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【発明の名称】 ドロマイトの製造方法
【発明者】 【氏名】藤村 弘行

【氏名】大森 保

【氏名】染谷 愼一

【氏名】幸地 茂

【要約】 【課題】食品原料として安全なドロマイトの製造方法を提供することにある。

【解決手段】サンゴ化石に塩酸を適量加えて溶解し、pHを7以下に調整後、塩化マグネシウムと水を適量加えて容量を調整した。この溶液に炭酸ナトリウムを適量加え、30〜50℃で1日以上培養後、生成した沈殿物を洗浄、乾燥し、カルシウムとマグネシウムをそれぞれ20%以上、10%以上含有し、かつ、ヒ素と重金属をそれぞれ2ppm以下、20ppm以下のドロマイトを製造する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルシウム含有物を適量の酸で溶解させ、pHが7以下のカルシウム溶液を調製した後、
このカルシウム溶液にマグネシウム剤を加えてカルシウム・マグネシウム溶液を調製し、
次に、このカルシウム・マグネシウム溶液に炭酸源を加えた後、30〜50℃で1日以上培養し、
しかる後に、生成した沈殿物を洗浄、乾燥させることを特徴とするドロマイトの製造方法。
【請求項2】
請求項1において、前記カルシウム含有物として、サンゴ化石、海砂、有孔虫殻、サザエ殻、ウニ殻、ホタテ殻、ハマグリ殻、アサリ殻、牛骨、魚骨、いか甲羅、牡蠣殻、真珠貝殻、卵殻、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、クエン酸カルシウム、乳酸カルシウム、酢酸カルシウム、リン酸3カルシウム、ステアリン酸カルシウムのうち少なくとも1つを用いることを特徴とするドロマイトの製造方法。
【請求項3】
請求項1において、前記カルシウム含有物として、天然から産出されたカルシウム原料を用いることを特徴とするドロマイトの製造方法。
【請求項4】
請求項1において、前記カルシウム含有物としてサンゴ化石を用いることを特徴とするドロマイトの製造方法。
【請求項5】
請求項1ないし4において、前記カルシウム溶液に前記マグネシウム剤を加えて前記カルシウム・マグネシウム溶液を調製する際、水を加えて容量を調整することを特徴とするドロマイトの製造方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかにおいて、前記マグネシウム剤として、塩化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、クエン酸マグネシウム、乳酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、リン酸3マグネシウム、およびステアリン酸マグネシウムのうちの少なくとも1つを用いることを特徴とするドロマイトの製造方法。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかにおいて、前記マグネシウム化合物として塩化マグネシウムを用いることを特徴とするドロマイトの製造方法。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかにおいて、前記炭酸源として、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸ガスのうちの少なくとも1つを用いることを特徴とするドロマイトの製造方法。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかにおいて、カルシウムおよびマグネシウムをそれぞれ20%以上、10%以上含有し、かつ、ヒ素(Asとして)および重金属(Pbとして)の含有量がそれぞれ2ppm以下、20ppm以下であることを特徴とするドロマイトの製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、食品分野、健康食品分野などで用いられるドロマイト原料(カルシウム・マグネシウム原料)の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のようにカルシウムとマグネシウムは人体にとって必須なミネラルであり、厚生労働省によりこれらミネラルの栄養所要量が定められている。天然鉱物として産出されるドロマイト(dolomite/CaMg(CO3)2)は、サンゴなどが海底に堆積して石灰岩になった後、そのカルシウムの一部が海水中のマグネシウムと置き換わって作られたものであり、カルシウムとマグネシウムがほぼ2対1という理想的なバランスで含まれている。また、カルシウムおよびマグネシウムをそれぞれ20%、10%と豊富に含有しており、近年、ミネラル補強のための食品原料として、食品分野や健康食品分野などで用いられている。このように、ドロマイトは天然鉱物として産出される、カルシウム・マグネシウム炭酸源を主成分とした食品原料であるが、このようなドロマイトの食品原料としての合成方法はいまだ開発されていない。
【0003】
なお、人造ドロマイトの製造方法として、カルシウムを基にして、マグネシウムを付加し、カルシウムとマグネシウムを付加する方法が提案されているが、この方法は、出発物質にドロマイトを使用し、かつ、キレート剤を使用したり、マグネシウムのみ含有させたりしていて、炭酸源のドロマイトの組成になっていない(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−239057号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、食品分野や健康食品分野で用いられているドロマイトは天然鉱物であるがゆえに、産出地域・場所によってはカルシウムやマグネシウムの成分含量が一定していない。実際に産出場所によってはドロマイトのマグネシウム値は10%以下であることもある。また、食品原料として好ましくない成分である、ヒ素や重金属を多く含んでいる。具体的には、ヒ素(Asとして)および重金属(Pbとして)を、(財)日本健康栄養食品協会によるカルシウム原材料の規格値以上(規格基準値はヒ素、重金属それぞれ2ppm以下、20ppm以下)含むドロマイトも多い。さらに、天然鉱物であるドロマイトは、その産出量に限界があるため、将来的な食品原料供給能力に不安定要素をかかえている。
【0005】
そこで、本発明の課題は、カルシウムとマグネシウムをそれぞれ20%以上、10%以上安定して含有し、かつ、ヒ素(Asとして)および重金属(Pbとして)をそれぞれ2ppm以下、20ppm以下しか含んでいない、食品原料として安全なドロマイトの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係るドロマイトの製造方法では、カルシウム含有物を適量の酸で溶解させ、pHが7以下のカルシウム溶液を調製した後、このカルシウム溶液にマグネシウム剤を加えてカルシウム・マグネシウム溶液を調製し、次に、このカルシウム・マグネシウム溶液に炭酸源を加えた後、30〜50℃で1日以上培養し、しかる後に、生成した沈殿物を洗浄、乾燥させることを特徴とする。
【0007】
すなわち、本発明では、サンゴ化石などのカルシウム含有物を、塩酸、硝酸、クエン酸、乳酸、酢酸、炭酸水など、食品添加物として用いることのできる酸で溶解することでカルシウム溶液とする。その際、必要に応じて、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなど、食品添加物として用いることのできるアルカリ調節剤を加えてpHを7以下に調整する。次に塩化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、クエン酸マグネシウム、乳酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、リン酸3マグネシウム、ステアリン酸マグネシウムなど、食品添加物として用いることのできるマグネシウム剤を適量加えることで、カルシウム・マグネシウム溶液を調整する。この溶液に炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸ガス(二酸化炭素)など、食品添加物として用いることのできる炭酸源を適量加え、30〜50℃で1日以上培養することで、炭酸カルシウム・マグネシウム複合塩、つまりドロマイト結晶を成長させる。
【0008】
本発明において、前記カルシウム溶液に前記マグネシウム剤を加えて前記カルシウム・マグネシウム溶液を調製する際、水を加えて容量を調整することもある。
【0009】
本発明において、前記カルシウム含有物としては、サンゴ化石、海砂、有孔虫殻、サザエ殻、ウニ殻、ホタテ殻、ハマグリ殻、アサリ殻、牛骨、魚骨、いか甲羅、牡蠣殻、真珠貝殻、卵殻、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、クエン酸カルシウム、乳酸カルシウム、酢酸カルシウム、リン酸3カルシウム、ステアリン酸カルシウムなど、食品添加物として用いることのできるカルシウム含有物を用いることができるが、サンゴ化石を用いることが好ましい。また、マグネシウム化合物として塩化マグネシウムを用いることが好ましい。主要原料にサンゴ化石と塩化マグネシウムを用いることで、カルシウムおよびマグネシウムをそれぞれ20%以上、10%以上含有し、かつ、ヒ素(Asとして)および重金属(Pbとして)をそれぞれ2ppm以下、20ppm以下しか含有しないドロマイトを合成することができる。
【0010】
本発明においては、カルシウム源の使用原料としてサンゴ化石を用いることが好ましいが、その理由は、サンゴ化石はカルシウムを30%以上含有するだけでなく、ヒ素と重金属についても(財)日本健康栄養食品協会によるカルシウム原材料の規格値以下しか含んでいないため、本発明のカルシウム原料として最適だからである。また、サンゴ化石から精製されるサンゴカルシウムは食品添加物として認可されているため人体への安全性も確認されており、食品業界においてもカルシウム原料として長く用いられているため、その安全性はまったく問題がないといえる。さらに、牛骨粉(牛骨カルシウム)のような狂牛病汚染の心配もなく、卵殻(卵殻カルシウム)のような鳥インフルエンザ汚染の心配もない、現在、最も安全なカルシウム原料であるといえる。
【0011】
本発明においては、マグネシウム源の使用原料としては食品添加物である塩化マグネシウムを用いることが好ましい。塩化マグネシウムについては人体への安全性も確認されており、食品業界においてもマグネシウム原料として長く用いられているため、その安全性はまったく問題がないといえる。
【0012】
本発明においては、使用主要原料にヒ素や重金属を含まないサンゴ化石、塩化マグネシウムを用いているため、本発明により製造されたドロマイトは、以下に示すように、
合成されたドロマイトの成分
カルシウム 24.8%
マグネシウム 10.4%
ヒ素(Asとして) 2ppm以下
重金属(Pbとして) 20ppm以下
ヒ素や重金属を一切、含んでいないといえる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、カルシウムおよびマグネシウムを常に安定して、それぞれ20%以上、10%以上含有し、かつ、ヒ素および重金属を(財)日本健康栄養食品協会によるカルシウム原材料の規格値以下しか含まない安全なドロマイトを製造することができる。従って、本発明によれば、天然鉱物のようにその供給能力について心配することなく、ドロマイト原料を食品業界および健康食品業界に安定して供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0015】
本発明のドロマイトの合成方法では、サンゴ化石(天然のカルシウム含有物)に塩酸などの酸を適量加えて溶解し、水酸化ナトリウムなどのpH調整剤を用いてpHが7以下のカルシウム溶液を調製する。次に塩化マグネシウム(マグネシウム剤)を適量溶解させる。これに水を適量加えてサンゴ化石とマグネシウム濃度を調整した。この溶液に炭酸ナトリウム(炭酸源)を適量加え、30〜50℃で1日以上培養後、生成した沈殿物を洗浄、乾燥してドロマイト結晶を得た。
【0016】
ここで、天然から産出されたカルシウム含有物としては、サンゴ化石、海砂、有孔虫殻、サザエ殻、ウニ殻、ホタテ殻、ハマグリ殻、アサリ殻、牛骨、魚骨、いか甲羅、牡蠣殻、真珠貝殻、卵殻、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、クエン酸カルシウム、乳酸カルシウム、酢酸カルシウム、リン酸3カルシウム、ステアリン酸カルシウムなど、食品添加物として用いることのできるカルシウム含有物を用いることができる。また、酸としては、塩酸の他、硝酸、クエン酸、乳酸、酢酸、炭酸水など、食品添加物として用いることのできる酸を用いることができる。マグネシウム剤としては、塩化マグネシウムの他、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、クエン酸マグネシウム、乳酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、リン酸3マグネシウム、ステアリン酸マグネシウムなど、食品添加物として用いることのできるマグネシウム剤を用いることができる。また、pH調整剤としては、水酸化ナトリウムの他、水酸化カリウムなど、食品添加物として用いることのできるpH調整剤を用いることができる。また、炭酸源としては、炭酸ナトリウムの他、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸ガス(二酸化炭素)など、食品添加物として用いることのできる炭酸源を用いることができる。
【実施例】
【0017】
以下に実施例を挙げるが、これらは本発明を説明するための例示に過ぎず、本発明を何ら限定するものでは無い。
【0018】
[実施例1]
(1)サンゴ化石10gに塩酸を適量加えて溶解し、メンブランフィルターで濾過をして不純物を取り除いた。ろ液を水酸化ナトリウムでpHを4から6に調整し、塩化マグネシウムを溶解した。これにMilli-Q水を加えて容量を調整し、サンゴ化石とマグネシウム濃度がそれぞれ15〜25g/L、300〜400mMになるよう調整した。この溶液をA液とする。(2)A液に0.4Mの炭酸ナトリウムを滴下し、よく攪拌後、40℃で1日以上静置した。(3)生成した沈殿物をメンブランフィルターでろ過し、Milli-Q水でよく洗浄し、150℃で乾燥してドロマイト結晶を得た。
【0019】
[実施例2]
(1)サンゴ化石10gに塩酸を適量加えて溶解し、メンブランフィルターで濾過をして不純物を取り除き、塩化マグネシウムを溶解した。これにMilli-Q水を加えて容量を調整し、サンゴ化石とマグネシウム濃度がそれぞれ15〜25g/L、300〜400mMになるよう調整した。この溶液をA液とする。(2)A液に0.4Mの炭酸ナトリウムを滴下し、よく攪拌後、40℃で1日以上静置した。(3)生成した沈殿物をメンブランフィルターでろ過し、Milli-Q水でよく洗浄し、150℃で乾燥してドロマイト結晶を得た。
【0020】
[実施例3]
(1)サンゴ化石10gに塩酸を適量加えて溶解し、メンブランフィルターで濾過をして不純物を取り除いた。(2)これをイオン交換樹脂に通してカルシウムとマグネシウムだけを吸着させ、これを溶離し、カルシウム溶液と、マグネシウム溶液を調整する。これにMilli-Q水を加えて容量を調整し、サンゴ化石とマグネシウム濃度がそれぞれ15〜25g/L、300〜400mMになるよう調整した。この溶液をA液とする。(2)A液に0.4Mの炭酸ナトリウムを滴下し、よく攪拌後、40℃で1日以上静置した。(3)生成した沈殿物をメンブランフィルターでろ過し、Milli-Q水でよく洗浄し、150℃で乾燥してドロマイト結晶を得た。
【0021】
(その他の実施例)
なお、上記実施例では、ろ過にメンブランフィルター(0.45μm)を用い、水としてMilli-Q水を用い、乾燥温度を150℃としたが、ろ過としては、吸引ろ過、ろ紙ろ過、限外ろ過を用いることができ、水として、蒸留水、イオン交換水(脱イオン水)、天然水、水道水を用いることができ、乾燥方法として、天日乾燥、スプレードライ、凍結乾燥を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0022】
以上説明したように、本発明によれば、カルシウムおよびマグネシウムを常に安定して、それぞれ20%以上、10%以上含有し、かつヒ素と重金属を(財)日本健康栄養食品協会によるカルシウム原材料の規格値以下しか含まない安全なドロマイトを製造することができる。従って、本発明によれば、天然鉱物のようにその供給能力について心配することなく、ドロマイト原料を食品業界および健康食品業界に安定して供給することができる。
【出願人】 【識別番号】591096613
【氏名又は名称】マリーンバイオ株式会社
【出願日】 平成16年3月29日(2004.3.29)
【代理人】 【識別番号】100076211
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 康夫

【識別番号】100090170
【弁理士】
【氏名又は名称】横沢 志郎

【公開番号】 特開2005−278469(P2005−278469A)
【公開日】 平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願番号】 特願2004−96011(P2004−96011)