トップ :: A 生活必需品 :: A23 食品または食料品;他のクラスに包含されないそれらの処理




【発明の名称】 食肉の矯臭法および矯臭した食肉加工品
【発明者】 【氏名】吉越 拓歩

【氏名】天野 晴之

【要約】 【課題】加熱しても食肉の獣臭の発現を抑えることにより、嗜好性の高い食肉加工品を提供する。

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食肉の調理前に、シクロデキストリンとカテキンおよび/またはホップ抽出物で処理することを特徴とする食肉の臭いを矯正する方法および臭いを矯正した食肉加工品。
【請求項2】
食肉が、牛、豚、家禽、野禽、羊、やぎ、馬、熊、鹿、猪、ダチョウ、鯨、アザラシ、オットセイのいずれかであることを特徴とする請求項1記載の食肉の臭いを矯正する方法および臭いを矯正した食肉加工品。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、食肉の矯臭法および矯臭した食肉加工品に関する。さらに詳しくは、食肉の調理前に食肉の獣臭を取り除く方法および獣臭を取り除いた食肉加工品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、食品原料の大部分を輸入に依存している日本において、食生活の多様化に伴い、その原料の種類も多様化し、また多くの国々から輸入するようになっている。
その中でも、食肉はその種類も輸入する国の数も増加している。
しかしながら、食肉はその種類は勿論、輸出国の地域特性、飼育方法により、肉質、風味が異なり、日本人の嗜好にそぐわないものもある。
特に、その中でも、獣臭は日本人には最も嫌われている。
【0003】
この獣臭を取り除く方法として、次のような特許が出願されている。
【特許文献1】 特開2003−284528は5‘ヌクレオチド類、β−グルカン、マンナン、酵母エキスを有効成分とする畜肉食品の肉色獣臭改善剤およびそれを含む畜肉食品を提供するとしている。 しかし、この方法では発色改善効果は見られるものの、畜肉を加熱した際の獣臭抑制効果は不十分である。
【特許文献2】 特開平10−179089は鳥獣畜肉を、予め糸状菌および/又は酵母を生育させた麹に作用させ、比較的高温下で1〜4週間発酵熟成させて改質肉を提供するとしている。 この方法は、微生物としての麹を扱うため、設備と訓練した作業者が必要であり、処理期間も1〜4週間と長いため、実施するのが限定される
【0004】
非特許文献としては、以下の記述が開示されている。
【非特許文献1】 月刊フードケミカル1989年11月号35頁によれば、各種シクロデキストリン(以下CDと略称する)がマトン(生後12ケ月以上の羊肉)臭、鳥肉臭のマスキングに効果を示すとの記載が見られるが、これら鳥獣肉の加熱調理中に再度臭いが発現し、喫食時において獣臭のマスキング効果が失われてしまっている。 CDのみの処理では、一度、CDの空隙に取り込まれた獣臭が加熱により、再度、CDの空隙から揮発するものと考えられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明者らは、鳥獣畜肉の獣臭を手軽に除去でき、しかも加熱調理によっても、獣臭が再度発現しないを方法の開発を目的として鋭意検討した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
即ち本発明者らは、鳥獣畜肉の獣臭を取り除く方法として、これら鳥獣畜肉の調理前にCDとカテキンおよび/又はホップ抽出物で処理することにより、加熱調理を行っても獣臭の再度の発現が見られないことを見出し本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明におけるCDとは、でん粉に酵素を作用させて得られる環状オリゴ糖であり、ぶどう糖が6個環状に結合したα−CD、7個環状に結合したβ−CD、8個環状に結合したγ−CD、CDにマルトースの枝を付けたマルトシルCDを分岐CDと呼び、これらのCDのいずれでも良いが、特に水溶性の高い分岐CDが好ましい。
市販品としては、CD製品として、デキシーパール(塩水港製糖株式会社製造)、分岐CD製品としてイソエリート(塩水港製糖株式会社製造)がある。
本発明において、食肉の矯臭の目的で使用するCDの量は、食肉100重量当たり0.01〜50重量部、好ましくは0.1〜10重量部である。
0.01重量部以下であると、食肉の臭いをマスキングするのに不十分であり、50重量部を越えると食肉の食感が変わり好ましくない。
【0008】
本発明におけるカテキンは、ガンビア、ビンロウ子などの樹皮の皮や幹、ツバキ科チャの葉より水またはエタノールで抽出精製して得られるフラボノイドの1種である。
カテキンは、抗酸化作用、抗ガン作用、抗動脈硬化作用、血圧上昇抑制作用などの多くの生理活性を有している。
市販品には、緑茶から抽出したSD緑茶エキスパウダーN0.16714(カテキン含量30%以上、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製造)などがある。
本発明において、食肉の矯臭の目的で使用するカテキンの量は、食肉100重量当たり0.001〜5.0重量部、好ましくは0.1〜1.0重量部である。
0.001重量部以下であると、食肉の臭いをマスキングするのに不十分であり、5.0重量部を越えるとカテキンの持つ渋みが好ましくない影響をあたえる。
【0009】
本発明におけるホップ抽出物は、クワ科ホップの雌花より、水、二酸化炭素または有機溶剤で抽出し、熱処理して得られ、成分はイソアルファー苦味酸である。
ホップはビール醸造における重要な原料であり、苦味や芳香を与える。ホップ成分のルブロン酸、フムロン酸には抗酸化作用があり、さらにカテキン、ルチンなどのフラボノイド配糖体が含まれている。
本発明において、食肉の矯臭の目的で使用するホップ抽出物の量は、食肉100重量当たり0.001〜5.0重量部、好ましくは0.1〜1.0重量部である。
0.001重量部以下であると、食肉の臭いをマスキングするのに不十分であり、5.0重量部を越えるとホップ抽出物の持つ渋みが好ましくない影響をあたえる。
【0010】
本発明において、CDとカテキンおよび/またはホップ抽出物の併用が食肉の獣臭を抑える作用は、カテキンやホップ抽出物に含まれるフラボノイド体などと、獣臭の原因と考えられる低級脂肪酸(カプロン酸、イソ絡酸)などが結合し、CDのぶどう糖の環状空隙に最適な分子の形状として取り込まれるためと考えられる。
【0011】
本発明における食肉としては、牛、豚、家禽、野禽、羊、やぎ、馬、熊、鹿、猪、ダチョウ、鯨、アザラシ、オットセイなどが挙げられ、生肉、冷蔵肉、冷凍肉のいずれでも良い。
さらに、これら動物の舌、内臓、皮などの可食部でも良い。
【0012】
本発明における食肉加工品としては、肉片や肉塊を用いた焼き肉、丼の具などの煮物、揚げ物、挽き肉を用いたハンバーグ、ミートボール、ミートローフ、メンチカツ、ギョーザ、シュウマイなどがある。
【0013】
本発明によるCDとカテキンおよび/またはホップ抽出物を食肉に加える方法としては、これらの成分を混合して、直接、食肉に付着させるか、挽き肉に練りこむ、あるいは食肉用の調味液に添加し分散させて、食肉に浸漬させても良い。
【発明の効果】
【0014】
上記したように、本発明のCDとカテキンおよび/またはホップ抽出物を食肉の調理前に加えることにより、加熱調理をしても食肉の持つ獣臭の発生を抑えることが出来る。
【実施例1】
【0015】
以下、本発明による実施例および比較例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1として本発明の成分を表1の配合割合で、去勢していない雄牛から調製した牛ばら薄切り肉に均一にまぶし、10分間室温に放置後、牛丼を調理した。
ホップ抽出物は、乾燥ホップ20gを粉砕し、600mlの50重量%含水エタノールで攪拌しながら、80℃、20分間抽出した。ろ過後エタノール水溶液を減圧下で留去し、デシケーターに保存して粉末500mgを得た。
【0016】
牛丼の作り方は、▲1▼だし50g、醤油10g、みりん10g、酒10g、砂糖5gをなべに計量し、火にかける。
▲2▼この割り下が沸騰したら、本発明による成分で前処理した牛肉の薄切りを1枚ずつ入れ、強火で煮立てる。
▲3▼アクを取り除き、弱火にして20分間煮込む。
▲4▼牛肉が柔らかくなったら、ざく切りした玉ねぎを加えて、アクを取る。
▲5▼弱火で3分間煮て、白飯300gを盛ったどんぶりに盛り付ける。
【0017】
比較例1として、同じ牛ばら薄切り肉を用いて、実施例1と同様にして、牛丼を調理した。
【0018】
牛丼の評価法は、5人の専門パネルが牛丼を試食し、肉の風味を評価し、良い3点、普通2点、劣る1点として、合計点で示した。
したがって、点数の多い方が、この好ましいことを表している。
【0019】
【表1】


【0020】
表1の結果から、本発明による実施例1の場合は、肉に獣臭がなく、通常の牛丼の評価を得られたが、比較例1では、去勢していない雄牛に由来すると思われる獣臭がやや見られた。
【実施例2】
【0021】
実施例2として本発明の成分を表2の配合割合でもみだれに加え、マトンの焼き肉を調理した。
焼き肉の評価法は、5人の専門パネルが焼肉を試食し、肉の風味を評価し、良い3点、普通2点、劣る1点として、合計点で示した。
したがって、点数の多い方が、この好ましいことを表している
【0022】
焼く前の下ごしらえは、▲1▼きざみねぎ20g、醤油20g、砂糖10g、酒10g、みりん10g、すりごま8g、すりおろしにんにく1g、こしょう0.5g、ごま油15gを良く混ぜる。
▲2▼たれにマトン300gを入れ、手早くもむ。
【0023】
比較例2として、CDのみをたれに加え、他は実施例2と同様にして調理した。
【0024】
【表2】


【0025】
表2の結果から、本発明による実施例2の場合は、肉にマトン臭がなく、良好なの評価が得られたが、比較例2では、マトン臭が感じられた。
【出願人】 【識別番号】502324561
【氏名又は名称】有限会社コッシ
【出願日】 平成16年4月15日(2004.4.15)
【代理人】
【公開番号】 特開2005−295988(P2005−295988A)
【公開日】 平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願番号】 特願2004−146999(P2004−146999)