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【発明の名称】 穀類用ほぐれ向上剤および該ほぐれ向上剤を添加した穀類加工食品
【発明者】 【氏名】村上 敦也
【住所又は居所】東京都杉並区宮前1−16−24 株式会社武蔵野化学研究所東京研究所内

【氏名】谷口 正明
【住所又は居所】東京都中央区京橋1−1−1 株式会社武蔵野化学研究所内

【要約】 【課題】保存安定性に優れる穀類用ほぐれ向上剤および該ほぐれ向上剤を使用した穀類加工食品を提供する。

【解決手段】水溶性多糖類を主成分とする穀類用ほぐれ向上剤であって、水溶性多糖類、キレート剤および乳化剤とを含む、穀類用ほぐれ向上剤である。本発明によれば、水溶性多糖類の含有量が10〜40質量%と高濃度であるため、効率的なほぐれ向上剤効果を得ることができる。また、乳化剤としてモノカプリン酸グリセリンエステルを使用すると、抗菌性に優れ、二次汚染を効率的に防止できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性多糖類を主成分とする穀類用ほぐれ向上剤であって、水溶性多糖類、キレート剤および乳化剤とを含む、穀類用ほぐれ向上剤。
【請求項2】
上記水溶性多糖類の含有量が、10〜40質量%である、請求項1記載の穀類用ほぐれ向上剤。
【請求項3】
前記乳化剤が、モノカプリン酸グリセリンエステルである、請求項1または2記載の穀類用ほぐれ向上剤。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の穀類用ほぐれ向上剤を添加してなる穀類加工食品。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲル化を防止して保存安定性に優れる穀類用ほぐれ向上剤および該ほぐれ向上剤を使用した、保存性およびほぐれ性に優れる穀類加工食品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の加工技術、保存技術の進歩発展に伴い多種類のレトルト食品、冷蔵食品、調理麺類、ピラフ、チャーハンなどの加工食品や半加工食品が市場に流通している。これら穀類加工食品に要求される特性のひとつにほぐれ性がある。例えば、茹で麺をトレイに盛りつけると麺線表面のデンプン粒が露出し、麺線同士の強固な結着が生じるために食べにくく、味を損ねるばかりでなく外観上も商品価値を損ねる。このような穀類のほぐれ性を改良するものにほぐれ向上剤があり、水溶性多糖類を主成分とする液状タイプのものが多用されている。
【0003】
このようなほぐれ向上剤としては、水溶性ヘミセルロースからなる穀類加工食品用ほぐれ改良剤(特許文献1)や、プルランを使用してほぐしを促進する方法などがある(特許文献2)。
【特許文献1】特開平2−117353号公報
【特許文献2】特開昭53−72846号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなほぐれ向上剤に使用される水溶性ヘミセルロースなどを使用してほぐれ向上剤を調製するには、これらを水で希釈する必要がある。しかしながら、これらは水溶性の微粉末であるため水と接触させるといわゆるママコの状態になり、これを均一に分散溶解させることは困難な作業である。特に、ママコは強く攪拌しても短時間に均一に分散溶解させる事は難しく、このため製造所要時間が長くなる。
【0005】
また、商品として流通する製剤とするには微生物による汚染を防止する必要がある。一般には、高濃度製剤を調製することで自由水を減少させ、カビの増殖を防止する方法があるが、水溶性多糖類の場合にはこのような高濃度溶液を得ることは困難であり、また、ほぐれ向上剤として使用するには粘度が高くなりすぎ、実用的でない。また、微生物の増殖を抑制するために冷蔵保存を行うことも一般的であるが、水溶性多糖類はゲル化剤としても使用されるため、冷蔵保存時にゲル化しやすく、商品価値が損なわれる。特に、ゲル化は水溶性多糖類の濃度が濃い場合に発生しやすく、実際には、ゲル化防止の観点から水溶性多糖類の濃度が制限されているのが実態である。一方、ゲル化防止のために水溶性多糖類の濃度を下げたのでは、ほぐれ向上剤の性能が低下し、好ましくない。
【0006】
さらに、水溶性多糖類からなるほぐれ向上剤は、使用中や開封後の保存時に微生物の繁殖、とくにカビの発生がみられる場合がある。製造時の一次汚染防止対策としては、製造時の加熱充填や、有機酸及び有機酸塩の配合によるpH調整により最小限に抑えることが出来るが、開封後に空気中にあるカビがほぐれ向上剤に落下して発生する2次汚染や、秤量のためにほぐれ向上剤と秤量用器具などとが接触することで発生する2次汚染、このような2次汚染によるカビの発生に対しては、これまでに十分に有効な手段は提供されていなかった。
【0007】
かかる現状に鑑み、麺類の加工食品、半加工食品等においてほぐれ性に優れ、かつ使用が簡便であり、製剤としての安定性に優れ、かつ2次汚染後のカビの増殖を抑制しうる、新たな穀類用ほぐれ向上剤の開発が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、穀類用ほぐれ向上剤について詳細に検討した結果、水溶性多糖類の保存時に発生するゲル化の機序として、含まれる微量の金属が水溶性多糖類と結合することでゲル状物が発生しやすくなりかつゲル状物が安定化すること、このような金属と水溶性多糖類との結合を防止することでゲル化を防げること、およびキレート剤は水溶性多糖類と金属との結合を防止しうることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
更に、水溶性多糖類を溶解する際に乳化剤を配合すると、水溶性多糖類が高濃度の場合であってもママコの発生を効率的に抑制することができ、この結果、水溶性多糖類を高濃度に含有する穀類用ほぐれ向上剤を調製できることを見出した。しかも、キレート剤の配合によって水溶性多糖類溶液を高濃度に溶解してもゲル化を効率的に抑制することができる。
【0010】
加えて、乳化剤としてモノカプリン酸グリセリンエステルを使用すると、カビの増殖抑制効果が強いことを見出し、該乳化剤の使用により二次汚染によるカビの増殖も効率的に抑制できることを見出し、本発明を完成させた。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、キレート剤の配合によって、保存時に発生しやすかったゲル化を防止することができる。このゲル化を抑制したことにより、有効成分である水溶性多糖類の濃度を上げる事が出来るため、従来までの液状タイプのほぐれ向上剤に比べて、麺のほぐれ性やご飯の付着防止効果などの性能が向上する。
【0012】
また、本発明によれば、乳化剤の配合によって多糖類がママコ状態にならずに、短時間かつ容易に分散溶解させる事が出来るため、製造時における効率化が図れる。さらに、高濃度のほぐれ向上剤を効率的に調製することができ、二次汚染によるカビの増殖も効率的に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の第一は、水溶性多糖類を主成分とする穀類用ほぐれ向上剤であって、水溶性多糖類、キレート剤および乳化剤とを含む、穀類用ほぐれ向上剤である。
【0014】
本発明で好適に使用できる水溶性多糖類としては、従来から穀類用ほぐれ向上剤として使用されるものを広く使用することができる。このような水溶性多糖類としては、カラギーナン、グアガム、タマリンドガム、アラビアガム、ローカストビーンガム、タラガム、キサンタンガム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カードラン、プルラン、ペクチン、CMC、メチルセルロース、水溶性ヘミセルロース、寒天、ポリアクリル酸ナトリウム等がある。本発明では、ほぐれ性に優れる点で特にアラビアガム、ヘミセルロース、グアガム、プルランが好ましい。
【0015】
製剤中の水溶性多糖類の濃度は、10〜40質量%であることが好ましい。40質量%を超えると溶液の粘度が高くなるため、使用時の操作性が低下する場合がある。一方、10質量%を下回るとほぐれ効果が低下する場合がある。ただし、水溶性多糖類は、本来ゲル化剤としても使用できるため、経時的にゲル化が発生しやすく、このゲル化は高濃度の水溶性多糖類によって特に発生しやすい。従来は、保存時のゲル化を抑制する観点から、25質量%以上の製剤は市販されていなかった。しかしながら、本発明によればキレート剤の配合によってゲル化を効率的に防止できるため、25質量%以上のより高濃度の水溶性多糖類を含有させることができる。この結果、本発明における水溶性多糖類のより好ましい濃度は、25〜40質量%、より好ましくは30〜35質量%である。
【0016】
キレート剤としては、金属捕獲能を有するものを広く使用することができ、例えば、フィチン酸、リン酸、重合リン酸、重合リン酸ナトリウム、重合リン酸カリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、リンゴ酸、リンゴ酸ナトリウム、リンゴ酸カリウム、エチレンジアミン四酢酸二水素ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二水素カリウム、マロン酸、コハク酸、シュウ酸、グルコン酸、酒石酸等を使用することができる。これらのうち、その効果及び食品に添加する事を考慮して、クエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、リンゴ酸、リンゴ酸ナトリウム、リンゴ酸カリウムが特に好ましい。
【0017】
製剤中の含有量は、0.01〜50質量%、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜5%質量%である。0.01質量%を下回るとゲル化抑制効果が弱い場合があり、50質量%を超えると結晶が析出する場合がある。
【0018】
乳化剤は、水溶性多糖類の溶解性を向上するため、および消泡剤として添加される。好ましくは、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル等を好適に使用することができる。これらの乳化剤を構成する飽和脂肪酸としては、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸がある。
【0019】
製剤中の含有量は、0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜1質量%、より好ましくは0.03〜0.1質量%である。0.001質量%を下回ると乳化効果が低い場合があり、10質量%を超えると乳化剤自体が溶解せず、また脂肪酸エステル特有の臭気が問題となる場合がある。
【0020】
上記乳化剤の中でも、最も好ましくはモノカプリン酸グリセリンエステルである。少量で乳化効果が高く、かつカビ増殖抑制効果に優れることが判明したからである。従って、モノカプリン酸グリセリンエステルを配合する場合には、製剤中の含有量は、0.001〜1質量%、好ましくは0.03〜0.5質量%、より好ましくは0.05〜0.1質量%で十分である。
【0021】
本発明の穀類用ほぐれ向上剤には、更に保存性を高める目的としてソルビン酸、ソルビン酸カリウム、アルコール、グリシン、ポリリジン、プロタミンなどを、また味の改善を目的として、アミノ酸類(グリシン、アラニンなど)、糖類(ショ糖、グルコース等)等を、また、食物繊維としてのプルラン、水溶性デンプン、ガム類、また各種の酸特有の臭いを消すマスキングするための香料類、種子やこれらを焙煎したものからの抽出物等を、上記ほぐれ効果を損なわない範囲で配合してもよい。
【0022】
本発明の穀類用ほぐれ向上剤を調製するには、例えば上記乳化剤を溶解した水溶液に水溶性多糖類およびキレート剤を添加し、撹拌、分散させて調製することができる。製剤は、必要に応じてpH2〜10、好ましくは3〜7、より好ましくは4〜6に調整される。なお、得られた溶液を更にろ過等して固形分を分別してもよい。本発明の穀類用ほぐれ向上剤はこれを更に希釈して麺類の表面処理等に使用することができる。乳酸等の有機酸、有機酸塩をpH調整剤として配合することで、水溶性多糖類が安定して水溶液に分散されやすくなり、また食品に対する保湿性を高め、さらには製剤のみならず食品のpH調整効果を発揮することができる。
【0023】
本発明の穀類用ほぐれ向上剤は、食品に対して、練り込み、浸漬、噴霧のいずれの使用形態でも使用することができる。例えば、米に上記穀類用ほぐれ向上剤を添加して炊き上げると、ピラフやチャーハンに好適な米粒のほぐれ性に優れる米飯となる。また、麺生地の調製時に穀類用ほぐれ向上剤を添加すると、茹で上げ時にほぐれ性に優れる茹で麺となる。茹で麺には本発明の穀類用ほぐれ向上剤を浸漬させることもでき、さらに、茹で麺や炊飯に対して本発明の穀類用ほぐれ向上剤を噴霧してもよい。
【0024】
本発明の穀類用ほぐれ向上剤は、穀類に広く適用できる。本発明の穀類加工食品とは、穀類(米、そば、小麦、大麦、稗、粟等)を1次加工又は更に2次加工した食品のことをいう。1次加工食品としては、炊飯、生うどん、生そば、中華麺、パスタ、乾麺、インスタントラーメン等があり、2次加工食品としては一次加工食品を調味するしないに関わらず再調理した食品、例えば、ピラフ、チャーハン、茹で麺、蒸し麺、焼そば、うどん、そば、スパゲティー、インスタントラーメン、穀類加工食品に具材等を配した形でコンビニエンスストア等で販売される小分けそば、小分けうどん、カップうどん、鍋焼きうどんなどの弁当類がある。その他穀類加工食品であれば、家庭で調理されるものを始めその場で食べることを目的とする最終商品や食べる際に調理の必要な半製品等、常温、冷蔵、冷凍、氷温等の方法で市場に流通している各種の食品を含むものとする。
【0025】
添加量は、炊飯の際には穀類に対して0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜5質量%を添加する。この範囲で十分に、炊飯のほぐれ性が改善される。また、本発明の穀類用ほぐれ向上剤は、製麺する場合などに小麦粉等に添加して使用することができる。かかる場合は、粉体に対して0.01〜20質量%、より好ましくは0.1〜5質量%、特に好ましくは0.2〜2質量%で添加する。なお、本発明の穀類用ほぐれ向上剤の希釈水溶液を得た後に粉体に混練すれば、容易にドウを調製することができる。
【0026】
本発明の穀類用ほぐれ向上剤を穀類加工食品に対して使用する場合には、穀類加工食品に対して0.01〜5質量%、好ましくは0.1〜2質量%とする。この範囲で十分に穀類加工食品のほぐれ性が改善され、麺類においては麺線の結着がなく水分の流出がなく、優れた歩留まりが得られる。具体的な使用方法としては、本発明の穀類用ほぐれ向上剤を0.1〜90質量%、より好ましくは10〜80質量%、特に好ましくは30〜60質量%で溶解させ、これを用いて表面処理をすることが好ましい。この範囲で、優れたほぐれ性を発揮すると共に、有機酸または有機酸塩の種類によっては酸性側へのpH調整効果により日持ち向上が期待でき、さらにより濃度の低い状態で使用する場合も希釈性がよく、溶液の調製が容易だからである。
【0027】
穀類加工食品のほぐれ性の改良による効果としては、その食品を食べる際に食べ易いことである。また、美観にすぐれるため旨く感じられる。半調理品等において再加熱等の際に加熱ムラがなく、熱効率がよい為、短時間で最適の食品を得ることができる点があげられる。例えば、パラパラ感が要求されるピラフ、焼き飯、パエリアなどの炊飯類やこれらの冷凍食品に好適である。また、乾麺タイプのインスタントやきそば等においても、熱湯を注いだ後に容易に麺がほぐれる結果、少しの撹拌で麺がほぐれ麺線が切れにくく、麺線を損なうことがない。また、麺類に具材が添加されている例えば、冷やし中華そばや、焼そば、スパゲティー等においては、ソースや具材とを容易にまんべんなく混ぜることができ、食感に優れると共に食べやすく、調理性にも優れる。
【実施例】
【0028】
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は何ら本発明を制限するものではない。
【0029】
(実施例1〜11、比較例1〜5)
下記表1に示す組成でほぐれ向上剤を調製した。これをを5℃で保存し、1週間後、1ヶ月後、3ヶ月後、6ヶ月後、1年後の状態を観察し、ゲル化抑制を評価した。結果を表2に示す。なお、表1の50%乳酸ナトリウムと50%乳酸とは、水溶性多糖類の分散性向上のために添加したものである。
【0030】
表2に示すように、比較例1〜3のようにキレート剤を添加していない場合は、いずれも1週間後にゲル化してしまった。また、比較例4〜5から、アラニンやグリシンはキレート剤として知られているが、水溶性多糖類濃度が30質量%であると1週間後にゲル化が発生し、キレート効果が十分でなかった。
【0031】
一方、実施例においては、水溶性多糖類濃度が30質量%と高くてもゲル化を抑制できた。酸性ピロリン酸ナトリウム(実施例1)、酸性メタリン酸ナトリウム(実施例2)、フィチン酸(実施例3)は、1週間後まではゲル化せず、比較例5、6のアラニンやグリシンよりも高いゲル化防止能が認められた。特に、フィチン酸は、液体であるため取り扱いが容易である点で優れていた。また、実施例4〜11に示すように、クエン酸3ナトリウム、リンゴ酸2Na、EDTAを配合した場合は1年後でもゲル化しなかった。
【0032】
【表1】


【0033】
【表2】


【0034】
(実施例12〜28、比較例6)
アラビアガム20質量部、水溶性グアガム5質量部、水溶性ヘミセルロース5質量部、クエン酸・1水塩を1質量部、50%乳酸ナトリム26質量部、水43質量部をビーカーに計り取り、さらに表3に示す各乳化剤を所定量加え、25℃一定温度で攪拌を開始し、多糖類が均一に分散溶解するまでの時間を測定した。結果を表3に示す。
【0035】
表3に示すように、比較例6の乳化剤を添加しなかった場合には10時間でも一部のだまが溶けきらないで残存したが、乳化剤を添加した実施例12〜28においては、いずれも1時間以内に水溶性多糖類が完全に均一に分散溶解した。
【0036】
【表3】


【0037】
(実施例29〜44、比較例7)
(1)カビの胞子の分離
20%濃度のアラビアガム水溶液を調製し、これを開封放置して、故意にカビを自然繁殖させ、そのカビから胞子を回収した。
【0038】
(2)アラビアガム20質量部、水溶性グアガム5質量部、水溶性ヘミセルロース5質量部、クエン酸・1水塩を2質量部、50%乳酸ナトリム25質量部、水43質量部をビーカーに計り取り、これに表4に示す各乳化剤を所定量を表4に示す添加量で加え、完全に溶解させた。
【0039】
次に(2)で調製したほぐれ向上剤に(1)で示した分離カビの胞子を、ほぐれ向上剤1g当たり10個になるように接種し、25℃で保存した。接種後2週間、6ヶ月、1年のカビの発生を観察した。結果を表4に示す。
【0040】
表4に示すように、乳化剤を全く添加していない比較例7では1週間後にはカビが発生した。一方、乳化剤を添加した場合には、いずれもカビの発生防止に効果があった。特に、モノカプリン酸グリセリンエステルの場合は実施例41で示しているように、0.03質量%と低い濃度でも、1年後でもカビが発生せず特に有効であった。
【0041】
【表4】


【0042】
(実施例45)
表5に示す原料のうち、50%乳酸ナトリウム及びクエン酸3ナトリウム以外の全ての原料を攪拌機及び還流器を備え付けた丸底フラスコに仕込み、オイルバスを用いて加熱を開始した。次いで、液温が95℃になった時点から3時間、95℃に保持した。3時間後、50%乳酸ナトリム及びクエン酸3ナトリウムを所定量添加した。
【0043】
上記ほぐれ向上剤A〜Fを5℃で冷蔵保存し、ゲル化の状況を評価した。その結果、AとBのほぐれ向上剤は、1週間後にゲル化した。これらには、クエン酸やクエン酸3Naなどのキレート剤が配合されていないからである。一方、C〜Fのほぐれ向上剤は1年後でもゲル化が観察されなかった。
【0044】
【表5】


【0045】
(実施例46)
実施例45で調製したほぐれ向上剤A〜Fに、アラビアガムから分離したカビの胞子をほぐれ向上剤1g当たり10個になるように接種し、25℃で保存した。
【0046】
その結果、ほぐれ向上剤Aは2週間後にカビが発生した。これは乳化剤としてモノカプリン酸グリセリンエステルが配合されていないためと考えられる。また、ほぐれ向上剤B〜Fは1年後でもカビの発生が観察されなかった。
【0047】
(実施例47)
市販の生うどんを茹で、水流により十分に冷却した後に十分に水を切った。この茹で麺に対して、表5で記述した各ほぐれ向上剤B〜Fを表6に示す使用量になるように塗布した。ほぐれ向上剤を塗布した後の茹で麺をカップに一定量ずつ小分けし蓋をして10℃で保存した。24時間後、48時間後に、麺つゆ等はかけずにそのままの状態で、ほぐれ性について評価した。評価方法は、15人のパネラーによりテストし、ほぐれ性が良いか悪いかの2者択一として質問し、ほぐれが良いと回答した人数により、以下のように判断した。
【0048】
13〜15人:非常に良好、10〜12人:良好、7〜9人:やや良好、4〜6人:やや悪い、1〜3人:悪い、0人:非常に悪い
結果を表6に示す。表6より、ほぐれ向上剤Bではアラビアガムの濃度が10質量%と低いため、やや効果が低かった。また、ほぐれ向上剤Bはキレート剤であるクエン酸類が配合されておらず10質量%濃度でも冷蔵保存時にゲル化が起きた。一方、ほぐれ向上剤C〜Fは、キレート剤であるクエン酸類が配合されているため、水溶性多糖類の濃度が30%でもゲル化を生ずることなく、かつ24時間および48時間後のほぐれ性に優れた。
【0049】
【表6】


【0050】
(実施例48)
市販の生うどんを茹で、水流により十分に冷却した後に十分に水を切った。この茹で麺100gを表5の各ほぐれ向上剤B〜Fの2質量%水溶液に30秒間浸漬させた後、浸漬液を十分に切った。尚、ブランクでは浸漬処理は行わなかった。次に麺をプラスチックトレーに入れて密閉し、−25℃で急速冷凍し、そのまま冷凍保存した。1ヶ月後に、この冷凍ゆで麺を解凍すること無く、沸騰している水中に投入し、軽く箸で各攪拌しながら、麺のほぐれ性を評価した。また、麺線の状態も観察した。結果を表7に示す。
【0051】
なお、冷凍茹で麺のほぐれ性の評価は、以下に従った。
【0052】
×:沸騰水へ投入後、かなり時間が経っても(10分以上)、殆どほどけない。
【0053】
△:沸騰水へ投入後、ある程度時間を要しないと(1分以上)、ほどけない。
【0054】
○:沸騰水へ投入後、30秒以内には容易にほどける。
【0055】
【表7】


【0056】
(実施例49)
市販の無洗米3合に、表5で記述した各ほぐれ向上剤B〜Fの2質量%水溶液540mlを炊飯器に入れ炊飯した。炊飯をプラスチックトレーに盛り、蓋をして10℃で1日間保存した。1日後、電子レンジにかけたのち、割り箸を使用して炊飯のほぐれ性を評価した。結果を表8に示す。
【0057】
なお、ほぐれ性の評価は、以下に従った。
【0058】
×:ごはんが一塊りになっており、かなり、ほぐしにくい。
【0059】
△:やや、ほぐし易い。
【0060】
○:炊飯直後とほぼ同じ状態で、かなり、ほぐしやすい。
【0061】
【表8】


【0062】
(実施例50)
市販の無洗米3合、表5で記述した各ほぐれ向上剤B〜Fの2質量%水溶液540mlを炊飯器に入れ、ごはんを炊いた。炊きあがったごはんをプラスチックトレーに盛り、蓋をして10℃で1日間保存した。1日後、このごはんを油を引いたフライパンで炒めた後、茶碗に盛りラップをして3時間放置したのち、割り箸を使用して、炒めごはんのほぐれ性を評価した。結果を表9に示す。
【0063】
なお、ほぐれ性の評価は、以下に従った。
【0064】
×:ごはんが一塊りになっており、かなり、ほぐれにくい。
【0065】
△:やや、ほぐれやすい。
【0066】
○:炒めた直後とほぼ同じ状態で、かなり、ほぐれやすい。
【0067】
【表9】


【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明の穀類用ほぐれ向上剤は、従来よりも水溶性多糖類の濃度が高い製剤とすることができ、かつ二次汚染によるカビの増殖を効果的に抑制できる。また、該ほぐれ向上剤を使用した穀類加工食品はほぐれ性に優れ、有用である。
【出願人】 【識別番号】390022301
【氏名又は名称】株式会社武蔵野化学研究所
【住所又は居所】東京都中央区京橋1丁目1番1号
【出願日】 平成16年3月26日(2004.3.26)
【代理人】 【識別番号】100072349
【弁理士】
【氏名又は名称】八田 幹雄

【識別番号】100110995
【弁理士】
【氏名又は名称】奈良 泰男

【識別番号】100111464
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 悦子

【識別番号】100114649
【弁理士】
【氏名又は名称】宇谷 勝幸

【識別番号】100124615
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 敏史

【公開番号】 特開2005−278406(P2005−278406A)
【公開日】 平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願番号】 特願2004−92948(P2004−92948)