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【発明の名称】 即席麺用粉組成物及び即席麺
【発明者】 【氏名】柳下 隆弘
【住所又は居所】埼玉県入間郡大井町鶴ヶ岡5丁目3番1号 株式会社日清製粉グループ本社基礎研究所内

【氏名】水上 将一
【住所又は居所】東京都千代田区神田錦町一丁目25番地 日清製粉株式会社内

【氏名】稲葉 美幸
【住所又は居所】東京都中央区日本橋小網町19番12号 日清製粉株式会社内

【氏名】岡山 直生
【住所又は居所】東京都中央区日本橋小網町19番12号 日清製粉株式会社内

【氏名】竹谷 光司
【住所又は居所】東京都中央区日本橋小網町19番12号 日清製粉株式会社内

【要約】 【課題】茹で戻し時間が早く、しかも麺類同士が付着することなくほぐれ性に優れた即席麺の提供。

【解決手段】小麦粉と、スイートキャッサバ由来のタピオカ澱粉及び/又は当該スイートキャッサバ由来の化工タピオカ澱粉を配合する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
小麦粉と、スイートキャッサバ由来のタピオカ澱粉及び/又はスイートキャッサバ由来の化工タピオカ澱粉を含有することを特徴とする即席麺用粉組成物。
【請求項2】
小麦粉と、スイートキャッサバ由来のタピオカ澱粉及び/又はスイートキャッサバ由来の化工タピオカ澱粉の含有量の比が97:3〜50:50であり、かつ両者の合計含有量が即席麺用粉組成物中の50質量%以上であることを特徴とする請求項1記載の即席麺用粉組成物。
【請求項3】
スイートキャッサバ由来の化工タピオカ澱粉が、未化工のスイートキャッサバ由来のタピオカ澱粉に比べて、示差走査型熱量計測定における糊化ピーク温度が低下するように化工処理されたものである、請求項1又は2記載の即席麺用粉組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項記載の即席麺用粉組成物を用いて製造された即席麺。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な即席麺用粉組成物及び当該粉組成物を用いて製造された即席麺に関する。
【背景技術】
【0002】
即席麺は、その簡便性や保存性等から日本を始めとして、諸外国の食生活に定着している。
従来より即席麺は、小麦粉を主原料とし、これに澱粉等を加えて製造されていた。この原料澱粉としてタピオカ澱粉が汎用されているが、従来のタピオカ澱粉はタイ産等のビターキャッサバ由来の澱粉であったため、茹で戻し時間の短縮に限界があり、またその添加量が増加すると、麺線が付着し、ほぐれ性が悪化すると云う問題があった。
【0003】
そこで、斯かる麺線の付着を防止するために、麺線表面に油やセルロース等の結着防止剤を付着させる方法や湿熱処理澱粉を用いる方法(例えば特許文献1及び2参照)等が既に提案されているが、結着防止剤を用いる場合には、当該結着防止剤により麺の食味や食感が損われ易く、また湿熱処理澱粉を用いる場合には特殊な条件下で湿熱処理澱粉を作製しなければならないと云う難点があった。
【特許文献1】特開2001−314163号公報
【特許文献2】特開平10−84894号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の如き従来の問題と難点に鑑みてなされたものであり、結着防止剤等の特殊な添加剤を格別添加することなく、湯戻りが早く、しかも麺線同士が付着せず、ほぐれ性に優れた即席麺を提供することを目的とする。
【0005】
本発明者は当該目的を達成すべく種々研究を重ねた結果、澱粉原料として、スイートキャッサバ由来のタピオカ澱粉及び/又は当該スイートキャッサバ由来の化工タピオカ澱粉を用いれば極めて良い結果、すなわち上記目的に適合した即席麺が得られることを見い出し、本発明を完成した。
【0006】
ちなみに、キャッサバにはスイートキャッサバとビターキャッサバの2種類があり、スイートキャッサバは茹でたりしてすぐに食べられるが、ビターキャッサバはシアンが含まれているため、当該シアンを抜かない限り食することはできなかった。しかし、アフリカ・アジアで主に食されているのはビターキャッサバであり、日本に輸入されるタピオカ澱粉もタイ産のビターキャッサバ由来のみであったため、従来スイートキャッサバが麺に用いられることはなかった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は小麦粉と、スイートキャッサバ由来のタピオカ澱粉及び/又は当該スイートキャッサバ由来の化工タピオカ澱粉を含有する即席麺用粉組成物により上記目的を達成したものである。
【0008】
また、本発明は当該即席麺用粉組成物を用いて製造された即席麺により上記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば湯戻りの早い、しかも麺線同士が付着せず、ほぐれ性に優れた即席麺を容易に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明で用いられるスイートキャッサバ由来のタピオカ澱粉は、スイートキャッサバを原料とし、例えばこれを水に浸漬した後、粗砕、磨砕し、次いで遠心分離により蛋白分離を行なうことによって得られる。このスイートキャッサバ由来のタピオカ澱粉は、ビターキャッサバ由来のタピオカ澱粉と比較してアミロース含量が低く、また示差走査型熱量計測定における糊化ピーク温度(以下、単に「糊化ピーク温度」と記す)も低いという特性を有している。具体的には、スイートキャッサバ由来のタピオカ澱粉はアミロース含量が約13.5%、糊化ピーク温度が約65℃以下であるのに対し、ビターキャッサバ由来のタピオカ澱粉はアミロース含量が約15%、糊化ピーク温度が約70℃以上である。本発明において、スイートキャッサバ由来のタピオカ澱粉としては、上記アミロース含量及び糊化ピーク温度を有するものであれば何れのものも用いることができるが、ブラジル産のスイートキャッサバ由来のタピオカ澱粉が好適に使用される。尚、糊化ピーク温度とは示差走査型熱量計測定計(セイコー社製)を用い、供試澱粉の乾物質量10mgに対し40mgの蒸留水を加えたアルミカプセルと、同量の蒸留水のみを加えたアルミカプセルを対照として比較して、25℃から140℃まで毎分5℃ずつ昇温させて、対照との吸熱エネルギーの差異を測定し、そして糊化される時に生じる吸熱エネルギー(30℃から100℃の間に形成されるピーク)の頂点の温度を糊化ピーク温度(℃)として表わしたものである。
【0011】
本発明で用いられる化工タピオカ澱粉は、前記スイートキャッサバ由来のタピオカ澱粉を化工し、示差走査型熱量計における糊化ピーク温度を低下せしめたものである。
この化工法としては糊化ピーク温度を低下せしめることができるものであれば、その具体的化工法の如何を問わないが、例えばアセチル化処理、エーテル化処理が挙げられる。
【0012】
本発明においては、前記小麦粉及びスイートキャッサバ由来のタピオカ澱粉や化工タピオカ澱粉以外に、大麦粉、米粉、もち米粉、そば粉等の穀粉類;馬鈴薯澱粉、とうもろこし澱粉等の澱粉類、その化工処理物;乳化剤、ゲル化剤等が適宜配合使用できる。
【0013】
本発明の即席麺用粉組成物における前記小麦粉と、スイートキャッサバ由来のタピオカ澱粉及び/又は化工タピオカ澱粉の含有割合は、97:3〜50:50、特に95:5〜60:40とし、かつ両者の合計含有量が即席麺用粉組成物中50質量%以上とするのが望ましい。因に、スイートキャッサバ由来のタピオカ澱粉及び/又は化工タピオカ澱粉の小麦粉に対する含有割合が3未満の場合には湯戻りが早く、ほぐれ性も向上するという効果が得られにくく、他方含有割合が50を超えると戻した後の麺の粘弾性が悪くなり易い。
【0014】
尚、本発明において、スイートキャッサバ由来のタピオカ澱粉と化工タピオカ澱粉は併用しても良く、この場合両者の含有量も上記範囲とするのが望ましい。また、他の澱粉類をさらに使用するときには、スイートキャッサバ由来のタピオカ澱粉を含む澱粉類の総添加量を50質量%以下とするのが好ましい。
【0015】
本発明における即席麺は、上記即席麺用粉組成物を使用する以外は通常の即席麺の製麺法によって製造される。
【実施例】
【0016】
以下実施例を挙げて本発明を更に説明する。
【0017】
実施例1
市販の中力小麦粉[日清製粉(株)製「金すずらん」]60質量部と、下記調製法により得たブラジル産スイートキャッサバ由来のタピオカ澱粉(糊化ピーク温度62.6℃)
10質量部と、馬鈴薯澱粉30質量部とを添加混合して即席麺用粉組成物を得た。
【0018】
◎調製法
ブラジル産スイートキャッサバ芋の皮を剥ぎ、おろし金で磨砕する。これを10倍量の3%亜硫酸水溶液で懸濁、沈殿を3回、水で懸濁、沈殿を2回繰り返し、着色物質、酵素、タンパク質、繊維質の除去を行なう。得られたウェットケーキを乾燥、粉砕し、100メッシュの篩を通し、スイートキャッサバ由来のタピオカ澱粉を得る。
【0019】
この組成物100質量部を横型ミキサーに投入し、次いで水37質量部に食塩2質量部を混合したものを加えて高速で5分間、低速で4分間混捏して麺生地を得た。得られた麺生地を常法通り複合・圧延を行ない麺帯厚み1.1mmとして切刃♯10角刃にて麺線に切り出した。この麺を蒸し器100℃にて2分30秒間蒸した後、65gに分割し、型に入れ、90℃・10m/sの熱風で30分間乾燥した後、常温下で冷却して即席麺を得た。
【0020】
試験例1
即席麺用粉組成物の配合を表1記載のとおりに変えた以外は実施例1と同様にして即席麺を得た。なお、比較例に用いたビターキャッサバ由来のタピオカ澱粉の糊化ピーク温度は71.4℃であった。
得られた各即席麺並びに実施例1で得た即席麺を、それぞれ70gずつ密閉容器中に入れた後、520mlの沸騰水を注ぎ4分間かけて復元し、次いで粉末調味料を入れて10名のパネラーにより、表2記載の評価基準に従い粘弾性、もどり性及びほぐれ性を評価した。その結果を表1に平均値で示した。
【0021】
【表1】


【0022】
【表2】


【0023】
実施例2
スイートキャッサバ由来のタピオカ澱粉に代え、下記化工法により処理して得たアセチル化タピオカ澱粉を用いた以外は実施例1と同様にして即席麺を得た。
【0024】
◎化工法
1Lの撹拌機付フラスコに水150mlを入れ、スイートキャッサバ由来のタピオカ澱粉(糊化ピーク温度62.6℃)50gを分散させる。液温度27℃において、3%炭酸ナトリウム水溶液を少量加え、pH10に調整する。次にpH9〜10を維持しながら、無水酢酸2.5mlと3%炭酸ナトリウム水溶液155mlを同時に滴下する。この時液温度は27±1℃とする。同液温度でpH9.5を維持し、1時間撹拌する。反応終了後、液温度を27℃以下に冷却下、5%希硫酸を滴下し、pH6に調整する。中和後、減圧ろ過を行ない、ウェットケーキを得る。これに水500mlを加え、5〜10分間撹拌して均一の懸濁液とした後、減圧ろ過を行なう。この操作を2回繰り返した後、室温で自然乾燥を行なう。然る後、粉砕し、100メッシュの篩を通し、スイートキャッサバ由来のアセチル化タピオカ澱粉(糊化ピーク温度55.6℃)を得る。
【0025】
試験例2
即席麺用粉組成物の配合を表3記載のとおりに変えた以外は実施例2と同様にして即席麺を得た。なお、比較例に用いたビターキャッサバ由来のアセチル化タピオカ澱粉の糊化ピーク温度は66.8℃であった。
得られた各即席麺並びに実施例2で得た即席麺について試験例1と同様に粘弾性、もどり性及びほぐれ性を評価した。その結果は表3に平均値で示した。
【0026】
【表3】


【出願人】 【識別番号】000226998
【氏名又は名称】株式会社日清製粉グループ本社
【住所又は居所】東京都千代田区神田錦町1丁目25番地
【識別番号】301049777
【氏名又は名称】日清製粉株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区神田錦町一丁目25番地
【出願日】 平成16年4月8日(2004.4.8)
【代理人】 【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所

【識別番号】100068700
【弁理士】
【氏名又は名称】有賀 三幸

【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄

【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫

【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹

【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人

【識別番号】100089048
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 康隆

【識別番号】100101317
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 ひろみ

【公開番号】 特開2005−295832(P2005−295832A)
【公開日】 平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願番号】 特願2004−113723(P2004−113723)