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【発明の名称】 嚥下容易な魚肉練り製品の製造方法及びその製品
【発明者】 【氏名】杉江 繁夫

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚肉原料に食塩を主体とした調味料を添加して擂潰ないし混練して粘調な魚肉糊を形成した後、当該魚肉糊中にアルファ化澱粉を添加すると共に、気泡を生起させるための起泡剤を添加して再度擂潰ないし混練し充分含気させた後、加熱処理することを特徴とする嚥下容易な魚肉練り製品の製造方法。
【請求項2】
魚肉原料100重量%に対し、食塩を主体とした調味料を1〜8重量%、アルファ化澱粉を0.5〜50重量%、起泡剤を0.1〜15重量%含有してなることを特徴とする嚥下容易な魚肉練り製品。
【請求項3】
起泡剤が卵白、ヤマイモ、増粘多糖類のいずれか一種または二種以上である請求項1または2記載の嚥下容易な魚肉練り製品の製造方法及びその製品。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は嚥下の容易な魚肉練り製品に係り、特に経口摂取する際は口中で溶ける如く軟らかい食感を有しながら製造の過程では保形性を保持し得る魚肉練り製品の製造方法及びその製品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高齢者社会の到来に伴い、咀嚼・嚥下機能が低下した者が増加する傾向にあり、これに伴ってきわめて軟らかい嚥下容易な食品に対する需要が急増している。勿論、嚥下障害・咀嚼障害・摂食障害等を有する者を対象とした嚥下容易な食品についても既に研究され、一部は市販に供されている。しかしながら、これらは主として卵、ゼラチン、澱粉、乳蛋白等を原料としたものであって、魚肉を主原料とした嚥下容易な練り製品については未だ開発されるに至っていない。
【0003】
魚肉は日本人の口に馴れ親しまれたものであると共に、最近の研究ではカルシウムを始めとしたミネラル成分の他、EPA(エイコサペンタエン酸),DHA(ドコサヘキサエン酸)等、特に高齢者にとっての有効成分を多量に含有していることが解明されている。ところが、魚肉を原料とした軟質の練り製品であって起泡剤としてヤマイモを用いたはんぺんは古来より滋養豊富な病人食として知られているが、そのはんぺんですら、咀嚼・嚥下機能に障害を持つ人々にとってはなお「硬い」と感じられるという。
【0004】
なお、魚肉を用いたソフトな練り製品を得るため、真空または減圧条件下で魚肉原料に添加した食用酵母を醗酵させ、これにより発生したガスの気泡を形成してソフトな食感を保持させた魚肉練り製品及びその製造方法が次に示す特許文献に記載されている。
【特許文献1】特開平5−260932号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した特許文献1に示された魚肉練り製品の製造方法は、魚肉原料に食用酵母を添加し、この食用酵母を添加した魚肉原料を擂潰もしくは混練した後、成形し、この成形状態を保持したままで真空または減圧条件下で魚肉原料に添加した食用酵母を醗酵させ、この食用酵母の醗酵後、加熱して前記食用酵母の醗酵によるガスの気泡を有する魚肉練り製品を得るようにしたものである。
【0006】
しかしながら、この魚肉練り製品の製造方法によった場合は、酵母に依る醗酵に伴い炭酸ガスとアルコールを生成することとなり、咀嚼・嚥下機能に障害を持つ者にとっては好ましくない結果を招来するおそれがある。また、多数の気泡により柔軟性は賦与できるとしても、咀嚼・嚥下機能に障害を持つ人々にとっては充分な軟らかさとはならない。
【0007】
そこで、本発明は経口摂取する際は口中で溶けるように軟らかい食感を与えることができると共に、製造の過程では保形性を保持し得る嚥下容易な魚肉練り製品の製造方法及び嚥下容易な魚肉練り製品を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明の構成を詳述すれば、請求項1に係る発明は、魚肉原料に食塩を主体とした調味料を添加して擂潰ないし混練して粘調な魚肉糊を形成した後、当該魚肉糊中にアルファ化澱粉を添加すると共に、気泡を生起させるための起泡剤を添加して再度擂潰ないし混練し充分含気させた後、加熱処理することを特徴とする嚥下容易な魚肉練り製品の製造方法である。
【0009】
請求項2に係る発明は、魚肉原料100重量%に対し、食塩を主体とした調味料を1〜8重量%、アルファ化澱粉を0.5〜50重量%、起泡剤を0.1〜15重量%含有してなることを特徴とする嚥下容易な魚肉練り製品である。
【0010】
また、請求項3に係る発明は、起泡剤が卵白、ヤマイモ、増粘多糖類のいずれか一種または二種以上である請求項1または2記載の嚥下容易な魚肉練り製品の製造方法及びその製品である。
【0011】
調味料としては食塩の他、砂糖や、旨味成分としてのグルタミン酸ソーダ、味醂等が用いられるが、主体となるのはあくまでも食塩であり、当該食塩は、魚肉原料100重量%当たり1〜5重量%添加するのが適当である。食塩の添加量が1重量%未満の場合には後述するミオシンの滲出量が少なくなって所望する軟度の製品を得ることができなくなる。また、5重量%を超えると塩辛い製品となって好ましくない。食塩以外の調味料である砂糖やグルタミン酸ソーダ等は、消費者の嗜好に応じて適宜分量を配合することができる。
【0012】
魚肉原料に添加するアルファ化澱粉の配合量は魚肉原料100重量%に対し、0.5〜50重量%であり、配合量を0.5重量%以下とした場合には、充分な軟らかさを持った製品を得ることができない。また上限値を50重量%以内としたのは、この上限値を超えると魚肉練り製品としての風味が失われると共に、軟らかくなり過ぎて加熱後の取扱いが困難となることが判明したからである。
【0013】
また、起泡剤の配合量を0.1〜15重量%としたのは、0.1重量%以下の配合量では充分な気泡が生じないからであり、15重量%以上を配合した場合には保形性に影響を与えることが判明したからである。
【0014】
前記したように、嚥下機能に障害を有する者にとっては、一般に軟らかい魚肉練り製品として知られるはんぺんですら、なお硬く感じられるという。そこで魚肉を利用した一層軟らかい練り製品の開発が必要となってくるわけであるが、上記した機能障害を有する者でも食に対する欲求は強く、ドロリとした粘液状の食品より、半円状や、四角、あるいは魚等の所望の形に成形された物の方が、当然好まれるわけであり、その要望に応えるためには喫食時には溶ける様なきわめて軟らかい食感を有しながら、製造時にはしっかりと保形性を持つ生地(すり身)を作成しなければならない。
【0015】
本発明の特徴の第一点は、魚肉原料に食塩を主体とした調味料を加え、擂潰ないし混練して粘調な魚肉糊を形成した後、当該魚肉糊中にアルファ化澱粉を添加することにあり、これによって弾力性を持たない柔軟性に富んだカマボコのような練り製品を得ることができる。魚肉糊中にアルファ化澱粉を添加することによって柔らかな練り製品となる理由は、食塩の添加によって魚肉蛋白中の主要なタンパク質であるミオシンが滲出し、当該ミオシンが作る網状構造中に、アルファ化澱粉が擂潰ないし混練に伴って入り込んで、魚肉自体の弾力形成能を阻害するためと考えられる。
【0016】
また、本発明の第二の特徴点は、成形時の作業性、成形後の保形性のために起泡剤を添加し、起泡させることである。一般的に柔らかい食品を得るためには水を多く加えればよいが、機能障害者等が欲する軟度の食品を作るためには唯、水を加えただけでは、生地は流動体となり成形は不可能となってしまう。そこで、本発明においては、液状の卵白は成形できないが、泡立ててメレンゲとすれば成形が可能となる点に着目した。なお、この気泡は製品完成後喫食時に口溶けの良さに好影響を与えることとなる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によった場合は、経口摂取する際は口中で溶ける如く軟らかい食感を有する魚肉練り製品を得ることができ、嚥下障害・咀嚼障害等を有する者の要望に充分応え得る製品を提供することができる。また、製造の過程では保形性を具備し、作業性の良好な魚肉練り製品の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を詳細に説明する。
魚肉(すり身)1000グラムに対し、食塩25グラム、砂糖30グラム、旨味成分としてのグルタミン酸ソーダ15グラムを添加して、一般的に用いられている擂潰機により20〜30分すりつぶして粘調な魚肉糊を作成した。
次いで、この魚肉糊中に水1500ccに澱粉200グラムを溶き加熱してアルファ化した澱粉糊を加える。なお、このアルファ化した澱粉糊に代えて乾燥アルファ化澱粉に水を加えたものを用いることができるのは言うまでもない。
【0019】
その後、卵白100グラム、起泡剤としての増粘多糖類を10グラム加え、高速で各素材を擂潰し、充分混練含気させた後、一般的に練り製品の製造に用いられている型成機で成形し、板上に並らべて蒸し器に入れ蒸気によって蒸煮処理して魚肉練り製品を得た。
この製品を嚥下障害者に試食して貰ったところ、難なく嚥下することができた。
また、得られた嚥下容易な練り製品は日本人の口に馴れ親しまれた魚肉練り製品としての風味を充分具えていた。
【出願人】 【識別番号】504114566
【氏名又は名称】藤井 誠之
【識別番号】502106967
【氏名又は名称】金子 喬一
【識別番号】504114577
【氏名又は名称】杉江 繁夫
【出願日】 平成16年3月24日(2004.3.24)
【代理人】 【識別番号】100073483
【弁理士】
【氏名又は名称】八鍬 昇

【公開番号】 特開2005−269947(P2005−269947A)
【公開日】 平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願番号】 特願2004−85948(P2004−85948)