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【発明の名称】 油中水乳化型木綿豆腐用凝固剤
【発明者】 【氏名】田所 敬章
【住所又は居所】東京都墨田区文花2−1−3 花王株式会社研究所内

【氏名】後藤 健
【住所又は居所】東京都墨田区文花2−1−3 花王株式会社研究所内

【要約】 【課題】苦汁(塩化マグネシウム)風味の優れた木綿豆腐を提供する。

【解決手段】木綿豆腐を製造するに際し、油脂、乳化剤、水及び塩化マグネシウムからなり、塩化マグネシウムを塩化マグネシウム6水塩として38〜50重量%含み、20℃の粘度が1000〜8000mPa・sである油中水乳化型凝固剤を使用する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油脂、乳化剤、水及び塩化マグネシウムを含有し、塩化マグネシウムを塩化マグネシウム6水塩として38〜50重量%含み、20℃の粘度が1000〜8000mPa・sである油中水乳化型木綿豆腐用凝固剤。
【請求項2】
乳化剤が、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルである請求項1の油中水乳化型木綿豆腐用凝固剤。
【請求項3】
豆乳濃度が固形分量8%以上(Brix 11以上)、65℃以上の高温豆乳に、請求項1記載の凝固剤を、塩化マグネシウム6水塩として対豆乳で0.25〜1.0重量%以上となるように添加混合して豆乳を凝固させる工程を経て得られる木綿豆腐。
【請求項4】
豆乳濃度が固形分量8%以上(Brix 11以上)、65℃以上の高温豆乳に、請求項1記載の凝固剤を、塩化マグネシウム6水塩として対豆乳で0.25〜1.0重量%以上となるように添加混合して豆乳を凝固させる工程を有する木綿豆腐の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、苦汁(塩化マグネシウム)風味の優れた木綿豆腐を製造するための乳化型凝固剤に関する。
【背景技術】
【0002】
塩化マグネシウム含有物(苦汁)の水溶液を油脂および乳化剤で乳化した凝固剤を用いると、塩化マグネシウムによる豆腐の凝固反応が遅効化し、なめらかで緻密な組織を有する絹様の豆腐が得られることが知られている(特許文献1〜4)。
【特許文献1】特開平5−304923号
【特許文献2】特開平10−57002号
【特許文献3】特開平10−179072号
【特許文献4】特開2000−217533号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、木綿豆腐においては、圧搾工程等を有する点で絹豆腐とは製造方法が異なり、圧搾工程後の苦汁のロスが生じ、苦汁風味が弱くなる傾向がある。また、乳化型苦汁凝固剤では、豆腐中に放出された苦汁だけでなく、油脂中にある未放出の苦汁が存在するが、油脂中に存在する未放出の苦汁は、油脂にマスキングされ、風味が弱くなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、油脂、乳化剤、水及び塩化マグネシウムからなり、塩化マグネシウムを塩化マグネシウム6水塩として38〜50重量%含み、20℃の粘度が1000〜8000mPa・sである油中水乳化型木綿豆腐用凝固剤により、上記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0005】
木綿豆腐の苦汁の風味を残す方法について検討した結果、豆腐の凝固速度と風味との関連性が大きいことが判明した。苦汁そのものでは、凝固速度が速すぎて、歩留まりが悪く、また、凝固速度の遅い乳化型苦汁においては、逆に、圧搾工程後の風味が保持できなかった。苦汁の凝固速度は、乳化苦汁中の苦汁濃度と乳化剤により、課題が解決できた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の乳化型凝固剤とは、塩化マグネシウムの水溶液を油脂および乳化剤でW/O型に乳化した乳化物であり、特に高温の豆乳を用いる木綿豆腐の製造に適している。
【0007】
本乳化型凝固剤中の塩化マグネシウムの含有量は塩化マグネシウム6水塩で換算し38〜50重量%、さらに好ましくは40〜45重量%である。
【0008】
本乳化型凝固剤中には凝固剤として他の無機塩類を併用してもよい。また本乳化型凝固剤のW/O比は、好ましくは63/37〜80/20、更に好ましくは65/35〜75/25である。
【0009】
本発明に用いる乳化剤は、例えばショ糖脂肪酸エステル、リン脂質、モノグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル等であり、これらの1種以上を用いることができる。好ましくはHLB6以下のポリグリセリン脂肪酸エステル、さらに好ましくは縮合リシノレイン酸エステルである。
【0010】
乳化剤の使用量は乳化及び風味の観点から、0.1〜5重量%、好ましくは0.5〜3重量%、さらに好ましくは0.5〜2重量%である。
【0011】
本凝固剤で使用する油脂は、流動性のある油脂であればよく、流動性があれば結晶が分散していても使用できる。例えば、菜種油、大豆油、牛脂、オリーブ油、コーン油、ヤシ油、パーム核油、パーム油、サフラワー油、魚油、さらには、中鎖の脂肪酸からなるMCTなどがありこれらを混合、あるいはまたエステル交換、水添した油脂でもよい。またさらに、ジグリセリドを含有する油脂でもよい。
【0012】
本発明において、乳化型凝固剤の乳化粒子径は、乳化粒子のメジアン径(体積基準)で表すことができ、レーザー回折式粒度分布計により測定できる。乳化粒子径は0.5〜6μm であり、好ましくは1〜5μm 、さらに好ましくは1.5〜4μm が望ましい。
【0013】
本発明における乳化型凝固剤の乳化粒子径の調節は、ナノマイザーなどの超高圧キャビテーション乳化機、あるいはマイルダーなど高エネルギータイプの乳化機を用いて乳化することにより得られる。本発明の乳化型凝固剤は、豆乳中にスタティックミキサー、好ましくは豆乳中に分散した凝固剤粒子の粒子径を任意に可変できる高速回転剪断型の分散機あるいは高速回転剪断型の連続分散機を用いて分散することが望ましい。
【0014】
乳化物の粘度は、乳化安定性及びハンドリング性の点で、20℃(B型粘度計)で1000〜8000mPa・s、好ましくは1000〜5000mPa・s、さらに好ましくは1200〜2500mPa・sである。
【実施例】
【0015】
実施例1〜3
<乳化型凝固剤の調製>
乳化剤として、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(太陽化学(株)製、サンソフトNo.818SK)を用い、表1に示すように乳化凝固剤の配合を行った。コーン油あるいはジアシルグリセロール(花王(株)製、エコナクッキングオイルB)に乳化剤を80℃にて溶解して油相を調製した後、60重量%塩化マグネシウム6水塩(赤穂化成(株)製、クリスタリン)水溶液を、油相中にホモミキサー(特殊機化工業製)5000rpm、温度65℃下で乳化しながら添加した後、回転数を10000rpmに設定し、1分間本乳化を行った。乳化終了後ただちに5℃まで冷却を行った。1昼夜5℃に保存し、乳化物凝固剤とした。該乳化凝固剤の粘度をB型粘度計(20℃)で、乳化粒子径をレーザ回折式粒度分布計(島津製作所(株)製、SALD-2100)で測定し、メジアン径を測定した。なお、測定時希釈分散媒として中鎖脂肪酸トリグリセリド(花王(株)製、ココナードMT)を使用した。
【0016】
【表1】


【0017】
比較例1〜3
表2に示すように乳化凝固剤の配合を行い、上記実施例と同様の方法により乳化物凝固剤を調製し、上記実施例と同様の評価を行った。
【0018】
【表2】


【0019】
<木綿豆腐の製造方法>
実施例1〜3及び比較例1〜4
大豆IOMを用い常法によって得られた80℃の豆乳(Brix12)を30kg/分になる様に豆乳の流量を定量ポンプで調整し、また、実施例1〜3及び比較例1〜3の凝固剤を豆乳に対して塩化マグネシウム6水塩として0.3重量%になる様に定量ポンプで調整し、両者を配管内で混合、さらにマイルダー(MDN304V、荏原製作所(株)製)を用いて機械的分散を行った。分散処理液をMK箱(12L)に充填し、20分間静置して凝固させた。この凝固物を崩し、濾布を敷いた木綿用型枠(335×430×100mm)に10kg充填した後、98kPaで5分、294kPaで10分圧搾した。圧搾後、成型して木綿豆腐を調製した。
比較例4
実施例の方法によって得られた豆乳を60℃まで冷却し、この豆乳12kgに対して、塩化マグネシウム6水塩(赤穂化成(株)製クリスタリン)の30%水溶液を塩化マグネシウム6水塩として0.3重量%になるように添加し、軽く攪拌した以外は、実施例の方法で木綿豆腐を調製した。また、評価も同様に行った。

木綿豆腐の評価として、歩留り、塩化マグネシウム含有率及び風味について行った。
・歩留り
圧搾時に濾布から出てくる濾液を採取し、全採取量を測定し下記により歩留りを算出した。

歩留り(%)=(10kg−全濾液量kg)/10kg×100

・塩化マグネシウム含有率
圧搾時に濾布から出てくる濾液中のマグネシウム量をロス分として測定することにより行った。濾液中のマグネシウム量は、0.8μmメンブランフィルタにて濾過し、濾液部のマグネシウム量をキシリジルブルー法(和光純薬工業(株)製マグネシウムB−テストワコー)により定量することで行った。下記の式のように、マグネシウム量を塩化マグネシウム6水塩に換算し、塩化マグネシウム含有率を算出した。

濾液中の塩化マグネシウム含有率(%)
=濾液中マグネシウム含有量(%)×203.2/24.3

塩化マグネシウム含有率(%)
=(10kg×0.003−全濾液量kg×濾液中の塩化マグネシウム含有率(%)/100)/(10kg−全濾液量(kg))×100

・風味
【0020】
製造後5℃で24h保存した豆腐を専門パネラー10名にて苦汁の風味について5点評価法で行い、その合計点で表した。評価の基準は、以下のとおりである。
【0021】
5点:好ましい。
【0022】
4点:やや好ましい。
【0023】
3点:どちらともいえない。
【0024】
2点:やや好ましくない。
【0025】
1点:好ましくない。
【0026】
実施例1〜3、比較例1〜4の木綿豆腐の評価結果を表3に示す。
【0027】
【表3】


【0028】
実施例の木綿豆腐は、歩留りに優れ、圧搾による味抜けが少なく、風味に優れることがわかる。比較例1、2は歩留り、塩化マグネシウムの保持率は実施例同等であるが、苦汁風味が弱く、風味の点で劣る。比較例3、4は歩留り、味抜け、風味とも実施例に劣る。
【出願人】 【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
【住所又は居所】東京都中央区日本橋茅場町1丁目14番10号
【出願日】 平成15年10月31日(2003.10.31)
【代理人】 【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡

【識別番号】100076680
【弁理士】
【氏名又は名称】溝部 孝彦

【識別番号】100091845
【弁理士】
【氏名又は名称】持田 信二

【識別番号】100098408
【弁理士】
【氏名又は名称】義経 和昌

【公開番号】 特開2005−130803(P2005−130803A)
【公開日】 平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願番号】 特願2003−372401(P2003−372401)