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【発明の名称】 ペプチド含有飲料
【発明者】 【氏名】角谷 憲一
【住所又は居所】神奈川県相模原市淵野辺5−11−10 カルピス株式会社商品開発研究所内

【氏名】大島 潔
【住所又は居所】神奈川県相模原市淵野辺5−11−10 カルピス株式会社商品開発研究所内

【氏名】清水 孝敏
【住所又は居所】神奈川県相模原市淵野辺5−11−10 カルピス株式会社商品開発研究所内

【要約】 【課題】ペプチド由来の不溶性懸濁物質による飲料の視覚的不具合の解消、ペプチド由来の苦味、大豆ペプチド特有の大豆臭、不快味の解消、飲料に要求される味のまろやかさの付与、ペプチド含有飲料における褐変現象の防止を図ることにある。

【解決手段】ペプチドを0.1〜100mg/ml含有する飲料において、吸光度:波長460nmで0.075以上、波長700nmで0.025以上であることを特徴とする、または、ペプチドを0.1〜100mg/ml含有する飲料において、乳化剤又は乳化香料を含むことを特徴とするペプチド含有飲料であり、上記吸光度は、乳化剤又は乳化香料で付与されたものであることが好ましい。また、ペプチドを0.1〜100mg/ml含有する飲料において、糖の含有量を10〜200mg/mlとすることが好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペプチドを0.1〜100mg/ml含有する飲料において、吸光度:波長460nmで0.075以上、波長700nmで0.025以上であることを特徴とするペプチド含有飲料。
【請求項2】
ペプチドを0.1〜100mg/ml含有する飲料において、乳化剤又は乳化香料を含むことを特徴とするペプチド含有飲料。
【請求項3】
上記吸光度は、乳化剤又は乳化香料で付与されたものであることを特徴とする請求項1記載のペプチド含有飲料。
【請求項4】
ペプチドを0.1〜100mg/ml含有する飲料において、糖の含有量を10〜200mg/mlとすることを特徴とするペプチド含有飲料。
【請求項5】
上記飲料は、糖の含有量を10〜200mg/mlとしたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載のペプチド含有飲料。
【請求項6】
上記糖は、単糖類でない糖又は単糖類でない糖アルコールを使用することを特徴とする請求項4又は5記載のペプチド含有飲料。
【請求項7】
上記飲料において、甘味料として高甘味度甘味料を添加することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項記載のペプチド含有飲料。
【請求項8】
上記高甘味度甘味料の添加量が0.01〜1mg/mlであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項記載のペプチド含有飲料。
【請求項9】
上記ペプチドは、大豆由来のペプチドであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項記載のペプチド含有飲料。
【請求項10】
上記飲料が透明容器又は半透明容器にボトリングされるものであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項記載のペプチド含有飲料。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ペプチド含有飲料に係り、特に、ペプチド含有飲料の浮遊物・沈殿物等の視覚的不具合の改善、苦味、大豆臭・不快味の改善に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、蛋白質を分解して得られるペプチドは、同一組成のアミノ酸と比べ腸管吸収が優れていることから、医療用の食品、栄養飲料などに利用されてきている。
しかし、これらのペプチドは、例えば大豆を酵素により分解して得られるが、これらのペプチドには特有の苦味が発生する。例えば、特許文献1では、「苦味低減方法」という標題の下に、大豆ペプチドに対し、ゲル化剤を用いて味付ゼリー状にすることで苦味を改善している。
しかし、ペプチドは、飲料に添加すると、苦味の他、大豆ペプチドでは、豆臭等の不快味の発生、さらには、難水溶性ペプチドの浮遊、沈殿などの視覚的不具合の発生、さらには、褐変現象による変色、風味の劣化など解決すべき課題が多かった。
【0003】
【特許文献1】特開平4−346937号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記問題点、すなわち、ペプチド由来の不溶性懸濁物質による飲料の視覚的不具合の解消、ペプチド由来の苦味、大豆ペプチド特有の大豆臭、不快味の解消、飲料に要求される味のまろやかさの付与、ペプチド含有飲料における褐変現象の防止を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
即ち、本発明は、以下の通りである。
(1)ペプチドを0.1〜100mg/ml含有する飲料において、吸光度:波長460nmで0.075以上、波長700nmで0.025以上であることを特徴とするペプチド含有飲料。
(2)ペプチドを0.1〜100mg/ml含有する飲料において、乳化剤又は乳化香料を含むことを特徴とするペプチド含有飲料。
(3)上記吸光度は、乳化剤又は乳化香料で付与されたものであることを特徴とする前記(1)のペプチド含有飲料。
(4)ペプチドを0.1〜100mg/ml含有する飲料において、糖の含有量を10〜200mg/mlとすることを特徴とするペプチド含有飲料。
(5)上記飲料は、糖の含有量を10〜200mg/mlとしたものであることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかのペプチド含有飲料。
(6)上記糖は、単糖類でない糖又は単糖類でない糖アルコールを使用することを特徴とする前記(4)又は(5)のペプチド含有飲料。
【0006】
(7)上記飲料において、甘味料として高甘味度甘味料を添加することを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかのペプチド含有飲料。
(8)上記高甘味度甘味料の添加量が0.01〜1mg/mlであることを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれかのペプチド含有飲料。
(9)上記ペプチドは、大豆由来のペプチドであることを特徴とする前記(1)〜(8)のいずれかのペプチド含有飲料。
(10)上記飲料が透明容器又は半透明容器にボトリングされるものであることを特徴とする前記(1)〜(9)のいずれかのペプチド含有飲料。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、ペプチド由来の不溶性懸濁物質による飲料の視覚的不具合の解消、ペプチド由来の苦味、大豆ペプチド特有の大豆臭、不快味の解消、飲料に要求される味のまろやかさの付与、ペプチド含有飲料における褐変現象の防止が可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明に係るペプチド含有飲料に関し、上記のように各構成を限定した理由について説明する。
ペプチド含有量:0.1〜100mg/ml
ペプチドは、同一組成のアミノ酸と比べ腸管吸収が優れていることから、消化吸収のよいタンパク材料として使用されてきている。これらを栄養飲料、スポーツ飲料、清涼飲料として摂取するためには、ペプチドを0.1〜100mg/ml含有させることが望ましいので、ペプチド含有量を0.1〜100mg/mlに限定した。
実用的に好ましいペプチド含有量の下限値は、1mg/mlであり、さらに好ましくは、4mg/mlである。
また、苦味・不快味の観点から実用的に好ましいペプチド含有量の上限値は、80mg/mlであり、より好ましくは50mg/mlである。
【0009】
ここでいうペプチドとは、天然蛋白質をパパイン、酸性プロテアーゼ、中性プロテアーゼ、アルカリ性プロテアーゼ等の酵素を用いて加水分解したもの、あるいは、工業的に合成して製造されたペプチドでも使用することができる。特に本発明では植物淡白を酵素分解して得られるペプチドが好適であり、大豆ペプチドを例示することができる。市販されているペプチド源として、不二製油株式会社製・商品名・ハイニュートDC7(大豆ペプチド)を例示することができる。
【0010】
吸光度:波長460nmで0.075以上、波長700nmで0.025以上
ペプチド、特に、大豆ペプチドは、飲料中で不溶性の物質を形成する。この不溶性物質は、飲料中において浮遊物あるいは沈殿物となり、飲料の視覚的不具合の原因となる。
そこで、本件発明は、このような視覚的な不具合を解消するために、飲料にあらかじめ不透明感・半透明感・濁りを与えることとし、これを厳密に制御するために、飲料の吸光度でこれらを評価することとした。
【0011】
吸光度を波長460nm、波長700nmで評価したのは、不透明感・半透明感・濁りの程度を可視域で評価することが適切と考えたためである。波長460nmで0.075以上、波長700nmで0.025以上としたのは、当該吸光度未満では、ペプチド含有量との関係においてこれに起因する浮遊物、沈殿物が目立ってしまうためである。好ましくは、波長460nmで0.075以上、より好ましくは0.300以上、波長700nmで0.025以上、より好ましくは0.110以上がよい。
吸光度の測定は、具体的には、日本分光株式会社製のV−530型紫外可視分光度計を用い、光波長10mm×光路幅10mm×高さ45mmの石英セルを用いて、蒸留水をブランクとして測定した。
【0012】
乳化剤又は乳化香料:
上述のように、本発明に係る飲料に不透明感、半透明感を付与するために、乳化剤又は、乳化香料を含有させることにより、上記吸光度に制御することが好ましい。
乳化剤、乳化香料を例示すると、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、アラビアガム、ポリグリセリン脂肪酸エステル、レシチンのいずれか1種または2種以上の乳化剤、乳化香料を例示することができる。
【0013】
本発明は、乳化剤、乳化香料の上記浮遊物・沈殿物マスキング効果の他に、ペプチド由来の苦味、大豆ぺプチト゛由来の不快味(大豆臭)を軽減できることを新たに知見した。詳細な原理は定かでないが、乳化剤・乳化香料に含まれる基が、ペプチドに含まれる苦味を形成する界面に作用し、改善するものと予想される。しかし、あまりに過剰に添加すると、乳化剤、乳化香料に含まれる苦味が発生してしまうため、苦味が発生しない程度に添加することが好ましい。
乳化剤、乳化香料の含有量は、本発明の吸光度を付与できるように含有させることが好ましい。グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、アラビアガム、ポリグリセリン脂肪酸エステルなどの乳化剤、乳化香料であれば、0.10〜5.00mg/ml含有させることが好ましい。好ましい下限値は、0.25mg/ml以上、0.50mg/ml以上がより好ましい。また、上限値は好ましくは5.0mg/ml以下、2.0mg/ml以下がより好ましい。
【0014】
糖又は糖アルコールの含有量:10〜200(mg/ml)
糖の含有量を厳密に制御する必要がある。その理由は、(1)まろやかな風味を付加し、(2)ペプチド特有の苦味を改善し、さらに、(3)ペプチド含有飲料特有の褐変現象を防止するためである。
つまり、風味(まろやかさ)を維持し、かつ、ペプチドの苦味を軽減させるために、糖を飲料に含有させる必要がある一方で、糖を含有させることは、褐変現象による色調変化、風味劣化の原因となるからである。
この褐変現象の原因は、メイラード反応又はアミノーカルボニル反応とも呼ばれる反応であり、その名の示すとおり、糖のカルボニル基とペプチドのアミノ基とが共存する場合に起こる反応である。
【0015】
つまり、糖の添加はメイラード反応の原因となるカルボニル基を添加することになるから、ペプチド含有量との関係において、糖の添加量を厳密に制御する必要がある。
具体的には、風味(まろやかさ)維持、ペプチドの苦味を改善するために必要な添加量を10mg/ml以上とした。さらに、メイラード反応の原因となるカルボニル基を減らすため、ペプチド添加量に対して、その上限値を200mg/ml以下とすることが望ましい。好ましくは、150mg/ml以下、さらに、120mg/ml以下が好ましい。なお、メイラード反応に関与するカルボニル基を減らすためには、ブドウ糖、果糖ぶどう糖液糖、ブドウ糖のような単糖類よりは、二糖類、オリゴ糖類、多糖類を使用することが望ましい。例えば、グラニュー糖が好適である。
【0016】
高甘味度甘味料の複合添加
メイラード反応防止の観点から、添加する糖との関係において、高甘味度甘味料を複合添加することが好ましい。高甘味度甘味料としてアスパルテーム、ステビア甘味料、サッカリン、アセスルファムカリウム、スクラロースなどを使用することができる。
なお、糖由来のまろやかな風味を加味しない場合には、高甘味度甘味料単独添加も可能である。上記高甘味度甘味料の含有量は、0.01〜1mg/mlが好ましい。
【0017】
透明容器又は半透明容器
本発明において、吸光度を本発明の範囲内に制御してある場合には、ペプチド由来の不溶成分は視覚的に目立たないことから、この飲料を、ペットボトルなどの無色透明容器、栄養ドリンクに用いられている着色透明、半透明の容器などにボトリングするときに特に好適である。
【実施例】
【0018】
以下、本発明について、実施例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
実施例1:乳化剤の投入試験
実験方法
水に大豆ペプチド源として不二製油株式会社製商品名ハイニュートDC7をペプチド含有量で4mg/mlになるように投入し、乳化剤を所定量(mg/ml)投入し、味、浮遊物・沈殿物の状態を評価した。
乳化剤は、グリセリン60wt%、グリセリン脂肪酸エステル10wt%、ショ糖脂肪酸エステル15wt%、レシチン0.4wt%、エタノール0.10wt%残部水からなる乳化剤を上記乳化剤(水部を含む)として下記濃度になるように調整した。
乳化剤の投入量、吸光度の制御によってペプチド由来の浮遊物、沈殿物、苦味を軽減することができている。
【0019】
【表1】


【0020】
実施例2 糖の添加試験
メイラード反応(褐変現象・変色現象)の有無について、加速試験を行うため、大豆ペプチド(ハイニュートDC7・不二製油株式会社製)をペプチド換算で40mg/ml溶液に調整した上で糖を所定量添加し、35℃1月、55℃で1週間加熱し、評価した。
なお、風味の評価は、加熱前に試飲を行い、風味(まろやかさ)の評価を行ったものである。単糖であるブドウ糖に対して、多糖であるグラニュー糖のほうが褐変現象を起こしにくいことがわかる。
【0021】
【表2】


【0022】
実施例3 飲料の製造試験
大豆ペプチド(不二製油株式会社製・商品名・ハイニュートDC7)に水を加え攪拌し、溶解させた。このペプチド溶液に、下記組成の乳化香料を添加し、飲料を得た。
【0023】
香料ベース 5 %
ショ糖脂肪酸エステル 1.0%
グリセリン 55.0%
還元水アメ 36.5%
グリセリン脂肪酸エステル 2.5%
【0024】
褐変試験は、55℃一週間保持し、その変色をみた。
【0025】
【表3】


【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の飲料の用途は、例えば、栄養飲料、スポーツ飲料、清涼飲料として有効に利用することができる。
【出願人】 【識別番号】000104353
【氏名又は名称】カルピス株式会社
【住所又は居所】東京都渋谷区恵比寿南二丁目4番1号
【出願日】 平成16年4月9日(2004.4.9)
【代理人】 【識別番号】100105647
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 昌平

【識別番号】100105474
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 弘徳

【識別番号】100108589
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 利光

【識別番号】100115107
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 猛

【識別番号】100090343
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 百合子

【公開番号】 特開2005−295875(P2005−295875A)
【公開日】 平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願番号】 特願2004−116093(P2004−116093)