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【発明の名称】 タマゴサラダ
【発明者】 【氏名】佐々木 幸子
【住所又は居所】東京都府中市住吉町5丁目13番地の1キユーピー株式会社研究所内

【氏名】森 佳光
【住所又は居所】東京都府中市住吉町5丁目13番地の1キユーピー株式会社研究所内

【要約】 【課題】口溶けがよく、かつコクのある新規なタマゴサラダを提供する。

【解決手段】卵黄の平均粒子径が体積換算で90μm以上であって、これを用いて製した標準乳化物の水層分離率が45%以下となるような加熱条件で得られた半熟卵を原料とし、これを水中油型乳化物と和えてなることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
卵黄の平均粒子径が体積換算で90μm以上であって、これを用いて製した標準乳化物の24時間後の水層分離率が全体の45%以下となるような加熱条件で得られた半熟卵を原料とし、これを水中油型乳化物で和えてなることを特徴とするタマゴサラダ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、特定条件を満たす半熟卵を原料とする新規なタマゴサラダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、殻付生卵をボイルして完熟にし、これを殻剥きした茹で卵をマヨネーズやサラダドレッシング等の水中油型乳化物で和えて得られるタマゴサラダが容器に小分け・包装され、スーパーマーケットやコンビニエンスストアで惣菜として販売されている。
ところで、上記サラダに用いる茹で卵は、完熟卵であるから加熱により卵黄と卵白の境に黒変が生じやすく、得られるサラダは色調がよくないため見映えが悪い傾向にある。そこで、見映えがよいタマゴサラダを得るために、卵白を加熱凝固させた卵白片と卵黄をゼラチン、LMペクチン等の冷却凝固材で固形化した卵黄片とを水中油型乳化物で和えることが提案されている(特許文献1)。
また、上記サラダに用いる茹で卵は、殻剥き工程において卵殻の混入を完全になくすことは不可能であるから、得られるサラダに卵殻の混入を避けるのは困難である。そこで、卵殻の混入のないタマゴサラダを得るために、卵白と卵黄を別々に湿熱加熱して凝固させ、これを用いたサラダが提案されている(特許文献2)。
【0003】
【特許文献1】特開平7−123951号公報
【特許文献2】特開平8−228721号公報
【0004】
しかしながら、これらの提案のタマゴサラダは、見映えが改善されたり、殻の混入のないものとはなるが、卵黄や卵白の食味が茹で卵のそれとはかけはなれた不味なものとなるため、食味の点で到底消費者に受け入れられるものとはならない。
さりとて、完熟卵を用いた従来のタマゴサラダが食味において必ずしも消費者を満足させていたわけではなく、このサラダは完熟卵の卵黄に起因するホクホク感はあるものの、口溶けがあまりよくなく、またコク味にやや欠けるものであった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者等は、最近、消費者の嗜好の多様化により口溶けがよく、コクのある性状のタマゴサラダが好まれる傾向にあることを察知し、そのようなタマゴサラダを提供せんと研究を重ね本発明を完成したものである。
すなわち、本発明は、口溶けがよく、かつ、コクのある新規なタマゴサラダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、(1)卵黄の平均粒子径が体積換算で90μm以上であって、これを用いて製した標準乳化物の24時間後の水層分離率が全体の45%以下となるような加熱条件で得られた半熟卵を原料とし、これを水中油型乳化物で和えてなることを特徴とするタマゴサラダによって達成される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば口溶けがよく、かつコクのある新規なタマゴサラダを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明において「%」は、水層分離率の場合「容量%」であるが、そのほかはすべて「質量%」を意味する。
本発明において卵黄の平均粒子径とは、同じ条件で茹でた茹で卵について各茹で卵1個あたりの卵黄の体積換算における平均粒子径を測定し、卵黄数十個分の平均粒子径の平均値とったものである。
茹で卵1個あたりの卵黄の平均粒子径の測定方法は、卵黄1個分を200mlのビーカーに取り出し、生理食塩水で5倍に希釈し、これをホモジナイザー(日音医理科器機製作所製、PHYSCOTRON、ジェネレーターシャフトNS−20)を用いて5000rpmで30秒間攪拌した後、レーザー回析式粒度分布測定装置(島津製作所製、SALD-200V)にて、屈折率1.70−0.201iで測定することである。この測定値の平均値を計算して本発明の範囲とする。
卵黄は加熱すると流動性を失ってしっとりとした状態になり、さらに加熱すると熱凝固するが、加熱が進むにしたがってその平均粒子径が大きくなる傾向がある。
【0009】
また、本発明において標準乳化物の水層分離率とは、同じ条件で茹でた茹で卵について、各茹で卵1個分の卵黄の標準乳化物を調製し、前記標準乳化物の24時間保管後の水層分離率を測定し、卵黄数十個分の水層分離率の平均値をとったものである。
本発明の茹卵1個分の卵黄の標準乳化物とは、茹で卵1個の卵黄を取り出し、均一となるように攪拌した後、攪拌した卵黄3.0gを取り出し、該卵黄に清水97.0gを加え、攪拌機(T.K.オートホモミクサー、特殊機化工業社製、羽根HV−M型)を用いて5,000rpmで5分間攪拌し、その回転数で攪拌しながら菜種サラダ油100mlを添加した後、さらに5分間攪拌して得られる乳化物をいう。そして、卵黄1個分の標準乳化物の水層分離率は、標準乳化物をネスラー管に100ml充填後、室温(20℃)に24時間保管し、水層分離の全体に対する体積の割合である。
卵黄は加熱が進むにしたがって、リポ蛋白質が変性し、乳化力が弱くなることによってその標準乳化物の水層分離が大きくなる傾向がある。
【0010】
本発明において、卵黄に関して上記のような平均粒子径及び標準乳化物の水層分離率という基準を用いるのは、ボイル(加熱)して得られる半熟卵のうちでもこれらの基準で特定される加熱条件で得られた茹で卵を原料とすることにより、はじめて目的のタマゴサラダを得ることができるからである。すなわち、卵黄の平均粒子径が体積換算で90μm以上であって、これを用いて製した標準乳化物の水層分離率が45%以下となるような加熱条件で得られた半熟卵を原料とすることにより、後述の試験例にも示すように、口溶けがよく、かつコク味のあるタマゴサラダを得ることができる。
【0011】
ここで、平均粒子径が体積換算で90μmの卵黄とは、流動性がなくなり、しっとりとしているが、まだ乳化力が十分にある状態の卵黄である。また、その標準乳化物の水層分離率が45%の卵黄とは、ホクホク感が有る状態まで完全に凝固せずに、しっとりとしているが、リポ蛋白質がかなり変性して乳化力がなくなりかけた状態の卵黄である。本発明の半熟卵の卵黄の色は完熟卵の卵黄の色と比較して赤味があり鮮やかなオレンジ色を呈しているので、この半熟卵を用いれば、少し赤味がかった鮮やかな色のタマゴサラダを得ることができる。
【0012】
かかる半熟卵を得るには、殻付生卵を高温・短時間加熱(例えば98℃で7分間)、低温・長時間加熱(例えば90℃で15分間)などの種々の加熱法がある。
本発明で用いる半熟卵は、卵黄の平均粒子径とこれを用いて製した標準乳化物の水層分離率が上記範囲のものであれば、いかなる加熱法のものであってもよい。例えば、原料とする卵の大きさにもよるが、殻付生卵を88℃〜90℃で14分間〜16分間、91℃〜93℃で11分間〜14分間、94℃〜96℃で8分間〜12分間加熱する方法をとると、上記範囲にはいる半熟卵を効率よく得ることができる。
【0013】
ところで、卵黄の性状が上記範囲にはいる半熟卵であれば、その卵白部分は完熟卵のそれと同程度の強度にゲル化しているので、この半熟卵を用いれば、卵白に関しては従来品とかわらないタマゴサラダが得られる。
本発明のタマゴサラダを製するには、上記条件を満たす半熟卵を殻剥き後適当な大きさに切断し、これに常法にしたがい、マヨネーズやドレッシング等の水中油型乳化物及び好みにより、砂糖、食塩、化学調味料等の添加物を加えて混合(和えれば)すればよい。
【0014】
本発明のタマゴサラダは、従来品がザラつきがあり口溶けが悪いのに対して、口溶けが非常に良好である。これは従来品が原料としている完熟卵の卵黄は、卵黄球の一つ一つが熱変性して硬く凝固したものをザラツキとして感じているのに対し、本発明に用いる半熟卵の卵黄は、卵黄の平均粒子径が90μm以上と流動性がなくなる程度に凝固しているが、卵黄球が完全に加熱変性しておらず、すなわち硬く凝固していないので、ザラつきを感じ難く、その結果、タマゴサラダの口溶け感がよくなるものと推察される。
また本発明のタマゴサラダは、従来品に比べてコク味が良好である。これは従来品においては卵黄中の乳化に関与すると同時に、コク味の成分の一つであるリポ蛋白質が熱変性して機能を失っているのに対し、本発明に用いる半熟卵の卵黄は、そのリポ蛋白質が変性せずに残存しており、これがマヨネーズやドレッシング中のリポ蛋白質等とあいまってタマゴサラダのコク味の改善に寄与しているものと推察される。
【0015】
本発明の卵製品の代表的な製造方法を以下に説明するが、これらの方法に限定するものではない。
まず、殻付生卵、マヨネーズ等の水中油型乳化物、食塩や胡椒等の調味料、酢酸ソーダ、グリシン、卵白リゾチーム、プロタミン等の保存料あるいは静菌剤及び必要に応じてその他の食品原料や食材を用意する。そして、殻付生卵を湯中加熱、シャワー加熱、蒸気加熱等公知の加熱法により、94℃〜96℃で8分〜12分加熱し、冷却した後、脱殻して茹で卵を得る。次に、茹で卵をカッターで刻み、別に製した殻付生卵以外の上記原料の混合物と混合した後、ポリ袋等の容器に充填する。そして常法に則り60〜90℃の湯浴中で加熱殺菌し、タマゴサラダを得る。
【実施例】
【0016】
以下、実施例と試験例を述べ、本発明をさらに説明する。
<実施例>
殻付生卵を熱湯でボイルした(98℃で7分間)後、冷却・殻剥きして半熟卵200個を製した。この半熟卵の卵黄の平均粒子径(卵黄10個分)は95μmであり、またこの半熟卵の卵黄の標準乳化物の水層分離率(卵黄10個分)は39%であった。
これとは別に、市販のマヨネーズ(キユーピー社製)1.8kg、化工澱粉100g、グリシン50g、食塩20g及び清水420gを均一になるまで混合し、マヨネーズ混合物を製した。
次に、上記半熟卵7.5kg を1cmのダイス状に刻んだ後、これに前記マヨネーズ混合物を加えて和えて本発明のタマゴサラダを製した。
得られたタマゴサラダはポリ袋に2kgずつ充填密封し、65℃で60分間湯中にて殺菌して業務用の製品とした。
【0017】
<試験例>
殻付生卵を95℃の熱湯中で表に示す時間ボイル後、冷却水中で冷却し、これを取り出し殻剥きして、それぞれボイル時間の異なる7種類の茹で卵を30個ずつ得た。
そして、この茹で卵のサンプルを鋭端から鈍端へ向かって真二つに切断し、卵黄の熱凝固の状況(流動状、半熟、完熟)を観察すると共に、下記のようにして卵黄の平均粒子径(卵黄10個分の平均値)を測定した後、下記のようにして標準乳化物を製し、その水層分離率(卵黄10個分の平均値)を測定したところ、表1の結果が得られた。
【0018】
<卵黄の平均粒子径の測定方法>
卵黄1個当たりの平均粒子径は、卵黄1個分を200mlのビーカーに取り出し、生理食塩水で5倍に希釈し、これをホモジナイザー(日音医理科器機製作所製、PHYSCOTRON、ジェネレーターシャフトNS−20)を用いて5000rpmで30秒間攪拌した後、屈折率1.70−0.201iの条件でレーザー回析式粒度分布測定装置(島津製作所製、SALD-200V)を用いて測定した値である。
<卵黄の標準乳化物の水層分離率の測定方法>
卵黄1個当たりの標準乳化物は、卵黄1個分の卵黄を取り出し、均一となるように攪拌した後、攪拌した卵黄3.0gを取り出し、該卵黄に清水97.0gを加え、攪拌機(T.K.オートホモミクサー、特殊機化工業社製、羽根HV−M型)を用いて5,000rpmで5分間攪拌し、その回転数で攪拌しながら菜種サラダ油100mlを添加した後、さらに5分間攪拌して得られる乳化物を調製した。得られた標準乳化物をネスラー管に100ml充填後、室温(20℃)に24時間放置し、水層分離率を測定した。
【0019】
また、上記ボイル時間の異なる7種類の茹で卵それぞれ10個ずつを用いて、それぞれ下記配合にて実施例と同じ方法でタマゴサラダを製し、得られたタマゴサラダついて外観を観察すると同時に、よく訓練したパネラー5名に試食させて、タマゴサラダの口溶けとコク味の状況を観察したところ、表1の結果が得られた。
<配合>
茹で卵 10個(600g)
マヨネーズ 144g
化工澱粉 8g
グリシン 1.6g
清水 33.6g
【0020】
【表1】


【0021】
注)表中の記号
―:卵黄が流動状の上、卵白も軟らかいため、全体がペースト状となってしまいタマゴサラダといえるスプレッド状のものにならない。
(口溶け)
◎:口溶け非常に良好
○:口溶け良好
△:ザラつきがややあり、口溶けがやや悪い
×:ザラつきがあり、口溶けが悪い
(コク味)
◎:コク味が強い
○:コク味がある
△:コク味がやや弱い
【0022】
表1より、卵黄の平均粒子径が体積換算で90μm以上であって、これを用いて製した標準乳化物の水層分離率が45%以下となるような加熱条件で得られる半熟卵を主原料とすれば、外観が少し赤味がかった鮮やかなオレンジ色であり非常につやがあり、口溶けがよく、かつコク味の強いタマゴサラダが得られることが理解できる。
【出願人】 【識別番号】000001421
【氏名又は名称】キユーピー株式会社
【住所又は居所】東京都渋谷区渋谷1丁目4番13号
【出願日】 平成15年10月31日(2003.10.31)
【代理人】
【公開番号】 特開2005−130829(P2005−130829A)
【公開日】 平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願番号】 特願2003−373502(P2003−373502)