| 【発明の名称】 |
ビタミンB1またはその誘導体含有酸性飲用組成物の異臭成分の発生を防止する方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】植野 壽夫
【氏名】清原 進
【氏名】熊沢 賢二
【氏名】増田 秀樹
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| 【要約】 |
【課題】
【解決手段】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ビタミンB1またはその誘導体含有酸性飲用組成物に、茶抽出物を含有させることを特徴とする異臭成分の発生を防止する方法。 【請求項2】 異臭成分がビタミンB1の分解によって発生する2−メチル−3−フランチオールである請求項1に記載の異臭成分の発生を防止する方法。 【請求項3】 前記茶抽出物が、水、極性溶媒またはこれらの混合物で抽出して得られるものである請求項1又は2に記載の異臭成分の発生を防止する方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、ビタミンB1またはその誘導体を含有する飲食品又は医薬品等の飲用組成物の保存中に発生する不快な異臭成分の発生を防止する方法に関する。 【背景技術】 【0002】 ビタミンB1は糖代謝酵素の補酵素として働き、疲労回復、精神安定などの効果があるとされ、従来から栄養食品に利用されている。また、ビタミンB1は酸性領域において比較的安定な水溶性ビタミンであることから、栄養ドリンクやスポーツドリンク等の酸性飲用組成物に使用されることが多い。しかし、ビタミンB1を上記酸性飲用組成物に配合する場合、保存中にビタミン臭と言われる異臭が発生し商品的な価値を減ずるという欠点がある。 【0003】 このビタミン臭の原因はビタミンB1の分解により生成する2−メチル−3−フランチオール等の各種の揮発性含硫化合物であることが知られている (非特許文献1)。これら含硫化合物の中でも特に2−メチル−3−フランチオールの匂いの閾値は極めて低く、ごく少量発生するだけでも異臭の原因となる。 従って、ビタミンB1を配合した酸性飲用組成物を保存する場合、ビタミンB1含量が低くても保存期間中の異臭の発生は避けられない。 【0004】 従来からドリンク剤等のビタミンB1を配合した酸性飲料における異臭の発生を防止する方法が提案されている。例えば、没食子酸等の多価フェノール化合物を添加する方法(特許文献1)、ビタミンB1とアスコルビン酸を特定の割合で配合する方法(特許文献2)などが提案されている。しかしながら、上記方法では、ビタミンB1由来の異臭成分に対する抑制効果は十分でなく更なる技術の向上が望まれていた。 【0005】 【特許文献1】特開平5−155756号公報 【特許文献2】特開2000−189125号公報 【非特許文献1】J.Glen Dreher,Russell L.Rouseff, and Michael Naim;J.Agric.Food.Chem.51;3097−3102(2003)〕 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 本発明が解決しようとする問題は、ビタミンB1またはその誘導体を含有する酸性飲用組成物は、保存中にビタミンB1由来の異臭成分が発生し、商品価値を減ずるという問題である。 【課題を解決するための手段】 【0007】 本発明者らは上記従来技術の問題点を解決すべく鋭意研究した結果、ビタミンB1またはその誘導体を含有する酸性飲用組成物に茶抽出物を添加することによりビタミンB1の分解に起因する異臭成分の発生が顕著に抑制されることを見出し、本発明を完成させるにいたった。すなわち、本発明はビタミンB1またはその誘導体含有酸性飲用組成物の製造に当たり、茶抽出物を含有させることを特徴とするビタミンB1由来の異臭成分の発生を防止する方法である。また、前記異臭成分がビタミンB1の分解によって発生する2−メチル−3−フランチオールである異臭成分の発生を防止する方法である。この茶抽出物は、水、極性溶媒またはこれらの混合物で抽出して得られる。 【発明の効果】 【0008】 本発明のビタミンB1由来の異臭成分の発生を防止する方法により、栄養ドリンク等のビタミンB1またはその誘導体含有飲用組成物の保存中に発生する不快なビタミン臭の発生が抑制され、風味良好な飲用組成物を提供することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0009】 本発明に使用する茶抽出物は、ツバキ科の植物であるCamellia Sinensisの葉より製造される茶葉を溶媒抽出することにより製造できる。原料の茶葉は特に限定されるものではなく、不発酵茶である緑茶、半発酵茶である烏龍茶、発酵茶である紅茶などが挙げられる。それらの中で、不発酵茶である緑茶又は発酵茶である紅茶を用いるのが好ましい。 【0010】 本発明の抽出処理に使用する溶媒は、水又は極性溶媒であり、極性溶媒は含水物であっても良い。極性溶媒としてはアルコール、アセトン、酢酸エチル等があげられ、これらの混合物であっても良い。特に水又はエタノール、或いはこれらの混合物が望ましい。溶媒の量は任意に選択できるが、一般には上記茶葉1重量部に対し溶媒量2〜100重量部を使用する。 【0011】 抽出方法は特に限定されるものではなく、例えば、茶葉又は粉砕した茶葉を溶媒中に入れ、浸漬又は加熱還流することによって茶抽出物を得ることができる。ついで、溶媒に不溶な固形物を除去して抽出液を得るが、固形物除去方法としては遠心分離、濾過、圧搾等の固液分離手段を用いることができる。 【0012】 得られた茶抽出液は、そのままビタミンB1またはその誘導体含有酸性飲用組成物に配合して、ビタミンB1由来の異臭成分発生を防止するために使用することができるが、さらに、脱色、脱臭等の精製処理をすることができる。精製処理には活性炭や多孔性のスチレン−ジビニルベンゼン共重合体からなる合成樹脂吸着剤、親水性ビニルポリマーを基材とするゲル濾過用充填剤などが使用できる。精製用の合成樹脂吸着剤としては例えば三菱化学株式会社製「ダイヤイオンHP−20(商品名)」やオルガノ株式会社製「アンバーライトXAD−2(商品名)」などが使用できる。また、ゲル濾過用充填剤としては東ソー株式会社製「トヨパールHW−40(商品名)」などが使用できる。 【0013】 このようにして得られた茶抽出物は、液剤として使用することができるが、凍結乾燥又は加熱乾燥などの処理を行い固形物にすることも可能である。また、賦形剤(デキストリン等)を添加し噴霧乾燥により粉末状にすることも可能であり、用途に応じて種々の剤形を採用することができる。 【0014】 また、市販の茶抽出物を使用することもでき、例としては緑茶抽出物である東京フードテクノ(株)「ポリフェノン」、伊藤園(株)「テアフラン」、太陽化学(株)「サンフェノン」などが挙げられる。これらをさらに再精製したものを用いてもよい。 【0015】 本発明のビタミンB1由来の異臭成分の発生を防止する方法は、上記で得られた茶抽出物をビタミンB1またはその誘導体含有酸性飲用組成物に適宜添加することで実現できる。本発明が適用できるビタミンB1誘導体としては、チアミン塩酸塩、チアミン硝酸塩、ジベンゾイルチアミン塩酸塩、チアミンナフタレン−1,5−ジスルホン酸塩、ビスベンチアミンおよびそれらの誘導体などがあげられるがこれらに限定されるものではない。また、これらのビタミンB1誘導体は1種または2種以上を混合して使用することもできる。本発明が適用できるビタミンB1またはその誘導体含有酸性飲用組成物は、通常0.1〜100ppmの範囲でビタミンB1塩類を含有し、クエン酸等の添加によりpH2.5〜4.0に調整されている。例としては栄養ドリンク剤、ビタミン飲料、ゼリー飲料、スポーツドリンク等をあげることができるが、これらに限定されるものではない。ビタミンB1またはその誘導体含有酸性飲用組成物に対する茶抽出物の添加量は、茶抽出物の固形成分として1〜500ppmの範囲が適当である。商品に茶抽出物自身の香味が影響を及ぼさない範囲内で添加するという観点からは1〜200ppmが好ましく、特に1〜100ppmが好ましい。 以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例の記載に限定されるものではない。 【実施例】 【0016】 〔抽出例1〕 紅茶抽出物の調製 紅茶葉50gに、50質量%エタノール水溶液500gを加え1時間加熱還流して抽出した。不溶物を濾過により除去した後、濾液を減圧濃縮、凍結乾燥し褐色の紅茶抽出物15.1gを得た。 【0017】 〔抽出例2〕 緑茶抽出物の調製 緑茶葉50gに、50質量%エタノール水溶液500gを加え1時間加熱還流して抽出した。不溶物を濾過により除去した後、濾液を50gまで減圧で濃縮した。この濃縮液に水150gを加え、ゲル濾過用充てん剤(トヨパールHW−40C)100mlに吸着させた。15質量%エタノール水溶液200mlを用いて洗浄後、80質量%エタノール水溶液200mlで溶出した。溶出液を減圧濃縮後、凍結乾燥し赤褐色の緑茶抽出物5.6gを得た 【0018】 ビタミンB1由来の異臭成分の発生抑制効果の評価 ビタミンB1由来の異臭成分の発生に対する茶抽出物の抑制効果を、異臭の原因物質とされる2−メチル−3−フランチオールの生成量を測定することにより評価した。 【0019】 〔試験例1〕 1/10Mクエン酸−1/5Mリン酸水素二ナトリウムで調整したpH3.0の緩衝溶液にビタミンB1塩酸塩を濃度が10ppmになるように添加してビタミンB1含有酸性水溶液を調製した。この溶液に抽出例1で得られた紅茶抽出物、及び抽出例2で得られた緑茶抽出物を濃度が30ppmになるよう添加した液を各々調製した。また茶抽出物無添加の溶液を対照液とした。各溶液をガラス瓶に充填して70℃にて10分間殺菌した後、恒温槽内で40℃にて14日間保存した。保存期間中、各溶液をサンプリングしてジクロロメタンで抽出した後、ガスクロマトグラフィー質量分析法によりを2−メチル−3−フランチオールの生成量を定量した。保存期間中の2−メチル−3−フランチオールの生成量の変化を図1に示す。 【0020】 〔試験例2〕 茶抽出物の代わりにクロロゲン酸、及び特開平5−155756号公報開示の没食子酸を用い試験例1と同様の試験を行った。 【0021】 試験例1および試験例2における、40℃で7日間保存時の2−メチル−3−フランチオールの生成量を表1に示す。 【0022】 〔表1〕 添加剤 2−メチル−3−フランチオールの生成量(ppb) 対照(無添加) 1.04 紅茶抽出物 0.28 緑茶抽出物 0.39 没食子酸 0.65 クロロゲン酸 1.05 【0023】 図1から明らかなように紅茶及び緑茶抽出物はビタミンB1の分解によって発生する2−メチル−3−フランチオールの生成を顕著に抑制していることがわかる。また表1から明らかなように紅茶及び緑茶抽出物の2−メチル−3−フランチオール生成に対する抑制効果は多価フェノール成分であるクロロゲン酸及び没食子酸よりも優れていることがわかる。 【0024】 〔処方例1〕 飲料用ビタミンミックスの組成(製品0.5g当たりの含有量): ビタミンA 1667IU ビタミンB1 0.5mg ビタミンB2 0.57mg ビタミンB6 0.67mg ビタミンB12 2μg ナイアシン 6.67mg 葉酸 0.14mg ビタミンC 20mg ビタミンD 3 133IU ビタミンE 6.71mg 【0025】 〔試験例3〕 ビタミン飲料における効果 処方例1に示す成分組成の飲料用ビタミンミックス(理研ビタミン株式会社製)の0.02質量%水溶液に、抽出例1で調製した紅茶抽出物及び抽出例2で調製した緑茶抽出物、また比較例としてクロロゲン酸及び没食子酸を濃度が30ppmになるよう添加した液を各々調製した。また無添加の飲料用ビタミンミックス水溶液を対照液とした。各溶液をガラス瓶に充填して70℃にて10分間殺菌した後、恒温槽内で40℃にて7日間保存した。各溶液について、訓練されたパネラー6名によりビタミン臭を評価項目として官能評価を行った。評価点はビタミン臭を強く感じたものを7点、ビタミン臭を全く感じなかったものを1点とした。評価結果の平均値を表2に示した。 【0026】 〔表2〕 添加剤 評価点数 対照(無添加) 7.0 紅茶抽出物 1.5 緑茶抽出物 2.5 没食子酸 4.0 クロロゲン酸 6.5 【0027】 表2の結果より紅茶及び緑茶抽出物は、ビタミン飲料の保存後に発生するビタミン臭を効果的に抑制し、その効果は多価フェノール成分であるクロロゲン酸及び没食子酸よりも優れていることがわかる。 【0028】 〔実施例1〕 以下に示す処方によりビタミンB1含有栄養ドリンクを作成した。 グラニュー糖 150 (g) クエン酸 2 ビタミンB1硝酸塩 0.05 リン酸リボフラビンナトリウム 0.05 塩酸ピリドキシン 0.05 ニコチン酸アミド 0.2 タウリン 10 イノシトール 0.5 無水カフェイン 0.5 塩化カルニチン 1 安息香酸ナトリウム 0.5 香料 1 紅茶抽出物 0.03 炭酸水 600 精製水 234.12 合計 1000 【0029】 以下に示す処方によりビタミンB1含有スポーツドリンクを作成した レモン果汁 5 (g) グラニュー糖 100 クエン酸 2 食塩 0.62 塩化カリウム 0.37 ビタミンC 1.2 ビタミンB1塩酸塩 0.0025 リン酸リボフラビンナトリウム 0.001 ナイアシン 0.02 パントテン酸カルシウム 0.001 L−グルタミン酸ナトリウム 0.05 香料 1 緑茶抽出物 0.03 精製水 889.7055 合計 1000 【産業上の利用可能性】 【0030】 本発明のビタミンB1由来の異臭成分の発生を防止する方法により、保存中に発生する不快なビタミン臭の発生を抑制することができ、栄養ドリンク等のビタミンB1またはその誘導体含有飲用組成物に適用すれば優れた効果が発揮できる。 【図面の簡単な説明】 【0031】 【図1】保存期間中の2−メチル−3−フランチオールの生成量の変化の図である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】591011410 【氏名又は名称】小川香料株式会社
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| 【出願日】 |
平成16年4月19日(2004.4.19) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2005−304323(P2005−304323A) |
| 【公開日】 |
平成17年11月4日(2005.11.4) |
| 【出願番号】 |
特願2004−122647(P2004−122647) |
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