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【発明の名称】 モズクの水切り乾燥方法
【発明者】 【氏名】吉田 スエ子
【住所又は居所】沖縄県浦添市宮城1丁目26番8号 平安ビル201号 株式会社シーズ内

【要約】 【課題】モズクの水切り乾燥方法に関し、フコイダン成分が多いヌメリ部分を消失させることなしに、より短時間に効率的に乾燥可能とする。

【解決手段】簀の子や網などのような通水平体の上にモズクを拡げて水切りする際に、拡げたモズクの下側から上向きに圧縮空気を噴射することにより、ヌメリ部分が水分と一緒に自重で降下し落下しようとするのを阻止し、各モズク個体間の隙間から吹き上げる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
簀の子や網などのような通水平体の上にモズクを拡げて水切りする際に、拡げたモズクの下側から上向きに圧縮空気を噴射することを特徴とするモズクの水切り方法。
【請求項2】
前記のモズクに対し、圧縮空気の噴射手段を相対的に水平移動させることを特徴とする請求項1に記載のモズクの水切り方法。
【請求項3】
前記の圧縮空気の噴射口を複数有し、それぞれの噴射口から異なる方向に噴射することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のモズクの水切り方法。
【請求項4】
モズクを海水で洗浄した後にオゾン水で殺菌洗浄してから、前記の水切りを行ない、しかも前記のオゾン水による殺菌洗浄の時間よりも海水による洗浄時間を長くすることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3に記載のモズクの洗浄水切り方法。
【請求項5】
前記の手法による水切りを行なった後に、乾燥用の空気が流れる乾燥室にモズクを収納することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの項に記載のモズクの水切り乾燥方法。
【請求項6】
乾燥工程より前の水切り工程で、簀の子や網などのような通水平体の上に拡げたモズクに下側から上向きに圧縮空気を噴射して水切りすることによって、各モズク個体間に空隙が形成されて、ふんわりした状態となっていることを特徴とする乾燥モズク。
【請求項7】
モズクを載せて拡げる通水平体が水平方向に移動する構造になっており、前記の移動中の通水平体の下側から上方に向けて圧縮空気を噴射する噴射手段を有していることを特徴とするモズクの水切り装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、モズクの水切り乾燥方法に関し、フコイダン成分が多いとされているヌルヌルしたヌメリ部分を消失させることなしに、しかもより短時間に効率的に乾燥可能とすることを目的とする。ヌメリ部分が消失しないように乾燥すると、使用時に水で戻したときに、ヌメリ部分に富んだ生のモズクと同様に復元するので、新鮮なモズクとして食べることができる。
【背景技術】
【0002】
乾燥モズクの製造に際して最も時間とコストのかかるのは乾燥工程であり、効率の良い乾燥機を要し、また乾燥機を大量に設備するには広いスペースを要する。したがって、より短時間により安価に乾燥できることが重要である。乾燥工程を効率化するには、乾燥前の水切り処理も肝要である。そして、乾燥モズクの品質を左右するのは、乾燥度のほかに、前記のヌメリ部分を如何にしてより多く残すかである。
【0003】
乾燥モズクを製造する方法として、各種の乾燥方法が提案されている。例えば、特開平1−144950号公報に記載の方法は、洗濯機の水槽に塩蔵モズクと水を入れて、真水と共に攪拌することによって、塩抜きを行なっている。その後、約1時間ザルの中に入れてモズクの水を切ってから、乾燥室に入れて熱風送風し、乾燥させる。一方、特開平1−211474号公報には、乾燥工程の前に、上下に配置した吸水性スポンジの間に挟んで、モズクの水分を吸い取る手法が開示されている。
【特許文献1】特開平1−144950
【特許文献2】特開平1−211474
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の水切り方法では、ザルの中に入れてモズクの水分が自重で自然に落下し消失するのを待つ方法であり、次の乾燥工程とのトータルの乾燥時間に長時間を要し、効率的でない。しかも、水分が自重で落下する際に、モズクの有効成分であるフコイダンを豊富に含んでいるモズクのヌメリ部分も水分と一緒に落下し消失する恐れがある。また、真水と共に攪拌して塩抜きしたり洗浄するため、モズク個体が水分を吸収して膨潤するので、乾燥とは逆行することになり、乾燥時間をかえって長引かせることになる。しかも、モズクが分泌しているモズク特有のヌメリ分を洗い流したり、その結果、モズク個体を保護しているヌメリ部分が消失して、モズク個体を損傷するなどの問題もある。
【0005】
特許文献2に記載の乾燥方法では、吸水性スポンジに水分がたっぷりと吸水されている状態では、モズクの水分を吸水する能力が低下する。また、上下からモズクを加圧して脱水する手法であるため、モズクが加圧されて密度の高い状態となり、各モズク個体間の通風性が悪くなって、次の乾燥工程で内部まで乾燥空気が十分に行き渡りにくくなる。また、簀の子の隙間にヌメリ部分を押し込んで加圧し、簀の子の目詰まりを来すので、簀の子自体の通風性も悪化する。さらに、簀の子の隙間がヌメリ部分で目詰まりし一体化した状態で乾燥するので、乾燥工程の後に乾燥モズクを引き剥がす際に、ヌメリ部分が簀の子にくっついたまま剥離するので、結果的にヌメリ部分の少ない製品となる。加えて、加圧の結果、完成状態では薄いシート状となり、製品としてのボリューム感に欠け、商品価値が低下する。
【0006】
本発明の技術的課題は、このような問題に着目し、乾燥工程の前の段階で十分に水切りすることによって、乾燥工程も含めたトータルの乾燥処理の効率化と処理時間の短縮化を図り、しかもモズク特有のヌメリ部分の消失を極力防止でき、加えてボリューム感が有り商品価値が高くなる、水切り乾燥方法を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の技術的課題は次のような手段によって解決される。請求項1は、簀の子や網などのような通水平体の上にモズクを拡げて水切りする際に、拡げたモズクの下側から上向きに圧縮空気を噴射することを特徴とするモズクの水切り方法である。このように、モズクを簀の子や網などの上に拡げて水切りする際に、拡げたモズクの下側から上向きに圧縮空気を噴射するため、モズク特有のヌメリ部分が水分と一緒に自重で降下し落下しようとするのを阻止し、吹き上げる作用をする。その結果、ヌメリ部分はモズクの上側に吹き上げられてから、上面に降下して重なるため、ヌメリ部分がモズクから分離し消失することはない。そして、水分は上方に吹き上げられて消失するため、効果的に水切りが行なわれ、次の乾燥工程における乾燥処理時間が短縮される。さらに、モズクに混在している小エビなどの異物が圧縮空気で吹き飛ばされるという利点もある。
【0008】
また、下側から吹き上げる圧縮空気によって各モズク個体が均一に吹き上げられるため、上下からスポンジなどで加圧されるのとは逆に、全体的に各モズク個体間に空隙ができて、ふんわりとした仕上がりとなる。その結果、次の乾燥工程において、各モズク個体間に乾燥用の循環空気が行き渡り、各モズク個体に周囲から循環空気が触れるので、乾燥効率も向上し、短時間に均一に乾燥される。しかも、全体的に各モズク個体間に空隙ができて、ふんわりとした、ボリューム感の有る製品に仕上がるので、商品価値の高い乾燥モズクを実現できる。
【0009】
さらに、従来の水切り法では、モズク特有のヌメリ部分が自重で垂れ下がって簀の子や網などにまとわり着いた状態で乾燥することとなり、乾燥後に簀の子や網などから剥離した痕跡が顕著に残り、品質を低下させる。また、剥離後は、ヌメリ部分が乾燥した状態で、簀の子や網などに付着したまま残るので、製品としてはヌメリ部分の減少を来すことになる。しかも、モズク特有のヌメリ部分が自重で垂れ下がって簀の子や網などにまとわり着いて、網目の部分を塞いでしまう結果、循環空気中で乾燥させる際の通風性を妨げる。そのため、乾燥効率を悪くし、乾燥に長時間を要する。ところが、本発明では、上向きの圧縮空気によって、ヌメリ部分が吹き上げられるので、簀の子や網などへの付着は少なくなり、かつ網目の目詰まりを防ぐので、循環空気が円滑にモズク個体間を通過可能となる。このように、ヌメリ部分に起因する各問題が効果的に解消されるので、ヌメリ部分の多い若モズクを乾燥させる場合に本発明は顕著な効果を発揮する。したがって、水に戻して食べる際も、ヌメリ分が多く、新鮮な生モズクと同様に復元する。
【0010】
請求項2は、前記のモズクに対し、圧縮空気の噴射手段を相対的に水平移動させることを特徴とする請求項1に記載のモズクの水切り方法である。このように、前記の簀の子や網などの上に拡げられたモズクに対し、圧縮空気の噴射手段が相対的に水平移動するため、拡げられた状態のモズク全体に対し均一に圧縮空気が噴射されることになり、全体的に均一にかつ迅速な水切りが行われる。
【0011】
請求項3は、前記の圧縮空気の噴射口を複数有し、しかもそれぞれの噴射口から異なる方向に噴射することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のモズクの水切り方法である。このように、前記の圧縮空気の噴射口を複数有し、しかもそれぞれの噴射口から異なる方向に圧縮空気を噴射するため、モズクの各部位が一方向からだけ噴射される場合と異なり、モズク個体1本1本が2方向からの噴射を受けるので、全体的に均一かつ迅速な水切りが行われる。
【0012】
請求項4は、モズクを海水で洗浄した後にオゾン水で殺菌洗浄してから、前記の水切りを行ない、しかも前記のオゾン水による殺菌洗浄の時間よりも海水による洗浄時間を長くすることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3に記載のモズクの洗浄水切り方法である。従来は、真水でモズクを洗浄しているケースが多い。特に、塩蔵モズクの場合は、塩抜きのために真水中で長時間攪拌している。冷凍モズクの場合は、解凍後の洗浄時に真水を使う。その結果、モズク個体が水分を吸収して膨潤してしまい、乾燥時間を長引かせる原因となる。これに対し、請求項4のように、海水で洗浄する時間が長いため、真水を吸収して膨潤することは少なく、次の水切り処理や乾燥処理にも好都合となる。
【0013】
請求項5は、前記の手法による水切りを行なった後に、乾燥用の空気が流れている乾燥室にモズクを収納することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの項に記載のモズクの水切り乾燥方法である。このように、前記の手法による水切りを行なった後に、乾燥用の空気が流れている乾燥室にモズクを収納して乾燥処理するが、乾燥室に移行した後も各モズク個体間の空隙が残っていて、ふんわりとしているので、各モズク個体間に循環空気が行き渡り、乾燥効率が向上する。しかも、全体的に各モズク個体間に空隙ができて、ふんわりとしたボリューム感の有る乾燥モズク製品に仕上がる。また、ヌメリ部分が自重で垂れ下がって簀の子や網などの網目を塞ぐのを上向き噴射空気で防いで、通気性を良くしてあるので、循環空気が円滑にモズク個体間に供給されて、効率的に乾燥させることができる。その結果、乾燥時間が大幅に短縮される。
【0014】
請求項6は、乾燥工程より前の水切り工程で、簀の子や網などの上に拡げたモズクに下側から上向きに圧縮空気を噴射して水切りすることによって、各モズク個体の間に空隙を形成して、ふんわりした状態となっていることを特徴とする乾燥モズクである。このように、乾燥工程の前の水切り工程において、モズクに下側から上向きの圧縮空気を噴射して水切りすることによって、乾燥モズク製品として仕上がった状態でも、各モズク個体1本1本の間に空隙ができてふんわりした状態となる。その結果、商品価値の高いモズク製品となり、また圧縮されたように密度の高い乾燥モズクと違って、空隙が多いため、食べた際の食感もサクッサクッとし、品質的にも満足できる製品となる。
【0015】
請求項7は、モズクを載せて拡げる通水平体が水平方向に移動する構造になっており、前記の移動中の通水平体の下側から上方に向けて圧縮空気を噴射する噴射手段を有していることを特徴とするモズクの水切り装置である。このように、この水切り装置は、モズクを載せて拡げる簀の子や網などの通水平体が水平方向に移動する構造になっているので、モズクに対し圧縮空気の噴射手段を相対的に水平移動させて、モズク全体を均一にかつ効率的に水切りできる装置を実現できる。また、前記の移動中の通水平体の下側から上方に向けて圧縮空気を噴射する噴射手段を有しているので、移動中のモズクの全面に対し、上向きの圧縮空気を噴射して、ヌメリ部分と水分を一緒にモズクの上方に吹き上げることが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1のように、モズクを簀の子や網などの上に拡げて水切りする際に、拡げたモズクの下側から上向きに圧縮空気を噴射するため、モズク特有のヌメリ部分が水分と一緒に自重で降下し落下しようとするのを阻止し、吹き上げる作用をする。その結果、ヌメリ部分はモズクの上側に吹き上げられてから、上面に降下して重なるため、ヌメリ部分がモズクから分離し消失することはない。そして、水分は上方に吹き上げられて消失するため、効果的に水切りが行なわれ、次の乾燥工程における乾燥処理時間が短縮される。さらに、モズクに混在している小エビなどの異物が圧縮空気で吹き飛ばされるという利点もある。
【0017】
また、下側から吹き上げる圧縮空気によって各モズク個体が均一に吹き上げられるため、上下からスポンジなどで加圧されるのとは逆に、全体的に各モズク個体間に空隙ができて、ふんわりとした仕上がりとなる。その結果、次の乾燥工程において、各モズク個体間に乾燥用の循環空気が行き渡り、各モズク個体に周囲から循環空気が触れるので、乾燥効率も向上し、短時間に均一に乾燥される。しかも、全体的に各モズク個体間に空隙ができて、ふんわりとした、ボリューム感の有る製品に仕上がるので、商品価値の高い乾燥モズクを実現できる。
【0018】
さらに、従来の水切り法では、モズク特有のヌメリ部分が自重で垂れ下がって簀の子や網などにまとわり着いた状態で乾燥することとなり、乾燥後に簀の子や網などから剥離した痕跡が顕著に残り、品質を低下させる。また、剥離後は、ヌメリ部分が乾燥した状態で、簀の子や網などに付着したまま残るので、製品としてはヌメリ部分の減少を来すことになる。しかも、モズク特有のヌメリ部分が自重で垂れ下がって簀の子や網などにまとわり着いて、網目の部分を塞いでしまう結果、循環空気中で乾燥させる際の通風性を妨げる。そのため、乾燥効率を悪くし、乾燥に長時間を要する。ところが、本発明では、上向きの圧縮空気によって、ヌメリ部分が吹き上げられるので、簀の子や網などへの付着は少なくなり、かつ網目の目詰まりを防ぐので、循環空気が円滑にモズク個体間を通過可能となる。このように、ヌメリ部分に起因する各問題が効果的に解消されるので、ヌメリ部分の多い若モズクを乾燥させる場合に本発明は顕著な効果を発揮する。したがって、水に戻して食べる際も、ヌメリ分が多く、新鮮な生モズクと同様に復元する。
【0019】
請求項2のように、前記の簀の子や網などの上に拡げられたモズクに対し、圧縮空気の噴射手段が相対的に水平移動するため、拡げられた状態のモズク全体に対し均一に圧縮空気が噴射されることになり、全体的に均一にかつ迅速な水切りが行われる。
【0020】
請求項3のように、前記の圧縮空気の噴射口を複数有し、しかもそれぞれの噴射口から異なる方向に圧縮空気を噴射するため、モズクの各部位が一方向からだけ噴射される場合と異なり、モズク個体1本1本が2方向からの噴射を受けるので、全体的に均一かつ迅速な水切りが行われる。
【0021】
請求項4のように、モズクを海水で洗浄する時間が長いため、真水を吸収して膨潤することは少なく、次の水切り処理や乾燥処理にも好都合となる。
【0022】
請求項5のように、前記の手法による水切りを行なった後に、乾燥用の空気が流れている乾燥室にモズクを収納して乾燥処理するが、乾燥室に移行した後も各モズク個体間の空隙が残っていて、ふんわりとしているので、各モズク個体間に循環空気が行き渡り、乾燥効率が向上する。しかも、全体的に各モズク個体間に空隙ができて、ふんわりとしたボリューム感の有る乾燥モズク製品に仕上がる。また、ヌメリ部分が自重で垂れ下がって簀の子や網などの網目を塞ぐのを上向き噴射空気で防いで、通気性を良くしてあるので、循環空気が円滑にモズク個体間に供給されて、効率的に乾燥させることができる。その結果、乾燥時間が大幅に短縮される。
【0023】
請求項6のように、乾燥工程の前の水切り工程において、モズクに下側から上向きの圧縮空気を噴射して水切りすることによって、乾燥モズク製品として仕上がった状態でも、各モズク個体1本1本の間に空隙ができてふんわりした状態となる。その結果、商品価値の高いモズク製品となり、また圧縮されたように密度の高い乾燥モズクと違って、空隙が多いため、食べた際の食感もサクッサクッとし、品質的にも満足できる製品となる。
【0024】
請求項7の水切り装置は、モズクを載せて拡げる簀の子や網などの通水平体が水平方向に移動する構造になっているので、モズクに対し圧縮空気の噴射手段を相対的に水平移動させて、モズク全体を均一にかつ効率的に水切りできる装置を実現できる。また、前記の移動中の通水平体の下側から上方に向けて圧縮空気を噴射する噴射手段を有しているので、移動中のモズクの全面に対し、上向きの圧縮空気を噴射して、ヌメリ部分と水分を一緒にモズクの上方に吹き上げることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
次に本発明によるモズクの水切り乾燥方法が実際上どのように具体化されるか実施形態を説明する。図1は、本発明の方法でモズクを水切りし乾燥させる方法を説明するフローチャートである。本発明の場合は、収穫したモズクをそのまま原料として乾燥モズクの製造に使用する。あるいは、収穫したモズクを直ちに冷凍しておき、それを解凍して、乾燥モズクの製造に使用する。こうして解凍したモズクも、収穫後のモズクと品質的に変わりない。したがって、本発明では、この両者を生モズクと呼ぶ。
【0026】
ステップS1では、この生モズクを用意して原料とし、ステップS2で洗浄する。本発明の場合は、この洗浄工程で、海水を用いることが特徴である。実施例では、水槽中で海水とモズクを攪拌して洗浄するが、6槽を用いて、6回洗浄する。すなわち、最初の水槽中で洗浄した後、順次に次の水槽にモズクを移して、何度も洗浄する。このとき、始めの4槽中では無菌海水を用いて洗浄し、その後は、オゾン水の入った水槽に移して、殺菌洗浄を行なう。各水槽中における洗浄処理時間は約1分であるから、海水による洗浄が4分、その後のオゾン水による殺菌洗浄が2分となる。水による洗浄時間が長いと、モズクが吸水して膨潤する。また、攪拌によって、膨潤したモズク同士が擦れ合うので、傷つき易いが、海水中で洗浄すると吸水膨潤はしないし、その結果損傷も少ない。したがって、本発明では、オゾン水による殺菌洗浄は2分とし、処理時間を短くしている。そして、海水による洗浄時間を4分とし、長めに設定している。つまり、水中での洗浄時間より2倍にしている。ただし、ただし1.5〜4.0倍程度の範囲の海水洗浄時間でもよい。なお、オゾン水は、真水中にオゾンガスを混入させて作る。
【0027】
こうして洗浄し殺菌した後、目視によって異物を発見し除去する。次いで、ステップS3で自動的に1トレー分を計量する。そして、ステップS4のように、目視によって異物を発見し除去しながら、乾燥用のトレーに移し、底が網状になったトレー内に均一に拡散させる。すなわち、噴射散水器(シャワー)を用いて、上からシャワー水を噴射させて、その水圧でモズクを均一に拡げていく。こうして、トレーの網状の底部上にモズクを約3cm程度の厚さに均一に分散させる。この操作は、自動的に行なうこともできるが、手動操作でもよい。なお、こうしてモズクを拡げていくと、異物の発見も容易になるので、ついでに異物を発見して除去する。
【0028】
次に、ステップS5において、トレーを水切り装置上に移送して、下方から上向きに圧縮空気を噴射させて、トレー中のモズクの水分を吹き上げて飛散させる。このとき、モズクに付着している小エビなどの異物も空気圧で剥離して、吹き飛ばされる。また、モズク特有のヌメリ部分は、自重で垂れ下がるのではなく、上向きに吹き上げられる。
【0029】
図2(1)は、この水切り装置の縦断面図であり、1はトレー、2は圧縮空気の噴射器である。トレー1は、四角い枠3の底部が簀の子または網状になっており、矢印a1・a2のように、左向きまたは右向きに移動される。トレー1は、例えば、四角いせいろ(蒸籠)と同様に、底部が簀の子状になっているが、網状でもよい。多数の孔の開いた板材でもよいが、これは「網状」に含まれるものとする。結局、載置されているモズクmの個体が通過できず、水分や空気が通過できればよいので、「通水平体」すなわち通水性の平坦体であれば足りる。4が網状体または簀の子状体を構成する通水平体であり、例えば、太さが約1〜3mm、間隔または隙間が約1〜4mm程度である。ただし、モズク個体が通過して落下できなければよい。材質は、木製でも合成樹脂製でもステンレス製でもよいが、鉄製は塩分で錆びやすいので好ましくない。なお、図示トレー1の底体すなわち通水平体は、合成樹脂の底板に碁盤目状に無数の孔を開けた構成である。
【0030】
図示の圧縮空気の噴射器2は、2本のノズル5と6が交差した格好をしており、根元の部分は共通の空気管路7に通じている。図2(2)は、このノズル5、6の配置状態を示す平面図であり、左上向きのノズル5…が1列になっており、右上向きのノズル6…が1列になっている。そして、各ノズル5・6は交互に配置されており、空気管路7は、圧縮空気源すなわちコンプレッサーに配管接続されている。
【0031】
したがって、左上向きのノズル5…の列からは、矢印a3のように左上向きに圧縮空気が噴出して、網または簀の子状の支持体4上のモズクmに対し、右下方向から圧縮空気が吹き付けられる。そして、モズクmの各モズク個体の間の隙間を圧縮空気が通過して、上方向に抜ける。このとき、モズクmに付着している水分も上向きに吹き飛ばされる。また、右上向きのノズル6…の列からは、矢印a4のように右上向きに圧縮空気が噴出して、網または簀の子状の支持体4上のモズクmに対し、左下方向から圧縮空気が吹き付けられる。そして、モズクmの各モズク個体の間の隙間を圧縮空気が通過して、上方向に抜ける際に、モズクmに付着している水分も上向きに吹き飛ばされる。また、圧縮空気が、各モズク個体間の隙間を通過する際に、各モズク個体が浮き上がる状態となるため、結果的に、各モズク個体間に空隙が形成されて、モズクm全体としては、各モズク個体間に空隙の多いふんわりした状態となる。モズクmに小エビなどが付着している場合は、圧縮空気力で剥離されて、吹き飛ばされる。
【0032】
このように、左上向きのノズル5…の列からは左上向きに圧縮空気が噴出し、右上向きのノズル6…の列からは右上向きに圧縮空気が噴出した状態で、トレー1は例えば矢印a1のように左向きに移動しているため、トレー1中のモズクm全体に対して、前記のように上向きの圧縮空気が噴射されて、モズクm全体が前記のような各作用を受けることになる。そして、モズクmは、左上向きの圧縮空気も受けるし、右上向きの圧縮空気も受けるので、一方向のみから圧縮空気を受ける場合に比べて、前記のような各作用を異なる2方向から受けることになり、より効果的に水切りできる。なお、トレー1の水平方向移動は、矢印a1方向のみ、または矢印a2方向のみでもよいが、矢印a1方向に移動させた後、矢印a2方向に逆走させることによって、往復移動させることもできる。また、この往復移動は2回以上繰り返してもよい。
【0033】
図3は、トレーの網状または簀の子状の支持体4の付近を拡大して示した断面図であり、従来の乾燥方法では、底部の各支持体4にモズクのヌメリ部分8がまとわり着いた状態で乾燥室に移送されて乾燥することとなる。したがって、乾燥後のモズクをトレーから分離する際に、分離が困難なだけでなく、ヌメリ部分の乾燥物が支持体4側に付着したまま残ったり、剥離した痕跡が残ったりする。しかしながら、前記のように、ノズル5、6で上向きの圧縮空気を受けるので、支持体4から垂れ下がっているヌメリ部分8が吹き上げられて、各モズク個体間の隙間から、モズクmの上側に吹き上げられる。そして、圧縮空気が通過すると、自重によって、モズクmの上に落下して重なることになる。
【0034】
したがって、従来のようにヌメリ部分が垂れ下がって支持体4に付着したまま乾燥することはない。その結果、乾燥後にトレーからモズクを剥がすのが容易になり、また強制的に剥離された痕跡が顕著に残ることもなく、きれいな製品となる。このようにして、モズクmに付着している水分が吹き飛ばされた状態で、乾燥室に移送されるので、乾燥室でも前記の状態が持続される。その結果、ステップS6のように、乾燥室で乾燥処理する際も、各モズク個体間の隙間を空気流が円滑に通過して、全体的にふんわりと乾燥仕上げされ、乾燥時間も短縮される。このように、乾燥させるための空気流は、水切り時に各モズク個体間に形成された隙間を通過するので、各モズク個体間を円滑に通風でき、通風する際の抵抗も少ない。その結果、乾燥効率が向上する。
【0035】
図4(1)(2)(3)は、モズクmに上向きに圧縮空気を噴射する噴射器の他の各種実施形態であり、上段は縦断面図、下段は平面図である。(1)は、左上向きのノズル5…の列と右上向きのノズル6…の列とが交差しないで、Y字状に分岐している例である。(2)は、1本のパイプ9の上側において、中心線上には上向きの噴射孔10…の列を設け、左上側には左上向きの噴射孔11…の列を設け、右上側には右上向きの噴射孔12…の列を設けてある。そして、これらの各噴射孔10、11、12は交互に互い違いに配置してある。(3)は、1本のパイプ13の上側において、その軸心方向のスリット14を設けると共に、その上側に、左上向きに傾斜したガイド板15と右上向きに傾斜したガイド板16を固定してある。したがって、スリット14から吹き出した圧縮空気は、左右のガイド板15・16間から、上広がりの状態で噴出して、上側のモズクmに吹き付けられる。したがって、個々のノズルや噴射孔から噴射される場合と違って、大きな圧縮空気流となる。このように、スリットから噴射するタイプの噴射器を図2その他のノズルタイプの噴射器と平行に配置して、両タイプを併用すると、より効果的である。
【0036】
以上の実施形態において、水切り装置の上でトレー1を移動させたり、各工程間をモズクやトレー1を移動させる手段は、手動による運搬でもよいが、ローラー式のコンベアーやチェーン式その他のコンベアーを利用してもよい。なお、図2のトレー1は、前記の移送手段の上に配置されているが、移送手段は図示を省いてある。
【産業上の利用可能性】
【0037】
以上のように、本発明によるモズクの水切り乾燥方法によると、乾燥工程の前の水切り工程において、簀の子や網などに拡げたモズクに下側から上向きに圧縮空気を噴射して水切りする手法を採っているため、各モズク個体間に空隙が形成されて、ふんわりした状態となり、乾燥工程における乾燥が効率的に行われる。しかも、上向きの圧縮空気圧によって、モズク特有のヌメリ部分が自重で垂れ下がるのを阻止して、上向きに吹き上げるので、ヌメリ部分すなわちフコイダン成分の消失が防止される。このような高品質の乾燥モズクの普及によって、モズク生産業者と加工販売業者の活性化が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明によるモズクを水切りし乾燥させる方法を説明するフローチャートである。
【図2】(1)は水切り装置の縦断面図、(2)はノズルの配置状態を示す平面図である。
【図3】トレー底部の網状または簀の子状の支持体の付近を拡大して示した断面図である。
【図4】モズクに上向きの圧縮空気を噴射する噴射器の他の各種実施形態を示す縦断面図と平面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 トレー
2 圧縮空気の噴射器
4 支持体
5・6 ノズル
7 空気管路
m モズク
8 ヌメリ部分
9・13 パイプ
10・11・12 噴射孔
14 スリット
15・16 ガイド板
【出願人】 【識別番号】503416973
【氏名又は名称】株式会社シーズ
【住所又は居所】沖縄県浦添市宮城1−26−8 平安ビル2F
【出願日】 平成16年4月21日(2004.4.21)
【代理人】 【識別番号】100076082
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 康文

【公開番号】 特開2005−304387(P2005−304387A)
【公開日】 平成17年11月4日(2005.11.4)
【出願番号】 特願2004−126097(P2004−126097)