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【発明の名称】 ゼリー菓子用ゲル化剤及びそれを用いたゼリー菓子の製造方法
【発明者】 【氏名】佐藤 綾乃
【住所又は居所】東京都中央区日本橋小伝馬町14−4岡谷ビル5階 ユニテックフーズ株式会社内

【氏名】杉林 ひろみ
【住所又は居所】東京都中央区日本橋小伝馬町14−4岡谷ビル5階 ユニテックフーズ株式会社内

【氏名】志賀 顯太郎
【住所又は居所】東京都中央区日本橋小伝馬町14−4岡谷ビル5階 ユニテックフーズ株式会社内

【要約】 【課題】原料中にゼラチンを添加せず、ゼラチンを添加して製したゼリー菓子と同等の弾力性や噛み応えを有するゼリー菓子を得ることができ、かつ、ゼラチンを添加したときと同等の充填時作業性を維持できるゲル化剤の提供。及び、ゼラチンを用いないで、ゼラチンを用いて製したゼリー菓子と同等の弾力性や噛み応えを有し、かつ、ゼラチンを添加したときと同等の充填時作業性を維持できるゼリー菓子の製造方法の提供。

【解決手段】カラギーナンとアラビアガムとキレート作用を有するポリリン酸塩、ピロリン酸塩、メタリン酸塩などの塩類とを組み合わせてなるゼリー菓子用ゲル化剤。ゼリー菓子の原料中に、このゼリー菓子用ゲル化剤を0.2〜10.0重量%添加して、ゼラチンを添加せずにゼリー菓子を製造する方法。特にグミゼリーの製造に好適である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラギーナンとアラビアガムとキレート作用を有する塩類とを組み合わせてなるゼリー菓子用ゲル化剤。
【請求項2】
アルカリ土類金属塩の含量が9000mg/100g以下であるカラギーナンを用いた請求項1に記載のゼリー菓子用ゲル化剤。
【請求項3】
キレート作用を有する塩類が、メタリン酸塩、ポリリン酸塩、ピロリン酸塩から選ばれる1種以上である請求項1又は2に記載のゼリー菓子用ゲル化剤。
【請求項4】
ゼリー菓子の原料中に、請求項1から3のいずれかに記載のゲル化剤を0.2〜10重量%添加して、ゼラチンを添加せずにゼリー菓子を製造する方法。
【請求項5】
ゼリー菓子の原料中に,カラギーナンとアラビアガムを合わせて0.2〜10重量%、キレート作用を有する塩類を0.01〜5重量%添加して、ゼラチンを添加せずにゼリー菓子を製造する方法。
【請求項6】
アルカリ土類金属塩の含量が9000mg/100g以下であるカラギーナンを用いる請求項5に記載のゼリー菓子の製造方法。
【請求項7】
キレート作用を有する塩類として、メタリン酸塩、ポリリン酸塩、ピロリン酸塩から選ばれる1種以上を用いる請求項5又は6に記載のゼリー菓子の製造方法。
【請求項8】
請求項3から7のいずれかに記載のゼリー菓子の製造方法を用いて、グミゼリーを製造する方法。























【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ゼリー菓子用ゲル化剤及びそれを用いたゼリー菓子の製造方法に関する。詳しくは、ゼラチンを用いないで、ゼラチンを添加したのと同等の弾力性や噛み応えと作業適性を有するゼリー菓子を製造できるゼリー菓子用ゲル化剤とそのゼリー菓子用ゲル化剤を用いて、ゼラチンを用いないで、ゼラチンを添加したのと同等の弾力性や噛み応えと作業適性を有するゼリー菓子を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゼリー菓子は、果汁や果実のピュレに砂糖や水飴などを加え、ペクチン、ゼラチン、寒天などのゲル化剤を添加して煮詰め、好みの形状に固めた弾力性を有する菓子の総称であり、グミゼリーやソフトゼリーなどを含む。従来のゼリー菓子の弾力性や噛み応えは、主としてゼラチンに起因する。例えば、グミゼリーのように、独特の噛み応えを有するゼリー菓子は、通常、砂糖や水飴を煮詰め、ゼラチン水溶液や香料などを添加して固める製法を採っている。
【0003】
また、ゼラチンは、室温以下に冷やすとゲル化するが、温水中では適切な粘度のゾル状態を呈するので、ゼラチンを配合したゼリー菓子原料液は、ゼリー型や容器などへの充填が容易である。すなわち、ゼラチンを加配した原料液は、充填時の作業性がきわめて良好であることが知られている。
【0004】
このように、ゼラチンは、ゼリー菓子の弾力性を形成すると共にゼリー菓子製造の作業性に影響を与える重要な原料である。しかし、ゼラチンは、動物の骨、皮、腱、靱帯などに由来する変性コラーゲンであるから、ゼラチンを原料に含むゼリー菓子は、動物性タンパク質に対してアレルギーを持つ人や宗教上の理由によって動物性食品を好まない人などには敬遠されている。
【0005】
本発明者らは、ゼラチンを使用しないで、弾力性を有するゼリー菓子を作る方法について研究を続け、ゲル化剤としてアラビアガムとカラギーナンを併用すると、ゼラチンを用いなくても、ほぼ満足できる噛み応えのゼリー菓子が得られると共に、原料液充填時の作業性を損なうおそれがないことを見出し、さらに研究を続け、漸くにして本発明を完成するに至った。
【0006】
グミゼリーなどの製法については多くの発明が特許出願されているが、その殆どは、原料中にゲル化剤としてゼラチンを配合する方法を採っている。すなわち、グミゼリーの製造において、ゼラチンを用いることなく、しかも、アラビアガムとカラギーナンを併用する製法については、どの文献にも未だ開示されていない。
【特許文献1】特表2002−507400号公報
【特許文献2】特開2000−166477号公報
【特許文献3】特開2004−65035号公報
【特許文献4】特開2001−178381号公報
【0007】
すなわち、特許文献1には、アラビアガム、カラギーナン、イナゴマメガム、グアールガム、ゼラチン及びこれらの混合物からなる群より選択される1つ又は複数の成分を含む食品等級のガム又はゼラチンを配合して咀嚼性ヌガー菓子製品を製造する方法について記載されている。しかし、この文献は、キャンディの一種であるヌガー製品を対象とするものであり、加えて、アラビアガムとカラギーナンの組み合わせがゼリー菓子の弾力性の形成や充填時の作業性に特異的な効果を奏するとか、ゼラチンの代替品として使用できることについては何ら開示されていない。また、特許文献2には、アラビアガム、ゼラチン、キサンタンガムのうちのいずれか1品、もしくはこれらの混合物をゲル化剤とするゼリー菓子の製造方法について記載されている。しかし、この文献には、カラギーナンを挙げておらず、加えて、アラビアガムとカラギーナンの組み合わせがゼリー菓子の弾力性の形成や充填時の作業性に特異的な効果を奏するとか、ゼラチンの代替品として使用できることについては何ら開示されていない。また、特許文献3には、アラビアガム、寒天、カラギーナン、ローカストビーンガム、グアーガム、タマリンド種子多糖類、カラヤガム、トラガントガム、キサンタンガム、プルラン、ジェランガム、カードカランなどのゲル化剤を添加して製したグミをソフトキャンディ生地に捻じり合わせたグミ入りソフトキャンディについて記載されている。しかし、この文献は、グミゼリーのゲル化剤として用いられる一般的な原料を列記したにすぎず、アラビアガムとカラギーナンの組み合わせがグミゼリーを含むゼリー菓子の弾力性の形成や充填時の作業性に特異的な効果を奏するとか、ゼラチンの代替品として使用できることについては何ら開示されていない。さらに、特許文献4には、ゼラチンを用いないで、サイリウムシードガムをゼリー化剤とすると共に、カラギーナン、アラビアガム、キサンタンガム、ペクチン、寒天など30種のガム質のうち1種以上を併用添加するグミ状ゼリー及びその製法について開示されている。しかし、この文献には、アラビアガムとカラギーナンの組み合わせがゼリー菓子の弾力性の形成や充填時の作業性に特異的な効果を奏するとか、ゼラチンの代替品として使用できることについては何ら開示されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の状況に鑑み、本発明は、原料中にゼラチンを添加せず、ゼラチンを添加して製したゼリー菓子と同等の弾力性や噛み応えを有するゼリー菓子を得ることができ、かつ、ゼラチンを添加したときと同等の充填時作業性を維持できるゲル化剤を提供することを第1の課題とする。また、本発明は、ゼラチンを用いないで、ゼラチンを用いて製したゼリー菓子と同等の弾力性や噛み応えを有し、かつ、ゼラチンを添加したときと同等の充填時作業性を維持できるゼリー菓子の製造方法を提供することを第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明のうち特許請求の範囲・請求項1に記載する発明は、カラギーナンとアラビアガムとキレート作用を有する塩類とを組み合わせてなるゼリー菓子用ゲル化剤である。
【0010】
また、同請求項2に記載する発明は、アルカリ土類金属塩の含量が9000mg/100g以下であるカラギーナンを用いた請求項1に記載のゼリー菓子用ゲル化剤である。
【0011】
同請求項3に記載する発明は、キレート作用を有する塩類が、メタリン酸塩、ポリリン酸塩、ピロリン酸塩から選ばれる1種以上である請求項1又は2に記載のゼリー菓子用ゲル化剤である。
【0012】
また、同請求項4に記載する発明は、ゼリー菓子の原料中に、請求項1から4のいずれかに記載のゼリー菓子用ゲル化剤を0.2〜10重量%添加して、ゼラチンを添加せずにゼリー菓子を製造する方法である。
【0013】
さらに、同請求項5に記載する発明は、ゼリー菓子の原料中に、カラギーナンとアラビアガムを合わせて0.2〜10重量%、キレート作用を有する塩類を0.01〜5重量%添加して、ゼラチンを添加せずにゼリー菓子を製造する方法である。
【0014】
さらに、同請求項6に記載する発明は、アルカリ土類金属塩の含量が9000mg/100g以下であるカラギーナンを用いる請求項5に記載のゼリー菓子の製造方法である。
【0015】
さらに、同請求項7に記載する発明は、キレート作用を有する塩類として、メタリン酸塩、ポリリン酸塩、ピロリン酸塩から選ばれる1種以上を用いる請求項5又は6に記載のゼリー菓子の製造方法である。
【0016】
さらに、同請求項8に記載する発明は、請求項4から7のいずれかに記載のゼリー菓子の製造方法を用いて、グミゼリーを製造する方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明のゼリー菓子用ゲル化剤は、これをゼリー菓子の原料中に添加すると、ゼラチンを添加しなくても、十分な弾力性や噛み応えを有するゼリー菓子を作ることができ、しかも、製造工程において充填時の作業性を損なうことがない。また、本発明のゼリー菓子の製造方法にしたがってゼリー菓子を作ると、ゼラチンを用いなくても十分な弾力性や噛み応えを有するゼリー菓子を作ることができ、しかも、製造工程において充填時の作業性を損なうことがない。そのため、本発明は、グミゼリーの製造に特に好適に用いることができる。また、本発明によれば、ゼラチンを配合したゼリー菓子を敬遠する人、例えば、動物性タンパク質に対してアレルギーを持つ人や宗教上の理由によって動物性食品を好まない人などに好適なゼリー菓子を製することができる。さらに、本発明によって作ったゼリー菓子は、喫食できる温度帯がきわめて広く、寒冷地でも固化せず、熱帯地方でも溶解しない。すなわち、本発明によって作ったゼリー菓子は、保存温度の高低や変化によって変質するおそれがないので、例えば、アイスクリームと組み合わせて用いることができる。よって、本発明は、グミゼリーをはじめとするゼリー菓子の用途や販路を従来よりも拡大できる。その上、本発明によれば、従来のゼラチンを用いたゼリー菓子よりも保存中の色調が変化しにくく、透明性に富み、かつ、フレーバリリースのすぐれたゼリー菓子を作ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明でいうゼリー菓子は、果汁や果実のピュレに、砂糖、水飴、糖アルコール、低甘味料、液糖、粉糖などの糖類を加え、ゲル化剤を添加して煮詰め、好みの形状に固めた弾力性を有する菓子の総称であり、グミゼリーをはじめ、ソフトゼリー、菓子ゼリーなどを含む。また、本発明でいうグミゼリーとは、糖度が高く、弾力性に富み、噛み応えがあって独特の食感を有する粒状のゼリー菓子のことである。
【0019】
本発明のゼリー菓子用ゲル化剤は、カラギーナンとアラビアガムとキレート作用を有する塩類とを組み合わせて構成する。また、本発明に係るゼリー菓子の製造方法は、原料中にゼラチンを添加することなく、カラギーナンとアラビアガムとキレート作用を有する塩類とを組み合わせたゲル化剤を添加することを必須とし、その他は、従来のゼリー菓子の製法を異なるところはない。これらの各原料は、食品用として市販されているものであれば、特に限定はない。
【0020】
本発明で用いるカラギーナンは、従来からゲル化剤の一つとして知られているが、単独使用で高粘度になりやすいため、ゼラチンと異なり、充填適性が著しく劣る。これは、カラギーナンに含まれているミネラル分(特にカリウム、カルシウム)の影響であると推察できる。よって、本発明では、ミネラル含有量の少ないカラギーナンを使用することが好ましい。具体的には、カリウムイオンやカルシウムイオンなどのアルカリ土類金属が9000mg/100g以下のものを使用することが好ましい。カラギーナンに含まれる金属塩が上記よりも多いと、溶液の粘度が高くなり過ぎて、製造時にゼリー型や容器への充填がしにくくなって、作業性を損ねやすい。また、カラギーナンの配合量を多くすると、弾力性は強くなっても粘度が上がるので、カラギーナンの添加量を抑える必要がある。そのため、アラビアガムを添加することによって、適度の弾力性と噛み応えを付与することができる。これは、アラビアガムの溶液粘度がガム類として非常に低く、カラギーナンと組み合わせても大幅な粘度上昇が生じないように抑えることができるからである。カラギーナンとアラビアガムの配合割合は、製するゼリー菓子の性状によって異なるので一概に決めることはできないが、例えば、グミゼリーについては、概ねカラギーナン2に対してアラビアガム1の重量割合とするのが好ましい。
【0021】
本発明において、キレート作用を有する塩類としては、特に限定はないが、ポリリン酸塩、ピロリン酸塩、メタリン酸塩などのリン酸塩の使用が好ましい。その他、グルコン酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、酢酸塩なども好適に使用できる。本発明のゲル化剤には、これらの塩類の1種又は2種以上を適宜に組み合わせて用いることでよい。なかでも、メタリン酸塩及び/又はピロリン酸塩を添加したゲル化剤を用いると、噛み応えや弾力性の点できわめて好ましいゼリー菓子を得ることができる。また、メタリン酸塩及び/又はポリリン酸塩を添加したゲル化剤を用いると充填時の作業性がきわめて良好となる。なお、本発明で用いるリン酸塩は、pH4.0におけるカルシウムイオン封鎖力が「1.0gCa/100g各種塩類」以上のものが好ましい。ちなみに、各リン酸塩のカルシウムイオン封鎖力は、ピロリン酸塩1.6、ポリリン酸塩4.4、メタリン酸塩24.2(gCa/100g)である。
【0022】
本発明のゼリー菓子用ゲル化剤は、ゼリー菓子の原料中に0.2〜10.0重量%、好ましくは1.4〜4重量%程度添加することが適切であるが、これに限定されるものではない。また、本発明のゼリー菓子の製造方法は、カラギーナンとアラビアガムを合わせて0.2〜10重量%、キレート作用を有する塩類を0.01〜5重量%添加することが好ましい。また、本発明に係るゼリー菓子には、上記ゲル化剤の他に、例えば、ビタミン、食物繊維、カルシウム、上記以外のゲル化剤、増粘剤、安定剤、香料などを添加して差し支えない。なお、本発明に係るゼリー菓子にはゼラチンを配合しないことは勿論である。
【0023】
本発明に係るゼリー菓子用ゲル化剤は、通常のゼリー菓子用ゲル化剤と同様、可溶性固形分が50〜95重量%でpHが3〜7に調製してあることが好ましい。
以下、試験例をもって本発明をさらに詳細に説明する。
【試験例1】
【0024】
<噛み応えと作業性の比較確認試験−1>
(1)試験方法
表1の配合表にしたがって7通りの配合のグミゼリーを試作した。これらのグミゼリー(対照区のグミゼリー及び試験区1〜試験区6のグミゼリー)を対象とし、熟練したパネラー10名によって以下の6項目について官能評価をおこない、表2の結果を得た。
試験項目
1.充填時作業性(95℃にてゼリー型へ充填するときの流し込みやすさ)
2.噛み応え(弾力性とゲル強度のバランス)
3.味覚(異味・嫌味の有無)
4.臭気(異臭の有無)
5.凍結時の固さ(−25℃におけるゲルの固さ)
6.色調(着色の有無)
なお、供試したグミゼリーは、クエン酸を除く全ての原料を混合して加熱し、溶解させた後、糖度の調製をおこない、クエン酸を添加して混合し、95℃で容器に充填し、乾燥させて製したものである。
(2)試験結果
試験結果は、表2に示すとおりである。
【0025】
【表1】


【0026】
【表2】


(注1)試験項目ごとの評価の説明
1.充填時作業性:◎=良好、○=普通、△=充填しにくい、×=充填不能
2.噛み応え:◎=良好、○=普通、△=やや悪い、×=悪い
3.味覚:◎=異味・嫌味なし、○=普通、△=異味少々、×=異味・嫌味が強い
4.臭気:◎=異臭なし、○=普通、△=異臭あり、×=異臭が強い
5.凍結時の固さ:◎=柔らかい、○=普通、△=やや固い、×=固くて噛み切れない 6.色調:◎=良好、○=普通、△=やや悪い、×=悪い
【0027】
(3)所見
表2から、試験区1(カラギーナン・アラビアガム・メタリン酸ソーダ添加区)のグミゼリーと試験区3(カラギーナン・アラビアガム添加区)のグミゼリーは、どちらも対照区(ゼラチン添加区)のグミゼリーに比べて、噛み応えの点で同等であり、試験区1・試験区3のグミゼリーの両方とも、好適な弾力性を有すると共に、味覚、臭気、凍結時の固さ、色調の点については、対照区のグミゼリーに比べてはるかに良好であるという結果が示された。また、試験区1(メタリン酸ソーダ添加区)のグミゼリーと試験区3(塩類無添加区)のグミゼリーを比較すると、試験区1のグミゼリーは充填時作業性(充填のしやすさ)の点で試験区3のグミゼリーよりもすぐれていることが理解できる。すなわち、本試験例によって、ゼリー原料にキレート作用を有する塩類を加配しないと充填時作業性が劣ることが確認された。また、試験区1(カラギーナン・アラビアガム・メタリン酸ソーダ添加区)のグミゼリーは、充填時作業性、噛み応え、味覚、臭気、凍結時の固さ、色調という全ての項目について最もすぐれているという結果が確認された。
【試験例2】
【0028】
<噛み応えと作業性の比較確認試験−2>
(1)試験方法
表3の配合表にしたがって6通りの配合のグミゼリーを試作した。これらのグミゼリー(対照区のグミゼリー及び試験区1〜試験区5のグミゼリー)を対象とし、熟練したパネラーにより以下の3項目について官能評価をおこない、表4の結果を得た。
試験項目
1.充填時作業性(95℃にてゼリー型へ充填するときの流し込みやすさ)
2.噛み応え(弾力性とゲル強度のバランス)
3.味覚:異味(嫌味の有無)
なお、供試したグミゼリーは、試験例1と同じ方法で製した。
(2)試験結果
試験結果は、表3に示すとおりである。
【0029】
(3)所見
表4から、試験区1(メタリン酸塩添加区)のグミゼリーと試験区3(ピロリン酸塩添加区)のグミゼリーは、どちらも、対照区(ゼラチン添加区)のグミゼリーに比べて噛み応えの点で同等であり、試験区1・試験区3とも好適な弾力性を有すると共に、味覚の点については、対照区のグミゼリーに比べて良好であるという結果が示された。また、試験区1(メタリン酸塩添加区)のグミゼリーと試験区3(ピロリン酸塩添加区)のグミゼリーを比較すると、試験区1のグミゼリーは、充填時作業性(充填のしやすさ)の点で試験区3のグミゼリーよりもすぐれていることが理解できる。また、試験区2(ポリリン酸塩添加区)のグミゼリーも、充填時作業性と味覚の点においてすぐれていることが理解される。すなわち、本試験例によって、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、ポリリン酸塩を添加したグミゼリーは、好適な味覚を有すると共に、噛み応えの点でもすぐれていることが確認された。
【0030】
【表3】


【0031】
【表4】


(注1)試験項目ごとの評価の説明
1.充填時作業性:◎=良好、○=普通、△=充填しにくい、×=充填不能
2.噛み応え:◎=良好、○=普通、△=やや悪い、×=悪い
3.味覚:◎=異味・嫌味なし、○=普通、△=異味少々、×=異味・嫌味が強い
【試験例3】
【0032】
<賞味可能温度帯確認試験>
(1)試験方法
試験例1の製法にしたがい、かつ、試験例2の対照区の配合と試験区1の配合でグミゼリーを試作し、そのゲル強度(破断時における最大荷重)を温度帯を変えて測定した。その結果を表5に示す。なお、ゲル強度の測定には以下の性能のゼリー強度計を用いた。
1.サンプル調整:樹脂製の容器(内径80mm)にグミゼリーを100g充填した。
2.サンプル高さ:30mm
3.プランジャー径:3mm
4.破断速度:5m/s
(2)試験結果
試験結果は、表5に示すとおりである。
【0033】
(3)所見
表5から、試験区1(カラギーナン・アラビアガム・メタリン酸ソーダ添加区)のグミゼリーと対照区(ゼラチン添加区)のグミゼリーは、0℃から20℃までの通常温度帯では、どちらも同等の噛み応えを有していることが理解できる。また、試験区1のグミゼリーは、−25℃から50℃までの試験温度帯において、固くなり過ぎることなく、また、柔らか過ぎることなく、適度の弾力性を有していることが理解できる。一方、対照区のグミゼリーは、−5℃で固化してしまい、また、50℃では溶解してしまう。よって、試験区1の配合によれば、ゼラチンを用いたグミゼリーよりも広い範囲の温度域でゲル強度のすぐれたグミゼリーを提供できることが確認された。
【0034】
【表5】


(注1)*1:機器の測定限界を越えるほど固かった。
*2:ゼリーが溶解したため
【試験例4】
【0035】
<保存中の着色の程度確認試験>
(1)試験方法
試験例1の製法にしたがい、かつ、試験例2の対照区(ゼラチン添加区)の配合と試験区1(本発明区)の配合でグミゼリーを試作し、ポリエチレン・アルミの2層包材にて密封し、室温40℃で保存してグミゼリー表面の色調の変化を観測した。その結果を表6に示す。なお、表6の数値は、試作したグミゼリーの色調の変化を赤色の指標であるa値について保存開始日の色調を基準として測定し、%で評価したものである。
(2)試験結果
試験結果は、表6に示すとおりである。
【0036】
【表6】


(3)所見
表6から、保存期間の経過と共に対照区(ゼラチン添加区)のグミゼリーは、徐々に茶色く変色して行った。一方、本発明区(カラギーナン・アラビアガム併用区)のグミゼリーは、3カ月間保存しても、視覚的に識別できるほどの色調の変化は観測されなかった。この結果から、本発明の方法で製したグミゼリーは、ゼラチンを添加して製したグミゼリーに比べて、長期保存しても色調が変化しにくいことが確認された。
【試験例5】
【0037】
<透明性の確認試験>
(1)試験方法
試験例1の製法にしたがい、かつ、試験例2の対照区(ゼラチン添加区)の配合と試験区1(本発明区)の配合でグミゼリーを試作し、光の透過率を測定した。その結果を表7に示す。表7の数値は、500nmの特定波長の透過光を測定し、初期値に対する透過光の変化を%で表したものである。
【0038】
【表7】


(3)所見
表7から、対照区(ゼラチン添加区)のグミゼリーは、透過率が低く、このことから、ゲルが濁っていることが確認された。一方、本発明区(カラギーナン・アラビアガム併用区)のグミゼリーは、非常に透明性が高いことが確認された。この結果から、本発明の方法で製したグミゼリーは、ゼラチンを添加して製したグミゼリーに比べて、透明性が高いことが確認された。
【試験例6】
【0039】
<フレーバリリース確認試験>
(1)試験方法
試験例1の製法にしたがい、かつ、試験例2の対照区(ゼラチン添加区)の配合と試験区1(本発明区)の配合に、それぞれ0.01%(識別できる最小量)のリンゴ香料を加えてグミゼリーを試作し、リンゴ香料の香りを識別できるか否か、熟練したパネラー17名によって官能検査(3点識別法)をおこなった。その結果を表8に示す。
【0040】
【表8】


(3)所見
表8から、対照区(ゼラチン添加区)のグミゼリーは、ゼラチン特有の匂いが邪魔をして香料の香りを識別できなかったものと考えられる。すなわち、ゼラチン添加区のグミゼリーは、もっと多量の香料が必要になると考えられる。一方、本発明区(カラギーナン・アラビアガム併用区)のグミゼリーは、微妙な香りを識別できることが確認された。これは、本発明のグミゼリーにゲル化剤に特有の匂いがないので、香りの邪魔をしないためであると考えられる。
【実施例1】
【0041】
<グミゼリーの製造例>
アラビアガム粉末0.8g、カラギーナン粉末1.55g、メタリン酸ナトリウム粉末0.15gを混合して粉末状のゲル化剤を作り、このゲル化剤の全量(2.5g)を水あめ20gに分散させた。この分散液に清水15gを加え、100℃で10分ほど加熱して溶解させた。この溶液に砂糖33gと水あめ30gを加え、再度加熱して十分に溶解させた後、別に溶解しておいたクエン酸0.5gとリンゴ果汁10gを加え、少量の香料を添加して、糖度90、pH4.1のゼリー溶液に仕上げた。このゼリー溶液を温度が下がりすぎないように注意しながら所定のゼリー型に各5gづつ充填した。充填後、常温で一晩静置して乾固させ、型から抜き出してグミゼリーとして製了した。
この製法によって、すぐれた弾力性と独特の噛み応えを有するゲル強度1080gのグミゼリー20個を得ることができた。
【実施例2】
【0042】
<グミゼリー包皮アイスキャンディの製造例>
牛乳350gと脂肪分50%の生クリーム50gを混合し、90℃まで加熱した。別に卵黄120gと砂糖50gを混合して十分に攪拌し、30%までオーバーランさせた。この卵黄液70gを牛乳・クリーム混合液に加え、再度攪拌しながら80℃まで加熱した。適度なとろみが生じた状態で加熱を止め、凍結した。この凍結品を粉砕し、所定の型に流し込み、再度品温−30℃まで冷却してアイスキャンディを作った。
このアイスキャンディを、実施例1の製法で作って95℃に保温してあるゼリー溶液沖中に手早く漬け込み、表面にグミゼリーが付着した状態で引き上げて再度凍結した。
この製法によって、グミゼリーの包で皮んだアイスキャンディが得られた。このグミゼリー包皮アイスキャンディは、グミゼリーの餅様の食感がアイスキャンディの固さをやわらげて、普通のアイスキャンディよりも食べやすい冷菓であった。
【0043】
以上詳細に説明するとおり、本発明のゼリー菓子用ゲル化剤は、これをゼリー菓子の原料中に添加すると、ゼラチンを添加しなくても、十分な弾力性や噛み応えを有するゼリー菓子を作ることができ、しかも、製造工程において充填時の作業性を損なうことがない。また、本発明のゼリー菓子の製造方法にしたがってゼリー菓子を作ると、ゼラチンを用いなくても十分な弾力性や噛み応えを有するゼリー菓子を作ることができ、しかも、製造工程において充填時の作業性を損なうことがない。そのため、本発明は、グミゼリーの製造に特に好適に用いることができる。また、本発明によれば、ゼラチンを配合したゼリー菓子を敬遠する人、例えば、動物性タンパク質に対してアレルギーを持つ人や宗教上の理由によって動物性食品を好まない人などに好適なゼリー菓子を作ることができる。その上、本発明は、ゼラチンを用いて製したゼリー状菓子よりも保存中の色調が変化しにくく、透明性に富み、かつフレーバリリースのすぐれたゼリー菓子を作ることができる。さらに、本発明によって作ったゼリー菓子は、喫食できる温度帯がきわめて広く、寒冷地でも固化せず、熱帯地方でも溶解しない。よって、本発明によって製したゼリー菓子は、例えば、アイスクリームと組み合わせて用いることができるなど、グミゼリーをはじめとするゼリー菓子の用途や販路を従来よりも拡大できるので、本発明は、菓子業界に大きく貢献できるものである。
【出願人】 【識別番号】502157084
【氏名又は名称】ユニテックフーズ株式会社
【住所又は居所】東京都中央区日本橋小伝馬町14―4 岡谷ビル
【出願日】 平成16年3月25日(2004.3.25)
【代理人】 【識別番号】100090941
【弁理士】
【氏名又は名称】藤野 清也

【識別番号】100076244
【弁理士】
【氏名又は名称】藤野 清規

【識別番号】100113837
【弁理士】
【氏名又は名称】吉見 京子

【識別番号】100127421
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 さなえ

【公開番号】 特開2005−269995(P2005−269995A)
【公開日】 平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願番号】 特願2004−88541(P2004−88541)