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【発明の名称】 玄米の発芽方法、乾燥発芽玄米の製造方法及び乾燥発芽玄米の製造装置
【発明者】 【氏名】南部 哲郎

【要約】 【課題】栄養素及び栄養価の破壊がないし、食味も優れている玄米の発芽方法、また雑菌が繁殖しないので異臭もなく長期間の保存にも耐えることができる乾燥発芽玄米の製造方法及びそのための装置を提供する。

【解決手段】水槽1は底部側に開閉弁3により開閉可能な排水口4が設けてある。水槽1内には多孔処理槽5が回転可能に内設してある。水槽1は底部2B側に低温空気を吹き込む空気吹き込み手段8の噴射ノズル9、9、・・・が設けてある。多孔処理槽5には、玄米供給管15を介して玄米が供給され、給水管16を介して洗浄用、発芽用の水が供給される。また、天然ニガリがニガリ供給管17により供給されるようになっている。多孔処理槽5内で玄米の発芽、乾燥処理が行われ、得られた乾燥発芽玄米は発芽玄米吸引管18によって貯蔵槽に移送される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
玄米を6〜10℃、望ましくは8℃の冷水に48時間浸漬することにより、該玄米を発芽させることを特徴とする玄米の発芽方法。
【請求項2】
前記玄米は、天然ニガリを0.3重量%溶解した水に5時間浸漬することにより、マグネシュウムを富化してミネラル組成が改質された玄米にしたものであることを特徴とする請求項1記載の玄米の発芽方法。
【請求項3】
請求項1記載の発芽方法により発芽した発芽玄米は水切りし、次いで10〜20℃の冷風を略均一に24時間吹き付けることにより水分含有率13%にまで乾燥することを特徴とする乾燥発芽玄米の製造方法。
【請求項4】
底部側に開閉可能な排水口を有する水槽と、該水槽内に配置され、駆動手段により横方向に回転駆動される多孔処理槽と、前記水槽内に低温空気を吹き込む空気吹き込み手段と、前記多孔処理槽内に玄米を供給する玄米供給管と、前記水槽内に水を供給するための給水管と、前記多孔処理槽内から乾燥した発芽玄米を移送するための移送手段とから構成してなる乾燥発芽玄米の製造装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、白米より栄養価の高い玄米を栄養価を損なうことなく食べ易く、食味に優れている発芽玄米に加工する玄米の発芽方法、乾燥発芽玄米の製造方法及び乾燥発芽玄米の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
玄米を発芽させた発芽玄米は柔らかくて食し易いと共に美味しく、また白米より栄養価が高いので近年その需要が高まっている。この玄米を発芽させる方法として、従来は特許文献1の従来の技術の箇所に示すように、玄米を温度が20〜40℃の温水に適宜の時間浸漬する方法が広く行われている。
【特許文献1】特開2003−79331号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、玄米を20〜40℃の温水に浸漬する従来の方法には、以下の欠点がある。即ち、20〜40℃の温水は一番発芽に適した温度ではあるが、腐敗にも適した温度であり、発芽のタイミングを見極めることが難しいことである。しかも、タイミングを過ぎると玄米が自己の成長のために栄養分を使うことから発芽玄米としての栄養価が失われてしまうことである。
【0004】
そこで、発芽した玄米を150℃の高温水に浸漬して瞬時に発芽を停止させ、100℃の高温水、アルコール或は酸で殺菌する方法も行われているが、高温水及び薬品によって玄米の栄養素が破壊されるし、味も低下するという欠点がある。また、腐敗に適した温度の水に玄米を浸漬するため、殺菌処理を行っても残留する一般生菌、雑菌、耐熱性菌を完全に除去することが困難であり、異臭を感じることがある。
【0005】
本発明は、上述した従来技術の問題点に鑑み鋭意研究した結果なされたもので、低温水と冷風により製造するので栄養素及び栄養価の破壊がないし、食味も優れている玄米の発芽方法、また雑菌等が発生しないので異臭もないし、長期間の保存に耐えることができるので保存性に優れている乾燥発芽玄米及びその製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために構成した請求項1に係る本発明の手段は、玄米を6〜10℃、望ましくは8℃の冷水に48時間浸漬することにより、該玄米を発芽させることにある。
【0007】
そして、前記玄米は、天然ニガリを0.3重量%溶解した水に5時間浸漬することにより、マグネシュウムを富化してミネラル組成が改質された玄米にするとよい。
【0008】
また、請求項3に係る本発明の手段は、請求項1記載の発芽方法により発芽した発芽玄米は水切りし、次いで10〜20℃の冷風を略均一に24時間吹き付けることにより水分含有率13%にまで乾燥することにより乾燥発芽玄米を製造するものである。
【0009】
更に、請求項4に係る本発明の手段は、底部側に開閉可能な排水口を有する水槽と、該水槽内に配置され、駆動手段により横方向に回転駆動される多孔処理槽と、前記水槽内に低温空気を吹き込む空気吹き込み手段と、前記多孔処理槽内に玄米を供給する玄米供給管と、前記水槽内に水を供給するための給水管と、前記多孔処理槽内から乾燥した発芽玄米を移送するための移送手段とからなる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は以上詳述した如く構成したから、下記の諸効果を奏する。
(1)玄米は6〜10℃、望ましくは8℃に保持した低温の水中で発芽させるから、発芽処理中に菌が発生したり増殖する事態を解消することができ、殺菌処理を不要にできる。また、雑菌等による異臭のない発芽玄米を得ることができる。
(2)乾燥発芽玄米は水分含有率が13%にしてあるから、保存性に優れており、常温で約2年間もの期間保存することができる。
(3)低温水と冷風のみで製造するから、栄養分が破壊されることがないし、従来方法では得られない良食味の発芽玄米を得ることができる。
(4)発芽工程で高温水や殺菌用の薬剤を使用しないから、栄養価を破壊することがない。また、玄米の生命力が維持されており、25〜30℃の低温水に4〜5日浸漬することにより発芽することができる。
(5)天然ニガリを使用することにより、マグネシュウム等のミネラル分の増加した発芽玄米を得ることができる。また、天然ニガリ中のマグネシュウム成分の一部は、玄米に付着している種々の菌類を吸着し、洗浄時に菌類と共に流亡するので腐敗を防止し、良食味を向上することができる。
(6)玄米の発芽及び乾燥工程を、水槽と該水槽内に設けた多孔処理槽の二重槽により連続して行うようにしたので、製造工程を効率化することができるし、大きな設備及びそのための工場を必要としない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳述する。図1において、1は水槽を示し、該水槽1は円筒状に形成して上方が開口した外胴部2Aと、該外胴部2Aの下端に設けた凹円錐状の底部2Bとからなる金属製の水槽本体2と、底部2Bの中心に設けられ、電磁式開閉弁3により開閉可能な排水口4とから構成してある。
【0012】
5は前記水槽1内に回転可能に設けた発芽及び脱水乾燥用の多孔処理槽で、該多孔処理槽5は上方が開口した円筒状の胴部5Aと、該胴部5Aの下端に設けた凹湾曲状の底部5Bと、胴部5Aの上端に内向き湾曲状に形成した返し縁部5Cを孔径が1ミリ程度の金属製のメッシュ板によって容器状に成形し、底部5Bの中央外面に基板5Dを固着した構成からなっている。6は前記多孔処理槽5を回転駆動するためのモータで、該モータ6は4本の脚7、7、・・によって水槽本体2の底部2Bに支持してあり、モータ6の回転軸は基板5Dに連結してある。
【0013】
8は水槽1内に10〜20℃低温の空気(以下、冷風という。)を高圧で吹き込むための空気吹き込み手段を示す。9、9、・・・は該高圧空気吹き込み手段8を構成する複数の噴射ノズルで、該各噴射ノズル9は水槽本体2の底部2Bに径方向と周方向に離間させて分散した状態で挿着してある。10は前記各噴射ノズル9に冷風を供給するための空気供給管で、該空気供給管10の分岐管10A、10A、・・・には電磁式の開閉弁11、11、・・・が設けてあり、玄米を冷水に浸漬する時に空気供給管10に冷水が浸入するのを防止している。12は空気供給管10の基端側に接続した空気タンク、13は該空気タンク12に接続した空気圧縮機で、該空気圧縮機13から約 kg/fの圧縮空気が供給される。14は空気供給管10の途中に設けた冷却機で、該冷却機14は圧縮されて温度が上昇している圧縮空気を冷却して水槽1内に約10〜20℃の低温の空気を噴出するためのものである。
【0014】
更に、15は多孔処理槽5内に玄米を負圧を利用して供給する玄米供給管で、該玄米供給管15の基端側は図示しない玄米貯蔵タンクに挿装してある。16は多孔処理槽5を含む水槽1内に水を供給する給水管、17は多孔処理槽5を含む水槽1内に天然ニガリを供給するニガリ供給管である。他方、18は発芽した玄米を図示しない発芽玄米貯蔵槽に移送するための玄米吸引管を示す。該玄米吸引管18は基端側に図示しない吸引ポンプが設けてあると共に、吸引作業時には先端側18Aが降下して多孔処理槽5内に進出するように昇降可能に構成してある。
【0015】
本実施の形態に係る乾燥発芽玄米の製造装置は上述の構成からなるが、次に該装置を用いた玄米の発芽方法及び乾燥方法について説明する。先ず、玄米を玄米供給管15によって多孔処理槽5に適宜量供給し、給水管16により給水する。次に、空気吹き込み手段8により高圧空気を各噴射ノズル9から水槽1内に吹き込み、多孔処理槽5内の玄米を上、下に撹拌して洗浄する。洗浄が終了したら開閉弁3を開いて排水口4から洗浄水を排出する。
【0016】
次に、排水口4を閉弁し、洗浄済の玄米を収容している多孔処理槽5に天然ニガリの0.3%溶解水を入れ、高圧空気を噴射ノズル9から吹き込んで2回程度の撹拌作業を行いその後5時間浸漬して排水する。しかる後再び水槽1に6〜10℃、望ましくは8℃の冷水を供給し、水温を所望温度に保持した状態で玄米を浸漬し、5時間毎に空気を高圧で吹き込み上、下に撹拌する。この作業を48時間継続することにより、玄米を発芽させることができる。
【0017】
玄米が発芽したら水槽1内から排水した後、再度水を供給して洗米を行って排水する。最後に、脱水用モータ6を駆動して多孔処理槽5を高速回転させ、遠心力により発芽玄米の脱水処理を行う。脱水が完了したら、多孔処理槽5を10分間に2〜10回転させながら噴射ノズル9から約10〜20℃の冷風を水槽1内に吹き込むことにより、約24時間後には発芽玄米を水分含有率13%にまで乾燥させることができる。
【0018】
水分含有率が13%の発芽玄米を得たら、玄米吸引管18の先端側18Aを降下させて吸引力により発芽玄米を貯蔵タンクに移送することにより、発芽玄米の製造工程が終了する。貯蔵タンクに収容した発芽玄米は適宜の量毎に袋詰めして販売に供する。
【0019】
上記工程において、玄米を浸漬する冷水の下限温度を6℃としているのは、この温度より低いと玄米の生殖作用が非常に不活発で休眠状態に近いことにある。また、冷水の上限温度を10℃より高く設定すると、24時間位で水切りを行い殺菌処理を行わないと菌が繁殖する危険性があることから、6〜10℃の冷水が最適とされる。そして、玄米の生殖作用を最適な水温の下で行うことにより、栄養価が高く頭脳の栄養とされるギャバの含有量を従来の発芽玄米の2倍にすることができる。
【0020】
また、発芽玄米の乾燥割合を水分含有率13%にしたのは、雑菌の繁殖が殆ど起きない上限の含有率であり、この値を越える水分含有率では気温の上昇する夏場に雑菌が繁殖する危険性がある。また、水分含有率13%にする乾燥工程は、乾燥作業の効率を損なわないという利点がある。水分含有率を12%以下に設定することも可能であるが、乾燥作業の効率が悪いという問題が残る。
【0021】
また、本実施の形態によれば、玄米の洗浄工程、天然ニガリ溶液浸漬工程、二次洗浄工程、発芽工程、及び乾燥工程を、水槽1と多孔処理槽5の二重槽により連続処理できるから製造効率に優れている。また、装置、工場の敷地、建屋を含めた設備費を節減することができる。
【0022】
なお、上記各工程において給水、排水、冷風の吹き込みとその停止、多孔処理槽5の回転等はマイコンを用いた制御盤で自動制御することができる。
【0023】
図2は第2の実施の形態を示す。なお、前述した第1の実施の形態の構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付して援用し、その説明を省略する。本実施の形態の特徴とするところは、多孔処理槽5と共に水槽21を油圧装置からなる傾転機構22により約10〜30度の適宜の角度αの範囲内で傾転可能に構成したことにある。このため、空気供給管23は分岐管23Aを伸縮可能なものにしてある。この構成によれば、脱水後の乾燥工程において、水槽1と共に多孔処理槽5を傾斜させた状態で回転させると、多孔処理槽5内で発芽玄米が上、下に順次入れ替わる結果、噴射ノズル9からの10〜20℃の冷風の吹き込みによる乾燥工程を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態に係る乾燥発芽玄米の製造装置の説明図である。
【図2】本発明の他の実施の形態に係る乾燥発芽玄米の製造装置の説明図である。
【符号の説明】
【0025】
1 水槽
4 排水口
5 多孔処理槽
8 低温空気高圧吹き込み手段
9 噴射ノズル
15 玄米供給管
16 給水管
18 発芽玄米吸引管(移送手段)
【出願人】 【識別番号】500346578
【氏名又は名称】有限会社なんぶ
【出願日】 平成16年2月24日(2004.2.24)
【代理人】 【識別番号】100082234
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 直樹

【公開番号】 特開2005−237221(P2005−237221A)
【公開日】 平成17年9月8日(2005.9.8)
【出願番号】 特願2004−48335(P2004−48335)