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【発明の名称】 飲料中の溶存酸素濃度を低下させる装置および方法
【発明者】 【氏名】別惣 俊二
【住所又は居所】兵庫県三原郡緑町広田552−1 株式会社イズミフードマシナリ淡路工場内

【氏名】杉船 大亮
【住所又は居所】兵庫県三原郡緑町広田552−1 株式会社イズミフードマシナリ淡路工場内

【要約】 【課題】本発明は、香味成分や風味成分の逸散を伴うことなく、また衛生的見地からも優れた、飲料中の溶存酸素濃度を低下させる装置および方法を提供することを目的とする。

【解決手段】本発明の飲料中の溶存酸素濃度を低下させる装置は、飲料を微粒子化し減圧雰囲気に曝すことにより、該飲料中の溶存酸素濃度を低下させる装置であって、該飲料の微粒子化について、該飲料を加圧噴霧させることにより平均粒子径50μm以上1000μm以下の微粒子とすることを特徴としている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料を微粒子化し減圧雰囲気に曝すことにより、前記飲料中の溶存酸素濃度を低下させる装置であって、
前記飲料の微粒子化は、前記飲料を加圧噴霧させることにより平均粒子径50μm以上1000μm以下の微粒子とすることを特徴とする、飲料中の溶存酸素濃度を低下させる装置。
【請求項2】
前記減圧雰囲気は、前記減圧雰囲気に曝される前記飲料の温度における前記飲料の飽和蒸気圧をV(MPa)とした場合に、V(MPa)以上、V+0.02(MPa)以下の圧力を有する雰囲気であることを特徴とする、請求項1記載の飲料中の溶存酸素濃度を低下させる装置。
【請求項3】
前記飲料の温度は、凍結点以上20℃以下であることを特徴とする、請求項1記載の飲料中の溶存酸素濃度を低下させる装置。
【請求項4】
前記飲料の微粒子化は、前記飲料を噴霧ノズルにより加圧噴霧することにより行なわれ、前記噴霧ノズルに供給される飲料の圧力または流量を制御することにより前記平均粒子径を制御することを特徴とする、請求項1記載の飲料中の溶存酸素濃度を低下させる装置。
【請求項5】
前記噴霧ノズルは、1個または複数個配置されていることを特徴とする、請求項4記載の飲料中の溶存酸素濃度を低下させる装置。
【請求項6】
飲料を微粒子化し減圧雰囲気に曝すことにより、前記飲料中の溶存酸素濃度を低下させる方法であって、
前記飲料の微粒子化は、前記飲料を加圧噴霧させることにより平均粒子径50μm以上1000μm以下の微粒子とすることを特徴とする、飲料中の溶存酸素濃度を低下させる方法。
【請求項7】
前記減圧雰囲気は、前記減圧雰囲気に曝される前記飲料の温度における前記飲料の飽和蒸気圧をV(MPa)とした場合に、V(MPa)以上、V+0.02(MPa)以下の圧力を有する雰囲気であることを特徴とする、請求項6記載の飲料中の溶存酸素濃度を低下させる方法。
【請求項8】
前記飲料の温度は、凍結点以上20℃以下であることを特徴とする、請求項6記載の飲料中の溶存酸素濃度を低下させる方法。
【請求項9】
前記飲料の微粒子化は、前記飲料を噴霧ノズルにより加圧噴霧することにより行なわれ、前記噴霧ノズルに供給される飲料の圧力または流量を制御することにより前記平均粒子径を制御することを特徴とする、請求項6記載の飲料中の溶存酸素濃度を低下させる方法。
【請求項10】
前記噴霧ノズルは、1個または複数個配置されていることを特徴とする、請求項9記載の飲料中の溶存酸素濃度を低下させる方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料中の溶存酸素濃度を低下させる装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、飲料中の溶存酸素濃度を低下させる試みが種々なされてきた。これは、飲料中に溶存酸素が含まれていると、飲料の風味や色調を害したり、また缶詰飲料の場合には容器内面を腐蝕したり剥離させたりする問題が生じるためである。
【0003】
このような飲料中の溶存酸素濃度を低下させる試みの一つとして、一般に加圧噴霧式真空脱気装置と呼ばれる装置を用いて固定噴霧ノズルより飲料を微粒子化し、減圧された脱気槽中に噴霧することにより飲料中の溶存酸素濃度を低下させる方法が知られている。この方法は、加圧状態にある飲料を急激に減圧下に放出させることにより、フラッシュ蒸発を利用して脱気させるものである(特許文献1)。
【0004】
しかし、この方法によると、溶存酸素濃度の低下は図れるものの、溶存酸素とともに飲料中の香味成分(フレーバー)や風味成分も同時に逸散してしまうため、香味や風味を残存させる必要のある飲料の処理としては適さなかった。
【0005】
一方、上記のような方法の問題点を回避するために、窒素ガス等の不活性ガスを飲料中に導入し、溶存酸素濃度を低下させるという方法が試みられている(特許文献2)。
【0006】
しかし、この方法によると、不活性ガスの使用による製造コストの上昇と装置の複雑化を招き、また飲料の予備加熱も必要であった。装置が複雑化したり、予備加熱を必要とすることから、衛生的見地によりその改善が望まれていた。
【特許文献1】特開平6−246259号公報
【特許文献2】特許第3083798号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述のような現状に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、香味成分や風味成分の逸散を伴うことなく、また衛生的見地からも優れた、飲料中の溶存酸素濃度を低下させる装置および方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の飲料中の溶存酸素濃度を低下させる装置は、飲料を微粒子化し減圧雰囲気に曝すことにより、該飲料中の溶存酸素濃度を低下させる装置であって、該飲料の微粒子化について、該飲料を加圧噴霧させることにより平均粒子径50μm以上1000μm以下の微粒子とすることを特徴としている。
【0009】
上記減圧雰囲気は、上記減圧雰囲気に曝される前記飲料の温度における前記飲料の飽和蒸気圧をV(MPa)とした場合に、V(MPa)以上、V+0.02(MPa)以下の圧力を有する雰囲気とすることが好ましい。
【0010】
また上記飲料の温度は、凍結点以上20℃以下とすることが好ましく、上記飲料の微粒子化は、上記飲料を噴霧ノズルにより加圧噴霧することにより行なわれ、上記噴霧ノズルに供給される飲料の圧力または流量を制御することにより上記平均粒子径を制御することができる。また上記噴霧ノズルは、1個または複数個配置されていることが好ましい。
【0011】
一方、本発明の飲料中の溶存酸素濃度を低下させる方法は、飲料を微粒子化し減圧雰囲気に曝すことにより、該飲料中の溶存酸素濃度を低下させる方法であって、該飲料の微粒子化について、該飲料を加圧噴霧させることにより平均粒子径50μm以上1000μm以下の微粒子とすることを特徴としている。
【0012】
上記減圧雰囲気は、上記減圧雰囲気に曝される上記飲料の温度における上記飲料の飽和蒸気圧をV(MPa)とした場合に、V(MPa)以上、V+0.02(MPa)以下の圧力を有する雰囲気とすることが好ましい。
【0013】
また上記飲料の温度は、凍結点以上20℃以下とすることが好ましく、上記飲料の微粒子化は、上記飲料を噴霧ノズルにより加圧噴霧することにより行なわれ、上記噴霧ノズルに供給される飲料の圧力または流量を制御することにより上記平均粒子径を制御することができる。また上記噴霧ノズルは、1個または複数個配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の飲料中の溶存酸素濃度を低下させる装置および方法によると、香味成分や風味成分の逸散を伴うことなく飲料中の溶存酸素濃度を低下させることが可能である。また、衛生的見地からも優れたサニタリー構造とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
<飲料中の溶存酸素濃度を低下させる装置>
本発明の飲料中の溶存酸素濃度を低下させる装置は、飲料を微粒子化し減圧雰囲気に曝すことにより、該飲料中の溶存酸素濃度を低下させる装置であって、該飲料の微粒子化は、該飲料を加圧噴霧させることにより平均粒子径50μm以上1000μm以下の微粒子とすることを特徴とするものである。
【0016】
ここで、飲料中の溶存酸素濃度を低下させるとは、飲料を本発明の装置により処理することにより飲料に含まれている溶存酸素を可能な限り除去し(飲料中から逸散させ)、該処理後の飲料中の溶存酸素濃度を5ppm以下、好ましくは3ppm以下とすることをいう。これにより、飲料の風味や色調が害されるのを防止することができ、また缶詰飲料の場合には容器内面が腐蝕したり剥離したりする問題を解消することができる。
【0017】
また、減圧雰囲気に曝すとは、微粒子化された飲料を減圧雰囲気中に配置させることをいう。たとえば、減圧雰囲気を提供する設備として本発明の装置中に備えられている脱気槽を用いる場合、飲料を該脱気槽中に加圧噴霧させることにより、微粒子化された飲料が該脱気槽中を飛行し減圧雰囲気に曝されることになる。
【0018】
このように本発明の飲料中の溶存酸素濃度を低下させる装置は、飲料を加圧噴霧することにより微粒子化することを特徴とするものであるが、飲料中の溶存酸素濃度を低下させる方式としては飲料を薄膜状にして処理する方式も考えられる。このような方式を採用した従来装置としては、薄膜流下式ディアレーターという名称で呼ばれるものがある。これは、該装置の内壁面に対して飲料を薄膜状に流下させることにより減圧雰囲気に曝す構造のものである。
【0019】
しかし、このように飲料を薄膜状にして処理する方式のものは、処理される飲料の総表面積の関係(総表面積を大きくして減圧雰囲気に曝すことが好ましい)から、本発明のように飲料を微粒子化して処理する方式のものに比し、装置を大型化させる必要があり、逆に装置の大きさを同程度のものにした場合には、時間当りに処理される液量が半分程度以下のものになってしまう。
【0020】
したがって、本発明の装置は、従来のような飲料を薄膜状にして処理する方式の装置に比し、処理能力に優れるとともに、装置自体を非常にコンパクトなものとすることができるというメリットがある。
【0021】
なお、本発明の飲料中の溶存酸素濃度を低下させる装置は、窒素ガスのような脱気用の不活性ガスの導入を伴わないものであるから、装置の複雑化を防止でき、また予備加熱を必要とすることもないため、これらが相俟って衛生的に優れたものとなる。しかし、必要な衛生的手段を採用することにより、不活性ガスの導入を伴った構造のものとしても差し支えない。
【0022】
<飲料>
本発明が対象とする飲料は、特に限定されるものではなく、広範囲のものに適応することができる。たとえば、牛乳、乳性飲料、果汁飲料、コーヒー、紅茶、緑茶、炭酸飲料、アルコール、ミネラルウォーター、栄養ドリンク、だし、麺汁、あるいはこれらの飲料の製造過程で用いられる調合用や抽出用の水等を挙げることができる。なお、各種液状医薬品(目薬等も含む)も含まれる。
【0023】
<飲料の微粒子化>
上記飲料の微粒子化は、該飲料を加圧噴霧させることにより平均粒子径50μm以上1000μm以下の微粒子とすることにより行なわれる。処理される飲料の粒子径をこのような特定範囲のものとすることにより、他の不都合を伴うことなく飲料中の溶存酸素濃度を非常に効率良く低下させることが可能となる。
【0024】
飲料の粒子径が小さくなればなる程、同一質量当たりの表面積は大きくなるため、理論上、飲料中に含まれている溶存酸素は除去されやすくなるものと考えられる。しかし、平均粒子径が50μm未満となる場合には、香味成分や風味成分の逸散が顕著になるという不都合を伴う。また特に、牛乳や乳性飲料の場合には、飲料中に微粒子状態で含まれている脂質が飲料の粒子径が小さくなり過ぎることにより破壊されてしまい、味が害されるという不都合も生じる。
【0025】
またさらに、平均粒子径を小さくするためには、加圧噴霧時の圧力を高める必要があり、このように高められた圧力により飲料を加圧噴霧すると、噴霧された飲料微粒子の飛行速度は高速となり、装置の壁面に短時間で到達することになる。このため、減圧雰囲気に曝される時間も短時間となり、結果的にコンパクトな装置で溶存酸素の除去を十分に図ることができなくなる。
【0026】
また、飲料を微粒子化して減圧雰囲気に曝す場合、各微粒子に対してある程度の容量を有する減圧雰囲気を提供する必要があるが、同一質量の場合粒子径が小さくなればなる程粒子数は増え、結果的に減圧雰囲気の容量が不足する。このため、この場合処理液量を少量とする他はなく、以って処理効率が非常に低下することになる。このような理由により、平均粒子径は、50μm以上のものとすることが好ましい。
【0027】
一方、平均粒子径が1000μmを超えると、飲料中に含まれている溶存酸素にとって、飲料微粒子の界面に到達するまでの距離が長くなることから、効率良く溶存酸素を除去することができなくなる。この結果、所期の目的を達成することができなくなってしまう。
【0028】
このような平均粒子径は、より好ましくは、その下限を150μm、さらに好ましくは200μm、その上限を800μm、さらに好ましくは600μmとすることが好適である。
【0029】
なお、本発明の平均粒子径とは、ザウター平均粒子径をいう。また、その平均粒子径の測定方法は、液浸法による。
【0030】
この平均粒子径の測定方法についてより具体的に説明すると、まず粒子受け液を充填したシャーレに対して、上記減圧雰囲気に曝すのと同条件で飲料を加圧噴霧させる。その粒子受け液は、加圧噴霧された粒子の形状をそのまま保持し、以ってこれをレーザー照射により測定することにより、平均粒子径を求めるものである。
【0031】
そして、このような粒子受け液としてはシリコンオイルを用いることが好ましい。牛乳や果汁等の飲料は、水性であるため、シリコンオイルを用いれば加圧噴霧された粒子の形状を安定に保持することができるため好適である。
【0032】
一方、上記の測定結果を用いてザウター法(ザウターd32)により平均粒子径を求めるには、以下の式(1)を用いることができる。すなわち、100μmの範囲ごとにグループ分けされた各粒子径のものに対して粒子数をカウントし、その数値から以下の式(1)に基づいて平均粒子径を求めるものである。
【0033】
ザウター平均粒子径=Σ(n×d3)/Σ(n×d2)・・・(1)
上記式中、dは中央値、nは粒子個数を示す。中央値とは、粒子径を100μmごとの範囲にグループ分けした際の中央値である。たとえば、粒子径が0〜100μmのグループの中央値は50μmであり、粒子径が100〜200μmのグループの中央値は150μmである。また粒子個数とは、上記各グループごとに含まれる粒子数の総数を示す。
【0034】
<飲料の平均粒子径の制御>
上記飲料の微粒子化は、上記飲料を噴霧ノズルにより加圧噴霧することにより行なわれ、該噴霧ノズルに供給される飲料の圧力または流量を制御することにより上記平均粒子径を制御することができる。
【0035】
上記流量は、装置全体の大きさにもよるが、大略100リットル/時以上、20000リットル/時以下とすることが好ましい。流量が少ない方が飲料中の溶存酸素濃度を効率良く低下させることができるが、その反面処理効率が低下することになる。一方、流量を多くすると、処理効率を向上させることができる反面、飲料中の溶存酸素濃度を効率良く低下させることができなくなる。
【0036】
一方、上記圧力(吐出圧力)は、ゲージ圧(絶対圧から大気圧を差し引いた圧力)として大略0.05MPa以上5MPa以下とすることが好ましい。この圧力は、噴霧ノズルの型式や噴霧ノズル一個当たりの流量およびその条件での飲料の平均粒子径を勘案して選択することができる。
【0037】
上記圧力が高くなる程、平均粒子径を小さくすることができるが、上述の通り飲料微粒子の飛行速度が高速となり、結果的に溶存酸素を十分に除去することができなくなる。一方、圧力を過度に低くすると、平均粒子径が大きくなり、このため飲料中の溶存酸素濃度を効率良く低下させることができなくなる。
【0038】
本発明においては、このようにして適宜噴霧ノズルに供給される飲料の圧力または流量を制御することにより上記平均粒子径を制御することができる。
【0039】
<減圧雰囲気>
本発明における上記減圧雰囲気とは、大気圧に比し減圧状態にある雰囲気をいい、たとえばそのような雰囲気は、本発明の装置に備えられている脱気槽中の空気等を真空ポンプ等の吸引装置により吸引することにより提供されるものである。
【0040】
このような減圧雰囲気は、その圧力を低くすればする程、飲料中の溶存酸素の除去には好ましい条件となるが、その反面飲料自体に含まれている香味成分や風味成分なども同時に逸散してしまうことになる。一方、その圧力が高くなると、飲料中の溶存酸素を効率良く除去させることができなくなる。このため、その減圧雰囲気の圧力を選択することは、上記平均粒子径の選択同様、極めて重要となる。
【0041】
したがって、このような減圧雰囲気としては、該減圧雰囲気に曝される飲料の温度における該飲料の飽和蒸気圧をV(MPa)とした場合に、V(MPa)以上、V+0.02(MPa)以下の圧力を有する雰囲気とすることが好ましい。
【0042】
より好ましくは、その上限がV+0.015(MPa)、さらに好ましくはV+0.010(MPa)、その下限がV+0.001(MPa)、さらに好ましくはV+0.003(MPa)とすることが好適である。
【0043】
たとえば、水性の飲料であって、20℃以下の飲料にあっては、このような減圧雰囲気の圧力として−0.098MPa(ゲージ圧)〜−0.09MPa(ゲージ圧)程度の圧力を採用することが好ましく、このような圧力を採用することにより上記の条件を充足することができ好適である。
【0044】
<飲料の温度>
上記減圧雰囲気に曝される飲料の温度としては、凍結点以上20℃以下とすることが好ましい。飲料中から溶存酸素を除去するためには、理論上は温度が高い程好ましいといえる。しかし、過度の高温は、香味成分や風味成分の逸散を招くとともに味自体を悪化させることがあるため好ましくない。また、室温ないし50℃程度の温度では、微生物の活動が活発化し衛生的見地から好ましくない。
【0045】
そこで、本発明においては、上記減圧雰囲気に曝される飲料の温度としては、室温以下、さらに好ましくは凍結点以上20℃以下、より好ましくは5℃以上15℃以下の温度を採用することが好適である。
【0046】
<装置の構成>
本発明の飲料中の溶存酸素濃度を低下させる装置の構成について、図1および図2を例にとり説明する。なお、本願の図面において同一の参照符号を付したものは、同一部分または相当部分を示す。
【0047】
図1に示したように、本発明の飲料中の溶存酸素濃度を低下させる装置1は、基本的に脱気槽2、該脱気槽2に備えられている噴霧ノズル4、および該脱気槽2に備えられている真空ポンプ6からなるものである。
【0048】
該脱気槽2は、該真空ポンプ6により吸引されることにより、減圧雰囲気を提供するものである。また該噴霧ノズル4は、減圧雰囲気(脱気槽2)中に飲料を加圧噴霧するものである。
【0049】
なお、該噴霧ノズル4は、該装置(脱気槽2)中に1個または複数個配置することができ、その配置状態も脱気槽2の形状等に合わせて任意に選択することができる。たとえば、図1のように、該噴霧ノズル4は脱気槽2の上部に配置することができる一方、図2のように、脱気槽2中に横向きの噴射として配置することもできる。また、該噴霧ノズル4は、脱気槽2の下部に配置してもよい。
【0050】
また、脱気槽2の形状は、特に限定されるものではなく、たとえば図1に示したような縦型(縦長型)のものであってもよいし、また図示はしないが横型(横長型)のものであってもよい。
【0051】
飲料は、バルブ14を開くことにより、噴霧ノズル4まで送液され、噴霧ノズル4により微粒子3にされて減圧雰囲気に曝されることになる。なお、フローコントローラー8をバルブ14に近接させて付設することにより、噴霧ノズル4に供給される飲料の圧力または流量を制御することができる。
【0052】
また、噴霧ノズル4から噴霧された飲料の微粒子3は、脱気槽2内を飛行することにより、減圧雰囲気に曝されることになる。そして、該微粒子3は、脱気槽2の壁面に到達し、その壁面を流下して脱気槽2の下部に貯められる。
【0053】
このようにして脱気槽2の下部に貯まった処理された飲料(溶存酸素濃度が低下した飲料)は、その下部にある取出し口からポンプ7およびバルブ21を介して装置外に排出される。なお、レベルコントローラー9を付設することにより、脱気槽2の下部に貯められる飲料の液面の高さを制御することができる。
【0054】
一方、脱気槽2内の減圧雰囲気は、真空ポンプ6により脱気槽2内を吸引することにより調節される。その吸引口5には、気液分離器(フィルター)を取り付けることが好ましく、これにより微粒子化された飲料が真空ポンプ6の方へ直接吸引されることを防止することができる。
【0055】
なお、上記減圧雰囲気の調節は、バルブ13を介して真空ポンプ6の近傍に付設されている圧力計10および真空度調圧バルブ20により制御することができる。
【0056】
また、真空ポンプ6としては、水封式のものが好ましく、シール水をバルブ17で供給させながら容器18に貯めるとともに、ポンプ11により循環させることにより水封することができる。
【0057】
なお、このシール水の温度は、チルド水がバルブ19を通じて循環する熱交換器12により制御することができる。特に、このシール水の温度を低く制御することにより、低温で供給される飲料に対応した減圧雰囲気を提供することが可能となる。
【0058】
また、上記脱気槽2は、バルブ15およびバルブ16を適宜開閉することにより、洗浄液を上記吸引口5から導入させることによって、洗浄することができ、衛生的に好適な環境を提供することができる。
【0059】
このように本発明の飲料中の溶存酸素濃度を低下させる装置は、極めてシンプルな構造を有するものであり、簡単に蒸気殺菌できる衛生的に優れたものである。
【0060】
<飲料中の溶存酸素濃度を低下させる方法>
本発明の飲料中の溶存酸素濃度を低下させる方法は、飲料を微粒子化し減圧雰囲気に曝すことにより、該飲料中の溶存酸素濃度を低下させる方法であって、該飲料の微粒子化として、該飲料を加圧噴霧させることにより平均粒子径50μm以上1000μm以下の微粒子とすることを特徴とするものである。
【0061】
上記減圧雰囲気は、上記減圧雰囲気に曝される飲料の温度における該飲料の飽和蒸気圧をV(MPa)とした場合に、V(MPa)以上、V+0.02(MPa)以下の圧力を有する雰囲気とすることが好ましい。
【0062】
また、上記飲料の温度は、凍結点以上20℃以下であることが好ましく、上記飲料の微粒子化は、上記飲料を噴霧ノズルにより加圧噴霧することにより行なわれ、上記噴霧ノズルに供給される飲料の圧力または流量を制御することにより上記平均粒子径を制御することができる。また、上記噴霧ノズルは、1個または複数個配置されていることが好ましい。
【実施例】
【0063】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0064】
<実施例1〜6>
まず、飲料として牛乳を用い、上記で説明した装置(図1)を用いて複数の処理条件(実施例1〜6)の下、飲料を微粒子化し減圧雰囲気に曝すことにより、飲料中の溶存酸素濃度を低下させる処理を行った。
【0065】
その具体的処理条件および結果は以下の表1の通りである。なお、溶存酸素濃度は、隔膜型ガルバニ電池式(飯島電子工業株式会社製、DOメータ 型式B−505)により測定した。
【0066】
【表1】


【0067】
上記表中、処理液温度とは、減圧雰囲気に曝される際の飲料の温度(本装置に供給される飲料の温度)である。吐出圧力とは、飲料を噴霧ノズルにより加圧噴霧する際の圧力である。噴射角とは、噴霧ノズルにより噴霧される飲料の飛行範囲の広がりを示すものである。
【0068】
上記表より明らかな通り、いずれの実施例においても、処理前の溶存酸素濃度(7.50〜12.00ppm)が、処理後には飛躍的に低下している(処理後の溶存酸素濃度(0.96〜1.69ppm))。
【0069】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】飲料中の溶存酸素濃度を低下させる装置の概略図である。
【図2】噴霧ノズルの異なった配置状態を部分的に示した概略図である。
【符号の説明】
【0071】
1 飲料中の溶存酸素濃度を低下させる装置、2 脱気槽、3 微粒子、4 噴霧ノズル、5 吸引口、6 真空ポンプ、7,11 ポンプ、8 フローコントローラー、9 レベルコントローラー、10 圧力計、12 熱交換器、13,14,15,16,17,19,21 バルブ、18 容器、20 真空度調圧バルブ。
【出願人】 【識別番号】000127237
【氏名又は名称】株式会社イズミフードマシナリ
【住所又は居所】大阪府大阪市西区阿波座二丁目2番18号
【識別番号】503058751
【氏名又は名称】日本ミルクコミュニティ株式会社
【住所又は居所】東京都新宿区富久町10番5号
【出願日】 平成16年4月22日(2004.4.22)
【代理人】 【識別番号】100064746
【弁理士】
【氏名又は名称】深見 久郎

【識別番号】100085132
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 俊雄

【識別番号】100083703
【弁理士】
【氏名又は名称】仲村 義平

【識別番号】100096781
【弁理士】
【氏名又は名称】堀井 豊

【識別番号】100098316
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 久登

【識別番号】100109162
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 將行

【公開番号】 特開2005−304390(P2005−304390A)
【公開日】 平成17年11月4日(2005.11.4)
【出願番号】 特願2004−126319(P2004−126319)