| 【発明の名称】 |
揚げ物用衣材及び揚げ物 |
| 【発明者】 |
【氏名】門倉 英樹 【住所又は居所】千葉県市川市東大和田2−4−10 昭和産業株式会社食品開発センター内
【氏名】金森 真奈美 【住所又は居所】千葉県市川市東大和田2−4−10 昭和産業株式会社食品開発センター内
【氏名】薄井 富美子 【住所又は居所】東京都内神田2−2−1 昭和産業株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】衣にサクサク感があり、かつ揚げ種がジューシーな揚げ物を提供できる衣材を提供すること。
【解決手段】配合組成に脱脂大豆粉と卵黄蛋白を少なくとも含有するようにした揚げ物用衣材を提供するとともに、該揚げ物用衣材を用いることを特徴とする、から揚げ、フリッター、フライなどの揚げ物を提供する。この揚げ物は、乳化剤などの食品添加物を含まない配合組成であっても、衣にサクサク感があり、かつ揚げ種がジューシーである。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 脱脂大豆粉と卵黄蛋白を少なくとも含有する揚げ物用衣材。 【請求項2】 請求項1記載の揚げ物用衣材が用いられたことを特徴とする揚げ物。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、から揚げ、フリッター、フライなどの揚げ物の品質向上に係わる技術に関する。より詳しくは、乳化剤などの食品添加物を含まない配合組成であっても、衣部分と揚げ種の両方の食感・風味が良好である揚げ物を提供できる技術に関する。 【背景技術】 【0002】 から揚げ、フリッター、フライなどの揚げ物は、一般に、小麦粉、澱粉などの穀粉を主材とする粉末状の衣材料を揚げ種に付着させるか、又はプレミックスに対して加水して得られるスラリー状のバッターを揚げ種に衣として付着させるかした後に、これを高温に熱した油で揚げることによって得られる。 【0003】 揚げ物は、その種類によっても多少異なるが、一般には、(1)衣部分はサクサクとした食感が求められ、(2)衣に包まれた揚げ種(具材)部分はジューシー感のある品質であることが求められる、ことが多い。 【0004】 このため、上記品質を実現するために、従来から衣材に係わる様々な技術開発が行われてきている。ここに、主な従来技術を挙げる。まず、特許文献1には、サクサクした食感と品質保持性の改善を目的とする、全脂大豆粉を小麦粉主体の穀粉に所定割合で配合する揚げ物用の衣組成物が開示されている。 【0005】 特許文献2には、柔らかさ、口解け、しっとり感などの風味・食感を得ることを目的とする、脱脂卵黄粉末を含有するプレミックス用品質改良材と該改良材を配合したプレミックスが開示されている。このプレミックスは、唐揚げ粉用としても使用できる旨も記載されている。 【0006】 特許文献3には、衣のサクサク感と具材のジューシー感の両方を備える品質を得ることを目的とする、大豆蛋白を含む植物蛋白又は乳蛋白を含有するフライ食品用品質改良材と該改良材を用いたフライ食品が開示されている。 【0007】 特許文献4には、時間が経過しても衣の食感と外観を維持できるようにすることを目的とする、粉末大豆蛋白、粉末卵白、粉末卵黄、粉末油脂、さらには、食品添加物である膨張剤及び増粘多糖類などを含み得る揚げ物用衣材が開示されている。 【0008】 また、揚げ種のジューシー感を維持するためには、一般には、乳化剤などの食品添加物を配合すると効果的であることが知られている。例えば、特許文献5には、ショ糖脂肪酸エステルやプロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチンから選ばれる乳化剤を用いる唐揚げ粉が開示されており、この技術によれば、食肉などの揚げ種(具材)が柔らかく、唐揚げ粉の揚げ種(具材)への付着が良好となる旨が記載されている。 【特許文献1】特開平2−39865号公報。 【特許文献2】特開平11−103759号公報。 【特許文献3】特開2002−142702号公報。 【特許文献4】特開平7−67565号公報。 【特許文献5】特開平6−237723号公報。 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0009】 しかしながら、上掲したような有力な従来技術を用いても、依然、衣がサクサクした食感で、かつ揚げ種がジューシー感を有する揚げ物を提供するための技術にはさらに改良が必要である。特に、揚げ種の水分が衣へ移行することによって、衣のサクサク感、並びに揚げ種のジューシー感が、調理時から経時的に喪失してしまうという技術的課題を有効に解決できる技術が求められている。 【0010】 また、近年、食品への自然志向、あるいは天然志向が非常に高まっている。例えば、コンビニエンスストアなどでも、食品添加物を使用しないことを商品コンセプトとして採用するようになっている。従って、から揚げ、フリッター、フライなどの揚げ物についても、他の食品同様に、食品添加物の配合されないものが強く望まれている。 【0011】 そこで、本発明は、前記技術的課題を有効に解決して、衣のサクサク感と揚げ種のジューシー感を備える品質を提供でき、さらには、乳化剤等の食品添加物を配合しなくても前記品質を提供できる揚げ物用衣材、さらには、該衣材を用いて得た揚げ物を提供することを主な目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0012】 本願発明者らは、上記技術的課題を解決すべく長年鋭意研究を重ね、試行錯誤を繰り返すうちに、とくに乳化剤などの食品添加物を用いない配合であっても、揚げ物の衣部分がサクサクとしていて、かつ揚げ種の水分が保持されてジューシーな揚げ物を提供できる衣材の組成を見出し、本発明を完成させた。 【0013】 本発明は、脱脂大豆粉と卵黄蛋白を少なくとも含有する揚げ物用衣材を提供し、この揚げ物用衣材が用いられた揚げ物を提供する。本発明に係る揚げ物用衣材の特徴は、ともに天然組成物である脱脂大豆粉と卵黄蛋白を組み合わせて用いることである。 【0014】 この揚げ物衣材を用いると、意外にも、揚げ種のジューシー感を維持する効果などがあることが知られている乳化剤などの食品添加物をとくに配合しなくても、揚げ種の柔らかさとジューシー感を維持することができ、しかも、衣部分がサクサクとした好ましい食感を得ることができる。 【0015】 これは、脱脂大豆粉と卵黄蛋白のともに脱脂処理された天然組成物を組み合わせることが、その具体的な作用機序は不明であり、現在解明中であるが、特に、揚げ種の水分が衣へ移行の防止に効果を発揮し、衣のサクサク感、並びに揚げ種のジューシー感を加熱時や経時的に喪失してしまうのを防止できるからと考えることができる。 【0016】 ここで、本発明で用いる「脱脂大豆粉」は、脱脂大豆を粉砕したものである。本発明ではその加工方法について狭く限定しないが、一般に脱脂大豆は、丸大豆の夾雑物を除き、調質、洗浄、割砕、脱皮し、再び温度及び湿度を調整した後に、圧扁、フレーク状にした大豆素材を溶媒抽出するなどの処理により脱脂処理し、適宜の方法での脱溶剤処理を行い、必要により加熱処理して、乾燥したものである。それを粉砕したものが脱脂大豆粉である。脱脂大豆粉の油分は、通常5%以下であり、好ましくは1%以下である。また、脱脂大豆を加熱しながら強い衝撃の物理的処理、例えば、攪拌、押出し、圧延などの処理を行なうと、蛋白質分子は凝固を起こし、繊維蛋白による粒状(組織状)の大豆蛋白質が形成されるが、このような粒状大豆蛋白を粉砕した粉末状物質も、本発明の脱脂大豆粉に含まれる。 【0017】 本発明で用いる「卵黄蛋白」は、通常約60%の脂質を含有する卵黄粉末を、脂質が10%以下になるように脱脂したものである。卵黄から脱脂する方法は、本発明では特に限定されず、通常、食品に適用できる脱脂方法を採用することができる。例えば、乾燥卵黄を加圧により搾油して脱脂する方法、生卵黄や乾燥卵黄を有機溶媒によって抽出し脱脂する方法、さらには、超臨界流体により抽出する方法などを例示できる。このようにして脱脂処理された卵黄蛋白を粉末状にして配合する。 【0018】 本発明に係る揚げ物用衣材は、脱脂大豆粉と卵黄蛋白を組み合わせることを必須の構成とする。その他の配合素材としては、通常の揚げ物用衣材の主材となる小麦粉、デュラム小麦粉、澱粉などの穀粉類と、その他必要により、食塩、醤油、天然旨み調味料、香辛料などの副材料を適宜使用することができる。また、場合によっては、乳化剤や膨張剤などの食品添加物を目的に応じて添加してもよいが、天然物組成の食品を得る場合は、前記食品添加物を配合組成から排除すればよい。なお、本発明において食品添加物とは、化学的合成品からなる添加物及び乳化剤、増粘剤、保存剤を総称したものをいう。 【0019】 また、本発明に係る揚げ物用衣材は粉末状であり、これをそのまま揚げ種に付着させて用いたり、あるいは加水してスラリー状のバッターにして揚げ種に付着させて用いたりした後に、熱した油で揚げるなどして、所望の揚げ物を得ることができる。特に、加水してスラリー状のバッターとすると、脱脂大豆粉と卵黄蛋白の揚げ種表面への薄膜形成能が高まって、揚げ種からの水分流出が防止されるため、ジューシー感を高めることができる。 【発明の効果】 【0020】 本発明に係る揚げ物衣材によれば、乳化剤などの食品添加物を衣材成分として配合しなくても、衣がサクサク食感で、かつ揚げ種がジューシー感を有する揚げ物を提供することができる。 【実施例】 【0021】 以下、本発明に係る実施例と比較例について説明し、この説明を通じて、本発明の効果を検証する。なお、本発明は、以下に記載する実施例に限定されない。 【0022】 (実施例1〜5) 以下の「表1」に示す配合組成からなる揚げ物衣材(唐揚げ粉)を用いて、唐揚げを製造した。具体的には、脱脂大豆粉と卵黄蛋白の両方が配合された実施例1〜5のそれぞれの揚げ物衣材50gに水50gを加えて衣を製造し、これを20gにカットした鶏ムネ肉に絡めて、温度165℃の油で3分間フライして、唐揚げを得た。 【0023】 【表1】
【0024】 (比較例1〜10) 以下の「表2」に示す配合組成からなる揚げ物衣材(唐揚げ粉)を用いて、唐揚げを製造した。具体的には、比較例1〜10のそれぞれの揚げ物衣材を用いて、上記実施例の場合と同様の方法で、唐揚げを得た。なお、「表2」を見れば理解できるように、比較例1は、脱脂大豆粉と卵黄蛋白の両方を含まない配合組成例、比較例2〜4は、脱脂大豆粉単独使用の配合組成例、比較例5〜7は、卵黄蛋白単独使用の配合組成例、比較例8〜10は、脱脂大豆粉や卵黄蛋白粉末についての代替組成物を使用した例であり、主に実施例3に対する比較例である。なお、すべての実施例、比較例について、乳化剤などの食品添加物は一切配合されていない。 【0025】 【表2】
【0026】 上掲する「表2」に示された配合の揚げ物衣材を用いて得られた唐揚げを熟練した7名のパネラーによって食味評価を行った。 【0027】 評価項目は、(1)衣のカラッと感、(2)揚げ種(具材である鶏ムネ肉)のジューシー感、(3)衣のサクサク感、(4)衣のひき(歯切れ)具合、(5)揚げ種に対する衣の結着性、(6)油っぽさ、(7)生地の粘度、以上7項目である。評価は、各項目について、「非常に良好」、「良好」、「普通」、「やや不良」、「不良」の五段階評価を行い、各パネラーが非常に良好:5点、良好:4点、普通:3点、やや不良:2点、不良:1点の各評点を与えるようにして、パネラー全員の平均評点(小数点切り捨て)を各項目の最終評点とした。なお、「生地の粘度」の評価については、絶対評価が難しいことから、比較例1との比較での相対評価を行った。 【0028】 また、総合評価は、各項目の最終評点の合計評点数で行った。以下に、実施例1〜5に係わる評価結果を「表3」に、比較例1〜10に係わる評価結果を「表4」にそれぞれ示した。 【0029】 【表3】
【0030】 【表4】
【0031】 評価結果をまとめた前掲の「表3」並びに「表4」を参照すると、実施例1〜5の配合組成からなる揚げ物衣材で製造された唐揚げの方が、比較例1〜10の配合組成からなる揚げ物衣材で製造された唐揚げよりも評価が高いことがわかる。特に、実施例1〜5に対応する唐揚げの「ジューシー感」については、すべて最高評点の5点であった。 【0032】 また、実施例1〜5の唐揚げと比較例1〜7の唐揚げの評価を比較すると、脱脂大豆粉、あるいは卵黄蛋白を単独で用いた配合組成よりも、脱脂大豆粉と卵黄蛋白を併用した配合組成の方が、品質が良好な揚げ物を得ることができることが明らかになった。 【0033】 そして、比較例1〜7の結果を検討すると(「表4」参照)、「卵黄蛋白」が配合されない状態で脱脂大豆粉の配合比率を上げると、生地の粘度が上がって作業性に変化をきたすことがわかった(特に、「表4」の比較例4の結果を参照)。一方、脱脂大豆粉が配合されない状態で卵黄蛋白の配合比率を上げると、「衣のひき」が出てきて食感が悪くなることがわかった(特に、「表4」の比較例7の結果を参照)。従って、脱脂大豆粉、あるいは卵黄蛋白を単独で用いた配合組成において、これらの組成物の配合比率を単独で引き上げても、良い結果が得られないことがわかった。 【0034】 さらに、実施例3(「脱脂大豆粉」と「卵黄蛋白」を各3重量%含有する例)と比較例8(「脱脂大豆粉」と「卵黄粉末」を各3重量%含有する例)を比較したところ、(脱脂処理されていない)卵黄粉末が配合されている衣材(比較例8)を用いて揚げると、揚げ油中にカニ泡が発生し、油が汚れ易かった。これは、揚げている間に、衣材からレシチンなどの脂質が揚げ油中に溶出し、揚げ油が汚れ易くなると考えられる。従って、この点において、脱脂処理されている「卵黄蛋白」の方が、脱脂処理されていない「卵黄粉末」よりも好ましいことが明らかになった。なお、「ジューシー感」についても、実施例3の評点が5点であるのに対して、比較例8は3点である。 【0035】 脱脂大豆粉と分離大豆蛋白とを比較するために、実施例3と比較例9(「分離大豆蛋白」と「卵黄蛋白」を各3重量%含有する例)の比較を試みた。この結果、実施例3では、結着性の評点が5点であったのに対して、比較例9では、同評点が3点であった。従って、脱脂大豆粉は、分離大豆蛋白よりも揚げ種に対する衣の結着性に好影響を与えることがわかった。なお、「ジューシー感」についても、実施例3の評点が5点であるのに対して、比較例9は3点である。 【0036】 脱脂大豆粉と含脂大豆粉とを比較するために、実施例3と比較例10(「含脂肪大豆粉」と「卵黄蛋白」を各3重量%含有する例)の比較を試みた。この結果、含脂大豆粉を配合した衣材を用いた唐揚げ(比較例10)は、油っぽくなる。これは含脂大豆粉中の脂質が衣表面に溶出して広がり、さらに揚げ油も浸透して油っぽくなったものと考えられる(「表4」の比較例10の「油っぽさ」の評点:2点を参照)。従って、この点において、脱脂大豆粉の方が、含脂大豆粉よりも好ましいことが明らかになった。なお、「ジューシー感」についても、実施例3の評点が5点であるのに対して、比較例10は3点である。 【0037】 これらの結果から、揚げ物衣材中に脱脂大豆粉と卵黄蛋白の両方をバランスよく配合すると、乳化剤などの食品添加物を配合しなくても、品質が良好な唐揚げを提供できることが明らかになった。 【産業上の利用可能性】 【0038】 本発明は、から揚げ、フリッター、フライなどの揚げ物の衣材として有用である。特に、乳化剤などの食品添加物が含まない、天然素材のみからなる衣材、あるいはプレミックス、バッター液などに広く利用することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000187079 【氏名又は名称】昭和産業株式会社 【住所又は居所】東京都千代田区内神田2丁目2番1号
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| 【出願日】 |
平成16年2月27日(2004.2.27) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100112874 【弁理士】 【氏名又は名称】渡邊 薫
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| 【公開番号】 |
特開2005−237350(P2005−237350A) |
| 【公開日】 |
平成17年9月8日(2005.9.8) |
| 【出願番号】 |
特願2004−55596(P2004−55596) |
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