| 【発明の名称】 |
果汁含有飲料中の果汁の沈殿を抑制する方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】増竹 憲二 【住所又は居所】大阪府豊中市三和町1−1−11三栄源エフ・エフ・アイ株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】果汁含有飲料の調製時や保存中に起こる沈殿を有意に抑制する。また、果汁含有飲料独特の風味に悪影響を与えず、のど越しがさわやかでさっぱりとした果汁含有飲料を提供する。
【解決手段】果汁含有飲料中に、水溶性ヘミセルロース単独で使用するか、或いは水溶性ヘミセルロースに加えて更にHMペクチン、カルボキシメチルセルロース、タマリンドシードガム及びローカストビーンガムから選ばれる1種又は2種以上を併用して使用する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 果汁含有飲料中において、水溶性ヘミセルロース単独で使用するか、或いは水溶性ヘミセルロースに加えて、HMペクチン、カルボキシメチルセルロース、タマリンドシードガム及びローカストビーンガムから選ばれる1種又は2種以上を併用して使用することを特徴とする、果汁含有飲料中の果汁の沈殿を抑制する方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、果汁含有飲料に関し、果汁の沈殿を有意に抑制する方法に関する。 【背景技術】 【0002】 従来、果汁を含有する飲料は広く上市されており、清涼飲料やアルコール飲料など種々の製品が知られている。果汁は、水溶性成分と不溶性成分が混在して濁っているものが一般的であるが、このような果汁を含有する飲料では、繊維質、タンパク質、タンニン、ペクチン質などのガム質を始めとする不溶性成分の沈降、沈殿が起こり、冷蔵庫による低温での長期間の保管により、これら不溶性成分の沈殿が更に顕著に見られることが問題となっている。これら沈殿の発生を防止するために、混濁していない透明な状態の果汁(清澄果汁)を使用したり、果汁中の不溶性成分の中でもパルプ分を低減した果汁を使用したりすること(特許文献1)が行われている。しかし、これらの方法によると、果汁由来の優れた香味も低減されてしまうと言う欠点がある。 【0003】 また、何らかの添加剤を添加して飲料にある程度の粘性を付与し、不溶性成分を分散させる方法もある。例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどの乳化剤を使用する方法、キサンタンガム、ペクチン、カラギナンなどの多糖類を添加する方法などがある。但し、乳化剤は飲料が白濁する場合が多く、果汁含有飲料には不向きである。また、多糖類の使用に関しても、添加量を増やせばある程度の分散効果は見られるものの飲料に粘性が付与され、果汁含有飲料本来の清涼感がなくなってしまう。また、添加量が少なければ、果汁の分散効果は低い。このように果汁含有飲料について、果汁の沈殿が問題となっており、解決策が求められていた。 【0004】 【特許文献1】特開2002−238513号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、果汁含有飲料に関し、果汁の風味を損なうことなく、また、粘性が付与されず、のど越しがさっぱりとした状態を維持しつつ、果汁の沈殿を有意に抑制する方法を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、果汁含有飲料に水溶性ヘミセルロースを単独で添加するか、或いは、水溶性ヘミセルロースに加えて、HMペクチン、カルボキシメチルセルロース、タマリンドシードガム及びローカストビーンガムから選ばれる1種又は2種以上を併用して添加することにより、粘性が付与されず、のど越しがさっぱりとした状態を維持しつつ、果汁の沈殿を有意に抑制することができることを見いだした。 【0007】 即ち、本発明は、果汁含有飲料中において、水溶性ヘミセルロース単独で使用するか、或いは水溶性ヘミセルロースに加えて、HMペクチン、カルボキシメチルセルロース、タマリンドシードガム及びローカストビーンガムから選ばれる1種又は2種以上を併用して使用することを特徴とする、果汁含有飲料中の果汁の沈殿を抑制する方法に関する。 【発明の効果】 【0008】 本発明により、果汁含有飲料に関して、粘性が付与されず、のど越しがさっぱりとした状態を維持しつつ、果汁の沈殿を有意に抑制することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0009】 本発明に係る果汁含有飲料中の果汁の沈殿を抑制する方法は、果汁含有飲料中に水溶性ヘミセルロース単独で使用するか、或いは水溶性ヘミセルロースに加えて更に、HMペクチン、カルボキシメチルセルロース、タマリンドシードガム及びローカストビーンガムから選ばれる1種又は2種以上を併用して使用することを特徴とするものである。本発明により、果汁含有飲料中の果汁の沈殿を有意に抑制することができる。具体的には、本発明の方法により調製した果汁含有飲料を10℃で7日間保存後、果汁由来のパルプ質や繊維質などの不溶性成分を飲料中95%以上の割合に分散している状態にできる。 【0010】 本発明の果汁含有飲料は、果汁成分を含有する飲料であれば特に限定されない。果汁の飲料中の配合割合としては、果汁の沈殿が問題となる量で有れば特に制限はないが、一般的には、飲料に対し1%以上添加した場合、果汁の沈殿が問題となる場合が多い。また、上限は特になく、果汁100%含有する飲料であっても本発明の効果を発揮する。 【0011】 具体的な果汁含有飲料の例として、果汁入り清涼飲料、果物粒入り果実ジュースなど、果汁の使用割合が10%以上の「果実飲料」などを挙げることができる。その他、日本農林規格及び果実飲料等の表示に関する公正競争規約により定められた果実飲料を挙げることができ、例えば、濃縮果汁、果実ジュース、果実ミックスジュース、粒入り果実ジュース、果実・野菜ミックスジュース、果汁入り飲料などを例示できる。また、スポーツ飲料、栄養ドリンク、ニアウオーターなどに果汁を含有させたものであっても良い。更には、果実酒類、リキュールなどのアルコール飲料のうち、果汁を含有するものも挙げることができる。 【0012】 更には、密封容器入りである長期保存可能な果汁含有飲料に好ましく使用される。本発明の果汁含有飲料は、缶、ビン、ペットボトル、紙パック、ラミネートパック等の密封容器に充填されている飲料であれば良く、密封状態で流通、販売されるものである。また、常温で販売されるものであっても、ホットベンダーで販売されるものであっても、チルド販売されるものであっても良い。 【0013】 本発明で使用する果汁は、果実を原料とした液汁・搾汁のことを言い、果汁の種類は特に限定されない。例えば、柑橘果汁(スイートオレンジ果汁、ミカン果汁、グレープフルーツ果汁、レモン果汁、ライム果汁、キーライム果汁など)、りんご果汁、ブドウ果汁、モモ果汁、パイナップル果汁、グァバ果汁、バナナ果汁、マンゴ果汁、アセロラ果汁、パパイア果汁、パッションフルーツ果汁、梅果汁、梨果汁、アンズ果汁、スモモ果汁、ストロベリー果汁、ブルーベリー果汁、ラズベリー果汁、キウイ果汁、カシス果汁、メロン果汁などの果物由来の果汁などを挙げることができる。なお、本発明においては、上記果物由来の液汁の他、トマト、ニンジン、ケールなどの野菜由来の液汁・搾汁も含む。なお、本発明では沈殿を抑制するために混濁していない透明な状態の果汁(清澄果汁)を敢えて使用する必要がないが、上記混濁果汁と併用して使用しても良い。 【0014】 本発明で使用する水溶性ヘミセルロースは、油糧種子(大豆、パーム、椰子、コーン、綿実等)または穀類(米、小麦等)や豆類(小豆、エンドウ豆等)を原料とし、それらから通常の方法で油脂、タンパク質、澱粉質を除いた穀又は粕を用いて、それらを酸性乃至アルカリ性の条件下、好ましくは各々のタンパク質の等電点付近pHで、好ましくは80℃以上130℃以下、より好ましくは100℃以上130℃以下で加熱分解して水溶性画分を分画した後、そのまま乾燥するか又は例えば、活性炭処理、樹脂吸着処理或いはエタノール沈殿処理して疎水性物質もしくは低分子物質を除去し乾燥することによって得ることができる。 【0015】 原料が大豆であれば、豆腐、豆乳及び分離大豆タンパクを製造するときに副生するオカラを利用することができる。こうして得られた水溶性ヘミセルロースは、平均分子量が数万〜数百万であり、その組成のおよそ8割以上が多糖類で、その他、粗灰分、粗タンパクおよび水分を含有している。また、構成糖としてはガラクトースが最も多く、次いでウロン酸およびアラビノース、その他キシロース、フコース、ラムノースおよびグルコースがあげられる。 【0016】 本発明の水溶性ヘミセルロースの原料としては上記のものがあげられるが、溶解性や工業性の面から、豆類由来、特に大豆、なかでも子葉由来のものが好ましい。この水溶性ヘミセルロースは商業的に入手することができ、例えば、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製のSM−700、SM−900、SM−1200等を挙げることができる。 【0017】 水溶性ヘミセルロースは、その分子量がどの様な物でも使用可能であるが、高分子であることが好ましく、平均分子量が数千〜数百万、具体的には5千〜100万であるのが好ましい。なお、この水溶性ヘミセルロースの平均分子量は標準プルラン(昭和電工株式会社製)を標準物質として0.1MのNaNO3溶液中の粘度を測定する極限粘度法で求めた値である。水溶性ヘミセルロースの添加量としては、果汁含有飲料に対して、0.05〜1重量%、好ましくは、0.1〜0.7重量%、更に好ましくは、0.4〜0.5重量%である。これよりも少ないと充分な効果を得ることができず、これより多く添加しても、更なる効果が望めないためである。 【0018】 本発明の果汁含有飲料用には、水溶性ヘミセルロースに加えて、HMペクチン、カルボキシメチルセルロース、タマリンドシードガム及びローカストビーンガムから選ばれる1種又は2種以上を併用するのが好ましい。これら多糖類を添加することで本願発明の効果、即ち、沈殿の抑制効果の点を更に向上させることが出来る。 【0019】 HMペクチン、カルボキシメチルセルロース、タマリンドシードガム及びローカストビーンガムから選ばれる1種又は2種以上の添加量としては、用いる多糖類の種類により一概には規定することができないが、一般には、果汁含有飲料に対して、0.01〜1重量%、好ましくは、0.1〜0.5重量%、より好ましくは0.2〜0.4重量%となるように調整するのが望ましい。これよりも少ないと本願発明に係る充分な効果を得ることができず、これより多いと、飲用した際のど越しが悪くなったり、フレーバー放出性が悪くなり風味が落ちたりすることがあるためである。 【0020】 HMペクチンは、エステル化度が50以上、好ましくは60以上、更に好ましくは65以上のHMペクチンを使用する。かかるHMペクチンは商業的に入手可能であり、例えば三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製のSM−666を挙げることができる。カルボキシメチルセルロース、タマリンドシードガム、ローカストビーンガムも商業的に入手可能なものを使用することが出来る。 【0021】 また、本発明の果汁含有飲料には、その効果を妨げない範囲において、クエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、コハク酸、コハク酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム、塩酸、塩化ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸ナトリウム、グルコン酸、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カリウム、フィチン酸等の有機酸及び/又はその塩類、アラビアガム、グァーガム、タラガム、グルコマンナン、サイリウムシードガム、マクロホモプシスガム、微結晶セルロース、発酵セルロース、微小繊維状セルロース、化工澱粉、加工澱粉、ショ糖、果糖、ぶどう糖、麦芽糖、デンプン糖化物、還元デンプン水飴、デキストリン、サイクロデキストリン、トレハロース、黒糖、はちみつ等の糖類、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、マンニトール等の糖アルコール類、スクラロース、アスパルテーム、ステビア、アセスルファムカリウム、ソーマチン、サッカリン等の高甘味度甘味料類、アミノ酸、ミネラル、ビタミン等を添加することができる。 【0022】 本発明の果汁含有飲料は、水溶性ヘミセルロース単独又は、水溶性ヘミセルロースにHMペクチン、カルボキシメチルセルロース、タマリンドシードガム及びローカストビーンガムから選ばれる1種又は2種以上を併用して含有する果汁含有飲料であればよく、果汁含有飲料への添加方法は、従来公知の方法をとることができる。例えば、水溶性ヘミセルロースやHMペクチンなどを含む安定剤を予め水に溶解してから、他の原料と合わせても良いし、粉体で混合しても良い。具体的には、湯又は水に水溶性ヘミセルロースを含む上記安定剤を粉体及び液状等の形態で投入し、撹拌溶解した後に、果汁成分、糖液、色素、香料等を添加し、殺菌処理後、缶、ビン、ペットボトル、紙パック、ラミネートパック等の密封容器に充填することにより、製造することが出来る。 【0023】 尚、殺菌処理は、殺菌条件や殺菌装置等によって特に制限されず、一般的に使用される殺菌条件が広く採用できる。通常はプレート殺菌が用いられるが、特にこれに限定されず、バッチ殺菌、レトルト殺菌、オートクレーブ殺菌等、食品に採用される種々の殺菌処理を挙げることができる。 【実施例】 【0024】 以下、本発明の内容を以下の実施例、比較例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。特に記載のない限り「部」とは、「重量部」を意味するものとする。文中「*」印のものは、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製、文中「※」印は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の登録商標であることを示す。また、以下の実施例において、特に記載のない限り、水溶性ヘミセルロースは三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製のSM−1200を使用した。 【0025】 実験例1:ミカン果汁含有飲料の調製 (1)各種安定剤の調製 各種安定剤溶液は、表1の配合通りにあわせて、80℃10分間攪拌溶解し、25℃まで冷却して、1%W/W安定剤溶液を作成した。 【0026】 (2)温州ミカン果汁含有飲料の調製 (1)で調製した各1%W/W安定剤溶液をビーカーに計量し、温州ミカン果汁を加えた後、残りの水を加え、更に50%W/Wの砂糖溶液を加えて混合し、50%W/Vクエン酸溶液でpHを3.0に調整した。この飲料溶液をスクリュー瓶に詰め、93℃達温殺菌し、放冷して、ミカン果汁飲料を調製した。 【0027】 処方 部 各安定剤 1%W/W溶液 下記 温州ミカン濃縮混濁果汁(ブリックス10度) 2.5 50%W/W砂糖溶液 16 50%W/Vクエン酸溶液 pH2.78に調整 水にて合計 100 【0028】 (3)評価 A.10℃における粘度(単位mPa・s)、B.殺菌直後の状態、C.7日冷蔵保存後の状態について、評価した。結果を表1に示す。 【0029】 【表1】
【0030】 ※表中、「CMC」はカルボキシメチルセルロースを示す。 【0031】 表1より、水溶性ヘミセルロース単独で0.1〜0.5%使用した温州ミカン果汁含有飲料は、果汁のパルプ質が良好に分散し、特に0.4〜0.5%添加した飲料が良好な分散性を示した。更には、HMペクチン、カルボキシメチルセルロース、タマリンドシードガム、ローカストビーンガムを併用した飲料も、果汁のパルプ質が良好に分散した。なお、殺菌直後、実施例1〜8の飲料は上部にモヤモヤした不溶物が発生したが、その後振とうすることにより不溶物は飲料中に均一に分散し、7日間保存後も分散した状態が保たれていた。また、安定剤を添加することにより飲料の風味に悪影響を及ぼすことがなく、風味はまろやかであり、のど越しもさわやかですっきりとしていた。 【0032】 それに対して、HMペクチンのみ使用した飲料は、果汁のパルプ質はある程度良好に分散するものの、粘度が高くなり、もったりとした飲み口となった。更には、水溶性ヘミセルロースにキサンタンガムか寒天を併用すると、果汁のパルプ質を良好に分散することは出来なかった。 【産業上の利用可能性】 【0033】 本発明により、果汁含有飲料の調製時や保存中に起こる沈殿を有意に抑制することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000175283 【氏名又は名称】三栄源エフ・エフ・アイ株式会社 【住所又は居所】大阪府豊中市三和町1丁目1番11号
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| 【出願日】 |
平成16年4月30日(2004.4.30) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2005−312404(P2005−312404A) |
| 【公開日】 |
平成17年11月10日(2005.11.10) |
| 【出願番号】 |
特願2004−136625(P2004−136625) |
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