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【発明の名称】 ホイップクリーム用安定剤及びホイップクリーム
【発明者】 【氏名】大下 樹里
【住所又は居所】大阪府豊中市三和町1−1−11三栄源エフ・エフ・アイ株式会社内

【氏名】望月 保宏
【住所又は居所】大阪府豊中市三和町1−1−11三栄源エフ・エフ・アイ株式会社内

【要約】 【課題】冷蔵保存後や凍結解凍後における離水が防止され、また、ダレが防止されデコレーションした時の保型性も良好であるホイップクリームを提供する。

【解決手段】ホイップクリーム用安定剤にこんにゃく粉、糖質及び澱粉を合わせて調製した乾燥こんにゃく加工品及びゼラチンを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
こんにゃく粉、糖質及び澱粉を合わせて調製した乾燥こんにゃく加工品、及びゼラチンを含むことを特徴とするホイップクリーム用安定剤。
【請求項2】
請求項1に記載のホイップクリーム用安定剤を含むホイップクリーム。




【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明はホイップクリームに関する。詳細には、冷蔵保存後や凍結解凍後における離水が防止され、また、ダレが防止されデコレーションした時の保型性も良く、更には食感が軽いホイップクリームに関する。
【背景技術】
【0002】
ホイップクリームは、ケーキやプリン、ムース等のデザートといった洋菓子のトッピングに広く使用されており、生乳・牛乳等の乳由来のクリーム、例えば生クリーム等を用いるものと、いわゆる合成クリーム(非乳クリーム)と呼ばれる、乳脂肪以外の脂肪を用いて脱脂乳、乳化剤、香料等を混合して得られるものがある。
【0003】
これらホイップクリームは、乳由来のクリーム、非乳クリームのいずれも、温度が高くなるといわゆる「ダレ」という現象、即ち、ホイップクリームの起泡維持が難しくなり、例えばクリームのデコレーションの形状を維持できなくなるといった保型性維持が難しくなる現象が起こりやすくなる。更には、近年、嗜好の甘味離れが進んでいるが、低糖度で低甘味の生クリームを用いると、水分の分離、即ち離水が起こりやすくなるという種々の問題点がある。
【0004】
これらホイップクリームの保型性維持、離水防止のために、増粘多糖類などを安定剤に使用することが従来から行われている。例えば、安定剤として、イオタカラギーナン、カッパーカラギーナン、キサンタンガム、タマリンドガム及びローカストビーンガムを含有するケーキ用クリーム組成物(特許文献1)、ゼラチン、ゼラチン加水分解物、植物性蛋白加水分解物の1種又は2種以上の組成とカラギーナンとからなる組成物に、甘味料、乳製品とを加え、必要に応じて卵黄、動植物性油脂、多糖類、乳化剤を加え、これを均一溶解した後、発泡させることを特徴とする新規なホイップクリーム状食品(特許文献2)、ペクチン、好ましくは低メトキシルペクチンを含有するホイップクリーム(特許文献3)、グルコマンナンを泡立てクリームに添加して、安定化及び又は濃厚化できること(特許文献4)を始め多数の文献に記載されている。
【0005】
但し、例えば、ローカストビーンガムやグァーガムを使用した場合、離水防止効果が低く、また食感も重たいものとなる。また、低メトキシルペクチンを使用すると、離水防止が有意に防止でき、保型性も良好になるが、添加量によってはクリームの食感が重たくなる傾向になる。更に、ゼラチンを使用した場合には、軽い食感が付与されるものの、離水防止の効果が充分でない。このように、安定剤を添加することにより、ある問題は解決できるものの、離水防止、保型性維持、食感改良(軽くする)という、全ての課題を解決できる安定剤はこれまで無かった。
【0006】
【特許文献1】特開平6−22716号公報
【特許文献2】特開昭59−34860号公報
【特許文献3】特開2003−180260号公報
【特許文献4】特開昭58−28237号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、かかる事情に鑑みて開発されたものであり、冷蔵保存後や凍結解凍後における離水が防止され、また、ダレが防止されデコレーションした時の保型性も良好なホイップクリームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記従来技術の問題点に鑑み、鋭意研究を重ねていたところ、ホイップクリームに安定剤として、こんにゃく粉、糖質及び澱粉を合わせて調製した乾燥こんにゃく加工品、及びゼラチンを併用することにより、冷蔵保存後や凍結解凍後における離水が有意に抑制され、また、ダレが防止されデコレーションした時の保型性も良好なホイップクリームができることを見いだした。
【0009】
すなわち本発明は以下の態様を有するものである;
項1.こんにゃく粉、糖質及び澱粉を合わせて調製した乾燥こんにゃく加工品、及びゼラチンを含むことを特徴とするホイップクリーム用安定剤。
項2.項1又は2に記載のホイップクリーム用安定剤を含むホイップクリーム。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、冷蔵保存後や凍結解凍後における離水が防止され、また、ダレが防止されデコレーションした時の保型性も良好であるホイップクリームを提供できるようになった。付随する効果として、ホイップクリームにツヤを与えることができ、ケーキ等の洋菓子にデコレーションした場合の外観も良好になった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明に係るホイップクリーム安定剤は、こんにゃく粉、糖質及び澱粉を合わせて調製した乾燥こんにゃく加工品、及びゼラチンを含むことを特徴とする。
【0012】
本発明で使用する乾燥こんにゃく加工品は、こんにゃく粉、糖質及び澱粉を合わせて複合組成物としたものであり、粒状、糸状、粉末状等の任意形状を有するように加工されたものである。本発明の乾燥こんにゃく加工品に用いるこんにゃく粉は、通常用いられているこんにゃく粉や、生こんにゃく芋の乾燥粉砕品等を使用することが出来る。糖質は、例えば、ショ糖、乳糖、麦芽糖、ブドウ糖、果糖、転化糖、水飴、粉末水飴、還元麦芽水飴、蜂蜜、トレハロース、トレハルロース、ネオトレハロース、パラチノース、D−キシロース等の糖類;キシリトール、ソルビトール、マルチトール、エリスリトール等の糖アルコール類などを使用することが出来るが、好ましくは水飴である。澱粉は、ワキシーコーンスターチ、コーンスターチ等のトウモロコシ由来のでんぷん;タピオカでんぷん;サツマイモ由来のでんぷん、ジャガイモ由来のでんぷん、サゴヤシ由来のでんぷん等やそれらの加工澱粉を適宜選択して用いることができる。
【0013】
乾燥こんにゃく加工品の加工方法は、こんにゃく粉、糖質及び澱粉を合わせて複合物として乾燥加工品とすることができ、水中で膨潤できるようなものに加工できればどのような製法を採ってもよい。好ましい製造方法として、コンニャク芋から常法にてグルコマンナンを抽出して乾燥し、澱粉と混合し、水を添加して膨潤し、少量のアルカリを添加することによる脱アセチル化処理を行った後、成型、加熱ゲル化、中和、糖質溶液浸漬、乾燥することで製造する例を挙げることができる。更には、特許第2866609号或いは特許第3159104号に記載の方法で製造することができる。
【0014】
また、乾燥こんにゃく加工品中のこんにゃく粉、糖質及び澱粉の組成も、特に制限されないが、乾燥こんにゃく加工品中、こんにゃく粉5〜30重量%、水飴30〜90重量%、澱粉5〜30重量%の範囲となるように、任意に調整することができる。
【0015】
なお、乾燥こんにゃく加工品は、粉末状、粒状、糸こんにゃくのような糸状といった任意の形態をとることができるが、好ましくは、粉末状態のものである。粉末の度合いとしては、50メッシュ篩過のものがよく、好ましくは、80メッシュ篩過、更に好ましくは、120メッシュ篩過である。このような製剤は、商業上入手することができ、例えば、アイレス株式会社製の乾燥こんにゃくや、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製のサンスマート[商標]400等のサンスマートシリーズを挙げることができる。
【0016】
なお、乾燥こんにゃく加工品のホイップクリームに対する添加量は、0.03〜3.0重量%、好ましくは0.2〜2.0重量%、更に好ましくは0.5〜1.5重量%である。
【0017】
本発明で使用するゼラチンは、牛、豚、鶏、魚などの動物の骨や皮に多く含まれるコラーゲンたん白を分解して作られるタンパク質である。ゼラチンの製造法は、酸処理、アルカリ処理の2通りに大別され、前記起源となる動物や製造法の違いにより、性質の異なるゼラチンが製造されるが、本発明ではいずれのゼラチンを使用しても構わない。ゼラチンの添加量として、ホイップクリームに対して、0.01〜5.0重量%、好ましくは、0.05〜2.0重量%、更に好ましくは、0.2〜1.0重量%である。
【0018】
本発明で言うホイップクリームは、前記の生乳・牛乳等の乳由来のクリーム、例えば生クリーム等を用いるものと、いわゆる合成クリーム(非乳クリーム)と呼ばれる、乳脂肪以外の脂肪を用いて脱脂乳、乳化剤、香料等を混合して得られるものがあり、本発明ではどちらを用いても良い。
【0019】
更に、本発明のホイップクリームは、冷蔵で保存しても良いが、長期間保存するため、凍結流通が可能となったものである。冷蔵保存に比べて、凍結保存した後解凍すると、離水現象が顕著に起こり問題となっていたが、本発明により凍結解凍後も、離水が少ないホイップクリームとなったものである。更に、ダレが防止され、デコレーションしたときの形を安定に保持することが可能で、保型性が良好となったものである。このような本発明の効果が顕著に現れるのは、乳由来のクリームであり、また、風味等の点からも乳由来のクリームを用いるのが好ましい。
【0020】
本発明に係るホイップクリームの調製方法であるが、こんにゃく粉、糖質及び澱粉を合わせて調製した乾燥こんにゃく加工品、及びゼラチンの添加方法として、予めホイップしたクリームに、当該乾燥こんにゃく加工品及びゼラチンを溶解した溶液を添加しても良いし、ホイップする前にクリームと乾燥こんにゃく加工品及びゼラチンを溶解した溶液を混合してからホイップしてもよい。乾燥こんにゃく加工品及びゼラチン含有溶液の調製やホイップ方法については従来から用いられている方法で行うことができる。
【0021】
当該乾燥こんにゃく加工品及びゼラチン含有溶液の調製方法は、攪拌機で攪拌しながら乾燥こんにゃく加工品及びゼラチンを添加し、攪拌溶解にて調製する。加熱溶解は70〜90℃で5〜15分間程度の加熱攪拌を行うことが望ましい。
【0022】
ホイップクリームを作成する際のホイップ方法については、市販の泡立てることができる機械(例えば、工業用攪拌機、ホイッパー、家庭用ハンドミキサー等)を用いて、ホイッピングを行うことができる。
【0023】
本発明のホイップクリームは前記成分以外に、乳製品、甘味料、油脂、乳化剤、卵黄、当該乾燥こんにゃく加工品及びゼラチン以外の安定剤、香料、保存料、酸化防止剤、ビタミン、ミネラル等の添加剤を、本発明の効果に影響を及ぼさない限りにおいて、適宜用いることができる。
【0024】
乳製品としては、牛乳、粉乳、練乳、チーズ類及び発酵乳などをあげることができる。
【0025】
甘味料としては、砂糖、果糖、ブドウ糖、水飴、還元水飴、はちみつ、異性化糖、転化糖、オリゴ糖(イソマルトオリゴ糖、還元キシロオリゴ糖、還元ゲンチオオリゴ糖、キシロオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、テアンデオリゴ糖、大豆オリゴ糖等)、トレハロース、糖アルコール(マルチトール、エリスリトール、ソルビトール、パラチニット、キシリトール、ラクチトール等)、砂糖結合水飴(カップリングシュガー)、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、アリテーム、ネオテーム、カンゾウ抽出物(グリチルリチン)、サッカリン、サッカリンナトリウム、ステビア抽出物、ステビア末等があげられる。
【0026】
油脂としては、植物油脂、バター、乳脂肪分、あるいはこれらの分別油脂、硬化油脂、エステル交換油脂等があり、植物油脂の例としては、マーガリン、ショートニング、ヤシ油、パーム油、大豆油、菜種油、綿実油、コーン油、ひまわり油、オリーブ油、サフラワー油及びパーム核油等を挙げることができる。
【0027】
乳化剤として、グリセリン脂肪酸エステル(モノグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセライド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル)、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸塩、ユッカ抽出物、サポニン、レシチン、ポリソルベート等を挙げることができる。
【0028】
また、乾燥こんにゃく加工品及びゼラチン以外の安定剤についても、本発明の効果に影響を及ぼさない限りにおいて使用することが出来る。例えば、寒天、ペクチン、カラギナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、タマリンド種子多糖類、タラガム、グァーガム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、プルラン、大豆多糖類、CMC、微結晶セルロース、トラガントガム、カラヤガム、アラビアガム、カードラン、ラムザンガム、ウエランガム、サイリウムシードガム、マクロホモプシスガム、澱粉、加工・化工澱粉等から選ばれる1種以上を選択して用いることができる。
【0029】
なお、本発明に係るホイップクリームは、エアゾール容器に充填後、噴射剤ガスを封入して、エアゾールクリームとすることもできる。例えば、前記ホイップクリームをエアゾール容器に充填し、噴射剤ガスとして、炭酸ガス、窒素ガス、笑気ガス、LPG及びLNG等から選ばれる一種以上を選択して、加圧充填することにより製造することができる。
【実施例】
【0030】
以下、本発明の内容を以下の実施例、比較例等を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。なお、処方中、特に記載のない限り、「部」は「重量部」を示すものとし、文中「*」印のものは、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製、文中「※」印は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の登録商標を示す。
【0031】
実施例1:ホイップクリームの調製(1)
生クリーム90部に対して砂糖11部及び、ガム溶液として予め調製しておいたゼラチン5%・乾燥こんにゃく加工品(サンスマート※400*使用、以下同じ)10%含有溶液10部を添加して、8℃の水槽にて冷却しながら、家庭用ハンドミキサーにて攪拌し、オーバーランをかけて8分立てとし、ホイップクリームを調製した(実施例1)。
【0032】
比較例として、ガム溶液としてペクチン5%・乾燥こんにゃく加工品10%含有溶液(比較例1)、ローカストビーンガム1%・乾燥こんにゃく加工品10%含有溶液(比較例2)、グァーガム1%・乾燥こんにゃく加工品10%含有溶液(比較例3)、乾燥こんにゃく加工品10%含有溶液(比較例4)、安定剤添加なし(水)(比較例5)を10部使用して、同様にホイップクリームを調製した。
【0033】
出来上がったホイップクリームを星形の形状の絞り金をつけた絞り出し袋でろ紙の上に絞り出した後、室温(25℃)で30分放置後のクリームの状態を観察した。
【0034】
【表1】


【0035】
表1より、ゼラチン及び乾燥こんにゃく加工品併用品は、離水もなく、保型性、食感ともに良好であった。それに対し、乾燥こんにゃく加工品と、ペクチン併用品(比較例1−1)、ローカストビーンガム併用品(比較例1−2)、グァーガム併用品(比較例1−3)は、いずれも、食感が重くなる傾向が見られ、離水が見られるものもあった。更に、乾燥こんにゃく加工品のみ使用(比較例1−4)、ゼラチンのみ使用(比較例1−5)のクリームは若干離水が見られ、保型性もやや悪くなった。
【0036】
実施例2:ホイップクリームの調製(2)
非乳クリーム(ホイップクリーム/森永乳業株式会社製)90部に対して、砂糖10部、スクラロース0.016部を加え、冷却しながら攪拌機にてオーバーランをかけて、ホイップして8分立てとし、別に調製したゼラチン5%・乾燥こんにゃく加工品(サンスマート※400*)10%溶液を10部を添加し、混合してホイップクリームを調製した。
【0037】
出来上がったホイップクリームを星形の形状の絞り金をつけた絞り出し袋でろ紙上に絞り出し、室温(25℃)で3時間放置したが、クリームより離水は見られず、また、星形の形状を維持しており保型性は良好であり、また食しても食感は軽かった。
【0038】
更に、調製したホイップクリームを搾り出した後、−30度にて凍結させ、一晩冷凍保存した後に、室温に戻し、45分後の離水や保型性の状態を観察したが、凍結解凍後も離水や見られず、保型性は良好で、食感も軽かった。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明により、冷蔵保存後や凍結解凍後における離水が防止され、また、ダレが防止されデコレーションした時の保型性も良好であるホイップクリームが提供できる。
【出願人】 【識別番号】000175283
【氏名又は名称】三栄源エフ・エフ・アイ株式会社
【住所又は居所】大阪府豊中市三和町1丁目1番11号
【出願日】 平成16年3月29日(2004.3.29)
【代理人】
【公開番号】 特開2005−278482(P2005−278482A)
【公開日】 平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願番号】 特願2004−97128(P2004−97128)