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【発明の名称】 米加工食品の製造方法および米加工食品用香味改良剤
【発明者】 【氏名】矢嶋 瑞夫
【住所又は居所】東京都中央区日本橋小伝馬町20番3号 アサマ化成株式会社内

【氏名】野▲崎▼ 一彦
【住所又は居所】東京都中央区日本橋小伝馬町20番3号 アサマ化成株式会社内

【要約】 【課題】鮮度の低下した米から発生する不快臭を低減し、風味のよい米飯、米菓等の米加工食品を提供すること。

【解決手段】ホップ抽出物を米飯の調理時、米菓の製造工程で、原料米1kgに対して、1〜200mg添加して炊飯または製造する米加工食品の製造方法およびホップ抽出物を有効成分として含有する米加工食品の香味改良剤。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホップ抽出物を添加する米加工食品の製造方法。
【請求項2】
ホップ抽出物の添加量が原料米類1kgに対し、総ポリフェノール量として1〜200mgである請求項1記載の米加工食品の製造方法。
【請求項3】
ホップ抽出物を有効成分とする米加工食品用香味改良剤。
【請求項4】
前記米が古米である請求項3に記載の米加工食品用香味改良剤。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、米加工食品の製造方法および香味改良剤に関する。さらに詳しくは、本発明は、米特有の不快臭、特に米の貯蔵中に発生する不快臭の改善された米加工食品の製造方法および不快臭を低減させる香味改良剤に関する。
【背景技術】
【0002】
白米は、精米直後から急激に鮮度低下をおこし、米糠臭を発生しやすいことが知られている。また長期間貯蔵された古米や古古米には特有の不快臭が発生し、外国産米には特異な臭気があることが一般的に認められている。これらの米糠臭や不快臭といわれるものの原因物質には、玄米中の果皮、種皮、糊粉層および胚芽部分すなわち精米した場合の米糠の成分にあたる部分に含まれる不飽和脂肪酸が酸化されて発生する揮発性アルデヒド(プロパナール、ブタナール、ヘキサナールなど)や硫黄を含む成分などが関与しているといわれている。
【0003】
そして従来から、炊飯米の風味、食味などの品質を改良するために、多くの炊飯法が開発されている。例えば、炊飯用米の浸漬時にリパーゼ剤を添加すること(特開昭57−118762号)、米麹を米に添加して炊飯すること(特開昭60−164446号)、米飯中にマルトシルサイクロデキストリンを含有させること(特開昭63−267246号)などである。
【0004】
しかし、これらの方法で調理しても、鮮度の低下した白米の米糠臭や、長期間貯蔵されている貯蔵米の古米臭、また外国産米の持つ特異臭を十分に低下させることはできなかった。このため鮮度の低下した白米や、貯蔵米、外国産米を使用して、十分な品質を有する米飯製品を製造するのは困難であった。
【0005】
また米菓、味噌、日本酒やビールの製造には、屑米が利用されているが、原料屑米の貯蔵期間が長い場合には古米臭が発生して、製品の品質が低下するという問題があった。そこで、価格が安い、長期貯蔵米や外国産米を使用して品質の良い米飯製品を製造し、また貯蔵期間の長い屑米を用いて品質を低下させることなく米菓など各種食品を製造できる方法が望まれていた。
【0006】
一方、本発明者らは、先に、食品用保存剤としてホップ抽出物を提案した(特開平6−98738号公報)。このホップ抽出物は苦味があり、添加できる量に制限があったことから他の抗菌剤と併用して使用した。次に苦味を有しないホップ毬花成分であるキサントフモールを使用する食品用保存剤を開発した(特開2002−51757公報)。
【特許文献1】特開昭57−118762号公報
【特許文献2】特開昭60−164446号公報
【特許文献3】特開昭63−267246号公報
【特許文献4】特開平6−98738号公報
【特許文献5】特開2002−51757号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、米特有の特異臭、特に米の貯蔵中に発生する不快臭の低減された米加工食品の製造方法および香味改良剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは前記ホップ抽出物に関する一連の研究のなかで、先に提案したホップ抽出物は呈味性に問題があるが、低濃度で用いると、苦味は感じられなくなり、同時に食品の香りや味を矯正する作用のあること、および、米加工食品、特に古米利用食品を選び、これに添加すると、米の風味(特有の香りや味わい)を向上させる作用を最も効果的に発揮できることを見出し、本発明に到達した。
【0009】
すなわち、様々な食品の不快臭除去や味の向上にホップ抽出物の利用を検討した中で、鮮度の低下した白米にホップ抽出物を微量添加して炊飯した白飯が非常に美味しくなることを見出した。この美味しさはホップ抽出物の有する、米糠臭または古米特有の不快臭を低減する作用に起因することを見出し、本発明に到達したものである。
【0010】
本発明は、ホップ抽出物を添加する米加工食品の製造方法を提供するものである。ホップ抽出物の添加量は、原料米類重量1kgに対して総ポリフェノール量として1〜200mgとすることが好ましい。本発明はまた、ホップ抽出物を有効成分とする米加工食品用香味改良剤を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、調理時に添加するだけで、米の貯蔵中に発生する特有の不快臭、米糠臭を低減し、味わいを向上させることができるので、簡便に高品質の米加工食品を製造することができる。本発明は、古米、古古米に適用したときに、その香味、風味の改良に特に効果的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に用いるホップ抽出物は、特開平6−98738号公報に記載されたホップ抽出物を使用することができる。すなわち、ホップ(Humulus luplus L.)の毬花から冷水、熱水あるいはアルコール、エーテル、アセトン、ヘキサン等の有機溶媒あるいは水酸化アルカリ、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、リン酸ナトリウムなどのアルカリ性水溶液で抽出した抽出物を用いることができる。このホップは、雌雄異株のクワ科に属する植物であり、雌株のみが栽培されている。用いられる毬花の形や大きさ、数などは品種によって異なるが、本発明に用いられる抽出物を抽出するホップとしてはいずれの品種も用いることができる。また近年ではホップ毬花を低温下で粉砕後、小指の先ほどの大きさに形成したペレットの形のものがあるが、これから抽出してもよい。
【0013】
そして、本発明に用いられるホップ抽出物には、前記溶媒を用いて抽出されたフムロン類やキサントフモールなどのカルコン類、フラボノイド類を含む様々なポリフェノール類を含有する画分の全てをいい、いかなる方法を用いて抽出したものでも使用できる。
【0014】
本発明において、ホップ抽出物は前記抽出物を、通常、乾燥し、粉末化して用いるが、抽出方法、例えば、エタノールで抽出した抽出液は、そのまま用いることもできる。
【0015】
本発明において、ホップ抽出物の添加量は、原料米類重量に対して、総ポリフェノール量として1〜200mg/kgが好ましく、さらに好ましくは5〜100mg/kg、特に好ましくは5〜50mg/kgである。添加量が1mg/kg未満では香味改良に不十分であり、一方、200mg/kgを超えるとホップの苦味が感じられるようになり、好ましくない。総ポリフェノール量は、Singlton & Rossiの方法により測定される。ホップ抽出物の添加方法は、例えば、炊飯または蒸す際の浸漬水に添加するなど、米飯の調理時または米菓、パン等の製造工程において添加すればよい。
【0016】
ホップ抽出物を浸漬水に添加する形態は、粉末のまま、エタノール等の各種溶媒に溶解したもの、あるいは分散性を高める意味で各種乳化剤とともに添加することができる。このときに用いる乳化剤は、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン、ポリソルべートなどが挙げられる。これらの乳化剤は食品添加物グレードであればいずれも使用できる。
【0017】
本発明において、米加工食品としては、米飯、例えば、冷凍米飯、加圧・加熱殺菌米飯、および弁当に用いる炊飯した白飯や炊き込みご飯、ピラフ、チャーハンとそれらより成るおにぎりなどの惣菜米飯、おかゆを包含する米飯が挙げられる。また、米または米粉を原料として蒸す、焼く、揚げる等の加工を施した団子、パン、例えば、せんべい、あられ等の米菓も含まれる。これらの米加工食品はその原料である米が古米、古古米等の鮮度の低下した貯蔵期間を経た米から製造される加工食品の香味改良に特に効果的である。
【実施例】
【0018】
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これにより本発明の範囲を制限するものではない。なお、実施例中、「部」は重量部である。
【0019】
[参考例1]
ホップ(Taurus種)の毬花1部に対して、50%エタノール8部の割合で1晩、室温(約20℃)で攪拌抽出し、ろ布でろ過して得られたろ液を減圧濃縮したのち、凍結乾燥により粉末のホップ抽出物を得た(総ポリフェノール量20重量%含有)。
【0020】
[実施例1〜7、比較例1〜2](白飯)
精米したうるち米古米300gを洗米後、450gの水を添加し、これにホップ抽出物を10%含有する50%エタノール液を用いて、総ポリフェノール量として、対精米1mg/kg〜300mg/kgまで添加した8試験区を作製した。30分間浸漬し、この古米を直接加熱式電気炊飯器((株)東芝製 RC−69)にて炊飯した。得られた米飯について、無添加品(比較例1)を対照として、15名のパネラーによる官能評価を実施した。その結果を表1に示す。
【0021】
(表1)
ホップ抽出物量 古米臭を感じ 米の旨みを感 ホップの苦味を
試験区 (mg/kg) た人数 じた人数 感じた人数
比較例1 0 15 0 0
実施例1 1 10 2 0
実施例2 10 0 15 0
実施例3 20 0 15 0
実施例4 30 0 15 0
実施例5 50 0 15 0
実施例6 100 0 13 2
実施例7 200 0 10 5
比較例2 300 0 5 15
(表中、ホップ抽出物量は総ポリフェノール量としての量である)
【0022】
表1の結果より、比較例1では15人のパネラー全員が古米臭を感じたが、ホップ抽出物(総ポリフェノール量)が1mg/kgの実施例1では10人となり、ホップ抽出物の効果が現れ始め、実施例2のホップ抽出物が10mg/kgになると、15人全員が古米臭を感じなくなり、ホップ抽出物の不快臭の低減効果が明確に現れた。またこの濃度では米の旨味も強く感じられており、これらからホップ抽出物の香味改良効果が認められた。しかし、300mg/kgの濃度からホップの苦味が感じられたため、これより少ない量で使用することが好ましい。
【0023】
[実施例8](米菓)
臭気のある古米(平成13年収穫の備蓄米)を通常の要領により精米し、洗米して水に浸漬した後、ざるに入れて水を切った。水切りを終えた古米を製粉機に掛けて製粉した米粉1kgにホップ抽出物含有組成物(ホップ抽出物5重量%、糖エステル重量3%、ポリグリセリンエステル重量2%、糖アルコール22重量%、水68重量%)1g(米粉1kgに対し総ポリフェノールとして10mg)を添加した水0.5kgを加えて混ぜ、生地にした。これを厚さ1mmに圧延し、「柿の種」状に打ち抜き成形した後、蒸気を3分間吹き付けα化させて、180℃で10分間焼成して米菓を製造した。得られた米菓は、ホップ抽出物含有組成物を添加しないものと比較して硫黄臭が全くなく、食感も良好であった。




【出願人】 【識別番号】000101215
【氏名又は名称】アサマ化成株式会社
【住所又は居所】東京都中央区日本橋小伝馬町20番3号
【出願日】 平成16年3月25日(2004.3.25)
【代理人】 【識別番号】100095968
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 啓子

【公開番号】 特開2005−269988(P2005−269988A)
【公開日】 平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願番号】 特願2004−88319(P2004−88319)