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【発明の名称】 ひじきの加工方法
【発明者】 【氏名】清水 実

【氏名】沼野 裕康

【要約】 【課題】ひじき特有のしゃきしゃきとした良好な食感を確保すること。

【解決手段】第1急速冷蔵処理工程と熱湯処理工程と第2急速冷蔵処理工程と水切り処理工程と冷凍処理工程とからなるひじきの加工方法。このようにして、採取した生の組織を固定化して、組織が腐敗菌や軟化酵素により軟化するのを防止して、ひじきが本来有している空洞部を保持することにより、ひじき特有のしゃきしゃきとした良好な食感を確保することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
採取した生のひじきを3時間〜5時間以内に、−2℃〜+2℃の温度範囲で急速に冷蔵処理する第1急速冷蔵処理工程と、
同第1急速冷蔵処理工程にて冷蔵処理されたひじきを、90℃〜95℃の温度範囲の熱湯内にて加熱処理する熱湯処理工程と、
同熱湯処理工程にて熱湯処理されたひじきを、−1℃〜+1℃の温度範囲で急速に冷蔵処理する第2急速冷蔵処理工程と、
同第2急速冷蔵処理工程にて冷蔵処理されたひじきを水切り処理する水切り処理工程と、
同水切り処理工程にて水切り処理されたひじきを冷凍処理する冷凍処理工程とを有し、
第1急速冷蔵処理工程においては、ひじきを氷により冷蔵処理すると共に、同氷に天然純にがりを添加し、熱湯処理工程においては、ひじきを熱湯により加熱処理すると共に、同熱湯中に天然純にがりを添加し、第2急速冷蔵処理工程においては、ひじきを氷水により冷蔵処理すると共に、同氷水中に天然純にがりを添加することを特徴とするひじきの加工方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ひじきの加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ひじきの加工方法の一形態として、採取直後のひじきを淡水中に浸漬し、同浸漬液中に小量の酢酸を注入しつつ重曹を適量添加し、所定時間浸漬して、黄褐色より黒褐色に変化させた生ひじきを合成樹脂製の袋類中に一定量毎に分割して収容して密閉し、その後高温にて所定時間加熱殺菌するようにした加工方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、加熱処理の施されていない生あるいは素干しひじきを原料とし、これをカルシウム塩及び/又はマグネシウム塩の水溶液若しくは海水成分溶液の単独又は混合溶液に浸漬し、次いで蒸煮あるいは煮熟処理した後乾燥するようにした加工方法がある(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開昭47−43360号公報
【特許文献2】特開平11−318395号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記した加工方法では、腐敗菌や軟化酵素によりひじきの組織が軟化し、ひじきが扁平状となって、図1に示すように、ひじきHが本来有している空洞部Sが保持されなくなっている。
【0005】
その結果、ひじき特有のしゃきしゃきとした良好な食感が失われている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明では、採取した生のひじきを3時間〜5時間以内に、−2℃〜+2℃の温度範囲で急速に冷蔵処理する第1急速冷蔵処理工程と、同第1急速冷蔵処理工程にて冷蔵処理されたひじきを、90℃〜95℃の温度範囲の熱湯内にて加熱処理する熱湯処理工程と、同熱湯処理工程にて熱湯処理されたひじきを、−1℃〜+1℃の温度範囲で急速に冷蔵処理する第2急速冷蔵処理工程と、同第2急速冷蔵処理工程にて冷蔵処理されたひじきを水切り処理する水切り処理工程と、同水切り処理工程にて水切り処理されたひじきを冷凍処理する冷凍処理工程とを有し、第1急速冷蔵処理工程においては、ひじきを氷により冷蔵処理すると共に、同氷に天然純にがりを添加し、熱湯処理工程においては、ひじきを熱湯により加熱処理すると共に、同熱湯中に天然純にがりを添加し、第2急速冷蔵処理工程においては、ひじきを氷水により冷蔵処理すると共に、同氷水中に天然純にがりを添加することを特徴とするひじきの加工方法を提供するものである。
【0007】
ここで、天然純にがりとは、海水100%を原料とする天日塩、又は、平釜法により製塩される唯一自然海塩と呼ばれる自然塩より取り出されるものであり、マグネシウム、カルシウム、カリウム、銅、ケイ素、亜鉛、リチウム、ストロンチウム等の80元素近くが含まれているものである。
【0008】
なお、岩塩や岩塩を溶かして得られる再生加工塩から生じるにがりでは、微量元素の含有量が少ないので、効果が期待できない。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、次のような効果が得られる。
【0010】
(1)まず最初に、第1急速冷蔵処理工程として、採取した生のひじきを3時間〜5時間以内に、−2℃〜+2℃の温度範囲で急速に冷蔵処理するようにしている。
【0011】
このようにして、採取した生のひじきを、3時間〜5時間という短時間の間に急速に冷蔵処理することにより、ひじきの組織を固定化して、組織が腐敗菌や軟化酵素により軟化するのを防止することができる。
【0012】
その結果、ひじきが本来有している空洞部を保持することができて、ひじき特有のしゃきしゃきとした良好な食感を確保することができる。
【0013】
この際、第1急速冷蔵処理工程では、ひじきを氷により急速に冷蔵処理すると共に、同氷に天然純にがりを添加しているため、同天然にがり中の微量元素を多く含むミネラルにより、ひじきの組織を硬くしかも強くすることができる。
【0014】
そして、SO42-(硫酸イオン)やCl-(塩素イオン)の存在下においては、ミネラル分であるマグネシウムやカルシウム等がひじきの中のタンパク質(5%〜8%含有)に作用して、ひじきが軽度のタンパク質変性を起こす。
【0015】
また、ひじきの構成成分である多糖類の一種のアルギン酸がカルシウム塩と反応して、アルギン酸カルシウム化合物を生じることにより、不溶性のゲルを形成する。特に、カルボキシル基を含有する高分子物質にマグネシウムイオン、又は、カルシウムイオンが分子間の架橋の働きをする。
【0016】
その結果、ひじきのしゃきしゃきとした良好な食感がより一層増大されて、ひじきの商品価値を高めることができる。
【0017】
(2)次に、熱湯処理工程として、上記第1急速冷蔵処理工程にて冷蔵処理されたひじきを、90℃〜95℃の温度範囲の熱湯内にて加熱処理するようにしている。
【0018】
このようにして、冷蔵処理されたひじきを急速に加熱することにより、茶褐色のひじきをうぐいす色に変色させることができる。
【0019】
この際、熱湯処理工程では、ひじきを熱湯により加熱処理すると共に、同熱湯中に天然純にがりを添加しているため、同天然純にがり中の微量元素を多く含むミネラルにより、ひじきの組織を硬くしかも強くすることができる。
【0020】
(3)続いて、第2急速冷蔵処理工程として、熱湯処理工程にて熱湯処理されたひじきを、−1℃〜+1℃の温度範囲で急速に冷蔵処理する。
【0021】
このようにして、熱湯処理されたひじきの温度を、一気に下げることにより、ひじきのしゃきしゃきとした良好な食感を増大させることができる。
【0022】
この際、第2急速冷蔵処理工程においては、ひじきを氷水により冷蔵処理すると共に、同氷水中に天然純にがりを添加しているため、同天然純にがり中の微量元素を多く含むミネラルにより、ひじきの組織を硬くしかも強くすることができる。
【0023】
その結果、ひじきのしゃきしゃきとした良好な食感を増大させると共に、保持させることができる。
【0024】
(4)そして、水切り処理工程として、第2急速冷蔵処理工程にて冷蔵処理されたひじきを水切り処理する。
【0025】
この際、水切り処理は、ざる等による自然落下処理でも、また、遠心分離器による機械処理でもよい。
【0026】
(5)最後に、冷凍処理工程では、水切り処理工程にて水切り処理されたひじきを冷凍処理するようにしている。
【0027】
このようにして、ひじきの鮮度を良好に確保したまま、ひじきを長期間保存することができる。
【0028】
この際、ひじきは、天然純にがり中の微量元素を多く含むミネラルにより、組織が硬くしかも強くなっているため、冷凍しても組織が壊れることがない。
【0029】
その結果、ひじきの商品価値を長期間にわたって良好に確保することができる。
【0030】
また、本発明に係るひじきの加工方法では、ひじきが本来有するしゃきしゃきとした良好な食感を保持ないしは増大させることができると共に、うぐいす色に発色させることができるため、かかる加工方法により処理されたひじきを、特に、健康志向の若者や女性層が好む海鮮サラダや冷やしパスタや刺身のつまとしても用いることができて、ひじきの用途を大幅に拡張することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明に係るひじきの加工方法の最良の形態は、以下の〔第1急速冷蔵処理工程〕と〔熱湯処理工程〕と〔第2急速冷蔵処理工程〕と〔水切り処理工程〕と〔冷凍処理工程〕とからなるものである。
【0032】
〔第1急速冷蔵処理工程〕
第1急速冷蔵処理工程は、採取した生のひじきを一定時間以内、望ましくは3時間〜5時間以内に、一定の低温度範囲、望ましくは−2℃〜+2℃の低温度範囲で急速に冷蔵処理する工程である。
【0033】
冷蔵処理方法としては、例えば、容器内において、氷の層とひじきの層とを交互に積層させて冷蔵する方法、或いは、容器内において、ひじきと氷を混合させた状態で冷蔵する方法がある。
【0034】
ここで、ひじきと天然純にがりの量は、例えば、氷10kg当たり、ひじきを10kg〜20kg、天然純にがりを50ミリリットル〜2.5リットルの範囲で設定することができる。
【0035】
〔熱湯処理工程〕
熱湯処理工程は、上記の第1急速冷蔵処理工程において冷蔵処理されたひじきを、一定の高温度範囲、望ましくは90℃〜95℃の高温度範囲の熱湯内にて加熱処理する工程である。
【0036】
熱湯処理方法としては、例えば、加熱鍋の中で高温度範囲に加熱した熱湯を用意し、同熱湯内に一定量のひじきを投入すると共に、一定量の天然純にがりを添加して、一定時間、望ましくは60分間熱湯処理する方法がある。
【0037】
ここで、ひじきと天然純にがりの量は、例えば、熱湯100リットル当たり、ひじきを10kg〜20kg、天然純にがり50ミリリットル〜2.5リットルの範囲で設定することができる。
【0038】
〔第2急速冷蔵処理工程〕
第2急速冷蔵処理工程は、上記の熱湯処理工程において熱湯処理されたひじきを、一定時間以内、望ましくは3時間〜5時間以内に、一定の低温度範囲、望ましくは−1℃〜+1℃の低温度範囲で急速に冷蔵処理する工程である。
【0039】
冷蔵処理方法としては、例えば、容器内に氷と水を収容し、かかる氷水の中に一定量のひじきを投入すると共に、一定量の天然純にがりを添加して、一定時間、望ましくは40分〜60分間、ひじきの温度が1℃〜3℃になるまで冷蔵処理する方法がある。
【0040】
ここで、ひじきと天然純にがりの量は、例えば、氷水100kg当たり、ひじき10kg〜20kg、天然純にがり50ミリリットル〜2.5リットルの範囲で設定することができる。
【0041】
〔水切り処理工程〕
水切り処理工程は、上記の第2急速冷蔵処理工程において冷蔵処理されたひじきを水切り処理する工程である。
【0042】
水切り処理の方法としては、例えば、ざる等による自然落下処理する方法、或いは、遠心分離器等の機械により処理する方法がある。
【0043】
〔冷凍処理工程〕
冷凍処理工程は、上記の水切り処理工程にて水切り処理されたひじきを冷凍処理する工程である。
【0044】
冷凍処理方法としては、例えば、合成樹脂製の袋等の容器にひじきを収容し、同状態にて冷凍庫等内に搬入して、一定の低温度範囲で、望ましくは−30℃以下の低温度範囲で冷凍保存する方法がある。
【0045】
そして、必要に応じて、必要量だけひじきを取り出して搬出(供給)することができる。
【実施例】
【0046】
以下に、本発明の実施例について説明する。
【0047】
〔第1急速冷蔵処理工程〕
採取した10kgの生のひじきを、3時間以内に容器内に収容すると共に、同容器内に10kgの氷を投入して、容器内にてひじきと氷を混合状態となすことにより、ひじきを約−1℃の低温度で急速に冷蔵処理した。
【0048】
そして、かかる冷蔵処理の際には、氷に天然純にがりを85ミリリットル添加した。
【0049】
〔熱湯処理工程〕
上記の第1急速冷蔵処理工程において冷蔵処理された10kgのひじきを、加熱鍋の中で約93℃に加熱された100リットルの熱湯内に投入すると共に、2.5リットルの天然純にがりを添加して、60分間熱湯により加熱処理した。
【0050】
〔第2急速冷蔵処理工程〕
上記の熱湯処理工程において熱湯処理された10kgのひじきを、3時間以内に、氷と水とを合わせて100kg収容した容器内に投入すると共に、650ミリリットルの天然純にがりを添加して、50分間、ひじきの温度が2℃になるまで、約0℃の低温度で急速に冷蔵処理した。
【0051】
〔水切り処理工程〕
上記の第2急速冷蔵処理工程において冷蔵処理されたひじきを、遠心分離器により水切り処理した。
【0052】
〔冷凍処理工程〕
上記の水切り処理工程にて水切り処理されたひじきを、合成樹脂製の袋に収容し、同状態にて冷凍庫内に搬入して、−30℃以下の低温度範囲で冷凍保存した。
【0053】
その後、冷凍庫からひじきを取り出し、同ひじきを常温(25℃前後)に戻した後に食したところ、ひじきが本来有するしゃきしゃきした食感よりも一層良好な食感を得ることができた。この際、ひじきは、図1に示す空洞部Sを保持して、うぐいす色を呈していた。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】ひじきの断面説明図。
【符号の説明】
【0055】
H ひじき
S 空洞部
【出願人】 【識別番号】392024518
【氏名又は名称】丸福水産株式会社
【出願日】 平成15年9月9日(2003.9.9)
【代理人】 【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎

【公開番号】 特開2005−80580(P2005−80580A)
【公開日】 平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願番号】 特願2003−316757(P2003−316757)