トップ :: A 生活必需品 :: A23 食品または食料品;他のクラスに包含されないそれらの処理




【発明の名称】 調理方法およびそれを用いた調理機器
【発明者】 【氏名】安信 淑子
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器産業株式会社内

【氏名】橋野 真衣
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器産業株式会社内

【氏名】中村 起子
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器産業株式会社内

【氏名】藤本 眞嗣
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器産業株式会社内

【要約】 【課題】従来の調理方法では、調味液の食品への染み込み状態をよくすることによって、調味液の染み込みやすい食品を調理する場合には調味液が食材に染み込みすぎて、出来上がった調理物は塩分や糖分が過多となってしまう傾向がある。また得られる調理物の脂質成分の減少や栄養成分の増加を実現することができない。

【解決手段】食品を−5℃〜−20℃まで冷凍する冷凍工程と、その後−5℃〜−20℃まで一定時間維持する凍結維持工程と凍結維持工程に続いて95℃〜200℃の温度まで加熱する加熱工程と、その後95℃〜200℃の温度で一定時間維持する沸騰維持工程と、沸騰維持工程後、冷却を行う冷却工程と、冷却工程後に60℃〜80℃の温度で一定時間維持する保温維持工程とを有し、前記冷凍工程と前記凍結維持工程、さらに沸騰維持工程と冷却工程と保温維持工程とを食品の種類によって最適な調理工程時間で制御する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品を−5℃〜−20℃まで冷凍する冷凍工程と、前記冷凍工程に続いて食品を−5℃〜−20℃で一定時間維持する凍結維持工程と、前記凍結維持工程に続いて95℃〜200℃の温度まで加熱する加熱工程と、前記加熱工程に続いて食品を95℃〜200℃の温度で一定時間維持する沸騰維持工程と、前記沸騰維持工程に続いて食品を60℃〜80℃の温度まで冷却する冷却工程と、前記冷却工程に続いて60℃〜80℃の温度で一定時間維持する保温維持工程とを有し、前記加熱工程および前記沸騰維持工程および前記冷却工程および前記保温維持工程の各工程時間を食品の種類によって制御する調理方法。
【請求項2】
前記冷凍工程および凍結維持工程を食品の種類によって制御する請求項1に記載の調理方法。
【請求項3】
前記冷凍工程の前に0℃〜10℃の温度で冷却保存する保存工程をさらに備えた請求項1または2に記載の調理方法。
【請求項4】
保温維持工程の後に95℃〜200℃の温度に維持する再加熱工程をさらに備えた請求項1から3のいずれか一項に記載の調理方法。
【請求項5】
少なくとも加熱工程と沸騰維持工程と冷却工程と保温維持工程とを食品の種類に加えて、さらに食品の重量によって制御する請求項1から4のいずれか一項に記載の調理方法。
【請求項6】
少なくとも加熱工程と沸騰維持工程と冷却工程と保温維持工程とを食品の種類に加えて、さらに食品の温度によって制御する請求項1から5のいずれか一項に記載の調理方法。
【請求項7】
断熱構造で構成された調理室と、前記調理室内に収納された食品を−5℃〜−20℃の温度まで冷却する冷凍手段と、前記冷凍手段によって冷凍された食品を−5℃〜−20℃の温度で一定時間維持する凍結維持手段と、前記凍結手段によって凍結された食品を95℃〜200℃の温度まで加熱する加熱手段と、前記加熱手段によって加熱された前記食品を95℃〜200℃の温度で一定時間維持する沸騰維持手段と、前記沸騰維持手段によって沸騰維持された前記食品を60℃〜80℃の温度まで冷却を行う冷却手段と、前記冷却手段によって冷却された前記食品を60℃〜80℃の温度で一定時間維持する保温維持手段とを有し、前記加熱手段および前記沸騰維持手段および前記冷却手段および前記保温維持手段の各作動時間を前記食品の種類によって制御する制御装置とを備えた調理機器。
【請求項8】
前記冷凍手段および前記凍結維持手段を食品の種類によって制御する請求項7に記載の調理機器。
【請求項9】
前記冷凍手段と前記凍結維持手段の間に0℃〜10℃の温度で冷却保存する保存手段をさらに備えた請求項7または8に記載の調理機器。
【請求項10】
前記保温維持手段の後に95℃〜200℃の温度に維持する再加熱手段をさらに備えた請求項7から9のいずれか一項に記載の調理機器。
【請求項11】
少なくとも前記加熱手段と前記沸騰維持手段と前記冷却手段と前記保温維持手段とを食品の種類に加えて、さらに食品の重量によって制御する請求項7から10のいずれか一項に記載の調理機器。
【請求項12】
少なくとも前記加熱手段と前記沸騰維持手段と前記冷却手段と前記保温維持手段とを食品の種類に加えて、さらに食品の温度によって制御する請求項7から11のいずれか一項に記載の調理機器。
【請求項13】
前記断熱構造はウレタン発砲材で形成されたことを特徴とする請求項7から12のいずれか一項に記載の調理機器。
【請求項14】
前記断熱構造は真空断熱材で形成されたことを特徴とする請求項7から12のいずれか一項に記載の調理機器。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、食品を調理するための調理方法および調理機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の食文化の多様化や質の向上にともなって、食品をより美味しく調理する為に様々は方法が提案されている。
【0003】
一般に言われている調理とは、鍋等の容器に、食品等の調理物を収納して、加熱操作を行うことにより、組織の温度を急速に上げ、組織破壊や成分変化を生じさせることである。このように食品を組織破壊により軟らかくするためには、所定の温度以上で所定の時間維持する必要があり、調理操作の過程では、成分変化が生じた調理物内部の破壊された組織から一般に旨味と言われる成分が溶出される。
【0004】
さらに、調味液とともに所定の時間加熱操作を行った調理物を冷却すると、その冷却過程において調味液が食品内部に染み込むことも一般によく知られている。
【0005】
よってこの原理を応用して、加熱操作を行った調理物を、さらに断熱容器内に収納して、冷却過程を経て保温状態で調理を行うようにした保温調理機器もある。
【0006】
上記構成の保温調理機器では、調味液とともに所定の時間、加熱操作により沸騰状態に維持した調理物を、断熱容器内に収納することにより所定の温度まで冷却され、その冷却過程において、調味液を食品内部に染み込ませ、食べるときに再加熱を行うことができるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−146834号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の調理機器では、調味液の食品への染み込み状態をよくすることができたが、特に調味液の染み込みやすい食品を調理する場合には調味液が食材に染み込みすぎて、出来上がった調理物は塩分や糖分が過多となってしまう傾向があった。
【0008】
このように調理物の塩分や糖分が過多となると、特に現代社会においては、その調理物を摂取する人間が健康を害し、糖尿病をはじめとする生活習慣病になりやすいという問題を抱えていた。
【0009】
また、脂質の取りすぎも生活習慣病の要因の一つであると考えられ、さらに生活習慣病になりにくくするために、カルシウム等の栄養成分の積極的摂取も有効であると考えられる。これらの栄養成分は、美容効果もあると考えられ、従来の調理機器では、これらの課題も解決することはできない。
【0010】
本発明は、上記従来の課題を考慮して、調理工程として食品の種類によって最適な凍結工程を行うことにより、調理物の組織に損傷を与え、加熱調理時の脂肪成分の溶出を促進させることにより、調理物の脱脂を行い、加熱調理時に損傷した組織からの栄養成分の溶出も促進させることが可能となる。さらに出来上がった調理物の塩分や糖分が過多とならないように、食品の種類によって最適な加熱調理工程を行うことで、出来上がった調理物に含有されている塩分や糖分を低減し、かつ食品内部まで調味液を染み込ませることで官能的に美味しい調理物を得ることができる調理方法および調理機器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の調理方法は、食品を−5℃〜−20℃まで冷凍する冷凍工程と、前記冷凍工程に続いて食品を−5℃〜−20℃で一定時間維持する凍結維持工程と、前記凍結維持工程に続いて食品を95℃〜200℃の温度まで加熱する加熱工程と、前記加熱工程に続いて食品を95℃〜200℃の温度で一定時間維持する沸騰維持工程と、前記沸騰維持工程に続いて食品を60℃〜80℃の温度まで冷却する冷却工程と、前記冷却工程に続いて60℃〜80℃の温度で一定時間維持する保温維持工程とを有し、前記加熱工程および前記沸騰維持工程および前記冷却工程および前記保温維持工程の各工程時間を食品の種類によって制御するものである。
【0012】
これによって、食品の種類に応じて最適な調理工程時間を制御することができるので、脂質の流出や栄養成分の溶出を促進させることができ、さらに調味液の食品への過剰な染み込みを防止した上で、官能的に美味しいと感じられる最適な量の調味液を食品に染み込ませる調理方法を実現することができる。
【0013】
また、本発明の調理機器は、断熱構造で構成された調理室と、前記調理室内に収納された食品を−5℃〜−20℃の温度まで冷却する冷凍手段と、前記冷凍手段によって冷凍された食品を−5℃〜−20℃の温度で一定時間維持する凍結維持手段と、前記凍結手段によって凍結された食品を95℃〜200℃の温度まで加熱する加熱手段と、前記加熱手段によって加熱された前記食品を95℃〜200℃の温度で一定時間維持する沸騰維持手段と、前記沸騰維持手段によって沸騰維持された前記食品を60℃〜80℃の温度まで冷却を行う冷却手段と、前記冷却手段によって冷却された前記食品を60℃〜80℃の温度で一定時間維持する保温維持手段とを有し、前記加熱手段および前記沸騰維持手段および前記冷却手段および前記保温維持手段の各作動時間を前記食品の種類によって制御する制御装置とを備えたものである。
【0014】
これによって、食品の種類に応じて最適な調理手段を制御することができるので、脂質の流出および栄養成分の溶出を促進し、調味液の食品への過剰な染み込みを防止した上で、官能的に美味しいと感じられる最適な量の調味液を食品に染み込ませる調理を実現する調理機器を得ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の調理方法は、食品の種類に応じて調理工程時間を制御することができるので、脂質の流出および栄養成分の溶出を促進し、調味液の食品への過剰な染み込みを防止した上で、官能的に美味しいと感じられる最適な量の調味液を食品に染み込ませる調理方法を実現することができ、健康的でかつ美味しい調理物を提供することができる。
【0016】
また、本発明の調理機器は、食品の種類に応じて最適な調理手段を制御することができるので、脂質の流出および栄養成分の溶出を促進し、調味液の食品への過剰な染み込みを防止した上で、官能的に美味しいと感じられる最適な量の調味液を食品に染み込ませる調理を実現することができる調理機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
請求項1に記載の発明は、食品を−5℃〜−20℃まで冷凍する冷凍工程と、前記冷凍工程に続いて食品を−5℃〜−20℃で一定時間維持する凍結維持工程と、前記凍結維持工程に続いて95℃〜200℃の温度まで加熱する加熱工程と、前記加熱工程に続いて食品を95℃〜200℃の温度で一定時間維持する沸騰維持工程と、前記沸騰維持工程に続いて食品を60℃〜80℃の温度まで冷却する冷却工程と、前記冷却工程に続いて60℃〜80℃の温度で一定時間維持する保温維持工程とを有し、前記加熱工程および前記沸騰維持工程および前記冷却工程および前記保温維持工程の各工程時間を食品の種類によって制御することにより、脂質の流出や栄養成分の溶出を促進させることができ、さらに調味液の食品への過剰な染み込みを防止した上で、官能的に美味しいと感じられる最適な量の調味液を食品に染み込ませる調理方法を実現することができる。
【0018】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明に加えて、冷凍工程および凍結工程を食品の種類によって制御することにより、請求項1の発明の作用に加えて、食品の種類によって調理物の脂質の流出による脱脂を適切に制御することが可能となり、さらに食品の種類によって栄養成分の溶出が促進される。
【0019】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明に加えて、前記冷凍工程の前に0℃〜10℃の温度で冷却保存する保存工程をさらに備えたものであり、請求項1または2の発明の作用に加えて、食品を調理前に保存しておいても食品の鮮度が低下することを防ぐことができる。
【0020】
請求項4に記載の発明は、請求項1または3に記載の発明に加えて、保温維持工程の後に95℃〜200℃の温度に維持する再加熱工程をさらに備えたものであり、調理後の食品を温かい状態にすることができる。
【0021】
請求項5に記載の発明は、請求項2から4に記載の発明に加えて、少なくとも冷凍工程と凍結維持工程と加熱工程と沸騰維持工程と冷却工程と保温維持工程とを食品の種類に加えて、さらに食品の重量によって制御するものであり、請求項2から4に記載の発明の作用に加えて、各調理工程を食品の種類に加えて重量によって制御することにより、食品の重量に応じてさらに精度良く食品の成分溶出と食品組織全体への調味液の染み込みが可能となり、調味液の食品への過剰な染み込みを防止することができる。
【0022】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5に記載の発明に加えて、少なくとも加熱工程と沸騰維持工程と冷却工程と保温維持工程とを食品の種類に加えて、さらに食品の温度によって制御するものであり、請求項1から5に記載の発明に加えて、各調理工程を食品の種類に加えて温度によって制御することにより、外気温や食品の温度に応じてさらに精度良く食品の成分溶出と食品組織全体への調味液の染み込みが可能となり、調味液の食品への過剰な染み込みを防止することができる。
【0023】
請求項7に記載の発明は、断熱構造で構成された調理室と、前記調理室内に収納された食品を−5℃〜−20℃の温度まで冷却する冷凍手段と、前記冷凍手段によって冷凍された食品を−5℃〜−20℃の温度で一定時間維持する凍結維持手段と、前記凍結手段によって凍結された食品を95℃〜200℃の温度まで加熱する加熱手段と、前記加熱手段によって加熱された前記食品を95℃〜200℃の温度で一定時間維持する沸騰維持手段と、前記沸騰維持手段によって沸騰維持された前記食品を60℃〜80℃の温度まで冷却を行う冷却手段と、前記冷却手段によって冷却された前記食品を60℃〜80℃の温度で一定時間維持する保温維持手段とを有し、前記加熱手段および前記沸騰維持手段および前記冷却手段および前記保温維持手段の各作動時間を前記食品の種類によって制御する制御装置とを備えたものであり、脂質の流出および栄養成分の溶出を促進し、調味液の食品への過剰な染み込みを防止した上で、官能的に美味しいと感じられる最適な量の調味液を食品に染み込ませる調理を実現する調理機器を得ることができる。
【0024】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の発明に加え、冷凍手段および凍結維持手段を食品の種類によって制御するもので、請求項7に記載の発明の作用に加え、食品の種類によって調理物の脂質の流出による脱脂が可能となり、さらに食品の種類によって栄養成分の溶出が促進される調理機器を実現することができる。
【0025】
請求項9に記載の発明は、請求項7または8に記載の発明に加え、冷凍手段と凍結維持手段の間に0℃〜10℃の温度で冷却保存する保存手段をさらに備えたもので、請求項7または8に記載の発明に加え、食品を調理前に保存しておいても食品の鮮度が低下することを防ぐことができる調理機器を実現することができる。
【0026】
請求項10に記載の発明は、請求項7から9に記載の発明に加え、保温維持手段の後に95℃〜200℃の温度に維持する再加熱手段をさらに備えたものであり、請求項7から9に記載の発明の作用に加え、調理後の食品を温かい状態にする調理機器を実現することができる。
【0027】
請求項11に記載の発明は、請求項7から10に記載の発明に加え、加熱手段と沸騰維持手段と冷却手段と保温維持手段とを食品の種類に加えて、さらに食品の重量によって制御するものであり、請求項7から10に記載の発明の作用に加えて、各調理工程を食品の種類に加えて重量によって制御することにより、食品の重量に応じてさらに精度良く食品の成分溶出と食品組織全体への調味液の染み込みが可能となり、調味液の食品への過剰な染み込みを防止する調理機器を実現することができる。
【0028】
請求項12に記載の発明は、請求項7から11に記載の発明に加え、加熱手段と沸騰維持手段と冷却手段と保温維持手段とを食品の種類に加えて、さらに食品の温度によって制御するものであり、請求項7から11に記載の発明に加えて、各調理工程を食品の種類に加えて温度によって制御することにより、外気温や食品の温度に応じてさらに精度良く食品の成分溶出と食品組織全体への調味液の染み込みが可能となり、調味液の食品への過剰な染み込みを防止する調理機器を実現することができる。
【0029】
請求項13に記載の発明は、請求項7から9に記載の発明に加え、断熱構造として、ウレタン発砲材で形成されたものであり、さまざまな形状の調理室に応じた断熱構成を容易に形成することができる。
【0030】
請求項14に記載の発明は、請求項7から9に記載の発明に加え、断熱構造として、真空断熱材で形成されたものであり、調理室の断熱性能を向上させることができる。
【0031】
(実施の形態1)
以下、本実施の形態1における調理機器の構成および作用について、図1を参照にしながら説明する。尚、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0032】
図1は、本実施の形態1における調理機器を示す断面図である。
【0033】
調理機器は、調理する調理物10が収容されている鍋11と、調理物の温度を非接触で検知する赤外線センサー12と、調理する調理物を収容する鍋を加熱する電気ヒーター13を備えており、図には示していないが、圧縮機、凝縮器、キャピラリーチューブを有し、強制対流式蒸発器14により、調理室15内を冷却できる構造になっている。
【0034】
強制対流式蒸発器14で冷却された冷気は送風機16により調理室15内に強制通風される。ダンパーサーモ17は調理室入口に設けて電気的入力で冷気流入量を調整するものであり、モーター18の駆動力によってダンパーサーモ17を開閉するように構成されている。吐出ダクト19は前記送風機からの冷気を前記調理室15内に導くものであり、また吹き出し口20は調理室15内に冷気を吹き込むものであり、吸い込みダクト21は調理室15内の冷却した冷気を前記強制対流式蒸発器14に戻すために備えられている。
【0035】
また、調理室15はウレタン発砲あるいは、真空断熱材で形成された断熱構造を有している。
【0036】
図2は、本実施の形態1における調理機器本体外殻の一部に設けたコントロールパネル22であり、調理する調理物のメニューを選択するメニュー選択キー23、選択したメニューを決定するメニュー決定ボタン24、選択したメニューを表示するメニュー表示パネル25、調理を開始する開始ボタン26、調理が終了したことを知らせる終了ランプ27を備えている。
【0037】
調理物を調理室15内の鍋11に収容し、コントロールパネル22のメニュー選択キー23によりメニューを選択し、開始ボタン26を押すことにより、選択されたメニューの情報に基づいて、赤外線センサー12で検知した調理物の温度を制御することより、調理物に最適な加熱と冷却を組み合わせた調理が行われる。
【0038】
以下、本実施の形態1における調理機器の調理室15にて調理する工程を従来の調理方法と比較しながら説明する。
【0039】
(表1)は、従来の調理方法で調理した食品に関するデーターである。
【0040】
【表1】


【0041】
(表1)において、従来の調理方法で、豚の角煮を作ったときの調味液の染み込み状態、官能評価による豚バラ肉の赤身、脂身の軟らかさ、調理後豚バラ肉から調味液に流出した脂質流出量を示している。
【0042】
(表1)における調味液の染み込み状態の評価は、調理した食品の組織全体に調味液が染み込んでいるときには○、組織全体の1/2以上のときには△、1/2未満のときには×とした。また、軟らかさの官能評価は、調理前の状態を0ポイントとし、1ポイント違うと軟らかさの差は明確に認識される。
【0043】
総合評価は、調理物として染み込み状態、軟らかさから総合的に判断して評価を行い、染み込み状態が○、軟らかさが2ポイント以上のときに○、いずれか一項目でも満足しないときには×とした。
【0044】
(表1)により従来の調理方法1では、鍋等に調理物として豚バラ肉と調味液を収容し、加熱操作により沸騰状態を1時間維持したもので、染み込みは悪く、軟らかさも1ポイントと食べることは可能であるが十分軟らかい状態にはなっておらず、総合評価も×であった。
【0045】
(表1)に示したように、従来の調理方法1では、沸騰状態を1時間維持しているが、その時間が不充分であったため、染み込みが悪く、豚バラ肉の脂身部分、赤身部分ともに、十分軟らかい状態にならなかった。また、このときの脂質流出量は20gであった。
【0046】
次に従来の調理方法2では、従来の調理方法1と同様に鍋等に調理物として豚バラ肉と調味液を収容し、加熱操作により沸騰状態を3時間維持したもので、染み込み状態は調理方法1と比較して良くなり、調味液に流出した脂質流出量も従来の調理方法1と比較すると40gと2倍になったことから、出来上がった調理物に含有される脂肪量は調理方法2と比較して少なくなり、従来の調理方法1よりカロリーが少ない調理物が実現できた。しかし、豚バラ肉の脂身部分は軟らかくなったものの、赤身部分の軟らかさは従来の調理方法1と同等で良くならなかった。
【0047】
これは、(表1)により沸騰維持時間を3時間と従来の調理方法1より長くすることにより、食品の組織の破壊が促進され、その結果破壊された組織からの染み込みが促進されたが、沸騰状態を3時間維持したため、赤身の筋線維部分の蛋白質の熱変性が促進され、より多くの水分が流出したため、組織は破壊されたものの、赤身の筋線維自体が硬くぱさぱさした状態になり、調理物の総合的な評価としては悪くなった。
【0048】
次に、従来の調理方法2と同様の豚の角煮を例にとって、本実施の形態1における調理機器の調理室15にて調理する工程を説明する。
【0049】
まず、調理物10である豚バラ肉と調味液を、調理室15内の、鍋11に収容し、メニュー選択キー23で豚の角煮を選択し、選択したメニューをメニュー決定ボタン24で決定する。その後開始ボタン26を押すことにより、選択されたメニューの情報に基づいて調理が開始され、豚の角煮の場合は、まず調理室15内の強制対流式蒸発器14が作動し、強制対流式蒸発器14で冷却された冷気は送風機16により調理室15内に強制通風され、豚バラ肉は冷凍され、選択されたメニューの情報に基づいて、赤外線センサーによりダンパーサーモ17を制御することによって、一定の温度で一定時間凍結維持される。次に、調理室15内の電気ヒーター13が作動し、鍋11の加熱が行われることにより鍋11に収容された調理物10の温度が上昇し、豚バラ肉の温度は、赤外線センサーにより、電気ヒーター13の入力を制御することによって、一定の値で一定時間維持される。その後、調理室15内の強制対流式蒸発器14が作動し、強制対流式蒸発器14で冷却された冷気は送風機16により調理室15内に強制通風され、豚バラ肉は冷却され、選択されたメニューの情報に基づいて、赤外線センサーによりダンパーサーモ17を制御することによって、一定の温度で一定時間保温維持される。保温維持時間が、終了すると終了ランプが点灯する。
【0050】
図3は本発明の実施の形態1,2の調理工程の調理工程図であり、図4は、本発明の実施の形態1,2の温度変化を示すタイムチャート図である。
【0051】
調理物の温度Tは、温度Tk0を検知したとき、冷凍手段である強制対流式蒸発器14が作動し、強制対流式蒸発器14で冷却された冷気は送風機16により調理室15内に強制通風されることで調理物が冷凍される。その後、t1時間が経過したときに調理物の温度Tが温度Tk1より高ければ、凍結維持手段である冷凍手段である強制対流式蒸発器14が作動し、強制対流式蒸発器14で冷却された冷気は送風機16により調理室15内に強制通風されることでさらに冷却が継続しておこなわれ、調理物は温度Tk1以下でt2時間凍結維持されるように制御される。t2時間の凍結維持工程を経過した後、加熱手段である電気ヒーター13が作動し、調理物は加熱される。この加熱工程の後、沸騰維持手段である電気ヒーター13によって温度Tk2以上でt3時間沸騰維持されるように制御される。この沸騰維持工程後、冷却手段である強制対流式蒸発器14が再び作動し、強制対流式蒸発器14で冷却された冷気は送風機16により調理室15内に強制通風されることで冷却が行われる。この冷却工程後、t4時間が経過したときに調理物の温度Tが温度Tk3より高ければ、さらに冷却が継続しておこなわれ、保温維持手段である強制対流式蒸発器14および電気ヒーター13によって調理物の温度Tが温度Tk3以下でt5時間保温維持されるように制御され、t5時間経過したら終了表示される。
【0052】
調理物10を加熱する加熱手段は、電気ヒーター13に限定されるものでなく、食品の温度を検知するセンサーは、赤外線センサー12に限定されるものではない。さらに、冷却手段は強制対流式蒸発器14に限定されるものでない。
【0053】
(表2)は、実施の形態1の調理物に関するデーターである。
【0054】
【表2】


【0055】
(表2)により実施の形態1では、調理後の染み込み状態は良く、豚バラ肉の赤身部分、脂身部分ともに十分軟らかくなっており、総合評価も良かった。また、脂質の流出量も、従来の調理方法1、2と比較して多くなり、カロリーの少ない調理物を実現できた。
【0056】
実施の形態1の豚バラ肉の赤身部分が、十分軟らかくなったのは、赤身部分には、約60%の水分が含まれており、図5に示すように、冷凍し凍結させることにより氷結晶が生成され、それにより組織が破壊され、さらに、保温維持工程においては、沸騰状態と比較して低温の蛋白質の変性が抑制される温度での加熱を行うことにより、赤身の蛋白質の熱変性による水分流出が抑制された状態での組織破壊が行われ、沸騰維持時間は従来の調理方法1と同等の1時間であるが、十分軟らかい状態が実現できた。
【0057】
また、実施の形態1の豚バラ肉の脂身部分が、十分軟らかくなったのは、図5に示すように、豚バラ肉の赤身部分は、約60%の水分を含んでおり氷結晶が生成されるが、脂身部分は約16%の水分しか含んでおらず、そのまま冷凍し凍結させると、図6に示すように、氷結晶はほとんど生成されず、氷結晶による組織破壊は、ほとんど生じない。
【0058】
一方、実施の形態1の豚のバラ肉の脂身部分は、調味液とともに冷凍し、凍結させているため、凍結する過程で、調味液が脂身に浸透し、その分含水量が増加し、図7に示すように、氷結晶の生成が促進されることにより、組織が破壊され、軟らかくなった。さらに、加熱したときに破壊された組織から脂質が多く溶出された。また調味液にはアルコールが含まれていることから、図7に示すように、そのアルコールにより脂質が組織より抽出され、加熱したときにさらに脂質が多く流出された。
【0059】
また、図2に示すように、保存ボタンを備えたコントロールパネル22においては、保存ボタンを調理前に押すことにより、調理室15の鍋11内に収容された調理物10は冷却保存され、予め調理物10をセットしておくことができる。また、再加熱ボタンを備えたコントロールパネル22においては、調理が終了した調理物10を、食べる直前に、再加熱ボタンを押すことにより、食べごろ温度にまで加熱維持することができる。さらに、タイマー等の所定の時間を自由に制御できる制御基板を備えた調理機器においては、保存時間、調理開始時間、再加熱時間を設定することができることにより、保存、調理、再加熱を自動で行うことができる。
【0060】
以上述べたところから明らかなように、実施の形態1の調理機器は、調理物として豚バラ肉を調理するとき、調味液とともに材料の種類や重量に対応して最適な冷凍凍結を行い、その後さらに材料の種類や重量に対応して、最適な加熱と冷却を組み合わせた調理を実現することにより、調味液の染み込みも良く、十分軟らかい総合評価が良い調理物を得ることができ、さらに調理物の脱脂を行うことにより、カロリーカットされた調理物を得ることができることを特徴とするものである。
【0061】
(実施の形態2)
本実施の形態2における調理機器は、本実施の形態1の調理機器と同様の図1に示すような構成になっている。
【0062】
以下、本実施の形態2における調理機器の調理室15にて調理する工程を従来の調理方法と比較しながら説明する。
【0063】
(表3)は、従来の調理方法で調理した食品に関するデーターである。
【0064】
【表3】


【0065】
(表3)において、従来の調理方法3で、イワシの煮つけを作ったとき、調味液の染み込み状態、官能評価による軟らかさ、調味液とともに調理したイワシの身に含まれる調理後のカルシウム量を示している。
【0066】
(表3)における調味液の染み込み状態の評価、軟らかさの官能評価、総合評価の評価基準は、(表1)と同様の基準となっている。
【0067】
(表3)により従来の調理方法3では、鍋等に調理物としてイワシと調味液を収容し、加熱操作により沸騰状態を1時間維持したもので、染み込みは悪く、軟らかさも1ポイントと食べることは可能であるが十分軟らかい状態にはなっておらず、総合評価も×であった。
【0068】
(表3)に示したように、従来の調理方法3では、沸騰状態を1時間維持しているが、その時間が不充分であったため、染み込みが悪く、十分軟らかい状態にならなかった。また、このときのイワシの身に含まれるカルシウム量は108mgであった。
【0069】
次に、従来の調理方法3と同様のイワシの煮つけを例にとって、本実施の形態2における調理機器の調理室15にて調理する工程を説明する。
【0070】
まず、調理物10であるイワシの煮つけの材料を、調理室15内の、鍋11に収容し、メニュー選択キー23でイワシの煮つけを選択し、選択したメニューをメニュー決定ボタン24で決定する。その後開始ボタン26を押すことにより、選択されたメニューの情報に基づいて調理が開始され、イワシの煮つけの場合は、まず調理室15内の強制対流式蒸発器14が作動し、強制対流式蒸発器14で冷却された冷気は送風機16により調理室15内に強制通風され、イワシは冷凍され、選択されたメニューの情報に基づいて、赤外線センサーによりダンパーサーモ17を制御することによって、一定の温度で一定時間凍結維持される。次に、調理室15内の電気ヒーター13が作動し、鍋11の加熱が行われることにより鍋11に収容された調理物10の温度が上昇し、イワシの温度は、赤外線センサーにより、電気ヒーター13の入力を制御することによって、一定の値で一定時間維持される。その後、調理室15内の強制対流式蒸発器14が作動し、強制対流式蒸発器14で冷却された冷気は送風機16により調理室15内に強制通風され、イワシは冷却され、選択されたメニューの情報に基づいて、赤外線センサーによりダンパーサーモ17を制御することによって、一定の温度で一定時間保温維持される。保温維持時間が、終了すると終了ランプが点灯する。
【0071】
調理物を加熱する加熱手段は、電気ヒーターに限定されるものでなく、食品の温度を検知するセンサーは、赤外線センサーに限定されるものではない。さらに、冷却手段は強制対流式蒸発器に限定されるものでない。
【0072】
(表4)は、実施の形態2の調理物に関するデーターである。
【0073】
【表4】


【0074】
(表4)により実施の形態2では、調理後の染み込み状態は良く、十分軟らかくなっており、総合評価も良かった。また、カルシウムの含有量も従来の調理方法3と比較して多くなり、栄養成分の多い調理物を実現できた。
【0075】
実施の形態2のイワシの身部分が、十分軟らかくなったのは、身部分には、約70%の水分が含まれており、冷凍し凍結させることにより氷結晶が生成され、それにより組織が破壊され、さらに、保温維持工程においては、沸騰状態と比較して低温の蛋白質の変性が抑制される温度での加熱を行うことにより、イワシの身の蛋白質の熱変性による水分流出が抑制された状態での組織破壊が行われ、沸騰維持時間は従来の調理方法3と同等の1時間であるが、十分軟らかい状態が実現できた。
【0076】
実施の形態2のイワシの身に含有されるカルシウム量が多くなったのは、調理液とともに冷凍する冷凍工程において、調味液中に含まれる酢の効果によりイワシの骨部分に損傷が生じ、その損傷部分から調味液が骨部分に浸透し、調味液に含まれる水分により骨部分に氷結晶が生成され、さらに損傷が促進され、加熱したときに損傷した骨部分からカルシウムが流出されやすくなったためである。
【0077】
また、保存ボタンを備えたコントロールパネル22においては、保存ボタンを調理前に押すことにより、調理室15の鍋11内に収容された調理物10は冷却保存され、予め調理物10をセットしておくことができる。また、再加熱ボタンを備えたコントロールパネル22においては、調理が終了した調理物10を、食べる直前に、再加熱ボタンを押すことにより、食べごろ温度にまで加熱維持することができる。さらに、タイマー等の所定の時間を自由に制御できる制御基板を備えた調理機器においては、保存時間、調理開始時間、再加熱時間を設定することができることにより、保存、調理、再加熱を自動で行うことができる。
【0078】
以上述べたところから明らかなように、実施の形態2の調理機器は、調理物としてイワシを調理するとき、調味液とともに材料の種類や重量に対応して最適な冷凍凍結を行い、その後さらに材料の種類や重量に対応して、最適な加熱と冷却を組み合わせた調理を実現することにより、調味液の染み込みも良く、十分軟らかい総合評価が良い調理物を得ることができ、さらに調理後のイワシの身に含まれるカルシウム量は多くなり、栄養成分の多い調理物を得ることができることを特徴とするものである。
【産業上の利用可能性】
【0079】
以上のように、本発明にかかる調理機器は、食品を調理するとき、調味液とともに材料の種類や重量に対応して最適な冷凍凍結した後、さらに材料の種類に応じた最適な加熱と冷却を組み合わせた調理を実現することにより、食品の成分溶出を促進した上で、食品内部への染み込みを十分に図ることができるので、食品以外の有機物や無機物の加熱や冷却の制御を実現する用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明実施の形態1、2の調理機器を示す図
【図2】本発明実施の形態1、2のコントロールパネルを示す図
【図3】本発明実施の形態1、2の調理工程図
【図4】本発明の実施の形態1,2の調理工程の温度変化を示すタイムチャート
【図5】豚バラ肉の赤身部分の凍結したときの組織を示す顕微鏡写真
【図6】豚バラ肉の脂身部分の凍結したときの組織を示す顕微鏡写真
【図7】本発明実施の形態1の豚バラ肉の脂身部分の組織を示す顕微鏡写真
【符号の説明】
【0081】
10 調理物
11 鍋
12 赤外線センサー
13 電気ヒーター
14,41 強制対流式蒸発器
15 調理室
16 送風機
17 ダンパーサーモ
18 モーター
19 吐出ダクト
20 吹き出し口
21 吸い込みダクト
22 コントロールパネル
23 メニュー選択キー
24 メニュー決定ボタン
25 メニュー表示パネル
26 開始ボタン
27 終了ランプ
28 加熱工程
29 沸騰維持工程
30 冷却工程
31 保温維持工程
32 冷凍工程
33 凍結維持工程
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地
【出願日】 平成16年3月29日(2004.3.29)
【代理人】 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄

【識別番号】100103355
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 智康

【識別番号】100109667
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 浩樹

【公開番号】 特開2005−278455(P2005−278455A)
【公開日】 平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願番号】 特願2004−95185(P2004−95185)