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【発明の名称】 デンプンを含有する野菜汁飲料
【発明者】 【氏名】谷口 正重
【住所又は居所】静岡県榛原郡相良町女神21番地 株式会社伊藤園中央研究所内

【氏名】伊藤 貴章
【住所又は居所】静岡県榛原郡相良町女神21番地 株式会社伊藤園中央研究所内

【氏名】桜井 美彩
【住所又は居所】静岡県榛原郡相良町女神21番地 株式会社伊藤園中央研究所内

【氏名】佐藤 貴志
【住所又は居所】静岡県榛原郡相良町女神21番地 株式会社伊藤園中央研究所内

【氏名】羽室 秀一
【住所又は居所】静岡県榛原郡相良町女神21番地 株式会社伊藤園中央研究所内

【要約】 【課題】添加物を用いずに、香味がよく、性状が安定した野菜汁飲料を提供することを目的とする。

【解決手段】豆類または芋類の搾汁またはピューレ、および他の野菜汁を含む野菜汁飲料であって、該豆類または芋類の搾汁またはピューレに由来するデンプンの含量が100〜400ppmであり、飲料に含まれる固形粒子の平均粒子径が80〜140μmあることを特徴とする飲料を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
豆類または芋類の搾汁またはピューレ、および他の野菜汁を含む野菜汁飲料であって、該豆類または芋類の搾汁またはピューレに由来するデンプンの含量が100〜400ppmであることを特徴とする飲料。
【請求項2】
請求項1に記載の飲料であって、前記デンプンの含量が200〜300ppmであることを特徴とする飲料。
【請求項3】
前記飲料に含まれる固形粒子の平均粒子径が80〜140μmであることを特徴とする、請求項1または2に記載の飲料。
【請求項4】
前記豆類はグリンピースである、請求項1〜3の何れか一項に記載の飲料。
【請求項5】
前記飲料は、さらに果汁を含むことを特徴とする、請求項1〜4の何れか一項に記載の飲料。
【請求項6】
前記飲料は、飲料用の透明な密閉容器に収容されたことを特徴とする、請求項1〜5の何れか一項に記載の飲料。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、デンプンを含有する野菜汁飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、野菜の摂取不足を背景に、手軽に野菜が摂取できる野菜飲料に対する需要が増大している。しかし、野菜汁には野菜独特の「臭い」や「味」があるため飲みにくく、この点を改善するため、特許文献1ではトレハロースを添加している。また特許文献2では、デキストリンを添加している。
【0003】
また、野菜汁には一般に不溶性成分が含まれ、長時間静置しておくことにより凝集、沈殿が生じることが多い。これは野菜汁の性状の安定性という観点からも問題であるが、近年、ペットボトル等の透明容器が益々市場に出回るようになっているため、見栄えの点からも問題である。この点を改善するために、特許文献3では低粘度プロピレングリコールアルギン酸エステルおよびナトリウムカルボキシメチルセルロースを添加している。また、特許文献4では、微細セルロースを添加している。
【0004】
これらのような従来の方法は、何れも野菜汁以外の成分を添加している。しかしながら近年、消費者意識が高まるにつれて食品添加物を避ける傾向が強まっており、添加物を用いずに上述したような問題を解決する方法が求められている。
【特許文献1】特願2000−116362号
【特許文献2】特願2002−078469号
【特許文献3】特開平06−189724号
【特許文献4】特開平10−028565号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記問題に鑑み、本発明は、添加物を用いずに、香味がよく、性状が安定した野菜汁飲料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、豆類または芋類の搾汁またはピューレ、および他の野菜汁を含む野菜汁飲料であって、該豆類または芋類の搾汁またはピューレに由来するデンプンの含量が100〜400ppmである飲料を提供する。前記デンプンの含量は、特に200〜300ppmであることが好ましい。また、前記飲料に含まれる固形粒子の平均粒子径は80〜140μmであることが好ましい。
【0007】
前記豆類はグリンピースであることが好ましく、また、前記飲料は、さらに果汁を含むことが好ましい。
【0008】
また、前記飲料は、飲料用の透明な密閉容器に収容されることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、野菜汁に由来するデンプンの含量と、飲料に含まれる固形粒子の平均粒子径を調節することにより、添加物を用いずに、香味がよく、且つ性状が安定した野菜汁飲料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の飲料は、野菜汁に豆類または芋類の搾汁またはピューレを加えたことを特徴とする野菜汁飲料である。野菜汁の原料として用いられる野菜は、例えばキャベツ、ニンジン、ホウレンソウ、セロリ、パセリ、トマト、ゴーヤ、またはタマネギ等が好ましく用いられる。
【0011】
豆類は、グリンピース、インゲン豆、またはソラ豆等が好ましく用いられるが、特にグリンピースが好ましい。また、芋類は、サツマイモ、ジャガイモ、キクイモ、またはヤーコン等が好ましく用いられる。
【0012】
さらに、本発明の野菜汁飲料は、果汁を含んでもよく、原料となる果実は、リンゴ、ブドウ、グレープフルーツ、オレンジ、パインアップル、またはレモン等が好ましく用いられる。
【0013】
豆類または芋類の搾汁またはピューレには、デンプンが多く含まれている。従って、本発明の飲料には、豆類または芋類の搾汁またはピューレに由来するデンプンが含まれるが、このデンプンを含有させることによって、野菜汁に特有の臭いや味を緩和し、飲料の香味を改善することができる。
【0014】
しかしながら、これらの効果はデンプンの含量に影響される。例えば、デンプン含量が少ない場合、飲料の性状は良好であるが香味の改善は不十分である。反対に、デンプン含量が多いと、香味は良いが、かえって凝集が発生しやすくなり、性状が不安定となる。
【0015】
そこで、最適なデンプン含量を決定するため、種々のデンプン含量による飲料の香味および性状を調査した。
【0016】
まず、グリンピースをピューレにし、そのデンプン含量を測定した。デンプン含量は、「大田勉、かんきつの炭水化物分析における超音波洗浄機とポリアミドを用いた簡易迅速な前処理、山口農試研報 51:48−54、2000」に開示されているデンプン分析方法を参考にして分析した。その手順は図1のフローチャートに示した。
【0017】
デンプン含量を測定したグリンピースピューレを、野菜汁(セロリ汁7%、ホウレンソウ汁7%、およびニンジン汁7%)と果汁(リンゴ果汁60%、ブドウ果汁14%、グレープフルーツ果汁5%)の混合液に、デンプンの最終濃度が50ppm、100ppm、200ppm、300ppm、400ppm、500ppmになるように配合した。得られた混合液は、レモン果汁を用いてpH3.9に調整した。
【0018】
各混合液の粒子を、ホモゲナイザー(三和機械 H−60)を用いて100μmに均一化した後、130℃で5秒間殺菌し、透明容器に充填して密封した。官能評価を行い、40℃で2週間保管した後、性状を確認した。その結果を表1に示す。
【表1】


【0019】
官能評価はコク味と野菜臭について評価した。コク味は、デンプン含量が200ppm以上で良好であり、特に200〜400ppmで非常に良好であった。野菜臭は、100ppm以上で緩和された。飲料の性状は、デンプン含量が300ppm以下で良好であり、特に200ppm以下で良好であったが、400ppm以上では凝集が発生しやすくなった。
【0020】
以上の結果を総合すると、デンプン含量は約80〜450ppm、特に100〜400ppm、さらに特には200〜300ppm程度が好ましいことが示された。
【0021】
このように、デンプン含量を調節することによって飲料の香味および性状が改善されることが示された。しかし、デンプン含量の他に、飲料に含まれる固形粒子の粒子径もまた、飲料の性状や食感に影響を与える要因として考えられる。即ち、粒子径が大きければ、凝集する恐れがあり、また粒子径が小さければ、素材の食感が損なわれる可能性がある。
【0022】
そこで、最適な固形粒子の粒子径を決定するため、種々の粒子径による飲料の性状および食感を調査した。飲料に含まれる固形粒子の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定器[SALD−2100](島津製作所)を用いて測定した。
【0023】
デンプン含量を測定したグリンピースピューレを、果汁(リンゴ果汁60%、ブドウ果汁14%、およびグレープフルーツ果汁5%)と野菜汁(セロリ汁7%、ホウレンソウ汁7%、およびニンジン汁7%)を混合した液に、デンプンの最終濃度が350ppmになるように添加し、レモン果汁でpH3.9に調整した。
【0024】
得られた混合液を、平均粒子径が60μm、90μm、100μm、120μm、および150μmになるようにホモゲナイザー(三和機械 H−60)に供した。これらの平均粒子径にするためにホモゲナイザーによって加えられた圧力は、それぞれ20Mpa×2回、20Mpa、15Mpa、10Mpa、および5Mpaであった。
【0025】
粒子径を均一化した混合液を130℃で5秒間殺菌した後、透明容器に充填して密封した。官能評価を行い、40℃で2週間保管した後、性状を確認した。その結果を表2に示す。
【表2】


【0026】
粒子径が150μmでは凝集が発生し沈殿が生じた。食感も、舌にやや異物感が感じられ好ましくなかった。また、粒子径が60μmでは、食感が損なわれ水っぽく感じられた。加えて性状も安定性に欠け、細かい凝集が発生した。従って、粒子径は80〜140μm程度が好ましく、特に、90〜130μm、さらに特には100〜120μm程度が好ましいことが示された。
【0027】
本発明の飲料は、飲料用の密閉容器に収容されてもよい。密閉容器としては、一般に用いられる瓶、缶、紙パック、プラスチックカップ等を用いてよいが、特に透明なプラスチックボトル(PETボトル)を用いることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】デンプンの分析手順を示したフローチャート
【出願人】 【識別番号】591014972
【氏名又は名称】株式会社 伊藤園
【住所又は居所】東京都渋谷区本町3−47−10
【出願日】 平成16年4月19日(2004.4.19)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦

【識別番号】100091351
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 哲

【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠

【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊

【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司

【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘

【識別番号】100084618
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 貞男

【識別番号】100092196
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 良郎

【公開番号】 特開2005−304333(P2005−304333A)
【公開日】 平成17年11月4日(2005.11.4)
【出願番号】 特願2004−123105(P2004−123105)