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【発明の名称】 ポリフェノール含有乾燥果物およびその製法
【発明者】 【氏名】桑 総一郎

【要約】 【課題】

【解決手段】本発明のポリフェノール含有乾燥果物は、水分含有量が20重量%以下であり、ポリフェノールを可食部100g中に200mg以上含有することを特徴としている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水分含有量が20重量%以下であり、ポリフェノールを可食部100g中に200mg以上含有することを特徴とするポリフェノール含有乾燥果物。
【請求項2】
ブドウポリフェノールを可食部100g中に100mg以上含有することを特徴とする請求項1に記載のポリフェノール含有乾燥果物。
【請求項3】
ブドウポリフェノールが、赤ワイン由来であることを特徴とする請求項2に記載のポリフェノール含有乾燥果物。
【請求項4】
果物が、リンゴ、ナシ、イチゴ、柑橘類よりなる群から選ばれる果物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリフェノール含有乾燥果物。
【請求項5】
比重が0.07〜0.3g/cm3であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに
記載のポリフェノール含有乾燥果物。
【請求項6】
平均粒径が5mm以下の粒状または粉状であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリフェノール含有乾燥果物。
【請求項7】
生果物可食部にポリフェノールを含有する液体成分を含浸させ、次いで凍結乾燥することを特徴とするポリフェノール含有乾燥果物の製造方法。
【請求項8】
液体成分が赤ワインを含有することを特徴とする請求項7に記載のポリフェノール含有乾燥果物の製造方法。
【請求項9】
液体成分が糖類を含有することを特徴とする請求項7または8に記載のポリフェノール含有乾燥果物の製造方法。
【請求項10】
果物が、リンゴ、ナシ、イチゴ、柑橘類よりなる群から選ばれる果物であることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載のポリフェノール含有乾燥果物の製造方法。
【請求項11】
液体成分の含浸を、生果物と液体成分とを減圧下で接触させて行うことを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載のポリフェノール含有乾燥果物の製造方法。
【請求項12】
水分含有量が20重量%以下であり、ポリフェノールを可食部100g中に200mg以上含有するポリフェノール含有乾燥果物を製造することを特徴とする請求項7〜11のいずれかに記載のポリフェノール含有乾燥果物の製造方法。
【請求項13】
請求項7〜12のいずれかの製造方法により得られるポリフェノール含有乾燥果物。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリフェノールを多く含有した乾燥果物およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリフェノールは、摂取することにより抗酸化作用や、活性酸素を減少させる作用などが期待される成分であり、近年注目されている。ポリフェノールは植物全般に含有されている成分であり、野菜、果物などにも含有されてはいるが、お茶、赤ワイン、ココア、チョコレートなどに多く含まれていることが知られており、通常1回あたりに食する量を勘案すると、赤ワインまたはチョコレートにより、多くのポリフェノールを容易に摂取できることが知られている。赤ワインのポリフェノールについては、赤ワインを多く消費するフランスでは、脂肪摂取量の割に冠動脈硬化による死亡率が低いことからも近年注目されており、非特許文献1には、赤ワインポリフェノールの抗酸化作用が動脈硬化を防ぐことが記載されている。
【0003】
しかしながら、赤ワインには10%程度のアルコールが含まれており、アルコールを苦手とする人や未成年者には摂取できず、また赤ワインを好んで飲用する人であってもいつでも気軽に摂取できるわけではなく、アルコールによる悪影響も懸念されるという問題がある。またチョコレートには多くの脂肪と糖質が含まれており、これらを過剰摂取してしまう懸念がある。このようにこれらの食品の摂取では、ポリフェノールによる効果を期待する以上に、他の成分による人体への悪影響が問題視されていた。
【0004】
一方果物は、食物繊維が豊富である他、ビタミンCをはじめとする各種ビタミン、ミネ
ラル類を豊富に含有し、さらに少量のポリフェノールを含有している。このため、果物類の毎日の摂取が望ましいとされている。果物には、健康状態を改善する作用を有しているものも多く、たとえばカリウムの多いリンゴでは、血圧降下などに有効であることが知られている。非特許文献2の第10〜11頁には、2週間にわたりリンゴを1日6個摂取したグループでは、血圧が有意に降下したという実験結果が記載されている。
【0005】
しかしながら、通常の生活においてこのように多量の果物を毎日摂取することは実際には困難であり、また、摂取した場合にはその他の食生活に支障をきたすという問題があった。
【0006】
このため、いつでも手軽にかつおいしく摂取できる、ポリフェノールを多く含有する果物食品の出現が求められていた。
本発明者は、このような状況に鑑みて鋭意研究した結果、赤ワインや茶などのポリフェノールを含む液体成分を、果物に含浸させて乾燥させた食品は、含浸した液体成分由来のポリフェノールと、果物が本来有するポリフェノールとを兼ね備えて有しており、生果物を食する場合よりも手軽に多量の果物成分を摂取でき、しかも、液体成分がアルコール分を含む場合にも、乾燥によりアルコールが実質的に除去された食品となり、アルコールの弊害を受けることなくポリフェノールを多く含有する食品として手軽に摂取できることを見出した。
【0007】
なお、液体成分を含む乾燥果物食品の製造に関しては、特許文献1において、皮むきおよび切断をした果物または野菜を、ジュースを含む糖液に8〜24時間程度浸漬して含浸し、膨化し、減圧乾燥する方法が提案されている。しかしながら、浸漬による方法では、含浸に長時間を要するうえ、含浸される液体成分量が少ないという問題がある。浸漬による含浸において、含浸される液体成分量を増加させるためには、糖濃度の高い液体成分を
用いて浸透圧を上げる必要があるが、糖度が高い液体成分を用いると、基材である果物が収縮あるいは軟化を生じやすく、また乾燥させた際に糖が析出し、外観、食感あるいは風味が損なわれるという問題がある。
【特許文献1】特許第275996号公報
【非特許文献1】近藤 和雄 著「体の酸化を防ぎ血管を若返らせる赤ワイン」 1999年発行、(株)ハート出版
【非特許文献2】武部 和夫 著「1日1個のりんごが成人病を遠ざける」1993年発行、(株)ハート出版
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、ポリフェノールを多く含有し、サプリメントとしても手軽に摂取できる、乾燥果物およびその好適な製造方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のポリフェノール含有乾燥果物は、水分含有量が20重量%以下であり、ポリフェノールを可食部100g中に200mg以上含有することを特徴としている。
このような本発明のポリフェノール含有乾燥果物は、ブドウポリフェノールを可食部100g中に100mg以上含有することが好ましく、ブドウポリフェノールが、赤ワイン由来であることがより好ましい。
【0010】
本発明のポリフェノール含有乾燥果物では、果物が、リンゴ、ナシ、イチゴ、柑橘類よりなる群から選ばれる果物であることが好ましい。
本発明のポリフェノール含有乾燥果物は、比重が0.07〜0.3g/cm3であるこ
とが好ましい。
【0011】
本発明のポリフェノール含有乾燥果物は、平均粒径が5mm以下の粒状または粉状であることが好ましい。
本発明のポリフェノール含有果物の製造方法は、生果物可食部にポリフェノールを含有する液体成分を含浸させ、次いで凍結乾燥することを特徴としている。
【0012】
本発明のポリフェノール含有乾燥果物の製造方法では、液体成分が赤ワインを含有することが好ましく、液体成分が糖類を含有することも好ましい。
本発明のポリフェノール含有乾燥果物の製造方法では、果物が、リンゴ、ナシ、イチゴ、柑橘類よりなる群から選ばれる果物であることが好ましい。
【0013】
本発明のポリフェノール含有乾燥果物の製造方法では、液体成分の含浸を、生果物と液体成分とを減圧下で接触させて行うことが好ましい。
本発明のポリフェノール含有乾燥果物の製造方法では、水分含有量が20重量%以下であり、ポリフェノールを可食部100g中に200mg以上含有するポリフェノール含有乾燥果物を製造することが好ましい。
【0014】
本発明のポリフェノール含有乾燥果物は、上述したいずれかの本発明のポリフェノール含有乾燥果物の製造方法により得られることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ポリフェノールを多く含有し、サプリメントとしても手軽に摂取できる、乾燥果物およびその好適な製造方法を提供することができる。本発明に係るポリフェノール含有乾燥果物は、水分量が少ないため、生の果物よりも手軽に食物繊維などの果物成分を所望量摂取することができ、しかも動脈硬化などを防ぐ効果を有するポリフェノー
ルを手軽に充分量摂取することができる。特に、本発明に係るポリフェノール含有乾燥果物が赤ワイン由来のポリフェノールを含有する場合、すなわち本発明に係るポリフェノール含有乾燥果物の製造において、赤ワインを含有する液体を用いた場合においては、動脈硬化の発症を抑制する作用があるといわれる赤ワインポリフェノールを、アルコールの弊害なしに手軽に摂取することができる。また、特に果物がリンゴである場合には、ポリフェノールによる動脈硬化防止などの作用が期待できるとともに、食物繊維およびカリウムが多いというリンゴの特性により、高血圧や便秘・大腸がんなどの予防効果も期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明について具体的に説明する。
<ポリフェノール含有乾燥果物>
本発明のポリフェノール含有乾燥果物は、水分含有量が20%以下、好ましくは10%以下、より好ましくは1〜7%程度であり、ポリフェノールを可食部100g中に200mg以上、好ましくは300mg以上含有する。ここで、ポリフェノール含有果物中のポリフェノール量は、基材である果物由来のポリフェノールと、製造時に添加されたポリフェノールの量の合計を表す。
【0017】
また、本発明のポリフェノール含有乾燥果物は、基材である果物以外に由来するポリフェノールを含有している。基材である果物以外に由来するポリフェノールとしては、野菜由来、果物由来、茶由来など、どのようなポリフェノールであってもよい。基材である果物以外に由来するポリフェノールが、果物由来のポリフェノールである場合には、基材である果物と同種の果物に由来してもよく、異種の果物に由来してもよい。
【0018】
本発明の乾燥果物は、これらのうち、茶または果物に由来するポリフェノールを含有するのが好ましく、ブドウに由来するポリフェノール(ブドウポリフェノール)を含有するのが好ましい。ブドウポリフェノールとしては、ブドウジュース、白ワイン、赤ワインなどに由来するブドウポリフェノールが挙げられ、この内特に赤ワインに由来するポリフェノールが好ましい。赤ワインは、ポリフェノールの多いブドウの皮部および種子部が充分に活かされており、しかも、発酵・熟成の過程でポリフェノールであるタンニン量が増加しているため好適である。
【0019】
本発明の乾燥果物は、基材である果物として、公知の果物をいずれも用いることができるが、このうちリンゴ、ナシ、イチゴ、柑橘類よりなる群から選ばれる果物が好ましく、リンゴあるいはナシがより好ましく、リンゴが特に好ましい。
【0020】
本発明の乾燥果物は、特に限定されるものではないが、基材である果物の収縮が少ない状態、基材である果物の種類にもよるが、好ましくは実質的に収縮していない状態であるのが望ましい。このため本発明の乾燥果物は、その比重が通常0.8g/cm3以下、好
ましくは0.6g/cm3以下、より好ましくは0.07〜0.3g/cm3であるのが望ましい。
【0021】
本発明の乾燥果物の形状については特に限定されるものではなく、基材である生果物の形状をそのまま維持していてもよく、一部切断した形状であってもよく、剥皮していてもよく、粒状にまたは粉状に切断されていてもよい。基材である果物が、比較的硬いかまたは厚い外皮を有する場合には、少なくとも一部が切断されているか、剥皮されている形態であるのが望ましい。
【0022】
<ポリフェノール含有乾燥果物の製造方法>
本発明のポリフェノール含有乾燥果物の製造方法は、生果物の可食部にポリフェノール
を含有する液体成分を含浸させる工程と、凍結乾燥する工程とを有している。
【0023】
本発明の製造方法で基材として用いる生果物としては、公知の果物をいずれも用いることができ、このうちリンゴ、ナシ、イチゴ、柑橘類(オレンジ、レモン、ゆず、みかんなど)よりなる群から選ばれる果物が好ましく、リンゴあるいはナシがより好ましく、リンゴが特に好ましく用いられる。
【0024】
これらの生果物は、そのまま含浸に供してもよく、また、切断あるいは剥皮して含浸に供してもよい。生果物が、硬いかまたは厚い外皮を有している場合には、少なくとも一部を切断あるいは剥皮した生果物を用いると、含浸の効率がよく好ましい。また、リンゴやナシなどの芯を有する果物では、芯を除去した形態で含浸に供することも好ましい。含浸に供する生果物の形状は、特に限定されるものではないが、たとえば一口大に切断した形状など、製品であるポリフェノール含有乾燥果物として所望の形状を採用することが好ましい。なお、本発明においては、製品としての所望形状よりも大きな形状で生果物を含浸の工程に供した後、凍結乾燥の前あるいは後に所望の形状に切断して、所望形状の製品を製造してもよい。
【0025】
ポリフェノールを含有する液体成分としては、植物性食品に由来するポリフェノールを含有する液体をいずれも用いることができる。このような液体成分としては、たとえば、果汁や野菜ジュースなどの植物性食品の搾汁液;茶、ハーブティーなどの抽出液、生または乾燥した果物や野菜の抽出液などの植物抽出液;ワイン、ビールなどの発酵物由来の液体成分等が挙げられる。また、これらのポリフェノールを含有する液体成分からさらにポリフェノール分を抽出、分離したものや、これらのポリフェノールを含有する液体成分をさらに濃縮、あるいは希釈したもの、ポリフェノールを含有する固体成分を液体に溶解あるいは分散したものなどを液体成分として用いてもよい。本発明では、温度などの含浸条件を調整することにより液体として取り扱いの可能なものを、液体成分として用いてもよく、たとえば、ポリフェノール含有成分が分散したマーガリンなども好適に用いられる。
【0026】
本発明では、これらのうち、ブドウ由来のポリフェノールまたは茶由来のポリフェノールを含有する液体成分が好ましい。ブドウ由来のポリフェノールを含有する液体成分としては、ブドウジュース、ブドウジュース搾汁後の果皮抽出物、ワイン、これらの液体からポリフェノール分を抽出、分離したもの、あるいはこれらの液体を濃縮あるいは希釈したものなどを含む液体成分が挙げられ、特に赤ワインを含む液体成分が好ましく用いられる。赤ワインは、ブドウのうち特にポリフェノール分の多い皮部および種子部の成分を含み、しかも発酵、熟成によりポリフェノールの一種であるタンニン分が増加しており、製法などにもよるが、通常150〜500mg/100ml程度と高濃度のポリフェノールを含有しているため、そのままで、濃縮して、アルコール分を揮発させて、あるいは他成分と混合して、好適に液体成分として用いることができる。
【0027】
本発明で用いるポリフェノールを含有する液体成分は、上述の液体成分を1種以上組み
合わせたものであってもよく、また、他の可食成分を含有していることも好ましい。
本発明の製造方法で用いるポリフェノールを含有する液体成分が含有することのできる可食成分としては、特に限定されるものではないが、たとえば、水、エタノール;オリーブ油、サラダ油、マーガリン、バターなどの食用油または油脂;醤油、味噌などの発酵調味料;コーヒー、だし汁などの食品抽出成分;ブランデー、ラム酒、コニャック、キュラソーなどの酒類、ジュース、牛乳、ココアなどの飲料;食塩などの無機塩類;蔗糖、果糖、ブドウ糖、水あめ、蜂蜜、メープルシロップ、乳糖、カラメルシロップ、その他糖類、天然甘味料および人口甘味料などの甘味料;コンデンスミルク、ヨーグルト、生クリームなどの乳製品;卵白、卵黄、全卵などの卵液;バタークリーム、ピーナツバタークリーム、カスタードクリーム、チョコレートスプレッド、各種ジャムなどのクリームあるいはジ
ャム類;各種食酢、酢酸、リン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、グルコン酸などの酸味料;苦味成分;シナモン、クローブ、胡椒、生姜などの香辛料または香辛料抽出成分;バニラエッセンスなどの香料;チョコレートなどの油性成分;グリセリンなどの保湿剤;ソルビン酸、安息香酸塩などの保存剤;殺菌剤、抗菌剤、静菌剤;木酢液、燻油などの燻製成分;天然および合成の色素および着色剤;発色剤;寒天、こんにゃく液などの食物繊維成分;にかわ、ゼラチンなどのゼラチン質;カテキン、エリソルビン酸などの酸化防止剤;ヨウ素などの必須無機元素;ビタミンCなどのビタミン類、アミノ酸、CoQ10、
コラーゲン、プロポリス、DHA、漢方抽出物などの栄養剤、生薬、薬効成分および医療用薬剤;ポリリン酸塩などの品質改良剤;その他の食品添加物等が挙げられる。これらの成分のうち、本発明では、液体成分が、糖類、栄養成分または薬効を有する成分を含有することが好ましい。
【0028】
本発明で用いる液体成分は、その濃度を特に限定するものではないが、1回あるいは複
数回の含浸工程および凍結乾燥工程で得られるポリフェノール含有乾果物が、ポリフェノールを可食部100g中に200mg以上含有させることができる濃度あるいは含浸量を調整することが好ましく、たとえば、100ml中にポリフェノールを100mg以上、好ましくは200mg以上含有する液体成分を好適に用いることができる。
【0029】
本発明では、液体成分がポリフェノールとともにビタミンCを含有していることも好ましく、得られるポリフェノール含有乾果物が、ビタミンCを可食部100g中に30mg以上含有させることができる濃度あるいは含浸量に調整して含浸処理することも好ましい。本発明で用いる液体成分および本発明に係るポリフェノール含有乾燥果物が、ビタミンCを含有する場合には、栄養補助成分であるビタミンCを好適に摂取できる食品を提供できるとともに、酸味を付与して風味を整えることができ、抗酸化効果により品質が維持され、色調劣化などを防ぐこともできるため好ましい。
【0030】
本発明では、液体成分がポリフェノールとともに、グルコース、ラクトースなどの単糖類や、トレハロース、シュクロース、マルトースなどの二糖類、ラフィノースなどの三糖類などの小糖類、水飴やデキストリンなどの多糖類、蜂蜜などの転化糖など、各種糖類の1種以上を含有していることも好ましい。本発明で用いる液体成分および本発明に係るポリフェノール含有乾燥果物が、糖類を含有する場合には、甘味を付与して風味を整えることができる。また特にトレハロースなどの糖類を含有する液体成分を用いた場合には、形状を保ったまま続く凍結乾燥処理を容易に行うことができ、得られるポリフェノール含有果物がべたつくことなく、安定性および濡れ性にすぐれ、すばやく水戻しできる製品となるため好ましい。さらに、多糖類あるいは転化糖を含有する液体成分を用いた場合には、しっとりとした食感のポリフェノール含有果物を容易に得ることができるため好ましい。
【0031】
本発明のポリフェノール含有乾燥果物の製造方法において、生果物の可食部への、ポリフェノールを含有する液体成分の含浸は、公知の方法により行うことができるが、生果物と液体成分とを減圧下で接触させる方法を採用すると、生果物を液体成分に浸漬させる方法等に比べて、短時間で充分に浸漬を行うことができ、微生物汚染などの品質劣化を防止でき、収縮あるいは膨張などの形状変化を抑制でき、生産効率よく処理できるため好ましい。また、液体成分を含浸する工程においては、60℃以上となる加熱を伴わないことが好ましく、この場合には、高温の液体成分と生果物とを接触させる方法等に比べて、生果物の組織の変性が少ないため好ましい。また必要以上に高糖度の液体成分を用いる必要がないため、浸透圧による生果物の収縮を抑制でき、含浸前の形状を容易に保持することができるので好ましい。
【0032】
生果物と液体成分とを減圧下で接触させる方法による、生果物の可食部へのポリフェノールを含有する液体成分の含浸は、生果物を減圧処理し、減圧状態に保ちながら液体成分
と接触し、次いで昇圧して行ってもよく、また、生果物を液体成分と接触し、減圧処理し、次いで昇圧して行ってもよい。
【0033】
本発明では、このうち、生果物を減圧処理し、減圧状態に保ちながら液体成分と接触し、次いで昇圧して液体成分の含浸を行うことが好ましい。具体的には、所望により少なくとも一部を剥皮および/または切断した生果物を、10〜93,000Pa、好ましくは10〜20,000Pa、特にリンゴなどでは好ましくは10〜8,000Paに減圧処理し、基材である生果物の種類、形状および大きさにもよるが、好適にはこの減圧状態を30秒〜10分間程度保持した後に、減圧下で液体成分とを接触させ、次いで大気圧以上、好ましくは200,000〜500,000Pa程度まで加圧を行い、好適には加圧状態を5〜60分間保持した後、大気圧まで復圧することにより、生果物の可食部に液体成分を好適に含浸させることができる。
【0034】
本発明のポリフェノール含有乾燥果物の製造方法では、このようにしてポリフェノールを含有する液体成分を含浸させた生果物を、凍結乾燥する。
本発明において、凍結乾燥は、公知の方法を適宜採用して行うことができ、たとえば、液体成分を含浸させた生果物を、個々が付着しない条件で−20〜−40℃程度に冷却して凍結させ、次いで、完全に凍結した該生果物を減圧条件下で乾燥させることができる。乾燥は、たとえば、完全に凍結した、液体成分を含浸させた生果実を、10kPa程度の減圧条件下で、30〜50℃程度の加温状態において、所望の乾燥状態となるまで、たとえば12〜48時間程度静置することにより行うことができる。
【0035】
このようにして得られたポリフェノール含有乾燥果物は、基材である生果物以外に由来するポリフェノールを含有しており、含浸前あるいは凍結乾燥前の生果物の形状を実質的に保持している。
【0036】
このような本発明のポリフェノール含有乾燥果物の製造方法で得られたポリフェノール含有乾燥果物は、製造時に赤ワインなどのアルコールを含有する液体成分を用いた場合であっても、凍結乾燥によりアルコール分が除去されるため、実質的にアルコールを含まないものとなり、アルコールの弊害の懸念なく摂取することができる。
【0037】
本発明のポリフェノール含有乾燥果物の製造方法で得られたポリフェノール含有乾燥果物は、好ましくは水分量が20重量%以下、より好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは1〜7重量%程度であり、ポリフェノールを可食部100g中に好ましくは200mg以上、より好ましくは300mg以上含有し、特にブドウポリフェノールを可食部100g中に100g以上含有するのが好ましく、また、比重が好ましくは0.8g/cm3以下、より好ましくは0.6g/cm3以下、さらに好ましくは0.07〜0.3g/c
3であるのが望ましい。
【0038】
本発明のポリフェノール含有乾燥果物の製造方法で得られたポリフェノール含有乾燥果物は、どのような形状であってもよく、たとえば、実質的に基材である生果物と同等の形状、一口大に切断した形状、スライス状、粒状、粉末状などの形状が挙げられる。また、本発明に係るポリフェノール含有乾燥果物は、粒状あるいは粉末状とした後、打錠、圧縮などの公知の方法により2次加工し、錠剤やタブレットなどの形態としてもよい。
【0039】
このような本発明に係るポリフェノール含有乾燥果物によれば、所望量の果物成分およびポリフェノールを手軽に所望量摂取することができる。本発明に係るポリフェノール含有乾燥果物は、そのまま菓子様食品として好適に食することができる他、シリアルやヨーグルトに混ぜるなど、他食品と組み合わせて食することも好ましく、機能性スナック菓子として、また、サプリメントとしても好適に摂取することができる。
【0040】
実施例
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0041】
<液体成分1の調製>
赤ワイン(サッポロワイン(株)製)をポリタンクに入れ、真空加圧含浸装置((株)エフコム製)内に設置し、2000Pa以下まで減圧して減圧状態を1時間保持し、空気にて復圧して脱気済み赤ワインを得た。得られた脱気済み赤ワインのアルコール濃度は1.0重量%以下であった。
【0042】
得られた脱気済み赤ワイン20kgに、トレハロース500gおよびアスコルビン酸ナトリウム30gを添加し、混合攪拌して溶解させ、添加トレハロース濃度が2.5重量%、添加ビタミンC濃度が0.15重量%である脱気済み赤ワインを調製し、液体成分1とした。
<液体成分の含浸>
200ppm次亜塩素酸ナトリウム水溶液に10分間浸漬させてから流水でよく洗浄することにより殺菌洗浄し、皮を剥き、芯を除去して1/4に切断し、さらに厚さ10mmに扇状にスライスしたリンゴ(品種:ふじ)5,440gを、ステンレス製のバスケットに入れ、リンゴの浮遊を防止するためにポリエチレン製ネットをかぶせて該ネットを針金で固定した。このリンゴを入れたバスケットを,ステンレス製内タンクに入れ,内タンクを真空加圧含浸装置((株)エフコム製)に設置した。
【0043】
この真空加圧含浸装置内を4kPa以下になるように真空排気し、5分間排気を継続した後、減圧状態を保持してリンゴが完全に浸漬されるまで液体成分1を内タンク内に注入した。液体成分1の注入終了後、直ちに圧搾空気を導入してタンク内を0.3MPaまで加圧し、加圧状態を20分間保持した後エアパージして含浸処理を完了し、装置より試料であるリンゴを取り出し、含浸リンゴを得た。含浸後の重量は6800gであり、含浸前と比較して25.0%の重量増加が見られた。
<凍結乾燥>
得られた含浸リンゴを、それぞれが付着しないようにアルミトレイに並べ、−40℃の冷凍庫内に10時間静置して、完全に凍結させた。これをトレイごと、ホットプレートを具備した(株)エフコム製の真空加圧含浸装置内に設置し、真空加圧含浸装置内を10Pa以下になるように真空排気し、凍結したリンゴの設置位置温度が40℃となるように調製しながら48時間排気を継続して減圧を保持し、その後エアパージして装置から取り出して、凍結乾燥リンゴ1を得た。得られた凍結乾燥リンゴ1は、充分に乾燥し、全体が均一に赤ワインの色で着色された状態であり、形状はほとんど変化しておらず、目視では膨張や収縮は見受けられなかった。得られた凍結乾燥リンゴ1の重量は810gであり、比重は約0.12g/cm3であり、含水率は2.1重量%であり、ポリフェノール含有量
(日本食品分析センターにより測定したポリフェノール(タンニン酸)量)は740mg/100gであった。
【0044】
得られた凍結乾燥リンゴ1(10切れ)を、16℃の水に浮かべたところ、約2秒で吸水して水中に沈んだ。これにより凍結乾燥リンゴ1の良好な濡れ性・水戻り特性が確認された。
【0045】
比較例1
200ppm次亜塩素酸ナトリウム水溶液に10分間浸漬させてから流水でよく洗浄することにより殺菌洗浄し、皮を剥き、芯を除去して1/4に切断し、さらに厚さ10mm
にスライスしたリンゴ(品種:ふじ)677.4gを、実施例1の凍結乾燥工程と同様にして凍結乾燥し、凍結乾燥リンゴ2を得た。得られた凍結乾燥リンゴ2の重量は74.8gであり、比重は約0.098g/cm3であり、含水率は1.8重量%であり、ポリフ
ェノール含有量(日本食品分析センターにより測定したポリフェノール(タンニン酸)量)は530mg/100gであった。
【0046】
なお、この結果より、実施例1で得た凍結乾燥リンゴ1が、210mg/100g程度のブドウ(赤ワイン)由来ポリフェノールを含有していることが確認された。
また、得られた凍結乾燥リンゴ2(10切れ)を、16℃の水に浮かべたところ、水面上に浮遊しながらゆっくりと吸水し、185秒後にほぼ全体に吸水したが水中に沈むことはなかった。これより、凍結乾燥リンゴ2は、実施例1で得た凍結乾燥リンゴ1と比較して濡れ性が低く、水戻りしにくいことが確認された。
【出願人】 【識別番号】303047366
【氏名又は名称】株式会社エフコム
【出願日】 平成16年4月7日(2004.4.7)
【代理人】 【識別番号】100081994
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 俊一郎

【識別番号】100103218
【弁理士】
【氏名又は名称】牧村 浩次

【識別番号】100110917
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 亨

【識別番号】100115392
【弁理士】
【氏名又は名称】八本 佳子

【公開番号】 特開2005−295831(P2005−295831A)
【公開日】 平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願番号】 特願2004−113538(P2004−113538)