トップ :: A 生活必需品 :: A23 食品または食料品;他のクラスに包含されないそれらの処理




【発明の名称】 機能性成分の多い田七茶の製造方法
【発明者】 【氏名】佐藤 和正

【氏名】矢内 和博

【氏名】木苗 直秀

【氏名】池田 雅彦

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
田七人参地上部位の葉、葉柄、花、茎を水洗後105℃/15〜30分間のオートクレーブ処理及び、60〜105℃/30〜240分間の熱風通風乾燥処理をすることにより、血圧上昇抑制成分であるジンセノシドRb1、Rd、γ-アミノ酪酸の含有量を高めると伴に、710〜177μmに粉砕して短時間で有効成分が熱水溶出し易いようにした機能性成分の多い田七茶の製造方法
【請求項2】
田七人参地上部位の葉、葉柄、花、茎を水洗後105℃/15〜30分間のオートクレーブ処理と90〜120℃/60〜120分間の熱風通風乾燥によって、神経伝達抑制物質であるγ-アミノ酪酸の含有量を高めると伴に、710〜177μmの粒径に粉砕し、有効成分を短時間且つ容易に熱水抽出できるように加工した香風味に優れた機能性成分の多い田七茶の製造方法
【請求項3】
請求項1及び請求項2に記載された粉砕物1部に対してγ-ポリグルタミン酸0.5〜2部、或いはサイクロデキストリン又は直鎖オリゴ糖を0.25〜2部添加する事、或いはγ-ポリグルタミン酸とサイクロデキストリン、直鎖オリゴ糖の内、いずれか二者の等量混合物を0.25〜2部添加する事により、苦渋味をマスキングする事を特徴とした機能性成分の多い田七茶の製造方法


【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、通常漢方生薬として使用されない田七人参地上部位の葉、葉柄、花、茎を利用する。又、それらが持つ機能性成分を溶出され易いように加工し、血圧上昇抑制、高血圧予防に寄与する機能性成分を高含有する健康食品としての田七茶の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
田七人参は、中国雲南省および公西省の特産品で、亜熱帯高山の湿度の多い地帯に自生するウコギ科の多年性草木であり、3年から7年かけて生育したその根茎部分を採取して乾燥粉末化した物は、漢方の上薬として古来より止血、貧血、消炎、鎮痛、肝臓病に使われている。しかし、高貴薬としてその価格は大変高価である。一方、田七人参地上部位の葉、葉柄、花、茎は漢方の生薬としては用いられず田七人参を生産する地方のごく一部でお茶代わりに飲まれる程度であった。
【0003】
そこで、我々は漢方生薬としてはほとんど利用されない田七人参地上部位の葉、葉柄、花、茎の有効利用を長年模索してきたが、生薬として用いられる根茎の薬効成分であるサポニンと同じプロトパナキサディオール系(PPD)のジンセノシドRb1、Rdが田七人参地上部位の葉及びその他の部位にも多く含まれる事や、オートクレーブ処理、熱風通風乾燥処理によりγ-アミノ酪酸(GABA)の含有量も増す事がHPLC及びアミノ酸自動分析器による分析によって判明した。これらは、いずれも血圧上昇抑制効果が有り、又γ-アミノ酪酸(GABA)は神経伝達抑制物質として鎮静作用、抗不安作用、筋弛緩作用などを持つことから近年注目されている。以上のことから、田七人参の通常廃棄される事の多かった地上部位の有効利用を検討した結果、簡便で喫飲し易いお茶タイプの健康食品として、田七茶の発明完成に至った。
田七人参の有効成分の抽出方法及びそのエキス抽出物等に関する特許文献は下記のとおりである。しかしながら、これらの特許文献で使用される田七人参の主要部位は根茎であり、我々が着目した地上部とは異なる事、又その抽出方法は一部加圧酸性条件下での熱水抽出があるものの、ほとんどが溶媒抽出である。我々の発明は、田七人参の通常廃棄される事の多い地上部位の有効成分を穏やかな処理条件下で溶出し易い形体として加工し、健康食品としての田七茶を提供するものである。
【特許文献1】特開平11−290024
【特許文献2】特開2000−264896
【特許文献3】特開2003−26593
【特許文献4】特開2003−88323
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、漢方生薬としては通常使用されない田七人参地上部位の葉、葉柄、花、茎に含まれる機能性成分を如何に効率よく利用出来る様にする田七茶の製造方法を確立し、又喫飲時に問題となる苦渋味等の少ない安価で香風味に優れた健康食品としての田七茶を提供する事にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
通常、日本茶葉のγ-アミノ酪酸(GABA)含有量を高める為に不活性ガス例えばCOガス、或いはN2ガスを充填し6時間以上処理する事によってγ-アミノ酪酸の含有量を高めたギャバロン茶が、健康食品として上市されていることは周知の事実である。我々は、田七人参の地上部位を105℃/20〜30分間のオートクレーブ処理と90℃/60〜120分間の熱風乾燥処理を行う事で血圧上昇抑制効果を有し、また神経伝達抑制物質として効果の高いγ-アミノ酪酸(GABA)の含有量がギャバロン茶の1.4〜2倍にもなる事を見出した。しかも、熱風乾燥処理を行う事で焙煎香も増し、香風味も向上した。しかしながら、有効成分であるジンセノシドRb1とRdは熱風乾燥時間が長くなるに従い、その含有量が減少することも判明した。従って、熱風通風乾燥によってγ-アミノ酪酸の含有量が増加する範囲内での乾燥時間とジンセノシドRb1、ジンセノシドRdの含有量が低下しない乾燥時間を設定する事により両者の含有量を維持する事が可能となった。又、田七茶として喫飲する場合、その溶液には苦渋味が強く残り、喫飲上好ましくない。γ-ポリグルタミン酸又はサイクロデキストリンさらには直鎖オリゴ糖の単品使用又は二者併用により溶出液の苦渋味をマスキングし、より喫飲しやすくすることが可能となり本発明を完成するに至った。以下本発明を詳述すれば、本発明は生薬として利用されない田七人参地上部位の葉、葉柄、花、茎に含まれる血圧上昇抑制作用のあるジンセノシドRb1、Rdおよびγ-アミノ酪酸(GABA)を効率良く溶出できるお茶として安価に提供することにある。
【0006】
すなわち、加圧蒸煮で田七人参地上部位の葉、葉柄、花および茎の各原料を殺菌し有効成分の溶出を容易にすると共に、ジンセノシドRb1、ジンセノシドRdの含有量を低下させない範囲での熱風通風乾燥が血圧上昇抑制作用の高いγ-アミノ酪酸(GABA)の含量を高める事を見出した(図1)。詳述すると、田七人参地上部位(葉、葉柄、花、茎)を水洗水切り後、105℃/20分間オートクレーブ処理した。次いで、それを80℃/90分間予備乾燥し粉砕機で平均粒径0.84mmに粉砕した。さらに、90℃で熱風通風乾燥を150分迄行い、その間30分毎にサンプリングをして各乾燥時間のサンプル100mgを80℃100mlの熱水で30分抽出後100mlに定容して抽出液中のγ-アミノ酪酸含量をアミノ酸自動定量装置(LC6A、株式会社島津製作所製)で分析した。熱風通風乾燥時間が90分でその含有量は最高となり乾燥時間がそれ以上長くなるとγ-アミノ酪酸含量は低下する。
【0007】
同様にジンセノシドRb1、RdをHPLC(検出器:UV970、ポンプ:PU980、カラムオーブン:CO965、日本分光株式会社製)で分析した結果、90℃での熱風通風乾燥時間が120分を経過するとそれらの含有量が低下する事が判った(図2)。又、乾燥温度が90℃以下では地上部位の乾燥に長時間を要し効率的では無く、110℃〜120℃の乾燥温度では短時間で乾燥出来るものの有効成分の減少が見られた。
【0008】
以上のことから、ジンセノシドRb1およびRdの含有量が低下せず、しかもγ-アミノ酪酸含有量の増加する熱風通風乾燥の温度と時間の関係を鋭意検討した結果、90℃/90分間以内の熱風通風乾燥条件が最も効率的条件である事が判明した。熱風通風乾燥処理後の田七茶原料は、更に高速回転ミル粉砕機を通し500〜210μmに粒径を揃え、1gずつティーパック包装で分封する。
【0009】
喫飲時の嗜好性向上として、好ましくは250〜177μmの粒度にするとγ-ポリグルタミン酸、サイクロデキストリン或いは直鎖オリゴ糖等との粉体混合の上で望ましい。田七茶としては、1gを200〜300mlの80℃以上の熱水で3〜5分溶出して喫飲するが、場合によっては苦渋味のマスキングに上記γ-ポリグルタミン酸又はサイクロデキストリン、或いは直鎖オリゴ糖を田七茶1g当り溶出液200mlに対し0.25〜1%になるように添加すると田七茶に由来する苦渋味がマスキングされた。従って、粉砕した田七茶1部に対して0.25〜2部のγ-ポリグルタミン酸、サイクロデキストリン、或いは直鎖オリゴ糖を単品添加して粉体混合するか、若しくはγ-ポリグルタミン酸、サイクロデキストリン又は直鎖オリゴ糖の内、二者の等量混合物を田七茶1部に対し0.25〜2部の割合で粉体混合しても良好な苦渋味のマスキング効果が得られる。好ましくは田七茶1部に対して0.5〜1部の添加域が望ましい。表1はマスキング剤を添加して官能評価を行った結果である。


(表1)田七茶の苦渋味に対するマスキング剤の添加効果


以下に示す実施例1で得られた田七茶(1g分ティーパック)を80℃の熱水200mlで3分溶出し、マスキング剤を溶出液に対して0.2〜2%添加してその溶液の苦渋味をコントロールと比較した。その結果、添加量が0.5%以上から溶液の苦渋味が改善されることが判明した。350〜210μmに粉砕した田七茶1部に対し、0.5部のマスキング剤を添加混合して均一化した田七茶の1.5gティーパックを200mlの熱湯で溶出した田七茶は、苦渋味のない喫飲し易いものとなった。
【発明の効果】
【0010】
本来生薬として使用されず廃棄される事の多かった田七人参の葉、葉柄、花、茎を原料として血圧上昇抑制、神経伝達抑制効果の有るジンセノシドRb1、ジンセノシドRd及びγ-アミノ酪酸の含有量を高め、それらの有効成分を熱湯で効率的に且つ短時間で容易に溶出し易い形態にし、健康食品として簡便で安価に提供できる田七茶の製造を可能にした。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明を実施するための最良の形態は、前記課題を解決するための手段及び以下の実施例に開示した通りである。
【実施例1】
【0012】
田七人参の地上部位(葉、葉柄、花、茎)を水洗し、水切り後トレイに均一に並べ105℃/15分間オートクレーブ処理をした。次いで80℃熱風通風乾燥を5時間行い乾燥した。この時の水分含量は6〜8%であった。次いで高速回転ミル粉砕機で平均粒径500μmに粉砕して1gずつティーパックに分封包装した。この1gを80℃熱湯200〜300mlで3分溶出すると有効成分を充分に含んだ良好な田七茶が得られた。
【実施例2】
【0013】
田七人参の地上部位(葉、葉柄、花、茎)を水洗、水切り後トレイに均一に並べ105℃/20分間オートクレーブ処理をした。次いで90℃/120分間熱風通風乾燥を行い、水分含量が6〜7%の乾燥物を得た。これを高速回転ミル粉砕機で平均粒径500μmに粉砕し1gティーパックに包装した。この1gパックに80℃以上の熱湯200mlで3〜5分溶出すると有効成分を充分に含んだ良好な田七茶が得られた。
【実施例3】
【0014】
田七人参の地上部位(葉、葉柄、花)を充分に水洗し水切り後均一にトレイに並べ、次いで105℃/20分間オートクレーブで加圧熱殺菌を行った後60℃/240分間予備乾燥をした。次いで90℃/90分間熱風通風乾燥を行って水分含量が4〜6%の乾燥物を得た。これを高速回転ミル粉砕機で平均粒径350μmに粉砕して1gティーパック包装した。これを80℃以上の熱湯200mlで5分間溶出すると有効成分を充分に含んだ良好な田七茶が得られた。
【実施例4】
【0015】
田七人参地上部位の葉及び葉柄を水洗して水切り後、均一にトレイに並べ105℃/30分間オートクレーブにより加圧熱殺菌をした。次いで60℃/60分間温風通風予備乾燥を行った後、90℃/90分間熱風通風乾燥して水分含量が4〜6%の乾燥物を得た。この乾燥物を高速回転ミル粉砕機で平均粒径250〜177μmに粉砕し、それを1gずつティーパック包装した。1g分封品に80℃以上の熱湯200〜300mlを加えて溶出したものは健康食品としての機能性成分を充分に具備した良好な田七茶であった。
【実施例5】
【0016】
実施例4で得られた250〜177μmの田七茶1部に対しγ-ポリグルタミン酸0.5〜1部を加え、均一になるように混合して出来る混合物1.5〜2gを80℃熱湯200mlで溶出した溶出液は、田七特有の苦渋味がマスキングされ、喫飲し易い嗜好性の高いものとなった(表2)。
【実施例6】
【0017】
実施例4で得られた250〜177μmの田七茶の粉砕物1部に対しγ-ポリグルタミン酸、サイクロデキストリン又は直鎖オリゴ糖の内、二者の等量混合物を0.25〜2部添加して均一になる様に混合して、その混合物を1.25〜3gティーパック包装した。その1.25〜3g分封品を80℃以上の熱湯200mlで3分間溶出した。その溶出液は、田七茶特有の苦渋味がマスキングされ、喫飲し易い嗜好性の高い田七茶となった(表2)。
【0018】
(比較例1)
天日乾燥した田七人参地上部位の葉、葉柄、花、茎を水洗水切り後トレイに均一に並べ105℃/15分間オートクレーブ処理後、60℃の温風で5時間乾燥したものを高速回転ミルにかけ平均粒径を1.7mmにし、1gティーパック包装した。1gパックに80℃以上の熱湯200mlを加えて5分溶出させた。溶出液は有効成分の溶出量も少なく苦渋味、青臭さが残り実施例に比べ品質が劣った(表2)。
【0019】
(比較例2)
田七人参地上部位の葉、葉柄、花を水洗水切り後トレイに並べ105℃/20分間オートクレーブ処理後、予備乾燥として60℃/60分間温風通風を行い更に90℃/90分間熱風通風乾燥を行った。この時の乾燥物の水分含量は6〜7%であった。これを高速回転ミルで粉砕し平均粒径1.19mmとした。これを1gティーパック包装し、この1gパックを80℃以上の熱湯200mlで5分溶出したがその溶出は不十分であった(表2)。
(表2)田七茶の評価


【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】田七茶の熱風通風乾燥処理時間とγ-アミノ酪酸(GABA)の含有量の関係を示す。
【図2】田七茶の熱風乾燥処理時間とジンセノシドRb1、Rd含有量との関係を示す。
【図3】田七茶の0.5%熱湯溶出液を生後6週令の高血圧自然発症ラット(SHRSP)14週令迄自由飲水させた時の血圧上昇抑制効果を示す。
【図4】田七茶及び他の健康食品とのγ-アミノ酪酸(GABA)の含有量の比較を示す。
【出願人】 【識別番号】596036496
【氏名又は名称】株式会社万城食品
【出願日】 平成15年10月30日(2003.10.30)
【代理人】
【公開番号】 特開2005−130756(P2005−130756A)
【公開日】 平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願番号】 特願2003−369803(P2003−369803)