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【発明の名称】 顆粒状大豆加工食品及びその製造方法
【発明者】 【氏名】宗 光利
【住所又は居所】千葉県千葉市美浜区新港14 古谷乳業株式会社内

【要約】 【課題】血栓溶解作用などの生理活性機能が期待できるナットウキナーゼを高活性で含むと共に、納豆臭がなく、液状やクリーム状食品に対する分散性が良好な顆粒状大豆加工食品を提供すること。

【解決手段】(A)大豆粉末40〜80質量%と、(B)ナットウキナーゼ粉末0.5〜15質量%と、(C)オリゴ糖3〜30質量%を含む粉末混合物を造粒してなる平均粒径100〜500μmの顆粒状大豆加工食品である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)大豆粉末40〜80質量%と、(B)ナットウキナーゼ粉末0.5〜15質量%と、(C)オリゴ糖3〜30質量%を含む粉末混合物を造粒してなる平均粒径100〜500μmの顆粒状大豆加工食品。
【請求項2】
粉末混合物が、(D)デンプン及び/又はその部分加水分解物30質量%以下を含む請求項1記載の顆粒状大豆加工食品。
【請求項3】
粉末混合物が、(E)蜂蜜20質量%以下を含む請求項1又は2記載の顆粒状大豆加工食品。
【請求項4】
ナットウキナーゼ活性が100〜2000FU/gである請求項1、2又は3記載の顆粒状大豆加工食品。
【請求項5】
造粒機内において、(A)大豆粉末と(B)ナットウキナーゼ粉末と(C)オリゴ糖を少なくとも含む粉末混合物に、エタノール又は含水エタノールを加えながら撹拌造粒し、次いで乾燥処理することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の顆粒状大豆加工食品の製造方法。
【請求項6】
造粒機が破砕転動造粒機である請求項5記載の顆粒状大豆加工食品の製造方法。
【請求項7】
温風が吹き込まれている造粒機内に、(A)大豆粉末と(B)ナットウキナーゼ粉末と(C)オリゴ糖を少なくとも含む粉末混合物を供給して流動層を形成させ、これに可食性バインダーを含む水性溶液又は水性分散液を噴霧すると共に、乾燥して造粒することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の顆粒状大豆加工食品の製造方法。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、顆粒状大豆加工食品及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、血栓溶解作用などの生理活性機能が期待できるナットウキナーゼを高活性で含むと共に、納豆臭がなく、かつ液状やクリーム状の食品又は食品素材に対する分散性が良好であって、健康食品として好適な、大豆食品素材とナットウキナーゼを含有する食べやすい機能性液状食品やクリーム状食品を提供し得る顆粒状大豆加工食品、及び該顆粒状大豆加工食品を効率よく製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、高齢者の血栓症や梗塞症だけでなく、いわゆる生活習慣病の若年化が社会問題となりつつある。例えば、通常は健康な生活をおくっている人でも、エコノミークラス症候群などと称されるような、血栓が肺静脈に急に詰まる事態が社会的に注目されている。
血栓による循環不全又は血管の閉塞が主な原因として関与する疾患の予防又は治療の方法として、血栓の形成を妨げるか、あるいは形成した血栓を溶解する薬物を投与することが従来より行われている。上記薬物としては、例えばアスピリン、チクロピジンなどの抗血小板剤、ワルファリンなどの抗凝血剤、プロウロキナーゼ、ウロキナーゼ、t−PA、ストレプトキナーゼ、化学修飾ストレプトキナーゼなどの血栓溶解剤などが、従来用いられている。
しかしながら、これらの薬剤は副作用が高くて患者に対して負担が大きく、また副作用を発現させないように、投与量を調節しなければならないため、投与に当たり、医師の管理を必要とするなどの欠点を有している。
【0003】
ところで、日本の伝統食品である納豆には、納豆菌産生物である血栓溶解酵素のナットウキナーゼが含まれていることが見出されて以来(例えば、非特許文献1参照)、納豆の栄養価はもちろん、健康食品としての価値が見直されている。このナットウキナーゼは、それ自体線溶酵素として作用し、食品として摂取されると血栓を溶解することが知られている。
納豆は、このように健康食品として優れているが、特有の臭いやねばねばした食感が気になる人は食べにくいという問題を有している。したがって、納豆嫌いの人にも手軽に摂取できるような納豆菌の産生物を含んだカプセルや錠剤が提案されているが(例えば、特許文献1参照)、さらに、納豆の有する作用を十分に発現でき、しかも食べやすい食品が求められている。
【0004】
一方、納豆菌は、ビタミンK2を多く産生することも知られている。ところが、このビタミンK2は、血液凝固系の作用因子であって、血栓予防のために、ビタミンK依存性凝固因子合成抑制剤、例えばワルファリンなどを服用している患者が、血栓予防などを目的として、前記ナットウキナーゼを含む納豆や納豆菌培養エキスを摂取すると、ビタミンK2も同時に摂取することになり、そのビタミンK依存性凝固因子合成抑制剤の効果が打ち消されるという問題が生じる。
そこで、このような問題に対処するために、納豆菌培養物をキトサンと接触させて、ビタミンK2を該キトサンに吸着させることにより、ナットウキナーゼを含有するが、ビタミンK2をほとんどあるいは全く含有しない納豆菌培養エキスが開発されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
他方、大豆種子中には、不飽和脂肪酸を酸化する酵素であるリポキシゲナーゼが3種含まれており、これらはL−1,L−2,L−3の略称が与えられている。この酵素の作用は極めて強く、大豆組織の破壊と共に、大豆中に共存する遊離脂肪酸と反応して、青豆臭の主成分であるn−ヘキサナールなどを生成する。そのため、大豆製品の不快臭発生を低く抑える目的から、例えばリポキシゲナーゼL−1,L−2及びL−3の全てが欠失する大豆食品素材を用いてなる風味・食味が良好な大豆加工食品が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
【特許文献1】特開平11−18712号公報
【特許文献2】特開2001−299277号公報
【特許文献3】特許公報第2500350号
【非特許文献1】「エクスペリエンティア(Experientia)」、第43巻、第1110頁(1987年)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような状況下で、血栓溶解作用などの生理活性機能が期待できるナットウキナーゼを高活性で含むと共に、納豆臭がなく、かつ液状やクリーム状の食品又は食品素材に対する分散性が良好であって、健康食品として好適な、大豆食品素材とナットウキナーゼを含有する食べやすい機能性液状食品やクリーム状食品を提供し得る顆粒状大豆加工食品を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、大豆粉末とナットウキナーゼ粉末とオリゴ糖を、それぞれ所定の割合で含む粉末混合物を造粒してなる特定の平均粒径を有する顆粒状大豆加工食品が、その目的に適合し得ること、そして、この顆粒状大豆加工食品は、特定の造粒方法を採用することにより、効率よく製造し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)(A)大豆粉末40〜80質量%と、(B)ナットウキナーゼ粉末0.5〜15質量%と、(C)オリゴ糖3〜30質量%を含む粉末混合物を造粒してなる平均粒径100〜500μmの顆粒状大豆加工食品、
(2)粉末混合物が、(D)デンプン及び/又はその部分加水分解物30質量%以下を含む上記(1)の顆粒状大豆加工食品、
(3)粉末混合物が、(E)蜂蜜20質量%以下を含む上記(1)又は(2)の顆粒状大豆加工食品、
【0009】
(4)ナットウキナーゼ活性が100〜2000FU/gである上記(1)、(2)又は(3)の顆粒状大豆加工食品、
(5)造粒機内において、(A)大豆粉末と(B)ナットウキナーゼ粉末と(C)オリゴ糖を少なくとも含む粉末混合物に、エタノール又は含水エタノールを加えながら撹拌造粒し、次いで乾燥処理することを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかの顆粒状大豆加工食品の製造方法、
(6)造粒機が破砕転動造粒機である上記(5)の顆粒状大豆加工食品の製造方法、及び
(7)温風が吹き込まれている造粒機内に、(A)大豆粉末と(B)ナットウキナーゼ粉末と(C)オリゴ糖を少なくとも含む粉末混合物を供給して流動層を形成させ、これに可食性バインダーを含む水性溶液又は水性分散液を噴霧すると共に、乾燥して造粒することを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかの顆粒状大豆加工食品の製造方法、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、血栓溶解作用などの生理活性機能が期待できるナットウキナーゼを高活性で含むと共に、納豆臭がなく、かつ液状やクリーム状の食品又は食品素材に対する分散性が良好であって、健康食品として好適な、大豆食品素材とナットウキナーゼを含有する食べやすい機能性液状食品やクリーム状食品を与える顆粒状大豆加工食品を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の顆粒状大豆加工食品は、(A)大豆粉末、(B)ナットウキナーゼ粉末及び(C)オリゴ糖を少なくとも含む粉末混合物(以下、造粒用粉末混合物と称すことがある。)を造粒してなる大豆加工食品である。
前記(A)成分の大豆粉末は、大豆又は脱脂大豆などを一定の粒度に粉砕したものを指し、その代表例として、きな粉を挙げることができる。このきな粉は通常、大豆を金網又は回転円筒の中で直火で煎り、荒砕きして皮を除き、その後微細に粉砕したものである。皮を除かないこともある。粉砕は、一般に衝撃式粉砕機を用いて行われる。このようにして得られたきな粉は、よい香りをもち、消化性も大豆の煮豆やいり豆よりもかなりよいことが知られている。黄大豆を原料としたきな粉は黄褐色を、青大豆を原料としたきな粉は淡緑色を呈し、本発明においては、いずれも用いることができる。
【0012】
大豆種子中には、不飽和脂肪酸を酸化する酵素であるリポキシゲナーゼL−1,L−2及びL−3の3種が含まれており、これらの酵素の作用は極めて強く、大豆組織の破壊と共に、大豆中に共存する遊離不飽和脂肪酸と反応して、青豆臭の主成分であるn−ヘキサナールなどを生成する。
本発明において、(A)成分として用いられる大豆粉末中に、前記酵素が存在すると、前述のように不快臭が発生する以外に、製品の顆粒状大豆加工食品中に過酸化脂質が生成するという問題がある。この過酸化脂質は、タンパク質、ビタミンなど栄養学的に重要な成分と反応したり、食品の色、硬さ、口ざわりなどにも影響を与えることから、該過酸化脂質の生成を抑制することが望ましい。
したがって、本発明においては、(A)成分として、リポキシゲナーゼL−1,L−2及びL−3の全てを欠失する大豆から得られた大豆粉末を用いることが好ましい。リポキシゲナーゼL−1,L−2及びL−3の全てが欠失する大豆は、例えば「Japan J.Breed」、第41巻、第507頁(1991年)に記載されている方法により得ることができる。
【0013】
本発明において、(B)成分として用いられるナットウキナーゼ粉末におけるナットウキナーゼは、納豆菌の産生物であり、納豆中や納豆菌培養物中に含まれている血栓溶解酵素である。上記(B)成分のナットウキナーゼ粉末としては、ナットウキナーゼ活性が5000FU/g以上であるものが好ましい。なお、ナットウキナーゼの1日当たりの摂取量は、2000FU程度が目標であると云われている。本発明の顆粒状大豆加工食品を液状やクリーム状の食品又は食品素材に加えて食する場合、ナットウキナーゼ粉末のナットウキナーゼ活性が5000FU/g以上であれば、目標とするナットウキナーゼ1日当たりの量(2000FU程度)を容易に摂取することが可能である。当該ナットウキナーゼ粉末のより好ましいナットウキナーゼ活性は10000FU/g以上であり、さらに15000FU/g以上が好ましい。ナットウキナーゼ活性の上限については特に限定されないが、通常30000FU/g程度である。
【0014】
また、納豆菌は、ビタミンK2を多く産生することが知られている。このビタミンK2は、血液凝固系の作用因子であって、血栓予防のために、ビタミンK依存性凝固因子合成抑制剤、例えばワルファリンなどを服用している患者が、ビタミンK2を摂取すると、そのビタミンK依存性凝固因子合成抑制剤の効果が打ち消されるという問題が生じる。したがって、本発明においては、このような問題に対処するために、ビタミンK2の含有量を減少させたナットウキナーゼ粉末を用いることが望ましく、当該ナットウキナーゼ粉末中のビタミンK2含有量は1μg/g以下であることが好ましい。
このようなビタミンK2の含有量を低減したナットウキナーゼ粉末は、例えば特開2001−299277号公報に記載されている方法に従って製造することができる。
【0015】
具体的には、まず納豆菌であるバチルス・サブチリス・ナットウ(Bacillus subtilis natto)の培養を行う。該納豆菌の株種については、ナットウキナーゼを産生し得るものであればよく、特に制限はない。市販の納豆から分離した納豆菌を用いることもできる。また、納豆菌の培養に用いる培地については特に制限はないが、得られるナットウキナーゼ粉末を加工食品に用いることを考慮し、例えばデンプン(コーンスターチなど)、グルコース、蔗糖などの炭素源、脱脂大豆、肉エキスなどの窒素源、炭酸カルシウム、塩化マグネシウムなどの無機塩、必要に応じて用いられる脂肪酸などを含む培地を用いることができる。これらの培地に使用される各成分は、食品添加物グレードであることが好ましい。
前記培地を用いて納豆菌を培養する方法については特に制限はないが、大量に培養するためには、通気撹拌培養が好ましい。培養温度は納豆菌が生育できる温度であればよく、特に制限はないが、30〜45℃が好ましく、32〜42℃がさらに好ましく、37℃前後が最も好ましい。培養は、3〜4日が好ましい。
【0016】
このようにして得られた培養物中には、納豆菌の産生物であるナットウキナーゼ及びビタミンK2が含まれているので、この培養物にキトサン、好ましくは0.1〜1質量%程度のキトサン水溶液を加え、十分に撹拌反応させてビタミンK2をキトサンに吸着させる。次いで、これに適当なろ過助剤を加えてろ過処理し、清澄なろ液を得る。このようなキトサン処理により、ビタミンK2は、通常99%以上、場合によっては99.9%以上除去され、ろ液中のビタミンK2含有量は極く微量となる。
次に、前記ろ液を、逆浸透圧濃縮機などを用いて濃縮したのち、これに適切な量の食品添加物、例えば水溶性食物繊維、乳糖、セルロースなどを加えて凍結乾燥などの乾燥処理を施すことにより、ナットウキナーゼ活性が5000FU/g以上でビタミンK2含有量が1μg/g以下のナットウキナーゼ粉末を得ることができる。
【0017】
また、本発明で用いるナットウキナーゼ粉末は、納豆から製造することもできる。例えば、通常の大粒納豆、小粒納豆、ひきわり納豆に滅菌した約40℃の温水を加え、よく撹拌した後に、その納豆と温水との混合物を、納豆の大部分の固形成分が通過できない程度の細かい目の滅菌した網に通すことにより固形成分を除去して、納豆菌産生物を納豆の固形成分から分離し、温水との混合物として得る。
次に、この納豆菌産生物含有液に対して、前記と同様にキトサン処理、ろ過、濃縮、乾燥処理を施すことにより、所望のナットウキナーゼ粉末を得ることができる。
なお、前記のナットウキナーゼ活性及びビタミンK2含有量は、特開2001−299277号公報に記載されている方法により、測定することができる。すなわち、ナットウキナーゼ活性は、ナットウキナーゼ粉末をフィブリンに作用させ、フィブリンの分解に伴って増加する酸可溶性低分子分解産物の量を、紫外線(275nm)の吸光度を測定して求める方法により、測定することができる。具体的には、特開2001−299277号公報において、段落番号[0032]〜[0036]に記載されている操作を行い、ナットウキナーゼ活性を測定する。
また、ビタミンK2含有量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により、測定することができる。具体的には、特開2001−299277号公報において、段落番号[0037]、[0038]に記載されている操作を行い、ビタミンK2含有量を測定する。
【0018】
本発明において、(C)成分として用いられるオリゴ糖は、ブドウ糖や果糖のような単糖類が2〜10個程度結合した糖類で、その組み合わせにより多数の種類がある。酵素を利用して大量に生産する技術が近年開発されている。腸内の善玉菌であるビフィズス菌を増殖させることにより、有害な腐敗物質の生成を抑制し、便通を整える整腸作用を有するものが多い。このオリゴ糖としては、フラクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、ラクトスクロース(乳糖果糖オリゴ糖)、パラチノース、マルトオリゴ糖などが開発され、上市されている。
【0019】
フラクトオリゴ糖は、天然にはゴボウ、タマネギ、にんにく等の野菜に微量含まれている。工業的には、ショ糖を原料として、これに微生物の生産する果糖転移酵素を働かせて得られる。構造式は、ショ糖のフラクトース(果糖)部分にさらにフラクトースが1〜3個結合した形になっている。ショ糖に似た上質でさわやかな甘味を持った糖で、菓子をはじめ多くの食品に利用されている。
イソマルトオリゴ糖は、天然には清酒、みりん、味噌などの伝統食品に微量存在しており、うま味やこく味を呈する糖であることが知られている。工業的には、デンプンを原料にして酵素を利用して製造する。砂糖に似たまろやかな甘味を有しており、水分保持能力が高く、使用される各種食品に好ましい「しとり効果」を与える他、デンプン質の老化防止作用があり、パン類、和洋菓子の日持ち向上に役立つ。また、ビフィズス菌の増殖効果を有している。その化学式は、グルコースがα−1,4結合以外にα−1,2結合、α−1,3結合という結合方式をとるため分岐状を呈している。
【0020】
ガラクトオリゴ糖は、乳糖のガラクトース部分にさらにガラクトースが1〜4個結合した構造(3糖類以上)、およびガラクトースやグルコースにガラクトースが結合した構造(2糖類)をもっている。自然界には乳糖にガラクトースが結合した構造の6′−ガラクトシルラクトースが母乳中に認められる。工業的には、乳糖を原料として、酵素を利用して製造される。
その特性としては、消化酵素によって分解されにくい難消化性、ビフィズス菌、乳酸菌増殖効果および難う蝕性といった点があげられる。また、熱や酸に対して安定で加工適正がいいことから、菓子やパン分野での利用がなされている。
キシロオリゴ糖は、自然界ではタケノコ等に含まれている。工業的には、トウモロコシの実をとった後の芯の部分であるコーンコブ、サトウキビから砂糖をとった後の殻の部分であるバガス、綿の殻の部分である綿実セリといった天然の植物繊維からキシラナーゼ酵素を利用した酵素分解によって製造される。主成分は、キシロースが2個結合したキシロビオースと3個結合したキシロトリオースである。
その構造特性(キシロースのβ−1,4結合)によりpH安定性・熱安定性があり、各種食品加工特性および長期の保存安定性が優れている。また、ビフィズス菌活性効果を持っているが、活性を示すための1日の有効摂取量が他のオリゴ糖に比べて少量であるという特徴を持っている。
【0021】
ラクトスクロースとは、乳糖とショ糖を原料とし、乳糖のブドウ糖側にショ糖の構成要素の1つである果糖を転移し、結合させた構造のガラクトース、ブドウ糖、果糖からなる3糖であり、その分子構造の中に乳糖とショ糖を有する形となっている。
その特徴としては、難消化性、低エネルギー、ビフィズス菌増殖といった生理活性機能を有しており、また、甘味はショ糖と同じ味質の甘味を有するほか、保湿性が高いことを除き、酸性条件下における加熱安定性や保存安定性はショ糖と殆ど同じである。
利用分野としては、保湿性が高いことから、飲料や水分含有量の大きい菓子、乳製品等に利用されている他、卓上甘味料としても販売されている。
【0022】
パラチノースは、ショ糖を原料として製造されるオリゴ糖で、非う蝕性で良質の甘味を有している。
ショ糖は果糖とブドウ糖が1分子ずつ結合したものであるが、パラチノースは結合位置が異なっている。ショ糖はブドウ糖と果糖がα−1,2結合により結合したものであるが、パラチノースはショ糖にα−グルコシルトランスフェラーゼという糖転移酵素を作用させることにより、その結合の仕方をα−1,4結合に換えたものである。このような結合の違いによって、ショ糖とパラチノースの間には、同様にブドウ糖と果糖からできている糖でありながら、物理的・化学的性質に大きな違いが生じている。
【0023】
マルトオリゴ糖は、グルコースを単位とし、これが2〜10個鎖状につながった糖である。現在は、トウモロコシデンプンを原料とし、液化酵素(α−アミラーゼ)でデンプンを液化後、枝切り酵素(プルラナーゼ、イソアミラーゼ)と糖化酵素(β−アミラーゼ)を作用させて加水分解して生成する。構造的にはイソマルトオリゴ糖と類似であるが、直鎖状につながっているという点が異なっている。特徴としては、低甘味で、保湿性が強いため、練菓子などに利用されている。
本発明においては、(C)成分のオリゴ糖として、前記オリゴ糖のいずれを用いてもよく、また二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
本発明において、顆粒状大豆加工食品を得るために用いられる造粒用粉末混合物は、必須成分として、前記(A)成分の大豆粉末を40〜80質量%、(B)成分のナットウキナーゼ粉末を0.5〜15質量%及び(C)成分のオリゴ糖を3〜30質量%の割合で含むことを要する。(A)成分、(B)成分及び(C)成分の含有割合が上記範囲内にあることにより、造粒が容易であると共に、得られる顆粒状大豆加工食品を液状やクリーム状の食品又はは食品素材に加えた場合に、良好な分散安定性を示し、かつ食べやすく、また、顆粒状大豆加工食品のナットウキナーゼ活性が高いことから、該加工食品を比較的少量食してもナットウキナーゼの1日当たりの目標摂取量に達することができる。該粉末混合物中の各成分の好ましい含有量は、(A)成分50〜75質量%、(B)成分1〜10質量%及び(C)成分5〜20質量%の範囲である。
【0025】
前記粉末混合物には、任意成分として、(D)デンプン及び/又はその部分加水分解物を30質量%以下の割合で含有させることができる。この(D)成分を上記割合で含有させることにより、本発明の目的が損なわれることなく、より良好な造粒性を付与することができる。該(D)成分の好ましい含有量は1〜25質量%の範囲である。
デンプンとしては、例えばコーンスターチ、ばれいしょデンプン、小麦デンプン、さつまいもデンプンなどを用いることができる。また、デンプンの部分加水分解物としては、前記デンプンを酸、酵素、熱、その他の手段で部分加水分解して得られたデキストリンなどを用いることができる。このデキストリンには、加水分解条件により、白色デキストリン、黄色デキストリン、ブリティッシュガムなどがある。本発明においては、(D)成分として、前記デンプンを用いてもよいし、デキストリンを用いてもよく、あるいはその両方を組み合わせて用いてもよい。
【0026】
また、前記粉末混合物には、任意成分として、(E)蜂蜜を20質量%以下の割合で含有させることができる。この(E)成分を上記割合で含有させることにより、本発明の目的及び造粒性を損なうことなく、味覚を向上させることができる。該(E)成分の好ましい含有量は3〜15質量%の範囲である。
さらに、前記粉末混合物には、本発明の目的及び造粒性が損なわれない範囲で、所望により各種食品素材や、ビタミン類、ミネラル類などを含有させることができる。
前記の各種食品素材としては、例えばショ糖、乳糖、ブドウ糖などのオリゴ糖以外の糖質;セルロース、小麦ふすま、小麦ファイバー、コーンファイバー、大豆食物繊維、アップルファイバー、さつまいもファイバー、ビートファイバー、夕顔果実粉末、ペクチン、オオバコ種皮、グアーガム分解物、こんにゃく、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、寒天、プルラン、難消化性デキストリンなどの水溶性又は水不溶性植物繊維;鶏卵タンパク質、乳タンパク質、大豆タンパク質、魚タンパク質、肉タンパク質などのタンパク質及びこれらの分解物やアミノ酸;大豆油、綿実油、サフラワー油、米油、コーン油、ナタネ油、パーム油、シソ油、エゴマ油、ヤシ油、魚油、ボラージ油、合成トリグリセリド類である中鎖脂肪酸トリグリセリド、その他の合成トリグリセリドなどの脂質;マルチトール、エリスリトール、還元パラチノースなどの糖アルコール;茶ポリフェノール類;レシチン類;塩化ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウムなどの呈味物;コーヒー粉末、抹茶粉末、ココア粉末などのフレーバー物質などが挙げられる。
一方、ビタミン類としては、例えばビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンEなどが挙げられ、ミネラル類としては、例えばナトリウム、カリウム、カルシウム、リン、マグネシウム、亜鉛、さらにはヘム鉄などが挙げられる。
【0027】
本発明の顆粒状大豆加工食品は、このようにして得られた粉末混合物を造粒してなるものであって、その平均粒径は100〜500μmの範囲である。この平均粒径が上記範囲にあれば、該顆粒状大豆加工食品を液状やクリーム状の食品又は食品素材に加えた場合に、分散安定性が良好となる。好ましい平均粒径は150〜400μmの範囲である。
【0028】
また、当該顆粒状大豆加工食品におけるナットウキナーゼ活性については特に限定されないが、通常100〜2000FU/g程度である。市販の納豆におけるナットウキナーゼ活性は、20〜40FU/g程度であり、これに比べ、本発明品は、高いナットウキナーゼ活性を有している。ナットウキナーゼの1日当たりの目標摂取量は2000FU程度といわれており、したがって、当該顆粒状大豆加工食品は、比較的少ない量を食しても、1日当たりのナットウキナーゼ活性の目標量を、容易に摂取することができる。当該顆粒状大豆加工食品における好ましいナットウキナーゼ活性は300〜1500FU/gの範囲である。
また、当該顆粒状大豆加工食品においては、ビタミンK2含有量を0.1μg/g以下に低減することができる。このように、ビタミンK2含有量を低減させた顆粒状大豆加工食品は、血栓予防のために、ビタミンK依存性凝固因子合成抑制剤を服用している患者においても食することができる。
【0029】
当該顆粒状大豆加工食品の製造方法については、前述の造粒用粉末混合物を造粒し得る方法であればよく特に制限はないが、以下に示す本発明の方法に従えば、所望の顆粒状大豆加工食品を効率よく製造することができる。
本発明の方法においては、(1)造粒機内において、前述の造粒用粉末混合物に、エタノール又は含水エタノールを加えながら撹拌造粒し、次いで乾燥処理することにより、顆粒状大豆加工食品を製造する方法、及び(2)温風が吹き込まれている造粒機内に、前述の造粒用粉末混合物を供給して流動層を形成させ、これに可食性バインダーを含む水性溶液又は水性分散液を噴霧すると共に、乾燥して造粒することにより、顆粒状大豆加工食品を製造する方法、の2つの方法がある。前記2つの方法を比較した場合、ナットウキナーゼ活性の低下を抑制し得る点から、(1)の方法が好ましい。
【0030】
まず、前記(1)の方法について説明する。
この方法においては、造粒機として、破砕転動造粒機が好ましく用いられる。該破砕転動造粒機は、例えば缶体底部にスクレーバー式回転羽根が設けられていると共に、缶体上部に同軸に互いに直角に組み合わせた平羽根がセットされている。この造粒機においては、缶体底部に設けられているスクレーバー式回転羽根により生じる中心部の回転放物線状と周辺部における回転双曲線状の流動の組合わせに加えて、上部にセットされた平羽根により、上記2つの流動曲線が増幅され、強力な渦巻状の流動、層流が得られる。これにより、粉体の粒子を自転、公転させ、均一に混合分散させて造粒する。
この際、エタノール又は水分含有量が20質量%程度以下の含水エタノールを加えながら、造粒を行うことが好ましい。このようにして得られた造粒物は流動乾燥機などを用いて乾燥処理する。
【0031】
次に、前記(2)の方法について説明する。
この方法においては、好ましくは底部より35〜50℃程度の温度を有する温風が吹き込まれている造粒機内に、造粒用粉末混合物を供給し、流動層を形成させる。そしてこの粉末混合物に、可食性バインダーを含む水性溶液又は水性分散液を、該粉末混合物に対して、好ましくは10〜100質量%程度噴霧して、該粉末混合物に吸着させると共に、乾燥させることにより、造粒を行う。
上記可食性バインダーとしては、食品素材として用いることができ、かつバインダー機能を発揮し得るものであればよく、特に制限されず、様々なものを用いることができる。このような可食性バインダーとしては、例えば、α−化デンプン及び増粘多糖類などが挙げられる。ここで、増粘多糖類の例としては、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アラビアガム、キサンタンガム、ジエランガム、カードラン、タマリンドガム、サイリウムシードガムなどを挙げることができる。これらの可食性バインダーは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0032】
前記の可食性バインダーを含む水性溶液又は水性分散液は、例えば次のようにして調製することができる。水又は水とエチルアルコールとの混合物などの水性媒体中に、前記の可食性バインダーを加え、均質に充分に混合することにより、可食性バインダーを含む水性溶液又は水性分散液を調製する。この際、必要があれば適当な温度、例えば30〜80℃程度に加温して調製してもよい。
このようにして調製された可食性バインダーを含む水性溶液又は水性分散液における固形分濃度としては、噴霧が可能な濃度であればよく、特に制限はないが、通常0.1〜1質量%程度である。
前記の(1)及び(2)の方法で造粒された顆粒状物は、篩別されることにより、平均粒径が、100〜500μm、好ましくは150〜400μmの顆粒状大豆加工食品が得られる。
【0033】
本発明の顆粒状大豆加工食品は、以下に示す優れた特徴を有している。
(1)ナットウキナーゼ粉末は、大豆粉末と共に造粒されるので、単独での造粒に比べて耐熱性が良好で、造粒時における失活が少なく、特に前述の(1)の造粒方法では、70%以上の活性を維持することができる。
(2)納豆に比べて、ナットウキナーゼ活性がはるかに高く、比較的少ない量で、1日当たりの目標量を摂取することができる。
(3)ナットウキナーゼは大豆粉末に混合されているので、単独の場合に比べて耐酸性が良好であって、酸性の胃でもほとんど分解されず、そのまま通過し、またアルカリ性の腸においてもその活性はほとんど失われずに、効率よく吸収される。
【0034】
(4)ビタミンK2を実質的に含まない顆粒状大豆加工食品を製造することができ、この大豆加工食品は、血栓予防のために、ビタミンK依存性凝固因子合成抑制剤を服用している患者でも食することができる。
(5)リポキシゲナーゼL−1,L−2及びL−3の3種が全て欠失する大豆から得られた大豆粉末を用いることにより、不快臭の発生及び過酸化脂質の生成を抑制することができる。
(6)納豆臭がなくて食べやすく、また液状やクリーム状の食品又は食品素材、例えば牛乳などに対する分散安定性が良好で(ダマ状やまま粉状にならない。)、大豆食品素材及び血栓溶解作用を有するナットウキナーゼを含有する機能性液状食品やクリーム状食品を提供することができる。
【実施例】
【0035】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、ナットウキナーゼ活性及びビタミンK2含有量は、明細書本文に記載した方法に従って測定した。
実施例1
リポキシゲナーゼL−1,L−2及びL−3の3種全てを欠失する大豆から得られた大豆粉末(きな粉)715g、ナットウキナーゼ粉末((株)日本生物・科学研究所製、ナットウキナーゼ活性24000FU/g、ビタミンK2含有量0.05μg/g)35g、オリゴ糖(塩水港精糖(株)製、商品名「乳菓オリゴ糖LS−50PK」)100g、デキストリン50g及び蜂蜜100gからなる造粒用粉末混合物1000gを、破砕転動造粒機((株)セイシン企業製、「ニューグラマシン(SEG型)」、羽根数:スクレーバー式回転羽根1枚、平羽根2枚)に供給し、3分間混合したのち、これに10質量%の水を含有する含水エタノール80.2gを加えながら、2分間造粒を行った。なお、造粒機の回転数は700rpmであった。
次に、得られた造粒物を、流動乾燥機(エンデコッツ社(英国)製、「FBD−2000」)により、入口温度を40℃に設定して、30分間乾燥処理した。篩別し、平均粒径230μmの顆粒状大豆加工食品を得た。
この顆粒状大豆加工食品のナットウキナーゼ活性は630FU/gであった。すなわち、造粒によるナットウキナーゼ活性の失活率は25%である。
【0036】
実施例2
実施例1において、大豆粉末の量を550g、デキストリンの量を215gに変更し、かつ含水エタノール80.2gの代わりに、エタノール238.1gを用い、造粒時間を4分間とした以外は実施例1と同様な操作を行い、平均粒径230μmの顆粒状大豆加工食品を得た。
この顆粒状大豆加工食品のナットウキナーゼ活性は651FU/gであった。すなわち、造粒によるナットウキナーゼ活性の失活率は22.5%である。
【0037】
比較例1
実施例1で得られた造粒物の乾燥処理品を篩別し、平均粒径約600μmの顆粒状大豆加工食品を得た。
比較例2
実施例1で得られた造粒物の乾燥処理品を篩別し、平均粒径約50μmの顆粒状大豆加工食品を得た。
【0038】
試験例1
実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2で得られた顆粒状大豆加工食品を、コーヒー、ミルク、スープ、飲料水及びカレーライスのカレー部分にそれぞれ混ぜたところ、実施例1及び実施例2のものは、ダマ状やまま粉状になることがなく、容易にかつ均質に分散させることができた。
これに対し、比較例1のものは、粒子が固めになり、沈みが早く、溶けが悪くなる。比較例2のものは、溶けが悪く、ザラツキがあり、ダマになりやすい状態であった。
また、実施例1及び実施例2のものは、寒天及び乳化剤を使用して、ペースト状の均質なジャムにすることができた。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の顆粒状大豆加工食品は、血栓溶解作用などの生理活性機能が期待できるナットウキナーゼを高活性で含むと共に、納豆臭がなく、かつ液状やクリーム状の食品又は食品素材に対する分散性が良好であって、健康食品として好適な、大豆食品素材とナットウキナーゼを含有する食べやすい機能性液状食品やクリーム状食品を提供することができる。

【出願人】 【識別番号】502074839
【氏名又は名称】古谷乳業株式会社
【住所又は居所】千葉県千葉市美浜区新港14
【出願日】 平成15年10月28日(2003.10.28)
【代理人】 【識別番号】100078732
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 保

【識別番号】100081765
【弁理士】
【氏名又は名称】東平 正道

【公開番号】 特開2005−130727(P2005−130727A)
【公開日】 平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願番号】 特願2003−367848(P2003−367848)