| 【発明の名称】 |
γ−アミノ酪酸高含有食品素材及びその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】一條 範好 【住所又は居所】長野県長野市大字安茂里883番地 マルコメ株式会社内
【氏名】中澤 武 【住所又は居所】長野県長野市大字安茂里883番地 マルコメ株式会社内
【氏名】北島 弘邦 【住所又は居所】長野県長野市大字安茂里883番地 マルコメ株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】手軽に必要量のGABAが摂取できるように、幅広い食品に利用可能な食品素材にGABAを効率良い方法によって高含有させることを目的とする。
【解決手段】穀類及び/又は粉末食品素材からなる穀物素材に、グルタミン酸あるいはグルタミン酸の塩類を添加した培地に、グルタミン酸デカルボキシラーゼを有する乳酸菌を培養することを特徴とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 穀類(大豆を除く)及び/又は粉末食品素材からなる穀物素材に、 グルタミン酸あるいはグルタミン酸の塩類を添加した培地に、 グルタミン酸デカルボキシラーゼを有する乳酸菌を培養するγ−アミノ酪酸高含有食品素材の製造方法。 【請求項2】 大豆及び粉末食品素材からなる穀物素材に、 グルタミン酸あるいはグルタミン酸の塩類を添加した培地に、 グルタミン酸デカルボキシラーゼを有する乳酸菌を培養するγ−アミノ酪酸高含有食品素材の製造方法。 【請求項3】 前記穀類は、豆(大豆を除く)、米類、麦類、ひえ、あわ、きび、トウモロコシ、そば、アマランサス、芋類のうちのいずれか1種、或いは2種以上が選択されたものであることを特徴とする請求項1記載のγ−アミノ酪酸高含有食品素材の製造方法。 【請求項4】 前記粉末食品素材は、前記穀類を原料として作られることを特徴とする請求項3記載のγ−アミノ酪酸高含有食品素材の製造方法。 【請求項5】 前記穀物素材に味噌、酵母エキス、蛋白加水分解物のうちのいずれか1種、或いは2種以上を混合することを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項記載のγ−アミノ酪酸高含有食品素材の製造方法。 【請求項6】 大豆からなる穀物素材に、グルタミン酸あるいはグルタミン酸の塩類を添加した培地に、グルタミン酸デカルボキシラーゼを有する乳酸菌を培養するγ−アミノ酪酸高含有食品素材の製造方法であって、 前記穀物素材に味噌、酵母エキス、蛋白加水分解物のうちのいずれか1種、或いは2種以上を混合することを特徴とするγ−アミノ酪酸高含有食品素材の製造方法。 【請求項7】 前記穀物素材を用いた培地に対して味噌を0.1〜40重量%混合することを特徴とする請求項5又は6記載のγ−アミノ酪酸高含有食品素材の製造方法。 【請求項8】 前記穀物素材を含む培地に対して酸を含ませることを特徴とする請求項1〜7のうちのいずれか一項記載のγ−アミノ酪酸高含有食品素材の製造方法。 【請求項9】 前記培地に酸を含ませ、培地のpHを3.5以上とすることを特徴とする請求項8記載のγ−アミノ酪酸高含有食品素材の製造方法。 【請求項10】 嫌気的条件で培養を行うことを特徴とする請求項1〜9のうちのいずれか一項記載のγ−アミノ酪酸高含有食品素材の製造方法。 【請求項11】 請求項1〜10のうちのいずれか一項記載の製造方法により得られるγ−アミノ酪酸高含有食品素材。 【請求項12】 請求項11記載のγ−アミノ酪酸高含有食品素材を加熱、乾燥、粉末化、ホモジナイズ、ろ過、遠心分離、濃縮から選ばれる1種または2種以上の処理を含む加工操作をして得られる食品素材。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、γ−アミノ酪酸(以下「GABA」と略す)高含有食品素材及びその製造方法に関するものである。 【背景技術】 【0002】 神経伝達物質であるGABAは動物ばかりでなく自然界に広く存在しており、血圧降下作用、精神安定作用、肥満防止作用等の健康維持意識の高い現代人にとって有効な生理作用を有している。その上、GABAは人が多量に摂取しても副作用が無いので、安全性の面でも有利であり、食事療法が効果的な生活習慣病、特に血圧症を予防する成分として食品に付加させる開発が多くなされている。その具体例としてはギャバロン茶等が挙げられる。 【0003】 しかしながら、これらに含まれるGABA含量はごく僅かであって、有効性を発揮させるにはその食品自体を多量に飲食する必要がある。そのため、日常的に手軽にGABAを摂取するという訳にはいかなかった。 また、GABAを含む食品素材についての発明がいくつかある(例えば、特許文献1、2、3参照。)。しかし、GABAの摂取量を多く取ろうとしたとき、素材自体のGABA量が少ないため多量に添加が必要であり、その食品の素材として使われていない場合、その食品本来の風味を損なうおそれがあった。 【0004】 【特許文献1】特開2000−210075号公報 【特許文献2】特開2001−352940号公報 【特許文献3】特開2002−45138号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 そこで、本発明はこれらの課題を解決するものであり、手軽に必要量のGABAが摂取できるように、幅広い食品に利用可能な食品素材にGABAを効率良い方法によって高含有させることを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明者らは上記の目的を達成するため、グルタミン酸デカルボキシラーゼを有する乳酸菌に着目し、穀類及び/又は粉末食品素材からなる穀物素材に、グルタミン酸あるいはグルタミン酸の塩類を添加した培地に、乳酸菌を培養するという製造法を発明した。 さらに、GABAの生産性を向上させるため種々検討したところ、培地のpHを酸によって低下させる、穀物素材に味噌等の栄養分を添加する、また培養雰囲気を嫌気状態に保つことにより、それぞれGABAの生産性が著しく上昇することを見出した。 上記方法により幅広い食品素材に対しGABAを高含有に付加することが可能となり、GABAの食品への富化を容易にするものである。 【0007】 すなわち本発明のγ−アミノ酪酸高含有食品素材の製造方法は、穀類(大豆を除く)及び/又は粉末食品素材からなる穀物素材に、グルタミン酸あるいはグルタミン酸の塩類を添加した培地に、グルタミン酸デカルボキシラーゼを有する乳酸菌を培養することを特徴とする。ここで、「穀類(大豆を除く)及び/又は粉末食品素材からなる」とは、「穀類(大豆を除く)と粉末食品素材のうちのどちらか一方、或いは両方からなる」ことを示す。 また、大豆及び粉末食品素材からなる穀物素材に、グルタミン酸あるいはグルタミン酸の塩類を添加した培地に、グルタミン酸デカルボキシラーゼを有する乳酸菌を培養することを特徴とする。 また、前記穀類は、豆(大豆を除く)、米類、麦類、ひえ、あわ、きび、トウモロコシ、そば、アマランサス、芋類のうちのいずれか1種、或いは2種以上が選択されたものであることを特徴とする。 また、前記粉末食品素材は、前記穀類を原料として作られることを特徴とする。 【0008】 また、前記穀物素材に味噌、酵母エキス、蛋白加水分解物のうちのいずれか1種、或いは2種以上を混合することを特徴とする。 また、大豆からなる穀物素材に、グルタミン酸あるいはグルタミン酸の塩類を添加した培地に、グルタミン酸デカルボキシラーゼを有する乳酸菌を培養するγ−アミノ酪酸高含有食品素材の製造方法であって、前記穀物素材に味噌、酵母エキス、蛋白加水分解物のうちのいずれか1種、或いは2種以上を混合することを特徴とする。 この際、前記穀物素材を含む培地に対して味噌を0.1〜40重量%混合すると好適である。 また、前記穀物素材を含む培地に対して酸を含ませるとよく、これにより培地のpHを3.5以上とするとよい。 また、嫌気的条件で培養を行うことを特徴とする。 さらに、本発明は、上記製造方法により得られるγ−アミノ酪酸高含有食品素材である。 また、上記製造方法により得られたγ−アミノ酪酸高含有食品素材を加熱、乾燥、粉末化、ホモジナイズ、ろ過、遠心分離、濃縮から選ばれる1種または2種以上の処理を含む加工操作をして得られる食品素材でもある。 【発明の効果】 【0009】 本発明によればグルタミン酸デカルボキシラーゼを有する乳酸菌を利用して、幅広い食品に利用可能な食品素材にGABAを効率良く高含有させることができる。その結果、精製物としては高価なGABAを、本発明方法により手軽に高濃度に摂取できるようになり、高血圧症ならびに血圧を気にする人々にとって症状の緩和に、食生活から多大に貢献することが可能となる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0010】 本発明は、穀物素材に、グルタミン酸或いはグルタミン酸の塩類を添加して作成した培地に、グルタミン酸デカルボキシラーゼを有する乳酸菌を培養して、γ−アミノ酪酸(GABA)を多く含む食品素材を製造するものである。 そして、穀物素材として、穀類及び/又は粉末食品素材(穀類と粉末食品素材のうちのどちらか一方、或いは両方)を使用する。穀類、粉末食品素材は、グルタミン酸デカルボキシラーゼを有する乳酸菌が正常に生育できれば良く、その産地、品種、種類など特に限定されない。 【0011】 具体的に穀類としては、豆類(大豆、小豆、ささげ、たけあずき、りょくとう、いんげんまめ、そらまめ、ひよこまめ、レンズまめ、えんどう、べにばないんげん、らいまめ等)、米類(玄米、白米等)、麦類(大麦、小麦、えん麦、はと麦、ライ麦等)、ひえ、あわ、きび、とうもろこし、そば、アマランサス、芋類(きくいも、こんにゃく、さつまいも、さといも、じゃがいも、山の芋類等)等が挙げられる。 【0012】 また、粉末食品素材とは、前記穀類を原料として作られる粉末状の食品素材である。具体的には、おから、米粉、きなこ、小麦粉(強力粉、中力粉、薄力粉)、片栗粉(ジャガイモの澱粉)、粉末状大豆蛋白(分離大豆蛋白、粉末豆乳、濃縮大豆蛋白等)、前記芋類の粉末食品等が挙げられる。 本発明ではこのように具体的に種々挙げられる、穀類と粉末食品素材とを合わせた中から、1種類、或いは2種類以上を混合して穀物素材とする。穀類と粉末食品素材の両方を用いる場合は、粉末食品素材の原料と穀類が同じでもよいし、違っても良いのは勿論である。例えば、大豆ときなこ(大豆を原料とする)を混合したものを培地に用いてもよいし、大豆と米粉を混合したものを培地に用いてもよい。 そして、穀物素材に、グルタミン酸あるいはグルタミン酸の塩類を添加して(栄養分を添加する場合は栄養分を添加して)作成した培地が、所定の割合以上の水分を含むように水を加えて調整する。これは、乳酸菌の生育にある程度水分が必要だからであり、培地の水分が20重量%以上であると乳酸菌の生育に好適である。穀物素材として蒸した穀類を多く使用するときは、加水しなくても所定の水分量を得ることができる場合があるが、粉末食品素材を多く使用する場合は、水を添加する必要がある。尚以降は、穀物素材および/または粉末食品素材を用いた培地において、流動性の無い状態の培養を固形培養、水分の高い流動性のある液状の培養を液体培養として説明する。 固形培養の場合は、得られた食品素材そのものを使用しやすい利点があり、液体培養の場合、液状のため扱いやすく、濃縮、凍結乾燥などの工程により高濃度のGABA食品素材を得られる等の利点が挙げられる。 上記の穀類と粉末食品素材は、食品の素材として幅広く利用されるものであり、これにGABAを高含有させることで、手軽にGABAを摂取することが可能となる。 【0013】 本発明に使用する乳酸菌としては、グルタミン酸デカルボキシラーゼを有する乳酸菌であれば特に限定されず、例えばラクトバチルス・ブレビスでIFO3345、IFO12005などの分譲株においてはGABA生産性があることは公知であり、ラクトバチルス・プランタラム、ラクトバチルス・カゼイなどにおいても特許文献2で開示されている通りである。またラクトバチルス・ヒルガディがGABA生産性を示すことも特開2002−101816で開示されている通りであり、これらが好適に使用できる。 【0014】 また、このようにグルタミン酸デカルボキシラーゼを有し、GABA生産能力がある乳酸菌は、各種発酵食品、野菜等の植物、土壌等から分離でき、グルタミン酸からGABAへの変換を、アミノ酸分析計で調べることによって、選抜することが出来る。 【0015】 ところで、穀物素材を利用した固形培養において、培養に至る製造ラインが特別無菌的でない限り、乳酸菌の生育が悪くなる、またはGABAの前駆体のグルタミン酸をコンタミ(汚染)した菌が資化してしまうなどによりGABA生産阻害の原因となってしまうため、コンタミしてくる菌を抑え、乳酸菌が優性に増殖する環境を整える必要がある。 【0016】 そこで、穀物素材に対して、乳酸菌が生育しやすいpHにし、食しても害がなくかつ殺菌効果があり、蒸煮などの加熱加工によっても揮発しない酸を含有させることで、ある程度コンタミを抑え、乳酸菌を優性に働かせることができる。酸には有機酸と無機酸があり、無機酸としては塩酸など、有機酸としては酢酸、乳酸、クエン酸などが挙げられ、どれを使用しても特に問題無いが、刺激臭がほとんどなく、食品として少量含まれていてもあまり違和感がなく、また扱い易い乳酸が好適である。 またpHを調節することで乳酸菌の生産するグルタミン酸デカルボキシラーゼの反応によるGABAへの変換が、より効率よく進むため、高濃度のGABAを生産できるようになる。 【0017】 穀類を用いた固形培養の場合は、酸が添加された浸漬水に浸漬してから蒸熟を行うと、均一に酸が行き渡るため効果的である。粉末食品素材の場合は、水分調整する際の水に酸を混合すると、均一に酸が含浸されて好適である。 また、酸を含浸させる際の目安は、上記方法で酸を含ませた穀物素材に、グルタミン酸またはその塩類を添加して(栄養分を混合する場合は栄養分も混合して)、作成した培地のpHが3.5以上となるように調節すると良く、若干使う穀物素材によって異なるが、pH4.0〜6.0であればより好適である。 【0018】 また、乳酸菌の接種量は、穀物素材を用いた培地1gに対し、105〜108cellsに設定するのが望ましい。接種量が多いほど、GABA生産速度が向上し、また乳酸菌が初期から優勢になることでコンタミした雑菌の増殖を抑えることができる。 【0019】 尚、穀類を利用した固形培養において、蒸煮を行う際には、蒸熟法(蒸し)によって穀物を蒸して使用すると乳酸菌の生育によい。蒸煮法には蒸熟法(蒸し)、煮熟法(煮)などがあるが、煮熟法は穀類の栄養成分が溶出してしまうため、乳酸菌の生育が蒸熟法より悪くなり、つまりはGABAの生産性も悪くなるからである。 【0020】 液体培養においても、培養にいたる製造ラインが特別無菌的でない限りコンタミの問題がある。固形培養と同様の方法により雑菌の増殖を防ぐことができるが、ジャーファーメンターがある場合は、滅菌操作を行って培養することでコンタミの問題は無くなる。 【0021】 また液体培養におけるpH調節においては固形培養と異なり、経時的に制御が可能である。グルタミン酸あるいはグルタミン酸の塩類からのGABAの生産においては、培養液のpHが上昇していくので、無機酸あるいは有機酸などで常にグルタミン酸デカルボキシラーゼの反応にとって最適なpH域で培養することでより効率よくGABAを生産できるようになる。この液体培養において最適なpH域は4.0〜6.0である。 【0022】 また本発明における、グルタミン酸またはグルタミン酸の塩類の穀物素材を用いた培地に対しての添加量は特に限定されないが、0.1〜7重量%で添加するのが望ましい。 ここでグルタミン酸またはグルタミン酸の塩類をGABAに変換するのに要する培養時間は特に限定されるものではないが、少なくとも2日以上の日数を設けることが望ましい。 また培養温度であるが、25〜37℃の範囲で設定するのが望ましく、より効率良くGABA生産させるのであれば、30〜35℃が好適である。 【0023】 また本発明では乳酸菌の培養において、密閉容器内にて培養雰囲気を嫌気的にするとGABAの生産効率が飛躍的に上昇することを発見した。嫌気的な雰囲気にするには、培養タンク内の空気を吸引除去し、窒素、炭酸ガスといった嫌気性のガス置換を行うのが好適である。また炭酸ガスについては、空気中成分の中で重い気体であるので、容器内に炭酸ガスを溜めることができる。そこで、空気を除去することなく、ある程度の置換が可能である。 また液体培養の場合は、ある程度嫌気性が確保されるため、嫌気培養を行わずとも多くGABAを生産する。しかし、嫌気培養を行うことで更に効率は高まる。 【0024】 さらに、穀物素材を用いた培地に下記の栄養分を添加することで、GABA生産が著しく向上することを発見した。添加する栄養分としては、味噌、酵母エキス、蛋白加水分解物が挙げられ、このうちの1種、或いは2種以上を選択し添加する。 乳酸菌の栄養要求性は複雑であるが、特に味噌は乳酸菌が生育するのに必要な栄養成分をバランスよく含んでいるため利用できる。加えて日常的に摂取される食品であることから、加えられても違和感が無く、抵抗が少ない。 この方法により幅広い食品素材に対しGABAを効率良く富化することが可能となった。 【0025】 味噌を混合する割合としては、穀物素材を用いた培地に対して0.1〜40重量%混合させると良い。液体培養に使用する場合は10重量%前後が好適であり、固形培養に用いる場合は少量の添加で味噌の固体表面における濃度が高くなるため若干低く、5〜7重量%がより好適である。 【0026】 使用する味噌の種類としては、麦味噌、豆味噌、米味噌など何を用いても良い。味噌の混合方法としては、そのままでも利用可能であるが、より均一に混合することが必要である場合、水に溶いた後使用する、又は市販の水分が多い、粒子の細かい味噌を使用すると良い。 酵母エキス、蛋白加水分解物については、乳酸菌の複雑な栄養要求性などの理由から、より効率よくGABAを生産させるために組み合せて使用するとよい。特に液体培養の場合は水分が多く穀物素材の栄養成分が薄いため栄養分の添加が必要であり組み合わせには留意が必要である。 【0027】 本発明により得られたGABA高含有食品素材のうち、穀物素材として大豆を用いたものは、味噌、醤油といった高塩分の調味料の原料として使用すると、塩分を気にする人に適した調味料ができる。また小麦粉を用いたものはパンやうどんなどの食品に利用出来る。また穀類を用いたものはそのまま主食として、またはリゾット、お粥などの料理に利用できる。このように、その他にも、食品となる素材に直接GABAを富化できるので、違和感のない食品を製造できると考えられる。 また、おからなどの商品価値の低いものに付加価値をつけることは、原料コストも安価であることからメリットは大きいと思われる。 【0028】 GABA高含有食品素材を味噌、醤油などの高塩分の食品の原料として使用する場合、使用しているGABA生産乳酸菌は熟成の過程で死滅するため加熱の必要がなく利用可能である。またその他食品に使用するときも、それほど高い加熱温度の工程を経なくても、乳酸菌の耐熱性は低いため死滅する。このように食品の製造工程において乳酸菌が死滅するので、乳酸菌の繁殖に伴う乳酸等の生成によって、食品の風味が損ねられるおそれはなくなる。 【0029】 また、得られたGABA高含有食品素材に、加熱、乾燥、粉末化、ホモジナイズ、ろ過、遠心分離、濃縮から選ばれる1種または2種以上の処理を含む加工操作を施すとよい。これにより、GABA高含有食品素材を乾燥粉末、ペースト状或いは水溶性のもの等の様々な形態として提供することができ、扱いやすいものとなる。例えば、乾燥粉末化したGABA高含有食品素材をサプリメントにすることでGABAの摂取が手軽なものとなる。 【実施例】 【0030】 次に、本発明を、実施例により詳しく説明するが本発明はこれに限定されるものではない。 (好気培養における乳酸によるGABA生産促進効果) 蒸した穀類(大豆、玄米、大麦、きび)と、粉末食品素材(おから、片栗粉(ジャガイモの澱粉))を用いて、好気的条件での乳酸添加によるGABA生産促進効果について下記試験を行った。 穀類については、乳酸を添加した蒸留水に一晩浸漬させたものと、乳酸を入れない蒸留水に一晩浸漬したものとを用意し、水切りをしてから蒸す。蒸した穀類を約30℃まで冷却後、グルタミン酸ナトリウム(GluNa)と、MRS培地で109cells/ml以上まで十分培養された乳酸菌培養液を1重量%添加混合した。 【0031】 粉末食品素材については、水分が約65〜70重量%になるように蒸留水を加えて調整した。その水分調整用の蒸留水に乳酸を添加したものとしないものとを用意した。そこへグルタミン酸ナトリウムと、MRS培地で109cells/ml以上まで十分培養された乳酸菌培養液を1重量%添加し混合した。 尚、グルタミン酸ナトリウム、乳酸添加量については表1に示す。 好気的な条件として、密閉はできないが雑菌の入りにくい容器、具体的にはシャーレに上記混合物を入れて、30℃の恒温器で3日間培養した。結果を表1に示す。 【0032】 【表1】
【0033】 表1から乳酸により培地のpHを下げることでGABA生産が促進されることが確認さ れた。 【0034】 (嫌気培養によるGABA生産促進効果) 蒸した穀類(大豆、玄米、大麦、きび)と粉末食品素材(おから、小麦粉、片栗粉(ジャガイモの澱粉)、分離大豆蛋白)を用いて、嫌気培養によるGABA生産促進効果を好気培養によるものと比較するために、下記試験を行った。 乳酸を添加した蒸留水に一晩浸漬させた穀類を、水切りをしてから蒸す。蒸した穀類を約30℃まで冷却後、グルタミン酸ナトリウムと、MRS培地で109cells/ml以上まで十分培養された乳酸菌培養液を1重量%添加混合した。 【0035】 粉末食品素材については、水分が約65〜70重量%になるように乳酸を添加した蒸留水を混合し調整した。そこへグルタミン酸ナトリウムと、MRS培地で109cells/ml以上まで十分培養された乳酸菌培養液を1重量%添加し混合した。尚、グルタミン酸ナトリウム、乳酸添加量については表2に示す。 嫌気的な条件として、密閉できるタンクに混合物を入れた後に、タンク内の空気を吸引除去し、炭酸ガスを充填した。好気的な条件としては、密閉はできないが雑菌の入り難い容器、具体的にはシャーレに混合物を入れた。 これらをそれぞれ30℃の恒温器で3日間培養した結果を表2に示す。 【0036】 【表2】
【0037】 表2から、どの穀物素材についても好気的培養よりも、嫌気的な条件で培養することによって飛躍的にGABA生産が促進されることが確認できた。 この試験に用いた片栗粉、小麦粉の性状は液状であり、炭酸ガスで置換を行わなくても半嫌気的に培養が行えるため、大豆、おからなどその他のものと比較して嫌気的培養によるGABA生産増加量が少ないと思われる。 【0038】 (味噌の添加によるGABA生産促進効果) 蒸した穀類(大豆、玄米、大麦、きび)と粉末食品素材(おから、小麦粉、片栗粉(ジャガイモの澱粉)、分離大豆蛋白)を用いて、味噌を添加することによるGABA生産促進効果を確認するために、下記試験を行った。 乳酸を添加した蒸留水に一晩浸漬させた穀類を、水切りをしてから蒸す。蒸した穀類を約30℃まで冷却後、グルタミン酸ナトリウムと、MRS培地で109cells/ml以上まで十分培養された乳酸菌培養液を1重量%添加し、これに味噌を添加混合したものと、しないものとを用意した。 【0039】 粉末食品素材については、乳酸を添加した蒸留水のみ混合したものと、乳酸を添加した蒸留水及び味噌を混合したものの2つを用意した。どちらも混合後の水分が65〜70重量%となるように配合量を調整した。そして、それぞれについて、グルタミン酸ナトリウムと、MRS培地で109cells/ml以上まで十分培養された乳酸菌培養液を1重量%添加し混合した。尚、グルタミン酸ナトリウム、乳酸、味噌添加量については表3に示す。 培養は密閉できるタンクに上記混合物を入れた後に、タンク内の空気を吸引除去し、炭酸ガスを充填して30℃の恒温器で3日間培養した。その結果を表3に示す。 【0040】 【表3】
【0041】 表3から、味噌を添加することによって飛躍的にGABA生産が促進されることが確認された。このように酸の利用、味噌の利用、嫌気的条件での培養により、効率良くさまざまな食品素材にGABAを高含有に富化できることが可能となった。 【0042】 (粉末食品素材の水分調整の必要性) 粉末食品素材のうち、乾燥したおからを用いてGABA生産に対して適した水分を検討した。 おからに対し水分が約40、50、60、70重量%となるように、乳酸0.5重量%を添加した蒸留水及び10重量%の味噌を混合し水分を調整した。そこへグルタミン酸ナトリウムを5重量%、MRS培地で109cells/ml以上まで十分培養された乳酸菌培養液を1重量%添加し混合した。培養は密閉できるタンクに混合物を入れた後に、タンク内の空気を吸引除去し、炭酸ガスを充填して30℃の恒温器で3日間培養した。結果を表4に示す。 【0043】 【表4】
【0044】 表4から水分が多くなるにつれて乳酸菌数が増え、それと共にGABA生産量も増加することがわかる。 【0045】 (味噌添加量の検討) 味噌の添加がGABA生産を促進するが、その味噌の添加量の影響について穀物素材として大豆とオカラをそれぞれ用い、検討した。 大豆は、1重量%の濃度で乳酸を添加した蒸留水に一晩浸漬させた後、水切りをしてか ら蒸す。蒸した大豆を約30℃まで冷却後、グルタミン酸ナトリウムを7重量%、MRS 培地で109cells/ml以上まで十分培養された乳酸菌培養液を1重量%、味噌をそれぞれの試験区において0、1、5、7、10重量%の濃度で混合した。 【0046】 おからは、乳酸を添加した蒸留水、及びそれぞれの試験区において0、5、10、20、30重量%の味噌を混合し、水分が約65〜70重量%となるように調整した。そこへグルタミン酸ナトリウムを5重量%、MRS培地で109cells/ml以上まで十分培養された乳酸菌培養液を1重量%添加し混合した。 培養は密閉できるタンクに上記の混合物を入れた後に、タンク内の空気を吸引除去し、炭酸ガスを充填して30℃の恒温器で3日間培養した。結果を表5(大豆)、表6(おから)に示す。 【0047】 【表5】
【0048】 【表6】
【0049】 表5から、大豆については、味噌の添加によりGABA生産量が増え、特に味噌添加量が5〜7重量%のとき、味噌を添加しない場合の約2倍のGABA生産量となって、より好適であることがわかる。 表6から、おからへの味噌添加については、20重量%前後までの味噌添加により、味噌を添加しない場合と比較してGABA生産量が増えることがわかる。さらに、味噌添加量が10重量%前後のとき、味噌を添加しない場合と比較して約4倍近いGABA生産量となり、より好適であることがわかる。 これら結果は、栄養豊富な味噌が乳酸菌の栄養分として働き乳酸菌数の増加を促し、結果GABA生産量が増加していると考えられる。しかしながら、味噌の添加量が多すぎると、味噌中の塩分が影響してGABA生産能をかえって下げてしまうと考えられる。 【0050】 (液体培養によるGABA高濃度生産) 穀物素材(大豆粉末、おから粉末、ジャガイモ粉末、さつまいも粉末、小麦粉)5重量%、酵母エキス1重量%、ポリペプトン(蛋白加水分解物)0.5重量%、グルタミン酸ナトリウム10重量%、蒸留水83.5重量%からなる培地を700ml作成した。そこへ味噌を用いた培地(味噌10重量%、酵母エキス2重量%、ポリペプトン1重量%、蒸留水87重量%からなる培地)を用いて109cells/mlまで十分に生育した乳酸菌培養液を1重量%添加し、30℃、400rpm、pH5.5に制御した条件下で3日間、ジャーファーメンターを用いて液体培養を行った。尚、pH調整には、HCl、或いはNaOHを用いた。 その後、培地をエバポレータで濃縮してから凍結乾燥を行い、乾燥粉末とした。 表7に培養後の培地における乳酸菌数と、GABA量及び乾燥粉末中のGABA量を示す。 【0051】 【表7】
【0052】 pHを5.5に制御することにより、さまざまな種類の穀物素材によるGABA高含有培養液が得られ、これを濃縮及び凍結乾燥することで、高濃度にGABAを含む乾燥粉末食品素材を製造することができた。
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| 【出願人】 |
【識別番号】595068232 【氏名又は名称】マルコメ株式会社 【住所又は居所】長野県長野市大字安茂里883番地
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| 【出願日】 |
平成17年3月14日(2005.3.14) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100077621 【弁理士】 【氏名又は名称】綿貫 隆夫
【識別番号】100092819 【弁理士】 【氏名又は名称】堀米 和春
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| 【公開番号】 |
特開2005−312438(P2005−312438A) |
| 【公開日】 |
平成17年11月10日(2005.11.10) |
| 【出願番号】 |
特願2005−71251(P2005−71251) |
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