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【発明の名称】 真空含浸装置および真空冷却装置
【発明者】 【氏名】若狭 暁
【住所又は居所】愛媛県松山市堀江町7番地 株式会社三浦プロテック内

【氏名】三浦 正敏
【住所又は居所】愛媛県松山市堀江町7番地 株式会社三浦プロテック内

【氏名】大野 隆司
【住所又は居所】東京都品川区戸越6−16−5 有限会社アイ・シー・エフ 内

【要約】 【課題】食材への香気付け、食材の燻製、真空冷却した際に食材から抜ける香味や燻製成分の再付着を図る真空含浸装置の提供。

【解決手段】食材1が収容される処理槽2と、この処理槽2内の減圧手段5〜7と、減圧された処理槽2内の復圧手段13,14と、含浸用気体供給源15と、制御手段19とを備える。含浸用気体供給源15は、食材1への含浸用気体を貯留または発生させ、復圧手段13,14による復圧中に含浸用気体を処理槽2内へ導出する。制御手段19は、減圧手段5〜7および復圧手段13,14を制御し、含浸用気体が導入された処理槽2内を大気圧以下で保持して、食材1への含浸用成分の含浸を図る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食材(1)が収容される処理槽(2)と、
この処理槽(2)内の減圧手段(5〜7)と、
減圧された前記処理槽(2)内の復圧手段(13,14)と、
前記食材(1)への含浸用気体を貯留または発生させ、前記復圧手段(13,14)による復圧中に前記含浸用気体を前記処理槽(2)内へ導出する含浸用気体供給源(15)と
を備えることを特徴とする真空含浸装置。
【請求項2】
食材(1)が収容される処理槽(2)と、
この処理槽(2)内の減圧手段(5〜7)と、
減圧された前記処理槽(2)内の復圧手段(13,14)と、
前記食材(1)への含浸用気体を貯留または発生させ、前記復圧手段(13,14)による復圧中に前記含浸用気体を前記処理槽(2)内へ導出する含浸用気体供給源(15)と、
前記減圧手段(5〜7)による減圧により前記食材(1)を真空冷却し、前記復圧手段(13,14)により復圧する制御手段(19)と
を備えることを特徴とする真空含浸装置。
【請求項3】
前記含浸用気体供給源(15)が、前記減圧手段(5〜7)による減圧時に前記処理槽(2)から導出される気体を貯留する一方、その貯留気体を前記含浸用気体として前記復圧手段(13,14)による復圧時に前記処理槽(2)へ導出するものである
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の真空含浸装置。
【請求項4】
前記減圧手段(5〜7)が水封式の真空ポンプ(5)を含み、前記含浸用気体供給源(15)が、前記真空ポンプ(5)の封水を貯留する
ことを特徴とする請求項3に記載の真空含浸装置。
【請求項5】
前記含浸用気体供給源が、前記減圧手段(5〜7)による減圧時に前記処理槽(2)から導出される気体から含浸用成分を吸着する一方、この含浸用成分を含んだ気体を前記含浸用気体として前記処理槽(2)へ導入するために、前記復圧手段(13,14)による復圧時に前記含浸用成分を離脱する脱着手段(21)とされた
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の真空含浸装置。
【請求項6】
前記含浸用気体供給源(15)内に、この含浸用気体供給源(15)内の圧力変化により体積変化する物体(20)を入れるか、または前記含浸用気体供給源(15)自体を体積変化可能に形成した
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の真空含浸装置。
【請求項7】
前記含浸用気体供給源(15)内に、前記含浸用気体が加圧状態に貯留された
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の真空含浸装置。
【請求項8】
前記含浸用気体供給源(15)内に、前記復圧時の前記処理槽(2)への導入量よりも多量の前記含浸用気体が貯留された
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の真空含浸装置。
【請求項9】
前記含浸用気体供給源(15)は、水を介して外気と隔離されており、
前記復圧手段(13,14)による復圧時、その水が前記含浸用気体供給源(15)側へ導入されることで、前記含浸用気体供給源(15)内への外気の進入が防止される
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の真空含浸装置。
【請求項10】
食材(1)が収容される処理槽(2)と、
この処理槽(2)内の減圧手段(5〜7)と、
減圧された前記処理槽(2)内の復圧手段(13,14)と、
前記食材(1)への含浸用気体を貯留または発生させ、前記復圧手段(13,14)による復圧中に前記含浸用気体を前記処理槽(2)内へ導出する含浸用気体供給源(15)と、
前記減圧手段(5〜7)による減圧により前記食材(1)を真空冷却し、前記復圧手段(13,14)により復圧する制御手段(19)と
を備えることを特徴とする真空冷却装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、食材に各種気体を含浸させる真空含浸装置、およびそのような真空含浸機能を有する真空冷却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食材を冷却するための装置として、下記特許文献1に開示されるように、真空冷却装置が知られている。真空冷却装置は、食材が収容された処理槽内を真空にして、食材中の水分を減圧下で蒸発させることで、その蒸発時の気化潜熱を利用して食材の冷却を図る装置である。
【特許文献1】特開平9−296975号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、真空冷却装置による真空冷却は、食材によっては、香味成分などを奪うおそれがあった。たとえば、炭火焼調理された食材、燻製された食材、寿司用の酢飯などを真空冷却すると、炭火焼の香味、燻製成分、酢酸などが抜ける場合があった。
【0004】
この発明が解決しようとする課題は、真空冷却時に香味などが抜けてもそれを回復させることにある。また、従来、食材の香気付けや燻製には長時間を要していたので、本発明ではこれらを簡易に短時間で処理することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、食材が収容される処理槽と、この処理槽内の減圧手段と、減圧された前記処理槽内の復圧手段と、前記食材への含浸用気体を貯留または発生させ、前記復圧手段による復圧中に前記含浸用気体を前記処理槽内へ導出する含浸用気体供給源とを備えることを特徴とする真空含浸装置である。請求項1に記載の発明によれば、食材に含浸用気体を有効に含浸させることができる。
【0006】
請求項2に記載の発明は、食材が収容される処理槽と、この処理槽内の減圧手段と、減圧された前記処理槽内の復圧手段と、前記食材への含浸用気体を貯留または発生させ、前記復圧手段による復圧中に前記含浸用気体を前記処理槽内へ導出する含浸用気体供給源と、前記減圧手段による減圧により前記食材を真空冷却し、前記復圧手段により復圧する制御手段とを備えることを特徴とする真空含浸装置である。請求項2に記載の発明によれば、真空冷却後の復圧時に、食材に含浸用気体を含浸させることができる。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の構成要件に加えて、前記含浸用気体供給源が、前記減圧手段による減圧時に前記処理槽から導出される気体を貯留する一方、その貯留気体を前記含浸用気体として前記復圧手段による復圧時に前記処理槽へ導出するものであることを特徴とする真空含浸装置である。請求項3に記載の発明によれば、減圧時に食材から離脱した有用成分を、復圧時に食材に再付着させることができる。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の構成要件に加えて、前記減圧手段が水封式の真空ポンプを含み、前記含浸用気体供給源が、前記真空ポンプの封水を貯留することを特徴とする真空含浸装置である。請求項4に記載の発明によれば、減圧時に食材から離脱した有用成分を、復圧時に食材に再付着させることができる。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の構成要件に加えて、前記含浸用気体供給源が、前記減圧手段による減圧時に前記処理槽から導出される気体から含浸用成分を吸着する一方、この含浸用成分を含んだ気体を前記含浸用気体として前記処理槽へ導入するために、前記復圧手段による復圧時に前記含浸用成分を離脱する脱着手段とされたことを特徴とする真空含浸装置である。請求項5に記載の発明によれば、減圧時に食材から離脱した有用成分を、復圧時に食材に再付着させることができる。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の構成要件に加えて、前記含浸用気体供給源内に、この含浸用気体供給源内の圧力変化により体積変化する物体を入れるか、または前記含浸用気体供給源自体を体積変化可能に形成したことを特徴とする真空含浸装置である。請求項6に記載の発明によれば、復圧時に外気の進入を防止することで、含浸用気体が外気で薄まるのを防止し、真空含浸を有効に行うことができる。
【0011】
請求項7に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の構成要件に加えて、前記含浸用気体供給源内に、前記含浸用気体が加圧状態に貯留されたことを特徴とする真空含浸装置である。請求項7に記載の発明によれば、復圧時に外気の進入を防止することで、含浸用気体が外気で薄まるのを防止し、真空含浸を有効に行うことができる。
【0012】
請求項8に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の構成要件に加えて、前記含浸用気体供給源内に、前記復圧時の前記処理槽への導入量よりも多量の前記含浸用気体が貯留されたことを特徴とする真空含浸装置である。請求項8に記載の発明によれば、復圧時に外気の進入を防止することで、含浸用気体が外気で薄まるのを防止し、真空含浸を有効に行うことができる。
【0013】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の構成要件に加えて、前記含浸用気体供給源は、水を介して外気と隔離されており、前記復圧手段による復圧時、その水が前記含浸用気体供給源側へ導入されることで、前記含浸用気体供給源内への外気の進入が防止されることを特徴とする真空含浸装置である。請求項9に記載の発明によれば、復圧時に外気の進入を防止することで、含浸用気体が外気で薄まるのを防止し、真空含浸を有効に行うことができる。
【0014】
さらに、請求項10に記載の発明は、食材が収容される処理槽と、この処理槽内の減圧手段と、減圧された前記処理槽内の復圧手段と、前記食材への含浸用気体を貯留または発生させ、前記復圧手段による復圧中に前記含浸用気体を前記処理槽内へ導出する含浸用気体供給源と、前記減圧手段による減圧により前記食材を真空冷却し、前記復圧手段により復圧する制御手段とを備えることを特徴とする真空冷却装置である。請求項10に記載の発明によれば、真空冷却後の復圧時に、食材に含浸用気体を含浸させることができる。
【0015】
ところで、請求項10に記載の真空冷却装置には、請求項3から請求項9までのいずれかに記載の構成要件を付与可能である。逆にいえば、請求項2から請求項9までのいずれかに記載の真空含浸装置は、真空冷却装置としても機能するよう構成できる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、食材への香気付けや、食材の燻製などを容易に短時間で行うことができる。また、食材を真空冷却した際に、食材から抜けた香味や燻製成分などを容易に回復させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
つぎに、この発明の実施の形態について説明する。
本実施形態の真空含浸装置は、食材を収容して密閉可能な処理槽と、この処理槽内を減圧する真空ポンプ及び/又はエゼクタなどからなる減圧手段と、減圧した前記処理槽内へ気体を供給して復圧させる復圧手段と、前記処理槽内の圧力を計測する圧力センサとを備える。さらに、前記食材への含浸用気体を貯留するための貯留タンク、または前記食材への含浸用気体の発生装置からなる含浸用気体供給源を備える。前記含浸用気体発生装置には、発生させた含浸用気体の貯留部を備えるのがよく、その場合、前記貯留タンクに前記含浸用気体発生装置を備えた構成となる。
【0018】
前記含浸用気体としては、香味成分、燻製成分、揮発成分、薬効成分などを含む気体を用いることができる。具体的には、炭火焼の煙を用いた香気成分、木材チップなどを蒸焼きして得られる燻製成分、わさび抽出の揮発分などの薬効成分、酢飯用の酢酸などの揮発成分、食材発色用の燻煙などが前記含浸用気体として用いられる。
【0019】
前記処理槽内に前記食材を入れて密閉した状態で、前記減圧手段により前記処理槽内を減圧する。前記処理槽内の前記圧力センサを利用して所定圧力まで減圧するが、前記圧力センサによらず温度センサを用いてもよいし、これらセンサによらず所定時間だけ前記減圧手段を駆動して前記処理槽内を減圧してもよい。温かい食材を前記処理槽内に収容して減圧する場合、減圧レベルや減圧後の保持時間を調整して、その食材の真空冷却を図ることもできる。
【0020】
減圧後には、前記処理槽内は前記復圧手段により大気圧まで復圧される。復圧中には、前記含浸用気体供給源から含浸用気体が前記処理槽内へ導入され、前記食材への含浸が図られる。その際、大気圧未満の圧力(大気圧より少し手前の圧力)まで一旦復圧した状態で、前記処理槽内を所定時間保持し、その後、大気圧まで完全に復圧してもよい。また、前記処理槽内を大気圧以下の圧力で変動させたり、徐々に復圧させたりしてもよい。前記処理槽内への含浸用気体の導入は、前記処理槽内を予め減圧しているので、所定の弁を開くことで自動的に行うことができる。
【0021】
前記含浸用気体は、減圧時に前記食材から出る含浸用成分を含んだ気体であってもよい。そのために、前記減圧手段による減圧時に、前記処理槽内から排出される空気を前記貯留タンク内に貯めておき、その貯留タンク内の気体を、前記復圧手段による復圧時に前記含浸用気体として前記処理槽内へ戻すよう構成できる。前記減圧手段による減圧時に、前記処理槽内から排出される空気には、減圧時に食材から離脱する有用成分を含んだ気体が含まれるので、これを含浸用気体として利用するのである。この場合、前記貯留タンクが空の状態で運転を開始させ、減圧時の前記処理槽内からの排出空気を前記貯留タンクへ貯めてもよいし、それに加えて、前記貯留タンクに香気成分などを予め貯留しておいてもよい。
【0022】
あるいは、前記減圧手段による減圧時に、前記処理槽内から排出される空気から含浸用成分を活性炭層やイオン交換樹脂層などの脱着手段に導入して吸着させておき、復圧時にその含浸用成分を離脱させて、その含浸用成分を含んだ気体を前記含浸用気体として前記処理槽へ導入するよう構成してもよい。前記脱着手段への含浸用成分の吸着または離脱の方法は、前記脱着手段の構成により異なるが、たとえば前記脱着手段を配置した空間の圧力または温度や、前記脱着手段を介して分けられる二領域の差圧を調整して操作できる。
【0023】
前記復圧手段による復圧時、外気が導入されると含浸用成分が薄まり、含浸効果も薄まってしまう。そこで、復圧時に、前記貯留タンクひいては前記処理槽内への外気の進入を防止するのがよい。そのために、前記貯留タンク内に、外気に一端を解放したビニール袋や風船状の体積可変物を入れておくのがよい。これにより、前記貯留タンク内の含浸用気体が前記処理槽へ導出されるに伴い、その体積可変物が拡がって、前記貯留タンク内への外気の進入が防止される。あるいは、前記貯留タンク自体を風船状やピストン状にするなどして、体積可変に構成してもよい。
【0024】
また、前記貯留タンク内に含浸用気体を加圧して貯留しておくことで、外気の進入を防止しつつ復圧してもよい。この場合、前記処理槽内を大気圧に戻した後も、前記貯留タンク内が正圧であるよう圧力設定される。
【0025】
連続稼動させるために、一つの処理槽に対して複数の貯留タンクを備えるよう構成してもよい。また、異なった含浸用気体が貯留された複数の貯留タンクを、それぞれ弁を介して一つの処理槽へ接続しておき、それら弁を切り換えることで一または複数の選択された含浸用気体を一の処理槽へ導入するよう構成してもよい。その際、各弁の開閉度を変更することで、前記処理槽へ供給する含浸用成分の割合を調整できる。ところで、一つの貯留タンクで異なった含浸用気体を用いる際には、前記貯留タンクを消臭したり洗浄したりするのがよい。そのために、前記貯留タンクに消臭装置などを設けるのがよい。
【0026】
前記含浸用気体供給源として前記含浸用気体発生装置を用いる場合、それによる含浸用気体の発生量が、復圧時に前記処理槽内へ導入される必要気体量よりも多くしておくことで、復圧時に外気が進入するのを防止してもよい。
【0027】
また、前記貯留タンクから前記処理槽内に含浸用気体を導入する際、導入した含浸用気体の量に応じた水や蒸気またはそれらの混合物を、前記貯留タンク内に供給することで、外気の進入を防止してもよい。たとえば水を用いる場合、前記貯留タンクは、中途部が水を満たされた配管で外気と隔離されており、前記貯留タンクの内外の差圧によりその水が移動することで、外気の進入が防止される。なお、水の場合は前記貯留タンク下部から、蒸気の場合は前記貯留タンク上部から、ゆっくりと前記貯留タンク内へ供給することで、含浸用気体との比重差を利用して、含浸用気体のみを前記処理槽へ導出することができる。
【0028】
前記の実施の形態は、食材の真空冷却を行わないで真空含浸を行う第一処理メニューをなす真空含浸装置と、食材の真空冷却を行った後に真空含浸を行う第二処理メニューをなす真空含浸装置を含むが、これに加えてつぎの真空含浸装置を含む。すなわち、前記第一処理メニューと真空含浸を行わない食材の真空冷却を行う第三処理メニューとを選択的に行う真空含浸装置,前記第二処理メニューと前記第三処理メニューとを選択的に行う真空含浸装置,前記第一処理メニューと前記第二処理メニューと前記第三処理メニューとを選択的に行う真空含浸装置,前記第一処理メニューと前記第二処理メニューとを選択的に行う真空含浸装置を含む。これらの真空含浸装置において、第三処理メニューを行う真空含浸装置は、真空冷却装置と称することもできる。
【0029】
本実施形態の真空含浸装置および真空冷却装置によれば、食材に燻煙などを吸着させ、燻製の製造や香味付けが簡単に行える。また、酢飯や炭火焼食材などを真空冷却する際に失われる香味成分などを再付着させ、風味劣化を抑制したり、積極的に風味付けしたりできる。その他の用途として、通常の米飯の冷却や、惣菜の冷却や風味付けなどにも利用することができる。
【実施例1】
【0030】
以下、この発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の真空含浸装置の実施例1を示す扉を外した状態を示す概略構造図である。
【0031】
この図に示すように、本実施例の真空含浸装置は、食材1,1…が収容されて密閉可能な処理槽2と、この処理槽2内を減圧する減圧手段(5〜7)と、減圧した処理槽2内を復圧する復圧手段(13,14)とを主要部として備える。
【0032】
本実施例の処理槽2は、耐圧性容器とされており、開閉可能な扉(不図示)を介して食材1の出し入れが可能とされる。処理槽2には、温度センサでもよいが、本実施例では処理槽2内の圧力を測定する圧力センサ3が設けられている。また、図示例の処理槽2には、内部に複数段の棚4,4…が設けられ、その棚4に食材1が載せられる。なお、処理槽2内にワゴン(不図示)を出し入れ可能とし、そのワゴンに食材1を載せるようにしてもよい。
【0033】
減圧手段としては、真空ポンプ5、蒸気エゼクタ(ejector)6、または水エゼクタなどを用いることができる。これらは、複数種類のものを組み合わせて用いることもできる。本実施例では、蒸気エゼクタ6と真空ポンプ5と熱交換器7とを組み合わせて減圧手段を構成している。この場合、蒸気エゼクタ6は、処理槽2に吸入口6cが接続されており、その蒸気エゼクタの出口6bには、熱交換器7と逆止弁8を介して真空ポンプ5が接続されている。従って、真空ポンプ5を駆動させつつ蒸気エゼクタ6の入口6aから出口6bへ向けて蒸気を噴射させ、熱交換器7による冷却、凝縮作用を行わせることで、吸入口6cが接続された処理槽2内の空気を吸い出して排出し、処理槽2内を減圧することができる。
【0034】
そのために、蒸気エゼクタ6の入口6aには、給蒸弁9を介してボイラ(不図示)からの蒸気が供給可能とされる。真空ポンプ5には、封水給水弁10を介して水が供給され、真空ポンプ5からの排水は排水口11へ排出される。この封水給水弁10は、真空ポンプ5に連動して開かれる。また、熱交換器7にも、熱交給水弁12を介して冷却用の水が供給され排水される。
【0035】
復圧手段は、減圧状態の処理槽2内に気体を供給して、処理槽2内を大気圧まで復圧可能な手段である。本実施例では、復圧弁13が設けられた給気ライン14からなる。この給気ライン14には、食材1への含浸用気体が貯留された貯留タンク15が接続されている。この貯留タンク15は、単に含浸用気体を貯留した容器でもよいが、図示例では含浸用気体発生装置としても機能する。
【0036】
すなわち、同図(a)では、貯留タンク15の上部に空間を残して、貯留タンク15の下部に酢酸(酢)などの液体16が入れられている。そして、この液体16は、加熱手段としての電熱ヒータ17などにより加熱可能とされている。従って、その液体16の成分を蒸発させ、その気体を含浸用気体として貯留タンク15上部へ貯留することができる。また、同図(b)では、炭火やガスバーナ18が設けられており、貯留タンク15内で炭火やガスバーナ18で木材などを蒸し焼きし、その煙を含浸用気体として貯留しておくことができる。
【0037】
このような貯留タンク15は、その上部の含浸用気体貯留部15aが、復圧弁13を介して給気ライン14で処理槽2に接続されている。従って、処理槽2が減圧下にある状態で復圧弁13を開くと、貯留タンク15内の含浸用気体が処理槽2内へ導入されることになり、処理槽2内が復圧される。復圧弁13の開き具合によって、処理槽2内を徐々に昇圧することもできる。
【0038】
復圧を円滑になすために、復圧時には貯留タンク15にフィルター(不図示)を介して外気を導入してもよいが(15b)、外気を導入すると含浸用気体が薄まってしまうので、外気導入しない代わりに貯留タンク15の内圧を予め高めておいてもよい。その場合、復圧完了状態でも貯留タンク15内が正圧となるように圧力調整しておくのがよい。
【0039】
また、真空含浸装置には、減圧手段5〜7や復圧手段13,14などを制御する制御手段(制御器)19が備えられている。この制御器19は、圧力センサ3からの検出圧力や時間などに基づいて、前記各手段を制御する。つまり、圧力センサ3、真空ポンプ5、給蒸弁9、封水給水弁10、熱交給水弁12、復圧弁13などは、制御器19に接続されており、その制御器19にて後述する運転がなされる。
【0040】
上述した真空含浸装置は、真空冷却装置として、たとえば酢飯(寿司用米飯)を真空冷却するのに使用される。この場合、食材(酢飯)1を処理槽2内に収容して、処理槽2を密閉した状態で、減圧手段5〜7を用いて処理槽2内を減圧して、所定圧力で所定時間保持するなどにより真空冷却処理がなされる。具体的には、食材1を処理槽2内へ収容して処理槽2を密閉し、復圧弁13を閉じた状態で減圧手段5〜7を用いて所定圧力まで処理槽2内を減圧する。つまり、給蒸弁9、封水給水弁10および熱交給水弁12を開いて、蒸気エゼクタ6、真空ポンプ5および熱交換器7を駆動することで、処理槽2内を減圧して真空冷却する。
【0041】
その後、減圧手段5〜7を停止して、復圧手段13,14を駆動して、処理槽2内を復圧する。つまり、給蒸弁9、封水給水弁10および熱交給水弁12を閉じて、蒸気エゼクタ6、真空ポンプ5および熱交換器7を停止する一方、復圧弁13を開けばよい。これにより、貯留タンク15内の含浸用気体が処理槽2内へ導入されつつ、処理槽2内が復圧される。復圧弁13の開け方を調整することで、処理槽2内を徐々に復圧したり、復圧途中の所定圧力にて所定時間維持したりできる。本実施例では、大気圧の少し手前の圧力にて所定時間保持した後、大気圧まで完全に復圧される。大気圧まで復圧した後、処理槽2の扉を開けて、食材の取り出しが可能である。
【0042】
食材1として酢飯、含浸用気体として酢酸揮発分を用いた場合、減圧時(真空冷却時)に食材1から抜けた香気成分などを、復圧時に再び付加することができる。
【0043】
また、真空冷却ではなく、単に食材1への真空含浸にも利用できる。たとえば、貯留タンク15に単に香気成分などを含んだ気体を入れておき、減圧後の復圧中に処理槽2内へ導入することで、食材1への香気付けなどに利用できる。
【0044】
さらに、貯留タンク15内に燻煙を発生させ処理槽2内の食材1の発色に利用できる。また、食材1として肉類、含浸用気体として炭火の煙や、燻製成分を用いることで、復圧時に食材1に炭火焼風味を付けたり、あるいは燻製の製造に利用できる。
【実施例2】
【0045】
図2は、本発明の真空含浸装置の実施例2を示す概略構造図である。
この実施例2も基本的には、前記実施例1と同様の構成であるので、以下では両者の異なる部分を中心に説明する。そして、両実施例で同等の箇所には、同一の符号を付して説明する。また、図2においては、制御手段19とその他手段との接続関係は、図1と同様であるから省略した。
【0046】
この実施例2では、復圧手段13,14による復圧時に、貯留タンク15や処理槽2内に外気が進入しないように構成されている。すなわち、貯留タンク15内には、風船状の体積可変物20が、その口を外部へ連通させた状態で、貯留タンク15の側壁に気密状態で設けられている。つまり、風船状の体積可変物20は、外面は貯留タンク15内に接触し、内面は外気に接触した状態で、且つ最初はしぼんだ状態で貯留タンク15内に収容されている。
【0047】
従って、処理槽2内を減圧した後、復圧弁13を開けると、体積可変物20が二点鎖線で示すようにふくらみながら、貯留タンク15内の含浸用気体を処理槽2内へ導入することができる。よって、復圧時に外気が進入せず、含浸用気体を薄めることがないので、効果的な食材1への香気付けなどが可能である。ところで、図2に示される貯留タンク15は、含浸用気体の発生装置も兼ねている。図示例では、貯留タンク15内で炭火を燃やすことで、燻煙を発生させ含浸用気体として貯留し、そのガスを復圧時に処理槽内へ導入する。
【実施例3】
【0048】
図3は、本発明の真空含浸装置の実施例3を示す概略構造図である。
この実施例3も基本的には、前記実施例1と同様の構成であるので、以下では両者の異なる部分を中心に説明する。そして、両実施例で同等の箇所には、同一の符号を付して説明する。また、図3においては、制御手段19とその他手段との接続関係は、図1と同様であるから省略した。
【0049】
この実施例3では、処理槽2の上部などに、活性炭層やイオン交換樹脂層などからなる脱着手段21を設けている。この脱着手段21を介して、処理槽2は減圧手段5〜7や復圧手段13,14に接続される。すなわち、脱着手段21を介して、蒸気エゼクタ6の吸入口6cが処理槽2に接続されると共に、給気ライン14も接続されている。本実施例の復圧手段13,14は、給気ライン14に、復圧弁13とフィルター22が設けられてなり、外気はフィルター22を介して処理槽内へ導入される。本実施例では、実施例1における貯留タンク15はなく、前記脱着手段21が含浸用気体供給源(含浸用気体発生装置)として機能する。
【0050】
本実施例の場合、減圧手段5〜7による減圧時には、処理槽2内の気体は脱着手段21を介して外部へ吸引される。その際、その導出気体から含浸用成分が脱着手段21に吸着される。含浸用成分とは、減圧時に食材から出てしまう成分である。そして、復圧時には、復圧弁13を開くことで、フィルター22を介したクリーンな空気が処理槽2内へ導入される。その際、脱着手段21から含浸用成分が離脱され、その含浸用成分を含んだ空気が含浸用気体として処理槽2内へ導入される。よって、真空冷却時に食材1から離脱した有用成分を、復圧時に食材1に再付着させることができる。
【実施例4】
【0051】
図4は、本発明の真空含浸装置の実施例4を示す概略構造図である。
この実施例4も基本的には、前記実施例1と同様の構成であるので、以下では両者の異なる部分を中心に説明する。そして、両実施例で同等の箇所には、同一の符号を付して説明する。また、図4においては、制御手段19とその他手段との接続関係は、図1と同様であるから省略した。
【0052】
この実施例4では、真空ポンプ5からの排気を貯留タンク15へ回収し、その貯留タンク15内の気体を含浸用気体として、復圧時に処理槽2内へ戻すよう構成されている。この実施例の場合も、真空冷却時に食材から離脱した有用成分を、復圧時に食材1に再付着させることができる。具体的には、食材1として酢飯、含浸用気体として酢酸揮発分を用いた場合、真空冷却時に食材1から抜けた香気成分などを、復圧時に再び付加することができる。
【実施例5】
【0053】
図5は、本発明の真空含浸装置の実施例5を示す概略構造図である。
この実施例5は、前記実施例4の変形例である。従って、以下では両者の異なる部分を中心に説明する。そして、両実施例で同等の箇所には、同一の符号を付して説明する。
【0054】
前記実施例4では、真空ポンプ5からの排気を貯留タンク15へ回収して、含浸用気体として利用したが、本実施例5では、それに加えて、真空ポンプ5からの排水も貯留タンク15へ回収し、その貯留タンク15内の液体から溶存気体成分を取り出して、含浸用気体として復圧時に処理槽2内へ戻すよう構成されている。つまり、貯留タンク15には、減圧手段5〜7による減圧時に、真空ポンプ5の排気と封水が貯留され、復圧手段13,14による復圧時に、回収気体に加えて、封水の溶存気体が含浸用気体として処理槽2へ戻される。この実施例の場合も、真空冷却時に食材1から離脱した有用成分を、復圧時に食材1に再付着させることができる。
【0055】
本発明の真空含浸装置は、上記各実施例の構成に限らず、適宜変更可能である。特に、含浸用気体の種類や濃度などは、食材1への含浸目的に応じて変更可能なことは言うまでもない。また、前記各実施例の真空含浸装置は、目的に応じて真空冷却装置とできる。その場合、前記減圧手段による減圧レベルを調整すればよい。さらに、上記各実施例では、一つの貯留タンク15が処理槽2に接続された例を示したが、複数の貯留タンク15を接続可能としてもよい。その際、各貯留タンク15を一つの処理槽2に順次に接続することで、真空含浸処理を連続してできる。さらに、処理槽2内の復圧時に、外気が進入するのを防止する方法として、貯留タンク15から処理槽2内へ導出される含浸用気体の量に応じた水を貯留タンク15内に供給するようにしてもよい。この場合、貯留タンク15内は外気と水を介して隔離されており、貯留タンク15内の圧力変化に応じて、その水が移動するように構成すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の真空含浸装置の実施例1を示す概略構造図である。
【図2】本発明の真空含浸装置の実施例2を示す概略構造図である。
【図3】本発明の真空含浸装置の実施例3を示す概略構造図である。
【図4】本発明の真空含浸装置の実施例4を示す概略構造図である。
【図5】本発明の真空含浸装置の実施例5を示す概略構造図である。
【符号の説明】
【0057】
1 食材
2 処理槽
3 圧力センサ
5 真空ポンプ
6 蒸気エゼクタ
7 熱交換器
13 復圧弁
14 給気ライン
15 含浸用気体供給源(貯留タンク、含浸用気体発生装置)
19 制御手段
20 体積可変物
21 脱着手段
【出願人】 【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
【住所又は居所】愛媛県松山市堀江町7番地
【識別番号】504143522
【氏名又は名称】株式会社三浦プロテック
【住所又は居所】愛媛県松山市堀江町7番地
【識別番号】501064619
【氏名又は名称】有限会社アイ・シー・エフ
【住所又は居所】東京都品川区戸越6−16−5
【出願日】 平成16年4月28日(2004.4.28)
【代理人】 【識別番号】100085316
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 三雄

【識別番号】100110685
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 方宜

【識別番号】100124947
【弁理士】
【氏名又は名称】向江 正幸

【識別番号】100124741
【弁理士】
【氏名又は名称】面谷 和範

【公開番号】 特開2005−312348(P2005−312348A)
【公開日】 平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願番号】 特願2004−133235(P2004−133235)