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【発明の名称】 強化米の製造方法
【発明者】 【氏名】奥井 学
【住所又は居所】島根県簸川郡大社町大字北荒木645番地 アルファー食品株式会社内

【氏名】福本 育夫
【住所又は居所】島根県簸川郡大社町大字北荒木645番地 アルファー食品株式会社内

【氏名】矢冨 伸治
【住所又は居所】東京都中央区八丁堀4−11−7 アライビル アルファー食品株式会社東京支店内

【氏名】篠崎 隆
【住所又は居所】東京都中央区八丁堀4−11−7 アライビル アルファー食品株式会社東京支店内

【要約】 【課題】

【解決手段】50℃〜100℃に加温した米を回転及び/又は攪拌しながら、(1)水及び強化物質、又は、(2)強化物質水溶液あるいは強化物質含有液を少量ずつ添加して、米に強化物質を付着、吸着、又はコーティングする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
50〜100℃に加温した米を回転及び/又は攪拌しながら水及び強化物質粉末を添加すること、を特徴とする強化米の製造方法。
【請求項2】
50〜100℃に加温した米を回転及び/又は攪拌しながら強化物質水溶液又は強化物質含有液を添加すること、を特徴とする強化米の製造方法。
【請求項3】
更に、結着剤を添加すること、を特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
強化物質がビタミン、アミノ酸、ミネラル、玄米成分、キノコ成分、大豆成分、薬草成分から選ばれる少なくともひとつであること、を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
強化物質がカバノアナタケ(Inonotus obliquus)であること、を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
米が玄米、1〜9分搗き米、胚芽米、精白米、発芽玄米、加工米、無洗米から選ばれる少なくともひとつであること、を特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
更に、乾燥処理を行って、強化米の水分を18%以下、好ましくは16%以下とすること、を特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
強化米の米デンプンのアルファー化度が50%以下、好ましくは40%以下であること、を特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法で製造してなる強化米。
【請求項10】
カバノアナタケを強化してなること、を特徴とする請求項9に記載の強化米。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、強化米の製造方法に関するものであり、更に詳細には、米デンプンのアルファー化度の上昇を極力抑え、また、不溶性物質を含め各種の強化物質を均一に付着、吸着、あるいはコーティングした強化米を効率的に製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりビタミンB1、ビタミンB2、アミノ酸を精白米に増強した強化米が製造されている。従来の強化米の製造方法としては、例えば米を強化物質溶液に浸漬したりあるいは米に強化物質をスプレーした後、加熱して固定する方法、又は、米を水に浸漬した後、加熱し完全にアルファー化(つまり糊化)した後にスプレーあるいは浸漬することにより強化物質を吸収、吸着させる方法が用いられている(例えば、非特許文献1及び2参照)。
【非特許文献1】「食品工業綜合事典」、(株)光琳、昭和54年10月25日、第251頁
【非特許文献2】「化学大辞典 2」、共立出版(株)、昭和46年2月5日、第838頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記したように、従来強化米は、強化する物質を噴霧又は含浸させた後、米が割れないよう加熱固定して製造する方式が採られている。しかしながら、このような従来方式で製造された強化米は、外部表面のアルファー化(完全糊化)は避けられず、そのため、吸水性を有し、長時間の水浸漬等によって米粒が崩れ、炊飯等調理した場合、風味や食感に悪い影響をもたらす。
【0004】
また、強化する物質としては、液体に溶解ないし分散できるものでなければ均一吸着、均一付着ができないため、固体、粉末状物質あるいは不溶性の物質は使用できず、従来法においては強化する物質に制限があり、各種の物質を自由に強化することはできなかった。
【0005】
そのうえ更に、強化米の製造においては、例えば精白米などに混合した取扱いを考える場合に限らず、製品強化米において微生物などが増殖するのを防止する必要があるため、強化米の水分は微生物の増殖を防止できる程に抑制することが希求されている。
【0006】
本発明は、これらの欠点を解消し、当業界の要望に応える目的でなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するためになされたものであって、デンプンのアルファー化度の上昇を極力抑え、また、水溶性の物質はもとより不溶性の物質も均一に吸着、付着、あるいはコーティングした強化米の製造方法を開発する目的でなされたものである。
【0008】
そこで本発明者らは、上記目的を達成するため、各方面から検討の結果、加熱と強化物質の付着を同時に進行させることにより、上記強化米の製造がはじめて可能となることを見出し、この有用新知見に基づき更に研究を行い、遂に本発明の完成に至ったものである。
【0009】
すなわち本発明は、加熱処理と強化物質の付着を同時に進行させ、その際、米デンプンを完全に糊化することなく、そのアルファー化度は50%以下に抑制し、最終製品の水分は18%以下、好ましくは16%以下に調整することにより、1時間以上も水に浸漬しても、米が割れたり崩れたりすることがなく、形状が維持された強化米を効率的に製造するものである。
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0011】
本発明を実施するには、米を回転及び/又は攪拌しながら水の存在下において強化物質を添加して、米に強化物質を付着、吸着、コーティングの少なくともひとつを行い、しかる後に水分調整を行って、強化米を製造するものである。
【0012】
本発明を実施するには、各種装置を利用することができ、基本的には、米の回転/攪拌機構、加温機構、強化物質添加機構を備えた装置であれば全てのタイプのものが使用可能である。例えば、錠剤にコーティングをかけるための装置として多用されているコーティングパンあるいはそれを改良した装置が使用可能である。また連続的に製造するには、円筒状のドラムを傾斜させ回転させれば連続製造もできる。
【0013】
例えば、コーティングパンに設けられている温風、冷風供給装置の内、温風だけでは不充分な場合、ドラムの下部、側部、場合によっては上部の少なくともひとつから電気ヒーター及び/又はガスバーナー等適宜な加熱手段により外部から加熱してやればよい。ヒーターの数、設置個所、そのレイアウト等は適宜決定すればよい。
【0014】
ドラム内に米を入れ、米を回転及び/又は攪拌しながら加熱する。本発明においては、米デンプンを従来法のように完全に糊化するのではなく、そのアルファー化度を50%以下、好ましくは45%以下、更に好ましくは40%以下とする。そのため、ドラム内の米の品温が50〜100℃、好ましくは55〜90℃となるように加熱すればよいが、微生物面とアルファー化度の双方を考慮すると、60〜85℃の品温が維持されるように温度管理するのが好適である。上記アルファー化度が得られるよう、予備実験を行って温度コントロールと時間決定を行えばよい。
【0015】
ドラムは、15〜25rpmで回転させるが、回転数に格別の限定はなく、均一に米が加熱され、所定のアルファー化度が得られ、強化物質が米に均一に付着すればよく、加熱手段、強化物質の添加の態様を勘案しながら回転数を定めればよい。また、ドラム内にはスクリュー、プロペラ、攪拌翼等の攪拌機を設けたり、あるいは所望に応じて外部から攪拌機を挿入して、米を直接攪拌してもよい。また、あるいは、トラップを設けてもよい。
【0016】
ドラムは、コーティングパンのように例えば全体が30°等傾斜した回転軸を中心に回転させるほか、水平面と直角にあるいは水平面と同一面に回転させることも可能である。ドラムの形状も、コーティングパンのように釣鐘型とするほか、円筒型、その中央部を膨らませた樽型、球型等、適宜の形状にすることができる。但し、連続製造には円筒型、多角筒型、円錐、多角錘型が適する。
【0017】
ドラム内で上記品温に維持、加温しながら回転及び/又は攪拌されている米に強化物質を添加して、強化物質を米に付着、吸着、又はコーティングする。ここに、付着は米の外部にひっついて分離することのない状態をいい、吸着は、外部に付着しただけでなく更に米の内部にまで浸透することをいい、コーティングは米に強化物質の被覆をかけることをいうが、以下、これらをまとめて付着という。したがって、付着には、狭義の付着のほか、吸着、コーティングの少なくともひとつが包含される。
【0018】
強化物質は、水の共存下、あるいは別途水を添加しながら、ドラム内に添加する。例えば、不溶性ないし極めて難溶性物質の場合は、これらの添加とは別に水も添加し、また、水溶液、懸濁液、乳化液等強化物質含有液の場合は、このまま添加してもよいし、場合によっては、高濃度強化物質含有液をそのまま使用してもよいし、上記のように水を別途添加して、タンク内で所望濃度となるよう希釈してもよい。強化物質は、連続的又は間欠的に添加したり、一滴ずつ滴下し、連続的又は間欠的にスプレーしたりして添加する。強化物質の添加は少量ずつ行えばよく、格別の限定はないが、後記する実施例を参考にして定めればよい。例えば、米4kgに強化物質含有液500gを連続添加する場合、30分〜180分間で全量添加する程度の添加速度で添加すればよいが、ドラムの表面積と加熱量で調整可能である。
【0019】
強化物質と共存させる水としては、通常の水のほか、強化物質を米に付着させるための結着材を含有した水を使用することができる。結着材としては、糖類(例えば、デンプン、デキストリン、オリゴ糖、低分子の糖類、キトサン、アラビアガム、トラガカントガム、マンナンその他)、タンパク質類(例えば、卵白、ゼラチン、ペプチドその他)、脂質類(融点が高い脂質類、例えば植物ステロール類その他)等を使用することができる。例えばキトサンの場合、0.1〜10%、好ましくは0.2〜8%水溶液が使用され、他の結着剤の場合もキトサンの例を参考にして適宜その濃度を定めればよい。
【0020】
強化物質及び必要ある場合は水を添加する場合、開放式のドラムにおいては開口部からパイプ及び/又はノズルを適宜数設置して添加すればよいし、密閉式ドラムにおいては、穿孔した回転軸にパイプをつないでその孔部から強化物質を添加したり、あるいはドラムの開口部を閉じる蓋部の中心にパイプ及び/又はノズルを設け、必要あればそれをドラムの内部にまで伸張して、強化物質を添加してもよい。
【0021】
本発明においては上記した新規方法を採用したことにより、強化物質として可溶性物質のほか、従来、米が割れたり、均一付着ができない等の理由で使用できなかった不溶性物質や難溶性物質も使用できるという特徴を有する。
【0022】
可溶性の強化物質としては、水溶性物質のほか、乳化剤の使用で分散する物質が広く包含され、その例としては次のものが挙げられる:ビタミンA、B1、B2、D、E等の水溶性又は脂溶性ビタミン;アミノ酸;γ−アミノ酪酸(GABA);イノシトール;γ−オリザノール;カルシウム等のミネラル;レイシ、カバノアナタケ、サルノコシカケ、アガリスク等のキノコや香草、薬草類の粉末、豆類抽出エキス。
【0023】
不溶性の強化物質としては、不溶性の食物繊維等が広く包含され、その例としては次のものが挙げられる:セルロース、ヘミセルロース、米糠、小麦フスマ、ビートパルプ、ビートファイバー、リンゴファイバー、オカラ、ダイズファイバー、柑橘類の果皮又は果肉搾汁残渣その他。また、極めて溶解しにくい強化物質としては、植物ステロール等が例示される。
【0024】
本発明は、加熱と強化物質の吸着を同時に進行させることで上記の内容を可能にする方法である。お米の中心部は温度コントロールと時間設定により、お米のデンプンのアルファー化度をコントロールすることができる。また、強化材に関しては、常温から200℃まで温度コントロールを行い、融解せしめたり、焼き色をつけることも可能である。例えば、強化材を100℃以上に加熱した場合でも、この強化材とお米を瞬時に触れさせた後、すぐに冷却工程に入る為、米の品温は100℃以下に維持することが出来る。またこれを繰り返すことで、強化材を大量にコーティングすることも可能である。
【0025】
基材原料の米は、玄米、1〜9分搗き米、胚芽米、精白米、発芽玄米、加工米、無洗米等の少なくともひとつを用いることが出来る。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、長時間の水浸漬や炊飯等によっても米粒が割れたり、形崩れしたりすることがなく、強化物質を均一且つ強固に付着せしめた強化米を製造することができる。また、強化物質についても、水溶液や乳化液になり得る物質はもとより、粉末等固体状あるいは難溶解性の強化物質も自由に米に付着することができるので、所望する強化物質により自由に米を均一且つ強固に強化することがはじめて可能となった。
【0027】
しかも本発明によれば水分調整も行って微生物の増殖も阻止することもできるため、保存期間も大幅に延長され、換言すれば、強化米製品のシェルフライフを大幅に延長することができる。また、本発明は、比較的簡単な操作により効率的に実施できるという著効も有する。
【0028】
以下、本発明の実施例について述べる。
【実施例1】
【0029】
上面を開放した樽型ドラムを、水平回転軸のまわりを回転するよう、水平に設置し、その下部には加熱用のガスバーナーを2列配置し、ドラムの開放部(設置時には側面とする)には、強化物質添加用パイプ及び水(又は結着材水溶液)といった液体添加用ノズルをそれぞれ臨ませる。
【0030】
精白米4kgをドラムに入れ、15〜25rpmに維持しながら、ドラムを回転し、バーナーで米品温を60℃に上げ、品温は常に59〜61℃、好ましくは60℃程度に維持した。カバノアナタケ粉末((株)富士計器商品)400gを強化物質添加用パイプから少量ずつドラム内に添加し、同時に1%キトサン水溶液500gを噴霧ノズルからスプレーによりドラム内に添加した。
【0031】
これらの添加は、60分かけて全量添加し終わるよう少量ずつ行い、米にカバノアナタケ粉末を充分且つ均一に付着せしめた。加熱を更に30分継続し、水分を除去した。
【0032】
最終品温を65℃以上(本例では70℃)とし、火を止め、水分調整を行って冷却し、カバノアナタケ強化米製品を得た。本製品のアルファー化度は38%であり、水分は15%であった。本製品にはカバノアナタケが強固に且つ均一に付着しており、1時間水に浸漬した後も、米粒の変形や崩れも確認されなかった。
【0033】
なお、カバノアナタケ(学名:Inonotus obliquus)は、別名を「シベリア霊芝」といい、白樺やダケカンバなどのかばの木類に寄生し、立ち木の幹に塊状で大形の菌種(チャーガ:ロシア名)を形成するキノコであって、特にSOD(スーパオキサイドディスムターゼ)やLPS(リポ多糖類)含量が高く、免疫力増強作用、抗ウイルス作用その他すぐれた生理作用を有する。胞子や菌糸体等も使用されるが、通常、菌核(チャーガ)の粉末、菌核の熱水抽出物が使用される。
【実施例2】
【0034】
上記と同じ装置を用い(但し、強化物質添加用パイプは使用せず)、胚芽米4kgをドラムに入れて15〜25rpmに回転しながら品温を60℃に上げ、この温度を維持したまま、カバノアナタケ抽出エキス((株)富士計器商品)400gを50分かけてスプレーノズルからタンク内に少量ずつスプレーし、米に付着せしめた。
【0035】
最終品温を65℃以上(本例では72℃)とし、火を止め、水分調整を行って冷却し、カバノアナタケ抽出エキスを米の重量に対して10%強化した強化米製品を得た。本製品のアルファー化度は35%であり、水分は16%であった。本製品にはカバノアナタケが均一に付着しており、1時間水に浸漬した後も、何の変化も認められず、米粒の変形や崩れも確認されなかった。
【出願人】 【識別番号】599047457
【氏名又は名称】アルファー食品株式会社
【住所又は居所】島根県簸川郡大社町大字北荒木645番地
【出願日】 平成15年9月25日(2003.9.25)
【代理人】 【識別番号】100075775
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 親男

【公開番号】 特開2005−95070(P2005−95070A)
【公開日】 平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願番号】 特願2003−333665(P2003−333665)