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【発明の名称】 グレープフルーツ果汁含有飲食品の保存中に生じる異臭の発生を防止する方法
【発明者】 【氏名】清原 進

【氏名】植野 壽夫

【氏名】足立 謙次

【氏名】熊沢 賢二

【氏名】増田 秀樹

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グレープフルーツ果汁含有飲食品に、茶抽出物を含有させることを特徴とするグレープフルーツ果汁含有飲食品の保存中の異臭の発生を防止する方法。
【請求項2】
前記茶抽出物が、水、極性溶媒またはこれらの混合物で抽出して得られるものである請求項1に記載の異臭の発生を防止する方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、グレープフルーツ果汁含有飲食品の保存中に生ずる不快な異臭の発生を防止する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にグレープフルーツ果汁は、流通量やコスト面を考慮し、濃縮した状態で流通している。このグレープフルーツ果汁の濃縮は、通常加熱によりその水分を蒸発させることにより行われる。一方、グレープフルーツ果汁飲料は、果汁(濃縮還元果汁)、酸味料、糖類、香料などを原料とし、これらを混合、加熱殺菌、冷却、充填することで製造される。このようにして得られるグレープフルーツ果汁またはグレープフルーツ果汁飲料は、濃縮時、殺菌時の加熱や製品の長期保管によって香味の劣化や不快な異臭を生じ、グレープフルーツ果汁が本来有する香味を損なう傾向にある。香味は製造、流通、保存等の各段階で徐々に劣化していくことはよく知られている。劣化に関係する要因として、熱、光、酸素、さらには水等が挙げられる。そこで、従来、特に酸素による香味の劣化対策として、酸素透過性を低くした合成樹脂製の容器や袋の開発、また、脱酸素条件を組み入れた食品製造工程の導入、殺菌工程に加熱ではなく膜処理を利用した製造法、さらには酵母を利用した高品質の果汁製造法が提案されている(特許文献1〜3)。また、糖アルコールの添加やクロロゲン酸やフラボノイドといった酸化防止剤を添加する方法、酸化防止剤と金属封鎖剤を併用する方法などが開示されている(特許文献4〜10)。
【0003】
しかしながら、グレープフルーツ果汁含有飲食品の保存中の異臭の発生は、香味、香気成分が熱、酸素、光等により変化することに加え、果汁含有飲食品に含まれる脂質、たんぱく質、糖類、アミノ酸類、有機酸類等の各成分の酸化、分解、異性化、重合等の数多くの反応も関与する複合的な要因により引き起こされるものである。このため上記従来技術を用いてもなお効果が不十分な場合があり、更なる技術の向上が望まれていた。
【0004】
【特許文献1】特開平6−62815号公報
【特許文献2】特開平6−237742号公報
【特許文献3】特開平6−292546号公報
【特許文献4】特開2000−308476号公報
【特許文献5】特開平8−23939号公報
【特許文献6】特開平8−23940号公報
【特許文献7】特開平7−75535号公報
【特許文献8】特開平7−132072号公報
【特許文献9】特開平7−132073号公報
【特許文献10】特開平7−135938号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする問題は、グレープフルーツ果汁含有飲食品の保存中に不快な異臭が発生し、商品価値を減ずるという問題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記従来技術の問題点を解決すべく鋭意研究した結果、グレープフルーツ果汁含有飲食品に茶抽出物を添加することによりグレープフルーツ果汁含有飲食品の保存中の異臭の発生が顕著に抑制されることを見出し、本発明を完成させるにいたった。すなわち、本発明はグレープフルーツ果汁含有飲食品の製造に当たり、茶抽出物を含有させることを特徴とするグレープフルーツ果汁含有飲食品の保存中の異臭の発生を防止する方法である。この茶抽出物は、水、極性溶媒またはこれらの混合物で抽出して得られる。
【発明の効果】
【0007】
本発明のグレープフルーツ果汁含有飲食品の保存中の異臭の発生を防止する方法により、グレープフルーツ果汁含有飲食品の保存中の異臭の発生が抑制され、風味良好なグレープフルーツ果汁含有飲食品を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明に使用する茶抽出物は、ツバキ科の植物であるCamellia
Sinensisの葉より製造される茶葉を溶媒抽出することにより製造できる。原料の茶葉は特に限定されるものではなく、不発酵茶である緑茶、半発酵茶である烏龍茶、発酵茶である紅茶などが挙げられる。それらの中で、不発酵茶である緑茶又は発酵茶である紅茶を用いるのが好ましい。
【0009】
本発明の抽出処理に使用する溶媒は、水又は極性溶媒であり、極性溶媒は含水物であっても良い。極性溶媒としてはアルコール、アセトン、酢酸エチル等があげられ、これらの混合物であっても良い。特に水又はエタノール、或いはこれらの混合物が望ましい。溶媒の量は任意に選択できるが、一般には上記茶葉1重量部に対し溶媒量2〜100重量部を使用する。
【0010】
抽出方法は特に限定されるものではなく、例えば、茶葉又は粉砕した茶葉を溶媒中に入れ、浸漬又は加熱還流することによって茶抽出物を得ることができる。ついで、溶媒に不溶な固形物を除去して抽出液を得るが、固形物除去方法としては遠心分離、濾過、圧搾等の固液分離手段を用いることができる。
【0011】
得られた茶抽出液は、そのままグレープフルーツ果汁含有飲食品に配合して保存中の異臭の発生を防止するために使用することができるが、さらに、脱色、脱臭等の精製処理をすることができる。精製処理には活性炭や多孔性のスチレン−ジビニルベンゼン共重合体からなる合成樹脂吸着剤、親水性ビニルポリマーを基材とするゲル濾過用充填剤などが使用できる。精製用の合成樹脂吸着剤としては例えば三菱化学株式会社製「ダイヤイオンHP−20(商品名)」やオルガノ株式会社製「アンバーライトXAD−2(商品名)」などが使用できる。また、ゲル濾過用充填剤としては東ソー株式会社製「トヨパールHW−40(商品名)」などが使用できる。
【0012】
このようにして得られた茶抽出物は、液剤として使用することができるが、凍結乾燥又は加熱乾燥などの処理を行い固形物にすることも可能である。また、賦形剤(デキストリン等)を添加し噴霧乾燥により粉末状にすることも可能であり、用途に応じて種々の剤形を採用することができる。
【0013】
また、市販の茶抽出物を使用することもでき、例としては緑茶抽出物である東京フードテクノ(株)「ポリフェノン」、伊藤園(株)「テアフラン」、太陽化学(株)「サンフェノン」などが挙げられる。これらをさらに再精製したものを用いてもよい。
【0014】
本発明のグレープフルーツ果汁含有飲食品の保存中の異臭の発生を防止する方法は、上記で得られた茶抽出物をグレープフルーツ果汁含有飲食品に適宜添加することで実現できる。本発明が適用できるグレープフルーツ果汁含有飲食品の例としては清涼飲料、果汁飲料、スポーツドリンク、栄養ドリンク、アイスクリーム、氷菓、ゼリー、キャンディー、グミ、ガム等をあげることができるが、これらに限定されるものではない。グレープフルーツ果汁含有飲食品に対する茶抽出物の添加量は、茶抽出物の固形成分として1〜500ppmの範囲が適当である。商品に茶抽出物自身の香味が影響を及ぼさない範囲内で添加するという観点からは1〜200ppmが好ましく、特に1〜100ppmが好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例の記載に限定されるものではない。
【実施例】
【0015】
〔抽出例1〕
紅茶抽出物の調製
紅茶葉50gに、50質量%エタノール水溶液500gを加え1時間加熱還流して抽出した。不溶物を濾過により除去した後、濾液を減圧濃縮、凍結乾燥し褐色の紅茶抽出物15.1gを得た。
【0016】
〔抽出例2〕
緑茶抽出物の調製
緑茶葉50gに、50質量%エタノール水溶液500gを加え1時間加熱還流して抽出した。不溶物を濾過により除去した後、濾液を50gまで減圧で濃縮した。この濃縮液に水150gを加え、ゲル濾過用充てん剤(トヨパールHW−40C)100mlに吸着させた。15質量%エタノール水溶液200mlを用いて洗浄後、80質量%エタノール水溶液200mlで溶出した。溶出液を減圧濃縮後、凍結乾燥し赤褐色の緑茶抽出物5.6gを得た
【0017】
〔試験例1〕
100%グレープフルーツ飲料における効果
グレープフルーツ6倍濃縮果汁40gに蒸留水200gを添加し混合し100%グレープフルーツ飲料を作成した。これに抽出例1で調製した紅茶抽出物及び抽出例2で調製した緑茶抽出物、また比較例としてL−アスコルビン酸(ナカライテスク(株))及び酵素処理ルチン(東洋精糖(株))を濃度が30ppmになるよう添加した飲料を各々調製した。また無添加の100%グレープフルーツ飲料を対照とした。これらをそれぞれ透明ガラス瓶に詰め、70℃、10分間殺菌した後、50℃の恒温槽に入れ4日間保管した。各飲料について、訓練されたパネラー6名により「イモ臭」「スパイス臭」を評価項目として官能評価を行った。評価点は「イモ臭」「スパイス臭」を強く感じたものを7点、全く感じなかったものを1点とした。評価結果の平均値を表1に示した。
【0018】
〔表1〕
添加剤 評価点数
対照(無添加) 7.0
紅茶抽出物 2.5
緑茶抽出物 1.8
L−アスコルビン酸 5.0
酵素処理ルチン 4.5
【0019】
表1の結果より紅茶及び緑茶抽出物は、グレープフルーツ果汁含有飲食品の保存中に発生する不快な異臭を効果的に抑制し、その効果はL−アスコルビン酸や酵素処理ルチンよりも優れていることがわかる。
【0020】
〔実施例1〕スポーツドリンク
グラニュー糖25g、果糖ブドウ糖液糖46g、クエン酸2.3g、クエン酸ナトリウム2.9g、塩化ナトリウム0.62g、ビタミンC0.5g、塩化カリウム0.37g、乳酸カルシウム0.48g、L-グルタミン酸ナトリウム0.11g、塩化マグネシウム0.1g、グレープフルーツ6倍濃縮果汁6gを蒸留水913.32gに溶解させた。グレープフルーツ香料1g、乳濁剤0.3gと0.5質量%紅茶抽出物1gを加え、良く攪拌後、缶に詰め、70℃10分間加熱殺菌することにより、グレープフルーツ果汁入りスポーツドリンクを作成した。
【0021】
〔実施例2〕アルコール飲料
果糖ブドウ糖液糖45g、クエン酸1g、グレープフルーツ6倍濃縮果汁6g、ウォッカ(アルコール40%)180gを加え均一にした後、蒸留水を添加し366gに調整した。これにグレープフルーツフレーバー2gと1質量%紅茶抽出物1gを加えよく攪拌後、炭酸水を用いて1000mlに調整し、缶に詰めた。缶に充填後、65℃で10分間殺菌することにより、グレープフルーツ果汁入りアルコール飲料を作成した。
【0022】
〔実施例3〕ゼリー
果糖ブドウ糖液糖13gと純水75.85gを混合し、加温しながら溶解させた。40〜50℃まで加熱し、砂糖5g、ゲル化剤0.7g、クエン酸三ナトリウム0.05gを添加し完全に溶解させた。85℃まで加熱後、予め混合したグレープフルーツ6倍濃縮果汁5g、クエン酸0.07g、リンゴ酸0.03gを加えた後、純水で重量を100gに調整した。これにグレープフルーツフレーバー0.1g、1質量%緑茶抽出物1gを加え均一に混合した後、容器にヘッドスペースを空けて充填後シーラーにて密封した。容器を逆さにし、80℃付近で1分間蓋部分を加熱殺菌した。その後、流水にて急冷することによりグレープフルーツ果汁入りゼリーを作成した。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明のグレープフルーツ果汁含有飲食品の保存中の異臭の発生を防止する方法は、100%グレープフルーツ果汁飲料やアイスクリームなどのグレープフルーツ果汁を含有する飲食品に適用すれば優れた効果が発揮される。
【出願人】 【識別番号】591011410
【氏名又は名称】小川香料株式会社
【出願日】 平成16年4月19日(2004.4.19)
【代理人】
【公開番号】 特開2005−304324(P2005−304324A)
【公開日】 平成17年11月4日(2005.11.4)
【出願番号】 特願2004−122652(P2004−122652)