| 【発明の名称】 |
テンペ用スターター及びテンペの製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】小田 有二
【氏名】鬼頭 英樹
【氏名】齋藤 勝一
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| 【要約】 |
【課題】糸状菌アミロミセス・ルキシイを主要な微生物として含むテンペ用スターター及びそれによるテンペの製造方法の提供。
【解決手段】(1)糸状菌アミロミセス・ルキシイを主要な微生物として含むテンペ用スターター。(2)糸状菌アミロミセス・ルキシイを穀類あるいは豆類に増殖させたテンペ用スターター。(3)テンペを製造するのに糸状菌アミロミセス・ルキシイを主要な微生物として含むテンペ用スターターを使用するテンペの製造方法。(4)テンペを製造するのに糸状菌アミロミセス・ルキシイを穀類あるいは豆類に増殖させたテンペ用スターターを使用するテンペの製造方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 糸状菌アミロミセス・ルキシイを主要な微生物として含むことを特徴とするテンペ用スターター。 【請求項2】 上記糸状菌を穀類あるいは豆類に増殖させたことを特徴とする請求項1記載のテンペ用スターター。 【請求項3】 テンペを製造するのに糸状菌アミロミセス・ルキシイを主要な微生物として含むテンペ用スターターを使用することを特徴とするテンペの製造方法。 【請求項4】 テンペを製造するのに上記糸状菌を穀類あるいは豆類に増殖させたテンペ用スターターを使用することを特徴とする請求項3記載のテンペの製造方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、発酵食品であるテンペを製造するのに使用するスターター及びこれを使用したテンペの製造方法に関するものである。 【背景技術】 【0002】 テンペはインドネシア発祥の大豆発酵食品で、その起源は少なくとも今から500年前と言われている。同じ大豆の発酵食品である納豆と異なる点は、テンペ菌と呼ばれる糸状菌Rhizopus oligosporusやRhizopus oryzaeなどのリゾプス菌で発酵させるところである。テンペは大豆をそのまま原料として使っているので、大豆のもつ優れた栄養成分が失われずにそのまま含まれている。そればかりか、テンペ菌の分泌する様々な酵素によって、大豆タンパク質の消化率が高められ、グリコシル型イソフラボンの糖部分を切断して吸収しやすいアグリコン型イソフラボンに変換している。さらに、テンペ菌の増殖にともなって抗酸化酵素やγ-アミノ酪酸などの機能性成分が生成されている。テンペにはまた、納豆のような特有の匂いや粘りはまったくないことから、各種の料理に幅広く適用可能という利点がある。テンペは、大豆ばかりでなく各種の豆類、米、麦なども原料として使用することができる。 【0003】 テンペについての最近の先行技術としては、特許文献1に記載の大豆醗酵食品テンペ入り小麦粉加工食品の製法、特許文献2に記載の発酵食品の製造法、特許文献3に記載のハトムギテンペ製造方法、特許文献4に記載のテンペ様食品並びにその製造方法、特許文献5に記載のγ−アミノ酪酸及び遊離アミノ酸高含有発酵食品の製造方法に関するものなどがあるが、いずれも従来通りのRhizopus属糸状菌をスターターとして使用したものである。 【0004】 【特許文献1】特開2002−360227号公報 【特許文献2】特開平11−192065号公報 【特許文献3】特開平9−234007号公報 【特許文献4】特開平6−14735号公報 【特許文献5】WO01/093696号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 テンペ用スターターを原料に添加して発酵させると16時間までは何ら概観上の変化は起こらないが、16時間以降になるとスターター中のリゾプス菌が増殖して白色の菌糸がわずかに見えてくる。20時間を越えると菌糸は急に広がり、全面が白い菌糸でびっしりと覆われるようになる。これが出来上がりの状態であるが、冷却しないとリゾプス菌の増殖がさらに進んで黒斑が出現する。こうなると、テンペ全体が黒色化して商品としての価値は完全に失われてしまう。 本発明は、従来のリゾプス菌を含むテンペ用スターターとは異なり、発酵時間を長くしてもまったく黒色化しないテンペ用スターター及びこれを使用したテンペの製造方法を提供するものである。 【課題を解決するための手段】 【0006】 リゾプス菌を長時間増殖させたときに黒色化するのは、胞子嚢と呼ばれる黒色の胞子を含む嚢を形成するためである。しかし、黒色の胞子を形成しなければどのような糸状菌でも良いというわけではなく、Rhizopus oligosporusやRhizopus oryzaeなどのリゾプス菌でなければならない。そこで、本発明者らは、鋭意研究した結果、Rhizopus oryzaeと近縁であるが黒色の胞子を形成しないアミロミセス・ルキシイ(Amylomyces rouxii)で高品質のテンペを製造できることを発見し、従来のテンペ製造におけるの欠点を改善したテンペ用スターターを開発して本発明を完成させた。 【0007】 本発明でいうアミロミセス・ルキシイとは、アミロミセス・ルキシイに分類される糸状菌であれば、菌株は特に限定はしないものである。特に好ましくは、アミロミセス・ルキシイの標準株であるCBS 438.76株(CBS=Centraalbureau voor Schimmelcultures, the Netherland)である。 【0008】 本発明のテンペ用スターターは、以下の実施例に示す白米などの基質にアミロミセス・ルキシイを増殖させたものである。白米以外には、玄米、米ぬか、麦類、麦類ふすま、ソバなどの穀類、バレイショ、カンショなどのイモ類など、アミロミセス・ルキシイが増殖するものであれば特に限定はしない。増殖温度は、25〜40℃がが好ましく、さらに好ましくは30〜37℃が好ましい。これ以下の温度では増殖が遅く、これ以上では増殖できない。増殖期間は3〜7日が好ましく、さらに好ましくは4〜5日である。この範囲以下では増殖が不十分で、高すぎると菌の活性が低下する。いずれにしろ、増殖温度、期間などの条件は使用する基質を勘案し、適当に決定すればよい。 【発明の効果】 【0009】 本発明のテンペ用スターター及びテンペの製造方法は、請求項1〜4に記載の手段を有することにより、従来のリゾプス菌を含むテンペ用スターターとは異なり、発酵時間を長くしてもまったく黒色化しないテンペを製造することができる。また、テンペ用スターターを使用することにより、良質のテンペを容易に製造することができるテンペの製造方法を提供することができる。そして、消費の低迷している大豆の需要拡大に多大な寄与が期待できる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0010】 本発明の最良の実施形態を、以下の実施例によって説明する。本発明はそれらの実施例によっては何ら限定されるものではない。 【実施例1】 【0011】 糸状菌アミロミセス・ルキシイ(Amylomyces rouxii)CBS 438.76及びリゾプス・オリゴスポルス(Rhizopus oligosporus) NRRL 2710のそれぞれ一白金耳かき取ってPDA寒天平板培地に接種し、30℃、3日間培養した。スターターの基質となる白米20gはガラス製シャーレに測り取り、蒸留水10mlを加えて120℃、20分間高圧滅菌した。冷却後、白米の上に上記の菌糸が増殖したPDA寒天培地約3mm四方を切り出し、この滅菌した白米の上に載せた。30℃、3日間培養後、菌糸が増殖した白米をポリ袋に移し、米粒をばらばらにしたものをテンペ用スターターとした。 【0012】 テンペ用の原料である大豆500gは熱湯につけてから皮を剥ぎ、5%の穀物酢溶液2リットルに2時間浸漬した。これをコンロで加熱して30分間沸騰させた後、ザルに受けて室温まで冷却した。この煮豆100g当たり上記のテンペ用スターター1gを添加・攪拌して、約1cm間隔に爪楊枝で小さな穴を開けたチャックつきポリ袋(チャック下120mm, 袋幅85mm)に入れ、30℃で72時間まで培養した。表1は、出来上がったテンペの外観を観察した結果である。試験例1は比較例1よりも増殖が遅く、24時間目まで菌糸が未発達であったが、48時間目には全面が白色の菌糸で覆われて通常のテンペと同様の外観となった。また、72時間まで培養を続けても外観に変化は認められなかった。これに対して、比較例1は20時間で菌糸が充分に発達し、24時間目になると黒色の斑点が無数に発生して商品としての価値はまったく失われた。また、試験例1については48時間、比較例1については20時間培養したテンペを厚さ5mmにスライスし、5人のパネラーによる官能検査を行なった結果を表2に示した。試験例1は比較例1と同様にテンペとしての食感、味及び香りを備えており、試験例1を72時間培養しても食感、味及び香りの低下は感じられなかった。 【0013】 【表1】
【0014】 【表2】
【実施例2】 【0015】 玄米500gを0.5%の穀物酢溶液2リットルに入れ、コンロで加熱して15分間沸騰させた後、ザルに受けて室温まで冷却した。この煮た玄米100g当たり上記のテンペ用スターター1gを添加・攪拌して、約1cm間隔に爪楊枝で小さな穴を開けたチャックつきポリ袋(チャック下120mm,袋幅85mm)に入れ、30℃で72時間まで培養した。表3は、出来上がった玄米テンペの外観を観察した結果である。試験例2は比較例2よりも増殖が遅く、24時間目まで菌糸が未発達であったが、48時間目には全面が白色の菌糸で覆われた。また、72時間まで培養を続けても外観に変化は認められなかった。これに対して、比較例2は24時間以降、白色の菌糸が見えないまま全体に黒ずんできた。48時間培養した玄米テンペを厚さ5mmにスライスし、5人のパネラーによる官能検査を行なった結果を表4に示した。試験例2は食感、味及び香りのいずれも比較例2よりも良く、特に味は爽やかな酸味と甘さを兼ね備えたヨーグルトのようで優れていた。また、試験例2を72時間培養しても食感、味及び香りの低下は感じられなかった。 【0016】 【表3】
【0017】 【表4】
【産業上の利用可能性】 【0018】 本発明のテンペ用スターター及びテンペの製造方法により、従来のリゾプス菌を含むテンペ用スターターとは異なり、発酵時間を長くしてもまったく黒色化しないテンペを製造することがで、また、テンペ用スターターを使用することにより、良質のテンペを容易に製造することができるテンペの製造方法が得られる。そして、消費の低迷している大豆の需要拡大に多大な寄与が期待される。
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| 【出願人】 |
【識別番号】501203344 【氏名又は名称】独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構
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| 【出願日】 |
平成16年1月16日(2004.1.16) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100063565 【弁理士】 【氏名又は名称】小橋 信淳
【識別番号】100118898 【弁理士】 【氏名又は名称】小橋 立昌
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| 【公開番号】 |
特開2005−198584(P2005−198584A) |
| 【公開日】 |
平成17年7月28日(2005.7.28) |
| 【出願番号】 |
特願2004−9185(P2004−9185) |
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