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【発明の名称】 食品用素材
【発明者】 【氏名】高橋 幸資

【氏名】柳下 隆弘

【氏名】山田 昌治

【氏名】本井 博文

【要約】 【課題】優れた経時変化耐性、電子レンジ耐性及び風味を付与することができる食品用素材の提供。

【解決手段】澱粉ペプチド複合体から成る食品用素材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
澱粉ペプチド複合体から成ることを特徴とする食品用素材。
【請求項2】
澱粉ペプチド複合体が、澱粉類とペプチドとの混合物を加熱処理又は加圧加熱処理して得られたものであることを特徴とする請求項1記載の食品用素材。
【請求項3】
澱粉類とペプチドの混合物が、澱粉類100質量部に対して、ペプチドが0.2〜25質量部添加混合されているものであることを特徴とする請求項2記載の食品用素材。
【請求項4】
ペプチドが蛋白質の分解物であることを特徴とする請求項2又は3記載の食品用素材。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項記載の食品用素材を含有することを特徴とするミックス粉。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は食品用素材、特に優れた経時変化耐性、電子レンジ耐性及び風味を付与することができる食品用素材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品類に使用する澱粉の性質を種々の方法で変えて、食品の食感等を向上させる方法が提案されている。特に耐老化性のみならず、食感や安全性にも優れ、製造時並びに保存時に品質安定性を要求される食品工業分野において多数提案されている。例えば、冷蔵、冷凍あるいは電子レンジ耐性を必要とする加工食品分野における有用な澱粉の製造法としては、酸の存在下に、澱粉を果糖あるいは果糖を主成分とする糖質と乾式条件で60〜200℃にて10分〜5時間加熱処理することによって耐老化性澱粉が得られることが既に報告されている(特許文献1参照)。
【0003】
この方法は酸を触媒として澱粉と、果糖あるいは果糖を主成分とする糖質とを乾式条件下で加熱して澱粉と果糖を反応させて耐老化性澱粉を得る方法である。
そして得られた耐老化性澱粉を用いることによって食品のパサパサした食感や口溶けを改良するものである。
【0004】
しかしながら、斯かる改質澱粉を使用しても必ずしも十分満足の行く経時変化耐性、電子レンジ耐性及び風味が得られていなかったのが実状であった。
【特許文献1】特開平9−278802号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は斯かる従来の実状に鑑みてなされたものであり、優れた経時変化耐性及び電子レンジ耐性を付与し得ることはもとより、特に優れた風味を付与することができる食品用素材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を澱粉ペプチド複合体を用いることによって解決したものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の食品用素材を用いることによって、経時変化耐性、電子レンジ耐性はもとより、風味に優れた食品を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明における澱粉ペプチド複合体としては、澱粉類とペプチドとの混合物を加熱処理又は加圧加熱処理してメイラード反応を生起させることにより得られたものが好適に用いられる。
【0009】
使用される澱粉類としては、例えばコーンスターチ、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、小麦澱粉、コメ澱粉、タピオカ澱粉、サゴ澱粉等の澱粉;さらにこれらの澱粉を加工処理したエーテル化澱粉、酸処理澱粉、酸化澱粉、アセチル化酸化澱粉、ジアルデヒド澱粉、酢酸澱粉、オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム、カルボキシメチル澱粉、ヒドロキシエチル澱粉、ヒドロキシプロピル澱粉、リン酸化澱粉、カチオン澱粉、リン酸架橋澱粉、アセチル化リン酸架橋澱粉、アセチル化アジピン酸架橋澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、リン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉等の架橋澱粉、α化澱粉等の加工澱粉;小麦粉等の穀粉等が挙げられ、特にコーンスターチ、タピオカ澱粉、小麦澱粉及びそれらの加工品が好ましい。また、これらの澱粉類は適宜2種以上を組合せて使用することもできる。
【0010】
また、澱粉類は、水分調整を行なったものでも水分未調整のものでもいずれも使用し得るが、含水率を8〜25%、特に15〜20%に調整した澱粉が好ましい。
【0011】
また、澱粉類と反応させるペプチドとしては、食品又は食品添加物として用いることができる蛋白質またはその分解物であればいずれでもよいが、蛋白質の分解物が好ましい。これらのペプチドは単独で使用してもよいし、適宜2種類以上を混合して使用してもよい。
【0012】
本発明において用いる蛋白質としては、経口摂取し得るものであれば種類の如何を問わず、例えば小麦、大麦、ライ麦、米、トウモロコシ、大豆、キャッサバ、馬鈴薯等由来の植物性蛋白質;牛乳、卵、魚、肉、甲殻類、貝類、繭等由来の動物性蛋白質を挙げることができる。より具体的には、大豆蛋白質、大豆グロブリン、小麦蛋白質、小麦グルテン、グルテニン、グリアジン、アルブミン、グロブリン、米蛋白質、トウモロコシ蛋白質(ゼイン等)等の植物性蛋白質;乳清蛋白質(ラクトグロブリン、ラクトアルブミン、ラクトフェリン等)、カゼイン又はその塩、卵蛋白質(オボアルブミン、オボトランスフェリン、オボムコイド、オボムシン、リゾチーム等)、肉蛋白質、ゼラチン、コラーゲン、ミオシン、アクチン、絹繊維蛋白質(セリシン、フィブロイン)等の動物性蛋白質が挙げられる。
【0013】
蛋白質の分解物としては、上記蛋白質の分解物であればいずれでもよく、その分解方法は、酸、アルカリ、酵素等を用いた加水分解、微生物を用いた発酵法、熱分解、物理的分解のいずれでもよいが、蛋白質の分解物としては加水分解物又は発酵により得られる分解物が好ましい。ここで、蛋白質の加水分解物としては、例えば乳清蛋白質加水分解物、カゼインもしくはその塩の加水分解物、ゼラチン加水分解物、コラーゲン加水分解物、卵白アルブミン加水分解物、小麦グルテン加水分解物、米蛋白質加水分解物、大豆蛋白加水分解物、大豆グロブリン加水分解物、トウモロコシ蛋白質加水分解物、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0014】
澱粉類と反応させるペプチドは、澱粉類100質量部に対し、0.2〜25質量部を添加使用することが好ましい。このペプチドの添加使用量が0.2質量部より少ないと改質の効果が少なくなり、また25質量部を超えると利用する食品の味への影響が強くなり易い。
【0015】
澱粉類とペプチドとの反応は、常圧又は900kPa[G]以下の加圧下で、温度100〜180℃にて10分間〜5時間、特に20分間〜3時間加熱処理することが好ましい。
【0016】
前記のようにして得られた澱粉ペプチド複合体はそのままあるいは小麦粉等の穀粉類あるいは澱粉等に添加し、ミックス粉として例えば、バッター、打ち粉、春巻用の皮、アメリカンドックの衣、あるいは、お好み焼き、たこ焼き、パン類、ドーナツ類などの生地等に好適に用いることができる。なお澱粉ペプチド複合体を穀粉類等に添加する場合、添加量に制限はないが、ミックス粉中、その含有量が1〜50質量%の範囲になるように添加するのが好ましい。
【実施例】
【0017】
以下に、実施例を挙げてこの発明を更に具体的に説明するが、この発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0018】
実施例1〜4
含水率を17%に調湿したエーテル化タピオカ澱粉100質量部に、ペプチドとして表1に示す所定量の小麦グルテン加水分解物(日清ファルマ製「グルタミンペプチドGP−1」)を添加混合した後、レトルト袋に充填し、圧力130kPa(G)、温度120℃の条件下で60分間加熱処理して澱粉ペプチド複合体を得た。
【0019】
【表1】


【0020】
実施例5〜12
実施例1で用いたエーテル化タピオカ澱粉に代え、表2に記載の澱粉を用いた以外は実施例1と同様にして澱粉ペプチド複合体を得た。
【0021】
【表2】


【0022】
実施例13〜18
実施例1で用いたペプチドに代え、表3に記載するように、大豆蛋白加水分解物(不二製油製「ハイニュートD3」)、乳清蛋白質高度分解物(森永乳業製「ペプチドMSP-9」)、カゼイン加水分解物(森永乳業製「ペプチドC800」)、乳清蛋白質軽度分解物(森永乳業製「ペプチドW800」)、ニワトリコラーゲン加水分解物(日本ハム製「P-LAP」)または豚皮コラーゲン(日本ハム製「C-LAP」)を用いた以外は実施例1と同様にして澱粉ペプチド複合体を得た。
【0023】
【表3】


【0024】
比較例1
含水率17%に調湿したエーテル化タピオカ澱粉100質量部のみを用いた以外は、実施例1と同様に処理して熱処理澱粉を得た。
【0025】
試験例1
小麦粉(日清製粉製「フラワー」)70質量部に、実施例1〜18で得られた各澱粉ペプチド複合体30質量部、比較例1の熱処理澱粉30質量部又は対照としてエーテル化タピオカ澱粉30質量部及びベーキングパウダー1.5質量部を添加混合後、水160質量部を加えてバッターを調製した。これにサツマ芋(10×10×40mm)を浸して衣付けした後、170℃の油槽で3分間油ちょうした。
得られたサツマ芋天ぷらを油ちょう後5時間経過した後、及び油ちょう後24時間冷蔵保管した後、電子レンジで再加熱し、10分経過後に衣についてそれぞれ表4に示す評価基準に従って10名のパネラーで評価した。その結果は表5のとおりであった。
【0026】
【表4】


【0027】
【表5】


【0028】
試験例2
実施例1で得られた澱粉ペプチド複合体の添加量を表6に記載した量に代えた以外は試験例1と同様にしてサツマ芋天ぷらを得、各衣について評価した。その結果は表8のとおりであった。
【0029】
【表6】


【0030】
試験例3
試験例1で用いた小麦粉、並びに実施例1及び13で得た澱粉ペプチド複合体を表7に示す量(添加量0を対照とした)添加後、更に食塩2質量部、ベーキングパウダー1質量部、全卵50質量部及び水110質量部を加え、ホイッパーで1分間攪拌してバッターを調製した。得られたバッターを10分間寝かせた後、キャベツを100質量部添加混合し、180gの生地を180℃の鉄板で片面5分間ずつ焼成し、お好み焼きを得た。
得られたお好み焼きを30分間室温に放置した後、試験例1と同様にして経時変化耐性と風味を評価した。また、30分間放置した後、ビニールで包装し4℃の冷蔵庫に24時間保管した後、500Wの電子レンジで1枚につき90秒間加熱し、10分後に試験例1と同様にして電子レンジ耐性を評価した。その結果は表7のとおりであった。
【0031】
【表7】


【出願人】 【識別番号】000226998
【氏名又は名称】株式会社日清製粉グループ本社
【出願日】 平成16年3月29日(2004.3.29)
【代理人】 【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所

【識別番号】100068700
【弁理士】
【氏名又は名称】有賀 三幸

【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄

【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫

【識別番号】100089048
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 康隆

【識別番号】100101317
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 ひろみ

【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹

【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人

【公開番号】 特開2005−278466(P2005−278466A)
【公開日】 平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願番号】 特願2004−95842(P2004−95842)