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【発明の名称】 魚肉練り製品の製造方法
【発明者】 【氏名】田中 利直

【氏名】外山 芳勝

【要約】 【課題】魚肉を用いた練り製品であり、食した際にあたかも魚を食べているかのように感ずることができる、これまでにない、全く新しい食感を得ることができる魚肉練り製品の製造方法を提供すること。

【解決手段】魚肉のすり身若しくは落とし身又はその両方を荒擂りし、この魚肉に塩分を加えて前記魚肉に対して2%(重量)未満の塩分濃度下の荒擂り魚肉とし、この低塩分の荒擂り魚肉とほぐし身状の魚肉とを混合し、加熱する魚肉練り製品の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚肉のすり身若しくは落とし身又はその両方を荒擂りし、この魚肉に塩分を加えて前記魚肉に対して2%(重量)未満の塩分濃度下の荒擂り魚肉とし、この低塩分の荒擂り魚肉とほぐし身状の魚肉とを混合し、加熱することを特徴とする魚肉練り製品の製造方法。
【請求項2】
魚肉のすり身若しくは落とし身又はその両方を荒擂りし、この荒擂り後に、前記荒擂りした魚肉にこの魚肉に対して2%(重量)未満となる塩分を加え、この低塩分の荒擂りした魚肉とほぐし身状の魚肉とを混合し、加熱することを特徴とする請求項1記載の魚肉練り製品の製造方法。
【請求項3】
前記荒擂りした魚肉に、前記ほぐし身状の魚肉を混合した後、そのまま長時間放置する坐り工程を行わずに、加熱することを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の魚肉練り製品の製造方法。
【請求項4】
前記荒擂りした若しくは荒擂りする魚肉に、食感を向上させ弾力の発生を抑制する液体原料を均一に含ませてペースト状とし、これにほぐし身状の魚肉を混合することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の魚肉練り製品の製造方法。
【請求項5】
前記荒擂りした若しくは荒擂りする魚肉に、塩分又は食味若しくは食感を向上させる塩分を有する調味材を加え、この調味料による塩分を含めても前記魚肉に対して塩分濃度が2%(重量)を超えないことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の魚肉練り製品の製造方法。
【請求項6】
前記荒擂りした魚肉と前記ほぐし身状の魚肉と混合し、これを成形して加熱し、このまま冷却若しくは放置することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の魚肉練り製品の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、魚肉練り製品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
魚肉を用いた練り製品として最も一般的な蒲鉾は、通常、以下のような製造工程により製造される。
【0003】
尚、図1は蒲鉾の製造工程を示すフローチャートである。
【0004】
先ず、原料となる冷凍状態(およそ−30℃)のスケトウダラの魚肉を解凍(およそ−3℃まで)する。
【0005】
この解凍した魚肉を粗擂りする。
【0006】
粗擂りした魚肉に2〜3%(重量)の食塩を加えて塩ずりする。これにより、魚肉中に含まれる塩溶性タンパク質が溶出し、この溶出した塩溶性タンパク質が重合することで、高い弾性を有する状態となる。尚、この状態の魚肉(塩ずりした魚肉)は、重合した塩溶性タンパク質によって、べとべととした状態となる。
【0007】
塩ずりした魚肉に、砂糖,調味料,澱粉,卵白,みりん等を加えて物性(弾力,歩留まり等)を調整する(本ずり)。
【0008】
本ずりした魚肉を成形する。
【0009】
成形した魚肉を10℃〜15℃で18時間〜20時間若しくは30℃〜40℃で60分間〜90分間放置する坐りを行う。この坐りの工程により、網状のタンパク質がゲル化し、ゲル強度(固さ)が増大する。
【0010】
坐りを行った魚肉を加熱する。この際、例えば前記魚肉を蒸煮すると、蒸し蒲鉾が形成される。
【0011】
加熱した魚肉を冷却し、包装して製品化する。
【0012】
上述のようにして、特有の弾力を有する蒲鉾が製造される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、蒲鉾は、前述のように、特有の大きな弾力を有する練り製品である。
【0014】
本発明は、魚肉を用いた練り製品であり、食した際にあたかも魚を食べているかのように感ずることができる、これまでにない、全く新しい食感を得ることができる魚肉練り製品の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0016】
魚肉のすり身若しくは落とし身又はその両方を荒擂りし、この魚肉に塩分を加えて前記魚肉に対して2%(重量)未満の塩分濃度下の荒擂り魚肉とし、この低塩分の荒擂り魚肉とほぐし身状の魚肉とを混合し、加熱することを特徴とする魚肉練り製品の製造方法に係るものである。
【0017】
また、魚肉のすり身若しくは落とし身又はその両方を荒擂りし、この荒擂り後に、前記荒擂りした魚肉にこの魚肉に対して2%(重量)未満となる塩分を加え、この低塩分の荒擂りした魚肉とほぐし身状の魚肉とを混合し、加熱することを特徴とする請求項1記載の魚肉練り製品の製造方法に係るものである。
【0018】
また、前記荒擂りした魚肉に、前記ほぐし身状の魚肉を混合した後、そのまま長時間放置する坐り工程を行わずに、加熱することを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の魚肉練り製品の製造方法に係るものである。
【0019】
また、前記荒擂りした若しくは荒擂りする魚肉に、食感を向上させ弾力の発生を抑制する液体原料を均一に含ませてペースト状とし、これにほぐし身状の魚肉を混合することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の魚肉練り製品の製造方法に係るものである。
【0020】
また、前記荒擂りした若しくは荒擂りする魚肉に、塩分又は食味若しくは食感を向上させる塩分を有する調味材を加え、この調味料による塩分を含めても前記魚肉に対して塩分濃度が2%(重量)を超えないことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の魚肉練り製品の製造方法に係るものである。
【0021】
また、前記荒擂りした魚肉と前記ほぐし身状の魚肉と混合し、これを成形して加熱し、このまま冷却若しくは放置することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の魚肉練り製品の製造方法に係るものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明は上述のようにするから、魚肉を用いた練り製品であり、食した際にあたかも魚を食べているかのように感ずることができる、これまでにない、全く新しい食感を得ることができる。
【0023】
即ち、本発明は、魚肉に含まれる塩溶性タンパク質による弾力の発生を抑えた状態で荒擂りした繊維質を認識し得る魚肉を形成し、この荒擂りした魚肉と、同じく魚肉の繊維質を認識できるほぐし身とを混合することで、加熱によってゲル状にならず、容易に崩れてほぐれることで、前記魚肉の繊維質の食感を得ることができる魚肉練り製品を形成することができる。
【0024】
つまり、本発明は、適度な粘り気を有する低塩分の荒擂り魚肉とほぐし身状の魚肉とを混合することで、魚肉を用いて所謂魚を形成できる画期的な魚肉練り製品の製造方法となる。
【0025】
また、請求項2記載の発明においては、魚肉に含まれる塩溶性タンパク質による弾性の発生を一層良好に抑制しつつ荒擂りをすることができるこれまでにない画期的な魚肉練り製品の製造方法となる。
【0026】
また、請求項3記載の発明においては、例えば魚肉を低塩分状態で荒擂りした際に、少量の塩溶性タンパク質が溶解したとしても、この塩溶性タンパク質が重合するなどしてゲル化する機会を与えず、これにより、より一層魚肉に弾性が生じることを抑制することができる魚肉練り製品の製造方法となる。
【0027】
また、請求項4記載の発明においては、前記魚肉に液体原料を均一に含ませることで、全体的に満遍なく食感を向上させることができ、また、全体的に満遍なく弾性の発生を良好に抑制することができる。
【0028】
また、前記魚肉に液体原料を含ませてペースト状にすることで非常に扱い易く、例えば、成形工程を容易に行うことができる画期的な魚肉練り製品の製造方法となる。
【0029】
また、請求項5記載の発明においては、弾力の発生を抑制しつつ、食味若しくは食感をより向上させることができる画期的な魚肉練り製品の製造方法となる。
【0030】
また、請求項6記載の発明においては、食した際にあたかも魚を食べているかのように感ずることができる、これまでにない、全く新しい食感を得ることができる魚肉練り製品を簡易に製造することができる画期的な魚肉練り製品の製造方法となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
好適と考える本発明の実施形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0032】
本発明は、魚肉のすり身若しくは落とし身又はその両方の荒擂りを、この魚肉に塩分を加えて前記魚肉に対して2%(重量)未満の塩分濃度下の荒擂り魚肉とすることで、魚肉中の塩溶性タンパク質の溶解を抑制した魚肉を形成できることとなる。
【0033】
即ち、魚肉の擂り工程を高塩分濃度状態(蒲鉾を製造する場合には、魚肉に対して2%(重量)〜3%(重量))で行うと、魚肉中の塩溶性タンパク質がその分多量に溶解し、この擂り工程を行った魚肉をそのまま所定時間放置する坐り工程を行うことで、前記溶解した塩溶性タンパク質が重合して弾性を有する状態となる。
【0034】
この点、本発明は、例えば蒲鉾を製造する際に行われる、魚肉に対して2%(重量)〜3%(重量)の塩分濃度下で前記魚肉を擂る所謂塩擂り工程を行わないことで、前記蒲鉾を製造する場合に必要とされる弾力を有しない状態にできることとなる。
【0035】
特に、魚肉を荒擂りした後に塩分を加える場合には、塩溶性タンパク質の溶解を抑制することができ、この荒擂りをした魚肉とほぐし身状の魚肉とを混合することで、蒲鉾が有するような弾力をほとんど有しない魚肉練り製品を製造できることとなる。
【0036】
また、低塩分の荒擂り魚肉は、魚肉の繊維質を有しつつ適度な粘り気を有する状態となる。
【0037】
また、ほぐし身状の魚肉は、擂り工程を行っていないことから魚肉の繊維質を認識することができる。
【0038】
即ち、本発明は、適度な粘り気を有し魚肉の繊維質を認識できる荒擂りした魚肉と、同じく魚肉の繊維質を認識できるほぐし身とを、魚肉の繊維質を切断しないように混合することで、魚肉の繊維質の食感を容易且つ確実に得ることができ、魚としての食感をより一層良好に得られる魚肉練り製品を形成できることとなる。
【0039】
従って、本発明は、荒擂りする魚肉若しくは荒擂りした魚肉中の塩溶性タンパク質の溶解を抑制してこの塩溶性タンパク質の重合を抑制することで、蒲鉾が有するような弾性の発生を極めて良好に抑制することができ、また、魚肉の繊維質の食感が得られ適度な粘性を有する低塩分の荒擂りした魚肉と、ほぐし身状の魚肉とを混合することで、あたかも魚を食しているかのような食感を得ることができる、全体が魚肉で形成された魚肉練り製品を製造することができる画期的な魚肉練り製品の製造方法となる。
【0040】
即ち、加熱することでゲル状にならず、容易にほぐれて崩れることで、魚肉の食感を良好に得ることができる画期的な魚肉練り製品の製造方法となる。
【0041】
また、例えば、前記荒擂りした魚肉に、前記ほぐし身状の魚肉を混合した後、そのまま長時間放置する坐り工程を行わずに加熱すれば、例えば魚肉を低塩分状態で荒擂りした際に、少量の塩溶性タンパク質が溶解したとしても、この塩溶性タンパク質が重合するなどしてゲル化する機会を与えず、これにより、より一層魚肉に弾性が生じることを抑制できることとなるなど、一層実用的となる。
【0042】
また、例えば、前記荒擂りした若しくは荒擂りする魚肉に、食感を向上させ弾力の発生を抑制する液体原料を均一に含ませてペースト状とし、これにほぐし身状の魚肉を混合すれば、荒擂りした魚肉とほぐし身状の魚肉とを混合して形成される魚肉練り製品の食感をより向上させることができると共に、弾性の発生をより良好に抑制できることとなる。
【0043】
即ち、前記魚肉に液体原料を均一に含ませることで、全体的に満遍なく食感を向上させることができ、また、全体的に満遍なく弾性の発生を良好に抑制できることとなる。
【0044】
また、前記魚肉に液体原料を含ませてペースト状にすることで非常に扱い易く、これにより、成形工程を容易に行えることとなる。
【0045】
例えば、液体原料として油を採用した場合には、明確な理由は不明であるが、塩溶性タンパク質の溶解や塩溶性タンパク質同志の結合を阻害することができ、これにより、塩溶性タンパク質が弾性を有する状態となることを抑制できることになり、よって、練り製品に弾性が付与されることを簡易に抑制できることとなるなど、一層実用的となる。
【0046】
また、例えば、前記荒擂りした若しくは荒擂りする魚肉に、塩分又は食味若しくは食感を向上させる塩分を有する調味材を、前記魚肉に対して2%(重量)を超えないように加えれば、弾性の発生を一層確実に抑制でき、また、食味若しくは食感をより向上させることができることとなるなど、一層実用的となる。
【0047】
また、例えば、前記荒擂りした魚肉と前記ほぐし身状の魚肉と混合し、これを成形して加熱し、このまま冷却若しくは放置することとすれば、食した際にあたかも魚を食べているかのように感ずることができる、これまでにない、全く新しい食感を得ることができる魚肉練り製品を簡易に製造できることとなる。
【実施例】
【0048】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0049】
本実施例は、食肉のすり身若しくは落とし身又はその両方を荒擂りし、前記荒擂り後に、この荒擂りした魚肉にこの魚肉に対して2%(重量)未満となる塩分を加え、この低塩分の荒擂りした魚肉とほぐし身状の魚肉とを混合し、加熱することで、食した際にあたかも魚を食しているかのような食感を得ることができる魚肉練り製品の製造方法に関するものである。
【0050】
尚、本実施例では、原料としてスケトウダラを採用している。しかしながら、本実施例の作用効果を発揮し得るものであれば、スケトウダラ以外にも適宜採用しても良い。
【0051】
また、図2は本実施例の魚肉練り製品の製造工程を示すフローチャートである。
【0052】
先ず、冷凍状態の魚肉のすり身,落とし身,フェレを解凍する。
【0053】
この解凍は、魚肉をカッター等の機械で加工できる状態となるまで行う。
【0054】
ここで、すり身とは、魚肉から水溶性成分を除去し、この水溶性成分を除去した魚肉を裏ごしして得られるものである。
【0055】
また、落とし身とは、魚肉から水溶性成分を除去せず、この水溶性成分を除去しない魚肉を裏ごしして得られるものである。
【0056】
次いで、解凍した魚肉のうち、すり身及び落とし身を荒擂りする。
【0057】
この荒擂りは、すり身及び落とし身を調味材を添加しない状態でカッターミキサーに入れ、撹拌することで行う。
【0058】
この荒擂りした魚肉は、弾力の発生を抑制しつつ形成されることから、魚肉の繊維質を認識することができる状態となる。
【0059】
次いで、荒擂りした魚肉に、食感を向上させ弾力の発生を抑制する液体原料を均一に含ませてペースト状とする。
【0060】
前記液体原料を均一に含ませた魚肉をペースト状とする際には、カッターミキサー等の機械を用いて撹拌してペースト状としても良いし、機械を用いずに撹拌を行ってペースト状としても良い。
【0061】
また、この際の撹拌は、荒擂りした魚肉に液体原料を均一に含ませてペースト状とするのに必要最低限の撹拌とすると良い。
【0062】
具体的には、液体原料としては、水若しくは油又はその両方を採用している。尚、本実施例の液体原料は水若しくは油に限られるものではなく、水若しくは油と同様な作用効果を発揮し得る液体原料であれば適宜採用しても良い。
【0063】
荒擂りした魚肉に、水若しくは油又はその両方を含ませるのは、前記荒擂りした魚肉に適度な粘り気を付与するためである。これにより、ほぐし身状の魚肉と混合することで、ぼそぼそとした食感となってしまうことを防止して、より一層良好な魚の食感を得ることができる画期的な魚肉練り製品の製造方法となる。
【0064】
また、液体原料を含ませた荒擂りした魚肉をペースト状とするのは、ほぐし身との混合を簡易に行えるようにするためである。即ち、これにより、荒擂りした魚肉とほぐし身状の魚肉とを容易に成形できることとなる。
【0065】
次いで、塩分又は食味若しくは食感を向上させる食塩を有する調味料若しくは澱粉等を加えて均一に馴染ませる。
【0066】
この調味材を加えて均一に馴染ませる際には、カッターミキサー等の機械を用いて撹拌することで馴染ませても良いし、機械を用いずに撹拌して馴染ませても良い。
【0067】
また、この際の撹拌は、調味材を均一に馴染ませるのに必要最低限の撹拌とする。
【0068】
これは、必要以上に撹拌することで、魚肉中の塩溶性タンパク質の溶解が促進されて弾性が発生してしまうことを防止するためである。
【0069】
即ち、本実施例では、荒擂りした魚肉に食塩を加えるが、この食塩の濃度は、前記魚肉に対して2%(重量)未満となるように加える。尚、この際、食塩の濃度を1%(重量)以下とするのが最も望ましい。
【0070】
食塩の濃度を前記2%(重量)未満とすることで、塩溶性タンパク質の溶出を極力抑制して弾性の発生を抑制しつつ、ぼそぼそしない、しっとりとした食感の魚肉練り製品を形成できることとなる。
【0071】
つまり、荒擂りした魚肉に食塩を加えるのは、味を調えることの他に、形成した魚肉練り製品にしっとりとした食感を付与するためである。
【0072】
本実施例において食塩を加えるのは、前述のように、味を調えるためとしっとりとした食感を得るためであり、蒲鉾を製造する場合に弾性を得るために行われる塩ずりとは異なるものである。
【0073】
次いで、ペースト状とした魚肉を、ほぐし身状の魚肉と混合する。
【0074】
ほぐし身状の魚肉として、前記解凍したフィレをミンチにしたり叩く等してほぐし身状にしたものを採用している。
【0075】
このほぐし身状の魚肉により、魚肉の繊維質の食感を得ることができる。
【0076】
これにより、適度な粘り気を有するペースト状の魚肉と、ほぐし身状の魚肉を混合することで、容易に成形可能で、且つ、容易に崩れほぐれる状態の魚肉練り製品を形成することができる。
【0077】
また、ペースト状とした魚肉とほぐし身状の魚肉との混合は、魚肉の繊維質を切断しないように互いの魚肉を撹拌することで行う。
【0078】
これにより、ペースト状の魚肉が有する繊維質の食感と、ほぐし身状の魚肉が有する繊維質の食感とが良好に得られる魚肉練り製品を製造できることとなる。
【0079】
次いで、前記混合した魚肉を裏ごしし、前記魚肉中に含まれる骨,鱗,スジ等を取り除き、成形する。
【0080】
この際の裏ごし度合いを調整することで、食感が微妙に異なる魚肉練り製品を形成できることとなる。
【0081】
次いで、成形した魚肉に坐り工程を施さず、前記魚肉を加熱し、その後、冷却若しくは放冷する。
【0082】
本実施例では、坐り工程を行わないことで、調味材として加えた食塩によって魚肉から塩溶性タンパク質をゲル化させる(即ち、弾力を生む)機会を与えず、これにより、魚肉が前記塩溶性タンパク質のゲル化によって弾力が生じることを一層抑制できることとなる。
【0083】
本実施例では、前記加熱をボイルにより行う。尚、ボイル以外でも、焙焼や油で揚げることで、加熱工程を行っても良い。
【0084】
放冷した魚肉を必要に応じて包装するなどして製品化する。
【0085】
以上のように、本実施例は、荒擂りした魚肉から塩溶性タンパク質が溶解すること、及び、溶解した塩溶性タンパク質がゲル化することを抑制し、適度な粘り気を有して弾性を有しない荒擂り等した魚肉と、ほぐし身状の魚肉とを混合して成形し加熱等することで、加熱凝固後に均一なゲル状にならず、容易にほぐれて魚の繊維質の食感を得ることができ、これにより、あたかも魚を食しているかのような魚肉練り製品を製造できる、これまでにない画期的な魚肉練り製品の製造方法となる。
【0086】
尚、本実施例では、魚肉のすり身及び落とし身を荒擂りすることとしたが、魚肉のすり身若しくは落とし身を単独で荒擂りして使用することとしても良い。
【0087】
また、本実施例では、荒擂りした魚肉に先ず液体原料を加え、次いで、調味材を加えることとしたが、この逆でも良いし、この液体原料と調味材とを荒擂りした魚肉に対して同時に加えてペースト状としても良い。
【0088】
また、本実施例では、荒擂りした後に液体原料等を加えることとしたが、荒擂りする際に、液体原料若しくは調味材を加えても良い。この場合には、塩溶性タンパク質の溶解若しくは溶解した塩溶性タンパク質のゲル化を極力抑えるために、必要最低限の擂りによって行うことが望ましい。
【0089】
また、本実施例では、ペースト状の魚肉と、ほぐし身状の魚肉とを混合してから裏ごしして、骨や鱗等を取り除くこととしたが、予めほぐし身状の魚肉を裏ごしして骨,鱗,スジ等を取り除いたものを、ペースト状の魚肉と混合しても良い。
【0090】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】従来例の蒲鉾の製造工程を示すフローチャートである。
【図2】本実施例の魚肉練り製品の製造工程を示すフローチャートである。
【出願人】 【識別番号】500155970
【氏名又は名称】株式会社タケショー
【出願日】 平成16年3月26日(2004.3.26)
【代理人】 【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛

【識別番号】100097065
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 雅栄

【公開番号】 特開2005−270057(P2005−270057A)
【公開日】 平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願番号】 特願2004−91798(P2004−91798)