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【発明の名称】 成形食品製造用ケーシング及びその成形装置
【発明者】 【氏名】リチャード ブルゲマン
【住所又は居所】大阪市中央区南船場3−11−18 株式会社イムペックスケミカルス謙信洋行内

【氏名】榎窪 博文
【住所又は居所】大阪市中央区南船場3−11−18 株式会社イムペックスケミカルス謙信洋行内

【氏名】加藤 史郎
【住所又は居所】八尾市楠根町3丁目39番地 株式会社塚谷刃物製作所内

【要約】 【課題】ケーシングに空気抜け孔を形成した場合でも抜きカスの発生がなく、しかも充填機による充填時の空気抜けなども良好で、さらに充填後において加工肉の肉汁が抜け続けることの極力少ない成形食品製造用ケーシング及びその成形装置を提供する。

【解決手段】食品原料を内部に充填して円柱状食品を製造する際に用いられるケーシング1であって、ケーシング1には、湾曲状の切込み2が複数設けられている。成形装置は、請求項1記載の成形食品製造用ケーシング1を成形するものであって、前記切込み2形状に対応する切込み刃を設けた打抜きダイを用い、この切込み刃によって湾曲状の切込みをケーシングに形成するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品原料を内部に充填して円柱状に成形の必要な食品を製造する際に用いられるケーシングであって、
上記ケーシングには、湾曲状の切込みが複数設けられてなることを特徴とする成形食品製造用ケーシング。
【請求項2】
請求項1記載の成形食品製造用ケーシングを成形するための食品製造用ケーシングの成形装置であって、
前記切込み形状に対応する切込み刃を設けた打抜きダイを用い、この切込み刃によって湾曲状の切込みをケーシングに形成するように構成されたことを特徴とする成形食品製造用ケーシングの成形装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、円柱状に成形の必要な食品を製造する成形食品製造用ケーシング及びその成形装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
円柱状に成形の必要な食品としての例えばハムは、チューブ状のケーシングとしての例えばファイブラスケーシングに加工肉を充填して結紮した後、熱処理を行うことによって製造している(特許文献1参照)。
【0003】
ところで、上記ケーシングには、加工肉を当該ケーシング内に充填する際の空気抜けを良くして充填を円滑に行うとともに、充填後の気泡を無くし、さらに必要のない肉汁を抜くためなどを目的として、その表面に複数の孔を設けている。この孔は千枚通しのような針などを用いて手作業によって明けているのが一般的であった。
【特許文献1】特開平6−169685号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来では、加工肉をケーシング内に手詰めにより充填していたため、針で明けた孔でも空気抜けなどの効果を得ることができたものの、近年、高速自動充填機が開発され、この充填機で加工肉をケーシング内に一挙に充填した場合には、以下のような問題が生じていた。即ち、針で明けた孔では空気抜けが遅くて充填機による充填スピードについて行けず、この結果、ケーシングが風船状に膨らんでしまって破裂してしまう。
【0005】
さらに、このような不具合を解消するために、例えば打抜装置によりケーシングの表面に円形孔を形成したケーシングもあるが、以下のような新たな問題が生じていた。即ち、打抜装置によりケーシングに円形孔を形成すると、この打ち抜きにより生じる円形の抜きカスがケーシングの表面や内部に残る虞が多分にある。このようにケーシングに抜きカスが残った場合、ハムの製造時において当該ハムの内部に抜きカスが混入することになり、例えばファイブラスケーシングにおいは食品衛生上食べても問題はないとしても、この抜きカスが消費者に与える心理的な影響や外観不良になることなどを考慮すれば不良品扱いにせざるを得ず、歩留りの低下を招く大きな要因になっている。また、円形孔により完全に開口した状態になっているため、充填後において熱処理するまで上記開口から加工肉の肉汁が微量に抜け続けることになり、歩留りの低下及び品質の劣化などを招くという問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、ケーシングに空気抜け孔を形成した場合でも抜きカスが出ることなく、しかも充填機による充填時の空気抜けなども良好で、さらに充填後において加工肉の肉汁が抜け続けることの少ない成形食品製造用ケーシング及びその成形装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、請求項1に係る発明の成形食品製造用ケーシングは、食品原料を内部に充填して円柱状に成形の必要な食品を製造する際に用いられるケーシングであって、上記ケーシングには、湾曲状の切込みが複数設けられてなるものである。
【0008】
請求項2に係る発明の成形食品製造用ケーシングの成形装置は、請求項1記載の成形食品製造用ケーシングを成形するための食品製造用ケーシングの成形装置であって、前記切込み形状に対応する切込み刃を設けた打抜きダイを用い、この切込み刃によって湾曲状の切込みをケーシングに形成するように構成されたものである。
【0009】
ここで、湾曲状の切込みとは、円形状の一部又は楕円形状の一部の切込みに限らず、多角形状の一部のような湾曲状に近似する切込みも含まれる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、充填機によるケーシングへの食品原料の充填時における空気抜けや内部に存する気泡の抜けも良好で、充填後においては肉汁が抜け続けるのを少なくするができる。
【0011】
また、ケーシングに切込みを形成するだけなので抜きカスが発生することがなく、これにより抜きカスが製造した食品内に混入することを確実に防止することができ、この抜きカスの混入による不良品の発生をなくすことができるので歩留りの向上を確実に図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本発明の成形食品製造用ケーシングを示している。
【0014】
成形食品製造用ケーシング(以下、単にケーシングという。)1は、塊状もしくはゲル状の食品原料を内部に充填してハムなどの円柱状食品を製造する際に用いられるもので、例えばファイブラスケーシングと言われる従来周知なものが使用されている。このファイブラスケーシングは、パルプ原紙にビスコースを両面より含浸させて製造した円筒状の紙であり、材質構成の一例としては、再生セルロースが50%、セルロースが20%、グリセリンが20%、水が10%となっている。また、ファイブラスケーシングは水を含浸させることにより柔軟性及び強度が増すというハムの原料となる塊状の食品原料などの製造に好適な特性を有している。
【0015】
このケーシング1は、内部に食品原料を充填することからチューブ状に形成され、これを帯状にしたものを所定長さ芯材に巻き付けることによりロール状にしており、ハムなどを製造する際にはその製品に応じて所定長さに裁断して使用している。
【0016】
そして、ケーシング1の表面には、本発明の主要部を構成する湾曲状の切込み2が複数形成されている。具体的には、切込み2は略半円状に形成されており、ケーシング1の内部に圧力が作用することにより、切込み2によって形成された舌状片2aの部分が図2に示すように外方に捲くれ上がり、これによってこの部分で開口2bを形成することができる。つまり、ハムなどの食品原料を充填機により一挙に充填する際には、この時に生じる圧力によって開口2bが表れることになる。
【0017】
なお、切込み2の大きさや数は、ケーシング1の内部に充填する食品原料に応じて後述する製造工程での良好な効果が得られるように適宜に設定すればよい。
【0018】
次に、上述したような複数の切込み2を有するケーシング1を成形する成形装置の構成について説明する。
【0019】
図3は、成形装置の概略構成を示している。
【0020】
成形装置3は、主要部としてのダイロール31と同じくロール状の受胴32とを備えている。
【0021】
ダイロール31は、外周面にマグネットを埋没したマグネットロール33の当該外周面にシート状のフレキシブルダイ34をその磁力により吸着させたものである。
【0022】
具体的には、フレキシブルダイ34は、図4に示すように平板状であり、その外周面には前記ケーシング1に形成する切込み2に対応する切込み刃34aが複数形成されている。
【0023】
このフレキシブルダイ34の作製は、従来周知のエッチング法を用いて行われる。具体的には、金属板としての強磁性体である所定厚みの鋼板をベースとしてフォトレジストを用いて複数の切込み刃34a部分以外をエッチングにより浸食させることで、その外周面に複数の切込み刃34aを形成したフレキシブルダイ34を作製することができる。
【0024】
従って、このように作製されたフレキシブルダイ34をマグネットロール33の外周面に巻回して当該外周面に磁着させることで、前記切込み2に対応する複数の切込み刃34aを有するダイロール31を得ることができる。
【0025】
そして、このように構成されたダイロール31と前記受胴32とは、例えばダイロール31を所定の押圧力で受胴32に押圧した状態で、図示しない駆動機構11により相反する方向に等速回転可能に構成されており、この間に帯状のケーシング1を通過させることにより切込み刃34aによって当該ケーシング1の表面に複数の切込み2を形成することができる。
【0026】
例えば、図5に示すように、切込み2が形成されていない帯状のケーシング1をロール状に成形したものをセットし、このケーシング1をダイロール31と受胴32との間に供給して通過させた後に、この通過させた反対側で図示しない巻取り装置を用いて巻き取ることにより、表面に前記切込み2を形成した帯状のケーシング1を搬送や充填機による自動充填時のセット等に便利なロール状として得ることができる。
【0027】
続いて、このようにして成形装置により成形された切込み2を有するケーシング1がハム等の製造において如何に優れているかについて説明する。なお、ここでは食品としてハムを例に採って説明する。
【0028】
まず、前述したロール状になされたケーシング1を所定長さに裁断し、このケーシング1の一端を結紮する。次に、開口しているケーシング1の他端側からハムの原料となる予め加工された肉塊を充填機により当該ケーシング内部に一挙に充填する(充填工程)。この際、ケーシング1内部には充填による高い圧力が発生し、この作用により切込み2によって形成された舌状片2aの部分が外方に捲くれ上がる。この結果、ケーシング1の表面に切込み2の数に相当する複数の開口2bが生じて、これら複数の開口2bから内部の空気が外部に抜けることから上記充填機によるスピード充填でも空気抜きが円滑に行われて十分に対応することができる。
【0029】
次に、ケーシング1の内部に充填した肉塊を充填側から絞り込んで圧縮し、当該肉塊をケーシング1に対応する大きさの円柱状に成形する(圧縮工程)。この際、絞り込みにより生じる圧力により切込み2部分は前述と同様に開口2bが生じて、この開口2bから肉塊充填後に内部に存する気泡を外部に放出するとともに、必要のない肉汁(水分)等を外部に排出する。
【0030】
そして、このようにして肉塊を円柱状に成形すると、絞り込んだ側を結紮し、この後、熱処理を行うことによってハムを製造することができる。ところで、絞り込んだ側を結紮した状態からは内部に作用する圧力は前述した充填工程や圧縮工程のときに生じる圧力よりも遥かに小さくなっており、これにより舌状片2aは元の開口2bを極力生じさせない状態となる。従って、絞り込み工程を終了するとこれから先は肉汁が開口2bから抜けるのを極力少なくすることができる。つまり、切込み2により形成された舌状片2aは各工程に応じて好適に開閉する開閉バルブのような機能を果たし、これにより高い品質のハムを安定的に製造することが可能になる。
【0031】
また、本発明では、ケーシング1に切込み2のみを形成しているため、従来のような円形打ち抜きによる抜きカスが一切生じることがない。このため、抜きカスが製造したハムに混入することを確実に防止することができ、この抜きカスの混入による不良品の発生をなくすことができるので歩留りの向上を確実に図ることができる。
【0032】
なお、上述した実施形態は、あくまでも本発明の好適な実施態様を示すものであって、本発明はこれに限定されることなく、その範囲内において種々設計変更可能である。
【0033】
例えば、本実施の形態では、切込み2を略半円形にしたものについて述べたが、円形状に切込む長さはこれに限らず、3分の1の円形状や、4分の3の円形状など製造する円柱状食品に応じて上述した効果が好適に得られるように随時設定すればよい。
【0034】
また、切込み2の形状は、円形状に限らず、楕円形状の一部や、湾曲形状に近似する多角形状の一部であってもよい。
【0035】
さらに、ケーシング1としてファイブラスケーシングを例示したが、ケーシング1としては、この他に例えばポリ塩化ビニリデン(PVdC)などプラスチック製のものであってもよく、食品製造時に円筒状に成形の必要な食品の製造に用いられるケーシング1として使用されている全てのケーシングに本発明を適用することができる。
【0036】
また、ケーシング1を用いて製造する食品についてもハムだけに限らず、ソーセージ、チーズ、あんこなど、上述した工程により同様に製造することのできる全ての円柱状に成形の必要な食品の製造に用いることができる。
【0037】
さらに、ダイロール31を上として受胴32を下として図示しているが上下関係は反対でもよく、両者を左右方向に配置してもよい。
【0038】
また、フレキシブルダイ34を用いたダイロール31に限らず、ソリッドダイや、直接ロールに彫刻加工して刃付けしたダイカットロールを用いてケーシング1を成形する成形装置を構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
ハムやソーセージ、チーズなどの円柱状に成形の必要な食品の製造に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の成形食品製造用ケーシングの一部を示す斜視図である。
【図2】成形食品製造用ケーシングに形成された切込み部が開口した状態を示す一部拡大の斜視図である。
【図3】成形食品製造用ケーシングを成形する成形装置の概略を示す斜視図である。
【図4】成形装置に用いられるフレキシブルダイを示す斜視図である。
【図5】成形装置による円柱状食品製造用ケーシングの成形時の全体の流れを説明する概略図である。
【符号の説明】
【0041】
1 成形食品製造用ケーシング
2 切込み
3 成形装置
31 ダイロール
32 受胴
34 フレキシブルダイ
【出願人】 【識別番号】503401728
【氏名又は名称】株式会社イムペックスケミカルス謙信洋行
【住所又は居所】大阪市中央区南船場3−11−18
【識別番号】391002568
【氏名又は名称】株式会社塚谷刃物製作所
【住所又は居所】大阪府八尾市楠根町5丁目30番地
【出願日】 平成15年10月31日(2003.10.31)
【代理人】 【識別番号】100075502
【弁理士】
【氏名又は名称】倉内 義朗

【公開番号】 特開2005−130792(P2005−130792A)
【公開日】 平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願番号】 特願2003−371971(P2003−371971)