抽出物、好ましくは羅布麻の葉の抽出物(抽出液そのもの、その濃縮物、乾固物または精製物の別を問わない)を含有するものであればよく、これらの抽出物だけからなるものであってよいが、当該抽出物以外の成分として、希釈剤、担体またはその他の添加剤を含有していてもよい。 【0022】 希釈剤または担体としては、本発明の効果を妨げないものであれば特に制限されず、例えばシュクロース、グルコース、デキストリン、澱粉類、サイクロデキストリン、トレハロース、乳糖、マルトース、水飴、液糖などの糖類;エタノール、プロピレングリコール、グリセリン等のアルコール類;ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール等の糖アルコール;アラビアガム、キサンタンガム、カラギーナン、グァーガム、ジェランガム等の多糖類;または水を挙げることができる。また添加剤としては、抗酸化剤、キレート剤等の助剤、香料、香辛料抽出物、防腐剤などを挙げることができる。 【0023】 使用上の利便等から、これらの希釈剤、担体または添加剤を用いて香味劣化抑制剤を調製する場合は、羅布麻の抽出物(乾固物として換算)が、香味劣化抑制剤100重量%中に固形換算で0.01〜50重量%、好ましくは0.1〜30重量%の割合で含まれるように調製することが望ましい。 【0024】 なおここで添加剤として用いられる抗酸化剤としては、食品添加物として用いられるものを広く例示することができる。例えば、制限はされないが、L−アスコルビン酸及びその塩等のアスコルビン酸類;アスコルビン酸ステアリン酸エステルまたはアスコルビン酸パルミチン酸エステルなどのアスコルビン酸エステル類;エリソルビン酸及びその塩(例えばエリソルビン酸ナトリウム)等のエリソルビン酸類;亜硫酸ナトリウム、次亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウムまたはピロ亜硫酸カリウムなどの亜硫酸塩類;α−トコフェロールやミックストコフェロール等のトコフェロール類;ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)やブチルヒドロキシアニソール(BHA)等;エチレンジアミン四酢酸カルシウム二ナトリウムやエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム等のエチレンジアミン四酢酸類;没食子酸や没食子酸プロピル等の没食子酸類;アオイ花抽出物、アスペルギルステレウス抽出物、カンゾウ油性抽出物、食用カンナ抽出物、グローブ抽出物、精油除去ウイキョウ抽出物、セイヨウワサビ抽出物、セージ抽出物、セリ抽出物、チャ抽出物、テンペ抽出物、ドクダミ抽出物、生コーヒー豆抽出物、ヒマワリ種子抽出物、ピメンタ抽出物、ブドウ種子抽出物、ブルーベリー葉抽出物、プロポリス抽出物、ヘゴ・イチョウ抽出物、ペパー抽出物、ホウセンカ抽出物、ヤマモモ抽出物、ユーカリ葉抽出物、リンドウ根抽出物、ルチン(抽出物)(小豆全草,エンジュ,ソバ全草抽出物)、ローズマリー抽出物、チョウジ抽出物、リンゴ抽出物等の各種植物の抽出物;その他、酵素処理ルチン、クエルセチン、ルチン酵素分解物(イソクエルシトリン)、酵素処理イソクエルシトリン、酵素分解リンゴ抽出物、ごま油抽出物、菜種油抽出物、コメヌカ油抽出物、コメヌカ酵素分解物、没食子酸及びそのエステル類等を挙げることができる。好ましくは、ヤマモモ抽出物、ルチン(抽出物)、生コーヒー豆抽出物、ローズマリー抽出物等の植物抽出物;酵素処理ルチン、ルチン酵素分解物(イソクエルシトリン)、酵素処理イソクエルシトリン等を挙げることができる。 【0025】 本発明において特に好ましい抗酸化剤として、フラボノール類を挙げることができる。このフラボノール類としては、フラボノール並びにアグリコン部にフラボノールを有するフラボノール配糖体を広く挙げることができる。例えば、エンジュ、ダッタンソバ、ドクダミ及びヤマモモなどの植物体から抽出することにより入手できるもの、さらにそれを精製した精製物、並びにそれらに酵素処理若しくは加水分解等の各種処理を施したものを挙げることができる。具体的には、ルチン、イソクエルシトリン、ゴシピツリン及びミリシトリン等、並びにルチン、イソクエルシトリンと澱粉質の共存下において糖転移酵素を用いて公知の方法で処理することにより得られる糖転移ルチン等を例示することができる。これらのフラボノール類は1種単独で使用されてもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。 【0026】 またフラボノール類そのものに代えて、上記に掲げる各種フラボノール類を含む植物抽出物をそのまま用いることもできる。かかるものとしてはエンジュ抽出物、ダッタンソバ抽出物、ドクダミ抽出物及びヤマモモ抽出物等を例示することができる。なお、かかる植物抽出物は、フラボノール類を比較的多量に含む植物の該当部位を水、アルコールまたはその他の有機溶剤を用いて抽出することによって得ることができ、そのままで使用しても、またさらに酵素処理して使用することもできる。例えばヤマモモ抽出物は、ヤマモモ科植物を本出願人による特許出願の方法(特開平5−156249号、特開平9−87619号)を用いて抽出することによって調製取得でき、このような操作により得られるヤマモモ抽出物はフラボノール配糖体であるミリシトリン(ミリセチン−3−O−ラムノシド)の給源となる。またこのヤマモモ抽出物は、そのままで使用することもできるが、さらに特開平9−95672号公報記載の方法に従って糖転移酵素処理を施すこともでき、これは水易溶性ヤマモモ抽出物として使用することができる。なお、これらの植物抽出物も1種単独で使用されても、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。 【0027】 また、前述するフラボノール類の中には水難溶性で取り扱いにくい物質があるため、必要に応じて、フラボノール類をエタノールなどの低級アルコールやグリセリンまたはプロピレングリコールなどの多価アルコールに溶かして用いてもよい。 【0028】 抗酸化剤を用いる場合、香味劣化抑制剤100重量%中に配合される当該抗酸化剤の割合としては、制限されないが、例えば、酵素処理イソクエルシトリンを用いる場合、0.01〜50重量%、好ましくは0.1〜30重量%を挙げることができる。他の抗酸化剤もこれに準じて用いることができる。 【0029】 本発明の香味劣化抑制剤はその形態を特に制限するものではなく、例えば粉末状、顆粒状、錠剤状などの固体状;液状、乳液状等の溶液状;またはペースト状等の半固体状などの、任意の形態に調製することができる。 【0030】 本発明の香味劣化抑制剤が対象とする香味成分には、天然香料(植物性天然香料、動物性天然香料)及び合成香料の別を問わず、これらの香料を構成する香味成分が含まれる。 【0031】 具体的には、オレンジ、レモン、グレープフルーツ等のシトラス系香料;アップル、グレープ、ピーチ等のフルーツ系香料;バター、チーズ、ヨーグルト等のミルク系香料;バニラ系香料;紅茶や緑茶などの茶系香料;コーヒー系香料;ミント系香料;ハーブ、コショウ、ワサビ等のスパイス系香料;ナッツ系香料;ビーフ、ポーク、チキン等のミート系香料;魚貝類、甲殻類等の水産物系香料;ワイン、ウイスキー、ブランデー等の洋酒系香料;バラ、ラベンダー、ジャスミン等のフラワー系香料;オニオン、ガーリック、キャベツ等の野菜系香料;その他の香料を構成する香味成分をあげることができる。好ましくはシトラス系、フルーツ系、ミルク系、野菜系、茶系の香料を構成する香味成分である。一般に香料は、一つの香気成分からは再現できず、多数の香気成分より作り出すことができる。例えば、各系統の香気を特徴づける基原物質を主要成分として、これに様々な香気成分を調合することによって調製される。こうした各系統の香気の基原物質は公知であり、その調合方法も当業者が通常なしえるところである(例えば、参考図書として「香りの総合辞典」日本香料工業会編、朝倉書店、1998年12月10日発行を挙げることができる。)。 【0032】 本発明の香味劣化抑制剤は、各種の香味成分、好ましくは上に掲げる各種の香料を構成する香味成分を含む製品(付香製品)に広く適用することができ、これらの製品について香味の劣化を抑制若しくは防止するのに有用である。特に実験例で示すように、本発明の香気劣化抑制剤は、少なくとも、リモネン、ジヒドロリナロール、リナリルアセテート、シトロネリルアセテート、シトラール、及びゲラニオールのいずれかを含む、例えばシトラス系香料を有する飲食物、フルーツ系香料を有する飲食物、ミルク系香料を有する飲食物、野菜系香料を有する飲食物、茶系香料を有する飲食物などの熱による香味劣化現象を抑制する効果(耐熱性)に優れていることが確認されている。 【0033】 本発明の香味劣化抑制剤は、香味劣化の抑制、特に熱によって生じる香味劣化の抑制を目的として幅広い製品(香味含有製品、付香製品、着香製品:以下「付香製品」という)に広く適用することができる。このような付香製品としては、例えば香料、飲食物、化粧品、医薬品、医薬部外品、飼料等を挙げることができる。好ましくは香料、飲食物及び化粧品である。また好ましい形態として含水物、特に飲料、化粧水及び液剤等の溶液状、中でも水溶液状のものを挙げることができる。 【0034】 尚、本発明の香味劣化抑制剤は、香料などの香味成分を用いて着香した製品や本来的に香味成分を含む製品に添加配合することによって、該製品の香味劣化を防止することができる。これらの付香製品に対する発明の香味劣化抑制剤の用法については、下記(II)及び(III)において詳述する。 【0035】 (II)香味劣化抑制剤を含む付香製品 本発明は、前述した羅布麻、好ましくは羅布麻の葉の抽出物を香味劣化抑制剤として含有する付香製品を提供する。当該付香製品は、羅布麻の抽出物を含有することによって中に含まれる香味の劣化現象、特に熱に晒されることにより生じる香味劣化現象が有意に抑制されるという効果を得ることができる。 【0036】 なお、ここで「付香」とは、製品に人為的に香味成分(香料)を添加して着香した意味のみならず、例えば果汁や野菜汁等のように飲食物等の製品材料に本来含まれる香味成分に由来して香味を有しているものまでも広く包含する趣旨で用いられる。また、ここでいう「付香製品」には香味成分、特に前述した香料により付香している各種の製品、具体的には香料そのもの、飲食物、化粧品、医薬品、医薬部外品及び飼料が包含される。 【0037】 好ましい製品としては、香料や、口に含んだ場合に感じられるフレーバー感が商品価値となり得る、例えば飲食物、口紅やリップクリーム等の化粧料、経口用の医薬製剤、歯磨き剤、口中清涼剤及び口臭予防剤等の医薬部外品などの製品を挙げることができる。より好適な製品は香料及び飲食物である。 【0038】 本発明が対象とする香料としては、天然香料(植物性天然香料、動物性天然香料)及び合成香料の別、並びに単体香料及び調合香料の別を問わず、また製造方法並びに形態(水溶性香料、油性香料、乳化香料、粉末香料)の別を問わず、さらに食品香料や香粧品香料の別を特に問わず、任意の香料を挙げることができる。 【0039】 具体的には、オレンジ、レモン、グレープフルーツ等のシトラス系香料;アップル、グレープ、ピーチ等のフルーツ系香料;バター、チーズ、ヨーグルト等のミルク系香料;バニラ系香料;紅茶や緑茶などの茶系香料;コーヒー系香料;ミント系香料;ハーブ、コショウ、ワサビ等のスパイス系香料;ナッツ系香料;ビーフ、ポーク、チキン等のミート系香料;魚貝類、甲殻類等の水産物系香料;ワイン、ウイスキー、ブランデー等の洋酒系香料;バラ、ラベンダー、ジャスミン等のフラワー系香料;オニオン、ガーリック、キャベツ等の野菜系香料;その他の香料をあげることができる。好ましくはシトラス系、シトラス系、フルーツ系、ミルク系、野菜系、茶系の香料である。 【0040】 また、これらの香料を用途別に分類とすると、炭酸飲料、果実飲料、茶・コーヒー系飲料、乳飲料・乳酸菌飲料、機能性飲料等に使用される飲料用香料;冷菓、キャンディー・デザート、チューイングガム、焼き菓子等に使用される菓子用香料;ヨーグルト、バター・マーガリン、チーズ等に使用される酪農・油脂製品用香料;スープ用香料;味噌、醤油、ソース、たれ、ドレッシング等に使用される調味料用香料;食肉加工品用香料;水産加工品用香料;調理食品用香料;冷凍食品用香料等の食品香料;たばこ用香料;口腔製品用香料;医薬品用香料;飼料用香料;産業用香料等として例示することができる。 【0041】 かかる香料中に配合される香味劣化抑制剤の割合は、本発明の効果を奏する限り特に制限されないが、着香対象物への通常使用量が0.05〜0.2重量%である香料の場合、当該香料に対して羅布麻抽出物(固形分換算)が少なくとも100ppm(0.01%)程度、好ましくは500ppm(0.05%)以上の割合で含まれることが好ましい。また香味劣化抑制剤が羅布麻抽出物と抗酸化剤とを含む場合は、香料に対して羅布麻抽出物と抗酸化剤の総量が少なくとも100ppm(0.01%)程度、好ましくは500ppm(0.05%)以上となるような割合で含まれることが好ましい。なお、本発明の効果の点から上限は特に制限されないが、例えば液体香料の場合、過剰に添加することにより着香対象物本来の味を損ねる、または不溶物析出を生じる可能性があり、これらを避ける意味では50000ppm(5%)以下の範囲で配合することが好ましい。 【0042】 かくして得られる香料は、その製造工程中や流通、保存期間中の長期にわたって香味が劣化しにくく、光や熱等の劣化促進要因に対して耐性をもった香料として提供することができる。またかかる香料によれば、飲食物、化粧品、医薬品、医薬部外品及び飼料等の各種製品に所望な香味を付与することができるだけでなく、当該飲食物、化粧品、医薬品、医薬部外品及び飼料等の各種製品について、熱、光や酸素などによる香味劣化、特に熱による香味劣化を有意に防止することができる。 【0043】 本発明の香料は、製造の任意の工程で羅布麻の抽出物または本発明の香味劣化抑制剤を配合することを除けば、各種香料の慣用方法に従って製造することができる。羅布麻の抽出物または本発明の香味劣化抑制剤の配合方法やその順番に特に制限はないが、香料が熱や光の影響を少なからず受けることを鑑みれば、香料の製造工程の初期、好ましくは熱処理工程前または光に晒す前に各種の材料とともに配合することが望ましい。 【0044】 本発明が対象とする飲食物としては付香したもの、好ましくは前述した香料(香味成分)を含有することによって、香りを有するものであれば特に制限されない。より好ましくはシトラス系、シトラス系、フルーツ系、ミルク系、野菜系、または茶系の香りを有するものである。かかる飲食物として、例えば乳飲料、乳酸菌飲料、果汁入り清涼飲料、清涼飲料、炭酸飲料、果汁飲料、野菜飲料、野菜・果実飲料、アルコール飲料、粉末飲料、コーヒー飲料、紅茶飲料、緑茶飲料、麦茶飲料などの飲料類;カスタードプリン、ミルクプリン、スフレプリン、果汁入りプリン等のプリン類、ゼリー、ババロア及びヨーグルト等のデザート類;アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、ミルクアイスクリーム、果汁入りアイスクリーム及びソフトクリーム、アイスキャンディー、シャーベット、氷菓等の冷菓類;チューインガムや風船ガム等のガム類(板ガム、糖衣状粒ガム);マーブルチョコレート等のコーティングチョコレートの他、イチゴチョコレート、ブルーベリーチョコレート及びメロンチョコレート等の風味を付加したチョコレート等のチョコレート類;ハードキャンディー(ボンボン、バターボール、マーブル等を含む)、ソフトキャンディー(キャラメル、ヌガー、グミキャンディー、マシュマロ等を含む)、ドロップ、タフィ等のキャラメル類;ハードビスケット、クッキー、おかき、煎餅等の焼き菓子類(以上、菓子類);コンソメスープ、ポタージュスープ等のスープ類;浅漬け、醤油漬け、塩漬け、味噌漬け、粕漬け、麹漬け、糠漬け、酢漬け、芥子漬、もろみ漬け、梅漬け、福神漬、しば漬、生姜漬、梅酢漬け等の漬物類;セパレートドレッシング、ノンオイルドレッシング、ケチャップ、たれ、ソースなどのソース類;ストロベリージャム、ブルーベリージャム、マーマレード、リンゴジャム、杏ジャム、プレザーブ等のジャム類;赤ワイン等の果実酒;シロップ漬のチェリー、アンズ、リンゴ、イチゴ、桃等の加工用果実;ハム、ソーセージ、焼き豚等の畜肉加工品;魚肉ハム、魚肉ソーセージ、魚肉すり身、蒲鉾、竹輪、はんぺん、薩摩揚げ、伊達巻き、鯨ベーコン等の水産練り製品;バター、マーガリン、チーズ、ホイップクリーム等の酪農・油脂製品類;うどん、冷麦、そうめん、ソバ、中華そば、スパゲッティ、マカロニ、ビーフン、はるさめ及びワンタン等の麺類;その他、各種総菜及び麩、田麩等の種々の加工食品を挙げることができる。好ましくは飲料及び菓子類である。 【0045】 本発明の飲食物は、製造の任意の工程で羅布麻の抽出物または本発明の香味劣化抑制剤を配合することを除けば、各種飲食物の慣用の製造方法に従って製造することができる。羅布麻の抽出物または香味劣化抑制剤の配合方法やその順番に特に制限はないが、羅布麻抽出物または香味劣化抑制剤を製造工程の初期、好ましくは熱処理工程または光に晒される前に配合することが好ましい。 【0046】 例えば、冷菓類の場合は、まず主原料としての牛乳、クリーム、練乳、粉乳、糖類、果実または餡等に羅布麻抽出物または本発明の香味劣化抑制剤、酸類、乳化剤及び安定剤を加え、次いで香料を加えて冷菓ミックス液を調製し、このミックス液に色素を添加混合し、殺菌、冷却後フリージングして容器に充填し、冷却または凍結して最終製品を調製する方法を挙げることができる。 【0047】 また、ガム類の場合は、加熱し柔らかくしたガムベースに砂糖、ブドウ糖、羅布麻抽出物または香味劣化抑制剤、及びクエン酸等を加え、次いでその中に香料及び色素を加え練合し、次に圧延ローラーで適当な厚さにして、室温まで冷却後、切断して最終製品を調製する方法を挙げることができる。 【0048】 また、デザート類の場合は、主原料の砂糖、水飴、羅布麻抽出物または香味劣化抑制剤、クエン酸及び凝固剤(ペクチン、寒天、ゼラチン、カラギーナンなど)を適当な割合で混合し、その中に香料並びに色素を加え、加熱溶解した後、容器に充填し、冷却して最終製品であるゼリーを調製する方法を挙げることができる。キャンディー類の場合は、例えば砂糖、水飴等の主原料に水を加え加熱し溶解した後放冷し、羅布麻抽出物または香味劣化抑制剤を添加し、次いで香料及び色素を加え、成型し、室温まで冷却して最終キャンディーを調製する方法を挙げることができる。 【0049】 また飲料の場合は、主原料としての糖類、果汁または酸類等に羅布麻抽出物または本発明の香味劣化抑制剤や安定剤等を加え、次いでこの飲料に香料及び必要に応じて色素を添加混合した後、殺菌、冷却して容器に充填する方法を挙げることができる。 【0050】 漬物類の場合は、漬物とする野菜、海藻、キノコまたは果物等の主原料に、食塩や糖類等の各種調味料、保存料、及び羅布麻抽出物または香味劣化抑制剤等の副原料を加えて漬物を調製し、この漬物に香料及び必要に応じて色素を添加混合した後、容器に充填し、殺菌、冷却し最終製品を調製する方法を挙げることができる。タレ類やドレッシング類の場合は、植物油、醤油、果汁、糖類、果汁、醸造酢または食塩等を主原料とし、これに羅布麻抽出物または香味劣化抑制剤及び安定剤または乳化剤等を加え、このドレッシング液に香料及び必要により色素を添加混合した後、殺菌、冷却後容器に充填して最終製品を調製する方法を挙げることができる。 【0051】 本発明が対象とする化粧品としては香料、特に前述した香料(香味成分)を含むスキン化粧料(ローション、乳液、クリームなど)、口紅、日焼け止め化粧品、メークアップ化粧品等を;医薬品としては香料、特に前述した香料(香味成分)を含む各種錠剤、カプセル剤、ドリンク剤、トローチ剤、うがい薬等を;医薬部外品としては香料、特に前述した香料(香味成分)を含む歯磨き剤、口中清涼剤、口臭予防剤等を;また飼料としては香料、特に前述した香料(香味成分)を含むキャットフードやドッグフード等の各種ペットフード、観賞魚若しくは養殖魚の餌等を一例として挙げることができるが、これらに制限されるものではない。 【0052】 これらの化粧品、医薬品、医薬部外品または飼料などの各種製品は、それら製造の任意の工程で羅布麻抽出物または本発明の香味劣化抑制剤を配合することを除けば、各種製品の慣用方法に従って製造することができる。化粧品、医薬品、医薬部外品または飼料に対する羅布麻抽出物または香味劣化抑制剤の配合時期は特に制限されないが、製造工程の初期、好ましくは熱処理工程前または光に晒す前に各種材料とともに配合することが望ましい。 【0053】 飲食物、化粧品、医薬品、医薬部外品または飼料等の各種付香製品に対する本発明の香味劣化抑制剤の添加量は、それらに含まれる香味成分の劣化現象が防止できる量であれば特に制限されない。付香製品に含まれる香味成分の種類及びその含量、対象物の種類・用途及びそれに含まれる成分などを考慮して適宜選択、決定することができる。例えば上記付香製品に、羅布麻抽出物(固形分換算)が少なくとも1ppmの割合で含まれるように、具体的には1〜1000ppmの範囲、好ましくは1〜500ppmの範囲で含まれるように、香味劣化抑制剤(羅布麻抽出物)を配合することができる。付香製品に対する羅布麻抽出物(固形分換算)のより好ましい配合割合は、少なくとも10ppm、好ましくは10〜500ppmの範囲である。 【0054】 (III)香味劣化抑制方法 また本発明は、香料または香味成分を含む各種の組成物の香味劣化抑制方法を提供する。 【0055】 本発明が対象とする香料としては、天然香料(植物性天然香料、動物性天然香料)及び合成香料の別、並びに単体香料及び調合香料の別を問わず、また製造方法並びに形態(水溶性香料、油性香料、乳化香料、粉末香料)の別を問わず、さらに食品香料や香粧品香料の別を特に問わず、任意の香料を挙げることができる。 【0056】 具体的には、オレンジ、レモン、グレープフルーツ等のシトラス系香料;アップル、グレープ、ピーチ等のフルーツ系香料;バター、チーズ、ヨーグルト等のミルク系香料;バニラ系香料;紅茶や緑茶などの茶系飲料;コーヒー系香料;ミント系香料;ハーブ、コショウ、ワサビ等のスパイス系香料;ナッツ系香料;ビーフ、ポーク、チキン等のミート系香料;魚貝類、甲殻類等の水産物系香料;ワイン、ウイスキー、ブランデー等の洋酒系香料;バラ、ラベンダー、ジャスミン等のフラワー系香料;オニオン、ガーリック、キャベツ等の野菜系香料;その他の香料をあげることができる。好ましくはシトラス系、フルーツ系、ミルク系、野菜系、茶系の香料である。 【0057】 特に実験例に示すように、本発明の香味劣化抑制方法は、リモネン、ジヒドロリナロール、リナリルアセテート、シトロネリルアセテート、シトラール、及びゲラニオールといった、各種香料に含まれる香味成分の熱による劣化現象を抑制する効果(耐熱性)に優れている。香料はそのほとんどが上記アルデヒドやエステルなどの香味成分を含む組成物である。従って、本発明の香味劣化抑制方法によれば、上記香味成分の熱劣化を抑制することにより、これら香味成分を含む種々の香料についてその熱劣化現象を抑制することが可能である。このことは、後述する実験例において、本発明の香味劣化抑制方法によって、上記の香味成分を含むシトラス系香料、フルーツ系香料、ミルク系香料、野菜系香料、及び茶系香料等の各種の香料について、その熱による劣化が有意に抑制できることからも支持される。 【0058】 本発明でいう香料を含む各種の組成物(香料含有組成物、付香組成物)とは、上記香料、好ましくはシトラス系、フルーツ系、ミルク系、野菜系、または茶系の香味成分を含む組成物を広く意味するものであり、具体的には、前述した香料、飲食物、化粧品、医薬品、医薬部外品または飼料等の各種付香製品を挙げることができる。 【0059】 本発明の方法は、これらの付香製品を、前述した羅布麻抽出物、または本発明の香味劣化抑制剤と共存させることにより実施することができる。ここで共存の態様としては、両者が接触した状態で存在する状態が形成されるものであれば特に制限されない。例えば、かかる共存状態は付香製品に羅布麻抽出物または上記本発明の香味劣化抑制剤を配合して両者を混合することによって形成することができる。例えば、付香製品が香料または飲食物である場合は、羅布麻抽出物または本発明の香味劣化抑制剤を香料または飲食品の製造時に材料成分の一つとして配合することによって上記共存状態を形成することができる。化粧品、医薬品、医薬部外品または飼料等の他の付香製品についても同様である。 【0060】 付香製品に対する羅布麻抽出物または本発明の香味劣化抑制剤の使用割合としては、本発明の効果を発揮する範囲であれば特に制限されず、対象とする香料の種類に応じて適宜調節することができる。また付香製品に対する羅布麻抽出物または本発明の香味劣化抑制剤の使用割合は、特に制限されないが、該付香製品中に、羅布麻抽出物(固形分換算)が少なくとも1ppm、好ましくは1〜1000ppm、より好ましくは1〜500ppmの割合で含まれるような割合、さらに好ましくは上記製品中に羅布麻抽出物(固形分換算)が少なくとも10ppm、好ましくは10〜500ppmの割合で含まれるような配合割合を挙げることができる。 【0061】 当該本発明の香味劣化抑制方法によれば、付香製品の香味劣化を有意に抑制することができる。 【0062】 本発明の香味劣化抑制方法は、香味成分を含む組成物、特にシトラス系、フルーツ系、ミルク系、野菜系、茶系の香味成分を含有する組成物の熱によって生じる香味劣化を抑制する効果に優れており、これらの香料を含む組成物に熱耐性や光耐性を付与することができる。 【0063】 ここで熱耐性とは、熱の影響を受けても香味が劣化(減少、変質などを含む)しにくい性質をいう。具体的には、香料または香料含有組成物が、通常の保存状態または製造工程で受け得る熱(加温〜加熱)条件下におかれた場合に、香味劣化抑制剤を配合しない香料または香料含有組成物に比して、香味劣化が有意に抑制される性質をいう。例えば、上記条件としては、香料または香料含有組成物が、60℃で数十時間晒される、あるいは、40℃で1日から6ヶ月晒されるような条件を例示することができる。 【0064】 また光耐性とは、太陽光または人工光(蛍光灯など)の影響を受けても香味が劣化(香味減少、変質)しにくい性質をいう。具体的には、香料または香料含有組成物が、通常の保存状態で受け得る光(太陽光、蛍光灯など)条件下におかれた場合に、香味劣化抑制剤を配合しない香料または香料含有組成物に比して、香味の劣化が有意に抑制される性質をいう。例えば、上記条件としては、香料または香料含有組成物が、太陽光に5分から数時間晒される、あるいは、蛍光灯照射を1日〜6ヶ月間晒されるような条件を例示することができる。 【発明の効果】 【0065】 本発明によれば、光照射や熱、特に熱によって生じる香味劣化を有意に抑制することのできる香味劣化抑制剤並びに香味劣化抑制方法を提供することができる。このため本発明の香味劣化抑制剤並びに香味劣化抑制方法を適用することにより、製造、流通、保存期間の各段階で徐々に進行する香味劣化現象を有意に抑制することができ、長期間安定して付香製品の品質を維持することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0066】 以下、実施例及び実験例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。 【0067】 実施例1 羅布麻:キョウチクトウ科(学名 :Apocynum venetum L. )の葉の乾燥物(乾燥重量500g)を粉砕し、30〜40容量%エタノール水溶液に浸漬して、5〜10時間にわたり、約70℃で抽出した。その抽出液をろ過し、得られた濾液を濃縮し、水にて希釈して合成吸着樹脂(セパビーズSP207:三菱化学(株)社製、1L)に通液して吸着させた。そ の後、樹脂を水洗し、40容量%エタノール水溶液3Lで通液し、脱着して得られた溶出液を濃縮した。この濃縮物を上記抽出に使用した原料(羅布麻葉の乾燥物、500g)の5倍重量(2500g)の30容量%エタノール水溶液に溶解して、エタノール水溶液製剤として調製した。 【0068】 これを羅布麻抽出物(固形分4%)として用いて、下記の実験例1〜6にて、各種の飲料を対象として、その香味劣化抑制作用を評価した。 【0069】 実験例1 レモン果汁入り飲料 レモン果汁入り飲料(PETボトル入りとガラス瓶入り)を、高温で長期保存(熱虐待試験)した後に、官能試験を行い、香味劣化発生の有無を評価した。 (1)レモン果汁入り飲料の調製 <レモン果汁入り飲料処方> 果糖ブドウ糖液糖 13 % レモン5倍濃縮果汁 1 % クエン酸(結晶) 0.1 % クエン酸3ナトリウム 0.1 % レモン香料 0.15 % 水 残 部 全量 100.0 %。 【0070】 果糖ブドウ糖液糖、クエン酸(結晶)、及びクエン酸3ナトリウムを水に溶解し、90℃になるまで加熱した。これにレモン5倍濃縮果汁を加えて全量調製を行い、再び90℃に加熱し、これに更にレモン香料を加えて93℃まで加熱した(飲料組成物)。 【0071】 (2) 熱虐待試験 (2-1) PETボトル入り飲料製品 上記飲料組成物を、羅布麻抽出物(実施例1)を最終濃度が0.02重量%若しくは0.03重量%となるような割合で、または酵素処理イソクエルシトリン(サンメリンAO-1007:三栄源エフ・エフ・アイ(株)製)を最終濃度が0.01重量%(酵素処理イソクエルシトリン濃度)となるような割合で添加しておいたPETボトルに充填し、冷却して、PETボトル入りのレモン果汁入り飲料製品を調製した。また、何も添加しないPETボトルに上記飲料組成物を充填し、冷却して、レモン果汁入り飲料製品(未添加:ブランク飲料)を調製した。これらを恒温槽60℃にて2日間保存した。 【0072】 (2-2) ガラス瓶入り飲料製品 上記飲料組成物を、羅布麻抽出物(実施例1)を最終濃度が0.03重量%若しくは0.04重量%となるような割合で、または酵素処理イソクエルシトリンを最終濃度が0.01重量%となるような割合で添加しておいた200mL容量の透明ガラス瓶に充填した後、85℃で30分間殺菌処理して、ガラス瓶入りのレモン果汁入り飲料製品を調製した。また、何も添加しない透明ガラス瓶に上記飲料組成物を充填した後、同様に85℃で30分間殺菌処理して、レモン果汁入り飲料製品(未添加:ブランク飲料)を調製した。これらを恒温槽40℃にて12日間保存した。 【0073】 (3) 香味劣化抑制効果の評価 上記各種のPETボトル入り飲料製品及びガラス瓶入り飲料製品のそれぞれについて、製品調製直後(未熱虐待飲料:コントロール飲料)のもの及び保存後(熱虐待試料)のものを、厳選された7名のパネラーに飲んでもらい、羅布麻抽出物(実施例1)配合または酵素処理イソクエルシトリン配合による香味劣化抑制効果を評価してもらった。なお、香味劣化抑制効果は、各飲料製品について調製直後(熱虐待前)の飲料(コントロール飲料)及び羅布麻抽出物及び酵素処理イソクエルシトリンのいずれも添加しないで熱虐待処理した飲料(ブランク飲料)と比較して、下記の基準に従って評価した。 【0074】 <評価基準> 5:コントロール飲料(未熱虐待飲料)と同じ香味を有する 4:コントロール飲料に比して、僅かに香味の劣化(低下、変質)がある 3:コントロール飲料に比して、有意に香味が劣化(低下、変質)している 2:コントロール飲料に比して、かなり香味が劣化(低下、変質)している 1:ブランク飲料(未添加熱虐待試料)と同等に香味が劣化(低下、変質)している 0:ブランク飲料よりも香味が劣化(低下、変質)している。 【0075】 (4) 結果 PETボトル入り飲料に関する結果を表1、ガラス瓶入り飲料に関する結果を表2にそれぞれ示す。 【0076】 【表1】
【0077】 【表2】
【0078】 酵素処理イソクエルシトリンは、従来より香味劣化抑制作用を有することが知られているが(例えば、特開平7-10898号公報等)、上記の結果から、羅布麻抽出物は少量で酵素処理イソクエルシトリンよりも優れた香味劣化抑制作用を発揮することが判明した。 【0079】 実験例2 酸性乳飲料 酸性乳飲料(PETボトル入りとガラス瓶入り)を、高温で長期保存(熱虐待試験)した後に、官能試験を行い、香味劣化発生の有無を評価した。 【0080】 (1)酸性乳飲料の調製 <酸性乳飲料処方> 発酵乳(無脂乳固形分9.5%) 10.0(%) グラニュー糖 7.0 酸性乳飲料用安定剤SM-900 0.2 ヨーグルト香料 0.13 50%クエン酸溶液 適 量 水 残 部 全 量 100.0 %。 【0081】 発酵乳、グラニュー糖及び酸性乳飲料用安定剤を水に溶解し、次いで50%クエン酸溶液にてpH3.8に調整した。これを湯煎にて70℃に加温してホモジナイズ(150kg/cm2 = 14710000 Pa)した後、93℃まで加温した(飲料組成物)。 【0082】 (2) 熱虐待試験 (2-1) PETボトル入り飲料製品 上記飲料組成物を、羅布麻抽出物(実施例1)を最終濃度が0.03重量%若しくは0.04重量%となるような割合で、または酵素処理イソクエルシトリン(サンメリンAO-1007:三栄源エフ・エフ・アイ(株)製)を最終濃度が0.01重量%となるような割合で添加しておいたPETボトルに充填し、冷却して、PETボトル入りの酸性乳飲料製品を調製した。また、何も添加しないPETボトルに上記飲料組成物を充填し、冷却して、酸性乳飲料製品(未添加:ブランク飲料)を調製した。これらを恒温槽60℃にて2日間保存した。 【0083】 (2-2) ガラス瓶入り飲料製品 上記飲料組成物を、羅布麻抽出物(実施例1)を最終濃度が0.03重量%若しくは0.04重量%となるような割合で、または酵素処理イソクエルシトリンを最終濃度が0.01重量%となるような割合で添加しておいた200mL容量の透明ガラス瓶に充填した後、85℃で30分間殺菌処理して、ガラス瓶入りの酸性乳飲料製品を調製した。また、何も添加しないガラス瓶に上記飲料組成物を充填した後、同様に85℃で30分間殺菌処理して、酸性乳飲料製品(未添加:ブランク飲料)を調製した。これらを恒温槽60℃にて7日間保存した。 【0084】 (3) 香味劣化抑制効果の評価 実験例1と同様に、上記各種のPETボトル入り飲料製品及びガラス瓶入り飲料製品のそれぞれを、製品調製直後(未熱虐待飲料:コントロール飲料)及び保存後(熱虐待試料)に、厳選された7名のパネラーに飲んでもらい、羅布麻抽出物(実施例1)配合または酵素処理イソクエルシトリン配合による香味劣化抑制効果を評価してもらった。 【0085】 (4) 結果 PETボトル入り飲料に関する結果を表3、ガラス瓶入り飲料に関する結果を表4にそれぞれ示す。 【0086】 【表3】
【0087】 【表4】
【0088】 上記の結果から、羅布麻抽出物は少量で酵素処理イソクエルシトリンよりも優れた香味劣化抑制作用を発揮することが判明した。具体的には、羅布麻抽出物を上記の割合で配合した酸性乳飲料は、熱虐待処理により発生する乳特有の劣化臭や劣化味が少なく、且つ発酵乳の良好な風味を備えていた。 【0089】 実験例3 グレープ果汁入り飲料 グレープ果汁入り飲料(PETボトル入りとガラス瓶入り)を、高温で長期保存(熱虐待試験)した後に、官能試験を行い、香味劣化発生の有無を評価した。 (1)グレープ果汁飲料の調製 <グレープ果汁入り飲料処方> グレープ5倍濃縮果汁 20.0(%) クエン酸(結晶) 0.2 クエン酸3ナトリウム 0.1 グレープ香料 0.1 水 残 部 全量 100.0 %。 【0090】 クエン酸(結晶)及びクエン酸3ナトリウムを水に溶解し90℃に加熱した。次いでこれにグレープ5倍濃縮果汁を加えて全量調整し、再び90℃に加熱し、グレープ香料を添加して93℃まで加温した(飲料組成物)。 【0091】 (2) 熱虐待試験 (2-1) PETボトル入り飲料製品 上記飲料組成物を、羅布麻抽出物(実施例1)を最終濃度が0.03重量%若しくは0.05重量%となるような割合で、または酵素処理イソクエルシトリン(サンメリンAO-1007:三栄源エフ・エフ・アイ(株)製)を最終濃度が0.01重量%となるような割合で添加しておいたPETボトルに充填し、冷却して、PETボトル入りのグレープ果汁入り飲料製品を調製した。また、何も添加しないPETボトルに上記飲料組成物を充填し、冷却して、グレープ果汁入り飲料製品(未添加:ブランク飲料)を調製した。これらを恒温槽60℃にて3日間保存した。 【0092】 (2-2) ガラス瓶入り飲料製品 上記飲料組成物を、羅布麻抽出物(実施例1)を最終濃度が0.02重量%若しくは0.03重量%となるような割合で、または酵素処理イソクエルシトリンを最終濃度が0.1重量%となるような割合で添加しておいた200mL容量の透明ガラス瓶に充填した後、85℃で30分間殺菌処理して、ガラス瓶入りのグレープ果汁入り飲料製品を調製した。また、何も添加しないガラス瓶に上記飲料組成物を充填した後、同様に85℃で30分間殺菌処理して、グレープ果汁入り飲料製品(未添加:ブランク飲料)を調製した。これらを恒温槽60℃にて3日間保存した。 【0093】 (3) 香味劣化抑制効果の評価 実験例1と同様に、上記各種のPETボトル入り飲料製品及びガラス瓶入り飲料製品のそれぞれを、製品調製直後(未熱虐待飲料:コントロール飲料)及び保存後(熱虐待試料)に、厳選された7名のパネラーに飲んでもらい、羅布麻抽出物(実施例1)配合または酵素処理イソクエルシトリン配合による香味劣化抑制効果を評価してもらった。 【0094】 (4) 結果 PETボトル入り飲料に関する結果を表5、ガラス瓶入り飲料に関する結果を表6にそれぞれ示す。 【0095】 【表5】
【0096】 【表6】
【0097】 上記の結果から、羅布麻抽出物は少量で酵素処理イソクエルシトリンよりも優れた香味劣化抑制作用を発揮することが判明した。具体的には羅布麻抽出物を上記の割合で配合したグレープ果汁入り飲料は、熱虐待処理により発生する不快な劣化臭や劣化味が少なく、且つグレープの良好な香りや風味を備えていた。 【0098】 実験例4 白桃果汁入り飲料 白桃果汁入り飲料(PETボトル入りとガラス瓶入り)を、高温で長期保存(熱虐待試験)した後に、官能試験を行い、香味劣化発生の有無を評価した。 (1)白桃果汁入り飲料の調製 <白桃果汁入り飲料処方> 白桃5倍濃縮透明果汁 6.0(%) グラニュー糖 6.0 果糖ブドウ糖液糖 5.0 クエン酸(結晶) 0.2 クエン酸3Na 0.08 ピーチ香料 0.1 水 残 部 全量 100.0 %。 【0099】 上記の全成分を混合して飲料組成物を調製した。 【0100】 (2) 熱虐待試験 上記飲料組成物を、羅布麻抽出物(実施例1)を最終濃度が0.02重量%若しくは0.03重量%となるような割合で、または酵素処理イソクエルシトリンを最終濃度が0.01重量%となるような割合で添加しておいた200mL容量の透明ガラス瓶に充填した後、85℃で30分間殺菌処理して、ガラス瓶入りの白桃果汁入り飲料製品を調製した。また、何も添加しないガラス瓶に上記飲料組成物を充填した後、同様に85℃で30分間殺菌処理して、白桃果汁入り飲料製品(未添加:ブランク飲料)を調製した。これらを恒温槽60℃にて2日間保存した。 【0101】 (3) 香味劣化抑制効果の評価 実験例1と同様に、上記ガラス瓶入り飲料製品のそれぞれを、製品調製直後(未熱虐待飲料:コントロール飲料)及び保存後(熱虐待試料)に、厳選された7名のパネラーに飲んでもらい、羅布麻抽出物(実施例1)配合または酵素処理イソクエルシトリン配合による香味劣化抑制効果を評価してもらった。 【0102】 (4) 結果 結果を表7に示す。 【0103】 【表7】
【0104】 上記の結果から、羅布麻抽出物は少量で酵素処理イソクエルシトリンよりも優れた香味劣化抑制作用を発揮することが判明した。具体的には羅布麻抽出物を上記の割合、特に0.02重量%の割合で配合した白桃果汁入り飲料は、熱虐待処理により発生する桃果汁特有の金属的な劣化臭や劣化味が少なく、且つ白桃の良好な香りや風味を備えていた。 【0105】 実験例5 野菜・果実ミックス飲料 野菜・果実ミックス飲料(PETボトル入りとガラス瓶入り)を、高温で長期保存(熱虐待試験)した後に、官能試験を行い、香味劣化発生の有無を評価した。 (1)野菜・果実ミックス飲料の調製 <野菜・果実ミックス飲料処方> リンゴ果汁 30.0(%) レモン果汁 1.0 にんじん汁 20.0 ほうれん草汁 5.0 パセリ汁 1.0 はちみつ 3.0 ミックスフルーツ香料 0.1 クエン酸(結晶) 0.09 クエン酸3Na 0.01 水 残 部 全量 100.0 %。 【0106】 上記の果汁および野菜汁を上記処方に従って混合し、これに果汁以外の原料を添加し混合して溶解し、93℃に加温した(飲料組成物)。 【0107】 (2) 熱虐待試験 (2-1) PETボトル入り飲料製品 上記飲料組成物を、羅布麻抽出物(実施例1)を最終濃度が0.03重量%若しくは0.04重量%となるような割合で、または酵素処理イソクエルシトリン(サンメリンAO-1007:三栄源エフ・エフ・アイ(株)製)を最終濃度が0.01重量%となるような割合で添加しておいたPETボトルに充填し、冷却して、PETボトル入りの野菜・果実ミックス飲料製品を調製した。また、何も添加しないPETボトルに上記飲料組成物を充填し、冷却して、野菜・果実ミックス飲料製品(未添加:ブランク飲料)を調製した。これらを恒温槽60℃にて2日間保存した。 【0108】 (2-2) ガラス瓶入り飲料製品 上記飲料組成物を、羅布麻抽出物(実施例1)を最終濃度が0.03重量%若しくは0.04重量%となるような割合で、または酵素処理イソクエルシトリンを最終濃度が0.01重量%となるような割合で添加しておいた200mL容量の透明ガラス瓶に充填した後、85℃で30分間殺菌処理して、ガラス瓶入りの野菜・果実ミックス飲料製品を調製した。また、何も添加しないガラス瓶に上記飲料組成物を充填した後、同様に85℃で30分間殺菌処理して、野菜・果実ミックス飲料製品(未添加:ブランク飲料)を調製した。これらを恒温槽60℃にて3日間保存した。 【0109】 (3) 香味劣化抑制効果の評価 実験例1と同様に、上記各種のPETボトル入り飲料製品及びガラス瓶入り飲料製品のそれぞれを、製品調製直後(未熱虐待飲料:コントロール飲料)及び保存後(熱虐待試料)に、厳選された7名のパネラーに飲んでもらい、羅布麻抽出物(実施例1)配合または酵素処理イソクエルシトリン配合による香味劣化抑制効果を評価してもらった。 【0110】 (4) 結果 PETボトル入り飲料に関する結果を表8、ガラス瓶入り飲料に関する結果を表9にそれぞれ示す。 【0111】 【表8】
【0112】 【表9】
【0113】 上記の結果から、羅布麻抽出物は少量で酵素処理イソクエルシトリンよりも優れた香味劣化抑制作用を発揮することが判明した。具体的には羅布麻抽出物を上記の割合で配合した野菜・果実ミックス飲料は、熱虐待処理により発生する不快な劣化臭や劣化味が少なく、調製時の良好な香りや風味を備えていた。 【0114】 実験例6 ミルクティー(ガラス瓶入り) ミルクティー(ガラス瓶入り)を、高温で長期保存(熱虐待試験)した後に、官能試験を行い、香味劣化発生の有無を評価した。 (1)ミルクティーの調製 <ミルクティー処方> 紅茶葉(セイロン) 0.4 (%) 牛乳 6.0 全脂粉乳 1.4 グラニュー糖 6.0 乳化安定剤 0.167 ミルク香料 0.03 水 残 部 全量 100.0 %。 【0115】 紅茶葉を熱湯にて抽出し、Brix1.2の抽出液を得た。紅茶葉抽出液に牛乳、全脂粉乳、グラニュー糖、及び乳化安定剤を加えて全量を水にて調製した。これを70℃まで湯煎しながら加温し、ホモジナイズ(150kg/cm2= 14710000 Pa)した(飲料組成物)。 後、羅布麻抽出物およびサンメリンAO-1007を添加しておいた200ml飲料瓶に充填後。85℃で30分殺菌後冷却しミルクティーを調整した。恒温槽60℃にて7日間保存した。 【0116】 (2) 熱虐待試験 上記飲料組成物を、羅布麻抽出物(実施例1)を最終濃度が0.02重量%若しくは0.03重量%となるような割合で、または酵素処理イソクエルシトリンを最終濃度が0.01重量%となるような割合で添加しておいた200mL容量の透明ガラス瓶に充填した後、85℃で30分間殺菌処理した後、冷却してガラス瓶入りのミルクティー製品を調製した。また、何も添加しないガラス瓶に上記飲料組成物を充填した後、同様に85℃で30分間殺菌処理した後、冷却して、ミルクティー製品(未添加:ブランク飲料)を調製した。これらを恒温槽60℃にて7日間保存した。 【0117】 (3) 香味劣化抑制効果の評価 実験例1と同様に、上記ガラス瓶入りミルクティー製品のそれぞれについて、製品調製直後(未熱虐待飲料:コントロール飲料)のもの及び保存後(熱虐待試料)のものを、厳選された7名のパネラーに飲んでもらい、羅布麻抽出物(実施例1)配合または酵素処理イソクエルシトリン配合による香味劣化抑制効果を評価してもらった。 【0118】 (4) 結果 結果を表10に示す。 【0119】 【表10】
【0120】 上記の結果から、羅布麻抽出物は少量で酵素処理イソクエルシトリンよりも優れた香味劣化抑制作用を発揮することが判明した。具体的には羅布麻抽出物を上記の割合、特に0.02重量%の割合で配合したミルクティーは、熱虐待処理による劣化臭や劣化味が少なく、且つ紅茶葉の良好な香りや風味を備えていた。 【0121】 参考例1 実施例1で調製した羅布麻抽出物(30容量%エタノール水溶液)を下記条件のHPLCにかけて、クロロゲン酸、イソクエルシトリン(ケルセチンの配糖体:糖部グルコース)、ハイペロシド(ケルセチンの配糖体:糖部ガラクトース)、及びカテキンの含有量を測定した。 【0122】 <HPLC条件> カラム : Inertsil ODS-3(5μm, 4.6mmI.D.x 150mm; ジーエルサイエンス製) カラム温度: 30℃ 展開溶媒 : アセトニトリル/0.1%リン酸水溶液(2:8) 流速 : 0.8ml/min 検出波長 : 330nm。 【0123】 結果を表11に示す。 【0124】 【表11】
【0125】 最終溶液中に上記各成分が上記濃度で含まれるように(但し、カテキンは0.01重量%とした)、市販のクロロゲン酸、イソクエルシトリン、ハイペロシド及びカテキンを、60容量%エタノール水溶液に溶解して、上記成分を含む混合溶液を調製した(溶液A)。 【0126】 実験例7 シトラール配合酸糖液に対する耐熱性付与効果 下記処方の酸糖液を、高温で長期保存(熱虐待試験)した後に、官能試験を行い、香味劣化発生の有無を評価した。 (1)シトラール配合酸糖液の調製 <シトラール配合酸糖液処方> 果糖ブドウ糖液糖 13.0 (%) クエン酸(結晶) 0.18 クエン酸3ナトリウム pH調整(3.0) 1%シトラール溶液 0.5 水 残 部 全量 100.0 %。 【0127】 糖ブドウ糖液糖、クエン酸(結晶)及び水を混合して溶解した後、クエン酸3ナトリウムでpHを3に調整した。これに1%シトラール溶液を0.5重量%添加した(組成物)。 【0128】 (2) 熱虐待試験 上記組成物に、羅布麻抽出物(実施例1)または溶液A(参考例1)を、それぞれ最終濃度が0.1重量%となるような割合で添加し(羅布麻抽出物配合試料、溶液A配合試料)、恒温槽60℃にて15日間保存した。またコントロール試験として、上記組成物を、羅布麻抽出物及び溶液Aのいずれも配合せずに、恒温槽60℃にて15日間保存した(コントロール試料)。 【0129】 (3) 香味劣化抑制効果の評価 上記各試料(羅布麻抽出物配合試料、溶液A配合試料、コントロール試料)について、60℃15日間保存(熱虐待)前と後にサンプリングを行い、下記条件のHPLCにて、シトラールとp-メチルアセトフェノンの含有量を測定した。 <HPLC条件> カラム :TSKgel ODS−120T(5μm、4.6×250mm:東ソー株式会社) 展開溶媒 :メタノール:水(7:3) 検出波長 :270nm 注入量 :100μl 流速 :0.8 ml/min。 【0130】 上記測定結果から、シトラール残存率(%)、p-メチルアセトフェノンの生成率(%)を求めた。結果を表12に示す。 【0131】 【表12】
【0132】 上記の結果から、羅布麻抽出物に、有意なシトラール分解抑制効果、並びに顕著なp-メチルアセトフェノン生成抑制効果が認められた。なお、p-メチルアセトフェノンはシトラールの分解生成物である。当該p-メチルアセトフェノンは、シトラス系とは異なった香調(ミモザ様香気)を有し、閾値が低い為、柑橘系フレーバーではオフフレーバーとされる。このため、上記の羅布麻抽出物がこの化合物の生成を顕著に抑制するという結果は、羅布麻抽出物に柑橘系フレーバーの劣化抑制効果及びオフフレーバー生成抑制効果があることを意味するものである。 【0133】 また、上記表からわかるように、羅布麻抽出物のp-メチルアセトフェノン生成抑制効果は、羅布麻抽出物の主成分を含む溶液Aよりも顕著に高いものであった。このことは、羅布麻抽出物の香味劣化抑制効果(特にシトラール系香料に対する香味劣化抑制効果)が、それに含まれる主要フラボノイド成分(クロロゲン酸、イソクエルシトリン、ハイペロシド及びカテキン)以外の微量成分によるものか、若しくはこれらの主要フラボノイド成分と微量成分とを併せて含むことによる相乗的な効果によってもたらされている可能性を示唆するものである。いずれにせよ、上記結果から羅布麻抽出物そのものが、優れた香味劣化抑制効果を有することが明らかになった。 【0134】 実験例8 各種香味成分配合酸糖液に対する耐熱性付与効果 各種の香味成分(リモネン、ジヒドロリナロール、リナリルアセテート、シトロネリルアセテート、シトラール、ゲラニオール:表13)を含む下記処方の酸糖液に、羅布麻抽出物(実施例1)を0.5%の割合で添加し、これを実験例7と同様にして高温(60℃)で44時間保存(熱虐待試験)した。そして、熱虐待試験の前後における香味成分の量から(残存率)、羅布麻抽出物の各種香味成分に対する耐熱性付与効果(香味劣化抑制効果)を評価した。なお、対照試験として、各種の香味成分配合酸糖液について、それぞれ羅布麻抽出物(実施例1)を配合しないブランク試料を作成し、上記と同様にして各種香味成分の熱虐待試験による残存量(残存率)を調べた。 【0135】 <各種香味成分配合酸糖液処方> 果糖ブドウ糖液糖 13.0 (%) クエン酸(結晶) 0.18 クエン酸3ナトリウム pH調整(3.0) 1%香味成分溶液(EtOH溶液) 0.1〜0.5 水 残 部 全 量 100.0 %。 【0136】 果糖ブドウ糖液糖、クエン酸(結晶)及び水を混合して溶解した後、クエン酸3ナトリウムでpHを3に調整した。これに1%の香味成分を含有するエタノール溶液を0.1〜0.5重量%の割合(表14参照)で添加した。 【0137】 なお、熱虐待試験の前後における香味成分の量は、下記条件のガスクロマトグラフィーによって測定した。 <ガスクロマトグラフィー条件> GC:HEWLET PACARD 5890 カラム:J&W SCIENTIFIC DB-WAX(60m×0.32mm、Film 0.25μm) 検出:FID。 【0138】 【表13】
【0139】 結果を表14に示す。 【0140】 【表14】
【0141】 上記の結果から、羅布麻抽出物を添加することによって、各種の香味成分の耐熱性が向上し、熱による香味劣化が抑制できることがわかった。 【0142】 実施例2 羅布麻の葉の乾燥物(乾燥重量1kg)を粉砕し、7Lの35容量%エタノール水溶液に浸漬して、6時間にわたり、加熱(70〜80℃)抽出した。その抽出液をろ過し、得られた濾液を濃縮し、水にて希釈して合成吸着樹脂(セパビーズSP207:三菱化学(株)社製、 2L)に通液して吸着させた。その後、樹脂を水洗し、40容量%エタノール水溶液6Lで通液し、脱着して得られた溶出液を濃縮した。この濃縮物に30gエタノール(30重量%)、20gグリセリン(20重量%)を添加して、イオン交換水にて100gに調製し撹拌溶解し、これを香味劣化抑制剤とした。 【0143】 実施例3 オレンジフレーバー オレンジオイル 7.0(%) オレンジ果汁 2.0 レモンオイル 1.0 羅布麻抽出物(実施例1) 7.0 L-アスコルビン酸 0.04 アルコール 50.0 イオン交換水 32.96 合 計 100.0 % 上記処方の割合にて混合し、撹拌溶解し、劣化し難いオレンジフレーバーを調製した。 【0144】 実施例4 グレープフルーツフレーバー グレープフルーツオイル 3.0(%) オレンジオイル 1.5 オレンジエッセンス 0.3 レモンオイル 0.2 濃縮アプリコットフレーバー 5.0 羅布麻抽出物(実施例1) 7.0 アルコール 35.0 オレンジチンキ 42.0 イオン交換水 6.0 合 計 100.0 % 上記処方の割合にて混合し、撹拌溶解し劣化し難いグレープフルーツフレーバーを調製した。 【0145】 実施例5 ピーチフレーバー ピーチオイル 2(%) ピーチエッセンス 5 ピーチフレーバー 10 羅布麻抽出物(実施例1) 10 アルコール 43 イオン交換水 30 合 計 100%。 上記処方の割合にて混合し、撹拌溶解し劣化し難いピーチフレーバーを調製した。 実施例6 レモンフレーバー オレンジオイル 78.7(%) レモンオイル 10.0 シトラール 6.0 ゲラニルアセテート 0.2 リナロール 0.1 羅布麻抽出物(実施例1) 5.0 合 計 100.0% 上記処方の割合にて混合し、撹拌溶解し、劣化し難いレモンフレーバーを調製した。 【産業上の利用可能性】 【0146】 本発明の香味劣化抑制剤は、熱や光によって生じる付香製品の香味劣化現象を有意に抑制することができる。近年、特に飲料等は、ホットベンダーで加温された状態で販売されたり、PETボトルなどの透明容器に包装された状態で販売される場合が多い。本発明は、こうした付香製品に対して熱や光耐性を付与して、製造工程や保存工程における熱や光の影響による商品(付香製品)の香味劣化を抑制することで、長期間安定して品質のよい製品を提供することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000175283 【氏名又は名称】三栄源エフ・エフ・アイ株式会社 【住所又は居所】大阪府豊中市三和町1丁目1番11号
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| 【出願日】 |
平成16年5月14日(2004.5.14) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100065215 【弁理士】 【氏名又は名称】三枝 英二
【識別番号】100076510 【弁理士】 【氏名又は名称】掛樋 悠路
【識別番号】100086427 【弁理士】 【氏名又は名称】小原 健志
【識別番号】100099988 【弁理士】 【氏名又は名称】斎藤 健治
【識別番号】100105821 【弁理士】 【氏名又は名称】藤井 淳
【識別番号】100099911 【弁理士】 【氏名又は名称】関 仁士
【識別番号】100108084 【弁理士】 【氏名又は名称】中野 睦子
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| 【公開番号】 |
特開2005−323547(P2005−323547A) |
| 【公開日】 |
平成17年11月24日(2005.11.24) |
| 【出願番号】 |
特願2004−145055(P2004−145055) |
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