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【発明の名称】 食品の製造方法および菊芋を含む食品
【発明者】 【氏名】中山 繁雄
【住所又は居所】長野県飯田市上殿岡470−4 日本糖尿食研株式会社内

【要約】 【課題】イヌリンを豊富に含む健康食品として、食の安全性をさらに高めた菊芋の成分を含む食品を提供する。

【解決手段】採取した生の菊芋を、工程1において洗浄し、さらに、工程2において皮を剥いだ後に、工程3においてカットし、工程4において乾燥し、さらに工程5において焙煎した後に工程6において粉末化する。乾燥する前に、皮を剥くことにより、事前に土壌菌の混入を少なくし、さらに、高温で焙煎することにより、一般細菌および大腸菌まで死滅させることにより、健康食品として最適な、より安全な食品を提供することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮剥き後、乾燥された菊芋を焙煎する工程を有する食品の製造方法。
【請求項2】
請求項1において、焙煎した前記菊芋を粉末化する工程を有する食品の製造方法。
【請求項3】
請求項1において、前記焙煎する工程では、50℃〜300℃程度の温度領域で焙煎する食品の製造方法。
【請求項4】
皮を剥いだ後に乾燥および焙煎された菊芋の成分を含む食品。
【請求項5】
請求項4において、粉末化されていることを特徴とする食品。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、菊芋を主原料とする糖尿病などを予防可能な食品およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、3大成人病の一つである糖尿病に蝕まれている人は、千数百万人とも言われている。そして、糖尿病、他の成人病、更年期および老人ぼけ(老人性痴呆症)などにも効果的で安全な、健康食品の需要が高まっている。その1つとして、黄色の花を咲かせるキク科の植物である菊芋(学名:ヘリアンシス ツべロスス)が着目されている。この菊芋には、イヌリンと呼ばれる多糖類が多く含まれており、特に糖尿食として優れていることが知られている。菊芋はデンプン質を含まず、糖分としてフルクトースの重合物であるイヌリンを14%程度含む植物である。このイヌリンは、デンプンと異なり、人間が持つ消化酵素では分解できず、酵素などの作用によってイヌリンが分解したフルクトースは難消化性であるので、糖尿病の人にも安心して提供できる甘味源である。また、イヌリンはカロリーも低い。さらに、イヌリンは、中性脂肪濃度を下げたり、疲れた膵臓を休ませたり、膵臓の負担を和らげて膵臓の機能を復活させるという効果が知られている。
【0003】
さらに、イヌリンのオリゴフルクトースが癌の成長を阻害する効果がある。また、イヌリンは血液中の脂質を少なくする効果があることも知られている。さらには、イヌリンによってビフィズス菌の成長を促し、腸の活性化および浄化することにより成人病の予防、肥満の解消、更年期障害などの予防効果も期待できる。したがって、イヌリンは、多くのメリットを備えたものであることが知られている。また、イヌリン(イヌリン型フルクタン)は、致死性、標的器官に対する毒性、再生や発生に対する毒性、発癌性などが見られず安全なものである。
【特許文献1】特開平4−8270号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、イヌリンを多く含む菊芋は、様々な面で、それ自体が健康食品として利用可能であると共に、健康食品の一成分としても利用可能である。その一方で、菊芋は、アクが強い野菜であるため調理が面倒であり、特有の臭いがあり、生または煮て食べても美味とは言い難く、さらに、生の状態では保存が難しい。特許文献1には、杜仲茶(ホウノ葉)に、菊芋などの菊科の植物の根茎を焙煎して得られる焙煎体を混合した健康茶が開示されている。イヌリンは、高温で焙煎してもその働きは損なわれ難く、また、焙煎することにより薫りが加わり、味も良くなり、さらに、杜仲の焙煎体と混合することにより、菊芋を用いたお茶であっても比較的飲み易い食品を提供できる。したがって、菊芋が含んでいる豊富なイヌリンを比較的容易に摂取できる食品を提供できる。
【0005】
しかしながら、このような方法で製造された食品は健康食品としては幾つかの問題があることを指摘できる。まず第1は、お茶としてしか菊芋のイヌリンを摂取できない点である。お茶は、手軽な飲み物として多くのユーザが食することができるものであるが、主な成分は水であり、さらに、菊芋の成分はお茶の葉の一部でしかないために、ある程度の量のイヌリンを摂取しようとすると多量の水分を合わせて摂取する必要がある。したがって、水分の摂取を好まないユーザあるいは環境においては手軽に食することができる健康食品とは言い難い。さらに、子供など、お茶を好まないユーザも存在する。一方、菊芋単体を食することが難しいことは上述した通りである。
【0006】
第2は、焙煎された食品としては、お茶、コーヒーなどが一般的であり、焙煎する際に高温で加熱されるので、焙煎された食品は殺菌されたものであると考えられていることである。地上で採取される葉や、種を焙煎した食品は、雑菌で汚染されている可能性は少ないので、焙煎された食品は殆ど殺菌されたものと考えられるかもしれない。しかしながら、菊芋は、畑や山などの土壌の中から採取されるので、土壌菌をはじめとする様々な菌が付着している可能性が高く、入念に洗浄しただけでは除去できないし、耐熱性の菌が残存していれば焙煎しても死滅しない。また、土壌には菌以外にも種々の汚染要因が存在する可能性があり、洗浄しても菊芋の皮の間に微量の汚染物質が残る可能性を完全に除去することは難しい。一方、洗浄に時間と経費を費やすことは、食品の製造コストが高くなることを意味し、経済的でない。
【0007】
そこで、本発明においては、さらに安全性の高い、菊芋を用いた食品を低コストで製造し、提供することを目的としている。また、さらに効率良く、誰でもが簡単にイヌリンを摂取することができる、菊芋を用いた食品を製造し、提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このため、土壌から採取した菊芋を、洗浄するだけでなく、少なくとも軽く皮を剥いた後に乾燥し、その後、焙煎するようにしている。すなわち、本発明の食品の製造方法は、皮剥き後、乾燥された菊芋を焙煎する工程を有することを特徴としている。したがって、本発明は、皮を剥いだ後に乾燥および焙煎された菊芋を含む食品を提供するものである。
【0009】
上述したように、一般に焙煎した後に食される葉や種子は、皮が無いか、あるいは皮と中身の間に旨みや栄養が多くあり、さらに、皮を含めて焙煎することにより、いっそう薫りが増すために、皮を剥かずに焙煎して食する。これに対して、本発明においては、畑等から収穫した生の菊芋を良く洗うと共に、少なくとも軽く皮を剥き、必要であれば適当な大きさにカットした後に乾燥させる。そして、皮が剥がされた乾燥菊芋をさらに焙煎し、食品として提供する。
【0010】
まず、皮を剥ぐことにより、皮に付着している土壌中の様々な菌や汚染物質をほぼ完全に除去することができる。したがって、より安全な食品に加工することができる。また、菊芋の場合、皮と中身の境界部分だけではなく、中身にも十分なイヌリンが含まれており、皮を剥くことにより貴重なイヌリンの量が減少することはほとんどない。逆に、菊芋の場合は、軽く皮を剥くことにより、皮と中身の境界部分の灰汁(あく)の強い部分を除くことができ、焙煎された食品の味をまろやかにするという効果をもたらす。したがって、皮を剥いで焙煎することにより、より安全であると共に、味が円やかで良く、好ましい薫りと色が加わった菊芋をベースとする加工食品を提供できる。
【0011】
本発明により、味が円やかな、菊芋の成分を含む食品を提供できるので、この食品を単体で食することが可能となったり、他の食材と混合する場合でも菊芋の成分の量を増やしたり、混合する食材との融合性あるいは親和性が増したりすることができる。したがって、様々なユーザが食し易い、菊芋の成分を含む食品を提供することができる。このため、本発明の食品により、効率的に、無理なく、そして安全にイヌリンを摂取することができる。本発明の食品は、それ自体を食べるものから、主材料として調理されるもの、お茶のような飲み物として食(飲料)するもの、副材料として他の食材と混合して使用するもの、さらには、調味料のように、適当な量を主たる食品に加えてさらに加工するものなどを全て含む。
【0012】
さらに、本発明の食品は、乾燥した後に焙煎しているので、水分の含有量が少なく、粉末化することが容易である。そして、粉末化された食品として提供することにより、梱包し易く、袋や箱入りに限らず、錠剤やカプセル化したような様々な形態で流通させることができる。さらに、粉末化された食品は、他の粉末化された食材と混合することにより、パン、パンケーキ、お菓子類、さらに、素麺、うどん、ラーメン、蕎麦、パスタなどの様々な食品の食材の一部として活用することができ、菊芋の成分を含む様々な料理としてユーザに出され、イヌリンを無理なく効率的に摂取することができる。
【0013】
焙煎する工程では、イヌリンを高温に晒してもその効果が変わらないので、50℃〜300℃程度の焙煎としては比較的高温の領域で数時間焙煎することにより、さらに風味の増した食品が得られ、特に、100〜125℃の前後で3〜4時間焙煎することが望ましい。また、皮を剥いてから乾燥および焙煎して殺菌するので、乾燥だけでは死滅せずに残存する可能性のある細菌も除去でき、コバルト処理やジアニン配合処理などの殺菌処理が不要になる。このため、殺菌処理の残存成分が食品に残る可能性もなくなり、この点でも、さらに安全で健康食品に適した食品を提供できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の製造方法により、より安全な焙煎菊芋粉末を提供することが可能となり、イヌリンを多く含む粉末を食品の原材料や、副材料とすることにより、食を楽しみながら美容、ダイエット、成人病予防、糖尿病予防に役だてることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。図1に、本発明に係る菊芋の成分を含む食品の製造方法の概略を示してある。先ず、工程1では、掘り出してきた生の菊芋を洗浄する。次に、工程2において、洗浄した菊芋の皮(表皮)を剥く。この段階で、表皮はできるだけ完全に剥ぐことが望ましいが、そのために多大な作業時間を要するようでは経済的ではなくなる。表皮自体が有毒であるなどの問題があるわけではないので、表皮を少なくとも軽く剥いで、表皮の大半が剥がされていれば、乾燥後に表皮に付着して菌や汚染物質が残る可能性を大幅に低減でき、また、表皮に起因する灰汁も大幅に少なくできる。
【0016】
次に、工程3において、皮が剥かれた菊芋を、必要に応じて、適当な大きさになるように、薄くスライスしたり、ダイス状にカット(分断)する。カットせずに丸ごと次の工程に移行することも可能である。
【0017】
工程4において、天日や熱風により十分に乾燥させ、工程5において、乾燥した菊芋を、125℃程度の温度で、3〜4時間焙煎する。焙煎温度は、50〜300℃の範囲で選択でき、温度により焙煎時間を変化させることにより、適度な薫りと味が加わった食品を製造できる。
【0018】
さらに、工程6において、乾燥後に焙煎された菊芋を粉砕して100メッシュ程度に粉末化し、適当な状態に梱包して出荷する。
【0019】
従来、根菜類を乾燥および粉末化して食材として出荷することは行われていたが、乾燥しただけでは土壌菌およびその他の一般細菌は死滅せず、粉末内で繁殖しやすく、その後の食品加工時に問題になることがある。これに対し、乾燥後に、焙煎する工程を加えることにより、薫りを加えると共に滅菌することが可能となり、菌によるトラブルはかなり解決することができる。しかしながら、土壌菌の一部には耐熱性のものもあり、健康食品という分野において、厳しい基準で管理された、より安全な食品をユーザに提供しようとすると問題が残る。
【0020】
本発明においては、さらに、乾燥する前に、皮を剥くことにより、事前に土壌菌の混入を少なくし、さらに、高温で焙煎することにより、一般細菌および大腸菌まで死滅させることにより、健康食品として最適な、より安全な食品を提供することができる。そして、菊芋に含まれているイヌリン成分は熱に強く、高熱で焙煎してもイヌリン成分は損なわれないので、本発明の製造方法は健康食品としての効能を低下させるものではない。それどころか、焙煎することで、好ましい香りと色と味が加わり、菊芋の成分を含む食品を食する上で障害となっていた灰汁(あく)の成分が事前に除去されることで味もまろやかで豊かになった食品を提供できる。
【0021】
このため、本発明に係る焙煎菊芋粉末は、現在流通している、または、一般家庭などで食されている殆ど全ての食品に主材料として、あるいは副材料として混合させることができる。特に、粉末化されているので、例えば、パン、パンケーキ、お菓子類に添加するのが好適である。お菓子類とは、例えば、ケーキ、煎餅、飴、キャラメル、羊羹、ゼリーボンボン、ガム、ヨーグルト、チョコレート、アイスクリーム、ウェハウス、クッキー、フレイク、マシュマロ、ラムネ菓子、練り菓子、和菓子などがある。また、原材料(主材料)が素麺、うどん、ラーメン、蕎麦などの麺類にも、粉末化した菊芋を副材料として用いることが可能である。また、飲料品に焙煎菊芋粉末を混ぜたり、焙煎菊芋粉末から抽出された液体を飲料として飲んだり、飲料に混ぜたりすることも可能であり、本発明に係る焙煎菊芋粉末およびそれを含んだ食品の食し方は多種多様である。また、焙煎菊芋粉末に、クエン酸、米や小麦の胚芽油など天然ビタミンE、ビタミンCなどの健康食品に適した食材をさらに添加することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る菊芋の食品を製造する過程を示す図である。
【符号の説明】
【0023】
1〜6 各工程
【出願人】 【識別番号】599125102
【氏名又は名称】日本糖尿食研株式会社
【住所又は居所】長野県飯田市上殿岡470−4
【出願日】 平成16年3月29日(2004.3.29)
【代理人】 【識別番号】100102934
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 彰

【公開番号】 特開2005−278459(P2005−278459A)
【公開日】 平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願番号】 特願2004−95447(P2004−95447)