| 【発明の名称】 |
デンプン含有食品の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】三浦 靖
【氏名】村上 猛志
【氏名】金 哲
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| 【要約】 |
【課題】原料の離水率を向上させ、製造効率の向上を図る。
【解決手段】デンプンを含有した原料を糊化し、次に、原料を凍結し、その後、原料を解凍し、凍結及び解凍により原料の離水を行なってデンプン含有食品を製造するデンプン含有食品の製造方法において、凍結過程でパルス磁場を印加する。その際、凍結過程で印加するパルス磁場の磁場強度Vを、0.1T(テスラ)≦V≦10T(テスラ)、パルス幅Wを、10μs≦W≦100μs、パルス周波数Nを、0.1Hz≦N≦1kHzとし、凍結で、冷却速度Sを、0.1℃・min-1≦S≦10℃・min-1、冷却終点温度tを、−60℃≦t≦−10℃、解凍で、加熱速度Kを、0.1℃・min-1≦K≦10℃・min-1とした。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 デンプンを含有した原料を糊化し、次に、該原料を凍結し、その後、該原料を解凍し、該凍結及び解凍により該原料の離水処理を行なってデンプン含有食品を製造するデンプン含有食品の製造方法において、 上記凍結過程でパルス磁場を印加することを特徴とするデンプン含有食品の製造方法。 【請求項2】 印加するパルス磁場の磁場強度Vを、0.1T(テスラ)≦V≦10T(テスラ)としたことを特徴とする請求項1記載のデンプン含有食品の製造方法。 【請求項3】 印加するパルス磁場の磁場強度Vを、0.3T(テスラ)≦V≦5T(テスラ)としたことを特徴とする請求項2記載のデンプン含有食品の製造方法。 【請求項4】 上記パルス磁場のパルス幅Wを、10μs≦W≦100μsとしたことを特徴とする請求項1,2または3記載のデンプン含有食品の製造方法。 【請求項5】 上記パルス磁場のパルス幅Wを、30μs≦W≦70μsとしたことを特徴とする請求項4記載のデンプン含有食品の製造方法。 【請求項6】 上記パルス磁場のパルス周波数Nを、0.1Hz≦N≦1kHzとしたことを特徴とする請求項1,2,3,4または5記載のデンプン含有食品の製造方法。 【請求項7】 上記パルス磁場のパルス周波数Nを、0.5Hz≦N≦100Hzとしたことを特徴とする請求項6記載のデンプン含有食品の製造方法。 【請求項8】 上記凍結で、冷却速度Sを、0.1℃・min-1≦S≦10℃・min-1としたことを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6または7記載のデンプン含有食品の製造方法。 【請求項9】 上記凍結で、冷却速度Sを、0.5℃・min-1≦S≦5℃・min-1としたことを特徴とする請求項8記載のデンプン含有食品の製造方法。 【請求項10】 上記凍結で、冷却終点温度tを、−60℃≦t≦−10℃としたことを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7,8または9記載のデンプン含有食品の製造方法。 【請求項11】 上記凍結で、冷却終点温度tを、−40℃≦t≦−15℃としたことを特徴とする請求項10記載のデンプン含有食品の製造方法。 【請求項12】 上記解凍で、加熱速度Kを、0.1℃・min-1≦K≦10℃・min-1としたことを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,10または11記載のデンプン含有食品の製造方法。 【請求項13】 上記解凍で、加熱速度Kを、0.5℃・min-1≦K≦5℃・min-1としたことを特徴とする請求項12記載のデンプン含有食品の製造方法。 【請求項14】 上記デンプンを含有した原料を容器に入れ、該容器を冷凍庫内に設けた電磁石コイルのボア部に配置し、該電磁石コイルに電圧をかけて上記パルス磁場をボア部に形成し、該デンプンを含有した原料にパルス磁場を印加しながら該原料を凍結させることを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12または13記載のデンプン含有食品の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、例えば、ハルサメ、マッシュポテト、糯米菓子などのデンプン含有食品の製造方法に係り、特に、糊化させた原料の離水処理を行なって原料中に含有するデンプンを老化させて製造するデンプン含有食品の製造方法に関する。 【背景技術】 【0002】 一般に、例えば、ハルサメ、マッシュポテト、糯米菓子などのデンプン含有食品の製造においては、糊化させた原料の離水処理を行なって原料中に含有するデンプンを老化させ、その後、乾燥して製造するものがある。 従来、この種のデンプン含有食品の製造方法としては、例えば、特開2001−17105号公報に記載されたハルサメの製造方法が知られている(特許文献1参照)。 この従来のデンプン含有食品としてのハルサメの製造方法は、原料の緑豆の澱粉を水で捏ね、この捏ねた緑豆の澱粉を多数のノズルから押し出して線状に成形し、押し出された線状のものを沸騰した熱湯で約30秒間茹で、冷水に晒して水洗いをしたのち、0℃以下で凍結させて鬆(す)を形成させる。次に、常温で解凍し、原料の離水を行なって原料中に含有するデンプンを老化させ、例えば1食分に束ねて、自然乾燥または温風乾燥して製造されている。 【0003】 【特許文献1】特開2001−17105号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 ところで、上記の従来のデンプン含有食品の製造方法においては、茹でたデンプン含有食品を凍結させて鬆(す)を形成して、その後解凍することにより、原料の離水を行なって原料中に含有するデンプンを老化させているが、原料の離水が必ずしも十分に行なわれないことがあり、その後の自然乾燥または温風乾燥に時間がかかることがあるという問題があった。 本発明は上記の問題点に鑑みて為されたもので、原料の離水率を向上させ、製造効率の向上を図ったデンプン含有食品の製造方法を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0005】 このような目的を達成するための本発明の技術的手段は、デンプンを含有した原料を糊化し、次に、該原料を凍結し、その後、該原料を解凍し、該凍結及び解凍により該原料の離水を行なってデンプン含有食品を製造するデンプン含有食品の製造方法において、 上記凍結過程でパルス磁場を印加する構成とした。 【0006】 パルス磁場を印加しながら凍結した原料を解凍すると、離水率は磁場を印加しないものに比較して大幅に増加する。これは、パルス磁場の印加により、凍結過程で氷結晶が成長してゲルネットワーク構造が粗になったことが考えられる。すなわち、氷結晶の自由成長において、パルス磁場印加によって反磁性体である水分子が摂動を受けて、熱平衡状態にある熱揺らぎが増加するために氷結晶核生成が助長されるとともに、多核成長の機会が増して氷結晶が成長すると考えられる。凍結過程で氷結晶が周囲から水分子を取り込んで粗大化すれば、食品中の水分子が氷結晶の存在する箇所に集中することになるので、解凍後にはその箇所の空洞が大きくなり、離水率が増加することになる。 【0007】 また、必要に応じ、印加するパルス磁場の磁場強度Vを、0.1T(テスラ)≦V≦10T(テスラ)、望ましくは、印加するパルス磁場の磁場強度Vを、0.3T(テスラ)≦V≦5T(テスラ)とした構成とした。これにより、より離水率が向上させられる。 磁場強度Vが0.1T(テスラ)に満たないと、パルス磁場に対して水分子が応答性を示さないために期待する効果が得られない。また、0.3T(テスラ)に満たないと、パルス磁場に対する水分子の応答性が弱いために期待する効果を得るためには凍結過程でのパルス磁場の印加時間を長くする必要があり、凍結に長時間を要してしまうことから、0.3T(テスラ)以上にすることがより望ましい。一方、10T(テスラ)を超えると、パルス磁場に対する水分子の応答性が過剰になって発熱したり、パルス磁場発生装置を大規模にする必要があり、産業的に実施可能性に劣る。 【0008】 更に、必要に応じ、上記パルス磁場のパルス幅Wを、10μs≦W≦100μs、望ましくは、上記パルス磁場のパルス幅Wを、30μs≦W≦70μsとした構成とした。これにより、より離水率が向上させられる。 パルス幅Wが10μsに満たないと、パルス磁場に対して水分子が応答性を示さないために期待する効果が得られない。また、30μsに満たないとパルス磁場に対する水分子の応答性が弱いために期待する効果を得るためには凍結過程でのパルス磁場の印加時間を長くする必要があり、凍結に長時間を要してしまうことから、30μs以上にすることがより望ましい。一方、100μsを超えると、発生した磁場が完全に減衰してから次のパルス磁場を発生させる間隔時間が十分に確保できなくなり、所定の周波数でのパルス磁場発生が不可能になるという不都合がある。 【0009】 また、必要に応じ、上記パルス磁場のパルス周波数Nを、0.1Hz≦N≦1kHz、望ましくは、上記パルス磁場のパルス周波数Nを、0.5Hz≦N≦100Hzとした構成とした。これにより、より離水率を向上させられる。 パルス周波数Nが0.1Hzに満たないと、パルス磁場が水分子に所定の摂動を与えることができないために期待する効果が得られない。また、0.5Hzに満たないとパルス磁場により水分子に与えられる摂動が弱いために期待する効果を得るためには凍結過程でのパルス磁場の印加時間を長くする必要があり、凍結に長時間を要してしまうことから、0.5Hz以上にすることがより望ましい。一方、1kHzを超えると、パルス磁場が水分子に与える摂動が激しくなり過ぎて、場合によっては食品が発熱して期待する効果が得られない。 【0010】 更に、必要に応じ、上記凍結で、冷却速度Sを、0.1℃・min-1≦S≦10℃・min-1、望ましくは、冷却速度Sを、0.5℃・min-1≦S≦5℃・min-1とした構成とした。これにより、より離水率が向上させられる。 冷却速度Sが0.1℃・min-1に満たないと、凍結に長時間を要するばかりでなく、希望するように氷結晶が成長しないために期待する効果が得られない。また、0.5℃・min-1に満たないと、氷結晶の成長程度が最適ではないために期待する効果が低下してしまうことから、0.5℃・min-1以上にすることがより望ましい。一方、10℃・min-1を超えると、氷結晶が十分に成長しないまま凍結が完了してしまうので期待する効果が得られない。 【0011】 また、必要に応じ、上記凍結で、冷却終点温度tを、−60℃≦t≦−10℃、望ましくは、冷却終点温度tを、−40℃≦t≦−15℃とした構成とした。これにより、より離水率を向上させられる。 冷却終点温度が−60℃未満であると、希望するように氷結晶が成長しないために期待する効果が得られない。また、−40℃未満であると、氷結晶の成長程度が最適ではないために期待する効果が低下してしまうことから、−40℃以上がより望ましい。一方、−10℃を超えると、食品全体が凍結しないために解凍後に食品の組織構造が極めて不均質になるという不都合がある。 更に、必要に応じ、上記解凍で、加熱速度Kを、0.1℃・min-1≦K≦10℃・min-1、望ましくは、加熱速度Kを、0.5℃・min-1≦K≦5℃・min-1とした構成とした。これにより、より離水率が向上させられる。 加熱速度Kが0.1℃・min-1に満たないと、解凍に長時間を要するばかりでなく、融解した水が食品組織に分散してしまうので期待する効果が得られない。また、0.5℃・min-1に満たないと、氷結晶の融解挙動が最適ではないために期待する効果が低下してしまうことから、0.5℃・min-1以上にすることがより望ましい。一方、10℃・min-1を超えると、食品の表層部と中心部にある氷結晶の融解にかなりの時間差が生じるために食品の組織構造が不均質になるという不都合がある。 【0012】 更に、必要に応じ、上記デンプンを含有した原料を容器に入れ、該容器を冷凍庫内に設けた電磁石コイルのボア部に配置し、該電磁石コイルに電圧をかけて上記パルス磁場をボア部に形成し、該デンプンを含有した原料にパルス磁場を印加しながら該原料を凍結させる構成とした。 これにより、確実にパルス磁場空間が形成され、上記の作用,効果が奏される。 【発明の効果】 【0013】 本発明のデンプン含有食品の製造方法によれば、凍結過程でパルス磁場を印加したので、離水率を増加させることができ、その後の食品製造・加工工程で最もエネルギーを消費する乾燥工程を短縮できるので、省エネルギー化を図ることができ、製造効率の向上を図ることができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0014】 以下、添付図面に基づいて、本発明の実施の形態に係るデンプン含有食品の製造方法について詳細に説明する。 本発明の実施の形態に係るデンプン含有食品の製造方法は、図1に示す処理装置を用いて実施される。 処理装置Sは、デンプンを含有した原料が密封されて入れられる容器1と、容器1が収納される冷凍庫2と、冷凍庫2内に設けた電磁石コイル3とを備え、容器1を電磁石コイル3のボア部4に配置し、電磁石コイル3に電圧をかけてパルス磁場をボア部4に形成し、デンプンを含有した原料にパルス磁場を印加しながら原料を凍結させるよう構成されている。 【0015】 図2に、本発明の実施の形態に係るデンプン含有食品の製造方法の工程を示す。 本発明の実施の形態に係るデンプン含有食品は、馬鈴薯デンプンを乾燥したものである。 その基本的製造工程は、(1)原料調製工程,(2)凍結工程,(3)解凍工程,(4)乾燥工程からなる。 次に各工程について説明する。 【0016】 (1)原料調製工程 原料としての馬鈴薯デンプンを糊化したものを用意する。実施の形態では、例えば、馬鈴薯デンプンに脱塩水を加えて攪拌し、95℃まで加熱して所定時間保持し、その後、40℃まで冷却して所定時間保持して調製したものを原料とした。 【0017】 (2)凍結工程 (1)で調製した原料を容器1に入れ、この容器1を処理装置Sの冷凍庫2内に設けた電磁石コイル3のボア部4に配置し、電磁石コイル3に電圧をかけてパルス磁場をボア部4に形成し、馬鈴薯デンプンを含有した原料にパルス磁場を印加しながら原料を凍結する。 印加するパルス磁場の磁場強度Vを、V=5T(テスラ)、パルス磁場のパルス幅Wを、W=55μs、パルス磁場のパルス周波数Nを、N=1Hzに設定した。 また、冷却速度Sを、S=1.0℃・min-1に設定した。 凍結においては、冷却終点温度tを、t=−20℃に設定した。 【0018】 (3)解凍工程 凍結させた馬鈴薯デンプンを所定時間(例えば24時間)静置し、その後解凍する。加熱速度Kを、K=1.0℃・min-1に設定した。その後、例えば、所定温度(例えば30℃)まで加熱して、所定時間(例えば2時間)保持した。このときに、馬鈴薯デンプンから離水が起こる。 【0019】 (4)乾燥工程 離水させた馬鈴薯デンプンを乾燥する。この場合、パルス磁場を印加して凍結・解凍すると、離水率が増加するので、その後の乾燥工程では、それだけ、エネルギー消費が少なくて済み、省エネルギー化が図られ、製造効率の向上が図られる。 【実験例】 【0020】 以下に実験例を示す。 ここでは、モデル系として多糖系ハイドロゲル(デンプンゲル)を用い、凍結に及ぼすパルス磁場の影響を明確にする実験を試みた。 【0021】 (1)試料 根茎デンプンとして馬鈴薯デンプン(特精でん粉,南十勝農工連澱粉工場)を用いた。デンプン糊液を調製する際には脱塩水を用いた。走査型電子顕微鏡観察に用いる試料調製にはエタノール(特級,純度99.5%,和光純薬工業(株)),酢酸イソアミル(特級,純度98.0%,和光純薬工業(株)),脱塩水を用いた。 【0022】 (2)馬鈴薯デンプン糊液の調製 加熱攪拌型粘度測定装置(Rapid Visco Analyzer Model RVA‐4,Newport Scientific Pty. Ltd.社)用の試料容器に固形分として1.9gの馬鈴薯デンプンと40.0℃の脱塩水22.8gを加えてパドルで均一に分散するまで手攪拌した。デンプン粒の比重が水より大きいため、デンプン水分散液を撹拌しながら調製しても、しばらく放置すればデンプン粒が沈降するので、均質なデンプン糊液が調製しにくい。そこで、RVAを用いて加熱ブロックの温度を50℃で3分間保持した後、加熱温度6.0℃・min-1で50℃から95℃まで加熱して7分間保持し、冷却速度6.0℃・min-1で95℃から40℃まで冷却して7分間保持するという温度プログラムで7.7%(w/w)の馬鈴薯デンプン糊液を調製した。 【0023】 (3) 馬鈴薯デンプン糊液の凍結・解凍 7.7%(w/w)馬鈴薯デンプン糊液をポリプロピレン製試験管(φ23.5mm×H 75mm、SARSTEDT Aktiengesellschaft & Co.社)に満杯に充填して蛍光式光ファイバー温度計(FX‐9020‐211型,安立計器(株))の広温度範囲タイプ光ファイバーセンサ(F1000‐4S型,安立計器(株))を差し込んだシリコンゴム栓で密封した。これを図1に示したと同様の構成の食品素材磁気処理装置(DSP‐5020型:電源部,パルスジェネレータ,電磁石コイルとから構成,ダイヤメディカルシステム(株))のスパイラル型電磁石コイル(φ35mm×L 89mm)のボア部に挿入し、これらを冷凍庫としての恒温恒湿器(MTH‐4200,三洋電機メディカル(株))の庫内に設置した。また、試料の熱交換を促進するためにスパイラル型電磁石コイルの直下70mmにファン(風速:入口で3.31m・s-1,出口で1.82m・s-1)を設置した。庫内温度を30℃で1h保持して試料の初期温度を平衡化させた後に、コイルに400Vの電圧をかけて発生した磁場(1パルス目が0.5Tに相当),パルス幅55μs,パルス周波数1Hzのパルス磁場を印加しながら庫内温度を冷却速度1.0℃・min-1で−20℃まで冷却して試料を凍結した。この場合の、温度の変化状態を図4に示す。 なお、パルス磁場印加は試料を冷却して凍結する過程で120minだけ印加した。 また、上記の磁場を印加しない条件で行なったものを比較対照とした。 【0024】 次に、−20℃で24h保持した後に加熱速度1.0℃・min-1で30℃まで加熱して試料を解凍し、その温度で2h保持して試料の終了温度を平衡化させた。この時、温度プローブ(φ1.0mm×L 126mm)を接続した熱電対温度計(AM‐7252L型,安立計器(株))を用いて庫内温度、蛍光式光ファイバー温度計を用いてポリプロピレン製試験管内のデンプン糊液高の1/2に相当する位置での内壁面温度および幾何学的中心点の温度を計測した。温度データをデータコレクタ用ソフトウェア(AMS7006WIN,安立計器(株))を使用してパーソナルコンピュータに記録した。 【0025】 (4)凍結・解凍した馬鈴薯デンプンゲルの離水率の測定 この測定においては、単軸圧縮・引張型レオメータ(RE‐33005,(株)山電)に最大力19.6Nのロードセルならびに直径40mmの円板状プランジャを装着し、凍結・解凍処理を施した20℃の円柱状ゲル(φ23.5mm・H 20mm)について、一定のひずみ(0.3)の圧縮を1minだけ負荷した際に発生する滲出水を定性濾紙(No.2,600mm・600mm,東洋濾紙(株))に吸水させ、その重量変化から圧縮滲出水量〔g〕を測定し、圧縮前の試料の重量に対する比率を離水率〔%〕と定義した。 【0026】 結果を図5に示す。パルス磁場を印加しながら凍結した試料を解凍すると、離水率は対照に比較して約12%も増加したことから、凍結過程で氷結晶が成長してゲルネットワーク構造が粗になったことが考えられた。 【0027】 (5)凍結・解凍した馬鈴薯デンプンゲルの破断特性 単軸圧縮・引張型レオメータに最大力19.6Nのロードセルならびに直径40mmの円板状プランジャを装着し、凍結・解凍した20℃の円柱状ゲル(φ23.5mm・H 20mm)について、圧縮変形速度を0.5mm・s-1に設定して単軸圧縮破断試験を行なった。得られた応力−ひずみ曲線から破断応力と破断ひずみを求めた。 【0028】 結果を図6に示す。パルス磁場を印加しながら凍結し、そして解凍した試料の破断ひずみは対照と同等であったが、破断応力は低下して、ネットワーク構造が粗になったことが考えられた。 【0029】 (6)凍結・解凍した馬鈴薯デンプンゲルでのデンプン老化度 凍結・解凍処理を施した試料をアルミニウム製簡易密封型試料容器におよそ15.0mg採取して精秤し、密封した。一方、試料中の水分と同じ重量の脱塩水をアルミニウム製簡易密封型試料容器に採取して精秤し密封したものを対照とし、示差走査熱量計(2920型MDSCセルベース,TA‐5200型熱分析システム,TA Instrument, Inc.社)を用いて測定した。30℃で5分間保持して試料の初期温度を平衡化させた後に加熱速度5℃・min-1で110℃まで加熱するプログラムでDSC曲線を取得し、デンプンの再糊化による吸熱ピークの再糊化開始温度(To ’),再糊化ピーク温度(Tp ’),再糊化終了温度(Tc ’),ピーク面積から再糊化に伴うエンタルピー変化量(ΔH')を測定した。また、同一デンプン試料の糊化にともなう吸熱ピークの糊化開始温度(To ),糊化ピーク温度(Tp ),糊化終了温度(Tc ),エンタルピー変化量(ΔH)を測定した。そして、同一デンプン試料の糊化に伴うエンタルピー変化に対する再糊化に伴うエンタルピー変化の比である老化度(DR, degree of retrogradation)を求めた。 【0030】 結果を図7に示す。パルス磁場を印加しながら凍結し、そして解凍した試料のデンプン老化度は対照とほぼ同等であり、本実験で設定したパルス磁場をデンプン糊液が凍結する過程で印加しても、遜色がないことが分かる。 【0031】 (7)凍結・解凍した馬鈴薯デンプンゲルのネットワーク構造 パルス磁場を印加しながら凍結し、そして解凍した馬鈴薯デンプンゲルを図8に示すように、円柱の高さの1/2の位置で側面に対して垂直に切断し、横断面の中央部(A)ならびに横断面の円周部(B)に分け、約3mm×3mm×6mmの直方体に切断したものを試料とした。これらの馬鈴薯デンプンゲルをエタノール水溶液系列(50,70,90,95%(v/v))およびエタノールに5℃でそれぞれ15分間ずつ浸漬して脱水した。そして、固定・脱水した馬鈴薯デンプンゲルを酢酸イソアミルに溶媒置換してから臨界点乾燥機(HCP‐1,(株)日立製作所)を用いて乾燥させ、試料をピンセットで割断し、イオンコーター(IB‐3,(株)栄光工業)で新しい割断面をAu蒸着した。走査型電子顕微鏡(S‐2250N,(株)日立製作所)を使用して、加速電圧15kV,観察倍率100〜3,000倍で試料の断面構造を観察した。 【0032】 結果を図9に示す。パルス磁場を印加しながら凍結し、そして解凍した試料の横断面のゲルネットワーク構造は試料中心部で対照に比較して多少ではあるが粗な構造を呈した。 【図面の簡単な説明】 【0033】 【図1】本発明の実施の形態に係るデンプン含有食品の製造方法に用いられる磁場を印加する処理装置の一例を示す図である。 【図2】図1中A視図である。 【図3】本発明の実施の形態に係るデンプン含有食品の製造方法を示す工程図である。 【図4】本発明の実験例に係り、馬鈴薯デンプンゲルの凍結・解凍における恒温槽内の温度制御プログラムを示すグラフ図である。 【図5】本発明の実験例に係り、実施例に係る馬鈴薯デンプンゲルの離水率を対照と比較して示す表図である。 【図6】本発明の実験例に係り、実施例に係る馬鈴薯デンプンゲルの破断特性を対照と比較して示す表図である。 【図7】本発明の実験例に係り、実施例に係る馬鈴薯デンプンゲルの老化度を対照と比較して示す表図である。 【図8】本発明の実験例に係り、馬鈴薯デンプンゲルのネットワーク構造を走査型電子顕微鏡で観察する際の試料の採取箇所を示し、(A)は切断面1による横断面の中央部、(B)は切断面1による横断面の円周部から試料を切断・採取したことを示す図である。 【図9】本発明の実施の形態に係るデンプン含有食品の製造方法のパルス磁場を印加しながら凍結した後に解凍した試料の切断面1による横断面を走査型電子顕微鏡で撮影した図面代用写真である。 【符号の説明】 【0034】 S 処理装置 1 容器 2 冷凍庫 3 電磁石コイル 4 ボア部 (1) 原料調製工程 (2) 凍結工程 (3) 解凍工程 (4) 乾燥工程
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| 【出願人】 |
【識別番号】503360115 【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構 【識別番号】000226998 【氏名又は名称】株式会社日清製粉グループ本社
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| 【出願日】 |
平成15年9月5日(2003.9.5) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100093148 【弁理士】 【氏名又は名称】丸岡 裕作
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| 【公開番号】 |
特開2005−80537(P2005−80537A) |
| 【公開日】 |
平成17年3月31日(2005.3.31) |
| 【出願番号】 |
特願2003−314548(P2003−314548) |
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