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【発明の名称】 釜揚げしらすの製造方法
【発明者】 【氏名】林 國正

【氏名】薩川 一義

【氏名】薩川 和幸

【氏名】市川 芳一

【要約】 【課題】生のしらすの釜揚げ加工にあって、添加物を入れることなく美味で高品質かつ長時間での品質劣化がしにくい釜揚げしらすを得ることができる釜揚げしらすの製造方法を提供する。

【解決手段】加熱槽5へ、真水8と、海洋深層水9に対して脱塩処理を施して該海洋深層水9中の塩分を濃縮して得た濃縮水94とを投入して加熱加工液6を得て、この加熱加工液へ塩10を供給して該加熱加工液の塩分の濃度調整し、この加熱加工液を煮沸し、該煮沸加熱加工液中に、生のしらすbを投入して茹で上げる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱槽へ、真水と、海洋深層水に対して脱塩処理を施して、該海洋深層水中の塩分を濃縮して得た濃縮水とを投入して加熱加工液を得て、この加熱加工液を煮沸し、該煮沸加熱加工液中に、生のしらすを投入して茹で上げたことを特徴とする釜揚げしらすの製造方法。
【請求項2】
海洋深層水に対して脱塩処理を施して、得られたこの海洋深層水のうちの真水と、前記海洋深層水中の塩分を濃縮した濃縮水とを、加熱槽へ投入して加熱加工液を得て、この加熱加工液を煮沸し、該煮沸加熱加工液中に、生のしらすを投入して茹で上げたことを特徴とする釜揚げしらすの製造方法。
【請求項3】
加熱加工液は、塩、または、海洋深層水に対して脱塩処理を施して、該海洋深層水中の塩分を濃縮した濃縮水かを加熱槽内へ供給して、該加熱加工液の塩分の濃度調整することを特徴とする請求項1または2記載の釜揚げしらすの製造方法。
【請求項4】
生のしらすの茹で上げは、加熱槽内の加熱加工液により定められた量を一回の加熱加工工程で行われ、
前記加熱加工工程は、同一加熱加工液によって複数回が行われ、定められた回数の前記加熱加工工程終了ごとに、前記加熱加工液に対して、
海洋深層水と塩との組み合わせによるものか、
海洋深層水に対して脱塩処理を施して、該海洋深層水中の塩分を濃縮した濃縮水と塩との組み合わせによるものか、
海洋深層水に対して脱塩処理を施して、該海洋深層水中の塩分を濃縮した濃縮水のみかのいずれかを選択的に追加投入させて、
複数回の生のしらすの茹で上げを継続的に行うことを特徴とする請求項1記載の釜揚げしらすの製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、生のしらすの釜揚げ加工にあって、高品質でかつ品質劣化しにくい釜揚げしらすを得ることができる釜揚げしらすの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生しらすを茹でて釜揚げしらすを得るには、例えば、水揚げされたしらすを水洗しておき、沸騰した釜に塩を入れて塩加減を調節し、水洗したこのしらすを釜内で90〜100℃で煮沸処理し、釜から揚げたしらすを天日や強制送風等により乾燥させて製品化している。
【0003】
しかしながら、前記したしらすの釜揚げ方法は、釜内へ、真水に塩を添加して塩分濃度を調整した塩水(茹で汁)を収容させて行うものであるが、釜内の茹で汁が比較的短時間で劣化してしまうために、大量の生しらすを釜揚げするときは、新しい前記茹で汁を頻繁に入れ替えなければならなかった。
また、茹で上がりのしらすの色が黄変色やすく傷みやすいので、やむなく、一部では、色度および鮮度保持・促進剤を添加して前記欠点を解消していたが、これらの添加物は、釜揚げしらすの味を極めて低下させるため、当業界では、前記添加物に頼らない高品質で安全なしらすの釜揚げ加工法の出現を強く要望されていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前記した要望にかんがみなされたもので、加熱槽へ、真水と、海洋深層水に対して脱塩処理を施して該海洋深層水中の塩分を濃縮して得た濃縮水とを投入して加熱加工液を得て、この加熱加工液へ塩を供給して該加熱加工液の塩分の濃度調整し、この加熱加工液を煮沸し、該煮沸加熱加工液中に、生のしらすを投入して茹で上げることにより、生のしらすの大量の釜揚げ加工にあって、添加物を入れることなく美味で高品質かつ長時間での品質劣化がしにくい釜揚げしらすを得ることができる釜揚げしらすの製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記した目的を達成するための本発明は、
加熱槽へ、真水と、海洋深層水に対して脱塩処理を施して、該海洋深層水中の塩分を濃縮して得た濃縮水とを投入して加熱加工液を得て、この加熱加工液を煮沸し、該煮沸加熱加工液中に、生のしらすを投入して茹で上げた釜揚げしらすの製造方法にある。
そして、
海洋深層水に対して脱塩処理を施して、得られたこの海洋深層水のうちの真水と、前記海洋深層水中の塩分を濃縮した濃縮水とを、加熱槽へ投入して加熱加工液を得て、この加熱加工液を煮沸し、該煮沸加熱加工液中に、生のしらすを投入して茹で上げた釜揚げしらすの製造方法にある。
【0006】
また、
加熱加工液は、塩、または、海洋深層水に対して脱塩処理を施して、該海洋深層水中の塩分を濃縮した濃縮水かを加熱槽内へ供給して、該加熱加工液の塩分の濃度調整する。
【0007】
更に、
生のしらすの茹で上げは、加熱槽内の加熱加工液により定められた量を一回の加熱加工工程で行われ、
前記加熱加工工程は、同一加熱加工液によって複数回が行われ、定められた回数の前記加熱加工工程終了ごとに、前記加熱加工液に対して、
海洋深層水と塩との組み合わせによるものか、
海洋深層水に対して脱塩処理を施して、該海洋深層水中の塩分を濃縮した濃縮水と塩との組み合わせによるものか、
海洋深層水に対して脱塩処理を施して、該海洋深層水中の塩分を濃縮した濃縮水のみかのいずれかを選択的に追加投入させて、
複数回の生のしらすの茹で上げを継続的に行う。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、生のしらすの釜揚げ加工にあって、不要な添加物を入れることなく美味で高品質かつ長時間での品質劣化がしにくい釜揚げしらすを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明に関する釜揚げしらすの製造方法の一実施例を図面に基づいて説明する。
本発明実施例に係る第一例の製造方法は、加熱槽5へ、真水8と、海洋深層水9に対して脱塩処理を施して、該海洋深層水9中の塩分を濃縮して得た濃縮水94とを投入して塩分の濃度調整された加熱加工液6を得て、この加熱加工液6を煮沸し、該煮沸加熱加工液6中に、生のしらすbを投入して茹で上げるものである。
また、必要に応じて、この加熱加工液6へ塩10を供給して該加熱加工液6の塩分の濃度調整するものである。
【0010】
本発明実施例において使用されるしらすbは、水揚げされた取れたての生のものを用いるもので、この生しらすbを水槽1と、水道水などの真水の給水部材2からなる水洗手段3により手早く水洗いして木屑や海藻などの異物を取り除き、盆状の水切り皿4に所定量を、例えば1kg〜5kg程度を盛っておき、所定時間棚等において静置して過剰の水分を切っておく。
【0011】
生しらすbを茹でる加熱槽5は、ステンレス等の金属などにより釜状に成形されていて、内部に加熱加工液6が所定量、例えば、50リットル〜200リットル程度が収容し得る容量を備えている。なお、この加熱槽5の容量は限定されない。
また、この加熱槽5は、ガスバーナーやヒータ等の加熱手段7により、加熱加工液6が90℃〜100℃程度に加熱されてその温度が保持され、かつ、簡便で安定した加熱温度が得られる任意の手段が選定される。
【0012】
なお、前記した加熱加工液6は、真水8と、海洋深層水9に対して脱塩処理を施して、該海洋深層水9中の塩分を濃縮して得た濃縮水94、および、必要に応じて塩10とよりなるもので、このうち、真水8は、水道水等の清水(軟水や硬水を含む)が用いられる。
また、海洋深層水9は、深海すなわち水深200m以深の光の届かない層にある海水、例えば、水深700m前後の亜寒帯系深層水の原水や、水深400m前後の黒潮系深層水の原水等が用いられる。
【0013】
この海洋深層水9中の塩分を濃縮して得た濃縮水94は、適宜な脱塩装置Mにより得られるもので、例えば、逆浸透膜法や電気透析法などによるものが利用できる。このうち、逆浸透膜法による場合は、例えば、水は通すが塩分は通さない半透膜で容器を仕切り、その方側に海洋深層水を入れ、圧力を加えることによって淡水を得る。また、電気透析法による場合は、例えば、陽イオン交換膜と陰イオン交換膜の間に海洋深層水を通水し、両膜の外側から直流電圧をかけ、海洋深層水中に塩素イオンとナトリウムイオンをイオン交換膜を透過させて除去するものである。
【0014】
これら脱塩装置Mを適宜利用することにより、図2に示すように、海洋深層水9の原水から、真水となった淡水91と、濃縮した深層水(濃水)92と、ミネラルを特化した深層水(硬水)93と、塩分を濃縮した濃縮水(塩水)94とが得られる。
なお、前記した淡水91は、海洋深層水の成分をわずかに残した清浄性の高い真水である。前記した濃縮した深層水(濃水)92は、含有成分を濃縮した全塩濃度が5%前後の深層水である。前記したミネラルを特化した深層水(硬水)93は、マグネシウム,カルシウムの濃度が高い苦みのある深層水である。前記した塩分を濃縮した濃縮水(塩水)94は、全塩濃度が13%前後の塩辛さを有する深層水である。
【0015】
更に、塩10は、真水8と海洋深層水9中の塩分を濃縮した濃縮水(塩水)94のとの混合液の塩分濃度調整を行うもので、慣用の食塩が用いられるものであるが、海水、特に海洋深層水を濃縮して得た並塩が好ましい。
【0016】
これら真水8と海洋深層水9中の塩分を濃縮した濃縮水(塩水)94との混合比率は、加熱槽5内の加熱加工液6全容量に対して、真水8が60%〜98%、好ましくは75%〜95%であり、海洋深層水9中の塩分を濃縮した濃縮水(塩水)94が0.2%〜30%、好ましくは、0.5%〜20%である。
この海洋深層水9中の塩分を濃縮した濃縮水(塩水)94の割合が0.2%未満であると、本来、海洋深層水9が持つリン,ケイ酸などの無機栄養基などの富栄養性が低下し、かつ、必須微量元素や様々なミネラルなどのミネラル特性が低下し、および病理生物などが非常に少ないという清浄性が失われる。
また、海洋深層水9中の塩分を濃縮した濃縮水(塩水)94の割合が60%以上であると、この海洋深層水9中の塩分を濃縮した濃縮水(塩水)94の割合が増すごとに、にがり成分が次第に強く舌に残り、出来上がった釜揚げしらすb2の食感や食味を落とす原因のもとになる。したがって、この海洋深層水9中の塩分を濃縮した濃縮水(塩水)94の割合は、真水10との相対的な配合により決定する。
【0017】
更に、必要に応じて添加する塩10は、加熱加工液6全重量に対して、0.02%〜2.5%、好ましくは、0.05%〜2%である。この塩10の配合比は、できるだけ海水の塩分(3.4%)程度の濃度が得られればよいものであって、更には、前記海水塩分より低い1.5%〜3.0%の濃度に設定する場合もあるもので、釜揚げしらすb2を食したときの良好な塩っ気を得るものであり、例えば、塩分濃度は、加熱加工液6全容量に対して、1.0%〜4.0%、好ましくは、1.2%〜2.5%である。
なお、前記塩10の替わりに、海洋深層水9に対して脱塩処理を施して、該海洋深層水9中の塩分を濃縮した濃縮水(塩水)94や濃縮した深層水(濃水)92を添加することができるもので、加熱加工液6全重量に対して、0.001%〜2.5%、好ましくは、0.01%〜1%である。
更には、前記塩10と海洋深層水9中の塩分を濃縮した濃縮水(塩水)94や濃縮した深層水(濃水)92との混合により使用するもので、この塩10と濃縮水(塩水)94や濃縮した深層水(濃水)92との混合配合率は適宜なされる。
【0018】
煮沸された加熱槽5内の加熱加工液6による生しらすbの茹で上げ時間は、30秒〜4分程度であって、好ましくは、45秒〜1分30秒である。茹で上げ時間が30秒未満であると、茹で不足となって製品化となったしらすb2の食味と鮮度が低下し、茹で上げ時間が4分以上であると、しらすbの内部水分が滲出しすぎて食味を低下させると共に、しらすb2の身が縮んで歩留まり(全体重量)を低下させる。
【0019】
この加熱槽5内で茹で上げられた全ての茹でしらすb1は、加熱槽5から取り出して水切りすだれ11に、一旦、移し替え、ここで茹でしらすb1に付着している茹で汁を切る。なお、この茹で汁は、水切りすだれ11を伝って加熱槽5に戻すことで加熱加工液6が減少することをできるだけ抑えられ、かつ、加熱加工液6中の塩分濃度も変わりにくい。
【0020】
水切りすだれ11上において、茹でしらすb1の大まかな過剰水分の除去と荒熱とが取られれば、セイロなどに載置して乾燥手段12へ移し、更に、茹でしらすb1に付着している茹で汁を取り除く乾燥工程を5分〜40分程度行う。このとき、茹でしらすb1内に残存している異物も取り除く。
この乾燥手段12は、下側に送風機を備えた乾燥部材へ茹でしらすb1を万遍なく広げて行う強制乾燥や、天日干しなどにより行われる。
【0021】
なお、生のしらすbの茹で上げは、一つの加熱槽5内の加熱加工液6によって定められた量を一回(前記した所定の茹で時間が経過すれば、一回分のしらすbの全量を加熱槽5から取り出す。)の加熱加工工程で行われるもので、前記加熱加工工程は、最初からの同一の加熱加工液6によって複数回(定められた量を小分けして複数回)の生のしらすbの茹で上げが行われる。
【0022】
そして、定められた回数の加熱加工工程終了ごとに、既に使用済みの加熱加工液6に対して、その加熱加工液6の性状調整を行う。
すなわち、生のしらすbの茹で上げは、同一加熱加工液6によって複数回が行われ、定められた回数の前記加熱加工工程終了ごとに、前記加熱加工液6に対して、
(1)海洋深層水9と塩10との組み合わせによるものか、
(2)海洋深層水9に対して脱塩装置Mによる脱塩処理を施して、該海洋深層水9中の塩分を濃縮した濃縮水94や濃縮した深層水(濃水)92と塩10との組み合わせによるものか、
(3)海洋深層水9に対して脱塩装置Mによる脱塩処理を施して、該海洋深層水9中の塩分を濃縮した濃縮水94や濃縮した深層水(濃水)92のみかのいずれかを選択的に追加投入させて、
複数回の生のしらすbの茹で上げを継続的に行う。
【0023】
すなわち、生のしらすbの茹で上げにおいて、その茹で上げ前の該生のしらすbにまつわりついている水洗用の水や、茹で上げ中にこのしらすbから滲出した水分により加熱加工液6の塩分濃度が薄くなるもので、該加熱加工液6の塩分濃度を常に一定にしておく必要がある。
更に、茹で上げ中のしらすbから滲出するダシ分やタンパク質分などが、塩分のニガリ成分により次第に飴状となって塊となりやすいので、海洋深層水9あるいはこの海洋深層水9中の塩分を濃縮した濃縮水94または濃縮した深層水(濃水)92を加えて加熱加工液6を常にさらさらの状態(良好な加熱加工液6の流動性)に保持させる。
これら海洋深層水9や海洋深層水9中の塩分を濃縮した濃縮水94または濃縮した深層水(濃水)92,塩10との追加投入は、しらすbの大きさなどによっても適宜変更される。
【0024】
そのため、例えば、水切り皿4に盛られた生のしらすbにあって、この水切り皿4の定められた複数枚の茹で上げが行われるごと、いわゆる、一定量の生しらすbを茹で上げた後は、例えば、生のしらすbの入った水切り皿4の2枚〜5枚、好ましくは、3枚〜4枚の茹で上げが行われるごと、不足していると思われる定められた量の海洋深層水9や海洋深層水9中の塩分を濃縮した濃縮水94または濃縮した深層水(濃水)92,塩10を、例えば、前記(1)の場合は、海洋深層水9…100cc〜300cc、好ましくは、150cc〜250cc,塩10…5g〜50g、好ましくは、10g〜30gを、加熱加工液6中に添加して塩分濃度を調整する。
海洋深層水9の追加量が100cc未満であると、該海洋深層水9に有する塩分を始め、ミネラル分やニガリ成分が不足してしらすb本来の旨みが引き出せにくい。また、海洋深層水9の追加量が300cc以上であると、ニガリ成分が強すぎて食感を損なう。
塩10の追加量が5g未満であると、加熱加工液6の十分な塩分濃度が得られず、食味において塩分に物足りなさを感ずると共に、茹で上がりにおいて、しらすbの身のしまりが不良となりやすく、長期の鮮度保持が得られない。塩10の追加量が50g以上であると、食味において塩分が強くあたり食用に向かないと共に、しらすbの身が縮みやすい。
【0025】
また、前記(2)の場合は、海洋深層水9の濃縮水94…20cc〜100cc、好ましくは、15cc〜50cc,塩10…5g〜30g、好ましくは、8g〜15gを、加熱加工液6中に添加して塩分濃度を調整する。
海洋深層水9の濃縮水94の追加量が20cc未満であると、該海洋深層水9に有する塩分を始め、ミネラル分やニガリ成分が不足してしらすb本来の旨みが引き出せにくい。また、海洋深層水9の濃縮水94の追加量が300cc以上であると、ニガリ成分が強すぎて食感を損なう。
塩10の追加量が5g未満であると、加熱加工液6の十分な塩分濃度が得られず、食味において塩分に物足りなさを感ずると共に、茹で上がりにおいて、しらすbの身のしまりが不良となりやすく、長期の鮮度保持が得られない。塩10の追加量が30g以上であると、食味において塩分が強くあたり食用に向かないと共に、しらすbの身が縮みやすい。
【0026】
更に、前記(3)の場合は、海洋深層水9の濃縮水94…5cc〜150cc、好ましくは、10cc〜100ccを、加熱加工液6中に添加して塩分濃度を調整する。
海洋深層水9の濃縮水94の追加量が5cc未満であると、該海洋深層水9に有する塩分を始め、ミネラル分やニガリ成分が不足してしらすb本来の旨みが引き出せにくい。また、海洋深層水9の追加量が150cc以上であると、ニガリ成分が強すぎて食感を損なう。
【0027】
また、前記釜揚げ作業を繰り返すと、水分の蒸発や水切り皿4や茹でられたしらすb1と共に加熱槽5より加熱加工液6が取り出されたりして、該加熱槽5内の加熱加工液6の絶対量が減少する。そのため、前記水切り皿4の定められた複数枚の茹で上げが行われるごと、いわゆる、一定量の生しらすbを茹で上げた後は、例えば、生のしらすbの入った水切り皿4の3枚〜8枚、好ましくは、4枚〜6枚ごと不足していると思われる定められた量の海洋深層水9を、例えば、50cc〜400cc、好ましくは、100cc〜300ccの海洋深層水9を継ぎ足す。
【0028】
この不足していると思われる海洋深層水9,海洋深層水9の濃縮水94または濃縮した深層水(濃水)92および塩10は、前記した海洋深層水9および塩10と同様のものが使用できるもので、その詳細な構成は前記海洋深層水9および塩10の説明を援用する。
また、この海洋深層水9,海洋深層水9の濃縮水94または濃縮した深層水(濃水)92および塩10との継ぎ足し量は、例えば、海洋深層水9は、茹で上げ加工前の加熱加工液6の全容量に対して、0.1%〜1%に、好ましくは0.15%〜0.6%である。更に、海洋深層水9の濃縮水94および塩10は、茹で上げ加工前の加熱加工液6の全重量に対して、0.01%〜0.2%に、好ましくは、0.03%〜0.15%である。したがって、これらの追加比率は、しらすbの茹で上げ前の加熱加工液6を構成する海洋深層水9と海洋深層水9の濃縮水94または濃縮した深層水(濃水)92および塩10との配合比率に近似する値となればよいものである。
【0029】
こうして、乾燥工程が終了すれば、釜揚げしらすb2が出来上がるもので、直ちに食することができるものである。必要に応じて、冷凍室に収容しておけば、比較的長期の保存が容易となる。
【0030】
次に、本発明実施例に係る第二の例の釜揚げしらすの製造方法を説明する。
この製造方法は、図3に示すように、海洋深層水9に対して前記した脱塩装置Mにより脱塩処理を施して、得られたこの海洋深層水9のうちの真水’純水)91と、海洋深層水9中の濃縮した深層水(濃水)92あるいは、海洋深層水9中の塩分を濃縮した濃縮水94とを、加熱槽5へ投入して加熱加工液6を得て、この加熱加工液6を煮沸し、該煮沸加熱加工液6中に、生のしらすbを投入して茹で上げるものである。また、必要に応じて、海洋深層水9の原水を脱塩装置Mにより脱塩処理を施して得られた、ミネラルを特化した深層水(硬水)93を用いることができる。
【0031】
この例の場合、前記第一実施例における真水8が海洋深層水9から得られた真水(淡水)91あるいはミネラルを特化した深層水(硬水)93であり、加熱加工液6の塩分調整を行う塩10に代わるものでが、海洋深層水9を濃縮した深層水(濃水)92あるいは、海洋深層水9の塩分を濃縮した濃縮水(塩水)94が相当する。
【0032】
これらによる加熱加工液6の作成にあっては、前記第一実施例による配合が利用できる。
【0033】
(実施例1)
水揚げされたばかりの生しらすbの200kgをコンテナに入れて用意し、あらかじめ水道水を張った水槽1内において該生しらすbを洗い、かつ、異物を取り除いた。水洗いされた生しらすbを水切り皿4へ3kgの重量となるように盛って、洗い水を切りつつ、この水切り皿4入りの生しらすbを多数枚、茹で上げ加工速度に応じて準備した。
【0034】
また、加熱槽5内へ真水56リットルと海洋深層水9中の塩分を濃縮して得た濃縮水94の4リットルとを投入して60リットルの加熱加工液6を得た。
更に、この加熱加工液6へ並塩10の1kgを供給して該加熱加工液6の塩分の濃度を加熱加工液6の全容量の1.8%に調整し、この加熱加工液6を加熱手段7により95℃に煮沸しておいた。
この煮沸した加熱加工液6中に、あらかじめ水切り皿4に3kgが盛られた生のしらすbを投入して、時々掬い網により加熱槽5内をかき回しながら1分間茹で上げ、直ちに、加熱槽5の近傍に用意した水切りすだれ11に茹だったしらすb1を加熱槽5から掬い出し、しらすb1に付着している茹で汁を取り除いた。
【0035】
水切りすだれ11に載置された茹で上げしらすb1は、10分間、棚において静置し、荒熱を取ると共に残った茹で汁を切った。そして、乾燥手段12において、5分間、更に水気と残った熱分を取り除いた。これにより、釜揚げしらすb2が出来上がった。
この釜揚げしらすb2の外観は、真っ白でふっくらとした身であり、一尾ごとばらけた状態であった。これを食したところ、柔らかい海の香りがし、かつ、身が程良く締まって歯ごたえがあり、美味であった。また、海洋深層水9の使用であっても、食味ににがりが出ず、むしろマイルドな食味であった。
【0036】
一方、残り量の生しらすbの茹で上げ作業は順次継続して行った。そして、生しらすbを一回茹で上げるごと、その茹で上がりしらすb1を加熱槽5から掬い出し、次の水切り皿4に盛られた生しらすbを連続して加熱槽5に供給した。
この水切り皿4入り生しらすbの3回を茹で上げるごと(9kgを茹で上げるごと)海洋深層水9中の塩分を濃縮して得た濃縮水94の200cc(必要に応じて、並塩10の10g)を加熱槽5の加熱加工液6中に追加した。
また、前記水切り皿4入り生しらすbの5回を茹で上げるごと(15kgを茹で上げるごと)200ccの海洋深層水9を加熱槽5の加熱加工液6中に追加した。
【0037】
これにより、加熱加工液6の塩分濃度は常に1.8%前後に維持され、加熱槽5内の加熱加工液6の容量も常に一定となり、また、海洋深層水9に含まれている前記した富栄養性やミネラル特性および清浄性が常に保持されて、茹で加工された釜揚げしらすb2に有効な影響を与えることができた。
また、海洋深層水9の使用により、しらすb2における脂質の酸化が可及的抑制され、色、味共に保存に適することが確認され、釜揚げしらすの高い品質保持効果が認められた。
【0038】
本実施例においては、加熱槽5に張った一回の加熱加工液6により、連続して200kg〜300kgの生しらすbの釜揚げ加工を初期の茹で上げ状態と同様に行え、この茹で汁を交換することなく行うことができた。
【0039】
(実施例2)
前記実施例1にあって、加熱加工液6の作成において、加熱槽5内へ、海洋深層水9から得られた真水(淡水)91の56リットルと海洋深層水9中の塩分を濃縮して得た濃縮水94の4リットルとを投入して60リットルの加熱加工液6を得た。
更に、この加熱加工液6へ海洋深層水9を濃縮した深層水(濃水)92の5リットルを供給して該加熱加工液6の塩分の濃度を加熱加工液6の全容量の1.8%に調整し、この加熱加工液6を加熱手段7により95℃に煮沸して、前記実施例1の工程を経て釜揚げしらすを得た。
【0040】
(比較例)
茹で釜内へ真水60リットルを投入して95℃に沸騰させ、この中へ塩分濃度2.8%となるように塩を入れた。
そして、前記実施例同様に水洗いして水切り皿に盛った3kgの生しらすを、前記茹で釜内に投入し1分間茹で上げた。1分後茹で釜から取り出して、この茹で上げしらすを水切りすだれに載置し、茹で汁と荒熱を取り除き、乾燥した。
この茹で上げ工程の初期は、釜揚げしらすの外観は白色で、身は締まり、茹で臭いは良好であったが、一つの茹で釜で、連続20回(60kg程度)の茹で回数(量)を超える辺りから、釜揚げしらすの外観が黄変色し始め、身が柔らかくなり始めたと共に、茹で臭いが魚くさくなってきた。また、乾燥時に、団子状の塊ができるようになって、釜揚げしらすのほぐし作業を頻繁に行わなくてはならなかった。また、食したところ、歯ごたえがなく魚臭さが鼻についた。
【0041】
更に、この比較例のものは、生しらすの75kgを茹で上げ加工した頃から、茹で汁に粘りが出て白濁化(だし汁が出た糊状化)し、掬い網によりしらすをかき回す作業が困難となって、100kg近くの加工処理時には、茹で釜内の茹で汁を替えなければ、製品としての釜揚げしらすが製造できなかった。
【0042】
また、前記した実施例1及び2と比較例とによる釜揚げしらすを、冷凍庫において−13℃の冷凍保存を行って、3ヶ月後に解凍し、色、臭い、身質、食感、味、塩加減の項目に対して官能試験を行ったところ、前記実施例品は前記全ての項目に対して、高い優良評価であった。特に、身の白さは茹で上げ直後とほとんど変わりなく、身質も良好であった。
特に、実施例2により製造された釜揚げしらすは、加熱加工液のほとんどが海洋深層水によりまかなわれるため、ミネラル分の多く含んだ製品となり、一層良好の味覚感が得られた。
更に、加熱加工液6に添加する塩10に代えて、海洋深層水を濃縮した深層水(濃水)92や海洋深層水9の塩分を濃縮した濃縮水(塩水)94を使用することで、真水8の使用量を少なくすることができ、また、単に、海洋深層水9を使用するよりその使用容量を減少させることができ、海洋深層水9の輸送が容易となってそのコストを抑えることができる。
一方、比較例品は、前記全ての項目に対して低い評価であり、特に、外観が黄変色して商品価値が低下していた。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に関する釜揚げしらすの製造方法の第一例のフロー状態を示す説明図である。
【図2】図1における釜揚げしらすの製造方法にあって、海洋深層水から得られる各水の脱塩処理状態を示す説明図である。
【図3】本発明に関する釜揚げしらすの製造方法の第二例のフロー状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0044】
b…生のしらす.b2…釜揚げしらす.5…加熱槽.6…加熱加工液.8…真水.9…海洋深層水.91,92,93,94…海洋深層水から得られた各水.10…塩.
【出願人】 【識別番号】502357846
【氏名又は名称】林 國正
【識別番号】502357857
【氏名又は名称】薩川 一義
【識別番号】304012404
【氏名又は名称】薩川 和幸
【識別番号】504134933
【氏名又は名称】有限会社 ダイサン
【出願日】 平成16年3月24日(2004.3.24)
【代理人】 【識別番号】100088144
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 静富

【識別番号】100092680
【弁理士】
【氏名又は名称】入江 一郎

【識別番号】100108752
【弁理士】
【氏名又は名称】野末 寿一

【識別番号】100088144
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 静富

【公開番号】 特開2005−269953(P2005−269953A)
【公開日】 平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願番号】 特願2004−86332(P2004−86332)