| 【発明の名称】 |
納豆用除粘調味料とその製法 |
| 【発明者】 |
【氏名】矢野 陽子
|
| 【要約】 |
【課題】納豆の粘質感、特に糸切れを容易にし、糸引きを軽減する納豆用の調味料とその製法を提供する。
【解決手段】一般的な納豆用醤油味調味液やドレッシング等に蛋白質分解酵素を添加することにより、納豆の糸切れを容易にする。例えば、植物起源プロテアーゼ製剤を用いたり、同プロテアーゼを含む野菜、果菜、果物の搾汁、エキス、粉末を用いたりする。納豆の粘質感や糸引きが著しく軽減されることにより、老人や幼児や外国人でも食しやすくなり、納豆自体の活用方法も幅が広がる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 蛋白質分解酵素を含有することを特徴とする納豆用除粘調味料。 【請求項2】 蛋白質分解酵素が植物起源プロテアーゼであることを特徴とする請求項1記載の納豆用除粘調味料。 【請求項3】 植物起源プロテアーゼがアボカド由来であることを特徴とする請求項1記載の納豆用調味料。 【請求項4】 納豆用除粘調味料の製造にあたり、調味成分の調製後に蛋白質分解酵素を添加することを特徴とする納豆用除粘調味料の製法。
|
【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、納豆用調味料、特に納豆用の除粘調味料に関する納豆用除粘調味料とその製法である。 【背景技術】 【0002】 納豆は、良質の植物性蛋白質を含み、栄養的にすぐれ、消化し易い食材であるが、納豆の粘質感、糸引き性のため手軽に食べにくく、特に子供には好まれない。またこの粘質性は、納豆の二次加工を困難にしがちである。従来、納豆の粘質感、糸引きを抑制する方法には、大別して除粘納豆の製法と、納豆用の除粘調味料の製法が知られている。 【0003】 除粘納豆の製法としては、例えば特許文献1は、納豆を水と少量のジアスターゼで処理し、納豆から粘質物を除去する方法を開示している。また特許文献2は、納豆製造工程中に、大根、玉葱、パイナップル、キウイフルーツ等の破砕物、液汁、処理物を添加することを開示している。 【0004】 納豆用の除粘調味料としては、例えば特許文献3は調味液に海藻類、紫蘇類を添加、特許文献4は大根おろしの添加、特許文献5はアルギン酸ソーダ、ペクチン、澱粉、グリコマンナン、卵白、カラギーナン、寒天等のとろみ料の添加を開示している。 【0005】 【特許文献1】特開平8−84569号 【特許文献2】特開平4−16055号 【特許文献3】特開平4−94666号 【特許文献4】特開平5−23131号 【特許文献5】特開平7−313087号 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 特許文献1及び2のように、納豆製造工程で除粘物質を添加する方法は、納豆菌の醗酵そのものに影響を与え、消費者の口に届くまでに納豆本来の風味、栄養素が損なわれるおそれがある。特に、特許文献2のように、納豆の製造過程で得られた納豆に、野菜や果物の破砕物、液汁、処理物を直接添加しては、納豆に添加物の食感、風味が混入することは避けられない。大根、玉葱、パイナップル、キウイ、フルーツ等の破砕物、液汁、処理物を添加することは、臭いや酸性度が強いため、酵素の働きが悪い上、納豆自体の食感風味をこわしている。 【0007】 納豆用の除粘調味料として、特許文献3及び4のごとく海藻類、紫蘇類、大根おろし等の天然素材をそのまま添加する方法では、多少の除粘効果はあるにしても、その作用機序は必ずしも明確ではなく、大根おろしのジアスターゼはデンプン分解酵素が多く、またその水分で納豆の粘質を薄めているもので水っぽくなり、時間がたつと納豆の糸が再度引きはじめる。かつ添加物の大根や海藻の独特の風味が加味される。また特許文献5のようにとろみ成分の添加では、納豆本来の風味がいちじるしく損なわれる。 【0008】 一般的にいって、これまでの除粘物質は、水のような溶解剤、ジアスターゼのごとき澱粉分解酵素、あるいはとろみのごとき凝固剤が中心であり、主として蛋白質からなる納豆の粘質物に直接作用するものではなく、少量で十分な除粘効果を期待できない。 【0009】 本発明は、前記のごとき問題点を解決するもので、納豆の除粘作用が確実で、納豆の栄養、風味を損なわない調味料及びその製法を提供することを目的としている。 【課題を解決するための手段】 【0010】 前記目的を達成した本発明の納豆用除粘調味料は、蛋白質分解酵素を含有することを特徴としている。 【0011】 本発明に用いる蛋白質分解酵素としては、例えばパパイア、メロン、アボカドのごとき植物起源プロテアーゼが望ましく、更には中性またはアルカリ性植物起源プロテアーゼが望ましい。 【0012】 本発明の納豆用除粘調味料の製法は、納豆用調味料の製法にあたり、調味成分の調整後に蛋白質分解酵素を添加することを特徴としている。 【発明の効果】 【0013】 本発明の納豆用除粘調味料およびその製法によれば、下記の効果及び利点がある。 (1)納豆の主として蛋白質からなる粘質物に直接作用する蛋白質分解酵素を、調味料に添加しているために、食する直前に納豆にかけて混ぜるだけで、納豆を取り分ける時の糸を構成している蛋白質連鎖を蛋白質分解酵素が切断し、納豆の粘質感をそのままに、取り分ける時に引いた糸をプツプツと切断して取り分けやすくなり、糸引きが改善される。納豆に果汁などを混ぜるのに比べると、経時的な変化により再度糸が引かない上、納豆の風味とともに変質劣化がない。 (2)特に、植物起源蛋白質分解酵素でも植物起源エンド型プロテアーゼでは、納豆が植物性蛋白質からなることから動物性よりも相性がよく危険性がない。納豆本来の味についても変化をもたらさない。 (3)納豆に蛋白質分解酵素を含有する納豆用除粘調味料を始めに加えてよく混ぜることで、蛋白質分解酵素の働きをよくする。納豆用除粘調味料は、一般調味料の前に加えてまぜることにより、蛋白質分解酵素の働きをよくするので、個別に納豆に混ぜる納豆用調味料の使用方法は納豆の除粘効果を更によくする。 (4)一般調味料は、醤油味やタレやソースやドレッシングなど、また適度な油脂を添加した調味料にも利用することで、食感もよくなり調味料としての利用域が広がる。また、片栗粉を添加する場合は保存、輸送が便利になる。 (5)粘質感、糸引きの改善により、栄養、消化のよい納豆を忙しい朝食時や高齢者や幼児、外国人が食しやすくなり、家庭、病院、施設、学校、海外での利用が広がる。また納豆自体の活用方法も幅が広がる。 (6)食後に食器を水に満たして放置しておくとその食器のヌメリがとれ、さらさらに洗える洗浄効果もある。納豆用除粘調味料は納豆を食した後の食器洗いの洗剤としても使える。 (7)アボカドを蛋白質分解酵素の代わりに添加した場合は、栄養価が更に高まり、排便なども助け、排便の臭いも軽減する。 【発明を実施するための最良の形態】 【0014】 本発明で用いる納豆用調味料には、通常の醤油に各調味液を加え、蛋白質分解酵素を添加して用いる。代表的な調合割合を下記する。 ・醤油(味噌等)……15〜25重量% ・ミリン……6〜15重量% ・食塩……1〜5重量% ・アルコール……0.1〜0.98重量% ・特殊風味料(カツオ、しいたけ、昆布等)……10〜15重量% ・蛋白質分解酵素(食用)……0.02〜0.10重量% 【0015】 納豆の粘質感、糸引きをもたらす連鎖した蛋白質であるポリペプチド体を切断分解する蛋白質分解酵素としては、植物起源、動物起源、微生物起源のものが一般的であるが、植物起源ではアボカドが好適である。特に植物起源エンド型プロテアーゼ製剤としては、例えばパパイン、メロン、等を好適に用いることができる。植物起源エンド型プロテアーゼを含む植物であるイチジク、プリンスメロン、カラスウリ、トウガン、キウイ、アメリカゴボウ、ダイズ、マンゴー、等の搾汁、エキス、粉末を用いれば、いずれも、無味無臭に近く、含まれるエンド型プロテアーゼの最適pHが7以上のアルカリ域にあるため、アルカリ性である納豆本来の味を生かしながら、納豆の糸を分解する酵素の働きがよい。パイナップルやキウイは酸が強く納豆本来の味を生かすことができないとともに、納豆の糸を分解する酵素の働きが弱まり時には食感を阻害する。 【0016】 特にアボカドは油脂が殆どであるが、その油脂と蛋白質分解酵素(3+)およびデンプン分解酵素(1+)が、納豆の糸を切断するための分解酵素と油脂とのバランスがよく、納豆の糸を切断する蛋白質分解酵素粉末に代わる添加物として最適である。 【0017】 蛋白質分解酵素は、調味料製造工程中、製造後に添加してもよいし、調味料とタンパク質分解酵素を別々に包装しておき、食する直前の納豆に同時または逐次的に加えてかきまぜてもよい。また調味料がタンパク質分解酵素によりいちじるしく変質、分解を起こす可能性のある場合は、タンパク質分解酵素を含む調味料と別々に包装しておき、食する直前の納豆に逐次的に加えてかきまぜてもよい。 【0018】 蛋白質分解酵素の添加量は、納豆50gに対し蛋白質分解酵素(食用)が重量比で3mg〜10mgの範囲内になるように、6ccから30ccの調味料に対し添加する。6cc以下では納豆全体に行き渡らず効果が得られない。30cc以上では水っぽくなる。アボカドを入れたものについては20ccから35ccが適量である。納豆に対する蛋白質分解酵素の割合が一般的には、調味料の0.01%〜0.10重量%で、納豆に対する蛋白質分解酵素の割合が0.01重量%以下では、粘質感と糸引きの改善が十分に認められない。また0.10重量%以上では、粘質感、糸引きが改善される反面、納豆の風味と食感が損なわれる。代表的な配合例を下記する。 ・醤油(味噌・ドレッシング等主味付け)……15〜25重量% ・ミリン……6〜15重量% ・食塩……1〜5重量% ・アルコール……0.1〜0.98重量% ・砂糖……1〜5重量% ・特殊風味料(カツオ、しいたけ、昆布等)……10〜20重量% ・蛋白質分解酵素(食用)……0.01〜0.10重量% ・片栗粉……1〜5重量% ・油脂……0.5〜1.0重量% 【実施例1】 【0019】 実施例1の蛋白質分解酵素に、パパイン(食用)5mgを添加して下記割合の調味料を調製し、20ccを用いた。代表的な配合例を下記する。 ・醤油……15〜25重量% ・ミリン……6〜15重量% ・食塩……1〜5重量% ・アルコール……0.1〜0.98重量% ・特殊風味料(カツオ、しいたけ、昆布等)……10〜20重量% ・パパイン(食用)……0.01〜0.10重量% 【実施例2】 【0020】 実施例1の蛋白質分解酵素に代わりアボカドを添加して下記割合の調味料を調製した。 ・醤油……15〜25重量% ・ミリン……6〜15重量% ・食塩……1〜5重量% ・アルコール……0.1〜0.98重量% ・特殊風味料(カツオ、しいたけ、昆布等)……10〜20重量% ・アボカド……10〜30重量% 【0021】 (比較例1) 実施例1から蛋白質分解酵素パパインの無添加調味料を調製した。 (比較例2) 実施例1の蛋白質分解酵素パパインに代えて、デンプン分解酵素ジアスターゼを含む大根汁20ccを添加して調味料を調製した。 【0022】 (試験例1) 実施例1、2及び比較例1、2、の調味料を納豆50gに対し、20ccの調味料を添加して30秒間から60秒かき混ぜ、5cm四方のビニールを納豆ケースの蓋部分の納豆面に密着させて貼付け、静かに10cmから30cm引き上げた状態と糸引切れ速度を測定し、あわせてパネラー男女各5人に食してもらい、納豆風味の官能試験をした。結果を表1に示す。 【0023】 【表1】
注1:官能試験は、比較例1(蛋白質分解酵素無添加)に対する変化を問うた。 【0024】 表1から蛋白質分解酵素添加の実施例1、2は、比較例1に比べると全ての糸が3秒以内でぷつぷつと切れ、時間が経過しても細い糸を再度引くことがない。納豆の粘質低減効果が顕著であることが判明した。また納豆風味と食感も、実施例1は比較例1の無添加とほとんど変わらず、実施例2ではむしろ納豆の風味を生かし、排便効果もあり、アボカド自体の栄養価も加わり好感を呼んだ。逆に比較例2では大根汁を入れると大根の風味が強くなり、水っぽさがあり、納豆の風味を壊したとの意見がでた。また、時間がたつと再度細い糸引きがはじまる。 また実施例1と2については、使用後の食器に水を満たしておくと、数十分で納豆独特のヌメリ感がなくなり、食器洗いが楽になる。 (試験例2) 【0025】 表2は、本発明の調味料に含んだ植物及びその素材で納豆の糸切れ効果を示した。 【0026】 【表2】
注2:糸切れ効果度は、◎◎最適でよく切れる、◎よく切れる、○切れる。 【0027】 表2の植物及びその素材は中性からアルカリ性であり、アルカリ性の納豆とアルカリ性蛋白質分解酵素との相性がよくパイナップルやキウイ等の酸性のものより効果的に切れ、風味の変化がない。 【産業上の利用可能性】 【0028】 本発明の蛋白質分解酵素入り納豆調味料は、納豆製品に添付してもよいし、納豆調味料として、例えば家庭、病院、特別老人養護施設、ホテル、旅館、料亭等の業務用に別売りしてもよく、海外への納豆製品にも利用が可能である。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】599073113 【氏名又は名称】矢野 陽子
|
| 【出願日】 |
平成16年1月29日(2004.1.29) |
| 【代理人】 |
|
| 【公開番号】 |
特開2005−95136(P2005−95136A) |
| 【公開日】 |
平成17年4月14日(2005.4.14) |
| 【出願番号】 |
特願2004−21625(P2004−21625) |
|