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【発明の名称】 新規食品とその製造方法
【発明者】 【氏名】伊藤 恵子
【住所又は居所】神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の素株式会社内

【氏名】栢原 敦子
【住所又は居所】神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の素株式会社内

【氏名】日比野 岳
【住所又は居所】神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の素株式会社内

【氏名】西村 豊
【住所又は居所】神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の素株式会社内

【氏名】西村 康史
【住所又は居所】神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の素株式会社内

【氏名】西内 博章
【住所又は居所】神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の素株式会社内

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物原料と麹菌より固体麹を製麹し、該固体麹に蒸煮または炒煎した植物原料を加え形成した諸味を静菌目的で食塩及び/又はグルコン酸塩を添加せずに分解して得られる味噌様食品素材に該味噌様食品素材以外の食品素材を混合して得られる食品の製造方法。
【請求項2】
植物原料が大豆又は米又は麦を含むものである請求項1記載の方法。
【請求項3】
製麹及び/又は諸味の分解が、バクテリオシン生産乳酸菌培養液若しくはその上清の混合下又は無菌密閉容器内で行われる、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
味噌様食品素材が、(1)大豆又は米又は麦より選ばれる植物原料に麹菌及びバクテリオシン生産乳酸菌培養液若しくはその上清を添加し、(2)除菌された空気を連続的又は間欠供給しながら、手入れ時を除き密閉された状態の製麹機内で製麹し、(3)次に、得られた麹に、バクテリオシン生産乳酸菌培養液若しくはその上清を混合し、さらに必要により麹重量の0.01〜50倍量のあらかじめ蒸煮又は炒煎された大豆、米、麦などから選ばれた1種類以上の穀物を混合し、(4)次に、該混合物をペースト状にして諸味を形成し、(5)次に、該諸味を食塩実質的非存在下で加水分解することにより得られるものである請求項1又は2記載の方法。
【請求項5】
バクテリオシンがナイシンである請求項3又は4記載の方法。
【請求項6】
食品が調味料又はスープ又はレトルト食品又は菓子である請求項1乃至5記載の方法。
【請求項7】
調味料が辛味調味料又は醤油又はだし又はソース又はトマト加工品又はドレッシング又はルウである請求項6記載の方法。
【請求項8】
請求項1乃至7記載の食品を成形することを特徴とする加工食品の製造方法。
【請求項9】
加工食品がバー状食品又は固形ルウ状食品又は焼き菓子又は10〜95重量%の水分を含むウェット状食品である請求項8記載の方法。
【請求項10】
成形方法が酵素を用いる方法である請求項8又は9記載の方法。
【請求項11】
成形方法が焼成する方法である請求項8又は9記載の方法。
【請求項12】
成形方法が、油脂を使用し、加熱、冷却する方法である請求項8又は9である方法。
【請求項13】
成形方法が、ゼラチン及び/又は多糖類を使用し、加熱、冷却する方法である請求項8又は9である方法。
【請求項14】
請求項1乃至13記載の方法により得られる食品。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、食塩に代わる静菌方法によって製造された味噌様食品素材を使用した新規調味料・加工食品及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
日本の古来よりの伝統的発酵食品である味噌は、各地域に根ざした数多くの種類がある。その為、様々な観点から分類することができるが、米を主原料とする米味噌、麦を主原料とする麦味噌、大豆を主原料とする豆味噌と用いる原料から大別することができる。また、味噌の製造方法も多種に渡るが、以下の主要な工程からなる。まず、原料の大豆・麦・米を水に浸漬・蒸煮したものを冷却後種麹を接種し固体麹を製造する。この固体麹を一定温度帯(例えば30〜40℃)、一定湿度帯(例えば90〜95%RH)、で一定時間帯(例えば40〜48時間)培養して、表面に麹菌を生育させる製麹工程を行う。本製麹工程において麹菌は多量のプロテアーゼ、ペクチナーゼ、アミラーゼ、リパーゼなどの分解酵素を生産する。次に製麹した固体麹に蒸煮又は炒煎された大豆、米、麦などの穀物を混合し、さらに静菌目的で食塩水を添加し、味噌諸味を形成する。この味噌諸味を数ヶ月から数年発酵熟成させることによって味噌が製造される。味噌は前述のような方法で製造される為、味噌は原材料の原型をほとんど留めない状態までに分解される。
【0003】
ところで、古来より日本人は味噌、醤油、納豆など様々な発酵食品を食し、健康に必要な栄養素を摂取してきた。特に近年、日本が世界一の長寿国であり続けることから、大豆、米、魚などの穀類・水産物を主体とする日本人の食生活に世界各国の注目が集まっている。一方で、日本国内においては、生活様式の洋風化は食生活にも及び、米飯食からパン食、味噌汁からスープへと変化してきている。日本国内のみならず世界的にも健康食として味噌の需要を拡大するために、洋風化した現代社会に適合した新たな味噌様食材を利用した食品の開発が望まれている。
【0004】
しかしながら、味噌は6〜13%の食塩を含有する為、味噌の食べすぎは塩分過多となるという概念からその健康価値を十分に訴求できず、需要は停滞している。また、味噌を大量に使用すると、食品が塩辛くなる為、味噌の食品への添加量は通常調味料用途としてわずか13%以下(五訂食品成分表2001 P.418)であり、味噌の需要が停滞している一因ともなっている。
【0005】
このような社会的・技術的背景から、減塩味噌や無塩味噌といった味噌の食塩含有量を低減させる製法研究が行われてきた。例えば、味噌を希釈及び透析することによって製造した低塩味噌を使用して高蛋白含有食品を製造する方法(特許文献1)、味噌を水で希釈して脱塩味噌を製造する方法(特許文献2)、回転加圧缶を用いて、麹原料の原料処理即ち散水、蒸煮、冷却、及び製麹を同一装置で麹を製造する方法(特許文献3)、食塩の代わりにナイシン乳酸菌を用いる方法(非特許文献1)などが開示されている。しかしながら、これらの方法で製造された味噌は、従来の味噌の代替利用が考えられているに過ぎない。それ以外の用途としては代表的な以下の2例をあげることができる。一例は、清涼飲料に関する発明であり、味噌の風味と果汁の甘みをあわせもたせたものである(特許文献4)。もう一例は、味噌単体あるいはその他栄養素と混合した味噌を粉末化して栄養食品を製造するものである(特許文献5)。当該技術により、製造した味噌粉末をカプセル状・ペレット状にすることによって栄養剤としての形態を整えているものである。しかしながら、原料を分解した無塩タイプの味噌そのものを成形してチーズ様、豆腐様、バー状、固形ルウ状、の新たな加工食品を製造するとの発想は無かった。また、減塩・無塩味噌を従来の調味料用途として使用する場合についても単に味噌を代替しようとの考え方から、調味料用途としての具体的な実施方法は特に検討されてこなかった。食塩は各種酵素の働きを阻害したりして、原料の分解に影響をあたえるといわれているが、その為、食塩を用いずに静菌状態を維持することによって製造した味噌様食材は、従来の味噌と成分が異なる為、調味料用途に使用する場合もその利用方法・効果が大きく異なる。例えば、煮豆・蒸豆に麹菌を添加して醸造物を製造したものを食品に利用するという考えが開示されている(特許文献6)。本方法では、発酵熟成工程で発酵温度を50〜70℃好ましくは60℃に保持し、この状態で6〜12時間程度熟成させた素材を食品に利用するという発想が開示されている。酵素の活性はその種類によって至適温度が異なる為、原料の分解度合いを予測することは難しいが、通常の味噌の発酵温度が30℃程度で分解時間も1年〜数年に及ぶ為原料の分解率はそれほど高くないと推定される。又、原料に麹菌を添加して分解する際に、食塩をグルコン酸で代替して素材を得るという方法が開示されている(特許文献5)。本方法ではグルコン酸を添加することにより特有の風味があり分解率がそれほど高くない。一方、食塩に代わる静菌剤としてバクテリオシンの一つであるナイシンを利用して原料を分解して味噌様素材を製造する方法が開示されており、「乳酸発酵味噌を利用すれば惣菜や弁当などの調理済み食品、タレ、ツユ、ドレッシング等の加工食品の変敗を効果的に防止できる。」との記述が「今後の課題と可能性」の章にある(非特許文献1)。しかしながら、これら食品への利用については「今後の課題と可能性」として挙げられているのにすぎず、実際にどのように利用するか、使用した場合に得られる効果については具体的な記載はなく、実施可能な技術として確立されているとは思われない。また本発明の無塩の味噌様食品の利用可能性として記載されているわけではない。
【特許文献1】特開昭58−175463号公報
【特許文献2】特開昭63−214154号公報
【特許文献3】特開平7−107966号公報
【特許文献4】特許第1947954号
【特許文献5】特開2001−346536
【特許文献6】WO 98/5262
【非特許文献1】加藤丈雄 食品の非加熱殺菌応用ハンドブックp.216
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、静菌目的で食塩を加えること無く製造された味噌様食材を加工して得られる調味料・加工食品及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記課題を解決する為、鋭意検討を重ねた結果、麹菌を用いて固体麹を作成し、味噌を製造する工程において食塩、グルコン酸塩に代わる静菌方法を用いることによって製造する味噌様食品素材を調味料素材として利用する方法及び本素材を用いて加工食品を製造することを考え、このような手法で製造した加工食品は旨味、コク味、濃厚感において従来にない新規な加工食品であることを見出した。本発明者らは、前述の味噌様食品素材に酵素・油脂・ゼラチンなどのその他食材を添加して成形して得られる加工食品は従来にない新規な食品となることを見出した。さらに、本発明者らは食塩に代わる静菌方法としてナイシンを用いて製造した味噌様食品素材を調味料素材として利用した場合、食塩によるプロテアーゼ活性の阻害効果がない為アミノ酸可溶化率が高くまた、熟成期間が短い為糖質などの分解率が低い傾向になる為、新規な効果を有するものであることを見出した。即ち、本発明は以下の通りである。
【0008】
(1)植物原料と麹菌より固体麹を製麹し、該固体麹に蒸煮または炒煎した植物原料を加え形成した諸味を静菌目的で食塩及び/又はグルコン酸塩を添加せずに分解して得られる味噌様食品素材に該味噌様食品素材以外の食品素材を混合して得られる食品の製造方法。
(2)植物原料が大豆又は米又は麦を含むものである(1)記載の方法。
(3)製麹及び/又は諸味の分解が、バクテリオシン生産乳酸菌培養液若しくはその上清の混合下又は無菌密閉容器内で行われる、(1)又は(2)記載の方法。
(4)味噌様食品素材が、大豆又は米又は麦より選ばれる植物原料に麹菌及びバクテリオシン生産乳酸菌培養液若しくはその上清を添加し、除菌された空気を連続的又は間欠供給しながら、手入れ時を除き密閉された状態の製麹機内で製麹し、次に、得られた麹に、バクテリオシン生産乳酸菌培養液若しくはその上清を混合し、さらに必要により麹重量の0.01〜50倍量のあらかじめ蒸煮又は炒煎された大豆、米、麦などから選ばれた1種類以上の穀物を混合し、次に、該混合物をペースト状にして諸味を形成し、次に、次に、該諸味を食塩実質的非存在下で加水分解することにより得られるものである(1)又は(2)記載の方法。
(5)バクテリオシンがナイシンである(3)又は(4)記載の方法。
(6)食品が調味料又はスープ又はレトルト食品又は菓子である(1)乃至(5)記載の方法。
(7)調味料が辛味調味料又は醤油又はだし又はソース又はトマト加工品又はドレッシング又はルウである(6)記載の方法。
(8)(1)乃至(7)記載の食品を成形することを特徴とする加工食品の製造方法。
(9)加工食品がバー状食品又は固形ルウ状食品又は焼き菓子又は10〜95重量%の水分を含むウェット状食品である(8)記載の方法。
(10)成形方法が酵素を用いる方法である(8)又は(9)記載の方法。
(11)成形方法が焼成する方法である(8)又は(9)記載の方法。
(12)成形方法が、油脂を使用し、加熱、冷却する方法である(8)又は(9)である方法。
(13)成形方法が、ゼラチン及び/又は多糖類を使用し、加熱、冷却する方法である(8)又は(9)である方法。
(14)(1)乃至(13)記載の方法により得られる食品。
【発明の効果】
【0009】
本発明の効果として、塩分を多く含まないため健康感があり、また調味料・食材として従来より大量に使用することができる、他の素材では提供できない質のコク味・濃厚感をもった新規な調味料及び加工食品を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明において、使用する味噌様食品素材は静菌目的で食塩、グルコン酸塩を添加せずに静菌状態を維持して得られた食材であれば、特に制限されない。一般に、味噌あるいは味噌様食材の醸造において、雑菌の増殖を抑制する目的すなわち静菌目的で食塩を添加する量は、低塩味噌で諸味重量の5〜10重量%量、通常味噌で10重量%以上である。よって、本発明における「静菌目的で食塩を添加せずに、得られる味噌様食品素材」の製造工程において添加される食塩の量は諸味重量の5%未満、好ましくは1%未満、さらに好ましくは0.1%未満の量をいう。従って、得られる味噌様食品素材の食塩濃度は5重量%未満、好ましくは1%未満、さらに好ましくは0.1%未満となる。好ましくは静菌状態を維持する方法が、固体麹の製造時にバクテリオシン生産乳酸菌発酵液又はその上清を添加する方法、固体麹に添加する仕込み水がバクテリオシン生産乳酸菌発酵液又はその上清を添加する方法、或は固体麹の作成・味噌諸味の分解を無菌密閉型容器中で行うことによって静菌状態を維持する方法からなる群から少なくとも一つ以上使用して得られたものが官能上の観点から望ましい。さらに好ましくは、以下の5つの工程からなる静菌方法が工業レベルにスケールアップ可能なものとして望ましい。ここでいう手入れとは製麹において麹菌の生育を促進する為に定期的に麹をかき混ぜる工程を指す。
工程1:大豆・米・麦等の植物原料に麹菌及びバクテリオシン生産乳酸菌培養液若しくはその上清を添加し、
工程2:除菌された空気を連続的又は間欠供給しながら、手入れ時を除き密閉された状態の製麹機内で製麹し、
工程3:次に、得られた麹に、バクテリオシン生産乳酸菌培養液若しくはその上清を混合し、さらに必要により麹重量の0.01〜50倍量のあらかじめ蒸煮又は炒煎された大豆、米、麦などから選ばれた1種類以上の穀物を混合し、
工程4:次に、該混合物をペースト状にして諸味を形成し、
工程5:次に、該諸味を食塩実質的非存在下で加水分解する工程
【0011】
本発明において、使用する固体麹の植物原料は、通常の味噌に用いられる大豆、米、麦などを用いることが出来る。必要により、これらの原料を水浸漬処理、蒸煮処理、炒煎処理しても良い。
【0012】
本発明において、使用するバクテリオシン生産乳酸菌発酵液及びその上清は静菌効果を維持できるものであれば特に制限されない。乳酸菌が生産するバクテリオシンは、ナイシン、ペディオシン、サカシン、ヌカシンなどが挙げられるが、中でも抗菌スペクトルの広さからナイシンを用いることが望ましい。その際、乳酸菌が生産するナイシンの種類はナイシンA、ナイシンZ並びにその類縁体どれでも構わない。微生物の混入、増殖を防ぐには使用する乳酸菌発酵液若しくはその上清中のバクテリオシン活性が高いほど好ましい。そこで例えば、ナイシンZを高生産するL.lactis AJ110212(FERM BP―8552)等を使用することが出来る。尚、L.lactis AJ110212株は2003年11月19日に独立行政法人 産業技術総合研究所 特許微生物寄託センターにFERM BP―8552の受託番号で寄託されている。
【0013】
本発明において、使用する無菌型密閉容器は固体麹の作成・味噌諸味の分解を無菌的に行い静菌状態を維持することができるものであれば特に制限されない。製麹機内に除菌された空気を供給する機能を持ち、製麹機内部と外気を遮断できる構造を持つもの、例えば回転ドラム式製麹機を使用することが望ましい。
【0014】
本発明において、麹菌には通常の味噌、醤油に使用するものであれば特に制限されない。例えば、A.oryase及び/又はA.sojaeを用いることが出来る。使用する麹菌は原料の蛋白質をアミノ酸、ペプチド、まで高分解し、得られる味噌様食品素材に強い旨味、コク味、濃厚感を与えることができるものが望ましいが、特に制限を受けるものではない。
【0015】
本発明において、前述の方法で製造される味噌様食品素材に混合する食材は、食することができ、加工できるものであれば特に制限されない。食材として各種ソース、食塩、食酢、調味料、香辛料、醤油、トマト加工品、ドレッシング、味噌、穀類、いも、でん粉類、砂糖、甘味料、豆類、種実類、野菜類、果実類、きのこ類、藻類、魚介類、肉類(ゼラチン類を含む)、卵類、乳類、油脂類、嗜好飲料類、調理加工食品類などが使用可能なことは言うまでもない。得られる食品としては、調味料、スープ、レトルト食品、菓子など様々なものが挙げられる。本発明においてスープとは、ポタージュスープ、コンソメスープなどに代表される洋風スープ、酸棘湯などに代表される中華スープ、味噌汁に代表される和風汁物が挙げられる。本発明においてレトルト食品とは、120℃4分以上の高温・高圧殺菌を施された食品衛生法でいう容器包装詰加圧加熱殺菌食品以外に、80℃〜100℃の湯殺菌処理した食品も含む。例えば、加工米飯、カレー、シチュー、ハンバーグ、魚の蒲焼、肉そぼろ、鮭フレーク、煮豆などが挙げられる。
【0016】
本発明において、味噌様食品素材に該味噌様食品素材以外の食品素材を混合して得られる食品を成形する場合の混合割合は味噌様食材を摂取可能な割合であれば特に制限されない。呈味力価より味噌様食材の使用量が1〜99重量部であるものが好ましい。
【0017】
本発明において、調味料とは各種食品に添加した場合味を調えるものをいう。具体的には五訂食品成分表に記載されている調味料類を例示することができる。すなわち豆板醤等辛味調味料類、醤油類、かつおだし、中華だし、洋風だし、和風だし、固形コンソメ、液体コンソメ、顆粒風味調味料等のだし類、ケチャップ、トマトソース等のトマト加工品類、ドレッシング類、カレールウ、ハヤシルウ、シチューの素等のルウ類などがある。又、蒲焼のたれ、焼肉のたれ等のたれ類、中華合わせ調味料・から揚げ用味付け調味料などの調味料ミックスが含まれることもいうまでもない。
【0018】
本発明において、ソースとはウスターソース、中濃ソース、濃厚ソースに代表されるウスターソース類、辛味調味料類に分類されるチリペッパーソース、又はかき油、マーボー豆腐の素、ミートソースに代表される調味ソース類、トマト加工品類に分類されるトマトソース、チリソース或はホワイトソース、ブラウンソースなどを例示することができる。
【0019】
本発明により得られる食品は、一般的な形状で流通することができる。そのまま、ペースト状でもよいし、必要に応じて粉末化しても良い。粉末化する方法には真空乾燥法、凍結乾燥法、スプレードライ法、ドラムドライヤー法、バキュームドラムドライヤー法、マイクロ波乾燥法などを例示することができる。この際、必要に応じて賦形剤を添加してもよい。添加する賦形剤としては、デキストリン、乳糖、塩、グルタミン酸ナトリウム、グラニュー糖、ゼラチンなどを挙げることができる。
【0020】
本発明において、成形することを特徴とする加工食品は、成形された形状に保たれる食品あれば特に制限されないが、バー状食品、固形ルウ状食品、焼き菓子、10〜95重量%の水分を含むウエット状食品等が含まれる。尚、バー状食品は例えば円柱形に成形されたもので、容器に押し固めたウェットタイプのものでもよいし、焼成により焼き固めたドライタイプのものでもよい。焼き菓子にはクッキー、ビスケット、マフィン、スポンジケーキ、煎餅等が含まれる。ウエット状食品とは、チーズ、豆腐、ヨーグルト、プリン等のような、水分を10〜95重量%含む、固形状又は半固形状であるものを指し、その水分含量は保存性、食べやすさ等の観点より、30〜85重量%がより好ましい。成形の方法としては、型に押し固める方法、酵素で固める方法、焼成、蒸し等で加熱により脱水、加熱変性させて固める方法、油脂で固める方法、ゼラチン、多糖類、増粘剤で固める方法、凝固剤で固める方法、凍結により固める方法、乾燥により固める方法等が挙げられる。
【0021】
本発明において、成形する際に用いる酵素は、味噌様食品素材とその他食材を混合して成形することができるものであれば特に制限されない。例えば、トランスグルタミナーゼを例示することができる。トランスグルタミナーゼにはカルシウム非依存性のものと、カルシウム依存性のものがあるが、本発明においてはいずれも使用することができる。前者の例としては放線菌、枯草菌などの微生物由来のもの(例えば特開昭64−27471参照)をあげることができる。後者の例としてはモルモット肝臓由来のもの(特公平1−50382参照)、卵菌などの微生物由来のもの、牛血液、豚血液など動物由来のもの、鮭、マダイなどの魚由来のもの(例えば関信夫ら「日本水産学会誌「VOL56、125−132(1990)」及び「平成2年度日本水産学会春季大会講演要旨集219頁参照」、血液等に存在するファクターXIII(第13因子)といわれるもの(WO93/15234)、カキ由来のもの、かまぼこ等の製造に用いられるすり身に含まれるもの等をあげることができる。この他遺伝子組替えにより製造されるもの(特開平1−300889号公報、特開平6−225775公報、特開平7−23737公報、欧州特許公開EP−0693556A)等、いずれのトランスグルタミナーゼでも用いることができ、その起源及び製法に限定されることはない。好ましくは、食品用途としての機能性及び経済性の面からカルシウム非依存性のものを使用することができる。さらに好ましくは、微生物由来のトランスグルタミナーゼ(特開昭64−27471)を使用することもできる。
【0022】
本発明において、成形方法が焼成する方法である場合、味噌様食品素材及び該味噌様食品素材以外の食品素材を混合後、オーブン等で焼成すればよく、焼成の方法は特に制限されない。焼成温度は、成形可能な範囲であれば特に制限されない。低温の場合は焼成時間を長くすることによって、高温の場合は焼成時間を短くすることによって調節できる。一般的に、焼成工程で使用される温度、90〜230℃を使用することが通常の設備を転用することも可能であるため好ましい。操作性の観点から100〜180℃がより好ましい。
【0023】
本発明において、成形の際に使用する油脂は、味噌様食品素材と混合後、加熱工程において溶解・均一化し、冷却工程において固化するものであれば特に制限されない。例えば、大豆水添脂等の植物油脂類、ラード、牛脂等の動物油脂類、バター類、マーガリン類、その他油脂類(ショートニングを含む)などが使用できることはいうまでもない。
【0024】
本発明において、成形の際に使用するゼラチン、多糖類は、味噌様食品素材と混合後、加熱工程において溶解・均一化し、冷却工程において固化するものであれば特に制限されない。例えば、ゼラチンは牛・豚・鳥・魚由来のゼラチン類、多糖類は寒天、カラギーナン、アルギン酸塩、馬鈴薯等のでん粉類、グアガム、キサンタンガム等のガム類を使用することができる。
【0025】
本発明の方法で得られる新規食品は美味である為、日常生活において手軽にイソフラボン、サポニン等の味噌の健康機能成分を多量に摂取することができる。また、調味料として使用する場合は、コク味・濃厚感において従来に無いものであるため、単に味噌の代替ではなく新たな味、風味を付与することができる。
【0026】
以下本発明を実施例に基づき説明する。なお、本発明はなんら以下実施例に縛られるものではない。
【実施例1】
【0027】
(チーズ様ウェット状食品1)
大豆50kgを水に浸漬し、吸水させた後、蒸煮釜にて114℃、40分間蒸煮した。蒸煮大豆を密閉型製麹機に投入し、さらにL.lactis AJ110212(FERM BP―8552)培養液(ナイシン活性4500IU/ml)1kg、種麹(ビオック社製、豆味噌用種麹)0.05kgを混合し、30℃で43時間製麹した。製麹中の発酵熱の除熱にはHEPAフィルターを通して除菌した空気を通気することによって行った。製麹中は手入れの際を除いて、密閉された状態の製麹機内で製麹した。手入れは製麹開始後10時間毎に15分間行った。得られた固体麹にL.lactis AJ110212(FERM BP―8552)培養液(ナイシン活性4500IU/ml)37kgを添加し、混合した後、チョッパーにより粉砕、ペースト状とした。このペーストをラミネートパウチに1袋につき500gとなるように充填した。このパウチを30℃、7日間保温することによって味噌諸味を分解し、80℃40分間加熱して、味噌様食品素材を得た。この味噌様食品素材34重量部に豆乳粉末(フォレストリー社製、商品名:無添加豆乳パウダー)28重量部および食塩2重量部を加え、すり鉢にて均一になるまで混合し、これに水16重量部およびショートニング(雪印乳業(株)製、商品名:ショートニング)20重量部を加え混合し、容器に入れ、85℃熱水槽で40分間の加熱処理を行った後冷却し、チーズ様食品を得た。本チーズ様食品は濃厚な呈味を有し、そのまま食したり、パンやクラッカーなどと一緒に食すことのできるものであった。本食品について、10名からなる専門の官能評価パネルによる官能評価を行った。対照には市販の味噌を味噌様食品素材に等量代替して調製したものを用いた。評価結果を表1に示す。表中の数値はより好ましいとしてチョイスした人数を示しているが、本発明の味噌様食品素材を使用したものが、総合評価として好まれた。
【0028】
【表1】


【実施例2】
【0029】
(チーズ様ウェット状食品2)
実施例1に記載した方法で調製した味噌様食品素材14重量に豆乳粉末(フォレストリー(有)製、商品名:無添加豆乳パウダー)30重量部、塩1.5重量、砂糖4.5重量を加え均一になるまで混合し、これにショートニング(雪印乳業(株)製、商品名:ショートニング)19重量部および水31重量部を加え混合した後、85℃熱水槽で40分間の加熱処理を行い冷却し、チーズ様食品を得た。本品は濃厚な呈味を有するので、そのまま食したり、パンやクラッカーなどと一緒に食すことのできるものであった。本食品について、10名からなる専門の官能評価パネルによる官能評価を行った。対照には市販の味噌を味噌様食品素材に等量代替して調製したものを用いた。評価結果を表2に示す。表中の数値はより好ましいとしてチョイスした人数を示しているが、本発明の味噌様食品素材を使用したものが、総合評価として好まれた。
【0030】
【表2】


【実施例3】
【0031】
(雲丹様ウェット状食品)
実施例1に記載した方法で調製した味噌様食品素材28重量部にショートニング(雪印乳業(株)製、商品名:ショートニング)12重量部、食塩2重量部、濃口醤油(ヤマサ醤油(株)製、商品名:しょうゆ)5.5重量部、昆布茶(玉露園食品工業(株)製、商品名:こんぶ茶)0.5重量部および生クリーム(森永乳業(株)製、商品名:森永ケーキホイップ)7重量部を加えてすり鉢にて混合し、これに粉ゼラチン(マルハ(株)製、商品名:ゼライス)2重量部を水14重量部で溶かしたものを加えて混合し、70℃で20分加熱した卵の卵黄部分30重量部を加えて均一になるまで撹拌した後、型に流して冷却し、チーズ様食品を得た。本品は雲丹様の食感と呈味を有していた。本チーズ様食品について、10名からなる専門の官能評価パネルによる官能評価を行った。対照には市販の味噌を味噌様食品素材に等量代替して調製したものを用いた。評価結果を表3に示す。表中の数値はより好ましいとしてチョイスした人数を示しているが、本発明の味噌様食品素材を使用したものが、総合評価として好まれた。
【0032】
【表3】


【実施例4】
【0033】
(フォアグラ様ウェット状食品)
実施例1に記載した方法で調製した味噌様食品素材36重量部にショートニング(雪印乳業(株)製、商品名:ショートニング)23.5重量部、食塩1.5重量部、濃口醤油(ヤマサ醤油(株)製、商品名:しょうゆ)7重量部および生クリーム(森永乳業(株)製、商品名:森永ケーキホイップ)9重量部を加えてすり鉢にて混合し、粉ゼラチン(マルハ(株)製、商品名:ゼライス)4重量部を水18重量部で溶かしたものを加えて均一になるまで混合した後、型に流して冷却し、チーズ様食品を得た。本品はフォアグラ様の食感と呈味を有していた。本チーズ様食品について、10名からなる専門の官能評価パネルによる官能評価を行った。対照には市販の味噌を味噌様食品素材に等量代替して調製したものを用いた。評価結果を表4に示す。表中の数値はより好ましいとしてチョイスした人数を示しているが、本発明の味噌様食品素材を使用したものが、総合評価として好まれた。
【0034】
【表4】


【実施例5】
【0035】
(豆腐様ウェット状食品)
豆乳(太子食品工業(株)製、商品名:豆乳)87重量部に実施例1に記載した方法で調製した味噌様食品素材13重量部を加えてすり鉢にて均一になるまで混合し、これにトランスグルタミナーゼ(味の素(株)製、商品名:アクティバTG、1000ユニット/g)を1.5%水溶液として、0.5重量部添加混合した後、容器に入れ40℃熱水槽で60分加熱にてトランスグルタミナーゼの反応を行い、次に85℃熱水槽で40分間の酵素失活を行った後、冷却して豆腐様食品を得た。本豆腐様食品について、10名からなる専門の官能評価パネルによる官能評価を行った。対照には市販の味噌を味噌様食品素材に等量代替して調製したものを用いた。評価結果を表5に示す。表中の数値はより好ましいとしてチョイスした人数を示しているが、本発明の味噌様食品素材を使用したものが、総合評価として好まれた。
【0036】
【表5】


【実施例6】
【0037】
(ごま豆腐様ウェット状食品)
実施例1に記載した方法で調製した味噌様食品素材16重量部に大豆ペースト((株)アジプロ製、サンプル名:大豆ペースト)79重量部を加えすり鉢にて均一になるまで混合し、これに葛粉(みたけ食品工業化(株)製、商品名:本葛)3重量部を加えて混合し、鍋に入れ緩やかに85℃、40分間 加熱攪拌した後、型に流して冷却し、ごま豆腐様食品を得た。本品はアボガドやあん肝のような濃厚な呈味を有していた。本ごま豆腐様食品について、10名からなる専門の官能評価パネルによる官能評価を行った。対照には市販の味噌を味噌様食品素材に等量代替して調製したものを用いた。評価結果を表6に示す。表中の数値はより好ましいとしてチョイスした人数を示しているが、本発明の味噌様食品素材を使用したものが、総合評価として好まれた。
【0038】
【表6】


【実施例7】
【0039】
(大豆スプレッド様ウェット状食品)
実施例1に記載した方法で調製した味噌様食品素材24重量部に豆乳粉末(フォレストリー(有)製、商品名:無添加豆乳パウダー)20重量部、食塩1重量部およびショ糖10重量部を加えすり鉢にて均一になるまで混合し、これに水38重量部およびショートニング(雪印乳業(株)製、商品名:ショートニング)8重量部を加え混合し、容器に入れ、85℃熱水槽で30分間の加熱処理を行い冷却し、大豆スプレッド様食品を得た。本品は濃厚な呈味を有するので、そのまま食したり、パンやクラッカーなどと一緒に食すことのできるものであった。本大豆スプレッド様食品について、10名からなる専門の官能評価パネルによる官能評価を行った。対照には市販の味噌を味噌様食品素材に等量代替して調製したものを用いた。評価結果を表7に示す。表中の数値はより好ましいとしてチョイスした人数を示しているが、本発明の味噌様食品素材を使用したものが、総合評価として好まれた。
【0040】
【表7】


【実施例8】
【0041】
(バー状食品)
実施例1に記載した方法で調製した味噌様食品素材を凍結乾燥して得られた粉末味噌様食品素材33重量部に大豆粉末17重量部、豆乳粉末(フォレストリー(有)製、商品名:無添加豆乳パウダー)17重量部および食塩1重量部を加えすり鉢にて均一になるまで混合し、これにショートニング(雪印乳業(株)製、商品名:ショートニング)13重量部および蜂蜜(日本蜂蜜(株)製、商品名:ハチミツ)20重量部を加え混合し成形した後110〜170℃オーブンで2〜10分焼き上げてバー状食品とした。本バー状食品について、10名からなる専門の官能評価パネルによる官能評価を行った。対照には市販の味噌の凍結乾燥品を粉末味噌様食品素材に等量代替して調製したものを用いた。評価結果を表8に示す。表中の数値はより好ましいとしてチョイスした人数を示しているが、本発明の味噌様食品素材を使用したものが、総合評価として好まれた。
【0042】
【表8】


【実施例9】
【0043】
(クッキー1)
ボウルにバター27重量部を入れ木杓子にて練った後、ショ糖13重量部を加え擦り混ぜ、これに卵5重量部を加えて攪拌し、次いで、小麦粉40重量部、実施例1に記載した方法で調製した味噌様食品素材を凍結乾燥して得られた粉末味噌様食品素材16重量部を加えて手で捏ねた。これを冷蔵庫にて30分程ねかせた後成形して170℃オーブンで10〜20分焼き上げてクッキーを得た。本クッキーについて、10名からなる専門の官能評価パネルによる官能評価を行った。対照には市販の味噌の凍結乾燥品を粉末味噌様食品素材に等量代替して調製したものを用いた。評価結果を表9に示す。表中の数値はより好ましいとしてチョイスした人数を示しているが、本発明の味噌様食品素材を使用したものが、総合評価として好まれた。
【0044】
【表9】


【実施例10】
【0045】
(クッキー2)
ボウルにバター28重量部を入れ木杓子にて練った後、卵8重量部を加えて攪拌し、次いで、だんごの粉(みたけ食品工業(株)製、商品名:みたけのだんごの粉)51重量部、粉末だし(味の素(株)製、サンプル名:本造り一番だし極味かつお粉末)4重量部および実施例1に記載した方法で調製した味噌様食品素材を凍結乾燥して得られた粉末味噌様食品素材8重量部を加えて手で捏ねた。これを冷蔵庫にて30分程ねかせた後、成形して170℃オーブンで10〜20分焼き上げてクッキーを得た。本クッキーについて、10名からなる専門の官能評価パネルによる官能評価を行った。対照には市販の味噌の凍結乾燥品を粉末味噌様食品素材に等量代替して調製したものを用いた。評価結果を表10に示す。表中の数値はより好ましいとしてチョイスした人数を示しているが、本発明の味噌様食品素材を使用したものが、総合評価として好まれた。
【0046】
【表10】


【実施例11】
【0047】
(チキンコンソメ)
チキンコンソメ(味の素(株)製、1kg缶品)24重量部に対して1000重量部の熱湯と実施例1に記載した方法で調製した味噌様食品素材0.5重量部を加えて溶解し、煮立てた。得られたチキンコンソメを評価した結果、味噌様食品素材を加えていないものと比べ、中味から持続する肉様のあつみを強め、持続する旨味を有していた。
【実施例12】
【0048】
(鍋物)
鍋に水750重量部を入れて煮立て、実施例1に記載した方法で調製した味噌様食品素材72重量部、食塩6.5重量部、みりん(宝酒造(株)製、商品名:タカラ本みりん)36重量部を加えて火にかけた。沸騰後、5cmに切った豚ロース薄切り肉225重量部、3〜5mmの半月またはいちょう切りした大根225重量部と人参75重量部を入れて中火〜弱火でアクを取りながら煮た。5分経過後、ホタテ50重量部、もやし115重量部、一口大に切ったキャベツ225重量部を加えて煮た。25分経過後、5cmに切ったニラ75重量部を加えて、全体が煮えた後、火を止めた。本食品について、10名からなる専門の官能評価パネルによる官能評価を行った。対照には市販の味噌を味噌様食品素材に等量代替して調製したものを用いた。なお、対照の味噌は本食品に添加した食塩と同等の食塩を含むため、対照には食塩は添加しなかった。評価結果を表11に示す。表中の数値はチョイスした人数を示した。本食品は対照よりも強い濃厚感とコクを有し、強い豆感があった。色が濃く、味の力価が強く、素材野菜に味がしみこんでいた。
【0049】
【表11】


【実施例13】
【0050】
(肉野菜炒め)
フライパンを火にかけ、5cmに切った豚ロース薄切り肉50重量部を軽く炒めてから、野菜ミックス200重量部を入れて少ししんなりするまで炒めた。火を止めて実施例1に記載した方法で調製した味噌様食品素材21重量部と食塩2.5重量部を加えてよく混合し、再び火をつけ全体に火を通した。本食品について、10名からなる専門の官能評価パネルによる官能評価を行った。対照には市販の味噌を味噌様食品素材に等量代替して調製したものを用いた。なお、対照の味噌は本食品に添加した食塩と同等の食塩を含むため、対照には食塩は添加しなかった。評価結果を表12に示す。表中の数値はチョイスした人数を示しているが、本発明の味噌様食品素材を使用したものが、総合評価として好まれた。
【0051】
【表12】


【実施例14】
【0052】
(中華あわせ調味料)
回鍋肉用合わせ調味料(味の素(株)製、商品名:CookDo回鍋肉用)に実施例1に記載した方法で調製した味噌様食品素材を1重量部、5重量部添加し、商品パッケージの裏面説明どおりに調理を行った。本食品について、10名からなる専門の官能評価パネルによる官能評価を行った。評価結果を表13に示す。表中の数値はチョイスした人数を示しているが、味噌様食品素材無添加の場合は醤油、味噌、肉の香ばしい香りがあり、強い旨味と濃厚感があったが、1重量部添加すると香りは対照と同等でやや濃厚感が強まり、5重量部添加すると香りは対照と同等で濃厚感がついて後味まで残り、しまりも付与された。
【0053】
【表13】


【実施例15】
【0054】
(唐揚げ用味付け調味料)
実施例1に記載した方法で調製した味噌様食品素材を凍結乾燥して得られた粉末味噌様食品素材5重量部に薄力粉40.5重量部、コーンスターチ37.5重量部、うま味調味料(味の素(株)製、商品名:「味の素」)4重量部、食塩10重量部、胡椒0.5重量部、オニオンパウダー1.0重量部およびガーリックパウダー1.5重量部を加えてよく混合し、まぶし粉とした。鶏肉90重量部にまぶし粉10重量部を加えてチャック付きビニール袋に入れて良く絡ませた後、170℃3分油で揚げた。本唐揚げについて、10名からなる専門の官能評価パネルによる官能評価を行った。対照には粉末醤油を粉末味噌様食品素材に等量代替して調製したものを用いた。本唐揚げは対照よりも旨味が強く、畜肉感が強く感じられた。
【実施例16】
【0055】
(ドレッシング)
実施例1に記載した方法で調製した味噌様食品素材18重量部に水53重量部を加えてすり鉢で均一になるまで混合し、食塩3重量部、酢((株)ミツカン製、商品名:お米で作った純なお酢)18重量部、濃口醤油(ヤマサ醤油(株)製、商品名:しょうゆ)2重量部、蜂蜜(日本蜂蜜(株)製、商品名:ハチミツ)1重量部、およびだし(味の素(株)製、商品名:本造り一番だし極味かつお昆布)5重量部加えて均一になるまで混合してドレッシングを得た。本品について、10名からなる専門の官能評価パネルによる官能評価を行った。対照には市販の味噌を味噌様食品素材に等量代替して調製したものを用いた。対照は塩カドがでていたが、本食品は塩カドが無く好まれた。
【実施例17】
【0056】
(醤油)
薄口醤油、濃口醤油それぞれに、実施例1に記載した方法で調製した味噌様食品素材を1、5、10重量部ずつ添加した。薄口醤油に添加した場合、1重量部では甘味と旨味が強まり、味がまとまった。5重量部から味噌様食品素材の風味が強くて味噌っぽくなり、10重量部では味噌様食品素材の風味がとても強く醤油風味があまり感じられなかった。濃口醤油に添加した場合、1重量部では味が広がり、5重量部では醤油カドがまろやかになり全体の力価が強まった。10重量部では味噌様食品素材の風味がとても強く弱い醤油風味が感じられた。この結果より、薄口醤油では1重量部、濃口醤油では5重量部添加すると良いことがわかった。
【実施例18】
【0057】
(たれ)
実施例1に記載した方法で調製した味噌様食品素材52重量部に食塩2.5重量部を加えてすり鉢で均一になるまで混合し、酢((株)ミツカン製、商品名:お米で作った純なお酢)3重量部、濃口醤油(ヤマサ醤油(株)製、商品名:しょうゆ)6重量部、蜂蜜(日本蜂蜜(株)製、商品名:ハチミツ)11重量部、およびだし(味の素(株)製、商品名:本造り一番だし極味かつお昆布)16重量部、加えて更に混合し、大豆油10重量部を少しずつ加えて均一になるまで混合してたれを得た。得られたたれについて、10名からなる専門の官能評価パネルによる官能評価を行った。対照には市販の味噌を味噌様食品素材に等量代替して調製したものを用いた。評価結果を表14に示す。表中の数値はチョイスした人数を示しているが、本発明の味噌様食品素材を使用したものが、総合評価として好まれた。
【0058】
【表14】


【実施例19】
【0059】
(めんつゆ)
醤油(ヒゲタ醤油(株)製、商品名:本膳)80重量部にみりん(宝酒造(株)製、商品名:タカラ本みりん)8重量部、砂糖12重量部を加えて混合し、80℃熱水槽にて30分間加熱後、冷却してかえしとした。かえし15重量部にだし(味の素(株)製、商品名:本造り一番だし極味かつお昆布)10倍希釈液を83重量部加えてよく混合し、めんつゆを得た。このめんつゆに実施例1に記載した方法で調製した味噌様食品素材を10〜20重量部添加しよく混合した。得られためんつゆについて、10名からなる専門の官能評価パネルによる官能評価を行った。対照には味噌様食品素材を添加しないものを用いた。味噌様食品素材を添加しためんつゆはいずれの添加量においても、対照よりも非常に濃厚感のあるまろやかなめんつゆであった。
【実施例20】
【0060】
(ホワイトソース)
市販ホワイトソース(味の素(株)製、業務用ホワイトソース10kg箱製品)100重量部に対して1000重量部の牛乳を加えて加温しながらかき混ぜ、さらに実施例1に記載した方法で調製した味噌様食品素材0.45重量部を溶解し、3分間煮立たせた。得られたホワイトソースを喫食した結果、味噌様食品素材を加えていないものと比べ、中味から持続するあつみ・旨味、濃厚なクリーム感をより有していた。
【実施例21】
【0061】
(デミグラスソース)
市販デミグラスソース(味の素(株)製、業務用デミグラスソース10kg箱製品)122重量部に対して1000重量部のお湯を加えて加温しながらかき混ぜ、さらに実施例1に記載した方法で調製した味噌様食品素材0.45重量部を溶解し、5分間煮立たせた。得られたデミグラスソースを喫食した結果、味噌様食品素材を加えていないものと比べ、バターの風味がありつつ、中味の肉様のあつみが強まり、さらに煮込み感を有していた。
【実施例22】
【0062】
(トマトソース)
市販トマトソース(味の素(株)製、業務用プロントトマトソース2kg缶品)100重量部に対して実施例1に記載した方法で調製した味噌様食品素材0.05重量部を溶解、混合した。得られたトマトソースを喫食した結果、味噌様食品素材を加えていないものと比べ、とがった酸味がよりマイルドになった濃厚感と煮込み感を有していた。
【実施例23】
【0063】
(カレールウ)
市販カレールウ(ハウス食品(株)製)100重量部に対して実施例1に記載した方法で調製した味噌様食品素材0.5重量部を加えた。得られたカレールーを喫食した結果、味噌様食品素材を加えていないものと比べ、スパイス感を有しつつ、煮込み感・熟成感を有していた。
【実施例24】
【0064】
(豆乳飲料)
実施例1に記載した方法で調製した味噌様食品素材5重量部に蜂蜜(日本蜂蜜(株)製、商品名:ハチミツ)6重量部、豆乳85重量部およびレモン汁4重量部を加えてミキサーにかけて混合した結果、良好な味、風味を呈する飲料が得られた。
【実施例25】
【0065】
(和菓子 味噌松風)
上白糖26.5重量部、薄力粉23.6重量部、ベーキングパウダー0.4重量部に水20重量部、白味噌6.6重量部、実施例1に記載した方法で調製した味噌様食品素材0.4重量部を加えて混合した後、泡立てた卵白9.6重量部、大納言12.5重量部をさらに加え、型に流し蒸し器にて加熱して和菓子を調製した。本和菓子について、10名からなる専門の官能評価パネルによる官能評価を行った。対照には、味噌様食品素材を用いないものを用いた。評価結果を表15に示す。表中の数値はチョイスした人数を示しているが、本発明の味噌様食品素材を使用したものが、総合評価として好まれた。
【0066】
【表15】


【実施例26】
【0067】
(アイスクリーム)
牛乳57.6重量部に実施例1に記載の方法で調製した味噌様食品素材をそれぞれ0.1重量部、0.5重量部、1重量部、3重量部加え、加熱した。別のボウルに卵黄12.9重量部、砂糖13.4重量部を加え、白くなるまで混合し、さらに上述の牛乳を加えて、鍋にてとろみがつくまで加熱したところで、生クリーム16.1重量部加えて、アイスクリーマーにて混合、型に流し込み冷凍庫で冷やし固めた。得られたアイスクリームについて、10名からなる専門の官能評価パネルによる官能評価を行った。対照には、味噌様食品素材を用いないものを用いた。表16に示すように、味噌様食品素材の添加量は特に1重量部が好まれた。
【0068】
【表16】


【実施例27】
【0069】
(味噌汁様食品)
大豆50kgを水に浸漬し、吸水させた後、蒸煮釜にて114℃、40分間蒸煮した。蒸煮大豆を密閉型製麹機に投入し、さらにL.lactis AJ110212(FERM BP―8552)培養液(ナイシン活性2900IU/ml)1kg、種麹(ビオック社製、豆味噌用種麹)0.05kgを混合し、30℃で43時間製麹した。製麹中の発酵熱の除熱にはHEPAフィルターを通して除菌した空気を通気することによって行った。製麹中は手入れの際を除いて、密閉された状態の製麹機内で製麹した。手入れは製麹開始後10時間毎に15分間行った。得られた固体麹にL.lactis AJ110212(FERM BP―8552)培養液(ナイシン活性2800IU/ml)14.6kg、及び蒸煮米34.7kgを加えた後、チョッパーにより粉砕、ペースト状とした。このペーストをラミネートパウチに1袋につき1kgとなるように充填した。このパウチを30℃、7日間保温することによって味噌諸味を分解し、85℃の熱水中で40分間加熱して、味噌様食品素材を得た。この味噌様食品素材30重量部にかつおだし(味の素(株)製、商品名:まるごとかつおだし)6重量部、湯174重量部、及び適量の豆腐、油揚げを加え味噌汁様食品を作製した。本味噌汁様食品は塩味が少ないがうまみ、濃厚感が強く従来の味噌汁とは異なる新しい食品であることが確認された。本味噌汁様食品は食塩をほとんど含まないため、通常の味噌汁レシピの約3倍量の味噌部を添加することができ、大豆の健康価値を手軽に多くとることができる。
【実施例28】
【0070】
(ポタージュスープ様食品)
実施例27に記載した方法で調製した味噌様食品素材140重量部にジャガイモ粉末28重量部、ガーリック粉末5.6重量部、オニオン粉末0.3重量部、10.2重量部、食塩4.2重量部、液体鰹だし42重量部、はちみつ3.5重量部、豆乳490重量部、湯380重量部、その他胡椒、しょうがなどの香辛料、及び牛乳を適量加えポタージュスープ様食品を得た。本食品は、既存のポタージュスープとは異なる風味、呈味ではあるが、塩味が少なくうま味の強い良好な風味、呈味を持ったスープであった。
【実施例29】
【0071】
(大豆のそぼろ)
実施例27に記載した方法で調製した味噌様食品素材38重量部に刻んだ揚げ大豆重量部33重量部、醤油6重量部、大豆油、粉末かつおだし等その他の食品原料23重量部を加え、ボールの中でよく混合した後、50gづつアルミパウチに真空包装し、沸騰熱水中で15分の加熱殺菌を行い、そぼろ状食品を得た。本品は本発明による味噌様食品素材由来の旨味、後味のコク、濃厚感が強く、そのまま食すだけでなく、とりそぼろの代わり、または納豆、ふりかけの代わりにご飯と共に食べることもできるほか、野菜、豆腐、玉子焼き、パンのトッピング、具材としても相性がよいことが確認された。本食品は大豆の健康価値を日常の食生活の中で美味しく簡便にとることができる新しい方法を提供するものである。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の方法で得られる新規食品は美味である為、日常生活において手軽にイソフラボン、サポニン等の味噌の健康機能成分を多量に摂取することができる。また、調味料として使用する場合は、コク味・濃厚感において従来に無いものであるため、単に味噌の代替ではなく新たな味、風味を付与することができる。従って、本発明は工業上、特に食品分野において極めて有用である。
【出願人】 【識別番号】000000066
【氏名又は名称】味の素株式会社
【住所又は居所】東京都中央区京橋1丁目15番1号
【出願日】 平成17年3月17日(2005.3.17)
【代理人】
【公開番号】 特開2005−312439(P2005−312439A)
【公開日】 平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願番号】 特願2005−77909(P2005−77909)