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【発明の名称】 海苔微小片の接着方法およびこれによって得られた海苔フレーク
【発明者】 【氏名】熊谷 道正
【住所又は居所】東京都港区西新橋2丁目36番1号 株式会社永谷園内

【要約】 【課題】この発明は、海苔微小片を互いに接着して海苔の風味を損なわないで適宜なサイズの海苔フレーク状として、海苔微小片の取扱い性を向上させるとともに、従来廃棄していた海苔微小片を食品としての再利用してその有効利用を図り、さらに従来の屑海苔の海洋投棄や焼却などにともなう環境悪化の低減を図ろうとするものである。

【解決手段】海苔微小片にゼインおよび含水エタノールを必要な調味料とともに加えて混合し、これを乾燥してフレーク状とすることを特徴とする海苔微小片の接着方法である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海苔微小片にゼインおよび含水エタノールを必要な調味料とともに加えて混合し、これを乾燥してフレーク状とすることを特徴とする海苔微小片の接着方法。
【請求項2】
海苔微小片に含水エタノールに溶解したゼイン溶液を必要な調味料とともに加えて混合する請求項1記載の海苔微小片の接着方法。
【請求項3】
海苔微小片がゼインを介して接着しフレーク状となっていることを特徴とする海苔フレーク。
【請求項4】
前記請求項3の海苔フレークにさらに調味料粉末及び/又は可食性素材片が接着していることを特徴とする海苔フレーク。
【請求項5】
微小海苔片とゼインを予め混合し、これに含水エタノールと必要な調味料を添加して混合し乾燥することを特徴とする海苔フレークの製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、海苔微小片を接着して海苔フレークを得る方法および海苔フレークに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、海苔は、摘採した海苔葉体を抄いて乾燥した乾海苔や、この乾海苔を焙焼した焼海苔のように板状に成形するか、これらをさらに細かく裁断してもみ海苔の形態などに加工して流通するのが一般的である。また、その加工品としては、海苔表面に糖液を主体とする調味液をローラ等で塗布して乾燥させた味付海苔や、さらにその塗布面に可食素材の切片やゴマ等の穀物を付着させてシート状食品としたものがある。
【0003】
これらの海苔製品の中で、特に焼海苔の生産では板海苔が脆い性状を有しているために、その生産での各種処理やコンベアによる搬送工程で、板海苔の一部の破壊や板海苔を構成する海苔葉体の一部が剥離し、屑海苔と称する海苔微小片が非常に多量に発生する問題があった。一部が破損した板海苔は、きず海苔やもみ海苔などとして利用されているが、これから剥離した多量の微小片の屑海苔は、その大きさが5mm以下であり軽くて飛散しやすく、また静電気を帯びて付近に付着するなどして、これを再度ふりかけなどに利用することは難しく、これまではこれといった再利用の方法もなく廃棄或いは焼却処分されていた。
【0004】
生産加工で大量に発生する海苔微小片を何も利用することなく廃棄することはきわめて経済的でないばかりか、廃棄に伴う環境汚染を引き起こすのでその有効利用が以前から望まれていた。しかし、風味を維持しての海苔微小片の再利用は現実問題としてそう簡単でなくいまだに実現されていない。
【0005】
海苔フレークの製造に関する先行技術としては、例えば採取した海苔葉体を真水で洗浄した後、ほぐしを行ってからこれを棚網上に薄く展延し、熱風乾燥して未焙焼の原藻状乾燥海苔とし、これを高速ほぐし切断装置でばらばらにほぐすとともに任意の長短寸法でフレーク状に切断して遠赤外線で焙焼することが提案されている(特許文献1)。また、ゼラチン、水アメ、多糖類といった粘着物質を用いて基材の海苔にゴマを付着した海苔製品が提案され、その際に屑海苔が使用されることが開示されている(特許文献2)。
【0006】
また、干し海苔の表裏面にセラックを介して食用可能な粉末状もしくは顆粒状の可食粉体を付着することが提案されている(特許文献3)。また、板海苔に卵白と油脂からなる含水率50%以下の粘性混合液を接着剤として展着して各種の食品材料を付着させることも提案されている(特許文献4)。
【特許文献1】特開平5−184333号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】特開平10−28560号公報(特許請求の範囲1および6)
【特許文献3】特開2000−78728号公報(特許請求の範囲1および7)
【特許文献4】特公平4−9514号公報(特許請求の範囲1および2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のフレーク状焙焼海苔は、生の海苔葉体を用いてこれをフレークとするもので、乾海苔や焼海苔の微小片を用いるものでなく、またこれを前記微小片に適用しても海苔フレークとすることは出来るものではなかった。特許文献2の加工海苔製品は糖類の結着力を利用するもので、この場合はべたついた性状となって吸湿しやすいものである。従って、この方法では海苔微小片は塊状に固まり、分散混合、乾燥が困難になるとともに海苔の風味を失い、商品価値を失うことになっていた。特許文献3および特許文献4では、多糖類を用いる場合よりも微小片の塊状化は低減されるが、この場合も依然として乾燥が困難で、ここには海苔微小片を用いて海苔フレークとすることは開示がない。
【0008】
この発明は、海苔微小片を互いに接着して海苔の風味を損なわないで適宜なサイズの海苔フレーク状として、海苔微小片の取扱い性を向上させるとともに、従来廃棄していた海苔微小片を食品として再利用しその有効利用を図り、さらに従来の屑海苔の海洋投棄や焼却などにともなう環境悪化の低減を図ろうとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、海苔微小片にゼインおよび含水エタノールを必要な調味料とともに加えて混合し、これを乾燥してフレーク状とすることを特徴とする海苔微小片の接着方法(請求項1)、海苔微小片に含水エタノールに溶解したゼイン溶液を必要な調味料とともに加えて混合する請求項1記載の海苔微小片の接着方法(請求項2)、海苔微小片がゼインを介して接着しフレーク状となっていることを特徴とする海苔フレーク(請求項3)、前記請求項3の海苔フレークにさらに調味料粉末及び/又は可食性素材片が接着していることを特徴とする海苔フレーク(請求項4)および微小海苔片とゼインを予め混合し、これに含水エタノールと必要な調味料を添加して混合し乾燥することを特徴とする海苔フレークの製造方法(請求項5)である。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、海苔微小片とゼインと含水エタノールを混合して乾燥することで、海苔微小片の表面にゼイン溶液を付着させることができ、これを乾燥すると海苔微小片がゼインを介して接着し、適度の大きさのフレーク状となるものである。その場合に海苔が団塊となることもなく、べたつきや吸湿がなく取り扱い性にも優れたフレーク状海苔とすることができるものである。さらに、調味料や他の食品素材片を併用して使用することで、風味の向上とあいまって新たな海苔食品として好まれるものとなる。この発明は従来は廃棄または焼却されていた海苔微小片を用いるので、廃物の有効利用となるとともに、従来の廃物処理にともなう環境の悪化も回避されることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
この発明は、焼海苔の生産加工などで大量に発生する海苔微小片をトウモロコシたんぱく質であるゼインを介して接着させるものである。海苔微小片は、焼海苔の生産加工などで大量に発生するもので、従来は廃棄物として処理されてきたものも使用できる。この発明でいう海苔微小片とは、海苔加工品である摘採した海苔葉体を乾燥後に焙焼したいわゆる生海苔風海苔、板海苔、焼海苔、味付け海苔から得られる約5mm以下の乾燥または焙焼済みの海苔葉体または海苔小片をいう。通常は、焼海苔の生産での各種処理およびコンベアによる搬送処理などで大量に発生する屑海苔が用いられるが、この他に等級外の低品位の板海苔などを解砕機で意図的に微小片としたものも使用される。海苔微小片は、焼処理の有無を要せず用いることができ、焼処理が施されていないものを用いる場合は、フレーク化後に焼処理をする。
【0012】
ゼインはトウモロコシから抽出したたんぱく質で、アルコールに溶解するプロラミンの一種として知られている。このたんぱく質はアルコールに溶解し、無味無臭で被膜形成能力があってアルコール溶液を用いて薄く広げて乾燥すると透明な被膜を形成する。食品にあっては、現在コーティング剤として一部で使用されているものである。このゼインの特徴としては水不溶性があげられる。一たん形成されたゼイン被膜は耐水性被膜として機能する。従って、糖液や粘性物質を味付け海苔に適用した場合にみられるようなべた付きや吸湿性はない。
【0013】
本発明はゼインのこの被膜性に注目しその特性を利用したものである。このゼインをアルコールで溶解して海苔微小片に付着させ、次いでゼイン溶液を乾燥させる際に隣接する海苔微小片や調味料を接着させたままで乾燥させるものである。ゼイン溶液の溶解性はその溶媒の極性に左右され、この発明では含水エタノールを使用する。含水エタノールはゼインを十分に溶解させるが、海苔微小片と接触した際には海苔微小片が団塊化することがない。含水エタノールは、味付け用に加える水溶性の調味料がゼイン溶液になじむ程度の水分含量であることが必要で、こうした基準からエタノール濃度は80〜95重量%とする。
【0014】
ゼインの接着力は、ゼインの濃度に比例して向上する。過剰のゼイン使用は、得られた海苔フレークに硬い食感を与えることになる。逆に、ゼインが過小であると所望の接着力が得られないため、この発明では海苔に対しゼインの添加量を1〜20重量%、好ましくは2〜10重量%とする。海苔微小片に、ゼインと含水エタノールを添加混合する場合の含水エタノールの量は海苔微小片に十分に行き渡る量であればよく、通常、海苔微小片とほぼ同重量であれば十分である。
【0015】
海苔微小片にゼインと含水エタノールを添加してこれを混合する工程は任意でよく、これらが均一に接触する方法であればよい。例えば、ニーダに海苔微小片を入れ、これに含水エタノールにゼインを溶解したゼイン溶液を散布して混合撹拌する方法、予め海苔微小片とゼインを混合した後に、これに含水エタノール液を添加して混合撹拌する方法、さらには海苔微小片に含水エタノールを含ませ、次いでゼインを添加して混合撹拌する方法などのいずれでもよい。この混合では、海苔微小片に味付けの目的で食塩やグルタミン酸ナトリウム、粉末醤油、砂糖などの調味料や、さらに香辛料粉末を添加することができる。さらに進んで新規な食品を得るために、ビタミンやミネラルの粉末や魚肉、畜肉、穀物、植物種子、農産加工品、酪農加工品などの食品素材の乾燥小片を加えることもできる。
【0016】
次に、混合された海苔微小片とゼイン溶液および含水エタノールの混合物は、乾燥することで接着効果が発揮される。ここにおける乾燥は含水エタノールが除去できればよく乾燥方法は任意であり、ほぼ5%以下の含水量にすればよい。例えば、通風乾燥を用いた場合は海苔の品質劣化を起こさない30℃程度の比較的低温で乾燥することが好ましい。これによって最終的に海苔フレークが得られる。
【0017】
以上の操作で得られる海苔フレークは、海苔微小片の表面の少なくとも一部がゼインにより覆われ、このゼインを介して複数の海苔微小片が接着して不定形のフレークとなる。さらに、この海苔フレークは、必要に応じて調味料や可食性素材片が表面に接着するか、または海苔フレークの構成素材とすることも可能である。この新規な海苔フレークは、従来の糖液や粘性素材を用いた接着タイプのものにみられるべた付き、吸湿性などがないだけでなく、水分を極力使用しないために加熱乾燥による品質劣化などもなく、新たな商品形態となり得るものである。
【実施例】
【0018】
(実施例1)
14メッシュ(目開き1.18mm)の篩で全体量の89.3%通過する焼海苔の微小片20gにゼイン(「昭和ツェインDP」昭和産業(株)商品名)0.7g(対海苔微小片3.5重量%)を加えて予め混合し、さらにエタノール17.5gと水2.5gからなる含水エタノール20gを添加混合した。
【0019】
次に、この湿潤状態の海苔微小片をサラシに受け、30℃の通風乾燥機で30分間乾燥し海苔フレークを得た。この海苔フレークを14メッシュの篩で分級したところ、14メッシュ通過は全体の33.2重量%であり、処理前の89.3%重量%と比較して微小片のサイズアップが認められた。篩上の海苔フレークは複数の海苔微小片が接合した形状で、風味的にも元の焼海苔の香、味を有していた。
【0020】
(実施例2)
実施例1に記載の焼海苔の微小片20gと食塩2.4g、グルタミン酸ナトリウム0.8g、粉末醤油0.5g、入りゴマ1.0gを予め混合し、これにゼイン1.4g(対海苔微小片7重量%)をエタノール17.5gと水2.5gからなる含水エタノール20gに溶解させ添加混合した。この湿潤状態の海苔微小片を約60℃のホットプレート上に広げ、時々撹拌しながら乾燥した。得られた海苔フレークの14メッシュ通過量は全体重量の25%と微小片の量が低減されただけでなく、調味料とゴマを含んだ海苔食品の新形態として、味覚、外観ともに優れたものであった。
【出願人】 【識別番号】592061902
【氏名又は名称】株式会社永谷園
【住所又は居所】東京都港区西新橋2丁目36番1号
【出願日】 平成16年3月25日(2004.3.25)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦

【識別番号】100091351
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 哲

【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠

【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊

【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司

【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘

【識別番号】100084618
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 貞男

【識別番号】100092196
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 良郎

【公開番号】 特開2005−270024(P2005−270024A)
【公開日】 平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願番号】 特願2004−90024(P2004−90024)