| 【発明の名称】 |
発酵抑制剤及びそれが含まれた発酵食品 |
| 【発明者】 |
【氏名】明尾 一美 【住所又は居所】長野県伊那市西春近5074番地 伊那食品工業株式会社内
【氏名】埋橋 祐二 【住所又は居所】長野県伊那市西春近5074番地 伊那食品工業株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】適切な食味状態で発酵食品を消費者に提供することである。
【解決手段】重量平均分子量2,500以上100,000以下に調整された多糖類の分解物を含み、発酵食品の発酵を抑制する発酵抑制剤である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 重量平均分子量2,500以上100,000以下に調整された多糖類の分解物を含み、発酵食品の発酵を抑制する発酵抑制剤。 【請求項2】 前記多糖類が寒天、イヌリン、アルギン酸塩、キサンタンガム、コンニャクマンナン、アラビアガム、タマリンドガム、ローカストビーンガム、タラガム、グアーガム、カシアガム、ジェランガム及びペクチンのいずれか1以上であることを特徴とする請求項1記載の発酵抑制剤。 【請求項3】 請求項1又は2に記載の発酵抑制剤が含まれていることを特徴とする発酵食品。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、ヨーグルト、チーズ、漬物など原材料の微生物を作用させて作られる発酵食品の発酵を抑制する発酵抑制剤及びそれが含まれた発酵食品に関する。 【背景技術】 【0002】 従来から、原材料の微生物を作用させて作られる発酵食品は、古今東西を問わず、多くの人に好まれ、飲食されている。例えば、ビール、ワイン及びパンなど酵母菌を利用したもの、チーズ、ヨーグルト及び漬物など乳酸菌を利用したもの、清酒、味噌、米酢など麹菌及び酵母を利用したものなど多くの発酵食品があり(特許文献1参照)、これら発酵食品は、発酵により原材料にない新しい成分や香味、機能性が生まれ、生理学的にも有利性が高い。特に、牛乳を原材料とし乳酸菌を作用させることによって作られるヨーグルトは、有用菌により整腸作用や免疫機能の向上など多くの利点を有している。 【0003】 【特許文献1】特開平6−197688号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 しかしながら、ヨーグルトは、生菌製品であるため、賞味期限が短く、日々食味が変化するという問題がある。すなわち、原材料の牛乳は、乳酸菌の乳酸生成によりpH5.5くらいからカード形成を始め、等電点付近で安定した組織を作るが、長期間の流通過程による生菌の作用によって酸生成がさらに進行し、カードの凝集が激しくなり、乳性分離が生じ、例えばカップに入ったヨーグルトはカードが縮み、乳清が出て商品価値を著しく下げてしまうという問題がある。 【0005】 また、容器に詰める前のタンク内で発酵を行う前発酵のヨーグルトは、ソフトヨーグルトの場合、温度40℃前後で発酵後、カードが破壊されるため、カップ等の充填時間により発酵が製品ロット内で変化し、均質に製造ができないという問題がある。この問題を解決するため、発酵を抑える目的で5〜20℃に冷却してからフルーツプレパレーション等を混合均一にする工程がとられている。これは、カードを壊し温度を下げるため、ソフトヨーグルトの場合、増粘化目的のため凝固点の低いゼラチン等の糊料を添加しているが、ゼラチンは再セット性があるものの、好ましい粘性や固さまで到達することができないので、とろとろで液状が強いソフトヨーグルトしか得られず、スプーンですくって食べづらいという問題がある。 【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明者らは、以上のような問題点を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、重量平均分子量2,500以上100,000以下に調整された多糖類の分解物を発酵食品の発酵抑制剤として用いることにより、発酵食品の発酵度合いを任意に調整することができ、好ましい発酵食品を得ることができることが分かった。特に、このような多糖類の分解物は、香気成分をほとんど持たず、呈味や匂いをほとんど有しないので、発酵食品そのものの味に影響を与えることが少なく、様々な発酵食品に利用することができる。 【0007】 すなわち、本発明は、重量平均分子量2,500以上100,000以下に調整された多糖類の分解物を含み、発酵食品の発酵を抑制する発酵抑制剤であり、またこのような発酵抑制剤が含まれた食品である。 【発明の効果】 【0008】 以上のように、本発明に係る発酵抑制剤及びそれが含まれた発酵食品によれば、発酵食品の発酵状態を調整することができるので、適切な食味状態で発酵食品を消費者に提供することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0009】 本発明に係る発酵抑制剤において、前記多糖類は、寒天、イヌリン、アルギン酸塩、キサンタンガム、コンニャクマンナン、アラビアガム、タマリンドガム、ローカストビーンガム、タラガム、グアーガム、カシアガム、ジェランガム及びペクチンのいずれか1以上であることが好ましい。 【0010】 これら多糖類は、酸や熱により加水分解されるか、酸素により分解されることにより、重量平均分子量2,500以上100,000以下に調整される。例えば、寒天の場合、特開平5−317008の酸処理による方法や酵素処理による方法、特開平8−306733の熱処理による方法などにより重量平均分子量を調整することができる。菌に対する発酵抑制は、多糖類の末端基の数に影響していると考えられるから、これらの方法により得られる寒天分解物は、特開平5−317008の特許にあるように必ずしもゼリー強度で限定されるものではなく、あくまでも多糖類の分子量により規定される。しかしながら加水分解が進んでより小さな重量平均分子量になればいいというものでもなく、単糖が増えるとさらに開環してしまい効果が薄れてしまう。また味覚的にも苦味等が出て問題となる。このため重量平均分子量が2,500以上100,000以下に調整してなることが好ましく、重量平均分子量が5,000以上100,000以下であることがより好ましい。 【0011】 例えば、寒天を加水分解したアガロオリゴ糖(重量平均分子量で2000以下)より小さな寒天分解物や、市販のペクチン分解物(重量平均分子量で2000以下)より小さなペクチン分解物に効果がある。 【0012】 本発明に係る発酵食品としては、牛乳を原料とするヨーグルト、チーズ、バターなどがあり、野菜を原料とするおしんこ、キムチなどがある。 【実施例】 【0013】 次に、本発明に係る発酵抑制剤の実施例について説明する。先ず、寒天(伊那食品工業株式会社製:伊那寒天S−7)、イヌリン(オラフティ社製:ラフィティリンST)、アルギン酸ナトリウム(キミカ株式会社製:I−5)、キサンタンガム(CPケルコ社製:ケルトロール)、コンニャクマンナン(伊那食品工業株式会社製:マンナン100)、アラビアガム(CNI社製:ファイバーガムP)、タマリンドガム(大日本製薬株式会社製:グリロイド2A)、ローカストビーンガム(MRCポリサッカライド社製:A−120)、タラガム(インディノール社製:タラガムパウダー)、グアーガム(伊那食品工業株式会社製:GR−10)、カシアガム、ペクチン(CPケルコ社製:LM−102AS)、及びジェランガム(CPケルコ社製:ケルコゲル)それぞれについて、シリンダー圧力4MPa、原料温度140℃のエクストルーダー条件のもと、粉末状態のままエクストルーダー(日本製鋼所社製TEX32FC−21−BW−V)にかけて加水分解することにより、実施例1乃至13に係る発酵抑制剤を得た。また、比較例1として寒天(伊那食品工業株式会社製:伊那寒天S−7、重量平均分子量250,000)を用意し、比較例2としてイヌリン(オラフティ社製:ラフィティリンST、重量平均分子量150,000)を重量平均分子量500に加水分解したものを用意した。これら原料及び加水分解された発酵抑制剤の重量平均分子量を表1に示す。 【0014】 【表1】
【0015】 実験例1 次に、表2に配合割合の実施例1乃至4に係る発酵抑制剤、並びに比較例1に係る寒天及び比較例2に係るイヌリン分解物を発酵前に加え、その後、ヨーグルトの原料として表2に示す配合割合で牛乳、脱脂粉乳、スターター及び水を容器に入れた後、37℃18時間の発酵条件で後発酵を行うことによってヨーグルトを製造した。また、発酵抑制剤を加えない無添加のヨーグルトも同様に作製した。 【0016】 【表2】
【0017】 これら後発酵ヨーグルトを4℃で保存し、1日後、3日後、7日後、10日後、20日後、30日後の乳酸菌数について、BCP加プレートカウントアガール培地を用いて測定した。また、同時にpHと酸度についても測定した。これらの結果を図1乃至3に示す。 【0018】 図1乃至3に示すように実施例1乃至4に係る発酵抑制剤を添加したものの方が、比較例1に係る寒天及び比較例2に係るイヌリン分解物並びに無添加のものに比し、明らかに生菌数、pH及び酸度が安定していることがわかる。 【0019】 実験例2 次に、前発酵ヨーグルトの原料として、表3に示す配合割合で牛乳、脱脂粉乳、スターター及び水をタンクに入れ、37℃18時間の発酵条件で前発酵を行い、表3に示す配合割合で実施例1に係る発酵抑制剤0.1、0.3%、実施例2及び4に係る発酵抑制剤0.1%、比較例1に係る寒天及び比較例2に係るイヌリン分解物0.1%を加えることにより前発酵ヨーグルトを製造した。また、発酵抑制剤を加えない無添加の前発酵ヨーグルトも同様に作製した。これら前発酵ヨーグルトを4℃で保存し、1日後、3日後、7日後、10日後、20日後、30日後の乳酸菌数について、BCP加プレートカウントアガール培地を用いて測定した。また、同時にpHと酸度についても測定した。これらの結果を図4乃至6に示す。 【0020】 【表3】
【0021】 図4乃至6に示すように実施例1、2及び4に係る発酵抑制剤を添加したものの方が、比較例1に係る寒天及び比較例2に係るイヌリン分解物並びに無添加のものに比し、明らかに生菌数、pH及び酸度が安定していることがわかる。 【0022】 実験例3 次に、実施例1に係る発酵抑制剤0.6gとキムチ漬けの素(エバラ食品工業(株)製)20gを混ぜた後、塩漬け白菜100gを加えて混ぜることによりキムチを作った。同様に比較実験として発酵抑制剤を添加しないキムチを作った。これらキムチを4℃で保存し、1日後、3日後、7日後、10日後、20日後、30日後の乳酸菌数について、BCP加プレートカウントアガール培地を用いて測定した。また、同時にpHと酸度についても測定した。これらの結果を図7乃至9に示す。 【0023】 図7乃至9に示すように実施例1に係る発酵抑制剤を添加したものの方が、添加していないものに比し、明らかに生菌数、pH及び酸度が安定していることがわかる。 【図面の簡単な説明】 【0024】 【図1】実施例に係る発酵抑制剤が添加された後発酵ヨーグルトの菌数変化を表すグラフである。 【図2】実施例に係る発酵抑制剤が添加された後発酵ヨーグルトのpH変化を表すグラフである。 【図3】実施例に係る発酵抑制剤が添加された後発酵ヨーグルトの酸度変化を表すグラフである。 【図4】実施例に係る発酵抑制剤が添加された前発酵ヨーグルトの菌数変化を表すグラフである。 【図5】実施例に係る発酵抑制剤が添加された前発酵ヨーグルトのpH変化を表すグラフである。 【図6】実施例に係る発酵抑制剤が添加された前発酵ヨーグルトの酸度変化を表すグラフである。 【図7】実施例に係る発酵抑制剤が添加されたキムチの菌数変化を表すグラフである。 【図8】実施例に係る発酵抑制剤が添加されたキムチのpH変化を表すグラフである。 【図9】実施例に係る発酵抑制剤が添加されたキムチの酸度変化を表すグラフである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000118615 【氏名又は名称】伊那食品工業株式会社 【住所又は居所】長野県伊那市西春近5074番地
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| 【出願日】 |
平成15年9月8日(2003.9.8) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100092820 【弁理士】 【氏名又は名称】伊丹 勝
【識別番号】100103274 【弁理士】 【氏名又は名称】千且 和也
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| 【公開番号】 |
特開2005−80560(P2005−80560A) |
| 【公開日】 |
平成17年3月31日(2005.3.31) |
| 【出願番号】 |
特願2003−315779(P2003−315779) |
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