| 【発明の名称】 |
粒状食品 |
| 【発明者】 |
【氏名】榎本 光一 【住所又は居所】埼玉県坂戸市千代田五丁目3番1号 明治製菓株式会社食料総合研究所内
|
| 【要約】 |
【課題】皮膜の口残り感を抑えた、口中で軽やかに快くはじける粒状食品の提供。
【解決手段】センターとなる油性物質をシェルによって被覆したシームレスカプセルが、さらに糖衣によって被覆された粒状食品において、以下の条件をすべて満たす粒状食品。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 センターとなる油性物質をシェルによって被覆したシームレスカプセルが、さらに糖衣によって被覆された粒状食品において、以下の条件をすべて満たす粒状食品。 シームレスカプセルのシェルの水分が10〜15重量%である。 粒状食品の水分活性が0.36〜0.49である。 シームレスカプセル全体に占めるシェル固形分が6〜7重量%の範囲にある。 シームレスカプセルのシェルの固形分中、80〜92重量%がゼラチンである。 【請求項2】 糖衣の固形分中、90重量%以上がマルチトールであることを特徴とする請求項1記載の粒状食品。 【請求項3】 糖衣で被覆した後の粒径が4.4〜8.8mmであり、かつ、粒状食品全体に占める糖衣が29〜37重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1または2記載の粒状食品。 【請求項4】 センターの油性物質が10〜30℃において液状であることを特徴とする請求項1〜3記載の粒状食品。 【請求項5】 機能性成分が少なくともシームレスカプセルのシェルに含まれることを特徴とする請求項1〜4記載の粒状食品。
|
【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は粒状食品に関し、より詳しくはシームレスカプセルに糖衣を掛けた粒状食品に関する。 【背景技術】 【0002】 従来より、ゼラチンを用いたカプセルに糖衣を施した食品についての報告はなされている。特許文献1には油溶性栄養成分および水溶性栄養成分を含有する糖衣カプセル状栄養食品が開示されている。この発明では油溶性栄養成分および水溶性栄養成分を同時に含有できるよう、水溶性多糖類を糖衣に含有させてゼラチン皮膜の損傷を抑えることを目的としていた。 【0003】 また、特許文献2には、ゼラチン軟カプセルをチョコレートで被覆したゼラチン軟カプセル含有チョコレートが開示されている。この発明では油性液状物質を含有するにもかかわらず長期間保存ができ、噛んだ際に破裂感触を与えることを目的としており、それゆえ比較的丈夫な構造であった。 【0004】 しかし従来の糖衣掛けされたカプセルは、皮膜の口残り感が大きく、口中で軽やかに快くはじけるものではなかった。また、センターが液状のシームレスカプセルにおいて、皮膜を薄くすると形状の保持が難しく、特に回転容器内に投入して糖衣層を形成させようとすると、回転による負荷でシームレスカプセルが変形したり壊れるおそれがあり、皮膜を薄くして皮膜の口残り感を抑えることは難しかった。 【特許文献1】特開昭59−71673号公報 【特許文献2】特開昭60−58038号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 したがって本発明の目的は、皮膜の口残り感を抑えた、口中で軽やかに快くはじける粒状食品を提供することである。 【課題を解決するための手段】 【0006】 上記課題を解決するために、本発明はセンターとなる油性物質をシェルによって被覆したシームレスカプセルが、さらに糖衣によって被覆された粒状食品において、以下の条件をすべて満たす粒状食品を提供する。 シームレスカプセルのシェルの水分が10〜15重量%である。 粒状食品の水分活性が0.36〜0.49である。 シームレスカプセル全体に占めるシェル固形分が6〜7重量%の範囲にある。 シームレスカプセルのシェルの固形分中、80〜92重量%がゼラチンである。 【発明の効果】 【0007】 本発明の粒状食品によれば、シームレスカプセルのシェル比率が低いのでゼラチン皮膜の口残り感が少なくなる。また、シームレスカプセルのシェルおよび粒状食品の糖衣が薄いこと、および糖衣中のマルチトール比率が高いことが相乗的に作用して、粒状食品を噛んだ際に口中で軽やかにパリッと弾ける食感を与えることができる。加えて、センターを液状にすることで粒状食品を噛んだ際にセンターが速やかに口中に広がる感覚を与えることができる。さらに、シームレスカプセルのゼラチンシェルに機能性成分を配合すると、口の中で溶けなかったシェルに含まれる機能性成分が消化管の中で発散し、口の中だけではなく、のどの奥や気管においても清涼感等の機能を発現できる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0008】 (シームレスカプセルの調製) まずカプセルのセンターとなる原料を計量し、全量を攪拌混合してセンター原料配合液を得る。センターの原料としてはヤシ油などの油性物質を基剤として、必要に応じて香料、色素、甘味料、機能性成分などを適宜配合可能である。特にセンターが10〜30℃下において液状であることは、センターの味や香り、さらには機能性を速やかに発現できるので好ましい。なおここで言う機能性成分とは、口臭予防や眠気予防のような効果があると考えられている成分を意味している。 【0009】 次に、センターとは別にシェルの原料と水を計量し、これらを加熱混合溶解した後に脱気を行い、シェル原料配合液を得る。加熱温度はシェルの原料を溶解できる温度であればよく、ゼラチンを溶解するには60℃に加熱すればよい。必要以上に温度を上げることはゲル強度や機能性の低下を招くので好ましくない。脱気は、例えば18kPa下において50℃のシェル原料加熱混合溶解液を攪拌してもほとんど発泡しなくなるまで行えばよく、厳密な制御は必要ではない。シェルの原料としてはゼラチン、可塑剤(グリセリン、ソルビトール)などを基剤として、必要に応じて香料、色素、甘味料、機能性成分などを適宜配合可能である。特にシェルに機能性成分を配合すると、口の中で溶けなかったシェルに含まれる機能性成分が消化管の中で発散し、口の中だけではなく、のどの奥や気管においても清涼感等の機能を発現できる。 【0010】 続いてこれらセンターおよびシェルの上記原料配合液を使用して、一般的なダブルノズル方式によるシームレスカプセル化方法によりカプセル化を行う。カプセル化後、冷却、乾燥および篩い選別を行って、糖衣掛けの核となるシームレスカプセルを得る。 【0011】 シームレスカプセル全体に占めるシェル固形分の比率は6〜7重量%の範囲にあることが好ましい。この範囲よりもシェル比率が低い場合、シェルの厚みに偏りが生じやすく、結果としてシームレスカプセル成形が安定せず割れやすいカプセルになり、またシームレスカプセル成形が可能であっても、パチンと割れて弾けるような食感が発現せず、プシュッと潰れる好ましくない食感になり、糖衣掛け工程時には自己の重量で潰れやすい。また上記範囲よりもシェル比率が高い場合、カプセル残存感が強くなるため、心地よく食べる食品としての商品価値が下がり、センターの液状感も弱くなる。 【0012】 また、シームレスカプセル全体に占めるシェル固形分の比率が6〜7重量%の範囲にある場合においては、シェルのゼラチン含有率はシェルの固形分中80〜92重量%が好ましい。ゼラチン含有率が80重量%よりも低い場合は、シームレスカプセル成形が安定せず、変形したカプセルになりやすく、加えて糖衣掛け工程で自己重量によって潰れやすくなる。一方、ゼラチン含有率が92重量%よりも高い場合は、相対的にシェル中の可塑剤量が少なくなるため、シームレスカプセル乾燥時や篩い選別時の衝撃による割れが発生しやすくなる。 【0013】 さらに、シームレスカプセルのシェルの水分は10〜15重量%であることが好ましい。シェルの水分が15重量%より高いと、カプセル同士が付着し、糖衣掛け時に変形や潰れが生じやすくなり、シェル自体が厚くなるため、被膜残存感が強く、好ましい食感にならない。一方、シェルの水分が10重量%より低いと、可塑性が失われるため、衝撃による割れが発生しやすく、糖衣との密着性も悪く、噛んだ時の食感がパチンと弾けずにプシュッと潰れてしまう好ましくないものとなる。 【0014】 なお、油性物質をシェルに封入してシームレスカプセルを作る方法および装置は本発明の一部を構成せず、任意の慣用手段を採用することができる。 【0015】 (糖衣掛け) まず、アラビアガムを水に攪拌混合する。またこれとは別にマルチトールと水を混合して加熱した後、前記アラビアガムと水の混合液を加え、攪拌溶解する。冷却後、その他の原料を混合攪拌し、最後に加水して糖衣掛け液の糖度を調整する。 【0016】 糖衣の原料としてはマルチトール、アラビアガム、シュガーエステルなどを基剤として、必要に応じて香料、色素、甘味料、機能性成分などを適宜配合可能である。特にマルチトールは糖衣配合の固形分中、90重量%以上であることが好ましい。マルチトールが糖衣配合の固形分中、90重量%未満の場合、本発明の目的とする“口中で軽やかに快くはじける”食感を感じ難くなる。 【0017】 次に糖衣掛けを常法通り行い、最後に必要に応じて艶付けを行う。艶付け剤としては、蜜蝋、カルナバワックス、シェラックなどが挙げられる。 【0018】 このようにして得られる粒状食品の水分活性は0.36〜0.49であることが好ましく、より好ましくは0.44〜0.47の範囲にあるのがよい。水分活性が0.49より高いと、糖衣とシームレスカプセルのシェルが厚くなるので皮膜残存感が強くなり、糖衣がパリッとした好ましい食感にならない。一方、水分活性が0.36より低いと、糖衣の密着性が悪く、糖衣構造が脆いため、衝撃により糖衣が剥がれやすい。 【0019】 また、得られる粒状食品に占める糖衣比率は、29〜37重量%の範囲が好ましく、より好ましくは31〜35重量%である。粒状食品に占める糖衣比率が29重量%よりも低い場合、糖衣の厚みが薄すぎて温度変化や衝撃によるひび割れや糖衣剥がれ等の障害が発生しやすく、加えてマルチトール特有のパリッという食感を感じにくくなる。一方、粒状食品に占める糖衣比率が37重量%よりも高い場合、カプセルセンターの液状感が相対的に弱くなり、粒状食品を噛み潰したときに液状のセンターが速やかに口中に広がる感覚を感じにくくなることに加え、バリバリした糖衣になるため口あたりが悪くなる。 【0020】 さらに、糖衣掛け後の最終粒径としては、4.4〜8.8mmの範囲にあるのが好ましく、より好ましくは6.5〜7.7mmである。粒径が4.4mmよりも小さいと、カプセルセンターの絶対量が減るため液状感が弱まり、粒状食品を噛み潰したときに液状のセンターが速やかに口中に広がる感覚を感じにくくなる。一方、粒径が8.8mmよりも大きいと、シームレスカプセル成形の難易度が高まり、割れやすくなるのに加え、粒状食品1粒あたりのシェルの絶対量が増えるので、シェル残存感が強くなり好ましくない。 【0021】 なお、シームレスカプセルに糖衣を掛ける方法および装置は本発明の一部を構成せず、任意の慣用手段を採用することができる。 【0022】 ところで、本発明の粒状食品には、その目的に合わせて、センター、シェル、糖衣から選ばれる1箇所または2箇所以上にさまざまな物質を配合可能である。機能性成分を配合する例としては、 1)ラッカーゼとローズマリーエキスを配合した口臭予防カプセル 2)カフェインとL−メントールを配合した眠気予防カプセル 3)チョコレート用油脂とカカオポリフェノールを配合したポリフェノールカプセル 4)ムルレイヤとデキストラナーゼを配合した虫歯予防カプセル 5)ビタミンと果汁を配合したビタミン補給カプセル などが挙げられるが、これらはほんの一例に過ぎず、その目的に合わせて種々の組み合わせが選択されてよい。 【0023】 次に実施例を示して本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下実施例に限定されるものではない。 【実施例1】 【0024】 表1の配合にしたがって、まずカプセルのセンターとなる原料を計量し、全量を攪拌混合してセンター原料配合液を得た。また、センターとは別にシェルの全原料合計100重量部と水300重量部を計量し、加熱攪拌装置を用いて60℃に加熱して溶解した後、減圧攪拌装置に移して、50℃、18kPa下にて攪拌してシェル原料溶解液の表面からほとんど気泡が発生しなくなるまで脱気を行い、シェル原料配合液を得た。続いてこれらセンターおよびシェルの原料配合液を使用して、一般的なダブルノズル方式によるシームレスカプセル化方法によりカプセル化を行った。その後4℃環境下で1時間冷却し、除湿空気を供給したドラム乾燥機内で乾燥した後、目開き6.16mmの篩いを通過し、かつ、目開き4.40mmの篩いを通過しないシームレスカプセルを選別した。得られたシームレスカプセルのシェルの水分は13重量%であり、シームレスカプセルに占めるシェル固形分の比率は7重量%だった。 【0025】 次に、表1の糖衣原料のうち、アラビアガム7重量部を水10.5重量部に攪拌混合した。これとは別にマルチトール91重量部と水45重量部を混合し、108℃に加熱した後、前記アラビアガムと水の混合液を加え、攪拌溶解した。40℃に冷却後、艶付け剤以外の残りの糖衣原料1.55重量部を混合攪拌し、最後に加水して糖衣掛け液の糖度を69に調整した。 【0026】 シームレスカプセルへの糖衣掛けは室温25℃,相対湿度30%環境下で常法通り行い、最後に仕上がり重量の0.15重量%量となるように艶付け剤を掛けて粒状菓子を得た。得られた粒状菓子に占める糖衣比率は33重量%であり、粒状菓子の粒径は7.0mm、水分活性は0.45だった。 【0027】 この粒状菓子を食すると口中で軽やかにはじけて、L−メントールなどの爽やかな成分が速やかに口内に広がった。また、ゼラチン皮膜の口残り感はほとんど感じられなかった。さらに、この粒状菓子にはローズマリーエキスを消臭剤としてシェルに配合しているので、シェルが消化管の中でも溶けて消臭成分が発散され、スッキリ感が広がった。 【0028】 【表1】
(比較例1) センター、シェルおよび糖衣の全体構成比率とそれぞれの配合は表1と同一としながら、糖衣掛け時の乾燥度合いを調整し、仕上がり時の水分活性が0.61となるように粒状菓子を試作した。なお糖衣掛け工程以外は実施例1と同様の試作方法によって調製した。 【0029】 【表2】
粒状菓子の水分活性と食感(専門パネル20名による調査) 【実施例2】 【0030】 センター、シェルおよび糖衣それぞれの配合は表1と同一としながら、糖衣だけを厚くして粒状菓子全重量に対する糖衣の比率が37重量%となるように試作した。なお糖衣を厚くした以外は、実施例1と同様の試作方法によって調製した。 【0031】 【表3】
糖衣掛け比率と食感(専門パネル20名による調査) 表3より糖衣比率が37重量%になると、33重量%の場合に比べて粒状菓子の口残り感が強くなることがわかる。 【0032】 (比較例2) センターとシェルそれぞれの配合は表1と同一としながら、シームレスカプセル全重量に占めるシェル固形分の比率を8重量%となるようにシームレスカプセルを試作した。なおシェル固形分比率8重量%のシームレスカプセルは実施例1と同様の試作方法によって調製した。 【0033】 【表4】
シームレスカプセル中のシェル固形分比率と食感(専門パネル20名による調査) 【産業上の利用可能性】 【0034】 本発明は、センターとなる油性物質をシェルによって被覆したシームレスカプセルが、さらに糖衣によって被覆された粒状食品において、皮膜の口残り感がほとんど感じられず、口中で軽やかに快くはじける粒状食品を提供するものなので、いつでもどこでも気軽に食することができるコンパクトな携帯菓子などに広く応用できるものである。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000006091 【氏名又は名称】明治製菓株式会社 【住所又は居所】東京都中央区京橋2丁目4番16号
|
| 【出願日】 |
平成15年9月24日(2003.9.24) |
| 【代理人】 |
|
| 【公開番号】 |
特開2005−95033(P2005−95033A) |
| 【公開日】 |
平成17年4月14日(2005.4.14) |
| 【出願番号】 |
特願2003−331221(P2003−331221) |
|