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【発明の名称】 食用ケーシング、食用ケーシングを有する食品、食用ケーシングの製造方法及び食用ケーシングを有する食品の製造方法
【発明者】 【氏名】小林 真樹
【住所又は居所】宮城県石巻市吉野町2−6−7 湊水産株式会社内

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コラーゲンを有する基材により食材を包装する食用ケーシングにおいて、
前記基材が、酵素処理されたものであることを特徴とする食用ケーシング。
【請求項2】
請求項1に記載の食用ケーシングにおいて、
前記酵素処理は、所定の食感を得るために酵素濃度、処理時間及び処理温度を夫々選択し酵素処理されたものであることを特徴とする食用ケーシング。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の食用ケーシングにおいて、
前記酵素処理は、ブロメラインにより酵素処理されたものであることを特徴とする食用ケーシング。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の食用ケーシングにおいて、
前記食材は、たらこであることを特徴とする食用ケーシング。
【請求項5】
コラーゲンを有する基材により形成される食用ケーシングの製造方法において、
前記基材を酵素処理する工程と、
前記酵素処理された基材を酵素不活性処理する工程と
を具備することを特徴とする食用ケーシングの製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の食用ケーシングの製造方法において、
前記酵素処理は、所定の食感を得るために酵素濃度、処理時間及び処理温度を夫々選択し酵素処理されたものであることを特徴とする食用ケーシングの製造方法。
【請求項7】
請求項5に記載の食用ケーシングの製造方法において、
前記酵素処理は、所定の食感を得るために処理時間及び処理温度を一定にして酵素濃度を選択し酵素処理されたものであることを特徴とする食用ケーシングの製造方法。
【請求項8】
請求項5に記載の食用ケーシングの製造方法において、
前記酵素処理は、所定の食感を得るために酵素濃度及び処理時間を一定にして処理温度を選択し酵素処理されたものであることを特徴とする食用ケーシングの製造方法。
【請求項9】
請求項6に記載の食用ケーシングの製造方法において、
前記酵素処理は、パパインを有する酵素液により酵素処理するものであることを特徴とする食用ケーシングの製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の食用ケーシングの製造方法において、
前記酵素処理は、パパインの濃度が0.02重量%以上であって0.06重量%以下である酵素液をその液温が45℃以上であって75℃以下にし、その酵素液中に前記基材を10分以上であって110分以下の時間置くことを特徴とする食用ケーシングの製造方法。
【請求項11】
請求項9に記載の食用ケーシングの製造方法において、
前記酵素処理は、パパインの濃度が0.03重量%である酵素液をその液温が45℃以上であって50℃以下にし、その酵素液中に前記基材を20分以上であって25分以下の時間置くことを特徴とする食用ケーシングの製造方法。
【請求項12】
請求項6に記載の食用ケーシングの製造方法において、
前記酵素処理は、ブロメラインを有する酵素液により酵素処理するものであることを特徴とする食用ケーシングの製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載の食用ケーシングの製造方法において、
前記酵素処理は、ブロメラインの濃度が0.01重量%以上であって0.05重量%以下である酵素液をその液温が45℃以上であって65℃以下にし、その酵素液中に前記基材を10分以上であって70分以下の時間置くことを特徴とする食用ケーシングの製造方法。
【請求項14】
請求項12に記載の食用ケーシングの製造方法において、
前記酵素処理は、ブロメラインの濃度が0.02重量%である酵素液をその液温が45℃以上であって50℃以下にし、その酵素液中に前記基材を10分以上であって15分以下の時間置くことを特徴とする食用ケーシングの製造方法。
【請求項15】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の食用ケーシング及び請求項5から請求項14のいずれか一項に記載された食用ケーシングの製造方法により製造された食用ケーシングのいずれかの食用ケーシングにより食材を包装したことを特徴とする食用ケーシングを有する食品。
【請求項16】
請求項15に記載の食用ケーシングを有する食品において、
前記食材は、たらこであることを特徴とする食用ケーシングを有する食品。
【請求項17】
コラーゲンを有する基材により形成される食用ケーシングを有する食品の製造方法において、
前記基材を酵素処理する工程と、
前記酵素処理された基材を酵素不活性処理する工程と、
前記酵素不活性処理された基材で食材を包装する工程と
を具備することを特徴とする食用ケーシングを有する食品の製造方法。
【請求項18】
請求項17に記載の食用ケーシングを有する食品の製造方法において、
前記酵素処理は、所定の食感を得るために酵素濃度、処理時間及び処理温度を夫々選択し酵素処理されたものであることを特徴とする食用ケーシングを有する食品の製造方法。
【請求項19】
請求項17または請求項18に記載の食用ケーシングを有する食品の製造方法において、
前記食材は、たらこであることを特徴とする食用ケーシングを有する食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばコラーゲンを有する食用ケーシング、その食用ケーシングを有する食品、その食用ケーシングの製造方法及び食用ケーシングを有する食品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食材を包む食用ケーシングは例えばソーセージのように動物の腸が使用されていた。
【0003】
しかし、動物の腸を用いる場合そのサイズ、供給量、取り扱いなどにおいて必ずしも低コストにすることができないという問題があり、例えば所謂天然物ではなくコラーゲンを有する食用ケーシングが考えられた。(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開8−103247号公報(段落[0031]から[0035])。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、天然物の食用ケーシングは勿論のこと天然物ではなくコラーゲンを有する食用ケーシングにおいても、食するときは煮たり焼いたりして食することが一般的であり、熱処理しないでそのまま食することはない。仮にそのまま食しても食用ケーシングは、硬くて著しく食感を損ねるのみならず、衛生上も必ずしも万全とはいえなかった。
【0005】
本発明は上述の課題に鑑みてなされるもので、熱処理などしないで生で食しても食感が良好であり、衛生上も安全な食用ケーシング、その食用ケーシングを有する食品、その食用ケーシングの製造方法及び食用ケーシングを有する食品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の主たる観点に係る食用ケーシングは、コラーゲンを有する基材により食材を包装する食用ケーシングにおいて、前記基材が、酵素処理されたものであることを特徴とする。
【0007】
ここで、「コラーゲンを有する基材」とは、例えば天然たんぱく質を原料としたハムやソーセージなどのケーシングのことである。
【0008】
本発明は、コラーゲンを有する基材を酵素処理することとしたので、コラーゲン分子の一部を切断することができ、食用ケーシングの硬さや伸展性などを所望の状態にすることが可能となる。
【0009】
本発明の一の形態によれば、前記酵素処理は、所定の食感を得るために酵素濃度、処理時間及び処理温度を夫々選択し酵素処理されたものであることを特徴とする。これにより、酵素濃度や酵素処理時間、酵素処理温度を夫々選択して、最もその食材の包装として好ましい食感を得ることが可能となる。
【0010】
本発明の一の形態によれば、前記酵素処理は、ブロメラインにより酵素処理されたものであることを特徴とする。これにより、例えばパパインを用いる場合に比べ短時間かつ低濃度で天然たんぱく質を原料としたハムやソーセージなどのケーシングを生食可能な硬さや伸展性などにすることが可能となる。
【0011】
本発明の一の形態によれば、前記食材は、たらこであることを特徴とする。これにより、例えばたらこの皮から剥離したたらこ(以下「バラコ」という。)を該食用ケーシングで包装し、たらこの食感を害さないで生食できる商品とすることができる。すなわち、バラコをほかの加工食品にするのでなく、素材その物の食感を活かした商品とすることができる。
【0012】
本発明の他の観点にかかる食用ケーシングの製造方法は、コラーゲンを有する基材により形成される食用ケーシングの製造方法において、前記基材を酵素処理する工程と、前記酵素処理された基材を酵素不活性処理する工程とを具備することを特徴とする。
【0013】
本発明は、コラーゲンを有する基材を酵素処理する工程を有することとしたので、コラーゲン分子の一部を切断することができ、硬さや伸展性などを所望の状態にした食用ケーシングを製造することが可能となる。
【0014】
本発明の一の形態によれば、前記酵素処理は、所定の食感を得るために酵素濃度、処理時間及び処理温度を夫々選択し酵素処理されたものであることを特徴とする。これにより、酵素濃度や酵素処理時間、酵素処理温度を夫々選択して、最もその食材の包装として好ましい食感の食用ケーシングを製造することができる。
【0015】
本発明の一の形態によれば、前記酵素処理は、所定の食感を得るために処理時間及び処理温度を一定にして酵素濃度を選択し酵素処理されたものであることを特徴とする。これにより、例えば処理時間を40分、処理温度である酵素液温を45℃として、食べる人の好みにより酵素濃度を調節し、もっとも好ましいやわらかさなどを出すことが可能となる。
【0016】
本発明の一の形態によれば、前記酵素処理は、所定の食感を得るために酵素濃度及び処理時間を一定にして処理温度を選択し酵素処理されたものであることを特徴とする。これにより、例えば処理時間を40分、酵素濃度を0.03重量%として、食べる人の好みにより処理温度である酵素液温度を調節し、もっとも好ましいやわらかさなどを出すことが可能となる。
【0017】
本発明の一の形態によれば、前記酵素処理は、パパインを有する酵素液により酵素処理するものであることを特徴とする。これにより、安全かつ簡単に酵素処理することができ所望の硬さなどを有する食用ケーシングを製造することができる。
【0018】
本発明の一の形態によれば、前記酵素処理は、パパインの濃度が0.02重量%以上であって0.06重量%以下である酵素液をその液温が45℃以上であって75℃以下にし、その酵素液中に前記基材を10分以上であって110分以下の時間置くことを特徴とする。これにより、パパインを有する酵素の濃度を0.02重量%以上から0.06重量%以下で適宜選択し、それに合わせ液温及び液中に置く時間を調整し最も好ましい食用ケーシングの硬さなどを有する食用ケーシングを製造できる。
【0019】
本発明の一の形態によれば、前記酵素処理は、パパインの濃度が0.03重量%である酵素液をその液温が45℃以上であって50℃以下にし、その酵素液中に前記基材を20分以上であって25分以下の時間置くことを特徴とする。これにより、例えばバラコを包装した食用ケーシングの硬さなどの食感を通常のたらこの皮の食感と略同じにすることができ、そのバラコの利用価値を高めることが可能となる。また、通常のたらこの皮より軟らかくすることもでき、食品としての価値を更に高めることが可能となる。
【0020】
本発明の一の形態によれば、前記酵素処理は、ブロメラインを有する酵素液により酵素処理するものであることを特徴とする。これにより、例えばパパインを用いる場合に比べ短時間かつ低濃度で天然たんぱく質を原料としたハムやソーセージなどのケーシングを生食可能な硬さや伸展性などを有する食用ケーシングに製造することが可能となる。
【0021】
本発明の一の形態によれば、前記酵素処理は、ブロメラインの濃度が0.01重量%以上であって0.05重量%以下である酵素液をその液温が45℃以上であって65℃以下にし、その酵素液中に前記基材を10分以上であって70分以下の時間置くことを特徴とする。これにより、ブロメラインを有する酵素の濃度を0.01重量%以上から0.05重量%以下で適宜選択し、それに合わせ液温及び液中に置く時間を調整し最も好ましい食用ケーシングの硬さなどを有する食用ケーシングを製造できる。
【0022】
本発明の一の形態によれば、前記酵素処理は、ブロメラインの濃度が0.02重量%である酵素液をその液温が45℃以上であって50℃以下にし、その酵素液中に前記基材を10分以上であって15分以下の時間置くことを特徴とする。これにより、例えばパパインを用いる場合に比べ短時間かつ低濃度で、バラコを包装した食用ケーシングの硬さなどの食感を通常のたらこの皮の食感と略同じにすることができ、そのバラコの利用価値を高めることが可能となる。また、通常のたらこの皮より軟らかくすることもでき、食品としての価値を更に高めることが可能となる。
【0023】
本発明の他の観点にかかる食用ケーシングを有する食品は、上述した食用ケーシング及び食用ケーシングの製造方法により製造された食用ケーシングのいずれかの食用ケーシングにより食材を包装したことを特徴とする。
【0024】
本発明は、酵素処理した食用ケーシングにより食材を包装することとしたので、例えば生食でも食材を包装した食品の食感を良好なものにできる。
【0025】
本発明の一の形態によれば、前記食材は、たらこであることを特徴とする。これにより、例えばバラコを該食用ケーシングで包装し、たらこの食感を害さないで生食できる商品とすることができる。すなわち、バラコをほかの加工食品にするのでなく、素材その物の食感を活かした商品とすることができる。
【0026】
本発明の他の観点にかかる食用ケーシングを有する食品の製造方法は、コラーゲンを有する基材により形成される食用ケーシングを有する食品の製造方法において、前記基材を酵素処理する工程と、前記酵素処理された基材を酵素不活性処理する工程と、前記酵素不活性処理された基材で食材を包装する工程とを具備することを特徴とする。
【0027】
本発明は、コラーゲンを有する基材を酵素処理し、その酵素処理された基材を酵素不活性処理し、更に酵素不活性処理された基材で食材を包装することとしたので、包装する食材の食感などに合わせた食用ケーシングの硬さなどにした食用ケーシングを有する食品を製造できる。
【0028】
本発明の一の形態によれば、前記酵素処理は、所定の食感を得るために酵素濃度、処理時間及び処理温度を夫々選択し酵素処理されたものであることを特徴とする。これにより、酵素濃度や酵素処理時間、酵素処理温度を夫々選択して、最もその食材の包装として好ましい食感の食用ケーシングを有する食品を製造できる。
【0029】
本発明の一の形態によれば、前記食材は、たらこであることを特徴とする。これにより、例えばバラコを該食用ケーシングで包装し、たらこの食感を害さないで生食できる商品とすることができる。すなわち、バラコをほかの加工食品にするのでなく、素材その物の食感を活かした商品とすることができる。
【発明の効果】
【0030】
以上のように、本発明によれば、熱処理などしないで生で食しても食感が良好であり、衛生上も安全なものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。なお、以下実施形態を説明するにあたっては、食材としてバラコを用いた場合を中心に説明するが、これに限られるものではない。
【0032】
(第1の実施形態)
まず、本発明をパパインを用いて酵素処理し製造される食用ケーシングを有する食品に適用した第1の実施形態について説明する。
【0033】
図1は、本発明のバラコを食用ケーシングで包装し適当な長さに切断した状態の概略斜視図である。
【0034】
図1に示すように食用ケーシングを有する食品である例えば切れている明太子1は、酵素処理し製造された食用ケーシング2とその食用ケーシング2により包装されているバラコ3を主成分とする食材4とを有する。
【0035】
ここで、食用ケーシング2は基材5である例えばハム・ソーセージケーシング、具体的にはニッピコラーゲン工業株式会社製のコラーゲンケーシング#300を酵素処理し、更にその酵素を不活性処理、水きりしたものである。勿論、基材5はこれに限られるものではなく天然ケーシングなどを用いても良い。
【0036】
また、酵素処理はパパイン(例えば協和発酵工業株式会社製のアップミートA中の)の濃度が0.02重量%以上であって0.06重量%以下の酵素液を、その液温が45℃以上であって75℃以下にして、その中に基材5を10分以上であって110分以下の時間置くことにより、コラーゲン分子の一部を切断するものである。
【0037】
更に酵素処理は、より好ましくはパパインの濃度が0.03重量%である酵素液を、その液温が45℃以上であって50℃以下にして、その中に基材5を20分以上であって25分以下の時間置く。これにより、例えばバラコを包装した食用ケーシングの硬さなどの食感を通常のたらこの皮の食感と略同じにすることができ、そのバラコの利用価値を高めることが可能となる。
【0038】
酵素不活性処理は、酵素処理された基材5を例えば赤色102号により生成された色水が投入された水温80℃以上の温水に5〜10秒程度入れ、酵素不活性化処理するものである。
【0039】
次に、酵素処理による食用ケーシングの性質の変化について酵素濃度、処理温度及び処理時間を種々変更し実験したデータを参考に説明する。
【0040】
(さまざまな条件で処理した基材の比較実験)
図2は酵素濃度、処理温度及び処理時間を種々変更し条件わけした表、図3は条件1の負荷による伸びの変化を説明する表、図4は条件2の負荷による伸びの変化を説明する表、図5は条件3の負荷による伸びの変化を説明する表、図6は条件4の負荷による伸びの変化を説明する表、図7は条件5の負荷による伸びの変化を説明する表、図8は条件6の負荷による伸びの変化を説明する表、図9は夫々の条件でのケーシングの厚さを説明する表及び図10は夫々の条件でのケーシングの水分含有量を説明する表である。
【0041】
まず、基材5を図2に示すように6つの条件により処理した。すなわち、パパインの濃度が0.03重量%でその液温が45℃の酵素液中に40分おき、その後酵素不活性処理をした条件1、パパインの濃度が0.00重量%(酵素なし)でその液温が45℃の液中に40分おき、その後酵素不活性処理をした条件2、パパインの濃度が0.00重量%(酵素なし)でその液温が85℃の液中に40分おき、その後酵素不活性処理をしない条件3、パパインの濃度が0.00重量%(酵素なし)でその液温が20℃の液中に40分おき、その後酵素不活性処理をしない条件4、パパインの濃度が0.02重量%でその液温が45℃の酵素液中に40分おき、その後酵素不活性処理をした条件5及びパパインの濃度が0.04重量%でその液温が45℃の酵素液中に40分おき、その後酵素不活性処理をした条件6である。
【0042】
ここで、条件1、2、5及び6は以下のように処理した。
【0043】
最初に基材として例えばニッピコラーゲン工業株式会社製のコラーゲンケーシング#300(以下単に「ケーシング」という。)を長さ50cmにカットした。そして、ビーカーに水200mlを量り、ウォーターバスを用いて、水温を45℃まで加温した。
【0044】
次に、水温が45℃になったら、条件1、5及び6には所定量のアップミートA(パパイン)を入れ、よくかき混ぜた。よく混ざったら、条件2を含め空気を抜きながらケーシングをその液中に入れた。このとき、鍋に湯を沸かしておいた。
【0045】
そして、ケーシングを入れてから40分経過したら、85℃以上のお湯に夫々のケーシングを5〜10秒間浸し、酵素を死活させた。
【0046】
最後に湯から出して、ケーシングを5mm幅でカットした。
【0047】
また、条件3は#300のケーシングを長さ50cmにカットし、85℃のお湯で40分間ボイルした。その後お湯から上げてケーシングを5mm幅でカットした。
【0048】
更に条件4は、#300のケーシングを長さ50cmにカットし、水温20℃の水に40分間浸した。その後、そのケーシングを5mm幅でカットした。
【0049】
以上の条件1〜6により生成した5mm幅のケーシングの夫々所定の負荷に対する伸びをレオメーターCR200−D サン科学により計測した結果が図3〜図8の表のように表された。また、同様に条件1〜6により生成した5mm幅のケーシングの厚さをTHICKNESS DIAL GAGE Mitutoyoにより計測した結果が図9の表のように表された。
【0050】
更に条件1〜6により生成した5mm幅のケーシングの水分含有量(乾燥重量)については、次に説明する乾燥法で計測した。すなわち、乾燥法は計測する試料を正確に105〜110℃で一定時間加熱乾燥したときの減量した重量を水分とするものであり、水分含有量(%)は次の式により求めた。
【0051】
水分含有量(%)=(水分重量/試料重量)×100=((秤量びんに試料を入れ乾燥前の重量−乾燥後の重量)/(秤量びんに試料を入れ乾燥前の重量−秤量びんの恒量))×100 [式1]
具体的には、次のように実施した。まず、秤量びんは、あらかじめ20℃で1時間乾燥し、デシケーター内で20分間放冷後秤量して恒量を求めておいた。ついで秤量びんに試料を5〜10g正確に分取して、105〜110℃で約2時間乾燥し、デシケーター内で同様に放冷後秤量した。その後、1時間ずつの加熱乾燥、放冷、秤量を恒量に達するまで繰り返した。尚、計測に使用した機器としては、恒温器として「ヤマトDX61」天秤として「ザルトリウスR200」、デシケーターはシリカゲルデシケーター(並型)である。また、前回との秤量値との差が0.3mg以内であれば、恒量とみなし、酸化による増加のあるときは、前回の秤量値を恒量とした。
【0052】
以上の方法により計測し上式[式1]により得られた結果が、図10の表のように表された。
【0053】
また、図11は条件1の負荷による伸張の変化を説明するグラフ、図12は条件2の負荷による伸張の変化を説明するグラフ、図13は条件3の負荷による伸張の変化を説明するグラフ、図14は条件4の負荷による伸張の変化を説明するグラフ、図15は条件5の負荷による伸張の変化を説明するグラフ、図16は条件6の負荷による伸張の変化を説明するグラフ及び図17は各条件における伸張率を説明する表である。
【0054】
図3の条件1の場合の負荷とその伸びとの関係を図11に示すように横軸にケーシングにかけた負荷(kg)を採り、縦軸にそのときの伸び(mm)を採ってグラフ化すると両者の関係は直線回帰でき、その傾斜はケーシングの伸張率となる。すなわち略、図に示す直線として表すことができ、その直線は縦軸をyとして横軸をxとするとy=45.99x+20.561の式として表せ、その傾きを表す45.99がケーシングの伸張率であることが判明した。
【0055】
これにより、条件1のときのケーシングの負荷に対する伸張率は45.99(mm/kg)として表せることが判った。
【0056】
以下、他の条件2〜6についても同様に夫々図12〜図16を作成しその伸張率を計算したところ、条件2の直線の式はy=22.918x+18.104となり伸張率は23(mm/kg)、条件3の直線の式はy=46.517x+18.805となり伸張率は46.5(mm/kg)、条件4の直線の式はy=10.159x+12.134となり伸張率は10.6(mm/kg)、条件5の直線の式はy=23.808x+23.853となり伸張率は23.8(mm/kg)及び条件6の直線の式はy=99.843x+18.981となり伸張率は99.8(mm/kg)となった。以上の計算結果を図17に各条件における伸張率として表した。
【0057】
これらの計測、計算結果から以下のことが判明した。
【0058】
まず、ケーシングの伸張率の温度依存性について説明する。
【0059】
図18はケーシングの伸張率の温度依存性を説明するグラフである。
【0060】
ケーシングの伸張率の温度依存性については、酵素処理をしない(或は酵素濃度0.00重量%)の条件である、条件2〜4までの伸張率を比較検討する。すると、図18に示すように室温(20℃)におけるケーシングの伸張率を基準とすると、処理温度を45℃、85℃に変えることにより、伸張率は夫々2.2倍、4.4倍に増加した。
【0061】
このことより、コラーゲン性のケーシングは温度依存的に伸張することが示された(統計的に有意である。)。例えば、処理温度を制御することにより、ケーシングの伸び具合による食感をコントロールできることが判明した。
【0062】
次に、ケーシングの伸張率の酵素濃度依存性について説明する。
【0063】
図19はケーシングの伸張率の酵素濃度依存性を説明するグラフである。
【0064】
ケーシングの伸張率の酵素濃度依存性については、不活性処理した条件である、条件1、2及び条件5、6の伸張率を比較検討した。すると、図19に示すように酵素処理しない(或は酵素濃度0.00重量%)場合の結果を基準とすると、温度条件を一定とすれば伸張率は酵素濃度依存的に増加した。
【0065】
ここで、基準に比べ0.02重量%の酵素濃度で処理した場合には、伸張率は3%程増加したが、統計的な有意差は見られなかった。一方0.03重量%、0.04重量%の酵素濃度で処理した場合には、伸張率は基準に比べ夫々2.0倍、4.3倍に増加した。
【0066】
このことより、コラーゲン性のケーシングはある濃度で濃度依存的に伸張することが示された(統計的に有意である。)。例えば、酵素濃度を制御することにより、ケーシングの伸び具合による食感をコントロールできることが判明した。
【0067】
また、この結果は酵素がケーシングの基質であるコラーゲンを部分的に分解し、結果としてケーシングの機械的特性を変えたといえる(統計的な有意差があった。)。
【0068】
次に、ケーシング厚の処理条件依存性について説明する。
【0069】
図20は各条件によるケーシングの厚さを説明する表及び図21はケーシング厚の処理条件依存性を説明するグラフである。
【0070】
ケーシング厚の処理条件依存性については、図20に示す条件4である室温においたケーシング(20℃、酵素処理なし、不活性処理なし)の厚さを基準として、全条件を比較検討した。その結果、図20及び図21に示すように酵素処理なしでケーシングを85℃に加熱処理した条件3では厚さが基準(条件4)の0.116mmから0.330mmになり、略3倍に増加した。また、酵素処理なしでケーシングを45℃に加熱処理した条件2では基準(条件4)の0.116mmから0.286mmになり、略2.5倍に増加した(有意差があった。)。
【0071】
一方、条件2と同じ温度条件である45℃で0.02重量%の酵素処理を施し、その後に酵素不活性化処理を行った条件5では、条件2の0.286mmに対し0.273mmとなりケーシング厚に有意の差はなかった。
【0072】
これに対し、条件2と同じ温度条件である45℃で0.03重量%の酵素処理を施し、その後に酵素不活性化処理を行った条件1では、条件2の0.286mmに対し0.244mmとなりケーシング厚は減少しその変化に有意の差はあった。また、条件2と同じ温度条件である45℃で0.04重量%の酵素処理を施し、その後に酵素不活性化処理を行った条件6では、条件2の0.286mmに対し0.203mmとなりケーシング厚は減少しその変化に有意の差はあった。
【0073】
更に同じ温度条件で0.02重量%、0.03重量%及び0.04重量%の酵素濃度の酵素処理し、その後に酵素不活性化処理を行った条件5、1及び6では、ケーシング厚は夫々0.273mm、0.244mm及び0.203mmに減少した。
【0074】
このことより、酵素濃度の増加に伴い、ケーシング厚は減少し、統計的有意差は見られた。また、この結果は酵素処理が伸張率を増加させる結果と対応していた。更に酵素処理がケーシング其質を部分的に分解し、その機械的性状を変えるという推定を指示している。
【0075】
以上からケーシングは温度依存的に厚さを増すが、処理温度と処理時間とを一定(例えば45℃、40分)に保った場合、そのケーシングの基質が酵素(例えばパパイン)によって分解され、その結果としてケーシングの厚さを減少させることが実証できた。これにより、酵素濃度をコントロールすることによりケーシングの厚さを所望の厚さにすることが可能となり、食材にもっとも好ましい食用ケーシングの厚さとすることができることが判った。
【0076】
(食用ケーシングの製造方法)
次に、具体的に食用ケーシングの製造方法について説明する。
【0077】
図22は食用ケーシングの製造方法のフローチャートである。
【0078】
まず、基材5として例えばニッピコラーゲン工業株式会社製のコラーゲンケーシング#300(ケーシング)を約50cmの長さに切りそろえる(ST101)。ここで、50cmの長さに切るのは後述する酵素処理や食材の注入をしやすくするためである。
【0079】
次に、赤色102号2gを水1Lに混ぜて色水を作り、その色水を水53Lを入れた二重釜に投入し加熱する。
【0080】
そして、色水を入れた水温が45〜50℃になったら、協和発酵工業株式会社製のアップミートA398g(0.75重量%(アップミートAに含まれるパパインでは0.03重量%))をその温水に投入し、よくかき混ぜる。
【0081】
更にアップミートAが溶けたら、酵素液が完成したのでその中に約50cmの長さに切りそろえたニッピコラーゲン工業社製のケーシングを入れる(ST102)。
【0082】
温水に入れたケーシング中の空気を抜きながら静かに撹拌する。そして、液温を45〜50℃に保ちながら撹拌を時々して、ケーシングを20〜25分加温する。この際、液温を常時45〜50℃に保つことが大切である。液温によりケーシングの状態が微妙に変化するためである。
【0083】
また、ケーシングの酵素処理中は時々ケーシングを触って薄さ、弾力及び柔らかさを確認し、ケーシングを酵素処理し始めてから15分経過後は頻繁に確認する。このころからケーシングの状態が変化しやすくなるためである。
【0084】
丁度良い柔らかさになったら、かごに網をひいたものに手早くケーシングを移して水切りをする。
【0085】
次に、新たに赤色102号2gを水1Lに混ぜて色水を作り、その色水を新たに水53Lを入れた二重釜に投入し加熱する。
【0086】
新たな色水を入れた液が、80℃以上になったら、かごに移しておいたケーシングをかごごと熱水の中に素早く通し、軽くかき混ぜる(例えば5〜10秒間程度)(ST103)。
【0087】
それが終わったら、最後に水切りしてケーシングをセイロにビニールをひいたものに移し変える(ST104)。
【0088】
以上で、食用ケーシング2が完成する。
【0089】
ここで、様々な酵素濃度、処理時間及び処理温度により食用ケーシングの食感がどのように変化したか図23から図28の表で説明する。
【0090】
図23は処理温度35℃での食用ケーシングの食感を説明する表、図24は処理温度45℃での食用ケーシングの食感を説明する表、図25は処理温度55℃での食用ケーシングの食感を説明する表、図26は処理温度65℃での食用ケーシングの食感を説明する表、図27は処理温度75℃での食用ケーシングの食感を説明する表及び図28は処理温度85℃での食用ケーシングの食感を説明する表である。なお、表中の食用ケーシング変化の段階わけである1から10の数字は、1はゴワゴワして皮のような状態であり、2はぬるぬるしてきたが、まだ皮っぽい状態、3は皮っぽい感じは取れてきた状態、4は実際のたらこの皮のやわらかさよりは硬い状態、5は実際のたらこの皮のやわらかさの状態、6は実際のたらこの皮よりやわらかくバラコを注入できる限界のやわらかさの状態、7はバラコを注入できないくらいやわらかい状態、8は端の方から溶けてきている状態、9は半分以上溶けている状態及び10は溶けて沈殿している状態を夫々表すものである。また、5と6が○で囲んであるのは5及び6の段階がバラコを包装する食用ケーシングとして、最も好ましい食感を与える状態であることを表すものである。
【0091】
表の状態を簡単に説明すると、図23に示すように酵素処理温度が35℃ではいずれの酵素濃度及び処理時間でも5及び6は無く、最適な状態でないことが判明した。また、図24に示すように酵素処理温度が45℃では、酵素濃度0.02重量%の処理時間70分から110分までと、酵素濃度0.03重量%の処理時間40分から60分、酵素濃度0.04重量%の処理時間20分と30分、酵素濃度0.06重量%の処理時間10分で夫々5又は6の段階となった。
【0092】
更に図25に示すように酵素処理温度が55℃では、酵素濃度0.02重量%の処理時間40分から80分までと、酵素濃度0.03重量%の処理時間10分から30分、酵素濃度0.04重量%の処理時間10分で夫々5又は6の段階となった。また、図26に示すように酵素処理温度が65℃では、酵素濃度0.02重量%の処理時間30分のみが6となった。更に図27に示すように酵素処理温度が75℃では、酵素濃度0.02重量%の処理時間20分から40分、酵素濃度0.03重量%の処理時間10分で夫々5又は6の段階となった。また、図28に示すように酵素処理温度が85℃では、いずれの酵素濃度及び処理時間でも5及び6は無く、最適な状態でないことが判明した。
【0093】
また、例えばバラコを包装する食用ケーシングとして最適な食感を与えるためには、どのような酵素濃度、処理温度及び処理時間が適当か検討する基準としては、バラコ注入可能な機械的強度を維持すること、処理時間を可能な限り短縮すること、安定した機械的特性を維持できること、更にたらこの食感をかえないことを考慮した。
【0094】
この結果、パパインによる最適酵素濃度、処理温度及び処理時間は、酵素濃度が0.02重量%では処理温度45℃で処理時間が70分から110分、処理温度55℃で処理時間が40分から80分、処理温度65℃で処理時間が30分、処理温度75℃で処理時間が20分から40分となった。また、酵素濃度が0.03重量%では処理温度45℃で処理時間が40分から60分、処理温度55℃で処理時間が10分から30分、処理温度75℃で処理時間が10分となった。更に酵素濃度が0.04重量%では処理温度45℃で処理時間が20分から30分、処理温度55℃で処理時間が10分となった。また、酵素濃度が0.06重量%では処理温度45℃で処理時間10分のみとなった。
【0095】
以上から良好な食感を有する食用ケーシングとするためには少なくともパパインの濃度が0.02重量%以上であって0.06重量%以下、その酵素処理温度が45℃以上であって75℃以下及びその酵素処理時間が10分以上であって110分以下であることが必要であることが判明した。
【0096】
(食用ケーシングを有する食品の製造方法)
次に、食用ケーシングを有する食品の製造方法について説明する。
【0097】
図29は食用ケーシングを有する食品の製造方法のフローチャートである。
【0098】
まず、バラコ3を主成分とする食材4を製造する。例えばバラコ3を150g用意し、味が薄い場合など、味を調えるときは調味液を適宜入れると共に1Lの水に赤色102号を4g投入して生成した色水を入れ、最後に決着剤例えば食品用加工澱粉を3kgを入れて10〜20分間撹拌する(ST201)。この後、例えば温度0℃〜5℃で24時間あんじょうする(ST202)。これにより、味、色などの安定を図ることができる。
【0099】
次に、食用ケーシング2に食材4を注入する(ST203)。例えば注入機に食用ケーシング2を装着する。この際、酵素処理した食用ケーシング2は壊れやすいので注意する。食用ケーシング2同士がくっついてしまったときは、酸性水に赤色102号の色水を入れ、その中でくっついた部分をはがすようにする。ここで、色水を入れるのは着色した食用ケーシングの色落ちを防ぐためである。例えば整形場酸性水20Lに、水500ccに赤色102号2g投入し生成した色水400ccをまぜた液に入れてはがす。
【0100】
食材4を食用ケーシング2に注入するときは、食用ケーシング2の先を指で押さえながら、注入する。この際、注入する量(太さ)と食用ケーシング2を流していく速さに注意する。
【0101】
また、食材4を注入した食用ケーシング2をビニールをひいたセイロに並べ−25℃以下に冷凍し、端をカットしてから厚さ約1cmにカットする(ST204)。この際、冷凍が溶けるとカットしにくくなるので、カットする分だけ冷凍庫から出してカットすると良い。
【0102】
更に必要に応じてカットした面(食材4が露出している面)に調味料を添加し、食用ケーシングを有する食品例えば切れてる明太子1が完成する。
【0103】
(切れてる明太子と普通の明太子との官能検査)
次に、本実施形態により製造された切れてる明太子(以下単に「切れてる明太子」という。)と本実施形態によらない一般的な明太子(以下単に「明太子」という。)との食感を中心とする官能検査の比較の結果について説明する。検査方法はウィルコクソンの順位和検定を利用した2×M分割表の検定によった。
【0104】
図30は切れてる明太子と普通の明太子との官能検査の2×M分割表である。
【0105】
まず、おいしさについては図30の表に示すように切れてる明太子では非常においしいが1、かなりおいしいが2、ややおいしいが8、どちらともいえないが3、ややまずいが4、かなりまずいが0及び非常にまずいが0であるのに対し、明太子では非常においしいが3、かなりおいしいが6、ややおいしいが6、どちらともいえないが2、ややまずいが1、かなりまずいが0及び非常にまずいが0であった。
【0106】
これにより、帰無仮説を切れてる明太子と明太子との間には差がないとし、対立仮説を切れてる明太子と明太子との間には差があるとすると、ウィルコクソンの順位和検定を利用した2×M分割表の検定による判定は、有意確立(両側)=0.032>有意水準0.01となり、帰無仮説は棄却されなかった。すなわち、「切れてる明太子」と「明太子」との間においしさに差があるとはいえなかった。
【0107】
また、舌触りについては図30の表に示すように切れてる明太子では非常に舌触りがよいが0、かなり舌触りがよいが4、やや舌触りがよいが5、どちらともいえないが1、やや舌触りがわるいが6、かなり舌触りがわるいが2及び非常に舌触りがわるいが0であるのに対し、明太子では非常に舌触りがよいが1、かなり舌触りがよいが9、やや舌触りがよいが7、どちらともいえないが1、やや舌触りがわるいが0、かなり舌触りがわるいが0及び非常に舌触りがわるいが0であった。
【0108】
これにより、おいしさと同様に帰無仮説を切れてる明太子と明太子との間には差がないとし、対立仮説を切れてる明太子と明太子との間には差があるとすると、ウィルコクソンの順位和検定を利用した2×M分割表の検定による判定は、有意確立(両側)=0.003<有意水準0.01となり、帰無仮説は棄却された。すなわち、「切れてる明太子」と「明太子」との間に舌触りに差がないとはいえなかった。
【0109】
更にやわらかさについては図30の表に示すように切れてる明太子では非常にやわらかいが3、かなりやわらかいが5、やややわらかいが4、どちらともいえないが4、ややかたいが2、かなりかたいが0及び非常にかたいが0であるのに対し、明太子では非常にやわらかいが1、かなりやわらかいが2、やややわらかいが6、どちらともいえないが3、ややかたいが4、かなりかたいが1及び非常にかたいが1であった。
【0110】
これにより、おいしさと同様に帰無仮説を切れてる明太子と明太子との間には差がないとし、対立仮説を切れてる明太子と明太子との間には差があるとすると、ウィルコクソンの順位和検定を利用した2×M分割表の検定による判定は、有意確立(両側)=0.070>有意水準0.01となり、帰無仮説は棄却されなかった。すなわち、「切れてる明太子」と「明太子」との間にやわらかさに差があるとはいえなかった。
【0111】
また、歯切れについては図30の表に示すように切れてる明太子では非常に歯切れがよいが0、かなり歯切れがよいが4、やや歯切れがよいが7、どちらともいえないが1、やや歯切れがわるいが6、かなり歯切れがわるいが0及び非常に歯切れがわるいが0であるのに対し、明太子では非常に歯切れがよいが2、かなり歯切れがよいが2、やや歯切れがよいが6、どちらともいえないが3、やや歯切れがわるいが3、かなり歯切れがわるいが2及び非常に歯切れがわるいが0であった。
【0112】
これにより、おいしさと同様に帰無仮説を切れてる明太子と明太子との間には差がないとし、対立仮説を切れてる明太子と明太子との間には差があるとすると、ウィルコクソンの順位和検定を利用した2×M分割表の検定による判定は、有意確立(両側)=0.947>有意水準0.01となり、帰無仮説は棄却されなかった。すなわち、「切れてる明太子」と「明太子」との間に歯切れに差があるとはいえなかった。
【0113】
以上から「ウィルコクソンの順位和検定を利用した2×M分割表の検定(男女)による「おいしさ」「舌触り」「やわらかさ」「歯切れのよさ」について官能検査を実施した結果、有意水準1%で、少なくとも「おいしさ」「やわらかさ」「歯切れのよさ」については「切れてる明太子」と「明太子」とには差がないという仮説を棄却できなかった。すなわち、「おいしさ」「やわらかさ」「歯切れのよさ」に関する限り、「切れてる明太子」と「明太子」との間に違いはないと結論してよいことが判明した。
【0114】
このように本実施形態によれば、食用ケーシング2はコラーゲンを有する基材5を酵素処理することとしたので、コラーゲン分子の一部を切断することができ、食用ケーシング2の硬さや伸展性などを所望の状態にすることが可能となる。
【0115】
また、食用ケーシング2は所定の食感を得るために酵素濃度、処理時間及び処理温度を夫々選択し酵素処理することとしたので、酵素濃度や酵素処理時間、酵素処理温度を夫々選択して、最もその食材4の包装として好ましい食感を得ることが可能となる。
【0116】
更に食用ケーシング2は包装する食材4をたらことしたので、例えばバラコ3を該食用ケーシング2で包装し、たらこの食感を害さないで生食できる商品とすることができる。すなわち、バラコ3をほかの加工食品にするのでなく、素材その物の食感を活かした商品とすることができ、商品価値をアップさせることが可能となる。
【0117】
また、食用ケーシングの製造方法では所定の食感を得るために処理時間及び処理温度を一定にして酵素濃度を選択し酵素処理することとしたので、例えば処理時間を40分、処理温度である酵素液温を45℃として、食べる人の好みにより酵素濃度を調節し、もっとも好ましいやわらかさなどを出すことが可能となる。
【0118】
更に食用ケーシングの製造方法では、所定の食感を得るために酵素濃度及び処理時間を一定にして処理温度を選択し酵素処理することとしたので、例えば処理時間を40分、酵素濃度を0.03重量%として、食べる人の好みにより処理温度である酵素液温度を調節し、もっとも好ましいやわらかさなどを出すことが可能となる。
【0119】
また、食用ケーシングの製造方法ではパパインを有する酵素液により酵素液処理することとしたので、安全かつ簡単に酵素処理することができ所望の硬さなどを有する食用ケーシング2を製造することができる。
【0120】
更に食用ケーシングの製造方法では、パパインの濃度が0.02重量%以上であって0.06重量%以下である酵素液をその液温が45℃以上であって75℃以下にし、その酵素液中に基材5を10分以上であって110分以下の時間置くこととしたので、パパインを有する酵素の濃度を0.02重量%以上から0.06重量%以下で適宜選択し、それに合わせ液温及び液中に置く時間を調整し最も好ましい食用ケーシングの硬さなどを有する食用ケーシング2を製造できる。
【0121】
また、食用ケーシングの製造方法ではパパインの濃度が0.03重量%である酵素液をその液温が45℃以上であって50℃以下にし、その酵素液中に基材5を20分以上であって25分以下の時間置くこととしたので、例えばバラコ3を包装した食用ケーシング2の硬さなどの食感を通常のたらこの皮の食感と略同じにすることができ、そのバラコ3の利用価値を高めることが可能となる。また、通常のたらこの皮より軟らかくすることもでき、食品としての価値を更に高めることが可能となる。
【0122】
更に食用ケーシングを有する食品では、食用ケーシングの製造方法により製造された食用ケーシング2により食材4を包装することとしたので、例えば生食でも食材4を包装した食品の食感を良好なものにできる。
【0123】
また、食用ケーシングを有する食品の製造方法は、コラーゲンを有する基材により形成される食用ケーシングを有する食品の製造方法において、基材5を酵素処理する工程と、酵素処理された基材5を酵素不活性処理する工程と、酵素不活性処理された基材5で食材4を包装する工程とを具備することとしたので、包装する食材4の食感などに合わせた食用ケーシング2の硬さなどにした食用ケーシングを有する食品を製造できる。
【0124】
更に上述した実験結果などから、ケーシングを酵素処理することにより、その機械的特性を任意に変化させる技術・諸条件を決定することができた。また、官能検査の結果などから判断して、酵素処理ケーシングを利用した製品は例えば明太子と同様の食感を持つことが示された。更に安全であることが保証されているケーシング及びパパインのような酵素だけを利用して、ケーシングの機械的特性を変え、新たなケーシング(食用ケーシング2)の開発に成功した。
【0125】
また、この食用ケーシング2を利用して、商品価値の低いバラコを利用して新たな製品を開発した。
【0126】
以上のように食用ケーシング2は単に「切れてる明太子」という特定商品のみならず、「食べてしまえるケーシング」を必要としている多くの製品開発に有用である。
【0127】
(第2の実施形態)
次に、酵素としてのパパインに代えてブロメラインを用いて酵素処理し製造される食用ケーシングを有する食品に適用した第2の実施形態について説明する。なお、第2の実施形態は酵素処理の酵素としてパパインに代えてブロメラインを用いた点を除けば第1の実施形態と同様であるので異なる点を中心に説明する。また、第1の実施形態の構成要素と共通する構成要素については、第1の実施形態と同一の符号を付しその説明を省略する。
【0128】
酵素処理はブロメライン(例えば日本バイオコン株式会社製)の濃度が0.01重量%以上であって0.05重量%以下の酵素液を、その液温が45℃以上であって65℃以下にして、その中に基材5を10分以上であって70分以下の時間置くことにより、コラーゲン分子の一部を切断するものである。ここで、「ブロメライン」とはパイナップルの茎から得られる蛋白質分解酵素で、簡単かつ能率的に可溶性蛋白質を分解する。
【0129】
また、酵素処理は、より好ましくはブロメラインの濃度が0.02重量%である酵素液を、その液温が45℃以上であって50℃以下にして、その中に基材5を10分以上であって15分以下の時間置く。これにより、パパインと同様例えばバラコを包装した食用ケーシングの硬さなどの食感を通常のたらこの皮の食感と略同じにすることができ、そのバラコの利用価値を高めると共に、パパインの場合に比較しより低濃度でかつ、短時間に処理できるのでコストパフォーマンスが高い。
【0130】
次に、酵素処理による食用ケーシングの性質の変化について酵素濃度及び処理時間をパパインとブロメラインとで変更し実験したデータを説明する。
【0131】
図31は酵素濃度及び処理時間をパパインとブロメラインとで変更し条件わけした表、図32は条件7の負荷による伸びの変化を説明する表及び図33は夫々の条件でのケーシングの厚さを説明する表である。
【0132】
まず、基材5を図31に示すように2つの条件により処理した。すなわち、酵素としてパパインを用い、その濃度が0.03重量%でその液温が45℃の酵素液中に40分置き、その後酵素不活性処理をした第1の実施形態の条件1と酵素としてブロメラインを用い、その濃度が0.02重量%でその液温が45℃の酵素液中に15分置き、その後酵素不活性処理をした条件7とである。
【0133】
なお、条件7では略条件1と同様であるがビーカーに水200mlを量り、ウォーターバスを用いて、水温45℃まで加温し、45℃になったら条件1と異なり所定量のブロメラインを入れ、よくかき混ぜた。
【0134】
また、図34は条件1及び条件7の負荷による伸張の変化を説明するグラフである。
【0135】
図3の条件1(第1の実施形態)と条件7との場合の負荷とその伸びとの関係を図34に示すように横軸にケーシングにかけた負荷(kg)を採り、縦軸にそのときの伸び(mm)を採ってグラフ化すると負荷と伸びとの関係は直線回帰でき、その傾斜はケーシングの伸張率となった。
【0136】
これらの計測、計算結果から以下のことが判明した。
【0137】
まず、パパインを用いた条件1とブロメラインを用いた条件7との負荷伸張関係について比較して説明する。
【0138】
図34に示すように伸張率(図34中の直線の傾き)は、ブロメラインを用いた条件7の方がパパインの用いた条件1の場合より大きかった。また、ブロメラインを用いた条件7の方の負荷は、パパインを用いた条件1の場合の半分程度であった。このことから、ブロメライン処理ケーシングは、パパイン処理ケーシングに比べて伸びが小さく切れやすいことがわかった。
【0139】
すなわち、ケーシングを噛み切る際の違和感があるとしてもパパイン処理のものよりもその感じははるかに少ないと考えられる。
【0140】
次に、パパインを用いた条件1とブロメラインを用いた条件7とのケーシング厚について比較して説明する。
【0141】
図33に示すように条件1と条件7とのケーシング厚の平均は夫々0.24mm、0.16mmであった。この厚さの違いが、わずかな負荷によってケーシングがちぎれるという性質を生み出していた。また、この性質がケーシングが食感に与える影響を小さなものにしており、別の言い方をすれば、たらこ本来の食感を出すことにつながった。
【0142】
(食用ケーシングの製造方法)
次に、具体的に食用ケーシングの製造方法について第1の実施形態と異なる点を簡単に説明する。
【0143】
図22に示すように第1の実施形態のST102での色水を入れた水温が45〜50℃になったら、アップミートAの代わりに例えば日本バイオコン株式会社製のブロメライン10.6g(0.02重量%)をその温水に投入し、よくかき混ぜる。
【0144】
更にブロメラインが溶けたら、酵素液が完成したのでその中に約50cmの長さに切りそろえたニッピコラーゲン工業社製のケーシングを入れる(ST102)。
【0145】
温水に入れたケーシング中の空気を抜きながら静かに撹拌する。そして、液温を45〜50℃に保ちながら撹拌を時々して、ケーシングを10〜15分加温する。この際、液温を常時45〜50℃に保つことが大切である。液温によりケーシングの状態が微妙に変化するためである。
【0146】
また、ケーシングの酵素処理中は時々ケーシングを触って薄さ、弾力及び柔らかさを確認し、ケーシングを酵素処理し始めてから10分程経過後は頻繁に確認する。
【0147】
その後、酵素不活性処理(ST103)及び水切り(ST104)してブロメラインで酵素処理した食用ケーシング2が完成する。
【0148】
ここで、様々な酵素濃度、処理時間及び処理温度によりケーシングの食感がどのように変化したか図35から図39の表で説明する。
【0149】
図35は処理温度35℃での食用ケーシングの食感を説明する表、図36は処理温度45℃での食用ケーシングの食感を説明する表、図37は処理温度55℃での食用ケーシングの食感を説明する表、図38は処理温度65℃での食用ケーシングの食感を説明する表及び図39は処理温度75℃での食用ケーシングの食感を説明する表である。なお、表中の食用ケーシング変化の段階わけである1から10の数字及び○の意味は、第1の実施形態と同様である。
【0150】
表の状態を簡単に説明すると、図35に示すように酵素処理温度が35℃ではいずれの酵素濃度及び処理時間でも5及び6は無く、最適な状態でないことが判明した。また、図36に示すように酵素処理温度が45℃では、酵素濃度0.01重量%の処理時間50分と、酵素濃度0.02重量%の処理時間20分、酵素濃度0.04重量%の処理時間10分で夫々5又は6の段階となった。
【0151】
更に図37に示すように酵素処理温度が55℃では、酵素濃度0.02重量%の処理時間20分で6の段階となった。また、図38に示すように酵素処理温度が65℃では、酵素濃度0.03重量%の処理時間30分、酵素濃度0.04重量%の処理時間20分、酵素濃度0.05重量%の処理時間10分で夫々5又は6の段階となった。更に図39に示すように酵素処理温度が75℃では、いずれの酵素濃度及び処理時間でも5又は6は無く、最適な状態でないことが判明した。
【0152】
また、例えばバラコを包装する食用ケーシングとして最適な食感を与えるためには、どのような酵素濃度、処理温度及び処理時間が適当か検討する基準としては、バラコ注入可能な機械的強度を維持すること、処理時間を可能な限り短縮すること、安定した機械的特性を維持できること、更にたらこの食感を変えないことを考慮した。
【0153】
この結果、ブロメラインによる最適酵素濃度、処理温度及び処理時間は、酵素濃度が0.01重量%では処理温度45℃で処理時間が40分から60分、処理温度55℃で処理時間が50分から60分となった。また、酵素濃度が0.02重量%では処理温度45℃で処理時間が10分から20分、処理温度55℃で処理時間が10分から20分、処理温度65℃で処理時間が60分から70分となった。更に酵素濃度が0.03重量%では処理温度45℃で処理時間が10分から20分、処理温度55℃で処理時間が10分から20分、処理温度65℃で処理時間が30分となった。また、酵素濃度が0.04重量%では処理温度45℃で処理時間が10分、処理温度55℃で処理時間が10分から20分、処理温度65℃で処理時間が10分から20分となった。更に酵素濃度が0.05重量%では処理温度65℃で処理時間10分のみとなった。
【0154】
以上から良好な食感を有する食用ケーシングとするためには少なくともブロメラインの濃度が0.01重量%以上であって0.05重量%以下、その酵素処理温度が45℃以上であって65℃以下及びその酵素処理時間が10分以上であって70分以下であることが必要であることが判明した。
【0155】
(食用ケーシングを有する食品の製造方法)
次に、食用ケーシングを有する食品の製造方法については、第1の実施形態と同様なのでその説明を省略する。
【0156】
(パパイン処理とブロメライン処理との官能検査)
次に、パパイン処理された食用ケーシングで製造された切れてる明太子(パパイン処理)とブロメライン処理された食用ケーシングで製造された切れてる明太子(ブロメライン処理)との食感を中心とする官能検査の比較の結果について説明する。検査方法はウィルコクソンの順位和検定を利用した2×M分割表の検定によった。
【0157】
図40はパパイン処理とブロメライン処理との官能検査の2×M分割表である。
【0158】
まず、おいしさについては図40の表に示すようにパパイン処理では非常においしいが1、かなりおいしいが5、ややおいしいが11、どちらともいえないが3、ややまずいが0、かなりまずいが0及び非常にまずいが0であるのに対し、ブロメライン処理では非常においしいが1、かなりおいしいが4、ややおいしいが4、どちらともいえないが3、ややまずいが6、かなりまずいが2及び非常にまずいが0であった。
【0159】
これにより、帰無仮説をパパイン処理とブロメライン処理との間には差がないとし、対立仮説をパパイン処理とブロメライン処理との間には差があるとすると、ウィルコクソンの順位和検定を利用した2×M分割表の検定による判定は、有意確立(両側)=0.034>有意水準0.01となり、帰無仮説は棄却されなかった。すなわち、「パパイン処理」と「ブロメライン処理」との間においしさに差があるとはいえなかった。
【0160】
また、舌触りについては図40の表に示すようにパパイン処理では非常に舌触りがよいが0、かなり舌触りがよいが3、やや舌触りがよいが11、どちらともいえないが3、やや舌触りがわるいが3、かなり舌触りがわるいが0及び非常に舌触りがわるいが0であるのに対し、ブロメライン処理では非常に舌触りがよいが0、かなり舌触りがよいが4、やや舌触りがよいが2、どちらともいえないが5、やや舌触りがわるいが6、かなり舌触りがわるいが3及び非常に舌触りがわるいが0であった。
【0161】
これにより、おいしさと同様に帰無仮説をパパイン処理とブロメライン処理との間には差がないとし、対立仮説をパパイン処理とブロメライン処理との間には差があるとすると、ウィルコクソンの順位和検定を利用した2×M分割表の検定による判定は、有意確立(両側)=0.047>有意水準0.01となり、帰無仮説は棄却されなかった。すなわち、「パパイン処理」と「ブロメライン処理」との間に舌触りに差があるとはいえなかった。
【0162】
更にやわらかさについては図40の表に示すようにパパイン処理では非常にやわらかいが3、かなりやわらかいが5、やややわらかいが6、どちらともいえないが3、ややかたいが3、かなりかたいが0及び非常にかたいが0であるのに対し、ブロメライン処理では非常にやわらかいが2、かなりやわらかいが4、やややわらかいが10、どちらともいえないが1、ややかたいが3、かなりかたいが0及び非常にかたいが0であった。
【0163】
これにより、おいしさと同様に帰無仮説をパパイン処理とブロメライン処理との間には差がないとし、対立仮説をパパイン処理とブロメライン処理との間には差があるとすると、ウィルコクソンの順位和検定を利用した2×M分割表の検定による判定は、有意確立(両側)=0.876>有意水準0.01となり、帰無仮説は棄却されなかった。すなわち、「パパイン処理」と「ブロメライン処理」との間にやわらかさに差があるとはいえなかった。
【0164】
また、歯切れについては図40の表に示すようにパパイン処理では非常に歯切れがよいが1、かなり歯切れがよいが2、やや歯切れがよいが4、どちらともいえないが4、やや歯切れがわるいが6、かなり歯切れがわるいが3及び非常に歯切れがわるいが0であるのに対し、ブロメライン処理では非常に歯切れがよいが1、かなり歯切れがよいが3、やや歯切れがよいが5、どちらともいえないが3、やや歯切れがわるいが5、かなり歯切れがわるいが3及び非常に歯切れがわるいが0であった。
【0165】
これにより、おいしさと同様に帰無仮説をパパイン処理とブロメライン処理との間には差がないとし、対立仮説をパパイン処理とブロメライン処理との間には差があるとすると、ウィルコクソンの順位和検定を利用した2×M分割表の検定による判定は、有意確立(両側)=0.668>有意水準0.01となり、帰無仮説は棄却されなかった。すなわち、「パパイン処理」と「ブロメライン処理」との間に歯切れに差があるとはいえなかった。
【0166】
以上から「ウィルコクソンの順位和検定を利用した2×M分割表の検定(男女)による「おいしさ」「舌触り」「やわらかさ」「歯切れのよさ」について官能検査を実施した結果、有意水準1%で、「パパイン処理」と「ブロメライン処理」との食用ケーシングを用いた「切れてる明太子」間には差がないという仮説を棄却できなかった。すなわち、パパイン処理ケーシングとブロメライン処理ケーシングとを用いた「切れてる明太子」間に違いはないと結論してよいことが判明した。
【0167】
このように本実施形態によれば、基材5の酵素処理をブロメラインを有する酵素液で行うこととしたので、例えばパパインで酵素処理する場合に比べ短時間かつ低濃度で処理できると共にパパインで酵素処理した場合と同様の食感を得ることが可能である。
【0168】
また、食用ケーシングの製造方法はブロメラインの濃度が0.01重量%以上であって0.05重量%以下である酵素液をその液温が45℃以上であって65℃以下にし、その酵素液中に基材5を10分以上であって70分以下の時間置くこととしたので、ブロメラインを有する酵素の濃度を0.01重量%以上から0.05重量%以下で適宜選択し、それに合わせ液温及び液中に置く時間を調整し最も好ましい食用ケーシングの硬さなどを有する食用ケーシング2を製造できる。
【0169】
更に食用ケーシングの製造方法は、ブロメラインの濃度が0.02重量%である酵素液をその液温が45℃以上であって50℃以下にし、その酵素液中に基材5を10分以上であって15分以下の時間置くこととしたので、例えばバラコ3を包装した食用ケーシング2の硬さなどの食感を通常のたらこの皮の食感と略同じにすることができ、そのバラコ3の利用価値を高めることが可能となる。また、通常のたらこの皮より軟らかくすることもでき、食品としての価値を更に高めることが可能となる。
【0170】
更に上述の実験結果などから、ケーシングをブロメライン処理することによりその機械的特性を任意に変化させる技術・諸条件を決定することができた。また、伸びの最大量は、パパインによる酵素処理の場合に比べ50%減少させることができ、ケーシングの厚さもパパインによる酵素処理の場合に比べ40%減少させることができた。
【0171】
一方で、官能検査の結果などから判断して、ブロメライン処理ケーシングを利用した食品は、パパイン処理ケーシングを利用した食品と同様の食感を持つことが示された。すなわち、食感を良くした上でなおかつ食品加工の歩留まりが悪化するのを防止できた。
【0172】
なお、以上のことは同じコラーゲン分解酵素であってもブロメラインは、パパインと異なったアミノ酸結合部位を攻撃する(切断する)性質を持っているためである。
【0173】
尚、本発明は上述したいずれの実施形態にも限定されず、本発明の技術思想の範囲内で適宜変更して実施できる。
【0174】
例えば上述した実施形態では、食用ケーシングを有する食品として生食可能な例えば切れてる明太子1について説明したがこれに限られるものではなく、酵素濃度、処理温度及び処理時間を適宜選択することによって生食でなく、加熱処理などして食する食材4の包装材にも適用可能である。これにより、より多種多様な食材の包装が可能となる。
【0175】
また、上述の実施形態では食用ケーシングの例として円筒形のケーシングについて説明したがこれに限られるものではなく、フィルム状のものやひも状のものであっても良い。これによって、より多種多様な食品を開発することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0176】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る食品の概略斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る酵素濃度及び処理温度、処理時間を種々変更し条件分けした表である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る条件1の負荷による伸びの変化を説明する表である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る条件2の負荷による伸びの変化を説明する表である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る条件3の負荷による伸びの変化を説明する表である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る条件4の負荷による伸びの変化を説明する表である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る条件5の負荷による伸びの変化を説明する表である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る条件6の負荷による伸びの変化を説明する表である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る夫々の条件でのケーシングの厚さを説明する表である。
【図10】本発明の第1の実施形態に係るケーシングの水分含有量を説明する表である。
【図11】本発明の第1の実施形態に係る条件1の負荷による伸張の変化を説明するグラフである。
【図12】本発明の第1の実施形態に係る条件2の負荷による伸張の変化を説明するグラフである。
【図13】本発明の第1の実施形態に係る条件3の負荷による伸張の変化を説明するグラフである。
【図14】本発明の第1の実施形態に係る条件4の負荷による伸張の変化を説明するグラフである。
【図15】本発明の第1の実施形態に係る条件5の負荷による伸張の変化を説明するグラフである。
【図16】本発明の第1の実施形態に係る条件6の負荷による伸張の変化を説明するグラフである。
【図17】本発明の第1の実施形態に係る各条件における伸張率を説明する表である。
【図18】本発明の第1の実施形態に係るケーシングの伸張率の温度依存性を説明するグラフである。
【図19】本発明の第1の実施形態に係るケーシングの伸張率の酵素濃度依存性を説明するグラフである。
【図20】本発明の第1の実施形態に係る各条件によるケーシング厚さを説明する表である。
【図21】本発明の第1の実施形態に係るケーシング厚の処理条件依存性を説明するグラフである。
【図22】本発明の第1の実施形態に係る食用ケーシングの製造方法のフローチャートである。
【図23】本発明の第1の実施形態に係る処理温度35℃での食用ケーシングの食感を説明する表である。
【図24】本発明の第1の実施形態に係る処理温度45℃での食用ケーシングの食感を説明する表である。
【図25】本発明の第1の実施形態に係る処理温度55℃での食用ケーシングの食感を説明する表である。
【図26】本発明の第1の実施形態に係る処理温度65℃での食用ケーシングの食感を説明する表である。
【図27】本発明の第1の実施形態に係る処理温度75℃での食用ケーシングの食感を説明する表である。
【図28】本発明の第1の実施形態に係る図処理温度85℃での食用ケーシングの食感を説明する表である。
【図29】本発明の第1の実施形態に係る食用ケーシングを有する食品の製造方法のフローチャートである。
【図30】本発明の第1の実施形態に係る切れてる明太子と普通の明太子との官能検査の2×M分割表である。
【図31】本発明の第2の実施形態に係るパパインとブロメラインとで条件わけした表である。
【図32】本発明の第2の実施形態に係る条件7の負荷による伸びの変化を説明する表である。
【図33】本発明の第2の実施形態に係る夫々の条件でのケーシングの厚さを説明する表である。
【図34】本発明の第2の実施形態に係る条件1及び条件7の負荷による伸張の変化を説明するグラフである。
【図35】本発明の第2の実施形態に係る処理温度35℃での食用ケーシングの食感を説明する表である。
【図36】本発明の第2の実施形態に係る処理温度45℃での食用ケーシングの食感を説明する表である。
【図37】本発明の第2の実施形態に係る処理温度55℃での食用ケーシングの食感を説明する表である。
【図38】本発明の第2の実施形態に係る処理温度65℃での食用ケーシングの食感を説明する表である。
【図39】本発明の第2の実施形態に係る処理温度75℃での食用ケーシングの食感を説明する表である。
【図40】本発明の第2の実施形態に係るパパイン処理とブロメライン処理との官能検査の2×M分割表である。
【符号の説明】
【0177】
1 切れてる明太子
2 食用ケーシング
3 バラコ
4 食材
5 基材
【出願人】 【識別番号】503401164
【氏名又は名称】湊水産株式会社
【住所又は居所】宮城県石巻市吉野町2−6−7
【出願日】 平成15年10月30日(2003.10.30)
【代理人】 【識別番号】100104215
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 純一

【識別番号】100117330
【弁理士】
【氏名又は名称】折居 章

【公開番号】 特開2005−130779(P2005−130779A)
【公開日】 平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願番号】 特願2003−371224(P2003−371224)