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【発明の名称】 包装納豆及びその製造方法
【発明者】 【氏名】佐藤幸夫
【住所又は居所】新潟市山木戸7丁目6番47号 株式会社山ノ下納豆製造所内

【要約】 【課題】調味料を納豆と一括包装し、調味料の個包装を必要とせず、且つ調味料の容器収納を納豆発酵処理前に実施できようにして、発酵処理後には外包装工程のみで良いようにする。

【解決手段】納豆収納部13及び適宜なポケット部14を有する容器部11と、全体の蓋部12とを備えた包装容器1を形成し、納豆収納部に蒸煮大豆Aを収納すると共に納豆菌を植え付け、ポケット部に調味液に増粘多糖類を混合して半固形状とした調味料Bを収納し、通気性を供えた蓋部で容器部上面を塞ぎ、常法とおり発酵条件を満たす雰囲気下において発酵させて製出してなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
納豆収納部及び適宜なポケット部を有する容器部と、全体の蓋部とを備えた包装容器を形成し、納豆収納部に蒸煮大豆を収納すると共に納豆菌を植え付け、ポケット部に調味液に増粘多糖類を混合して半固形状とした調味料を収納し、通気性を供えた蓋部で容器部上面を塞ぎ、常法とおり発酵条件を満たす雰囲気下において発酵させてなることを特徴とする包装納豆の製造方法。
【請求項2】
調味料の塩分を10%以上としてなる請求項1記載の包装納豆の製造方法。
【請求項3】
容器部及び蓋部を熱可塑性発泡樹脂で、蓋部が煽り開閉可能に容器部と一体に形成され、納豆収納部に納豆菌を植え付けた蒸煮大豆を、ポケット部に調味料をそれぞれ収納した後、蓋部の開口端にのみ接着させる保護フィルムで収納物を被覆して、常法とおりの発酵処理を行ってなる請求項1又は2記載の包装納豆の製造方法。
【請求項4】
納豆収納部及び適宜なポケット部を有する容器部と、全体の蓋部とを備えた包装容器を形成し、納豆収納部に納豆が収納され、ポケット部に増粘多糖類を用いた半固形状で、塩分を10%以上とした調味料を収納してなることを特徴とする包装納豆。
【請求項5】
容器部及び蓋部を熱可塑性発泡樹脂で、蓋部が煽り開閉可能に容器部と一体に形成され、収納物を覆う保護フィルムを、蓋部の開口端のみに接着してなる請求項4記載の包装納豆。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、包装状態の納豆及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の納豆(糸引き納豆)は、発泡スチロール容器やフィルムコーティング厚紙容器に収納し、更に添付する調味料(タレ)やからしを個包装し、納豆を覆った仕切りフィルム上に載置して容器内に収納しているのが一般的である。
【0003】
しかし調味料等を個包装した場合には、喫食に際して個包装から調味料等を取出す作業が面倒であること、また納豆容器自体を喫食用の容器として使用する場合に、個包装材がテーブル上でゴミとして生ずることなどから、調味料等の個包装を採用しなくとも良い手段が従前より提案されている。
【0004】
例えば特開昭58−111656号公報(特許文献1)には、納豆中に粘性を備えた調味料を注入する手段が開示されている。
【0005】
また特開平7−184582号公報(特許文献2)及び特開2000−313490号公報(特許文献3)には、納豆収納部に隣接して折り返し可能に連結した調味料(具材)の収納部を形成し、両者を同一の蓋体で被覆している手段が開示されている。
【0006】
また登録実用新案第3038790号公報(特許文献4)には、納豆容器に主収納部の他にポケット部を設け、ポケット部に調味液を収納し、喫食時にポケット部側壁を穿孔することで、調味液を納豆収納部に放出するようにしている構造が開示されている。
【0007】
更に個包装の調味料等を納豆収納容器内に一緒に収納するためには、個包装部分に発酵生成物である粘着物(グルタミン酸のポリペプチドとフラクトースの重合物)が付着しないように納豆部分の表面に仕切り用の保護フィルムを介在させている。しかし保護フィルムを喫食に際して取り除く時、保護フィルムに納豆粘質物が付着して取り扱いが面倒である。
【0008】
前記の対策として特開2002−34470号(特許文献4)に、仕切りフィルムに 可食フィルムを使用することが開示されている。
【0009】
【特許文献1】特開昭58−111656号公報。
【特許文献2】特開平7−184582号公報。
【特許文献3】特開2000−313490号公報。
【特許文献4】登録実用新案第3038790号公報。
【特許文献5】特開2002−34470号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記したとおり納豆容器において調味料等の個包装を回避する手段が種々提案されているが、製造工程や、喫食時の必要動作を考慮すると必ずしも最適な納豆の包装手段とはいえない。
【0011】
例えば特許文献1記載のとおり、納豆中に粘性を備えた調味料を注入する手段では、蒸煮大豆内に予め調味液を入れて発酵処理を行うと、納豆菌によって調味液が分解されてしまうので、調味料の注入は発酵後に行わなければならなく、専用の注入装置が必要でありしかも粘質物の付着等の煩雑な問題が生ずる。更に流通過程において、調味液が納豆菌による分解によって物性が変化する虞もある。
【0012】
また特許文献2,3,4記載の区画部(ポケット)包装においても、調味液が流通過程で零れ出ないように密封包装が必要である。このため区画部と納豆収納部とを一緒に密封包装するためには、発酵処理後の調味液充填並びに密封包装が必要であり、発酵物(納豆)を収納した状態での作業となり、衛生面や作業性で問題がある。
【0013】
更に区画部包装においては、蓋体を剥がした後、区画部をひっくり返したり、箸で刺突しての穿孔が必要で、喫食時の動作が煩雑である。
【0014】
また仕切りフィルム(保護フィルム)に可食性フィルムを使用する場合にも、発酵処理前では、可食フィルムが納豆菌によって分解されるので、やはり発酵処理後の製造工程が必要となる。
【0015】
そこで本発明は、調味料を納豆と一括包装し、且つ常法とおり発酵処理後には外包装工程のみで良い新規な包装納豆及びその製造方法を提案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る包装納豆の製造方法は、納豆収納部及び適宜なポケット部を有する容器部と、全体の蓋部とを備えた包装容器を形成し、納豆収納部に蒸煮大豆を収納すると共に納豆菌を植え付け、ポケット部に調味液に増粘多糖類を混合して半固形状とした調味料を収納し、通気性を供えた蓋部で容器部上面を塞ぎ、常法とおり発酵条件を満たす雰囲気下において発酵させてなることを特徴とするものである。
【0017】
また本発明に係る包装納豆は、前記製造方法で製出されるもので、納豆収納部及び適宜なポケット部を有する容器部と、全体の蓋部とを備えた包装容器を形成し、納豆収納部に納豆が収納され、ポケット部に増粘多糖類を用いた半固形状で、塩分を10%以上とした調味料を収納してなることを特徴とするものである。
【0018】
従って従前と同様に蒸煮大豆と調味料を所定の容器に収納した状態で発酵処理が可能であり、喫食に際しては、半固形状の調味料を納豆収納部分に移して攪拌することで、納豆と調味料を混合し、納豆に味付けを施すことができる。
【0019】
また特に本発明(請求項5)の包装納豆は、容器部及び蓋部を熱可塑性発泡樹脂で、蓋部が煽り開閉可能に容器部と一体に形成され、収納物を覆う保護フィルムが、蓋部の開口端にのみに接着してなるものである。
【0020】
而して蓋部を開被すると、保護フィルムも一緒に捲り上げられることになり、保護フィルムの剥ぎ取り動作や保護フィルムの取出し後の後処理を必要としない。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、以上の通りの構成で、調味料が納豆と一緒に容器包装されているので、調味料の個包装が必要でなく、個包装に伴う諸問題が解決するし、また特に調味料を蒸煮大豆の収納時に一緒に収納できるので、発酵後は外包装のみでよく、従前の個包装を行わない調味料添付の包装納豆の製造に比較して、煩雑さを解消したものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に本発明の実施形態をその製造手順に沿って説明する。使用する包装部材は、包装容器1と保護フイルム2で、包装容器1は、従前から多用されている発泡スチロール樹脂製で、容器部11及び蓋部12を、蓋部12が煽り開閉可能に容器部と一体に形成されたものである。
【0023】
特に容器部11は、納豆収納部13と納豆収納部13より小さく形成したポケット部14を備え、納豆収納部13とポケット部14の間には、蓋部12を閉めた場合に蓋部12と密着する仕切り15を設けてなる。
【0024】
前記包装容器部11の納豆収納部13に蒸煮大豆Aを収納し、ポケット部14に調味料Bを収納する。
【0025】
調味料Bは、調味液(醤油を主成分とし、砂糖、練りからし、米発酵調味料、酢、食塩、魚醤、鰹エキスなどを添加したもの)に、海草・紅藻類由来の増粘多糖類0.1〜5.0%(好ましくは1.0〜2.0%)及び種子由来の増粘多糖類0.05〜3.0%(好ましくは0.4〜0.8%)を加えて半固形状(ゲル状)としたもので、全体の塩分濃度を10%以上に調製したものである。
【0026】
次に蒸煮大豆Aに常法とおり所定量の納豆菌を植え付け、保護フィルム2で容器部11の開口部全体、即ち蒸煮大豆Aの表面及び調味料Bの表面全体を覆うようにし、蓋部12を閉じ、熱による溶着によって蓋部12を固定し、然る後発酵室に入れ、所定の雰囲気下で納豆菌の繁殖及び納豆菌による大豆たんぱくの分解処理がなされるものである。
【0027】
特に前記の保護フィルム2は、蓋部12の開口端近傍の縁部17において、蓋部12の裏面に付着するようにしておくものである。
【0028】
付着手段としては、例えば熱によって接着力が機能する接着剤21を塗布しておくと共に、常法のとおり容器部11の縁部16と蓋部12の開口端縁部17の一部を、重ね合わせ状態で強圧加熱すると、部材の一部が溶融して溶着する際に、前記接着剤21の塗布箇所と蓋部12の開口端縁部17の裏面とを押圧して接着する。
【0029】
勿論容器部11の縁部16と、蓋部12の開口端縁部17の熱溶着箇所が確保できるように、保護フィルム2の端縁を凹凸形状としたり、透孔を設けたり、縁部16,17の端縁より後退させる等の処置が必要である。
【0030】
発酵室で発酵させた後は、必要に応じて低温熟成させ、更に流通に対応する外包装を施して、包装納豆商品として流通させるものである。
【0031】
前記の包装納豆は、納豆収納部13内の納豆Cと、ポケット部14内の半固形状の調味料Bとは仕切り15によって分離されているので、納品運搬時や購入者の買い物に際して、両者が混合することがなく、特に蓋部12を閉めた場合に、仕切り15の上面が蓋部12と密着するように設けておくと、蓋部12の開被まで確実に分離されている。
【0032】
そして喫食に際して蓋部12を開被すると、蓋部12と一緒に保護フィルム2も捲り上げられ、納豆Cと調味料Bが露出する。そこで調味料Bを箸Dなどで納豆C側に移動させ、納豆Cを攪拌することで調味料Bが納豆と混ざり、納豆に味付けが施され、喫食に供されるものである。
【0033】
従って調味料Bの個包装がないので、個包装を開く煩雑さもなく、また個包装によるゴミの発生もない。しかも前記の調味料の容器収納は、納豆発酵前に実施することができるので、製造工程における煩雑さが生じない等の利点を有している。
【0034】
尚本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、容器材質は他の材質でもよく、これに伴なって蓋部の構造や、蓋部の閉塞手段も適宜定められるものである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態の全体斜視図(発酵処理前の説明図)。
【図2】同蓋部を閉塞した状態を示す一部断面図。
【図3】同蓋部を開被した状態を示す断面図。
【図4】同喫食時の状態を示す断面図。
【符号の説明】
【0036】
A 蒸煮大豆
B 調味料
C 納豆
D 箸
1 包装容器
11 容器部
12 蓋部
13 納豆収納部
14 ポケット部
15 仕切り
16,17 縁部
2 保護フィルム
21 接着剤
【出願人】 【識別番号】504112805
【氏名又は名称】株式会社山ノ下納豆製造所
【住所又は居所】新潟県新潟市山木戸7丁目6番47号
【出願日】 平成16年3月23日(2004.3.23)
【代理人】 【識別番号】100084102
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 彰

【公開番号】 特開2005−269909(P2005−269909A)
【公開日】 平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願番号】 特願2004−83888(P2004−83888)