| 【発明の名称】 |
梅の加工食品及び梅の加工食品の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】松本 通夫
【氏名】小谷 幸敏
【氏名】秋田 幸一
【氏名】清家 裕
【氏名】永田 愛
【氏名】景山 拓一
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| 【要約】 |
【課題】色合いが明るい梅の加工食品を提供する。
【解決手段】冷凍保存した追熟させた梅を短時間で解凍した。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 冷凍保存した完熟又は追熟させた梅を短時間で加熱解凍した、梅の加工食品。 【請求項2】 前記冷凍保存した完熟又は追熟させた梅を加熱解凍する時間が、沸騰水浴中で約2分間以上約3分間以下であり、又は、蒸気中で約3分間以上約5分間以下である、請求項1に記載の梅の加工食品。 【請求項3】 加熱解凍後の果皮の引っ張り試験における破断応力が30g以上である、請求項1又は請求項2に記載の梅の加工食品。 【請求項4】 加熱解凍した梅を裏ごしした、請求項1〜3のいずれかに記載の梅の加工食品。 【請求項5】 黄化指標(L*b/|a|)が、66以上の範囲にある、請求項4に記載の加工食品。 【請求項6】 冷凍保存した、完熟又は追熟させた梅を短時間で加熱解凍する工程を備える、梅の加工食品の製造方法。 【請求項7】 冷凍保存した、完熟又は追熟させた梅を加熱解凍する時間が、沸騰水浴中で、2分間以上3分間以下であり、又は、蒸気中で、約3分間以上約5分間以下である、請求項6に記載の梅の加工食品の製造方法。 【請求項8】 加熱解凍後の果皮の引っ張り試験における破断応力が30g以上である、請求項6に記載の梅の加工食品の製造方法。 【請求項9】 解凍した梅を裏ごしする工程を更に備える、請求項6〜8のいずれかに記載の梅の加工食品の製造方法。 【請求項10】 黄化指標(L*b/|a|)が、66以上の範囲にある、請求項9に記載の加工食品の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、梅の加工食品及び梅の加工食品の製造方法に関し、特に、その色合いが明るく且つ梅果実本来の味を有する、梅の加工食品及び梅の加工食品の製造方法に関する。 【背景技術】 【0002】 梅の加工食品としては、梅ピューレや梅ジャムがある。 【0003】 梅ピューレは、一般に、梅を水洗した後、梅と同量の水とを容器(例えば、ステンレス鍋)に入れて沸騰させ、この沸騰水に完熟梅を入れて加熱し、その後、果肉が柔らかくなった完熟梅を裏ごしして製造している。 【0004】 また、梅ジャムは、上記の方法により製造した梅ピューレを容器(例えば、ステンレス鍋)に入れて加熱し、梅ピューレが沸騰したら、予め決めた量の砂糖を全部加え、砂糖を加えられた梅ピューレを攪拌しながら加熱し続け、時々、煮詰め具合を確認しながら、良好な煮詰め具合になったら、殺菌した容器(例えば、ガラス瓶)に出来上がった梅ジャムを入れる。次に、梅ジャムを入れた容器に蓋を軽くして、脱気殺菌する。 【0005】 次に、脱気殺菌が終了した、梅ジャムを入れた容器の蓋を堅く閉め、倒立放冷する。倒立放冷が終了したら、梅ジャムを入れた容器を流水で冷却し、容器内の梅ジャムが冷えた後、容器の外側の汚れを洗い落とし、水をふき取り、その後、容器の表面に、原料、製造・販売会社や、商標、賞味期限等が記載されたラベルを貼り付けた後、冷暗所に保存するようにしている。 【非特許文献1】神奈川県農業総合研究所ホームページ (http://www.agri.pref.kanagawa.jp/nosoken/nousankanko/Umejam/umejam2.htm) 【0006】 また、長田昭六等は、「特殊グレーダーを用いたり、煮沸して果肉を軟化させた後パルパーなどにかけて除核し(この際、核を破壊しないように処理する。)、」という記載や、製造工程として、「原料果実→選果→洗浄→水切→加熱→裏ごし(パルパーフィニッシャー)→殺菌→充填→冷却→保管(0℃〜5℃)」という記載をしている。 【非特許文献2】長田昭六・生田博司:社団法人日本果汁協会監修、果汁・果実飲料辞典、発行:朝倉書店、第316頁、1978年発行) 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0007】 しかしながら、従来の上記したような製造方法で製造される梅ピューレや梅ジャムは、ジャムの製造販売業者や顧客からは、見た目がおいしく見える、明るい黄色の梅ピューレや梅ジャムの製造技術を開発して欲しい、という要望があるにもかかわらず、色が茶褐色になり、見栄えが悪い、という問題がある。 【0008】 また、完熟していない梅を煮た場合には、製造される梅ピューレや梅ジャムは、色が茶褐色になる。 【0009】 このような問題を解決するためには、完熟した梅果実を窒素置換包装して冷凍保存しておき、これを自然解凍した後、パルパーフィニッシャー又は2重ガーゼで裏ごししてピューレを調製し、このピューレを袋詰めして冷凍保存しておき、梅ジャムを製造する際に、冷凍保存したピューレを流水で解凍して、梅ジャムの原料にする、というようなことが考えられる。しかしながら、完熟した梅果実を窒素置換包装して冷凍保存した場合には、窒素置換包装する際に手間がかかるという問題や、窒素置換包装したままで解凍するので、解凍に長時間を要するという問題や、開封後の裏ごし処理後に褐変が進むという問題がある。また、このような方法には、ピューレ中の細菌や真菌を加熱殺菌していないので、安全性の点で問題がある。 【0010】 また、上記した従来の梅ピューレや梅ジャムの製造方法では、梅を煮ている最中に、梅の皮がはじけたりやぶれたりする等の現象が生じること等により、梅の果肉成分が、煮液中に溶け出し、熟れた梅本来が有する味が、梅ピューレや梅ジャムに反映されない、という問題や、梅の仕込み量に対し、梅ピューレや梅ジャムの収量が低くなるという問題もある。 【0011】 更にまた、梅を煮るという方法では、果肉が加熱されることにより、梅ピューレや梅ジャムの品質が劣化する、という問題もある。 【0012】 本発明は、以上のような問題を解決するためになされたものであり、製品が、明るい黄色を有しており、且つ、梅の果実成分が損なわれていないため味が良く、添加物を敢えて加える必要が無い、梅の加工食品及び梅の加工食品の製造方法を提供することを目的としている。 【課題を解決するための手段】 【0013】 請求項1に記載の梅の加工食品は、冷凍保存した完熟又は追熟させた梅を短時間で加熱解凍した。 【0014】 ここに、本明細書で用いる用語、「完熟又は追熟した梅」とは、ハンター表色法による、梅の色調(a値)が、−の緑色から+の赤みがかったもの(a値の基準点0から+側の位置)になった梅をいう。 【0015】 また、本明細書で用いる用語、「完熟又は追熟した梅」とは、果肉の軟化度の観点から見た場合、果実硬度が、1.5kg以上2.3kg以下の範囲にあるものをいう。 【0016】 この梅の加工食品は、梅として完熟又は追熟させたものを使用しているので、酸含有量が少ないため、味が良い。 【0017】 また、この梅の加工食品は、梅を煮ることなく梅の加工食品にしているので、梅本来の風味が残っており、味が良好である。 【0018】 また、この梅の加工食品では、完熟又は追熟させた梅をそのまま加熱するのではなく、完熟又は追熟させた梅を、一旦、冷凍し、冷凍したものを加熱解凍させている。ここに、完熟又は追熟させた梅を、一旦、冷凍し、冷凍したものを加熱解凍させると、完熟又は追熟させた梅を、そのまま、沸騰水浴中で加熱した場合に比べ、冷凍したものは果肉がドロドロした状態になり、果皮及び核と果肉とを分離し易く、裏ごしが極めて容易になる。また、果肉をまるごと取り出すようにできるため、梅の加工食品が、熟れた梅本来の味を有する。 【0019】 また、従来の梅を煮るという梅の加工食品の製造方法では、果皮がはじけたり、剥けたりすることで、梅の果肉が煮液中に漏出し、梅の仕込み量に対し、梅の加工食品の収量が低くなる、という問題があるが、この梅の加工食品では、完熟又は追熟させた梅をそのまま加熱するのではなく、完熟又は追熟させた梅を、一旦、冷凍し、冷凍したものを加熱解凍させ、果皮がはじけ難く、剥け難くなり、果肉成分の沸騰水への漏出を防止できる。この結果、従来の梅を煮るという梅の加工食品の製造方法に比べ、梅の仕込み量に対し、梅の加工食品の収量の低下を防ぐことができる、という効果がある。 【0020】 また、本明細書で用いる用語、「短時間で加熱解凍」の「短時間」は、冷凍保存した梅の果肉の氷結が溶けた状態になるのに必要な時間を意味し、また、「加熱解凍」は、冷凍保存した梅の果肉の氷結が溶けた状態になればよく、出来るだけ加熱時間を短時間にし、果肉への加熱は、最小限に抑えることを意味する。また、「短時間で加熱解凍」は、果皮の引っ張り強度の点からは、果皮の破断応力が、30g以上170g以下の範囲となるまでの加熱解凍時間を意味する。 【0021】 この梅の加工食品は、加熱解凍することで、梅の加工食品の褐変に関与する、果皮に多く存在する、ポリフェノールオキシダーゼの活性を抑制しているので、明るい黄色を有している。 【0022】 請求項2に記載の梅の加工食品は、請求項1に記載の梅の加工食品の、冷凍保存した完熟又は追熟させた梅を加熱解凍する時間が、沸騰水浴中で約2分間以上約3分間以下であり、又は、蒸気中で約3分間以上約5分間以下である。 【0023】 ここで、本明細書で用いる用語、「沸騰水浴中で約2分間以上約3分間以下」は、沸騰水浴中の液量を品物(冷凍保存した完熟又は追熟させた梅)の容量の20倍以上、より好ましくは、30倍以上として、この液量を100℃又は概ね100℃に沸騰させておき、この沸騰溶液中に、品物(冷凍保存した完熟又は追熟させた梅)を投入してから約2分間以上約3分間以下を意味する。 【0024】 尚、冷凍保存した完熟又は追熟させた梅を、沸騰水浴中で約2分間未満、又は、蒸気中で約3分間未満、加熱解凍させた場合には、梅果実中に、氷が存在し、梅果実又はこれを裏ごしした梅ピューレに褐変が生じ好ましくなく、冷凍保存した完熟又は追熟させた梅を、沸騰水浴中で約3分間を超える時間、又は、蒸気中で約5分間を超える時間、加熱解凍させた場合には、梅果実の果皮が柔らかくなり過ぎて、裏ごしがし難くなり、好ましくない。 【0025】 以上は、本発明者の実験に基づく知見による。 【0026】 この梅の加工食品は、請求項1に記載の梅の加工食品の構成中、「短時間で加熱解凍」を単に具体的に規定したものであり、請求項1に記載の梅の加工食品と同様の効果を奏する。 【0027】 請求項3に記載の梅の加工食品は、請求項1又は請求項2に記載の梅の加工食品の、加熱解凍後の果皮の引っ張り試験における破断応力が30g以上である。 【0028】 この梅の加工食品は、請求項1又は請求項2に記載の梅の加工食品の構成中、「短時間で加熱解凍」を、加熱解凍後の果皮の引っ張り試験における破断応力の観点から規定するものである。 【0029】 ここで、果皮の引っ張り試験における破断応力は、加熱解凍後の果皮を縦に5mm幅で切り取り、これを引っ張り試験用の冶具に取り付け、レオメーターにて引っ張り試験を、テスト速度を6cm/分(min.)、チャック間を5mmとして、測定した値である。 【0030】 この梅の加工食品では、梅の加工食品の、加熱解凍後の果皮の引っ張り試験における破断応力を30g以上にしているので、裏ごしを容易に行なえる。 【0031】 請求項4に記載の梅の加工食品は、請求項1〜3のいずれかに記載の梅の加工食品の、加熱解凍した梅を裏ごしした。 【0032】 この梅の加工食品は、請求項1〜3のいずれかに記載の梅の加工食品の、加熱解凍した梅を裏ごししているので、梅の加工食品が、熟れた梅本来の味を有し、梅の仕込み量に対し、従来の梅を煮るという梅の加工食品に比べ、梅の加工食品の収量の低下を防ぐことができ、且つ、明るい黄色を有している、という長所がある。 【0033】 請求項5に記載の梅の加工食品は、請求項4に記載の加工食品の、黄化指標(L*b/|a|)が、66以上の範囲にある。 【0034】 この梅の加工食品は、明るい黄色を黄化指標(L*b/|a|)から規定するものである。 【0035】 請求項6〜10に記載の梅の加工食品の製造方法は、各々、請求項1〜5に記載の加工食品を物の製造方法として規定するものである。 【0036】 請求項6に記載の梅の加工食品の製造方法は、冷凍保存した、完熟又は追熟させた梅を短時間で加熱解凍する工程を備える。 【0037】 この梅の加工食品の製造方法により製造される梅の加工食品は、梅として完熟させたものを使用しているので、酸含有量が少ないため、味が良い。 【0038】 また、この梅の加工食品の製造方法では、梅を煮ることなく梅の加工食品にしているので、梅本来の風味が残っており、味が良好である。 【0039】 また、この梅の加工食品の製造方法では、完熟又は追熟させた梅をそのまま加熱するのではなく、完熟又は追熟させた梅を、一旦、冷凍し、冷凍したものを加熱解凍させている。ここに、完熟又は追熟させた梅を、一旦、冷凍し、冷凍したものを加熱解凍させると、完熟又は追熟させた梅を、そのまま、沸騰水浴中で加熱した場合に比べ、冷凍したものは果肉がドロドロした状態になり、果皮及び核と果肉とを分離し易く、裏ごしが極めて容易になる。また、果肉をまるごと取り出すようにできるため、梅の加工食品が、熟れた梅本来の味を有する。 【0040】 また、従来の梅を煮るという梅の加工食品の製造方法では、果皮がはじけたり、剥けたりすることで、梅の果肉が煮液中に漏出し、梅の仕込み量に対し、梅の加工食品の収量が低くなる、という問題があるが、この梅の加工食品の製造方法では、完熟又は追熟させた梅をそのまま加熱するのではなく、完熟又は追熟させた梅を、一旦、冷凍し、冷凍したものを加熱解凍させ、果皮がはじけ難く、剥け難くなり、果肉成分の沸騰水への漏出を防止できる。この結果、従来の梅を煮るという梅の加工食品の製造方法に比べ、梅の仕込み量に対し、梅の加工食品の収量の低下を防ぐことができる、という効果がある。 【0041】 また、この梅の加工食品の製造方法では、加熱解凍することで、梅の加工食品の褐変に関与する、果皮に多く存在する、ポリフェノールオキシダーゼの活性を抑制しているので、この梅の加工食品の製造方法によって製造される梅の加工食品は、明るい黄色を有している。 【0042】 請求項7に記載の梅の加工食品の製造方法は、請求項6に記載の梅の加工食品の製造方法の、冷凍保存した、完熟又は追熟させた梅を解凍する時間が、沸騰水浴中で、2分間以上3分間以下であり、又は、蒸気中で、約3分間以上約5分間以下である。 【0043】 この梅の加工食品の製造方法は、請求項6に記載の梅の加工食品の製造方法の構成中、「短時間で加熱解凍」を単に具体的に規定したものであり、請求項6に記載の梅の加工食品と同様の効果を奏する。 【0044】 請求項8に記載の梅の加工食品の製造方法は、請求項6に記載の梅の加工食品の製造方法の、加熱解凍後の果皮の引っ張り試験における破断応力が30g以上である。 【0045】 この梅の加工食品の製造方法では、梅の加工食品の、加熱解凍後の果皮の引っ張り試験における破断応力を30g以上にしているので、裏ごしを容易に行なえる。 【0046】 請求項9に記載の梅の加工食品の製造方法は、請求項6〜8のいずれかに記載の梅の加工食品の製造方法が、解凍した梅を裏ごしする工程を更に備える。 【0047】 この梅の加工食品の製造方法は、請求項6〜8のいずれかに記載の梅の加工食品の製造方法により製造された梅の加工食品の、加熱解凍した梅を裏ごししているので、製造される梅の加工食品が、熟れた梅本来の味を有し、従来の梅を煮るという梅の加工食品の製造方法に比べ、梅の仕込み量に対し、梅の加工食品の収量の低下を防止でき、且つ、明るい黄色を有している、という長所がある。 【0048】 請求項10に記載の梅の加工食品の製造方法は、請求項9に記載の加工食品の製造方法により製造される梅の加工食品の、黄化指標(L*b/|a|)が、66以上の範囲にある。 【0049】 この梅の加工食品の製造方法は、明るい黄色を黄化指標(L*b/|a|)から規定するものである。 【発明の効果】 【0050】 請求項1に記載の梅の加工食品は、梅として完熟又は追熟させたものを使用しているので、味が良い。 【0051】 また、この梅の加工食品は、梅を煮ることなく梅の加工食品にしているので、梅本来の風味が残っており、味が良好である。 【0052】 また、この梅の加工食品では、完熟又は追熟させた梅をそのまま加熱するのではなく、完熟又は追熟させた梅を、一旦、冷凍し、冷凍したものを加熱解凍させている。ここに、完熟又は追熟させた梅を、一旦、冷凍し、冷凍したものを加熱解凍させると、完熟又は追熟させた梅を、そのまま、沸騰水浴中で加熱した場合に比べ、果肉がドロドロした状態になり、果皮及び核と果肉を分離し易く、裏ごしが極めて容易になり、果肉をまるごと取り出すようにできるので、梅の加工食品が熟れた梅本来の味を有する。 【0053】 また、この梅の加工食品では、完熟又は追熟させた梅をそのまま加熱するのではなく、完熟又は追熟させた梅を、一旦、冷凍し、冷凍したものを加熱解凍させ、果皮がはじけ難く、剥け難くなり、果肉成分の沸騰水への漏出を防止できるので、従来の梅を煮るという梅の加工食品に比べ、梅の仕込み量に対し、梅の加工食品の収量を高くすることができる、という効果がある。 【0054】 また、この梅の加工食品は、加熱解凍することで、梅の加工食品の褐変に関与する、果皮に多く存在する、ポリフェノールオキシダーゼの活性を抑制しているので、明るい黄色を有している。 【0055】 請求項2に記載の梅の加工食品は、請求項1に記載の梅の加工食品の構成中、「短時間で加熱解凍」を単に具体的に規定したものであり、請求項1に記載の梅の加工食品と同様の効果を奏する。 【0056】 請求項3に記載の梅の加工食品では、梅の加工食品の、加熱解凍後の果皮の引っ張り試験における破断応力を30g以上にしているので、裏ごしを容易に行なえる。 【0057】 請求項4に記載の梅の加工食品は、請求項1〜3のいずれかに記載の梅の加工食品の、加熱解凍した梅を裏ごししているので、梅の加工食品が、熟れた梅本来の味を有し、梅の仕込み量に対し、従来の梅を煮るという梅の加工食品に比べ、梅の加工食品の収量の低下を防ぐことができ、且つ、明るい黄色を有している、という長所がある。 【0058】 請求項5に記載の梅の加工食品は、明るい黄色を有しているので、商品価値が高い。 【0059】 請求項6に記載の梅の加工食品の製造方法により製造される梅の加工食品は、梅として完熟させたものを使用しているので、味が良い。 【0060】 また、この梅の加工食品の製造方法では、完熟又は追熟させた梅をそのまま加熱するのではなく、完熟又は追熟させた梅を、一旦、冷凍し、冷凍したものを加熱解凍させている。ここに、完熟又は追熟させた梅を、一旦、冷凍し、冷凍したものを加熱解凍させると、完熟又は追熟させた梅を、そのまま、沸騰水浴中で加熱した場合に比べ、果肉がドロドロした状態になる。 【0061】 即ち、この梅の加工食品の製造方法により製造される梅の加工食品は、果皮及び核と果肉を分離し易く、裏ごしが極めて容易になり、果肉をまるごと取り出せるので、製造される梅の加工食品が、熟れた梅本来の味を有する。 【0062】 また、この梅の加工食品の製造方法では、梅を煮ることなく梅の加工食品にしているので、梅本来の風味が残っており、味が良好である。 【0063】 また、この梅の加工食品の製造方法では、完熟又は追熟させた梅をそのまま加熱するのではなく、完熟又は追熟させた梅を、一旦、冷凍し、冷凍したものを加熱解凍させ、果皮がはじけ難く、剥け難くなり、果肉成分の沸騰水への漏出を防止できるので、従来の梅を煮るという梅の加工食品の製造方法に比べ、梅の仕込み量に対し、梅の加工食品の収量の低下を防ぐことができる、という効果がある。 【0064】 また、この梅の加工食品の製造方法では、加熱解凍することで、梅の加工食品の褐変に関与する、果皮に多く存在する、ポリフェノールオキシダーゼの活性を抑制しているので、この梅の加工食品の製造方法によって製造される梅の加工食品は、明るい黄色を有している。 【0065】 請求項7に記載の梅の加工食品の製造方法は、請求項6に記載の梅の加工食品の製造方法の構成中、「短時間で加熱解凍」を単に具体的に規定したものであり、請求項6に記載の梅の加工食品と同様の効果を奏する。 【0066】 請求項8に記載の梅の加工食品の製造方法では、梅の加工食品の、加熱解凍後の果皮の引っ張り試験における破断応力を30g以上にしているので、裏ごしを容易に行なえる。 【0067】 請求項9に記載の梅の加工食品の製造方法は、請求項6〜8のいずれかに記載の梅の加工食品の製造方法により製造された梅の加工食品の、加熱解凍した梅を裏ごししているので、製造される梅の加工食品が、熟れた梅本来の味を有し、梅の仕込み量に対し、従来の梅を煮るという梅の加工食品の製造方法に比べ、梅の加工食品の収量の低下を防止でき、且つ、明るい黄色を有している、という長所がある。 【0068】 請求項10に記載の梅の加工食品の製造方法によれば、商品価値の高い、明るい黄色を有する梅の加工食品を製造できる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0069】 以下、本発明に係る梅の加工食品及び梅の加工食品の製造方法について、実験例に基づいて、更に詳しく説明する。 【0070】 まず、梅果実を常法により採取した。 【0071】 その後、採取した梅果実を25℃、湿度70%の条件下で追熟させた。 【0072】 この発明の実施の形態では、図1に示すように、梅果実の表面の色調(a値)が、−の緑色から+の赤みがかったものになるまで、追熟させた。尚、梅果実の表面の色調(a値)が、−の緑色から+の赤みがかったものになるまでには、上記の条件下では、梅果実を採取してから、2日〜4日程度の日数が必要であった。 【0073】 また、上記の条件下では、梅果実を採取してから追熟させると、果実硬度が、2kg前後(1.5kg以上2.3kg以下の範囲)になると、梅果実は、指で押してもへこむ程度に軟化する。 【0074】 実際に、梅果実の裏ごし(この例では、2重ガーゼによる裏ごし)をする場合、果実硬度が2kg前後(1.5kg以上2.3kg以下の範囲)から可能であった。 【0075】 また、梅果実を、梅果実の表面の色調(a値)が、−の緑色の段階で採取し、追熟させたものも、果実硬度が2kg前後(1.5kg以上2.3kg以下の範囲)になれば、梅果実の裏ごし(例えば、2重ガーゼによる裏ごし)が可能であった。 【0076】 尚、樹上で既に完熟している梅であっても、上記の条件を満たせば、本発明に係る梅の加工食品の原料とすることができることは、言うまでもない。 【0077】 図2は、梅果実の採取時からの追熟期間と梅果実の硬度の変化との相関関係を示すグラフである。 【0078】 図2から明らかなように、梅果実の裏ごし(この例では、2重ガーゼによる裏ごし)をするためには、梅果実を、梅果実の表面の色調(a値)が、−の緑色の段階で採取した後、2日〜4日程度の間の追熟で十分可能であった。 【0079】 図3は、梅果実の採取時からの追熟期間と梅果実の酸含有量の変化との相関関係を示すグラフである。 【0080】 図3から、梅果実の酸の含有量(図3中、酸含有量として示されている)は、梅果実の採取時から最初の2日間程度の追熟期間は、酸の含有量は、経時的に低下するが、酸の含有量が約4%になると、それ以降は、追熟させても、酸の含有量は、低下しないことが、明らかになった。 【0081】 また、沸騰水浴中で、追熟後冷凍した梅果実を2分間加熱した後の酸の流出量を調べたところ、果肉の酸含有量が、3.85%である場合には、約0.017%が溶液中に流失したことが判った。このことは、梅果実の全体の酸含有量の0.44%が溶液中に流出したに過ぎず、この測定により、追熟後冷凍した梅果実を2分間加熱した場合、果肉から溶液中への酸の流出は、数値的には、極めてわずかな値であることが、判明した。 【0082】 次に、採取後、4日間追熟させた後、冷凍保存した梅果実を沸騰水浴中で、加熱解凍する時間を異ならせ、加熱解凍直後の梅果実内部の氷の有無の検査と、加熱解凍後、4時間の間、室温に放置した後の梅果実の色合いとを肉眼で観察した。 【0083】 尚、冷凍保存した梅果実の沸騰水浴中での加熱解凍の条件は、沸騰水浴の液量を品物(冷凍保存した追熟させた梅)の容量の20倍以上、より好ましくは30倍以上として、この液量を100℃又は概ね100℃に沸騰させておき、この沸騰溶液中に、品物(冷凍保存した追熟させた梅)を投入してから、1分間後、2分間後、3分間後、4分間後、5分間後の各々で行なった。 【0084】 結果を下記に示す。 【0085】 沸騰水浴中で、1分間、加熱解凍した直後の試料では、梅果実の核の近くに厚さで約2mmの氷が観察された。 【0086】 また、沸騰水浴中で、1分間、加熱解凍した後、4時間の間、室温に放置した後、梅果実の色合いを観察したところ、かなりの褐変が見られた。 【0087】 また、沸騰水浴中で、2分間以上、加熱解凍した直後の試料には、梅果実中には、氷は観察されなかった。 【0088】 また、沸騰水浴中で、2分間以上、加熱解凍した後、4時間の間、室温に放置した後、梅果実の色合いを観察したところ、褐変が抑制されていることが、明らかになった。 【0089】 次に、採取後、4日間追熟させた後、冷凍保存した梅果実を蒸気中で、加熱解凍する時間を異ならせ、加熱解凍直後の梅果実内部の氷の有無の検査と、加熱解凍後、4時間の間、室温に放置した後の各々の梅果実の色合いを肉眼で観察した。 【0090】 結果を下記に示す。 【0091】 蒸気中で、2分間、加熱解凍し、加熱解凍直後に梅果実を切断し、梅果実の内部を観察した所、梅果実の核の近くにわずかな量の氷が観察された。 【0092】 また、蒸気中で、2分間、加熱解凍した後、4時間の間、室温に放置した後、梅果実の色合いを観察したところ、褐変が認められた。 【0093】 また、蒸気中で、3分間、加熱解凍し、加熱解凍直後に梅果実を切断し、梅果実の内部を観察したところ、氷は観察されなかった。 【0094】 また、蒸気中で、3分間、加熱解凍し、その後、4時間の間、室温に放置した梅果実の色合いを観察したところ、褐変は観察されず、明るい色合いを保持していた。 【0095】 以上の実験から、追熟させた後、冷凍保存した梅果実の加熱解凍時間は、沸騰水浴中では、2分間以上、また、蒸気中では、3分間以上が必要であることが、判明した。 【0096】 次に、採取後、4日間追熟させた後、冷凍保存した梅果実を沸騰水浴中で又は蒸気中で、加熱解凍する時間を異ならせ、加熱解凍後、4時間の間、室温に放置した後の、果皮の引っ張り試験における破断応力を測定した。 【0097】 果皮の引っ張り試験における破断応力は、加熱解凍処理後、4時間、室温に放置した梅果実の果皮を縦に5mm幅で切り取り、引っ張り試験用の冶具に取り付け、レオメーターにて引っ張り試験を行なうことにより測定した。なお、検出器として、最大荷重が、200gのものを用い、テスト速度は、6cm/分(min.)、チャック間は、5mmとした。 【0098】 図4は、追熟させた後、冷凍した梅果実の加熱時間(分)と、果皮の引っ張り試験における破断応力(g)との相関関係を示すグラフである。 【0099】 上記した果皮の引っ張り試験の結果、果皮の破断応力は、図4に示すように、梅果実の加熱時間が長くなるのに比例して、急速に低下することが、判った。また、果皮の破断応力が、約30g以下になると、果皮がかなり柔らかくなり、手で引っ張ってもちぎれ易くなり、裏ごしをするのが困難になることが、判った。また、裏ごしの容易性を考慮した場合には、果皮の破断応力は、30g以上に保つのが好ましいことも、明らかになった。 【0100】 上記の裏ごしの容易性を考慮した場合には、追熟させた後、冷凍保存した梅果実を沸騰水浴中で、加熱解凍する時間は、3分間以下であり、又、蒸気中で、加熱解凍する時間は、5分間以下とすることが好ましいことが、判明した。 【0101】 次に、採取後、4日間追熟させた後、冷凍保存した梅果実(この例では、梅果実として、品種:野花豊後の梅果実を用いている。)を、4時間、自然解凍したもの、沸騰水浴中で2分間、加熱解凍したものを、4時間、室温に放置したもの、及び、沸騰水浴中で3分間、加熱解凍したものを、4時間、室温に放置したものの各々について、果実表面の色調と、4時間、室温に放置したものの各々を裏ごし(この例では、2重ガーゼによる裏ごし)した後、更に、4時間、室温放置した後の果肉ピューレの色調とを、色差計(SZ−Σ80、日本電色工業株式会社製)を用いて測定した。 【0102】 結果を図5に示す。 【0103】 図5より明らかなように、沸騰水浴中で加熱解凍したものは、自然解凍したものに比べ、果実表面のL値が大きく明るさが増し、a値が小さく、赤色化が進んでおらず、b値が大きく黄色っぽい色調であることが、判った。このような結果は、梅ピューレについても同様であった。 【0104】 この結果は、上述した肉眼による観察結果と一致していた。 【0105】 次に、採取後、4日間追熟させた後、冷凍保存した梅果実(この例では、梅果実として、品種:野花豊後の梅果実を用いている。)を、自然解凍したもの、沸騰水浴中で2分間、加熱解凍したもの、及び、沸騰水浴中で3分間、加熱解凍したものの各々を、裏ごし(この例では、2重ガーゼによる裏ごし)した後、裏ごし(この例では、2重ガーゼによる裏ごし)により分離した果皮と果肉ピューレの各々について、生菌数と、真菌数とを測定した。 【0106】 結果を、図6に示す。 【0107】 尚、裏ごし(この例では、2重ガーゼによる裏ごし)は、この操作中の汚染を避けるために、無菌的に行った。 【0108】 図6から明らかなように、果皮では、自然解凍したものの場合には、生菌数が2.6×103個/gであり、また、真菌数が4.9×103個/gであったが、沸騰水浴中で、2分間、加熱解凍したものでは、生菌数及び真菌数とも1桁低減でき、また、沸騰水浴中で、3分間、加熱解凍したものは、2桁低減でき、生菌数及び真菌数の各々は、2.0×10個/gとなった。 【0109】 また、果肉ピューレでは、自然解凍した場合には、果皮に比べ、生菌数では2桁少なく、7×10個/g、真菌数では1桁少ない3.4×102個/gであったが、加熱解凍したものは、生菌数は、更に数分の一又は検出できなくなるまで低減でき、真菌数は、更に1桁低減できることが、明らかになった。 【0110】 また、同様の試験を大腸菌群について行ったところ、自然解凍した場合も加熱解凍したものも、いずれの群からも大腸菌は観察されなかった。 【0111】 以上の結果から、追熟させた後、冷凍した梅果実を加熱解凍すれば、果実表面に微生物が付着していたとしても、果肉の汚染を効果的に抑制できることが、判った。そして、このことは、特に、真菌が果皮に付着していたとしても、果皮と果肉とを分離する際に、果肉の汚染を効果的に抑制できることが、判った。 【0112】 ここで、果肉ピューレでは、加熱解凍した場合には、生菌数又は真菌数とも、商業的に殺菌されたものと見なされる程度であり、本発明に従って製造された果肉ピューレは、その調製後の加熱殺菌は、必要ない程、殺菌が行われていると言える。 【0113】 また、加熱殺菌することを必要とした場合であっても、本発明に従って製造された果肉ピューレは、殺菌条件を穏和なものとすることができることを示している。 【0114】 次に、採取後、4日間追熟させた後、冷凍保存した梅果実(この例では、梅果実として、品種:野花豊後の梅果実を用いている。)そのもの、沸騰水浴中で、2分間、加熱解凍したものを再凍結したもの、及び、沸騰水浴中で、3分間、加熱解凍したものを再凍結したものの各々の果皮部と果肉部との部位別ポリフェノールオキシダーゼ活性についての分析検討を行った。 【0115】 ポリフェノールオキシダーゼ活性についての分析検討は、以下の方法により行なった。 【0116】 即ち、分析試料として、追熟させた後、冷凍保存した梅果実(この例では、梅果実として、品種:野花豊後の梅果実を用いている。)そのもの、沸騰水浴中で、2分間、加熱解凍したものを再凍結したもの、及び、沸騰水浴中で、3分間、加熱解凍したものを再凍結したものの各々について、果皮部については、果皮表面を厚さ1mm以内に剥皮することで採取したものを使用した。また、果肉部については、果皮を剥皮した果実から、更に、厚み1mm以上2mm以下の範囲に収まる程度で果肉を削り除去した後、所定量の果肉を採取した。 【0117】 次に、以上のようにして採取した、果皮部及び果肉部の、0.1モル(M)リン酸緩衝液(pH6.0)抽出液の各々について、カテコール又はクロロゲン酸を基質として、ポリフェノールオキシダーゼ活性を測定した。 【0118】 結果を図7に示す。 【0119】 図7の結果から明らかなように、追熟させた後、冷凍保存した梅果実(この例では、梅果実として、品種:野花豊後の梅果実を用いている。)そのものの、カテコールを基質に用いたポリフェノールオキシダーゼ活性は、果皮部に局在し、果肉部のカテコールを基質に用いたポリフェノールオキシダーゼ活性は、果皮部の約5分の1であることが、判った。 【0120】 また、追熟させた後、冷凍保存した梅果実(この例では、梅果実として、品種:野花豊後の梅果実を用いている。)を、沸騰水浴中で加熱解凍したものを再凍結したものの果皮部の、カテコールを基質に用いたポリフェノールオキシダーゼ活性は、追熟させた後、冷凍保存した梅果実(この例では、梅果実として、品種:野花豊後の梅果実を用いている。)そのものの果皮部の、カテコールを基質に用いたポリフェノールオキシダーゼ活性に比べ、20分の1以下に失活していることが、判った。但し、今回の実験では、追熟させた後、冷凍保存した梅果実(この例では、梅果実として、品種:野花豊後の梅果実を用いている。)を、沸騰水浴中で加熱解凍したものを再凍結したものの果肉部の、カテコールを基質に用いたポリフェノールオキシダーゼ活性が、追熟させた後、冷凍保存した梅果実(この例では、梅果実として、品種:野花豊後の梅果実を用いている。)そのものの果肉部の、カテコールを基質に用いたポリフェノールオキシダーゼ活性に対してどのようになっているかについては、はっきりとした結果は、得られなかった。 【0121】 また、追熟させた後、冷凍保存した梅果実(この例では、梅果実として、品種:野花豊後の梅果実を用いている。)そのものの、クロロゲン酸を基質に用いたポリフェノールオキシダーゼ活性は、果皮部に多いものの、果肉部においても、クロロゲン酸を基質に用いたポリフェノールオキシダーゼ活性は、果皮部の約6割であることが、判った。 【0122】 また、追熟させた後、冷凍保存した梅果実(この例では、梅果実として、品種:野花豊後の梅果実を用いている。)を、沸騰水浴中で加熱解凍したものを再凍結したものの、クロロゲン酸を基質に用いたポリフェノールオキシダーゼ活性は、果皮部において、冷凍保存した梅果実(この例では、梅果実として、品種:野花豊後の梅果実を用いている。)そのものの果皮部の、クロロゲン酸を基質に用いたポリフェノールオキシダーゼ活性に対し、約2分の1に失活することが、判った。 【0123】 但し、今回の実験では、追熟させた後、冷凍保存した梅果実(この例では、梅果実として、品種:野花豊後の梅果実を用いている。)を、沸騰水浴中で加熱解凍したものを再凍結したものの果肉部の、クロロゲン酸を基質に用いたポリフェノールオキシダーゼ活性が、追熟させた後、冷凍保存した梅果実(この例では、梅果実として、品種:野花豊後の梅果実を用いている。)そのものの果肉部の、クロロゲン酸を基質に用いたポリフェノールオキシダーゼ活性に対してどのようになっているかについては、はっきりとした結果は、得られなかった。 【0124】 尚、クロロゲン酸を基質に用いたポリフェノールオキシダーゼ活性の果皮部での活性は、カテコールを基質に用いたポリフェノールオキシダーゼ活性の果皮部での活性の約6割であり、クロロゲン酸を基質に用いたポリフェノールオキシダーゼ活性の果肉部での活性は、カテコールを基質に用いたポリフェノールオキシダーゼ活性の果肉部での活性の約2倍であり、且つ、部位により基質特異性が異なっていると考えられた。 【0125】 以上の分析検討の結果から、追熟させた後、冷凍保存した梅果実(この例では、梅果実として、品種:野花豊後の梅果実を用いている。)を、加熱解凍することによって、果皮部に局在しているポリフェノールオキシダーゼ活性を、選択的且つ効率的に抑制できることが、明らかになった。 【0126】 即ち、梅ピューレを製造する際に、取り除かれる果皮は、加熱されることで、果皮部に局在する酵素が失活する一方、果肉には、加熱による酵素失活に至る程の温度上昇を少なくするようにすれば、より生鮮に近い状態の梅ピューレを製造できる。 【0127】 尚、梅果実を過度に加熱した場合、梅果実中に含まれる酸によりペクチンが分解し、梅ピューレを高温で長時間加熱濃縮したものを用いて、例えば、これに砂糖やペクチン等を添加し、加熱してジャムを製造した場合、ジャムの硬さの低減を招き好ましくないことも、判明した。 【0128】 このことからも、追熟させた後、冷凍保存した梅果実を加熱解凍する場合には、果肉部分への加熱による温度上昇は与えないようにすることが、重要であることが、判った。 【0129】 次に、梅ジャムの色調を分析した。 【0130】 梅ジャムは、以下に示す各種の梅ピューレを用いて製造した。 【0131】 即ち、追熟させた梅果実を、窒素置換包装して冷凍保存していた梅果実を包装状態のまま流水解凍してパルパーフィニッシャーにかけて裏ごししたもの(試料A)、追熟させた後、冷凍保存した梅果実を室温で4時間自然解凍してから裏ごし(この例では、2重ガーゼによる裏ごし)したもの(試料B)、追熟させた後、冷凍保存した梅果実を2分間加熱解凍した後、室温で4時間放置してから裏ごし(この例では、2重ガーゼによる裏ごし)したもの(試料C)、追熟させた後、冷凍保存した梅果実を3分間加熱解凍した後、室温で4時間放置してから裏ごし(この例では、2重ガーゼによる裏ごし)したもの(試料D)、追熟させた後、冷凍保存した梅果実を2分間加熱解凍した後、直ちに、裏ごし(この例では、2重ガーゼによる裏ごし)したもの(試料E)、追熟させた後、冷凍保存した梅果実を3分間加熱解凍した後、直ちに裏ごし(この例では、2重ガーゼによる裏ごし)したもの(試料F)の各々を用いる以外は、同じ条件で梅ジャムを製造した。 【0132】 梅ジャムの原料配合は、上記した梅ピューレの各々を400g、砂糖を400g、水を160g、ペクチン(CP Kelco社製 GENU PECTIN LM-102AS)を8gとし、同時間同じ条件で加熱することで、梅ジャムを製造した。 【0133】 色調は、出来上がった梅ジャムを所定の日数(この例では、1ヶ月間)、冷蔵保管したものを、測定用ペースト容器(直径:30mm、高さ:10cm)に詰めて、色差計(SZ−Σ80、日本電色工業株式会社製)を用いて測定した。 【0134】 結果を図8に示す。 【0135】 図8の結果から明らかなように、追熟させた後、冷凍保存した梅果実を2分間加熱解凍した後、裏ごしして調製した梅ピューレを用いた梅ジャムに比べ、追熟させた後、冷凍保存した梅果実を3分間加熱解凍した後、裏ごしして調製した梅ピューレを用いた梅ジャムの方が、色相を表すb/a値及び黄化指標として用いられるL*b/|a|が、増大していることが、判った。 【0136】 また、追熟させた後、冷凍保存した梅果実を2分間加熱解凍した後、室温に4時間放置してから裏ごし(この例では、2重ガーゼによる裏ごし)して調製した梅ピューレを用いた梅ジャムと、追熟させた後、冷凍保存した梅果実を2分間加熱解凍した後、直ちに裏ごし(この例では、2重ガーゼによる裏ごし)して調製した梅ピューレを用いた梅ジャムとを対比した場合と、追熟させた後、冷凍保存した梅果実を3分間加熱解凍した後、室温に4時間放置してから裏ごし(この例では、2重ガーゼによる裏ごし)して調製した梅ピューレを用いた梅ジャムと、追熟させた後、冷凍保存した梅果実を3分間加熱解凍した後、直ちに裏ごし(この例では、2重ガーゼによる裏ごし)して調製した梅ジャムとを対比した場合とから明らかなように、加熱解凍した後、室温に4時間放置してから裏ごし(この例では、2重ガーゼによる裏ごし)して調製した梅ピューレを用いた梅ジャムに比べ、加熱解凍した後、直ちに裏ごし(この例では、2重ガーゼによる裏ごし)した梅ピューレを用いて調製した梅ジャムの方が、色相を表すb/a値及び黄化指標として用いられるL*b/|a|が、増大していることが、判った。 【0137】 特に、追熟させた後、冷凍保存した梅果実を3分間加熱解凍した後、直ちに裏ごし(この例では、2重ガーゼによる裏ごし)して調製した梅ピューレを用いた梅ジャムは、他の梅ピューレを用いて調製した梅ジャムに比べ、著しく、色相を表すb/a値及び黄化指標として用いられるL*b/|a|が、増大していることが、判った。 【0138】 また、この実験により、赤みを表すa値は、加熱解凍した梅ピューレを用いた梅ジャムの方が、自然解凍した梅ピューレを用いた梅ジャムに比べ、減少する傾向にあることも明らかになった。 【0139】 最後に、以下に示す梅ピューレを使用して梅ジャムを製造し、その食味評価試験を行なった。 【0140】 結果を、図9に示す。 【0141】 図9中、Gで示す梅ジャムは、追熟させた後、窒素置換包装して冷凍保存したものを、包装状態のまま流水解凍したものをパルパーフィニッシャーにかけて裏ごしして得た梅ピューレを袋詰め状態にして冷凍保存しておき、流水解凍した梅ピューレを用いて製造した梅ジャムを示しており、また、Hで示す梅ジャムは、追熟させた後、そのまま冷凍保存したものを沸騰水浴中で、2分間、加熱解凍したものを直ちに裏ごし(この例では、二重ガーゼによる裏ごし)した梅ピューレを袋詰め状態にして冷凍保存しておき、流水解凍した梅ピューレを用いて製造した梅ジャムを示している。 【0142】 G及びHの各々の梅ジャムは、原料配合を、梅ピューレを500g、砂糖を500g、水を200g、ペクチン(CP Kelco社製 GENU PECTIN LM-102AS)を10gとし、同時間同じ条件で加熱することで製造した。 【0143】 製造した梅ジャムGは、糖度(Brix)が51.3%であり、硬さが169gであり、製造した梅ジャムHは、糖度(Brix)が52.1%であり、硬さが160gであった。 【0144】 また、食味評価試験は、「悪い」を「1」、「やや悪い」を「2」、「普通」を「3」、「やや良い」を「4」及び「良い」を「5」とする5段階評価で行なった。 【0145】 図9の結果から明らかなように、梅ジャムHは、梅ジャムGに比べ、明るい色合いを有しており、色合いが極めて良好であり、総合評価でも高い評価が得られた。 【0146】 以上、説明した試験結果から、本発明に係る梅の加工品の製造方法に従って製造される梅の加工食品は、以下の効果を有していることが明らかになった。 (1)梅として完熟させたものを使用しているので、酸含有量が少ないため、味が良い。 (2)また、この梅の加工食品は、梅を煮ることなく梅の加工食品にしているので、梅本来の風味が残っており、味が良好である。 (3)また、追熟させた梅をそのまま加熱するのではなく、追熟させた梅を、一旦、冷凍し、冷凍したものを加熱解凍させているので、追熟させた梅を、そのまま、沸騰水浴中で加熱した場合に比べ、果皮及び核と果肉とを分離し易く、裏ごしが極めて容易になり、果肉をまるごと取り出すようにできるため、梅の加工食品が、熟れた梅本来の味を有する。 (4)追熟させた梅をそのまま加熱するのではなく、追熟させた梅を、一旦、冷凍し、冷凍したものを加熱解凍させ、果皮がはじけ難く、剥け難くなり、果肉成分の沸騰水への漏出を防止できるので、従来の梅を煮るという梅の加工食品の製造方法に比べ、梅の仕込み量に対し、梅の加工食品の収量の低下を防ぐことができる。 (5)加熱解凍することで、梅の加工食品の褐変に関与する、果皮に多く存在する、ポリフェノールオキシダーゼの活性を抑制しているので、明るい黄色を有している。 【0147】 また、本発明に係る梅の加工食品の製造方法は、以下の効果を有している。 (1)加工施設において、基本的に設置されている二重釜を用いて短時間の処理で梅の加工品を製造できるので、容易に実施ができる。 (2)窒素置換包装の必要が無いので、梅の加工食品の製造作業の簡便化が図れる。 (3)梅ピューレについて、加熱殺菌処理が必要ない、又は、穏和な加熱殺菌処理をすればよい。 (4)本発明に従って製造される梅ピューレ(梅の加工食品)は、追熟させた梅果肉をほぼ丸ごと使用したものであるので、梅本来の味覚を有する。 【産業上の利用可能性】 【0148】 本発明に係る梅の加工食品及び本発明に係る梅の加工食品の製造方法に従って製造される梅の加工食品は、梅本来の味を有しており、明るい黄色をしており、安全性の点でも問題が無いので、ピューレ又は梅ジャムなどとしての商品価値が高い。 【図面の簡単な説明】 【0149】 【図1】梅果実の採取後の追熟期間と色調(a値)との相関関係を示すグラフである。 【図2】梅果実の採取時からの追熟期間と梅果実の硬度の変化との相関関係を示すグラフである。 【図3】梅果実の採取時からの追熟期間と梅果実の酸含有量の変化との相関関係を示すグラフである。 【図4】追熟させた後、冷凍した梅果実の加熱時間(分)と、果皮の引っ張り試験における破断応力(g)との相関関係を示すグラフである。 【図5】採取後、4日間追熟させた後、冷凍保存した梅果実を、4時間、自然解凍したもの、沸騰水浴中で2分間、加熱解凍したものを、4時間、室温に放置したもの、及び、沸騰水浴中で3分間、加熱解凍したものを、4時間、室温に放置したものの各々について、果実表面の色調と、4時間、室温に放置したものの各々を裏ごし(この例では、2重ガーゼによる裏ごし)した後、更に、4時間、室温放置した後の果肉ピューレの色調とを、色差計を用いて測定した結果を示すテーブルである。 【図6】採取後、4日間追熟させた後、冷凍保存した梅果実を、自然解凍したもの、沸騰水浴中で2分間、加熱解凍したもの、及び、沸騰水浴中で3分間、加熱解凍したものの各々を、裏ごしした後、裏ごしにより分離した果皮と果肉ピューレの各々について、生菌数と、真菌数とを測定した結果を示すテーブルである。 【図7】果皮部及び果肉部の各々について、カテコール又はクロロゲン酸を基質として、ポリフェノールオキシダーゼ活性を測定した結果を示す図である。 【図8】出来上がった梅ジャムを所定の日数、冷蔵保管したものを、測定用ペースト容器に詰めて、色差計を用いて測定した結果を示すテーブルである。 【図9】梅ピューレを使用して梅ジャムを製造し、その食味評価試験を行なった結果を示すテーブルである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】592072791 【氏名又は名称】鳥取県
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| 【出願日】 |
平成15年9月11日(2003.9.11) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100088476 【弁理士】 【氏名又は名称】大塚 博一
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| 【公開番号】 |
特開2005−80622(P2005−80622A) |
| 【公開日】 |
平成17年3月31日(2005.3.31) |
| 【出願番号】 |
特願2003−319553(P2003−319553) |
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