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【発明の名称】 ショウガ脂溶性成分のサイクロデキストリン包接物の製造方法
【発明者】 【氏名】三輪 章志

【要約】 【課題】ショウガ脂溶性成分を多量に包接するCD包接物を、簡便な工程で効率的に製造する方法を提供すること。

【解決手段】ショウガ植物体、その加工品又はショウガ脂溶性成分溶液、デンプン、及び脂質可溶性溶媒の混合物にサイクロデキストリン合成酵素を加えて処理することを特徴とするハーブ脂溶性成分のサイクロデキストリン包接物の製造方法;前記製造方法により得られるショウガ脂溶性成分のサイクロデキストリン包接物;前記包接物を含有する食品、化粧品又は医薬品。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ショウガ植物体、その加工品又はショウガ脂溶性成分溶液、デンプン、及び脂質可溶性溶媒の混合物にサイクロデキストリン合成酵素を加えて処理することを特徴とするショウガ脂溶性成分のサイクロデキストリン包接物の製造方法。
【請求項2】
ショウガ植物体が、植物全体、或いは、葉部、茎部、花部、果肉部及び/又は根部である、請求項1記載のサイクロデキストリン包接物の製造方法。
【請求項3】
ショウガ植物体の加工品が、ペースト、搾汁液、粉末若しくはその懸濁物、又は、顆粒若しくはその懸濁物であることを特徴とする請求項1又は2記載のサイクロデキストリン包接物の製造方法。
【請求項4】
脂質可溶性溶媒が、5〜40%(容量)エタノールである請求項1〜3のいずれかに記載のサイクロデキストリン包接物の製造方法。
【請求項5】
ショウガ脂溶性成分及びデンプンの混合物にサイクロデキストリン合成酵素を加えて、50〜65℃で24〜48時間振盪処理することを特徴とするショウガ脂溶性成分のサイクロデキストリン包接物の製造方法。
【請求項6】
ショウガ脂溶性成分が、6−ジンゲロール、8−ジンゲロール及び/又は8−ショウガオールであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のサイクロデキストリン包接物の製造方法。
【請求項7】
デンプンが糊化デンプンである請求項1〜6のいずれかに記載のサイクロデキストリン包接物の製造方法。
【請求項8】
サイクロデキストリン合成酵素を、デンプン1g当たり0.1〜10THU用いる請求項1〜7のいずれかに記載のサイクロデキストリン包接物の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の方法により得られるショウガ脂溶性成分のサイクロデキストリン包接物。
【請求項10】
請求項9記載のショウガ脂溶性成分のサイクロデキストリン包接物を含有する食品。
【請求項11】
請求項9記載のショウガ脂溶性成分のサイクロデキストリン包接物を含有する化粧品又は医薬品。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ショウガ脂溶性成分のサイクロデキストリン(以下、CDと称することがある。)包接物の製造方法に関し、詳しくは、優れた抗酸化作用を有するとともにショウガ風味を呈するショウガ脂溶性成分のCD包接物を効率よく製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ショウガに含有される各種の有効成分は、生体調節機能に有効であることが良く知られている。また、これら成分はショウガ特有の風味の主成分である。そのため、ショウガは、食品、化粧品、医薬品等に広く用いられている。
しかし、これら有効成分は脂溶性で揮発性が高いため、例えば食品に使用した場合、水分含有率が多い食品中では、安定性に欠ける性質があり、いずれもその使用形態に制約を受けているのが実状である。
【0003】
従来、植物由来の脂溶性成分の水溶性粉末を製造する際、植物体のペースト、搾汁液、有機溶媒抽出液、それらの濃縮液等に、サイクロデキストリン(CD)溶液または、CDを加え撹拌して乾燥する方法が知られている。
例えば、特許文献1には、香辛成分又はその前駆体或いは該香辛成分又はその前駆体を含む素材に水及びβ−サイクロデキストリンを加え混捏し、更に必要に応じ練り香辛料素材を添加することを特徴とする練り香辛料の製造法が記載されている。
また、特許文献2には、ニンジンの根のエキスまたは粉末とサイクロデキストリンとを混和したニンジン製品が記載されている。
更に、特許文献3には、生薬またはその混合物を、水またはシクロデキストリンの存在下に減圧濃縮し、次いで得られる濃縮物を噴霧乾燥することを特徴とする生薬製剤の製造法が記載されている。
【0004】
しかし、従来の方法では、得られるCD包接物の量が少なく、得られたCD包接物に包接されている脂溶性成分の量が少ないため、脂溶性成分の生体調節機能が充分に発揮されない上、経済的に不利である。
また、現在一般に普及している植物由来の脂溶性成分のCD包接物の製造及び粉末化するための技術は、(1)有機溶媒による脂溶性成分の抽出、(2)CD溶液と脂溶性成分を攪拌する、(3)乾燥する、の3工程が必要で、効率的な製造が困難であった。
【0005】
【特許文献1】特公昭51−9025号公報
【特許文献2】特開昭54−80463号公報
【特許文献3】特開昭61−5024号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、上記の従来技術によれば、ショウガ脂溶性成分の包接量が少ないCD包接物しか得ることができないとともに、製造の効率の点でも問題があった。
そこで、本発明の目的は、ショウガ脂溶性成分を多量に包接するCD包接物を、簡便な工程で効率的に製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討した結果、目的とするショウガ脂溶性成分のCD包接物は、図1に示すように、ショウガ植物体、その加工品又はショウガ脂溶性成分とデンプンとを原料として脂質可溶性溶媒存在下でデンプンをCD合成酵素と反応させることにより、ショウガ脂溶性成分の抽出とCDの製造とを同時に行うことができ、ショウガ脂溶性成分を豊富に含有するCD包接物を効率良く製造できることを見出し、係る知見に基づいて本発明に到達した。
【0008】
請求項1記載の本発明は、ショウガ植物体、その加工品又はショウガ脂溶性成分溶液、デンプン、及び脂質可溶性溶媒の混合物にサイクロデキストリン合成酵素を加えて処理することを特徴とするショウガ脂溶性成分のサイクロデキストリン包接物の製造方法である。
請求項2記載の本発明は、ショウガ植物体が、植物全体、或いは、葉部、茎部、花部、果肉部及び/又は根部である、請求項1記載のサイクロデキストリン包接物の製造方法である。
請求項3記載の本発明は、ショウガ植物体の加工品が、ペースト、搾汁液、粉末若しくはその懸濁物、又は、顆粒若しくはその懸濁物であることを特徴とする請求項1又は2記載のサイクロデキストリン包接物の製造方法である。
請求項4記載の本発明は、脂質可溶性溶媒が、5〜40%(容量)エタノールである請求項1〜3のいずれかに記載のサイクロデキストリン包接物の製造方法である。
【0009】
請求項5記載の本発明は、ショウガ脂溶性成分及びデンプンの混合物にサイクロデキストリン合成酵素を加えて、50〜65℃で24〜48時間振盪処理することを特徴とするショウガ脂溶性成分のサイクロデキストリン包接物の製造方法である。
請求項6記載の本発明は、ショウガ脂溶性成分が、6−ジンゲロール、8−ジンゲロール及び/又は8−ショウガオールであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のサイクロデキストリン包接物の製造方法である。
請求項7記載の本発明は、デンプンが糊化デンプンである請求項1〜6のいずれかに記載のサイクロデキストリン包接物の製造方法である。
請求項8記載の本発明は、サイクロデキストリン合成酵素を、デンプン1g当たり0.1〜10THU用いる請求項1〜7のいずれかに記載のサイクロデキストリン包接物の製造方法である。
【0010】
請求項9記載の本発明は、請求項1〜8のいずれかに記載の方法により得られるショウガ脂溶性成分のサイクロデキストリン包接物である。
請求項10記載の本発明は、請求項9記載のショウガ脂溶性成分のサイクロデキストリン包接物を含有する食品である。
請求項11記載の本発明は、請求項9記載のショウガ脂溶性成分のサイクロデキストリン包接物を含有する化粧品又は医薬品である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ショウガ植物体、その加工品又はショウガ脂溶性成分とデンプンとを原料として、脂質可溶性溶媒の存在下でCD合成酵素と反応させることにより、ショウガ脂溶性成分の抽出とCDの製造とを同時に行うことができ、ショウガ脂溶性成分を豊富に含有し、抗酸化作用を有すると共に、ショウガ風味を呈するCD包接物を効率良く製造することが可能となった。
しかも、ショウガ脂溶性成分として抽出されるショウガ脂溶性成分はCDに包接されることで水溶性となることから、得られたショウガ脂溶性成分CD包接物は、食品、化粧品、医薬品等幅広い水溶性製品に容易に添加し、利用することが可能となった。
さらに、本発明によれば、上述のようなショウガ脂溶性成分を豊富に包接するCD包接体を含有してなる食品、化粧品、医薬品も提供される。このような食品、化粧品、医薬品は、もともと含まれる色素や香料等揮発性物質をもCD中にショウガ脂溶性成分とともに包接させることにより、これらの物質の安定化も期待される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、請求項1に係る本発明について説明する。
請求項1に係る本発明のショウガ脂溶性成分のCD包接物の製造方法は、ショウガ植物体、その加工品又はショウガ脂溶性成分溶液、デンプン、及び脂質可溶性溶媒の混合物にCD合成酵素を加えて処理することを特徴とする。
【0013】
ショウガ植物体とは、ショウガ植物の全体、又は一部を意味し、具体的には請求項2に記載するように、植物全体、或いは、葉部、茎部、花部、果肉部及び/又は根部を意味する。
【0014】
ショウガ植物体の加工品としては、ショウガ脂溶性成分が含まれる原料であればどのような形態の加工品でも用いることができる。中でも、エタノール等の脂質可溶性溶媒によるショウガ脂溶性成分の抽出処理を効果的に行うため、請求項3に記載するように、ペースト、搾汁液(例えば、ショウガ汁、ショウガ湯)、粉末(例えば、乾燥粉末)若しくはその懸濁物、又は、顆粒若しくはその懸濁物が望ましい。
【0015】
ショウガ脂溶性成分溶液とは、ショウガ植物体に含まれるショウガ脂溶性成分を適当な溶媒に溶解させた溶液を意味する。ショウガ脂溶性成分としては、請求項6に記載するように、6−ジンゲロール、8−ジンゲロール及び/又は8−ショウガオールを挙げることができる。これらのショウガ脂溶性成分は、抗酸化作用をはじめとする生理作用を有すると共に、ショウガ特有のショウガ風味を呈するものである。このようなショウガ脂溶性成分は、ショウガ含有6−ジンゲロール抽出物、ショウガ含有8−ジンゲロール抽出物、ショウガ含有8−ショウガオール等、ショウガから抽出したものであっても良いし、人工的に合成したもの(6−ジンゲロール、8−ジンゲロール及び/又は8−ショウガオールの市販品)であっても良い。
また、溶媒としては、脂溶性成分が溶解することのできるものであれば、何れであっても良く、例えば、エタノール、メタノール、アセトン、エーテル、ヘキサン等が挙げられる。これらの中では、エタノールが好ましい。
【0016】
請求項1に係る本発明においては、原料としてショウガ植物体、その加工品又はショウガ脂溶性成分溶液のほかに、デンプン及び脂質可溶性溶媒、更にこれらの混合物に作用させるためのCD合成酵素を用いる。
デンプンの起源は問わず各種のものを任意に使用できるが、中でも、請求項7に記載するように、糊化デンプンが好ましい。
【0017】
また、脂質可溶性溶媒とは、ショウガ植物体、その加工品又はショウガ脂溶性成分溶液からショウガ脂溶性成分を抽出することのできる全ての溶媒を意味し、例えば、エタノール、メタノール、アセトン、エーテル、ヘキサン等が挙げられる。この中で、ショウガ脂溶性成分の抽出の効率の点から、請求項4に記載するように、5〜40%(容量)エタノールが好ましい。更に、得られるCD包接物のショウガ風味の点から、特に20〜30%(容量)エタノールが好ましい。
【0018】
尚、請求項5に記載するように、ショウガ脂溶性成分自体を原料とする場合には、ショウガ脂溶性成分及びデンプンの混合物にサイクロデキストリン合成酵素を加えて、50〜65℃で24〜48時間振盪処理することにより、ショウガ脂溶性成分のサイクロデキストリン包接物を製造することができる。
すなわち、この場合には、脂質可溶性溶媒を使用しないで、代わりに水を用いた場合においても、目的とするCD包接物を得ることができる。
【0019】
CD合成酵素としては、CGTaseが好適である。CGTaseの起源は特に限定されない。市販されているCGTaseの他、CGTase生産微生物の培養物等を粗酵素として使用することができる。尚、上述のようにデンプンとして糊化デンプンを用いる場合は、耐熱性のCD合成酵素を用いることが好ましい。
CD合成酵素の使用量は、請求項8に記載するように、デンプン1g当たり0.1〜10THU(チルデン・ハドソン単位)が適当であるが、経済性等を考慮すると0.5〜1THUが好適である。
【0020】
請求項1に係る本発明において、ショウガ植物体、その加工品又はショウガ脂溶性成分溶液、デンプン、及び脂質可溶性溶媒を含む混合物にCD合成酵素を加えて処理するにあたっての処理条件は、用いる原料等を考慮して適宜定めることができる。
まず、各原料の使用量については、脂質可溶性溶媒に対し、ショウガ植物体、その加工品又はショウガ脂溶性成分溶液が1〜10%、好ましくは3〜7%、デンプンが1〜10%、好ましくは3〜7%とすることができる。
反応温度は、通常のCD合成酵素を用いる場合は、40〜60℃とすることが好ましく、耐熱性酵素を用いる場合は、50〜70℃(特に好ましくは65℃)とすることが好ましい。
反応時間については、12〜48時間、好ましくは24〜36時間が適当である。
また、処理は、振盪しながら行うことが好ましい。
尚、ショウガ脂溶性成分を用いる場合は、請求項5に記載するように、50〜65℃で24〜48時間とすることが好ましい。
このように、ショウガ植物体、その加工品又はショウガ脂溶性成分溶液、デンプン、及び脂質可溶性溶媒の混合物にCD合成酵素を加えて処理することにより、ショウガ植物体、その加工品又はショウガ脂溶性成分溶液に含まれる脂溶性成分が抽出され、デンプンと酵素の反応により生成したCDに包接される。
【0021】
請求項1記載の本発明の製造方法においては、上記処理終了後に得られる懸濁液からショウガ脂溶性成分のCD包接物を得ることができる。例えば、懸濁液を5000〜10000回転/分、好ましくは9000回転/分で1〜30分間、好ましくは5〜10分間遠心分離等の固−液分離操作を行って上澄み液を得る。この上澄み液を、ショウガ脂溶性成分のCD包接物として用いることができる。
また、ショウガ脂溶性成分のCD包接物の乾燥物を得たい場合は、上記上澄み液をスプレイドライヤー等で150〜250℃の温度で乾燥することにより、ショウガ脂溶性成分のCD包接物の乾燥粉末を得ることができる。
このように、請求項1に係る本発明の製造方法によれば、従来のような複雑な工程、すなわち(1)有機溶媒によるショウガ脂溶性成分の抽出、(2)CD溶液とショウガ脂溶性成分を攪拌する、(3)乾燥する、という3工程を必要としないで、簡便な方法で目的とするショウガ脂溶性成分のCD包接物を製造することができる。
【0022】
このようにして得られるショウガ脂溶性成分のCD包接物を提供するのが、請求項9に係る本発明である。
即ち、請求項9に係る本発明は、請求項1〜8のいずれかに記載の方法により得られるショウガ脂溶性成分のCD包接物を提供するものである。
【0023】
請求項9に係る本発明のCD包接物は、ショウガ脂溶性成分を豊富に含むため、抗酸化作用を有すると共に、ショウガ風味を呈するものである。更に、水溶性であるため、包接されるショウガ脂溶性成分の利用範囲を広げることができる。例えば食品、化粧品、医薬品等水溶性製品の分野において、幅広く利用することができる。このような食品、化粧品、医薬品を提供するのが、請求項10〜11に係る本発明である。
【0024】
即ち、請求項10に係る本発明は、請求項9記載のショウガ脂溶性成分のCD包接物を含有する食品を提供するものである。また、請求項11に係る本発明は、請求項9記載のショウガ脂溶性成分のCD包接物を含有する化粧品又は医薬品を提供するものである。
【0025】
請求項10に係る本発明の食品としては、例えば飲料、菓子が挙げられる。食品中に占めるショウガ脂溶性成分のCD包接物の含有割合は、食品の種類によって異なり一概に規定できないが、一般に0.01〜5.0%、好ましくは0.1〜3.0%の範囲とすることができる。
請求項11に係る本発明の化粧品又は医薬品に占めるショウガ脂溶性成分のCD包接物の含有割合は、化粧品や医薬品の種類によって異なり一概に規定できないが、一般に0.01〜5.0%、好ましくは0.1〜3.0%の範囲とすることができる。
請求項10に係る本発明の食品や、請求項11に係る本発明の化粧品又は医薬品は、色素や香料等の揮発性物質が含まれている食品等である場合、ショウガ脂溶性成分とともにCDに包接することにより、安定化することも期待できる。
【実施例】
【0026】
以下に、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1〔ショウガ脂溶性成分溶液〕
ショウガ脂溶性成分溶液5ml、馬鈴薯デンプン5gとCGTase(コンチザイム:天野エンザイム社製)をデンプン1g当たり1THU加えたものに、所定濃度のエタノール溶液を加えて全量を100mlとし、これを60℃で24時間振盪しながら反応させた。
反応終了後、懸濁液を9000回転/分で10分間遠心分離して約80mlの上澄み液を得た。これを、凍結乾燥させ、ショウガ脂溶性成分のCD包接物の乾燥粉末を得た。この乾燥粉末は、水溶性であった。
【0027】
この反応によって生成したCD量を、エタノールの濃度を基準として測定した。
なお、CDの測定は以下の方法により行った。
即ち、ショウガ脂溶性成分のCD包接物0.1gを1mlの蒸留水で溶かし、これを測定試料として、CD組成をHPLCで測定した。測定条件は、カラム:Wakosil 5NH2(φ4mm×250mm、和光純薬社製)、移動層:水/アセトニトリル=40/60、流速:0.8ml/分、カラム温度:25℃、検出器:RID−10A(島津製作所製)、ポンプ:LC10AD(島津製作所製)である。結果を表1に示す。
【0028】
【表1】


【0029】
表1から明らかなように、エタノール濃度が高くなるにしたがってCD量は減少しており、エタノール濃度が40%を超えると、CDは生成されない。なお、エタノール濃度が50%の場合は上澄みが得られなかった。
次に、ショウガ脂溶性成分のCD包接物には、ショウガ脂溶性成分として、6−ギンゲロール、8−ギンゲロール、6−ショウガオールが含まれていることが分かったので、これらの含有量を次の方法で測定した。
ショウガ脂溶性成分のCD包接物2gに100%メタノール30mlを加え、室温にて30分間の振盪による成分の抽出を2回行った。抽出した試料のメタノールをエバポレーターで留去し、66%メタノール溶液2mlで試料を溶解してHPLC分析試料とした。
【0030】
HPLC分析条件は、カラム:Mightysil RP-18 GP(φ4.6mm×250mm、関東化学社製) 、移動層:A:アセトニトリル+0.1%トリフルオロ酢酸、B:水+0.1%トリフルオロ酢酸、グラジェントプログラム:0→1分(A液:B液=50:50)、1→41分(A液:B液=90:10へグラジェント)、41→51分(A液:B液=90:10を保持)、流速:0.8ml/分、カラム温度:40℃、UV検出波長(282nm)、UV検出器:SPD−10AV(島津製作所製)、HPLCポンプ:LC10AD(島津製作所製)である。6−ギンゲロールの標準品として、和光純薬の試薬を用いて検量線を作成し、面積により定量した。また、8−ギンゲロール、6−ショウガオールは、HPLCで成分を分取してGC−MSにより同定し、検量線を作成し、面積により定量した。測定した結果得られた各ショウガ脂溶性成分の含有量を、CD包接物製造時に添加するエタノールの濃度別に表2に示す。尚、表2中、各ショウガ脂溶性成分の含有量の単位はmg/gである。
【0031】
【表2】


【0032】
表2から、6−ギンゲロール、8−ギンゲロール、及び6−ショウガオールの含有量は、エタノール溶液のエタノール濃度が高くなるに従い増加する傾向にあることが分かる。
表1の結果と併せて考えると、本発明のCD包接物の製造方法においては、エタノール濃度を適切な範囲に調整することが重要であり、10〜40%が好適であることが明らかとなった。
【0033】
また、得られたCD包接物について、抗酸化性成分の濃度を、安定なラジカルであるジフェニルピクリルヒドラジル(以下、DPPHと称することがある。)を消去する能力により求めた。すなわち、ショウガ脂溶性成分のCD包接物1gを80%エタノール溶液8mlで振盪抽出(試験管ミキサーで1分間振盪)した後、遠心分離(3000回転/分、5分間)して上澄みを回収する操作を2回繰り返した。上澄みを集め、全容を25mlとし抽出試料とした。この試料2mlに蒸留水1.2mlと50%エタノール溶液0.8mlを加え、この測定用試料(0〜300μl)を200μM DPPH300μlと反応させ、520nmの吸光度を測定し、試料無添加の吸光度を100%として試料のDPPH消去能を算出した。表3は、抗酸化性成分の濃度(pmol/g)を、CD包接物製造時に添加するエタノールの濃度別に示したものである。尚、表3中の抗酸化性成分の濃度は、抗酸化剤Troloxの相当量で示したものである。
【0034】
【表3】


【0035】
表3から分かるように、ショウガ脂溶性成分のCD包接物には、抗酸化性成分が含まれ、その濃度は、製造時に添加するエタノール溶液が高濃度であるほど高いものであった。
表2の結果と併せて考えると、ショウガ脂溶性成分が抗酸化性成分としての機能を発揮していることが明らかである。
【0036】
実施例2〔ショウガ乾燥粉末〕
ショウガ脂溶性成分溶液の代わりにショウガ乾燥粉末5gを用いたこと以外は、実施例1と同様に行い、CD包接物の乾燥粉末を得た。生成したCD量を、エタノールの濃度を基準として測定した結果を表4に示す。また、得られたCD包接物に含まれる6−ギンゲロール、8−ギンゲロール、及び6−ショウガオールの含有量を測定した。各ショウガ脂溶性成分の含有量(mg/g)をエタノールの濃度別に表5に示す。
【0037】
【表4】


【0038】
【表5】


【0039】
表4から明らかなように、エタノール濃度が高くなるにしたがってCD量は減少しており、エタノール濃度が40%を超えると、CDは生成されない。
また、表5から、6−ギンゲロール、8−ギンゲロール及び6−ショウガオールの含有量は、エタノール溶液のエタノール濃度が高くなるに従い増加する傾向にあることが分かる。表4の結果と併せて考えると、本発明のCD包接物の製造方法においては、エタノール濃度を適切な範囲に調整することが重要であり、10〜40%が好適であることが明らかとなった。
更に、得られたCD包接物について、抗酸化性成分の濃度を実施例1と同様にして測定した。尚、実施例1の方法において、上澄みのほかに沈殿についても測定した。エタノール濃度が50%の場合は、上澄みが得られなかったため、沈殿のみについて測定した。得られた抗酸化性成分の濃度(pmol/g)を、CD包接物製造時に添加するエタノールの濃度別に表6に示す。
【0040】
【表6】


【0041】
表6から分かるように、本実施例2において生産したCD包接物には、抗酸化性成分が含まれ、その濃度は、製造時に添加するエタノール溶液が高濃度であるほど高いものであった。表5の結果と併せて考えると、ショウガ脂溶性成分が抗酸化性成分としての機能を発揮していることが明らかである。
【0042】
実施例3〔ショウガ葉、茎乾燥粉末5g〕
ショウガ脂溶性成分溶液の代わりにショウガ葉、茎乾燥粉末5gを用いたこと以外は、実施例1と同様に行い、CD包接物の乾燥粉末を得た。生成したCD量を、エタノールの濃度を基準として測定した結果を表7に示す。また、得られたCD包接物に含まれる6−ギンゲロール、8−ギンゲロール及び6−ショウガオールの含有量を測定した。各ショウガ脂溶性成分の含有量(mg/g)をエタノールの濃度別に表8に示す。
【0043】
【表7】


【0044】
【表8】


【0045】
表7から明らかなように、エタノール濃度が高くなるにしたがってCD量は減少しており、エタノール濃度が40%を超えると、CDは生成されない。
また、表8から、6−ギンゲロール、8−ギンゲロール及び6−ショウガオールの含有量は、エタノール濃度が高くなるに従い増加する傾向にあることが分かる。表8の結果と併せて考えると、本発明のCD包接物の製造方法においては、エタノール濃度を適切な範囲に調整することが重要であり、10〜40%が好適であることが明らかとなった。
更に、得られたCD包接物について、抗酸化性成分の濃度を実施例1と同様にして測定した。尚、実施例1の方法において、上澄みのほかに沈殿についても測定した。エタノール濃度が50%の場合は、上澄みが得られなかったため、沈殿のみについて測定した。得られた抗酸化性成分の濃度(pmol/g)を、CD包接物製造時に添加するエタノールの濃度別に表9に示す。
【0046】
【表9】


【0047】
表9から分かるように、本実施例3において生産したCD包接物には、抗酸化性成分が含まれ、その濃度は、製造時に添加するエタノール溶液が高濃度であるほど高いものであった。表8の結果と併せて考えると、ショウガ脂溶性成分が抗酸化性成分としての機能を発揮していることが明らかである。
【0048】
実施例4〔ショウガペーストの絞り粕乾燥粉末〕
ショウガ脂溶性成分溶液の代わりにショウガペーストの絞り粕乾燥粉末5gを用いたこと以外は、実施例1と同様に行い、CD包接物の乾燥粉末を得た。生成したCD量を、エタノールの濃度を基準として測定した結果を表10に示す。また、得られたCD包接物に含まれる6−ギンゲロール、8−ギンゲロール及び6−ショウガオールの含有量を測定した。各ショウガ脂溶性成分の含有量(mg/g)をエタノールの濃度別に表11に示す。
【0049】
【表10】


【0050】
【表11】


【0051】
表10から明らかなように、エタノール濃度が高くなるにしたがってCD量は減少しており、エタノール濃度が40%を超えると、CDは生成されない。
また、表12から、6−ギンゲロール、8−ギンゲロール及び6−ショウガオールの含有量は、エタノール濃度が高くなるに従い増加する傾向にあることが分かる。表12の結果と併せて考えると、本発明のCD包接物の製造方法においては、エタノール濃度を適切な範囲に調整することが重要であり、10〜40%が好適であることが明らかとなった。
更に、得られたCD包接物について、抗酸化性成分の濃度を実施例1と同様にして測定した。得られた抗酸化性成分の濃度(pmol/g)を、CD包接物製造時に添加するエタノールの濃度別に表12に示す。
【0052】
【表12】


【0053】
表12から分かるように、本実施例4において生産したCD包接物には、抗酸化性成分が含まれ、その濃度は、製造時に添加するエタノール溶液が高濃度であるほど高いものであった。 表11の結果と併せて考えると、ショウガ脂溶性成分が抗酸化性成分としての機能を発揮していることが明らかである。
更に、本実施例4において生産したCD包接物の乾燥粉末のショウガ風味を官能検査で確認した。官能検査の評価は、香り及び辛みのそれぞれについて、ショウガ絞り粕に比べて非常に弱い場合を−−、弱い場合を−、普通の場合を○、強い場合を+、非常に強い場合を+として行った。その結果を、CD包接物製造時に添加するエタノールの濃度別に表13に示す。
【0054】
【表13】


【0055】
表13より、製造時に添加するエタノール溶液が高濃度であるほど強いショウガ風味を呈することが明らかとなった。
【0056】
実施例5〔ショウガ含有6−ギンゲロール抽出物〕
ショウガ脂溶性成分溶液の代わりにショウガ含有6−ギンゲロール抽出物(和光純薬製)5mlを用いたこと以外は、実施例1と同様に行い、ショウガ含有6−ギンゲロール抽出物の乾燥粉末を得た。生成したCD量を、エタノールの濃度を基準として測定した結果を表14に示す。また、得られたCD包接物に含まれる6−ギンゲロールの含有量を測定した。6−ギンゲロールの含有量(mg/g)をエタノールの濃度別に表15に示す。
【0057】
【表14】


【0058】
【表15】


【0059】
表14から明らかなように、エタノール濃度が高くなるにしたがってCD量は減少しており、エタノール濃度が40%を超えると、CDは生成されない。
また、表15から、6−ギンゲロールの含有量は、エタノール濃度が高くなるに従い増加する傾向にあることが分かる。表14の結果と併せて考えると、本発明のCD包接物の製造方法においては、エタノール濃度を適切な範囲に調整することが重要であり、10〜40%が好適であることが明らかとなった。
更に、得られたCD包接物について、抗酸化性成分の濃度を実施例1と同様にして測定した。得られた抗酸化性成分の濃度(pmol/g)を、CD包接物製造時に添加するエタノールの濃度別に表16に示す。
【0060】
【表16】


【0061】
表16から分かるように、本実施例9において生産したCD包接物には、抗酸化性成分が含まれ、その濃度は、製造時に添加するエタノール溶液が高濃度であるほど高いものであった。 表15の結果と併せて考えると、ショウガ脂溶性成分が抗酸化性成分としての機能を発揮していることが明らかである。
【0062】
実施例6〔ショウガ含有8−ギンゲロール抽出物〕
ショウガ脂溶性成分溶液の代わりに、HPLCでショウガから分離、精製したショウガ含有8−ギンゲロール抽出物5mlを用いたこと以外は、実施例1と同様に行い、ショウガ含有8−ギンゲロール抽出物の乾燥粉末を得た。生成したCD量を、エタノールの濃度を基準として測定した結果を表17に示す。また、得られたCD包接物に含まれる8−ギンゲロールの含有量を測定した。8−ギンゲロールの含有量(mg/g)をエタノールの濃度別に表18に示す。
【0063】
【表17】


【0064】
【表18】


【0065】
表17から明らかなように、エタノール濃度が高くなるにしたがってCD量は減少しており、エタノール濃度が40%を超えると、CDは生成されない。
また、表18から、8−ギンゲロールの含有量は、エタノール濃度が高くなるに従い増加する傾向にあることが分かる。表17の結果と併せて考えると、本発明のCD包接物の製造方法においては、エタノール濃度を適切な範囲に調整することが重要であり、10〜40%が好適であることが明らかとなった。
更に、得られたCD包接物について、抗酸化性成分の濃度を実施例1と同様にして測定した。得られた抗酸化性成分の濃度(pmol/g)を、CD包接物製造時に添加するエタノールの濃度別に表19に示す。
【0066】
【表19】


【0067】
表19から分かるように、本実施例9において生産したCD包接物には、抗酸化性成分が含まれ、その濃度は、製造時に添加するエタノール溶液が高濃度であるほど高いものであった。 表18の結果と併せて考えると、ショウガ脂溶性成分が抗酸化性成分としての機能を発揮していることが明らかである。
【0068】
実施例7〔ショウガ含有6−ショウガオール抽出物〕
ショウガ脂溶性成分溶液の代わりに、HPLCでショウガから分離、精製したショウガ含有6−ショウガオール抽出物5mlを用いたこと以外は、実施例1と同様に行い、ショウガ含有6−ショウガオール抽出物の乾燥粉末を得た。生成したCD量を、エタノールの濃度を基準として測定した結果を表20に示す。また、得られたCD包接物に含まれる6−ショウガオールの含有量を測定した。6−ショウガオールの含有量(mg/g)をエタノールの濃度別に表21に示す。
【0069】
【表20】


【0070】
【表21】


【0071】
表20から明らかなように、エタノール濃度が高くなるにしたがってCD量は減少しており、エタノール濃度が40%を超えると、CDは生成されない。
また、表21から、6−ショウガオールの含有量は、エタノール濃度が高くなるに従い増加する傾向にあることが分かる。表20の結果と併せて考えると、本発明のCD包接物の製造方法においては、エタノール濃度を適切な範囲に調整することが重要であり、10〜40%が好適であることが明らかとなった。
更に、得られたCD包接物について、抗酸化性成分の濃度を実施例1と同様にして測定した。得られた抗酸化性成分の濃度(pmol/g)を、CD包接物製造時に添加するエタノールの濃度別に表22に示す。
【0072】
【表22】


【0073】
表22から分かるように、抗酸化性成分の濃度は、製造時に添加するエタノールの濃度が高くなるほど高くなることが明らかとなった。
【0074】
また、本実施例7において生産したCD包接物には、抗酸化性成分が含まれ、その濃度は、製造時に添加するエタノール溶液が高濃度であるほど高いものであった。 表21の結果と併せて考えると、ショウガ脂溶性成分が抗酸化性成分としての機能を発揮していることが明らかである。
【0075】
実施例8〔菓子〕
グラニュー糖10gとゲル化剤5gを混合し、水100mlを加えて90℃に加熱撹拌した。混合液を75℃まで冷却し、実施例4で得られたショウガ脂溶性成分のCD包接物(20%、30%、40%エタノール溶液を用いたもの)0.18g(0.18%)と液状マルトース0.18gを加えて撹拌した。混合液を容器に注ぎ、85℃20分間加熱殺菌して、冷却することでゲル化させ、ショウガ脂溶性成分のCD包接物入り菓子を製造した。
製造したショウガ脂溶性成分のCD包接物入り菓子に含まれる、6−ギンゲロール、8−ギンゲロール及び6−ショウガオールの含有量を測定した。各ショウガ脂溶性成分の含有量(mg/g)をエタノールの濃度別に表23に示す。
一方、対照として、CD包接物0.18gの代わりにショウガ汁2.0gを用いて同様に製造したショウガ汁入り菓子についても、6−ギンゲロール、8−ギンゲロール及び6−ショウガオールの含有量を測定した。結果を表23に示す。
【0076】
【表23】


【0077】
表23から明らかなように、ショウガ汁入り菓子に比べて、CD包接物入り菓子は、エタノール濃度にかかわらずショウガ脂溶性成分を多く含んでいた。また、CD包接物入り菓子の中では、高濃度のエタノール溶液で抽出して得られるCD包接物を用いた方が、ショウガ脂溶性成分を多く含んでいることが分かる。
更に、CD包接物入り菓子のショウガ風味を官能検査で確認した。官能検査の評価は、香りが、ショウガ汁入り菓子に比べて非常に弱い場合を−−、弱い場合を−、普通の場合を○、強い場合を+、非常に強い場合を++として行った。その結果を、CD包接物製造時に添加するエタノールの濃度別に表24に示す。
【0078】
【表24】


【0079】
表24より、製造時に添加するエタノール溶液が高濃度であるほど強いショウガ風味を呈することが明らかとなった。また、ショウガ搾汁液入り菓子の風味と比較して、製造時に添加するエタノール溶液の濃度は20〜30%が好適であることが明らかとなった。
【0080】
実施例9〔飲料〕
実施例4で得られたショウガ脂溶性成分のCD包接物0.3gと蜂蜜5gを、水200mlと混合して容器に注ぎ、85℃20分間加熱殺菌して、冷却してショウガ脂溶性成分のCD包接物入り飲料とした。
製造したショウガ脂溶性成分のCD包接物入り飲料に含まれる、6−ギンゲロール、8−ギンゲロール及び6−ショウガオールの含有量を測定した。各ショウガ脂溶性成分の含有量(mg/g)をエタノールの濃度別に表25に示す。
【0081】
【表25】


【0082】
表25から明らかなように、ショウガ脂溶性成分のCD包接物入り飲料は、エタノール濃度にかかわらずショウガ脂溶性成分を多く含んでいた。また、高濃度のエタノール溶液で抽出して得られるCD包接物を用いた方が、ショウガ脂溶性成分を多く含んでいることが分かる。
更に、ショウガ脂溶性成分のCD包接物入り飲料のショウガ風味を官能検査で確認した。官能検査の評価は、香りが、ショウガ湯(創健社製)に比べて非常に弱い場合を−−、弱い場合を−、普通の場合を○、強い場合を+、非常に強い場合を++として行った。その結果を、CD包接物製造時に添加するエタノールの濃度別に表26に示す。
【0083】
【表26】


【0084】
表26より、製造時に添加するエタノール溶液が高濃度であるほど強いショウガ風味を呈することが明らかとなった。また、ショウガ湯の風味と比較して、製造時に添加するエタノール溶液の濃度は20〜30%が好適であることが明らかとなった。
【0085】
実施例10〔化粧水〕
実施例4で得られたショウガ脂溶性成分のCD包接物1g、精製100ml、植物性グリセリン2g、無水エタノール5ml、及びクエン酸0.2mlと混合して容器に注ぎ、ショウガ脂溶性成分のCD包接物入り化粧水とした。
製造したショウガ脂溶性成分のCD包接物入り化粧水に含まれる、6−ギンゲロール、8−ギンゲロール及び6−ショウガオールの含有量を測定した。各ショウガ脂溶性成分の含有量(mg/g)をエタノールの濃度別に表27に示す。
【0086】
【表27】


【0087】
表27から明らかなように、ショウガ脂溶性成分のCD包接物入り化粧水は、エタノール濃度にかかわらずショウガ脂溶性成分を多く含んでいた。また、高濃度のエタノール溶液で抽出して得られるCD包接物を用いた方が、ショウガ脂溶性成分を多く含んでいることが分かる。
更に、ショウガ脂溶性成分のCD包接物入り化粧水のショウガ風味を官能検査で確認した。官能検査の評価は、香りが非常に弱い場合を−−、弱い場合を−、普通の場合を○、強い場合を+、非常に強い場合を++として行った。その結果を、CD包接物製造時に添加するエタノールの濃度別に表28に示す。
【0088】
【表28】


【0089】
表28より、製造時に添加するエタノール溶液が高濃度であるほど強いショウガ風味を呈することが明らかとなった。また、化粧水の香りとしては、製造時に添加するエタノール溶液の濃度は30%前後が好適であることが明らかとなった。
【0090】
比較例1〔市販6−ギンゲロール、デンプン不使用、水抽出〕
6−ギンゲロール(和光純薬社製)0.1gとCD(商品名:デキシパール100、横浜国際バイオ研究所製)2gに水を加えて全量100mlとした混合物について、実施例4と同様に反応させてCD包接物の乾燥粉末約2gを得た。
得られたCD包接物中の6−ギンゲロール含量(mg/g)を、実施例1と同様の方法で測定した。結果を表29に示す。
【0091】
比較例2〔市販6−ギンゲロール、デンプン不使用〕
6−ギンゲロール(和光純薬社製)0.1gとCD(商品名:デキシパール100、横浜国際バイオ研究所製)2gに20%エタノール溶液を加えて全量100mlとした混合物について、実施例4と同様に反応させてCD包接物の乾燥粉末約2gを得た。
得られたCD包接物中の6−ギンゲロール含量(mg/g)を、実施例1と同様の方法で測定した。結果を表29に示す。
【0092】
実施例11〔市販6−ギンゲロール、水抽出〕
6−ギンゲロール(和光純薬社製)0.1gと糊化馬鈴薯デンプン5g及びCGTase(商品名:コンチザイム、天野製薬社製)をデンプン1g当たり1THU加えたものに水を加えて全量を100mlとした混合物について、実施例4と同様に反応させてCD包接物の乾燥粉末約2gを得た。
得られたCD包接物中の6−ギンゲロール含量(mg/g)を、実施例1と同様の方法で測定した。結果を表29に示す。
尚、表29には、前記実施例4で得られたCD包接物(製造時に30%エタノール溶液を添加したもの)の6−ギンゲロール含量を示す。
【0093】
【表29】


【0094】
表29から明らかなように、市販の6−ギンゲロールを用い、デンプンと共に、水で抽出して得た本実施例11のCD包接物は、実施例4のCD包接物より少ないものの、6−ギンゲロールを多く含有していた。このことから、市販の6−ギンゲロールを用い、脂質可溶性溶媒の代わりに水を用いた場合においても、当該ショウガ脂溶性成分のCD包接物を製造できることが明らかとなった。
また、本実施例11で得られたCD包接物には、デンプンを添加せずに水で抽出した比較例1のCD包接物や、デンプンを添加せずにエタノールで抽出した比較例2のCD包接物よりも多量に6−ギンゲロールが包接されていた。このことから、ショウガ脂溶性成分を多量に包接するCD包接物を得るためには、デンプンを添加する必要があることが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明によれば、ショウガ植物体、その加工品又はショウガ脂溶性成分とデンプンを原料として、脂質可溶性溶媒の存在下でCD合成酵素と反応させることにより、ショウガ脂溶性成分の抽出とCDの製造とを同時に行うことができ、ショウガ脂溶性成分を豊富に含有し、抗酸化作用を有すると共に、ショウガ風味を呈するCD包接物を効率良く製造することが可能となった。
しかも、ショウガ脂溶性成分として抽出されるショウガ脂溶性成分はCDに包接されることで水溶性となることから、得られたショウガ脂溶性成分CD包接物は、食品、化粧品、医薬品等幅広い水溶性製品に容易に添加し、利用することが可能となった。
さらに、本発明によれば、上述のようなショウガ脂溶性成分を豊富に包接するCD包接体を含有してなる食品、化粧品、医薬品も提供される。このような食品、化粧品、医薬品は、もともと含まれる色素や香料等揮発性物質をもCD中にショウガ脂溶性成分と共に包接させることにより、これらの物質の安定化も期待される。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明のショウガ脂溶性成分CD包接体の製造工程の1態様を示す。
【出願人】 【識別番号】591040236
【氏名又は名称】石川県
【識別番号】399095380
【氏名又は名称】株式会社柴舟小出
【出願日】 平成15年9月8日(2003.9.8)
【代理人】 【識別番号】100074077
【弁理士】
【氏名又は名称】久保田 藤郎

【識別番号】100074077
【弁理士】
【氏名又は名称】久保田 藤郎

【識別番号】100086221
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 裕也

【公開番号】 特開2005−80543(P2005−80543A)
【公開日】 平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願番号】 特願2003−314949(P2003−314949)