| 【発明の名称】 |
煮豆およびその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】中山 勝夫 【住所又は居所】茨城県つくば市大字上郷1266−2 中山環境エンジ株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】旨み成分を十分に含んだ美味しい煮豆を提供するとともに、煮豆の製造時に煮汁を流出させないで煮汁の処理を不要にすることができる煮豆の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の煮豆の製造方法は、洗浄済みの原料豆を水に浸漬させて予め設定された割合いの水分を含んだ浸漬済み豆とする水分浸漬処理の手順S2と、密閉された容器にこの浸漬済み豆を収納した状態で所定温度で所定時間加熱することにより浸漬済み豆自身の含んでいる水分のみでこの浸漬済み豆を蒸して煮豆にする加熱処理の手順S3とを有する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 煮豆の製造時に豆の旨み成分を煮汁として流出させることなくこの旨み成分のほぼ全部が豆内部に封じ込められたことを特徴とする煮豆。 【請求項2】 前記煮豆は、納豆,味噌および醤油のうちのいずれかの加工食品を製造するための中間物であることを特徴とする請求項1に記載の煮豆。 【請求項3】 洗浄済みの原料豆を水に浸漬させて予め設定された割合いの水分を含んだ浸漬済み豆とする水分浸漬処理の手順と、 密閉された容器にこの浸漬済み豆を収納した状態で所定温度で所定時間加熱することにより、前記浸漬済み豆自身の含んでいる水分のみでこの浸漬済み豆を蒸して煮豆にする加熱処理の手順とを有することを特徴とする煮豆の製造方法。 【請求項4】 前記原料豆を20MPa〜100MPaの圧力下で50℃〜55℃で20分〜30分間水に浸漬した状態で、前記水分浸漬処理を行うことを特徴とする請求項3に記載の煮豆の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、旨み成分を十分に含んだ美味しい煮豆およびこの煮豆を製造する方法に関する。 【背景技術】 【0002】 煮豆を製造するには、水蒸気で蒸す方法と熱湯で煮る方法とがあるが、水蒸気で蒸す方が、原料豆に含まれている旨み成分は多く残る。それでも、水蒸気を釜の内部に入れて原料豆と直接接触させると、水蒸気が豆内部の水分と置換して旨み成分が煮汁として流出してしまう。 煮豆を工業的に製造する際、従来から、水蒸気で蒸す際に発生する煮汁の処理が課題になっている。煮汁は通常は排水として処理され、この煮汁に含まれる豆の旨み成分は有機汚泥として廃棄されている。 【0003】 たとえば、特許文献1(特開2004−24197号公報)には、納豆用蒸煮大豆の製造方法に関する技術が記載されている。 【特許文献1】特開2004−24197号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 特許文献1に記載された納豆用蒸煮大豆の製造方法は、蒸煮工程で大豆を水蒸気で蒸すようにしているので、上述と同じように煮汁の処理が課題になっていた。 このように、煮豆を製造する際に煮汁が流出すると、豆の本来の味を高めている旨み成分が煮汁と一緒に流出してしまい、煮豆の味を低下させていた。 【0005】 本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、旨み成分を十分に含んだ美味しい煮豆を提供するとともに、煮豆の製造時に煮汁を流出させないで煮汁の処理を不要にすることができる煮豆の製造方法を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0006】 上述の目的を達成するため、本発明にかかる煮豆は、この煮豆の製造時に豆の旨み成分を煮汁として流出させることなくこの旨み成分のほぼ全部が豆内部に封じ込められた煮豆である。たとえば、前記煮豆は、納豆,味噌および醤油のうちのいずれかの加工食品を製造するための中間物である。 本発明にかかる煮豆の製造方法は、洗浄済みの原料豆を水に浸漬させて予め設定された割合いの水分を含んだ浸漬済み豆とする水分浸漬処理の手順と、密閉された容器にこの浸漬済み豆を収納した状態で所定温度で所定時間加熱することにより、前記浸漬済み豆自身の含んでいる水分のみでこの浸漬済み豆を蒸して煮豆にする加熱処理の手順とを有している。 前記原料豆を20MPa〜100MPaの圧力下で50℃〜55℃で20分〜30分間水に浸漬した状態で、前記水分浸漬処理を行うのが好ましい。 【発明の効果】 【0007】 本発明の煮豆は、上述のように構成したので、旨み成分を十分に含んだ美味しい煮豆になる。 また、本発明の煮豆の製造方法は、上述のように構成したので、煮豆の製造時に煮汁を流出させないで煮汁の処理を不要にすることができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0008】 下記の実施例では、煮豆の製造時に豆の旨み成分を煮汁として流出させないで、この旨み成分のほぼ全部を豆内部に封じ込めることにより、旨み成分を十分に含んだ美味しい煮豆にするという目的を実現している。 また、原料豆を水に浸漬させて浸漬済み豆としたのち、密閉された容器に浸漬済み豆を収納した状態で加熱することにより、浸漬済み豆自身の含んでいる水分のみで蒸して煮豆にすることにより、煮豆の製造時に煮汁を流出させないで煮汁の処理を不要にするという目的を実現している。 本発明における豆としては、大豆,小豆,白花豆,えんどう,金時豆,うぐいす豆などがあるが、下記の実施例では大豆を例にとって説明する。 【実施例】 【0009】 以下、本発明にかかる一実施例を、図1ないし図3を参照して説明する。 図1は煮豆の製造方法を示す工程図である。図1に示すように、本発明における煮豆の製造方法は、まず最初に、原料豆(たとえば、大豆)を洗浄する(手順S1)。次いで、この洗浄済みの原料豆を水に浸漬させて、予め設定された割合いの水分を含んだ浸漬済み豆とする水分浸漬処理を行う(手順S2)。 この水分浸漬処理(手順S2)では、通常は、原料豆を常圧(大気圧)の下で55℃以下の浸漬温度で所定時間水に浸漬した状態で行う。これは、浸漬温度が55℃を超えると豆の蛋白質が変性する可能性があるので、浸漬温度としては、55℃以下で且つなるべく高い温度(好ましくは、50℃〜55℃)の方が浸漬時間を短縮できるので好ましい。 【0010】 その後、密閉された容器にこの浸漬済み豆を収納した状態で所定温度で所定時間加熱することにより、浸漬済み豆自身の含んでいる水分のみでこの浸漬済み豆を蒸して煮豆にする加熱処理を行う(手順S3)。 この加熱処理(手順S3)では、容器の外部のみに水蒸気を供給して、容器内部の浸漬済み豆を所定時間のあいだ所定温度で加熱している。これは、水蒸気を浸漬済み豆に直接接触させず、浸漬済み豆自身の含んでいる水分のみでこの浸漬済み豆を蒸すためである。加熱処理(手順S3)では、浸漬済み豆を密閉容器に収納して加熱する処理を、バッチ運転で行うことになる。 水分浸漬処理の手順S2とその後の加熱処理の手順S3とにより製造された煮豆は、そのまま販売可能な最終製品の場合と、豆を原料とする加工食品を製造するための中間物の場合とがある。この加工食品としては、たとえば、納豆,味噌および醤油などがある。 なお、浸漬済み豆が収納された状態の密閉容器を加熱するのは、上述のように密閉容器の外部のみを水蒸気で加熱する場合のほか、水蒸気が浸漬済み豆に直接接触しないように密閉容器の内部に管を設けてこの管内に水蒸気を通して浸漬済み豆を加熱する場合、密閉容器の外部または内部にヒータ(たとえば、電熱ヒータ)を設けて加熱する場合であってもよい。 【0011】 本発明では、加熱用の水蒸気が浸漬済み豆に直接接触することなく、浸漬済み豆自身の含んでいる水分のみでこの浸漬済み豆を蒸すので、浸漬済み豆の有する旨み成分の一部と水蒸気とが置き換わることはない。 したがって、この製造方法では、煮豆の製造時に豆の旨み成分を煮汁として流出させることなく、この旨み成分のほぼ全部が豆内部に封じ込められた煮豆を得ることができる。その結果、この煮豆は、豆が元来持っている旨み成分を十分に含んだ美味しい煮豆になる。また、旨み成分が失われないので、味の濃い煮豆を得ることができる。 また、煮豆の製造時に煮汁を流出させないで、豆に含まれている旨み成分を廃棄しないでそのほぼ全部を豆の中に封じ込めたまま加熱処理(手順S3)ができるので、煮汁を流出させることによる排水や有機汚泥などの廃棄物は発生しない。 従来は煮豆の製造時に煮汁が発生し、この煮汁にはアミノ酸や糖分が多く含まれているので、そのまま放置すると直ぐに腐敗して悪臭が発生する恐れがある。これに対して、本発明では、煮汁が発生しないので、このような悪臭の課題が生じることはない。 【0012】 なお、水分浸漬処理(手順S2)では、原料豆を20MPa(200気圧)〜100MPa(1,000気圧)の高い圧力下で50℃〜55℃で20分〜30分間水に浸漬した状態で水分浸漬処理を行うのが好ましい。 このように、高圧の下で水分浸漬処理を行えば、短時間のうちに水が強制的に原料豆内に浸入するので、水分浸漬処理の時間を大幅に短縮することができる。このとき、共有結合は開裂せず、熱に比べて栄養素の破壊,悪臭の発生,異常物質の生成が少ない。 高い圧力をかければ、密閉容器内で圧力が瞬時に伝達して、容器内での偏りがなく全体的に均一な質的変化が起こる。また、熱と比べてエネルギー消費が少なく、殺菌効果も発揮する。これらの理由から、水分浸漬処理(手順S2)では高圧処理を行うのが好ましい。 【0013】 図2は本発明にかかる実験結果を示す表である。図2(A)は、大豆の浸漬時間と水分などを示す表、図2(B)は、本発明と従来技術における煮汁などを示す表である。 図2(A),(B)に示すように、浸漬時間が1時間〜7時間の七つのサンプル(サンプル1〜7)により実験を行なった。原料豆には小粒大豆を用いて、40℃で水分浸漬処理(手順S2)を行なった。 一例として、浸漬時間が4時間のサンプル4は、原料大豆の重量(秤量)が75g,大豆乾量が63gなので原料大豆の水分は16%である。この原料大豆を40℃で4時間水に浸漬させることにより、浸漬済み大豆の重量(秤量)は180gになるので、浸漬済み大豆の水分は65%になる。 【0014】 次いで、密閉された容器としての釜にこの浸漬済み大豆を収納した状態で、釜の内部温度が120℃以上(たとえば、121℃)になるように水蒸気圧(たとえば、0.3MPa(3kgf/cm2))を設定する。 このとき、生の水蒸気を、釜の内部には入れず釜の外部のみを加熱することにより、釜内部に収納された浸漬済み大豆を加熱する。すると、釜内部の浸漬済み大豆自身が含んでいる水分が沸騰したり蒸発することにより、この浸漬済み大豆を蒸して煮豆が出来上がる(手順S3)。 この加熱処理(手順S3)では、水蒸気は浸漬済み大豆と直接接触していないので、煮汁(蒸気遮断煮汁)は流出せずその発生量は0(ゼロ)gであり、製品としての煮豆の水分は、浸漬済み大豆の水分と同じく65%になる。 すなわち、この煮豆の製造時には、煮汁の発生がないので、製品となった煮豆の水分の割合い(ここでは、65%)と、水分浸漬処理(手順S2)で予め設定する水分の割合い(ここでは、65%)はほぼ同じ値になる。 なお、残りのサンプル(サンプル1〜3,5〜7)においても、本発明の製造方法では煮汁の発生量は0gであった(図2(B)の「蒸気遮断煮汁(本発明)」参照)。 【0015】 本発明との比較のために、同じサンプル1〜7を使用し、浸漬済み大豆に直接水蒸気を当てて蒸す従来の加工方法(通常加工)も行なった。その結果、サンプル4では3.6gの煮汁が発生し、サンプル5,6,7でもそれぞれ6.2g,12.7g,23.2gの煮汁がそれぞれ発生した(図2(B)の「通常加工煮汁(従来)」参照)。 従来の通常加工におけるサンプル1〜7の大豆では、それぞれの煮汁の量だけ水蒸気と入れ換わって大豆中の旨み成分が外部に出て、大豆に残っている旨み成分が希釈されたことになる。すなわち、通常加工で水蒸気を浸漬済み大豆に直接当てることにより、水蒸気の水分が大豆に浸入すると同時に、それまで大豆中に含まれていた水分の一部(たとえば、大豆に含まれる全水分量の10%〜20%)は、旨み成分を含んだ煮汁となって流出し、これが排水になってしまう。 【0016】 これに対して、本発明における煮豆は、水蒸気を遮断した状態で浸漬済み大豆自身の含んでいる水分が沸騰したり水蒸気になって蒸すことによりできたものなので、煮汁の発生はなく、大豆の旨み成分は減少せず、製品としての煮豆は旨み成分を十分に含んだ美味しいものになる。 製品としての煮豆の水分の割合いは、62%〜70%が味覚的,食感的に好ましいので、実際にはサンプル3,4,5,6を実行することになる。したがって、本発明では、原料大豆を水に浸漬する際には、前記割合い(たとえば、62%〜70%)の水分を予め設定し、常圧の下で所定の浸漬時間(たとえば、3時間〜6時間),所定の浸漬温度(たとえば、40℃)で水分浸漬処理を行うことになる。 【0017】 本発明では、煮豆の製造時に煮汁が流出しないので、従来必要であった煮汁を含んだ排水の処理が不要になり、また、従来は旨み成分を有機汚泥として廃棄していたが、このような有機汚泥の発生はなくなる。 したがって、本発明の煮豆およびその製造方法は、地球環境に負荷をかける恐れがなく地球環境にやさしい技術であるといえる。 【0018】 図3は、本発明の製造方法を組み込んで、この製造方法で得た煮豆で納豆を製造する場合の製造工程を示している。 図3では、本発明で得られた煮豆が、加工食品としての納豆を製造するための中間物である場合を示している。なお、前記実施例と同一または相当部分には同一符号を付してその説明を省略し、異なる部分のみ説明する。 図3に示すように、原料大豆を洗浄した後(手順S1)、この洗浄済みの原料大豆を水に浸漬させて予め設定された割合い(たとえば、62%〜65%)の水分を含んだ浸漬済み大豆とする水分浸漬処理を行う(手順S2)。 その後、密閉された容器にこの浸漬済み大豆を収納した状態で、所定温度で所定時間のあいだ容器の外部のみを水蒸気などで加熱することにより、浸漬済み大豆自身の含んでいる水分のみでこの浸漬済み大豆を蒸して煮豆にする加熱処理を行う(手順S3)。 次いで、この煮豆に納豆菌を植種したのち(手順S4)、秤量し(手順S5)、カップ詰めを行い(手順S6)、納豆菌で醗酵させて熟成すれば(手順S7)、最終的に納豆(製品)が得られる。 【0019】 このように、納豆の製造工程の中に本発明の製造工程を組み込めば、納豆の製造工程で煮汁が流出しないので、煮汁の処理を不要にすることができる。 加熱処理(手順S3)で得られた煮豆が旨み成分を十分に含んでいるので、風味のある良質な納豆を製造することができる。すなわち、もともと大豆に含まれる旨み成分には、納豆菌が好むアミノ酸や糖分が多く含まれているが、本発明の煮豆はこの旨み成分を十分に含んでいるので、納豆菌で醗酵させる手順S7などで納豆菌が活発に活動することになり、良質の納豆を得ることができる。 【0020】 以上、本発明の一実施例(図3に示す応用例を含む。以下同じ)を説明したが、本発明は、上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲で種々の変形,付加などが可能である。 なお、各図中同一符号は同一または相当部分を示す。 【産業上の利用可能性】 【0021】 本発明は、大豆,小豆など豆を原料とする煮豆(最終製品)を製造する方法、豆を原料とする加工食品を製造するための煮豆(中間物)を製造する方法、およびこの製造方法により製造される煮豆に適用可能である。 【図面の簡単な説明】 【0022】 【図1】図1ないし図3は本発明の一実施例を示す図で、図1は、煮豆の製造方法を示す工程図である。 【図2】本発明にかかる実験結果を示す表である。 【図3】納豆の製造工程を示す工程図である。 【符号の説明】 【0023】 S2 水分浸漬処理の手順 S3 加熱処理の手順
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| 【出願人】 |
【識別番号】591222289 【氏名又は名称】中山環境エンジ株式会社 【住所又は居所】茨城県つくば市大字上郷1266
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| 【出願日】 |
平成16年4月30日(2004.4.30) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100092990 【弁理士】 【氏名又は名称】宮地 暖人
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| 【公開番号】 |
特開2005−312374(P2005−312374A) |
| 【公開日】 |
平成17年11月10日(2005.11.10) |
| 【出願番号】 |
特願2004−135119(P2004−135119) |
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