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【発明の名称】 麺用ホグレ剤
【発明者】 【氏名】村椿 康隆

【氏名】楠井 啓介

【要約】 【課題】少量で優れたホグレ効果が得られる麺用ホグレ剤を提供する。

【解決手段】a)クエン酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド、及びジアセチル酒石酸モノグリセリドからなる群から選択された1種又は2種以上、b)HLB値が10以上であり、モノエステル含量が70%以上であり、かつ構成脂肪酸のうちでステアリン酸及びパルミチン酸の含量が95%以上であるショ糖脂肪酸エステル、及び重合度4〜10であるポリグリセリンと脂肪酸とのモノ又はジエステルであり、HLB値が10以上であり、かつ構成脂肪酸のうちでステアリン酸及びパルミチン酸の含量が95%以上であるポリグリセリン脂肪酸エステルからなる群から選択された1種又は2種以上、及びc)澱粉又は澱粉分解物から構成され、目開き180μmの篩の透過率が95%以上であり、1%溶液のメディアン径が50μm以下である、粉末状または顆粒状の形態を有するものとする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)クエン酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド、及びジアセチル酒石酸モノグリセリドからなる群から選択された1種又は2種以上、
b)HLB値が10以上であり、モノエステル含量が70%以上であり、かつ構成脂肪酸のうちでステアリン酸及びパルミチン酸の含量が95%以上であるショ糖脂肪酸エステル、及び重合度4〜10であるポリグリセリンと脂肪酸とのモノ又はジエステルであり、HLB値が10以上であり、かつ構成脂肪酸のうちでステアリン酸及びパルミチン酸の含量が95%以上であるポリグリセリン脂肪酸エステルからなる群から選択された1種又は2種以上、及び
c)澱粉又は澱粉分解物
から構成され、目開き180μmの篩の透過率が95%以上であり、1%溶液のメディアン径が50μm以下である、粉末状又は顆粒状の形態を有することを特徴とする麺用ホグレ剤。
【請求項2】
前記a成分であるジアセチル酒石酸モノグリセリドの配合量が、a成分、b成分及びc成分の総量中0.1〜20重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の麺用ホグレ剤。
【請求項3】
前記a成分、b成分及びc成分の総量に対するa成分とb成分の合計量の割合が重量比で1:0.4〜0.8であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の麺用ホグレ剤。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、麺用ホグレ剤に関する。
【背景技術】
【0002】
麺類とは、小麦粉や穀粉、その他の原料に加水混練して製麺したものであり、そば、うどん等の和風麺、ラーメンなどの中華麺、スパゲッティ、マカロニなどの洋風麺など多くの種類がある。また、その形態も、生麺、茹で麺、蒸し麺、生タイプ即席麺(LL麺)、即席麺、乾麺、冷凍麺など様々である。
【0003】
麺用改質剤についてもこれまで多くのものが考案されており、麺線付着抑制、歩留まり向上、食感改良、保存性改良、製造時の生地のベタツキ抑制などを目的としたものがある。
【0004】
ホグレ性を付与する改質剤についても多くの文献に開示があり、例えば、食用油脂や乳化油脂を添加するもの、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどの食品用乳化剤を使用するものがある。
【0005】
また、ポリグリセリン脂肪酸エステルを使用したものについては、特開平10−201440号公報、特開平10−215802号公報、特開2001−95514号公報などに開示されているが、これらはいずれも十分な効果を得られているとは言えず、更なる改良を必要としている。
【0006】
また、その改質剤の添加方法としては、改質剤をそのままあるいは添加水に分散・溶解させて原料粉体に添加する方法(特開昭62−115245号公報)、添加剤を溶解した液に麺を浸漬する方法(特開昭58−141757号公報)などがある。
【0007】
しかしながら、原料粉体に改質剤を添加・練りこみを行った後麺帯を形成するものでは、原料に対して改質剤を多量に使用しないとホグレ効果が得られないところ、多量に使用すると麺自体の物性を損ねるだけでなく、風味にも問題が生じる。
【特許文献1】特開平10−201440号公報
【特許文献2】特開平10−215802号公報
【特許文献3】特開2001−95514号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、茹であるいは蒸し工程によりα化した麺線にホグレ剤溶液を、浸漬、スプレー、シャワーリング等により添加してホグレ性を付与することが可能であり、少量で十分な効果が得られる麺用ホグレ剤を提供することを目的とする。また、冷水に容易に分散、溶解させることができる、粉末状あるいは顆粒状のホグレ剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の麺用ホグレ剤は、上記の課題を解決するために、a)クエン酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド、及びジアセチル酒石酸モノグリセリドからなる群から選択された1種又は2種以上、b)HLB値が10以上であり、モノエステル含量が70%以上であり、かつ構成脂肪酸のうちでステアリン酸及びパルミチン酸の含量が95%以上であるショ糖脂肪酸エステル、及び重合度4〜10であるポリグリセリンと脂肪酸とのモノ又はジエステルであり、HLB値が10以上であり、かつ構成脂肪酸のうちでステアリン酸及びパルミチン酸の含量が95%以上であるポリグリセリン脂肪酸エステルからなる群から選択された1種又は2種以上、及びc)澱粉又は澱粉分解物から構成され、目開き180μmの篩の透過率が95%以上であり、1%溶液のメディアン径が50μm以下である、粉末状または顆粒状の形態を有するものとする。
【0010】
上記においてa成分であるジアセチル酒石酸モノグリセリドは、a成分、b成分及びc成分の総量中0.1〜20重量%配合されていることが好ましい(請求項2)。
【0011】
また、a成分、b成分及びc成分の総量に対するa成分とb成分の合計量の割合は重量比で1:0.4〜0.8であることが好ましい(請求項3)。
【発明の効果】
【0012】
本発明の麺用ホグレ剤によれば、これを水に溶解させてα化した麺線を浸漬等することにより麺線にホグレ性を付与することができ、少量で優れたホグレ効果が得られる。また、冷水に容易に分散、溶解させることができ、ハンドリング性能にも優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明で使用するa成分である有機酸モノグリセリドは、クエン酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリドのうちの1種又は2種以上である。特にジアセチル酒石酸モノグリセリドを、a成分、b成分及びc成分の総量中0.1〜20重量%配合することが好ましい。0.1重量%未満では、添加による効果が充分に得られず、20重量%を超えると遊離酸による品質の劣化、酸化が生じたりするおそれがあり、風味にも影響を及ぼす。
【0014】
本発明で使用するb成分は、上記のような特定のショ糖脂肪酸エステル及びポリグリセリン脂肪酸エステルのうちから選択された1種又は2種以上であり、ショ糖脂肪酸エステル及びポリグリセリン脂肪酸エステルの一方を用いてもよく、双方を用いてもよい。
【0015】
ショ糖脂肪酸エステルは、HLB値が10以上であり、モノエステル含量が70%以上であり、かつ構成脂肪酸のうちでステアリン酸及びパルミチン酸の含量が95%以上であるという3つの要件を満たしたものを使用する。
【0016】
また、ポリグリセリン脂肪酸エステルは、重合度4〜10であるポリグリセリンと脂肪酸とのモノ又はジエステルであり、HLB値が10以上であり、かつ構成脂肪酸のうちでステアリン酸及びパルミチン酸の含量が95%以上であるという3つの要件を満たしたものを使用する。
【0017】
これらの要件を満たしたショ糖脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン脂肪酸エステルを用いることにより、麺線同士の付着を抑制し、喫食時に容易に麺をほぐすことが可能となる。
【0018】
さらに澱粉及び澱粉分解物としては、トウモロコシ澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、加工澱粉等の各種澱粉、サイクロデキストリン、高度分岐環状デキストリン等の各種デキストリンが用いられ、果糖・ブドウ糖・乳糖・ショ糖やカゼインナトリウムを併用することもできる。
【0019】
上記a〜c成分の配合割合は、a成分、b成分及びc成分の総量に対するa成分とb成分の合計量の割合が重量比で1:0.4〜0.8であること、すなわち(a+b)/(a+b+c)=0.4〜0.8であることが好ましい。
【0020】
上記有機酸モノグリセリド、ショ糖脂肪酸エステルは、単独で使用すると冷水に溶解し難いという短所を有し、またポリグリセリン脂肪酸エステルは単独で冷水に溶解するが、ペーストあるいは柔らかい固体であり、ハンドリング性能が不良であるという短所を有する。本発明では、これらの成分を澱粉又は澱粉分解物と併用することにより、乳化液のスプレー乾燥が可能となり、よって冷水に容易に分散、溶解する粉末状あるいは顆粒としてホグレ剤が得られ、ハンドリング性能をも高めることができた。
【0021】
また、有機酸モノグリセリド及びポリグリセリン脂肪酸エステルは単独では粉末化することが困難であるが、本発明のように他の成分と併用することにより粉末化が容易となる。
【0022】
粉末状または顆粒状にした本発明の麺用ホグレ剤は、目開き180μmの篩の透過率が95%以上であり、かつ1%溶液のメディアン径が50μm以下であるものとする。これらの要件を満たすことにより、ホグレ性をより向上させることが可能となる。
【実施例】
【0023】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0024】
[実施例1〜8,比較例1〜6]
表1に示した有機酸モノグリセリド、ショ糖脂肪酸エステル(いずれも構成脂肪酸中ステアリン酸とパルミチン酸の合計量が95%以上)、ポリグリセリン脂肪酸エステル(いずれも構成脂肪酸中ステアリン酸とパルミチン酸の合計量が95%以上、モノ・ジエステル混合物)及びデキストリンを水に分散させ、70℃に加温してディスパー翼で撹拌して乳化し、pH=5.5〜8.0の範囲に調整した後、濃度15〜35%の乳化液を調製した。さらにホモジナイザーで均質化した後、スプレードライヤーを用いて乾燥させ、粉末状麺用ホグレ剤を得た。なお、スプレードライヤー(噴霧乾燥)による製剤化は、上記水溶液を回転数10000r.p.m.のアトマイザーに落下させ、150℃の空気の熱風を供給して行った。得られた麺用ホグレ剤につき、以下の測定・評価を行った。結果を表1に示す。
【0025】
180μm篩透過率(%):JIS K0069に従って、目開き180μmの篩を通過した試料の質量を百分率で表した。
【0026】
1%溶液の安定性:調製した粉末状麺用ホグレ剤を水に加え攪拌することで1%溶液を調製し、撹拌を止め、室温に30分静置した時の溶液の状態を観察し評価した。
【0027】
○:良好(分離なし)
△:僅かに分離、沈殿が見られるが、容易に再分散する
×:分離、沈殿が著しい
【0028】
1%溶液のメディアン径:上記と同様にして1%溶液を調製し、レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所製SALD−2000)を用いてメディアン径を測定した。
【0029】
【表1】


【0030】
〔ホグレ性の評価1(即席中華麺の場合)〕
上記実施例及び比較例のホグレ剤を水に溶解させて1.0%溶液及び0.5%溶液をそれぞれ調製し、下記配合、及び条件にて調製した中華麺100gを、これらの溶液に浸漬した後、十分に水切りを行い、80℃で熱風乾燥を行い、麺水分を5%に調整し、即席麺を得た。
【0031】
配合
原料 割合(部)
準強力粉 100
かんすい 0.2
食 塩 1
水 34
調製条件
混 捏 : 10分間
複 合 : 3回
熟 成 : 25℃、20分間
圧 延 : 3回、その後切り出し
蒸 煮 : 2分間
【0032】
調製した即席麺に、85℃の湯400mlを加えて5分間静置した後、ざるに空け、麺のほぐれる状態を観察した。結果を表2に示す。
【0033】
麺のホグレ性は、以下の基準で評価した(以下、同様);
○:容易にほぐれる
△:ややほぐれにくい
×:ほぐれにくい
【0034】
【表2】


【0035】
〔ホグレ性の評価2(盛りつけうどんの場合)〕
上記実施例及び比較例のホグレ剤を水に溶解させて1.0%溶液及び0.5%溶液をそれぞれ調製し、下記配合、方法にて調製したうどん100gに、これらの溶液をシャワーリングした後十分に水切りを行い、容器に盛り付け、評価サンプルを得た。これを5〜10℃で一晩保存した後、麺のホグレ性を評価した。結果を表3に示す。
【0036】
配合
原料 割合(部)
準強力粉 58
薄力粉 42
食 塩 1.4
水 34
調製条件
混 捏 : 10分間
複 合 : 3回
熟 成 : 25℃、30分間
圧 延 : 3回
切り出し: 12番
茹 で : 15分間
【0037】
【表3】


【0038】
〔ホグレ性の評価3(生タイプ即席麺(うどん)の場合)〕
実施例及び比較例のホグレ剤及び乳酸を水に溶解させて、ホグレ剤1%又は0.5%、乳酸1.8%の溶液を調整した。下記配合、方法にて調製したうどん100gを、この溶液に80℃で1分間浸漬した後十分に水切りを行い、パウチ袋に入れシールした。その後、90℃で40分間加熱滅菌し、流水で冷却した。これを5℃で5日間保存した後、麺のホグレ性を評価した。結果を表4に示す。
【0039】
配合
原料 割合(部)
準強力粉 58
薄力粉 42
食 塩 1.4
水 34
調製方法
混 捏 : 10分間
複 合 : 3回
熟 成 : 25℃、30分間
圧 延 : 3回
切り出し: 12番
茹 で : 15分間
【0040】
【表4】


【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の麺用ホグレ剤は、そば、うどん等の和風麺、ラーメンなどの中華麺、スパゲッティ、マカロニなどの洋風麺等の各種麺類の製造に利用できる。
【出願人】 【識別番号】000003506
【氏名又は名称】第一工業製薬株式会社
【出願日】 平成16年2月24日(2004.2.24)
【代理人】 【識別番号】100059225
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 璋子

【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人

【公開番号】 特開2005−237226(P2005−237226A)
【公開日】 平成17年9月8日(2005.9.8)
【出願番号】 特願2004−48798(P2004−48798)