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【発明の名称】 加工米飯用ほぐし剤及びそれを用いた加工米飯の製造方法
【発明者】 【氏名】野本 健史
【住所又は居所】東京都中央区明石町8−1 株式会社ホーネンコーポレーション内

【氏名】葉桐 宏厚
【住所又は居所】東京都中央区明石町8−1 株式会社ホーネンコーポレーション内

【要約】 【課題】米飯類のほぐれ状態を改善すると共に、製造工程中、あるいは保存を経て、できあがった製品が食されるまでに起こる品質劣化を防止し得る加工米飯用ほぐし剤、及びそれを用いた加工米飯の製造方法を提供する。

【解決手段】硫酸基を含有する多糖類を配合してなる加工米飯用ほぐし剤、及び前記ほぐし剤を炊飯前又は炊飯後に添加する加工米飯の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫酸基を含有する多糖類を配合してなる加工米飯用ほぐし剤。
【請求項2】
硫酸基を含有する多糖類がカラギーナン及び/又はフコイダンである請求項1に記載の加工米飯用ほぐし剤。
【請求項3】
カラギーナンがιカラギーナン及び/又はλカラギーナンである請求項2に記載の加工米飯用ほぐし剤。
【請求項4】
硫酸基を含有する多糖類を生米100重量部に対して0.05〜10重量部の割合で、炊飯前又は炊飯後に添加することを特徴とする加工米飯の製造方法。
【請求項5】
硫酸基を含有する多糖類がカラギーナン及び/又はフコイダンである請求項4に記載の加工米飯の製造方法。
【請求項6】
カラギーナンがιカラギーナンガム及び/又はλカラギーナンガムである請求項5に記載の加工米飯の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、加工米飯に関するもので、詳細には、加工時にほぐれ性が良好で、また、保存中に品質が劣化しにくい加工米飯用ほぐし剤及びそれを用いた加工米飯の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、CVS、冷凍食品の伸展に伴い、これに対応した加工米飯類の生産量は飛躍的に増加している。こうした加工米飯類に対して要求される品質も次第に高くなっており、調理、製造から食するまで長時間が経過した状態でも、できたてに近い状態のものを供することが求められている。これら加工米飯類のうち、調理上の「炒め」工程を必要とする製品は、一般に製造量が多く機械で調理されるため、ご飯の「ほぐれやすさ」が生産性と品質を左右する重要な因子となる。さらに、その後の真空冷却、あるいは冷凍工程、計量工程等、保存を経て、製造から食されるまでの間に品質が変化するため、品質の経時変化を防止することについても、多岐にわたる取組みが続けられている。
一般的に炒め工程では、炒め油として離型油が用いられることが多いが(特許文献1)、離型油では、鉄板からの離型はある程度可能であるが、ご飯同士のほぐれが不充分という問題がある。また、ほぐれ性の優れた炊飯油も提案されているが(特許文献2)、炊飯油は、ご飯のほぐれ効果はある程度期待できるが、炒め工程では効果が不充分である。
一方、卵を主成分としたほぐし剤、調理工程が提案されている(特許文献3)。このように卵を使うとほぐし効果はある程度期待できるが、完全ではなく、また、調理上のレシピに制限が加わるという問題が発生する。
さらには、水溶性ヘミセルロースを主成分とした炊飯用、米飯用改質剤が提案されており(特許文献4〜6)、これによりほぐれはある程度良くなるが、完全ではなく、また、大豆由来の風味の悪さ、食感の悪さがあるといった課題が残されている。
このように従来提案されてきた方法には一長一短があるため、加工米飯の製造に際して、良好な風味・食感を保持しつつ、優れた離型、バラケ性能を発揮し得るほぐし剤の開発が切望されている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−265105号公報
【特許文献2】特開2003−339317号公報
【特許文献3】特開2003−18968号公報
【特許文献4】特開平06−121647号公報
【特許文献5】特開平11−285350号公報
【特許文献6】特開2000−316495号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、炒め工程を要する加工米飯類の製造における上記の問題点を克服し、原料となる米飯類のほぐれ状態を改善すると共に、製造工程中、あるいは保存を経て、できあがった製品が食されるまでに起こる品質劣化、すなわち、加工米飯の物性変化、食感変化、くっつき、外観変化等を総合的に防止し得る加工米飯用ほぐし剤及びそれを用いた加工米飯の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、硫酸基を含有する多糖類、特にカラギーナン、フコイダンを有効成分とする組成物が加工米飯類の炒め工程において、風味等に悪影響を及ぼすことなく非常に優れたほぐし効果を発揮すると同時に、品質劣化抑制効果を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、硫酸基を含有する多糖類を配合してなる加工米飯用ほぐし剤である。また、本発明は、硫酸基を含有する多糖類を生米100重量部に対して0.05〜10重量部の割合で、炊飯前又は炊飯後に添加することを特徴とする加工米飯の製造方法である。
【発明の効果】
【0006】
チャーハン等の加工米飯製造に際して、本発明の加工米飯用ほぐし剤を使用すると、加工時にほぐれ性が良好で、また、保存中に品質が劣化しにくい加工米飯を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明における硫酸基を含有する多糖類には、カラギーナン、フコイダン、ファーセルラン、アガロペクチン、ポリフィラン、ヘパリン等があり、これらは1種単独で、あるいは2種以上を混合して使用できる。
これらの硫酸基を含有する多糖類のうち、カラギーナンとフコイダンが特に好ましい。
カラギーナンとは、主として紅藻類のイバラノリ、キリンサイ、ギンアンソウ、スギノリ、ツノマタより得られる多糖類である。Dガラクトースが基本骨格である直鎖状の多糖類であり、硫酸基の結合部位と構成糖により、κ、ι、λに大別されるが、本発明においては、特にι及び/又はλカラギーナンガムが好ましい。
フコイダンは、コンブ、アラメ、モズク、カジメ等の褐藻類中に存在する硫酸多糖で、水溶性で粘性と曳糸性を示す粘質物であり、L−フコースから成り、エステル結合した硫酸基を持つ酸性多糖である。
本発明の加工米飯用ほぐし剤が優れた効果を発揮する理由は定かではないが、硫酸基を含有する多糖類が、米内部へ浸透し保水効果を高めるためと推測される。
本発明における加工米飯用ほぐし剤は、硫酸基を含有する多糖類単独で構成する他に、必要に応じて澱粉等の穀物系粉体、油脂、乳化剤、香料、増粘剤などを配合した構成となってもよい。
【0008】
澱粉としては、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉、緑豆澱粉、サゴ澱粉、米澱粉、えんどう豆澱粉、及びこれらにエステル化処理、エーテル化処理、架橋処理、酸処理、酸化処理、湿熱処理、α化等の物理的又は化学的処理を単独で、又は組み合わせて施した加工澱粉を挙げることができる。
油脂としては、大豆油、大豆胚芽油、菜種油、高オレイン酸菜種油、コーン油、ゴマ油、ゴマサラダ油、シソ油、亜麻仁油、落花生油、紅花油、高オレイン酸紅花油、ひまわり油、高オレイン酸ひまわり油、高リノール酸ひまわり油、ミッドオレイックひまわり油、綿実油、ブドウ種子油、マカデミアナッツ油、へーゼルナッツ油、カボチャ種子油、クルミ油、椿油、茶実油、エゴマ油、オリーブ油、米糠油、小麦胚芽油、パーム油、パームオレイン、パーム核油、ヤシ油、カカオ脂、藻類油およびこれらの分別油が挙げられる。
乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、モノグリセライド有機酸エステル類、蔗糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、レシチン、脂肪酸乳酸エステル類から選ばれる1種あるいは2種以上の混合物が挙げられる。
【0009】
香料としては通常、食品に使用される天然物系、合成系香料がいずれも使用できる。
増粘剤としては、水溶液にしたときに粘度を上昇させる多糖類、すなわち、アラビアガム、アラビノガラクタン、グァーガム、キサンタンガム、サイリウムシードガム、ジェランガム、タラガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、大豆水溶性多糖類(ヘミセルロース)、アルギン酸ナトリウム、プルラン、ペクチン、カラヤガム、ガッティガム、トラガントガム、カードラン、グルコマンナン、キチン、キトサン、微小繊維状セルロース、微結晶セルロース等が挙げられる。
この他にも、コラーゲンペプチド、乳タンパクペプチド、カゼインペプチド、オリゴペプチド、乳清タンパク濃縮物、えんどうタンパク、ゼラチン等の蛋白質由来の物、大豆ファイバー、えんどうファイバー等の繊維質、高度分岐環状デキストリン等のデキストリンも使用できる。
さらに、本発明の加工米飯用ほぐし剤には、pH調整剤や糖類を添加してもよい。pH調整剤としては、乳酸、グルコン酸、コハク酸、フマル酸、クエン酸、DL−リンゴ酸、氷酢酸、グルコノデルタラクトン、L−酒石酸、DL−酒石酸等があり、糖類としては、グルコース(ブドウ糖)、マルトース、フラクトース(果糖)、ガラクトース、トレハロース、オリゴ糖、蔗糖、ソルビット等が挙げられる。
【0010】
本発明における加工米飯類とは、チャーハン、ピラフ等の炊飯した米を油で加熱調理する食品であり、本発明の加工米飯用ほぐし剤は、炒め工程でのほぐれ性向上を主目的とするため、炒め工程に先だって原料である米飯へ添加する。加工米飯はそのメニュー、製品によって工程は異なるが、例えば、CVS向けに作られる炒飯の場合、炊飯→炒め→真空冷却→充填→保管といった工程をとるため、炊飯時、あるいは炒め前、炒め中のいずれかに添加されることとなる。炒め前、炒め時であれば、直接添加してから均一に攪拌するか、あるいは副材にあらかじめ混合させた状態で添加するという方法を取ることも可能である。
本発明の加工米飯用ほぐし剤は、硫酸基を含有する多糖類として生米100重量部に対して0.05〜10重量部、好ましくは0.5〜1.0重量部の割合で添加する。0.05重量部未満では必要な効果が得られず、また、10重量部を越えると食感、風味に悪い影響を与える。
【0011】
なお、カラギーナンを使用する際には、カラギーナンは通常粉末の状態となっており、加工米飯製造工程で使用する場合、生米に対する使用量は微量であるため、粉体をそのまま使用することは作業性や均一性にやや問題となる場合が多い。その際には、カラギーナンを水に均一に溶解した状態のものを調製することにより、作業性及び均一性を飛躍的に改善することができる。カラギーナンの水に対する添加量は、通常0.05〜10重量%が好ましい。5重量%を越えると、水溶液の粘度が高くなり、作業性に支障を来すことがある。こうした高濃度の水溶液調製に際しては、pH調整剤を添加してpHを下げて加熱混合すれば粘度が低下し、作業性にも問題がなくなる。
【実施例】
【0012】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜4、比較例1]
小型ガス炊飯器の釜に生米400gを入れ洗米した後、米への付着水を含め、水を加え960gとした(1.4倍加水)。その後、1時間浸漬後に着火。炊飯直前に炊飯油2g(ホーネンコーポレーション製品 豊年炊飯油 対生米0.5%)を添加した。着火から45分後に、200gのご飯(ご飯温度70〜80℃)を取り出しすぐにフライパンで炒めた。フライパンは1KW電気コンロで加熱して150℃で炒め油(ホーネンコーポレーション製品 パンクリーンC)4g(対ご飯2%)を添加し、160℃でご飯200gを投入し500Wに変換し、フライパン温度を150℃に保つようにした。次に、ιカラギーナン粉末をご飯に対して、各々0.1g(対ご飯0.05%)、0.5g(対ご飯0.25%)、1.0g(対ご飯0.5%)、3.0g(対ご飯1.5%)ふりかけ、大スプーンを両手に持ち、お好み焼きをひっくり返す要領で6分間炒めた。ほぐれ度合いは、◎極めて良くほぐれる、〇良くほぐれる、△ややほぐれる、×全くほぐれない、で評価した。
その結果を表1に示す。ご飯に対して3%で極めてよくほぐれたが、白飯上に多糖類特有の着色が目立った。また、1%では良くほぐれたが、着色ムラが目だった。0.5%では振りかけても量が少ないためかほぐれが悪くなってしまい、0.1%では全くほぐれなかった。
【0013】
【表1】


【0014】
[実施例5〜13、比較例2〜6]
小型ガス炊飯器の釜に生米400gを入れ洗米し、その後、米への付着水と予め調整した1%カラギーナン(ιタイプ、λタイプ、κタイプそれぞれの)溶液400gを含め水を加え全量で960gとした(1.4倍加水)。生米に対して1%のカラギーナンを添加する場合は、この方法を用いた。0.5%添加の場合は1%カラギーナン溶液を200g、0.1%の場合は40g、0.05%の場合は20gをそれぞれ添加し、水を加え全量で960gとした。生米に対して5%、7.5%、10%のカラギーナンを添加する場合は、ビーカーを用い500W電熱ヒーター上で加熱し、溶液温度を70℃に保ち、加温しながら攪拌し、それぞれの濃度のゲルを調整し、そのゲル400gを含め水を加え全量で960gとした。また、生米に対して1%のグァーガム、プルラン、アラビアガムを添加する場合は、予め調整した10%溶液40gを含め水を加え全量で960gとした(1.4倍加水)。その後、1時間浸漬後に着火。炊飯直前に炊飯油2g(ホーネンコーポレーション製品 豊年炊飯油 対生米0.5%)を添加した。その45分後に、200gのご飯(ご飯温度70〜80℃)を取り出しすぐにフライパンで炒めた。フライパンは1KW電気コンロで加熱してフライパン温度が150℃になったならば炒め油(ホーネンコーポレーション製品 パンクリーンC)4g(対ご飯2%)を添加し、160℃になったならばご飯200gを投入し、500Wに変換しフライパン温度を150℃に保つようにした。大スプーンを両手に持ち、お好み焼きをひっくり返す要領で6分間炒めた。チャーハンを想定したほぐれ度合いは、◎極めて良くほぐれる、〇良くほぐれる、△ややほぐれる、×全くほぐれない、で評価した。
その結果を表2に示す。ιカラギーナン、λカラギーナンでは生米に対して1%が極めて良好にほぐれる結果を示し、κカラギーナンも生米に対して1%が良好にほぐれる結果を示した。
【0015】
さらに、ιカラギーナンの添加量を0.05%から10%の範囲で同様に検討した。チャーハンを想定したほぐれ度合いに加え、チャーハンらしさの指標として食感を追加した。〔チャーハンを想定したほぐれ度合いを「ほぐれ」と「食感」の2項目で評価(7点法で判断)し、さらに、総合的に判断した。(7点非常に良好、6点かなり良好、5点やや良好、4点普通、3点やや悪い、2点かなり悪い、1点非常に悪い)〕
結果を表3に示す。添加量が極端に少ない0.05%ではある程度のほぐれは見られたが、チャーハンらしい食感が低下した。また、極端に多い10%では非常にほぐれたが、チャーハンらしい食感が低下した。
【0016】
【表2】


【0017】
【表3】


【0018】
[実施例14〜16、比較例7〜10]
チャーハン大量調理試験(溶液を炊飯時に水と一緒に入れる方法)
業務用炒め機〔ホーネンコーポレーション製品 クックマスターHEI−50(製造能力1工程で30食)〕でカラギーナン種類別(ιタイプ、λタイプ、κタイプ)のほぐし効果を確認した。炊飯は業務用ガス釜を使用した。予めステンレス製ボール内で生米2.5Kgを洗米し1時間浸漬した後、釜に付着水とともに1%カラギーナン溶液を2.5Kg入れ、水を加え全量で6.0Kgとした(1.4倍加水)。炊飯直前に炊飯油12.5g(ホーネンコーポレーション製品 豊年炊飯油 対生米0.5%)を添加した。グァーガム、プルラン、アラビアガムは、予め調整した10%溶液250gを含め水を加え全量で6Kgとした(1.4倍加水)。その後、炊飯し45分後にしゃもじ(大)でご飯を壊さないように軽くかき混ぜ荒熱を取り、4Kgのご飯を保温コンテナで15分間保温した。
その後、業務用炒め機を約4分間加熱し、釜温度が220℃になった時点で消火し、炒め油(ホーネンコーポレーション製品 パンクリーンC)80g(対ご飯2%)を入れ、釜を2回転させ釜になじませた。その後、きざんだ長ネギ96g、チャーシュー192gを投入し、次いで、15分間保温しておいたご飯4Kgを投入し、再び着火し2分間炒め、消火。その後、塩32g、胡椒2g、グルソー8g、中華スープの素12gのミックスを投入し、再び着火し1分間炒め消火。さらに、液卵400gを投入し着火して2分間炒めた。その後、消火して醤油を40g投入し、30秒間余熱で炒めてバットに取り出した。その後、すぐに真空冷却機にて品温を25℃まで下げた。炒め工程ではご飯の塊にはいっさい手を入れずに行った。
真空冷却後の評価ではιカラギーナンとλカラギーナンが良好な結果を示したが、κカラギーナンでは多糖類特有の粘りが出てしまいほぐれにくくなってしまった。
上記実施例で調理したチャーハン250gを冷凍庫(−20℃)で1カ月間冷凍し、家庭用電子レンジにて600Wで5分間レンジアップし解凍した。
これらについての性能試験を上記と同様に行い、結果を表4に示す。
ιカラギーナン、λカラギーナンについては、レンジアップ後のほぐれは極めて良好な結果を示した。κカラギーナンについては、多糖類特有の粘りが出てしまった。
【0019】
【表4】


【0020】
[実施例17〜19、比較例11]
カラギーナン溶液は、濃度が高くなればなるほど増粘し、ゲル状になり流動性がなくなってしまう。実施例5および6では流動性のある1%溶液を用い、生米に対しカラギーナンの粉末重量1%で良好なほぐし効果が認められた。しかし、かなりの量を炊飯時に入れることを考えると、システム化された大量炊飯装置では実用的ではない。カラギーナン溶液の必要最低限の量を大量炊飯ラインでポンプアップ式装置により自動添加をすることや、炊飯釜内での分散性をさらに向上させるために、高濃度(10〜15%)で流動性を保てるまで粘度を低下させることを考案した。
高濃度のカラギーナン溶液に流動性を持たせるには、pHを下げる、加熱するなど物理的処理を施す必要がある。そこで、500mlのセパラブルフラスコ(冷却管付き)内でpHを下げた水に、10〜15%濃度のιカラギーナンを分散させ、加熱処理することを試みた結果、pH=3の水にιカラギーナン粉末を10%分散させ90℃、40分加熱しつづけると、流動性が保てる溶液を調整できることがわかった(粘度3000cp以下)。さらに、90℃、80分処理したものは、水に近い粘度(20cp以下)まで落とせることがわかり、粘度が低いほどチャーハンのほぐれが良くなることもわかった。ιカラギーナン10%溶液であれば、2.5Kgの炊飯時に250gの少ない添加量で済む。
これら粘度調整したιカラギーナンを実施例14〜16と同じ方法(業務用炒め機)でチャーハンを実際に調理し、真空冷却後のほぐれ度合いを評価した。結果を表5に示す。
粘度が低くなるほどほぐれ度合いが良好な結果を示した。
【0021】
【表5】


【0022】
[実施例20、21、比較例12]
無添加区は、小型ガス炊飯器の釜に生米300gを入れ洗米した後、米への付着水を含め水を加え全量で720gとした(1.4倍加水)。対生米カラギーナン粉末1%添加区は、同様に炊飯器の釜に生米300gを入れ洗米した後、米への付着水と、予め500mlセパラブルでpH=3、90℃で40分加熱し粘度を2400cpに調整した10%ιカラギーナン溶液30gを含め水を加え全量で720gとした(1.4倍加水)。市販もずく溶液(フコイダンを含有)添加区はフードカッターを用い、もずく200gをドロドロになるまで粉砕し、その後、濾布で目視できる固形物を取り除き得た溶液をほとんど水分と考え、同様に300gの生米洗米後に100gを含め水を加え全量で720gとした(1.4倍加水)。その後、それぞれ1時間浸漬後に着火。炊飯直前に豊年炊飯油1.5g(対生米0.5%)を添加した。その45分後に、200gのご飯(ご飯温度70〜80℃)を取り出しすぐにフライパンで炒めた。フライパンは1KW電気コンロで加熱して、フライパン温度が150℃になったならばパンクリーンC(炒め油)4g(対ご飯2%)を添加し、160℃になったならばご飯200gを投入し、500Wに変換しフライパン温度を150℃に保つようにした。大スプーンを両手に持ち、お好み焼きをひっくり返す要領で6分間炒めた。チャーハンを想定したほぐれ度合いは、◎極めて良くほぐれる、〇良くほぐれる、△ややほぐれる、×全くほぐれない、で評価し、その結果を表6に示した。無添加では団子状のご飯の塊になってしまったのに対して、もずく溶液添加区はιカラギーナン対生米1%添加区ほどではなかったが、良好にほぐれる結果を示した。
【0023】
【表6】


【0024】
[実施例22〜25、比較例13]
業務用炒め機〔ホ−ネンコーポレーション製品 クックマスターHEI−50(製造能力1工程で30食)〕で、もずく由来のフコイダンが入ったご飯を炒めた。炊飯は業務用ガス釜を使用した。予めステンレス製ボール内で生米2.5Kgを洗米し1時間浸漬した後、釜に付着水とともに10%フコイダン溶液250gを入れ、水を加え全量で5.8Kgとした(1.32倍加水)。炊飯直前にホーネンコーポレーション製品 豊年炊飯油12.5g(対生米0.5%)を添加した。その後、炊飯し45分後にしゃもじ(大)でご飯を壊さないように軽くかき混ぜ荒熱を取り、4Kgのご飯を保温コンテナで15分間保温した。
その後、業務用炒め機(クックマスターHEI−50)を約4分間加熱し、釜温度が220℃になった時点で消火し、炒め油(ホーネンコーポレーション製品 パンクリーンC)80g(対ご飯2%)を入れ、釜を2回転させ釜になじませた。その後、15分間保温しておいたご飯4Kgを投入し、再び着火し4分間炒め、消火しすぐに炒めたご飯を特大バットに移し取り、ほぐれ度合いを評価した。その後、すぐに真空冷却機にて品温を25℃まで下げ、ほぐれ度合いを評価した。炒め工程ではご飯の塊にはいっさい手を入れずに行った。
【0025】
【表7】


【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の加工米飯用ほぐし剤を使用すると、加工時にほぐれ性が良好で、また保存中に品質が劣化しにくい加工米飯が得られるので、チャーハン等の加工米飯の製造に利用できる。
【出願人】 【識別番号】302042678
【氏名又は名称】株式会社J−オイルミルズ
【住所又は居所】東京都中央区明石町8番1号
【出願日】 平成16年4月14日(2004.4.14)
【代理人】 【識別番号】100068238
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 猛

【識別番号】100095902
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 穣

【識別番号】100103436
【弁理士】
【氏名又は名称】武井 英夫

【識別番号】100108693
【弁理士】
【氏名又は名称】鳴井 義夫

【公開番号】 特開2005−295929(P2005−295929A)
【公開日】 平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願番号】 特願2004−118871(P2004−118871)