| 【発明の名称】 |
カンキツ類の幼果を原料とする機能性成分含有食品素材およびその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】市ノ木山 浩道
【氏名】前川 哲男
【氏名】後藤 正和
【氏名】苅田 修一
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| 【要約】 |
【課題】カンキツ類の幼果を原料として、その機能性成分を安定保持しつつ、食感に優れかつ苦みを除去した食品素材およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明のカンキツ類の幼果を原料とする機能性成分含有食品素材の製造方法は、カンキツ類の幼果を粉砕する予備工程と、該粉砕物に苦み成分除去酵素および発酵微生物を添加して嫌気性発酵を行なう改質工程とを備えてなることを特徴とする。上記苦み成分除去酵素がナリンギナーゼであり、上記発酵微生物が乳酸菌であることを特徴とする。また、上記改質工程において、果皮質分解酵素を添加することを特徴とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 カンキツ類の幼果を粉砕する予備工程と、該粉砕物に苦み成分除去酵素および発酵微生物を添加して嫌気性発酵を行なう改質工程とを備えてなるカンキツ類の幼果を原料とする機能性成分含有食品素材の製造方法。 【請求項2】 前記苦み成分除去酵素がナリンギナーゼであることを特徴とする請求項1記載のカンキツ類の幼果を原料とする機能性成分含有食品素材の製造方法。 【請求項3】 前記発酵微生物が乳酸菌であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のカンキツ類の幼果を原料とする機能性成分含有食品素材の製造方法。 【請求項4】 前記改質工程において、果皮質分解酵素を添加することを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3記載のカンキツ類の幼果を原料とする機能性成分含有食品素材の製造方法。 【請求項5】 前記改質工程は、温度20℃〜40℃、pH 3.0 〜 6.0 の条件下で、10日〜30日間行なう工程であること特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項記載のカンキツ類の幼果を原料とする機能性成分含有食品素材の製造方法。 【請求項6】 カンキツ類の幼果を粉砕して得られた粉砕物に、苦み成分除去酵素および発酵微生物を添加して、これを嫌気性発酵させることにより得られることを特徴とするカンキツ類の幼果を原料とする機能性成分含有食品素材。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、機能性成分を含む食品素材およびその製造方法に関し、特にカンキツ類の幼果を原料とする食品素材および製造方法に関する。 【背景技術】 【0002】 高齢化社会となった近年、生活者の健康に対する関心は非常に高いものとなっている。カンキツ類等の果物はこれまで栄養食品として扱われることは少なかったが、カンキツ類に含まれる機能性成分の研究が進むにつれて、ガン抑制効果や老化防止効果など様々な健康食品としての効果が発見されてきている。健康増進効果のあるカンキツ類に含まれる機能性成分についてはカロチノイドであるβ−クリプトキサンチンやポリメトキシフラボンが関与しており幼果実に高濃度で存在することも知られている。 従来、カンキツ類の果皮や果実に含まれる香味や機能性成分を失うことなく、新しい食品ならびに化粧品素材として利用するものとして、カンキツ類の果皮に酵素を作用させ、その後酵母菌などにより発酵処理する食品素材の製造方法(特許文献1参照)などが開示されている。 【0003】 一方、上記カンキツ類の栽培では、生理的自然落果から収穫までの2〜3回にわたる摘果作業が重要な作業のひとつで、この合間、およそ新鮮幼果3トン(10アール当たり)を摘果すると推定される。近年において、輸入果実などによる生産者利益の逼迫、過重労務などの要因により、国内におけるカンキツ類の生産高が減少していることに鑑み、廃棄対象である上記摘果の利用価値を見出すため、その摘果中の機能性成分に着目した活用方法の開発とそのための研究が望まれている。 【0004】 しかしながら、成熟果の可食部分に比べて、カンキツ類の幼果や成熟果の果皮には、上述の多くの機能性成分が含まれているにも関わらず、摘果されたカンキツ類のうち、品種によってはナリンギンなどの苦み成分が多く含まれているためマーマレードやジャムなどの極一部が食品として利用されている以外はほとんど捨てられているのが現状である。 また、特許文献1のようにカンキツ類の果皮に対して酵素処理および発酵処理を行ない食品素材や化粧品素材を製造する方法はあるが、ナリンギンなどの苦み成分は除去されていないため機能性成分を多く含む食品としての利用方法は限られている。また、特許文献1では酵素処理後に発酵処理を行なうため2段階の処理工程が必要であり煩雑であるという問題がある。 【特許文献1】特開2000−245382号公報(段落[0006]〜段落[0008]) 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 本発明はこのような問題に対処するためになされたもので、カンキツ類の幼果を原料として、カンキツ類に含まれる機能性成分を安定保持しつつ、食感に優れかつ苦みを除去した食品素材およびその製造方法を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明のカンキツ類の幼果を原料とする機能性成分含有食品素材の製造方法は、カンキツ類の幼果を粉砕する予備工程と、該粉砕物に苦み成分除去酵素および発酵微生物を添加して嫌気性発酵を行なう改質工程とを備えてなることを特徴とする。 上記苦み成分除去酵素がナリンギナーゼであることを特徴とする。また、上記発酵微生物が乳酸菌であることを特徴とする。 また、上記改質工程において、果皮質分解酵素を添加することを特徴とする。 【0007】 本発明においてカンキツ類の幼果とは、開花後50日頃から生食が可能な成熟直前までの水分含量50重量%から75重量%程度の未熟果実で栽培上生食用果実の収穫のために不必要と判断されるものである。 【0008】 改質工程において、苦み成分除去酵素および発酵微生物を添加することにより、酵素処理および発酵処理を同時に行なうことができる。 特に、上記改質工程を温度20℃〜40℃、pH 3.0 〜 6.0 の条件下で、10日〜30日間行なうことにより、機能性成分を保持しつつ、苦みの除去および食感の改善を効果的に行なうことができる。 【0009】 本発明のカンキツ類の幼果を原料とする機能性成分含有食品素材は、カンキツの幼果を粉砕して得られた粉砕物に、苦み成分除去酵素および発酵微生物を添加して、これを嫌気性発酵させることにより得られることを特徴とする。 【発明の効果】 【0010】 本発明のカンキツ類の幼果を原料とする機能性成分含有食品素材の製造方法を用いることにより、カンキツ類の幼果を、機能性成分を保持し、かつ苦みをなくした食品素材とすることができる。また、該製造方法は、苦み成分の除去および発酵処理を同一工程で行なうので、苦みの除去および食感の改善が行なわれた食品素材を簡易に得ることができる。 本発明の機能性成分含有食品素材は、上記製造方法により得られた食品素材であるので、苦み成分を含まない甘味な素材であり、保存性、食味性、嗜好性などに優れるとともに健康増進効果を持つ機能性成分を有している。 【発明を実施するための最良の形態】 【0011】 本発明のカンキツ類の幼果を原料とする機能性成分含有食品素材の製造方法を図1を参照して説明する。図1は、該製造方法のフローチャート図である。 本発明は、採取、摘果したカンキツ類の幼果について粉砕するなどの予備処理を施した(予備工程1)後に、これに苦み成分除去酵素3および発酵微生物4、さらに必要に応じて果皮質分解酵素5を添加して発酵処理を行なう(改質工程2)ことで機能性成分含有食品素材を製造する方法である。 予備工程1は、カンキツ類の幼果を食品素材化するにあたり、上記各酵素処理および発酵処理の予備段階として行なう工程であり、その後の発酵処理などを円滑にするものである。具体的には、フードプロセッサーなどにより幼果を粉砕する工程である。なお、該工程において粉砕前にハンドミキサーなどにより搾汁し、果実・果皮と果汁とを分離しておくことが好ましい。また、果実・果皮と果汁との分離は、エクストルーダーで絞ることで行なってもよい。また、幼果の搾汁後の水分含量は75重量%以下が望ましい。 【0012】 改質工程2は、苦み成分除去酵素3および果皮質分解酵素5による酵素処理と、発酵微生物4による発酵処理とを同時に行なう工程である。 改質工程における酵素処置条件および発酵処理条件は、温度20℃〜40℃、pH3.0〜6.0で、10日〜30日間であり、好ましくは、温度25℃〜35℃、pH3.5〜5.5で、20日〜30日間である。嫌気性発酵について乳酸菌を用いる場合は、耐酸性の強い乳酸桿菌属等が望ましく、該乳酸菌の添加量は105 〜106 Colony forming unitとなるように添加する。該条件で行なうことにより、食品素材として利用する上で保存性、食味性、嗜好性などを十分に改善でき、かつ、フラボノイド類などの機能性成分が保持できる。フラボノイド類としては、ナツダイダイン、タンゲレチン、ノビレチン、ナリルチン、ヘスペリジンなどが挙げられる。 苦み成分除去酵素3は適性pHが3.0〜5.0であるため、同一工程で処理を行なうためにはpH3.0〜5.0で活性の期待できる乳酸菌を使用することが必要である。また、成分除去酵素3および果皮質分解酵素5の活性は処理温度が50℃以上で高まるが香気成分などの風味に関する物質は低温で処理する方が消失しにくいと推察されるため、低温処理の方が風味の点で有利となる。一方、温度条件を極端に下げると苦み成分除去酵素3および果皮質分解酵素5の活性が低下する。 本発明者らはこれらの知見および種々の検討に基づき、酵素の必要十分な活性が維持でき、かつ、乳酸発酵に適した条件として、上記温度、pHおよび処理時間条件を見出した。 【0013】 苦み成分除去酵素3は、ナリンギン、リモニンなどそのカンキツに含有される苦み成分を除去する酵素であり、具体的には、ナリンギナーゼ、ヘスペリジナーゼ、β−グルコシターゼなどの配糖体分解酵素が挙げられる。 発酵微生物4としては、乳酸菌、こうじかび、酵母菌などが挙げられる。食品素材の保存性、食味性、嗜好性などを改善でき、かつ発酵処理後も機能性成分を保持できることから乳酸菌を用いることが好ましい。 果皮質分解酵素5は、カンキツ類の幼果を食品素材化するにあたり、幼果において硬い部分であり食感を損なうおそれのある果皮質を分解させる酵素である。具体的には、ペクチナーゼ、ペクトリア−ゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、カルボヒドラーゼなどが挙げられる。 【実施例】 【0014】 実施例1および比較例1 収穫した幼果(品種「新甘夏」、8月摘果)を洗浄後、ハンドミキサーにより搾汁し、搾汁後の幼果をフードプロセッサーで粉砕した。この搾汁後の幼果全量に対して、発酵微生物として乳酸菌(桿菌(Lactobacillus(Lb)属))を0.2重量%、苦み成分除去酵素としてナリンギナーゼを0.03重量%、さらに糖蜜 3重量%、アスコルビン酸 0.1重量%を添加し、十分攪拌後ポリ瓶に詰め、30℃の恒温機に入れて23日間貯蔵し、嫌気性発酵を行ない機能性成分含有食品素材を得た。これを実施例1とした。 発酵処理後の苦み成分であるナリンギナーゼ、および機能性成分であるその他のフラボノイド類の含有量を測定した。結果を表1に示す。なお、比較例1として発酵前の同幼果に含まれるこれらの含有量を測定した。 測定は、得られた食品素材を凍結乾燥し、100mgをメタノール:ジメチルスルフォキサイド(1:1)1mlにて3回抽出し、これらを合せ5mlに定容し濾過後、高速液体クロマトグラフ分析試料として行なった。表中 n.dは上記測定条件で検出されなかったことを示す。 【0015】 【表1】
【0016】 表1に示すように、発酵後において、苦み成分であるナリンギンは消失していた。また、機能性成分であるナリルチン、ナツダイダイン、タンゲレチンは保持されていた。該結果より、本発明の製造方法では、カンキツの幼果に含まれる機能性成分は保持しつつ、苦み成分を除去できることが確認できた。 食味性・嗜好性については、うどん、ケーキ、クッキー、ゼリー等の製造時に得られた食品素材を食品全体に対して 10重量%〜20 重量%の割合で混合したものを作製して調理した。これをパネラー20人に試食してもらった結果、比較例1よりも、食後においてカンキツの風味が残るなどの好評価を得た。 また、該食品素材を凍結乾燥により乾燥させた後粉末化し、ジュース類に該全体に対して 5重量%の割合で配合したものもパネラー20人から比較例1よりも清涼感あふれるとして好評価を得た。 【0017】 実施例2〜実施例4、比較例2 収穫した幼果(品種「新甘夏」、8月摘果)を洗浄後、エクストルーダーを使用して果汁を絞り果皮部分と果汁とに分離した。果皮部分に、該全体量に対して乳酸菌 0.3重量%、グラニュー糖 3重量%、ナリンギナーゼ 0.1%、ペクチナーゼ 0.1%を添加し、嫌気発酵を行なった。乳酸菌は桿菌(Lactobacillus(Lb)属))を使用し、十分攪拌後ポリ瓶に詰め、20℃、30℃、40℃の恒温機に入れて20日間貯蔵した。これをそれぞれ実施例2、実施例3、実施例4とした。 発酵処理後の苦み成分であるナリンギナーゼ、および機能性成分であるその他のフラボノイド類の含有量、また処理後のpHを測定した。結果を表2に示す。なお、比較例2として無処理の同幼果(果皮)のpH、および含まれるこれらの含有量を測定した。 測定方法は実施例1と同様である。 【0018】 【表2】
【0019】 表2に示すように、処理後の食品素材のpHが、処理前の果皮のpHに比べて低くなっていることから乳酸発酵が行なわれたことが確認できた。また、各実施例において、ナリンギンはナリンギナーゼを添加することにより減少したが、貯蔵温度20℃ではその減少量が少なかった。 【産業上の利用可能性】 【0020】 本発明で得られた機能性成分含有食品素材は、ガン抑制効果や老化防止効果を有する機能性成分を含有しつつ、苦みのない食感に優れた食品素材であり、ペースト状、乾燥粉末状に加工することで種々の食品に添加して使用することができる。 【図面の簡単な説明】 【0021】 【図1】本発明の機能性成分含有食品素材の製造方法のフローチャート図である。 【符号の説明】 【0022】 1 予備工程 2 改質工程 3 苦み成分除去酵素 4 発酵微生物 5 果皮質分解酵素
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| 【出願人】 |
【識別番号】594156880 【氏名又は名称】三重県 【識別番号】802000042 【氏名又は名称】株式会社三重ティーエルオー
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| 【出願日】 |
平成16年3月25日(2004.3.25) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100100251 【弁理士】 【氏名又は名称】和気 操
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| 【公開番号】 |
特開2005−270026(P2005−270026A) |
| 【公開日】 |
平成17年10月6日(2005.10.6) |
| 【出願番号】 |
特願2004−90131(P2004−90131) |
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