| 【発明の名称】 |
納豆の粘質物の除去法とその製品 |
| 【発明者】 |
【氏名】越智 猛夫
【氏名】安原 義
【氏名】淵上 正昭
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| 【要約】 |
【課題】水などの溶媒を使用することなく、納豆から粘質物を容易、迅速に除去することができると同時におからを食用や飼料としての利用するに当たり、栄養に富み、薬効を有するおからをもたらす納豆の粘質物の除去法を提供する。
【解決手段】納豆とおからの配合物を撹拌することを特徴とする。これにより、納豆からの粘質物の除去を容易且つ迅速に行うことができて、従来の課題を解決すると共に、除粘納豆と粘質物抱埋おからのさらさらした混合物が得られる。粘質物抱埋おからは、栄養価に富み、薬効を有するので、おからに比し、食品や飼料としての利用価値が向上する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 納豆におからを添加、撹拌することを特徴とする納豆の粘質物の除去法。 【請求項2】 請求項1に記載の方法で得られた除粘納豆と粘質物抱埋おからから成る混合物及び該混合物を篩分けにより得られる除粘納豆及び粘質物抱埋おから。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、納豆の粘質物の除去法とその製品に関する。 【背景技術】 【0002】 納豆は、通常、糸引き納豆と言われているように、一般に、その粘質物が糸を引くほど良質の納豆とされている。また、納豆は栄養に富み、消化性に優れ、健康食品としての評価は高い。特に、粘質物は、蛋白質の消化助長作用があり、また、血液中の血栓を溶かす酵素が含まれており、血管障害による脳卒中や心筋梗塞等の予防に効果があるとされている。しかし乍ら、納豆を喫食する場合、その粘質物が糸を引くため食べにくゝ、衣服などを汚すなどの理由で嫌われる傾向があるので、納豆のまゝでは、折角、健康食品としての評価が高いに拘わらず、その利用分野に限界がある。 そこで、従来、納豆の利用分野の拡大を計るため、納豆から粘質物を分離し、分離した粘質物と粘質物を除かれた納豆の形態とし、色々な食品分野に添加され健康食品として利用する発明が刊行物に開示されている。その刊行物を以下に例示する。 特開昭54−55747号公報には、納豆に水又は温水を加えた後撹拌混和し、該粘質物が該豆質部からほゞ離れた時点で該混和物を遠心分離機にかけ、豆質部と粘質部とに分離し、分離した粘質部は真空凍結乾燥し、豆質部は吸水させた後真空凍結乾燥する納豆の加工方法とその夫々の利用例が記載されている。 特開平2−76554号公報には、納豆に水分を添加して両者を充分に混合し、この混合物を遠心分離機に投入し、該遠心分離機により大豆と粘質物とを分離するようにした引糸納豆から粘質物を分離する方法が記載されている。 特開平5−56762号公報には、納豆に水を加え、納豆の粘質物が水中に溶け込み粘りが出て来るまで充分に撹拌し、その混和物を裏漉し大豆と粘液とに分離し、分離した粘液をビニールシート上で送風乾燥し、粉末としたものに重炭酸ナトリウムを添加し、ミルで撹拌して加粘性調味料を製造すること及びその利用例が記載されている。 特開昭60−19466号公報には、前記の特開平5−56762号公報と同様に、納豆に、水分によって糸引性を欠損させるイオンを電離する水酸化カルシウムなどの水溶液を少量添加撹拌し、納豆の粘質物を凝集させ、ピンセットで大豆の一粒づつを粘質物の凝集物を箸で押さえ乍ら大豆の一粒づつをピンセットで摘み出して粘質物と分離することが記載されている。 特開昭52−28964号公報には、納豆を真空凍結乾燥した後、その乾燥物を篩で振盪し、納豆の外層部、即ち、種皮を含む粘質部の大部分を篩目をパスさせる一方、納豆の内層部を篩上に残すように分離することと、その夫々の利用例が記載されている。 【特許文献1】特開昭54−55747号公報 【特許文献2】特開平2−76554号公報 【特許文献3】特開平5−56762号公報 【特許文献4】特開昭60−19466号公報 【特許文献5】特開昭52−28964号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0003】 しかし乍ら、上記の特許文献1に記載の発明によれば、納豆から粘質物が除去された納豆と粘質物とを分取するには、納豆に水を添加し、粘質物を水に溶解させた後、遠心分離機を用いて粘質物が除去された納豆(以下除粘納豆と略称する)とその粘質物の水溶液とに分離することにより達成されるが、粘質物は、水を用いてその水溶液とする煩わしい且つ非能率な作業を必要とし、更には、このまゝは粘質物は利用できないため、その後真空凍結乾燥したものを解凍し、その粘質物の水溶液を濃縮するなどの手段を必要とし、粘質物を食品の製造に添加剤として利用可能とするまでに相当の労力と、製造コストを必要とし、極めて不経済である不都合をもたらす。 特許文献2に記載の発明も、特許文献1に記載の発明と同様に、除粘納豆と粘質物との分離作業は非能率であり、その粘質物の水溶液につき、特許文献1の発明と同様の不都合をもたらす。 特許文献3に記載の発明も、特許文献1,2に記載の発明と同様に、除粘納豆と粘質物との分散作業は非能率であり、また、その利用は加粘性調味料にとゞまる不都合をもたらす。 特許文献4に記載の発明も又、納豆から粘質物を除去するためには、上記の特許文献1〜3と同様に、水を溶媒として使用する点で同じ技術思想であり、従って、除粘納豆と粘質物との分離作業は極めて非能率であり、そのうえ、大量を取扱う産業上の利用には全く不適であり、また、粘質物に凝集作用をもたらす水酸化カルシウムなどの凝集剤を必要とし、不経済であるなどの不都合をもたらす。 特許文献5に記載の発明によれば、納豆に真空凍結乾燥を施すので、装置及び製造コストの増大をもたらすばかりでなく、分離した外層部と内層部とを利用するに当たり、解凍する必要が不可欠であるなどの不都合をもたらす。 本発明は、上記従来の技術に鑑み、上記の課題を解消し、粘質物を納豆から分離するために水を溶媒として使用したり、納豆を凍結乾燥したりする面倒な手段を必要とすることなく簡単な作業で納豆から粘質物を高能率且つ経済的に除去し得られると共に、おからの食用又は飼料としての利用価値の向上をもたらす納豆の粘質物の除去法を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0004】 本発明の納豆の粘質物の除去法は、納豆におからを添加、撹拌することを特徴とする。 更に本発明は、上記本発明の方法により得られた除粘納豆と粘質物抱埋おからから成る混合物及び該混合物を篩分けにより得られる除粘納豆及び粘質物抱埋おからに存する。 【発明の効果】 【0005】 納豆とおからの配合物を撹拌することにより、納豆の各粒の表面に付着している糸引性の粘質物は、意外なことに、これに接触するおからの粒子により奪取され、納豆の各豆粒の表面から粘質物は除かれた納豆となり、同時に、一方、粘質物を納豆から奪取したおからの各粒子は、意外なことに、これに付着した粘質物により、相互に結着したり、粘着物が糸を引くという現象を全く生ずることなく、各粒子はバラバラの状態で得られる以下に定義するように、「粘質物抱埋おから」となる不思議な現象を生ずる。上記の本発明によれば、水を溶媒とすることなく、単に撹拌操作だけで納豆から粘質物を除去できる。 而も、このようにして得られた粘質物を除かれた豆粒から成る納豆(以下除粘納豆と言う)と粘質物を抱埋した粒子から成る抱埋おからとの混合物は、全体として、粘着性も糸引性もないさらさらした混合物として得られるので、これを篩にかけるだけで、篩目をパスした抱埋おからと篩上に除粘納豆とに分離することができる効果をもたらす。而も、おからには上記の健康保持効果を有する粘質物を含有するので、従来、単に、おからを使用し、種々の分野の食品の製造や、薬効を有する健康食品の製造に添加したり、飼料に添加する場合に比し、栄養価の向上した食品、薬効のある健康食品、或いは栄養価の向上した飼料をもたらす。 【発明を実施するための最良の形態】 【0006】 本発明によれば、常法によって豆腐又は豆乳を製造する過程で、副産物として生ずるおからをそのまゝ、或いはこれを乾燥処理したものを納豆の粘質物除去に利用することができる。通常の副産物として生じた直後のおからを用いる場合は、納豆に対する配合比は、重量で、納豆1に対しおから0.5〜1.5の配合割合が一般であり、就中、1:1前後が好ましい。例えば、処理するべき納豆におからを等量添加し、これを撹拌するとその撹拌操作に伴い、瞬時に納豆の各豆粒の表面に付着している粘質物は消失し、糸引性のなくなった豆粒から成る除粘納豆となる意外な現象を生じ、同時に、驚くべきことに、納豆の該粘質物はおからの無数の粒子側に転移していた。即ち、おからは、粘質物を納豆から奪取する性能を有することが知見された。而も、更に意外なことには、おからの各粒子は、粘質物を奪取した後でも粘質物により各粒子が結着したり、糸を引いたりする現象はなく、おからの湿った感触はあるが、全体としてさらさらした粒子で存在していることが知見された。かくして、各粒子がバラバラの状態の粘質物を含有したおからが得られた。 従って、全体として、糸引性やネバのないかゝるバラバラに混在する豆粒から成る除粘納豆と粘質物を保持した粒子から成る粘質物含有おからとから成る混合物が得られるので、これを篩にかける簡単な作業により、粘質物含有おからと除粘納豆とに簡単に分離することができる。 【0007】 上記のように、納豆とおからとの配合物を撹拌した場合は、納豆の表面の粘質物がおから側に転移する現象は何に起因するか未だ明らかでなく今後究明されるべき課題であるが、おからの粘質物に対する親和力が納豆の粘質物に対する親和力(化学親和力又は/及び電子親和力)より強いという特性がおからに有するからであろうと推察する。 また、粘質物を奪取したおからの粒子はその粘質物により粒子相互が結着することなく、更に、指で摘み圧力をかけても結着し集塊を作ったり、団子状となったりすることなく、揉めば直ちにバラバラの粒子にほぐれ、粘質物により糸を引くこともなく、含有水分で単に湿った感触を与えるバラバラの粒子として存在するという現象が確認された。かゝるおからのこの意外な現象は、おからの繊維間の微孔内に粘質物が入り込むからであろうかと推察するが、これだけでは、この意外な現象を説明できない。今後、追求されるべき問題である。 そこで、本発明では、上記のおからの特異な現象をもたらす粘質物を奪取した粒子から成るおからを「粘質物抱埋おから」と定義する。 【0008】 次に、上記の方法により得られた抱埋おからを、自然乾燥や、60℃以下の低温による風乾、或いは冷蔵庫に入れて乾燥するなどの乾燥処理を施して得られた抱埋おからを、納豆に対し等量配合したものを撹拌したところ、その乾燥した抱埋おからは、納豆からその表面の粘質物を奪取し納豆を除粘納豆とする能力を尚有する抱埋することを知見した。 そこで、豆腐や豆乳の製造過程で得られるおからを、所望により上記の乾燥方法で乾燥し、乾燥したおからを納豆に添加、撹拌するようにしてもよく、この場合は、納豆からの粘質物の奪取、抱埋性能を未乾のおからに比し著しく増大できる。 【0009】 上記のように未乾のおから又は乾燥処理したおからを用い、上記の本法により得られた除粘納豆の分散した除粘豆粒と抱埋おからの分散した粒子から成る混合物は、粘着性がなく、さらさらした性状を有するので、これを容易に除粘納豆と粘質物抱埋おからとに篩い分けすることが可能であるが、篩分けする前に、自然乾燥、温風乾燥、冷蔵乾燥などの乾燥処理を行った後、篩分けするようにすることにより更に迅速な分離ができる。 尚、該混合物や分離した除粘納豆及び抱埋おからは、必要に応じ、ミルなどで微粉砕して粉末状の製品とすることもできる。 【0010】 尚また、必要に応じ、篩分け前の上記の混合物を乾燥処理したもの又は分取し且つ乾燥処理した除粘納豆及び粘質物抱埋おからを凍結乾燥し、或いは缶詰などの密封容器により長期保存するようにし、需要に応じ食用又は飼料用として供給することができるようにする。 【0011】 このようにして分取したところ、除粘納豆は、水又は熱水に浸漬することにより柔軟な消化性の良い納豆に復元し、粘質物による相互結着性がないので、その各豆粒は、液体調味料や米飯など所望の食材と均一に混合することができ、更には、種々の食品製造に豆粒のまゝ或いは粉砕して利用できる。 また、粘質物抱埋おからは、粘質物を含有するので、従来のおからのみを食用又は飼料として利用するに比し、栄養に富み且つ薬効を有し、その利用価値を向上する。その利用に当たり、そのまゝ或いはミルで粉砕して健康食品加工に利用する。 【0012】 本発明の方法により得られた製品、即ち、上記の混合物及び該混合物を分離して得られた除粘納豆及び抱埋おからは、従来、納豆及びおからが利用されている公知の各種の利用形態で利用できる。詳細には、パン類、和・洋菓子類、スナック食品、味噌、醤油、チーズなどの発酵食品類、麺類、パスタ類、練製品類、漬物類、サラダドレッシングなどのドレッシングその他の各種調味料、香辛料、ふりかけ類、機能性健康食品などの所望の食品の製造において、添加し、更には出願人が先に特開2003−310197公報に開示したように、製麹用材料として利用し、また、従来のおからに代えて抱埋おからを家畜飼料に配合して利用する。 【0013】 次に、更に詳細な実施例を比較例と共に併記する。 実施例1 市販納豆100gと自家製おから100gを容器に投入し、その配合物を撹拌したところ、瞬時に納豆の各豆粒の粘質物は除去され、糸引性のない除粘豆粒となると同時に、おからの各粒子は、粘質物抱埋粒子となり、且つ夫々の粒子は粘質物による相互結着も、糸を引くこともなく、バラバラの状態で除粘納豆の多数の豆粒と混在し、全体として湿った状態で且つ非粘着性で粒子分散状態の混合物が得られた。次いで、この混合物を冷蔵庫に入れ24時間後取り出したところ、全体として乾いたさらさらの混合物となっていた。次いで、この乾燥混合物を篩にかけたところ、粘質物抱埋おからの粒子は篩目をパスさせ、約35gの粘質物抱埋おからを得た。一方、篩上に約95gの除粘納豆が得られた。 実施例2 実施例1を繰り返して得られた乾燥した粘質物抱埋おからの堆積物から100gを取り出し、これを市販納豆100gとを配合し、撹拌混合したところ、瞬時に、市販納豆の粘質物が除去された豆粒から成る除粘納豆と粘質物を納豆から奪取した粘質物抱埋おからから成る全体としてさらりとした混合物を得た。これを、常温で風乾すると、各豆粒の表面が乾燥した除粘納豆と乾燥抱埋おからとから成る全体としてさらさらの乾燥混合物が短時間に得られた。次いで、これを篩にかけ、除粘納豆と粘質物抱埋おからを分離取得した。 実施例3 自家製おからを常温で風乾したものを100gと市販納豆300gとを配合し、これを掻き混ぜると、瞬時に、非粘着性の除粘納豆と非粘着性の粘質物抱埋おからとから成る全体としてさらさらした状態の混合物を得た。この混合物を篩にかけると、粘質物抱埋おからは篩目をパスし、篩上に除粘納豆を得た。このように、乾燥したおからを使用するときは、未乾のおからに比し、約3倍の納豆の除去ができることが判った。 比較例1 黄な粉100gと納豆100gとを容器に投入し、これを撹拌したところ、黄な粉の粒子は納豆の各豆粒表面の粘質物に絡み付き団子状となり、黄な粉による納豆からの粘質物の除去はできなかった。 比較例2 黄な粉に代え小麦粉を使用したが、黄な粉と同様の現象を生じ、小麦粉による納豆からの粘質物の除去はできなかった。
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| 【出願人】 |
【識別番号】392000729 【氏名又は名称】越智 猛夫 【識別番号】504167698 【氏名又は名称】安原 義 【識別番号】504167322 【氏名又は名称】淵上 正昭
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| 【出願日】 |
平成16年4月27日(2004.4.27) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100064322 【弁理士】 【氏名又は名称】北村 和男
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| 【公開番号】 |
特開2005−312309(P2005−312309A) |
| 【公開日】 |
平成17年11月10日(2005.11.10) |
| 【出願番号】 |
特願2004−130699(P2004−130699) |
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