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【発明の名称】 液状調味料
【発明者】 【氏名】亀井 健一
【住所又は居所】千葉県野田市野田250番地キッコーマン株式会社内

【氏名】白上 知幸
【住所又は居所】千葉県野田市野田250番地キッコーマン株式会社内

【氏名】佐藤 潤一
【住所又は居所】千葉県野田市野田250番地キッコーマン株式会社内

【要約】 【課題】ガラクトマンナン含有種子の処理物(例えばゴマの粉砕物または磨砕物)及び増粘剤を含有する液状調味料において、該種子の処理物の含有量を増大させても、該液状調味料の粘度増加とゲル化を抑制し、性状が均一で流動性の良好な液状調味料を得る。

【解決手段】ガラクトマンナン含有種子の処理物及び増粘剤を含有する液状調味料に、麹、その処理物、麹利用醸造食品又はその半製品を加熱せずに混和した後、加熱殺菌して液状調味料を得る。また、ゴマ及び増粘剤を含有する液状調味料に生醤油を混和した後、加熱殺菌して液状調味料を得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラクトマンナン含有種子の処理物及び増粘剤を含有する液状調味料に、麹、その処理物、麹利用醸造食品又はその半製品を加熱せずに混和した後、加熱殺菌して得られる液状調味料。
【請求項2】
ゴマ及び増粘剤を含有する液状調味料に生醤油を混和した後、加熱殺菌して得られる液状調味料。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明はガラクトマンナン含有種子の処理物(例えばゴマの粉砕物または磨砕物)及び増粘剤を含有する液状調味料において、該種子の処理物の含有量を増大させても、該液状調味料の粘度増加とゲル化を抑制する。そして、該種子の処理物の含有量が多いにも拘らず、性状が均一で流動性の良好な液状調味料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、豆科植物の種子に含まれるガラクトマンナンは、増粘剤と共に液状調味料に添加使用され、加熱冷却が行われると、該液状調味料は粘度が著しく増加し、ゲル化することが知られている(非特許文献1参照)。
一方、ゴマ及び増粘剤を含有する液状調味料は、ゴマの含有量を増大させると、該液状調味料の粘度が著しく増加し、ゲル化することが知られている(特許文献1参照)。
【非特許文献1】Foods Food Ingredients J. Jpn. , Vol. 208, No.10 , 2003
【特許文献1】特開平08−89206
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明はガラクトマンナン含有種子の処理物(例えばゴマの粉砕物または磨砕物)及び増粘剤を含有する液状調味料において、該種子の処理物の含有量を増大させても、該液状調味料の粘度増加とゲル化を抑制し、そして、該種子の処理物の含有量が多いにも拘らず、性状が均一で流動性の良好な液状調味料を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、ガラクトマンナン含有種子の処理物(例えばゴマ処理物)及び増粘剤を含有する液状調味料に、麹、その処理物、麹利用醸造食品又はその半製品を加熱することなくそのまま混和するときは、該種子の処理物の含有量を増大させても、該液状調味料の粘度増加とゲル化を抑制し、性状が均一で流動性の良好な液状調味料が得られることを見出した。また、前記液状調味料に生醤油を混和するときは、ゴマの処理物の含有量を増大させても、液状調味料の粘度増加とゲル化を抑制し、性状が均一で流動性の良好なゴマ含有液状調味料が得られることを見出した。そして、これらの知見に基づいて本発明を完成した。
すなわち本発明は、ガラクトマンナン含有種子の処理物及び増粘剤を含有する液状調味料に、麹、その処理物、麹利用醸造食品又はその半製品を加熱することなく混和した後、加熱殺菌して得られる液状調味料である。
また本発明は、ゴマ及び増粘剤を含有する液状調味料に生醤油を混和した後、加熱殺菌して得られる液状調味料である。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、ガラクトマンナン含有種子の処理物の含有量を増大させても、粘度の増加とゲル化を抑制し、性状が均一で流動性の良好な液状調味料を得ることができる。またゴマおよび増粘剤を含有する液状調味料において、ゴマの処理物の含有量を増大させても、粘度の増加とゲル化を抑制し、性状が均一で流動性の良好なゴマ含有液状調味料を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下本発明を詳細に説明する。
まず本発明でいう麹とは、穀類(例えば米、麦、トウモロコシ、大豆等)及びその処理物(例えば脱脂大豆、分離タンパク、グルテン、フスマ等)の一種または二種以上を原料として用い、これらを加熱変性し、水分を調整した後、アスペルギルス属に属する微生物を接種、培養して得られるものを意味し、例えば通常の醤油麹、米麹、フスマ麹、麦麹等の固体麹、または通常の液体麹の製造法により得られる液体麹が挙げられる。
麹の処理物としては、麹の水抽出液、麹の消化液または液体麹濾過液などが挙げられる。
【0007】
次に麹利用醸造食品とは、醤油、味噌、みりん、清酒などの醸造飲食品が挙げられる。
【0008】
また麹利用醸造食品の半製品とは、醤油諸味、みりん醪、酒醪などが挙げられる。
【0009】
また、生醤油としては、例えば通常の濃口醤油、淡口醤油、溜醤油、再仕込醤油、または白醤油の製造法に従って調製された熟成諸味を圧搾濾過して得られた生揚げ醤油、この生揚げ醤油からマイクロフィルター、精密濾過膜などを使用して微生物をとり除いた醤油(加熱殺菌をしていないので醤油中の酵素などは残っている)などの生醤油が挙げられる。
【0010】
上記、麹、その処理物、麹利用醸造食品またはその半製品は、品温を80℃以上に加熱(火入れ)することなく用いることが重要であって、すなわち、加熱したそれらを用いるときは、ゴマ及び増粘剤を含有する液状調味料において、ゴマの含有量を増大させると、粘度が著しく増加し、ゲル化する危険性がり、本発明の目的を達成することができない。
【0011】
次に、ガラクトマンナン含有種子としては、ゴマ、大豆、エンドウ、サヤエンドウ、黒豆などが挙げられる。またその処理物としては、破砕物、磨砕物又はペーストなどが挙げられる。これらは液状調味料に対して4%(W/W)以上含有されると、ゲル化しやすくなるが、この際生醤油、麹、その処理物、麹利用醸造食品またはその半製品を共存させると、該ゲル化を抑制できる。特にガラクトマンナン含有種子処理物が液状調味料に対して8〜25%(W/W)含有する液状調味料の場合、生醤油、麹、その処理物、麹利用醸造食品またはその半製品を共存させなければ該液状調味料は確実にゲル化する。したがって、ガラクトマンナン含有種子の処理物は、液状調味料に対して4%(W/W)以上、特に8〜25%(W/W)含有するように添加使用することが好ましい。
【0012】
ガラクトマンナン含有種子の処理物は種々のものが挙げられるがこのうち、ゴマは、昔から栄養価が高く、ゴマ独特の風味が好まれ和風液状調味料として代表的な素材となっているので好ましい。またゴマとしては、白ゴマ、茶ゴマ、黒ゴマなどが挙げられる。
【0013】
また増粘剤としては、キサンタンガム、カラギーナン、トラガントガム、タマリンドシードガム、グアガム、カラヤガム、ローカストビーンガムなどが挙げられる。これらのうちキサンタンガムは、ガラクトマンナン含有種子処理物の高濃度含有液状調味料において添加使用された場合に、該調味料をゲル化する欠点がより強いので、本発明の該ゲル化抑制効果をより強く期待することができる。
【0014】
また液状調味料としは、醤油、食酢、甘味料(砂糖、液糖、三温糖、ブドウ糖など)、酒類(みりん、ワイン、清酒など)および化学調味料(グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウムなど)などの一種または二種以上を適宜含有する液状調味料、例えばタレ、つゆ又はドレッシングなどが挙げられる。
【0015】
ガラクトマンナン含有種子の処理物及び増粘剤を含有する液状調味料に、麹、その処理物、麹利用醸造食品又はその半製品を、加熱することなくそのまま混和することは重要であって、すなわち加熱後に混和する場合は、該種子の処理物の含有量を増大させようとすると(またはゴマの含有量を増大させようとすると)、粘度が著しく増加し、ゲル化する危険性が増すため、本発明の目的は達成できない。
【0016】
また、液状調味料を最終工程にて加熱殺菌することも重要である。
この加熱殺菌により、麹、麹利用醸造食品、その半製品又は生醤油由来の微生物を殺菌し、また残存酵素を失活し、液状調味料の風味劣化を防止し、保存安定性を向上できる効果を奏する。
加熱殺菌は、温度80℃〜130℃、30分〜2秒が好ましい。
【0017】
次に実施例を挙げて本発明を更に具体的に記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0018】
生醤油及びゴマ含有液状調味料の製造例(本発明1)
(1)原料と配合割合
濃口生醤油 150ml
みりん 130ml
砂糖 100g
食酢(酸度4.2)50ml
キサンタンガム 1.5g
ゴマ磨砕物 80g(注1参照)
ゴマ油 40g
水 適宜
(合計1000ml)
(注1) ゴマ磨砕物の調製
柴田科学器械工業社製の小型粉砕器「粉砕くん、SCM−40A型」の容器内に炒り白ゴマ100gを入れ、1分間粉砕機を稼動させた後、内容物を薬さじでほぐし、再び1分間粉砕機を稼動させた後、内容物を薬さじでほぐし、以下これを3回繰り返し、ゴマ磨砕物を得た。
(2) ゴマ含有液状調味料の調製法
上記原料を容器に入れ均一に攪拌し混和した。これに水を適宜加えて1000mlのゴマ含有液状調味料を調製した。これにクエン酸を添加して、pH4.3に調整した後、80℃で30分間加熱殺菌を行い、本発明1のゴマ含有液状調味料を得た。
【実施例2】
【0019】
醤油麹抽出液及びゴマ含有液状調味料の製造例(本発明2)
実施例1において、濃口生醤油に代えて、醤油麹抽出液(注2参照)を用いる以外は全く同様にして本発明2のゴマ含有液状調味料を得た。
(注2)醤油麹抽出液の調製
醤油麹10gに蒸留水100mlを加え、密栓して、室温(20℃)でときどき攪拌しながら4時間浸出し、濾紙で濾過し、醤油麹抽出液(濾液)を得た。
【実施例3】
【0020】
米麹抽出液及びゴマ含有液状調味料の製造例(本発明3)
実施例1において、濃口生醤油に代えて、米麹抽出液(注3参照)を用いる以外は全く同様にして本発明3のゴマ含有液状調味料を得た。
(注3)米麹抽出液の調製
米麹10gに蒸留水100mlを加え、密栓して、室温(20℃)でときどき攪拌しながら4時間浸出し、濾紙で濾過し、米麹抽出液(濾液)を得た。
(対照例)
【0021】
火入醤油及びゴマ含有液状調味料の製造例(対照例)
比較のため、実施例1において、濃口生醤油に代えて、該濃口生醤油を110℃で5秒火入れ処理し得られた濃口火入醤油を用いる以外は全く同様にして対照例のゴマ含有液状調味料を得た。
【0022】
上記対照例、実施例1〜実施例3で得られた4種類のゴマ含有液状調味料について表面の性状を肉眼で観察し、また流動性試験及び粘度測定を行った。
その結果を表1に示した。
【0023】
表1


【0024】
注1:表面の性状
ゴマ含有液状調味料の表面のデコボコ状態を肉眼で観察した結果を示す。
注2:流動性
25℃のゴマ含有液状調味料をスポイドで採取してその0.5mlを水平なガラス面に滴下し、その後ガラス面を30度傾斜させ該液状調味料が斜面を15cm進むのに要した時間(秒)で示した。時間が短いほど流動性が良いことを意味する。
注3:粘度
B型粘度計(No.2ローター、20rpm)を使用して、25℃のゴマ含有液状調味料の粘度(cPa.s)を測定した。同一サンプルにつき、合計5回測定し、その平均値で示した。
【0025】
表1の結果から、対照区分(火入醤油使用)の液状調味料は、表面にデコボコ(凹凸)が観察され、性状が均質でないことが判る。また、粘度が高く、流動性も悪いことが判る。これに対し本発明1区分(生醤油使用)、本発明2区分(醤油麹抽出液使用)及び本発明3区分(米麹使用)の液状調味料は、いずれも表面にデコボコが観察されずに平滑で均質であることが判る。また粘度が低く、流動性も非常に良好であることが判る。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明はガラクトマンナン含有種子の処理物(例えばゴマの粉砕物または磨砕物)及び増粘剤を含有する液状調味料、例えばたれ、つゆ、ドレッシングなどに広範に利用可能である。
【出願人】 【識別番号】000004477
【氏名又は名称】キッコーマン株式会社
【住所又は居所】千葉県野田市野田250番地
【出願日】 平成16年4月27日(2004.4.27)
【代理人】 【識別番号】100125542
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 英之

【公開番号】 特開2005−312316(P2005−312316A)
【公開日】 平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願番号】 特願2004−131212(P2004−131212)